JP3809879B2 - アルマイト処理によって形成されたアルミナ膜を有するレーザーチャンバーを備えたエキシマレーザー発振装置 - Google Patents

アルマイト処理によって形成されたアルミナ膜を有するレーザーチャンバーを備えたエキシマレーザー発振装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、金属、樹脂、ガラス、セラミックス、半導体等の加工や化学反応等に利用されるエキシマレーザー発振装置に関わり、特にレーザーのエネルギー及びビーム形状安定性に優れ、長寿命のエキシマレーザー発振装置、ブロワー、熱交換器及び露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エキシマレーザーは、紫外域で発振する唯一の高出力レーザーとして注目されており、電子産業や化学産業やエネルギー産業において応用が期待されている。
【0003】
エキシマレーザー光を発生する装置はエキシマレーザー発振装置として知られている。チャンバー内に充填されたAr,Kr,Xe,F2,Cl2等のレーザーガスを電子ビーム照射や放電等により励起状態にする。すると、励起された原子は基底状態の原子と結合して励起状態でのみ存在する2量体(例えば、ArF,KrF)を生成する。この分子がエキシマと呼ばれるものである。エキシマは不安定な為、直ちに紫外光を放出して基底状態に落ちる。これをボンドフリー遷移というが、この遷移によってえられた紫外光を一対のミラーで構成される光共振器内で倍増してレーザー光として取り出すものがエキシマレーザー発振装置である。
【0004】
まず、図1を用いてエキシマレーザーシステムを説明する。
【0005】
図1において、1はレーザーチャンバー、2は発振線の線幅を制御するための狭帯域化モジュール、3は高圧のパルスパワーモジュール、4は発振されたレーザーのエネルギー強度及び波長を測定する光学モニターモジュール、5は高圧電源、6はエキシマレーザーシステム全体を制御するコントローラーである。
【0006】
また、上記エキシマレーザーシステムを電子デバイス製造用の露光装置である露光装置の露光電源として用いる場合には、コンピューターコントローラー6はインターフェイス7を介して露光装置のコントロールユニット8と露光装置コンピューター9等に接続される。
【0007】
レーザーチャンバー1には、例えばF2,Kr,Ne等のガスが封入され、パルスパワーモジュール3から高圧のパルスがレーザーチャンバー内のカソード電極に印加されるとガスが放電し、発光を開始する。光は出力ミラー10と狭帯域化モジュール2内の光学系と間で繰り返し反射され、増幅されて、外部に放出される。
【0008】
所望の波長のレーザー光を得るために、放出されたレーザー光の一部はハーフミラー11により光学モニターモジュール4に導かれ、光の波長等が測定され、この結果に基づいて、ステッピングモーター12が駆動され、狭帯域化モジュール2の光学系が最適化される。また、レーザー光のパワーも常時この光学モニタモジュールで監視される。
【0009】
図2はレーザーチャンバー1のレーザー光発振方向に垂直な断面の模式図である。
【0010】
図2が示すように、レーザーチャンバー1は、2つのアルミニウム製ハウジング部材13、14からなり、O−リング15によりシールされている。チャンバー1には、絶縁体16、カソード電極支持部材17を介してカソード電極18が固定され、アノード電極19はアノード電極支持部材20を介し、ハウジング部材13に固定されている。21はカソード電極18とパルス発振器3との接続用のコネクターである。また、22はO−リング等のシール部材である。
【0011】
レーザーチャンバー1の内部には、ガスを循環するためのブロワー23、放電部で加熱されたガスを冷却するためのヒートパイプを含む熱交換器24が配設されている。レーザーチャンバー1、ブロワー23、熱交換器24は、ステンレスあるいはアルミニウム合金製であり、その外部表面には通常電解研磨あるいは光輝焼鈍が施されている。また、フィルター25がハウジングに取り付けられ、ガス取入れ口26を介してガスを導入し、ガス中の電極金属とフッ素ガスとの反応で生成した金属フッ化物粒子等を除去する構成となっている。
【0012】
次に、図3を用いて、本発明者らが先に考えたガス供給系について説明する。 このガス供給系は、レーザーチャンバー1内にガスを供給するに好適なシステムであると、本発明者らは考えていた。
【0013】
図3の例では、1%Kr/Neガスのガス供給ライン31、1%F2/1% Kr/Neガスの供給ライン32及びHeガスの供給ライン33の3系統のガス供給ラインが設けられている。各ガス供給ラインには流量調整用のオリフィス34、35、36、バルブ37、38、39が設けられ、マニホールド40に連結されている。なお、Heガスは、レーザーチャンバーの窓板を交換する場合等にパージ用のガスとして用いる。
【0014】
マニホールド40には、複数のガス導入用のパイプが設けられている。このうちガス供給用の連結配管41にはチャンバーバルブ42、バルブ43が設けられている。また、マニホールド40には、F2ガス補給用配管44が接続され、インジェクションバルブ45、流量制御用オリフィス46を介して前記連結配管41と接続されている。
【0015】
また、47はスプリングバルブであり、マニホールド40中の圧力が許容値を越えて異常に上昇したときに開くバルブである。48はマニホールドの排気ライン、49は、例えばレーザーチャンバー内部に異常が生じたとき等、内部を排気できるよう設けたバルブで、43と同様手動バルブである。50はF2ガス除害装置、51は排気ポンプである。また、52は圧力計を示す。
【0016】
レーザー放電ガスのF2ガス濃度を0.1%とした時この濃度のガスをチャン バーに充填する方法は次の通りである。まず、1%F2/1%Kr/Neガスを マニホールド40、配管41を介して、チャンバー53に例えば30kPaになるまで圧力計でモニターしながら導入し、続いて、1%Kr/Neガスを300kPaとなるまで導入する。このようにして、0.1%F2を含む混合ガ スをチャンバー内に導入する。
【0017】
また、レーザーの発振を繰り返し行うとF2ガス濃度が低下し、レーザーのパワーが低下するため、レーザーのパワーが所定値以下に低下するたびに、マニホールド40、配管44を介して、1%F2/1%Kr/Neガスを所定量チャンバー53に補給する。
【0018】
ところで、従来のエキシマレーザー装置には次なる問題点がある。なお、以下の問題点は既に知られていた問題点ではなく、本発明者によって初めて見いだされたものである。
【0019】
まず第1に、従来のエキシマレーザー装置を用いた場合には、所定の定格出力を得るために上記したF2の補給は例えば5×106パルスごとに行わざるを得ない。すなわち、ガスの補給頻度が高い。
【0020】
第2に、反応により生じたフッ化物により、レーザー光が吸収される等の問題が生じ、安定したパワーが得られなくなる。例えばエネルギーのバラツキが5〜10%と大きくなる。その為に、5×107〜1×108パルスごとにチャンバー1内のガス全体を新しいガスに交換しなければならなかった。
【0021】
第3に、レーザーチャンバーのウィンドウにチャンバー内での化学反応により発生したフッ化物が付着する。そのため、1×109パルスごとにウィンドウを交換する必要があった。
【0022】
第4に、レーザーチャンバー1内の電極18、19の劣化が激しく、レーザーチャンバー1全体を3×109パルスごとに交換する必要がある。
以上のとおりエキシマレーザー装置の寿命が極めて短いという問題を有している。
【0023】
更には、次のような解決すべき課題もある。
第5に、レーザー装置へ導入するガスの混合比は、上述したようにレーザーチャンバーに取り付けた圧力計でモニターして設定している。そのため、ガスの混合比を高精度に制御できず、レーザーパルス出力の再現性が低い。
【0024】
第6に、ガス供給系のガス源を交換する場合のように、ガス供給配管内部の一部でも大気にふれると、吸着した微量の水分等は脱ガス処理をしてもなかなか脱着しない。F2ガスを導入した場合にはF2ガスと吸着水分等が反応してしまい所望の濃度のF2ガスがレーザーチャンバー内に導入されない。レーザーチャンバー内に水分が混入した場合にも、チャンバーは劣化し寿命が短くなってしまう。
【0025】
以上の課題は、本発明者らが、より優れた出力安定性、寿命を有するエキシマレーザー装置を開発する過程で見い出されたものであり、本発明はこれら問題点の発見に基づいて完成に至ったものである。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、パルスエネルギー、パルス形状がパルスごとに一定しているエキシマレーザー発振装置を提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、フッ素ガスの注入頻度を低減せしめたエキシマレーザー発振装置を提供することにある。
【0028】
本発明のさらに他の目的は、不純物によるレーザー吸収が少なく、安定したパワーで出力可能なエキシマレーザー発振装置を提供することにある。
【0029】
本発明の他の目的は、レーザーチャンバーの交換寿命が長いエキシマレーザー発振装置を提供することにある。
【0030】
本発明のさらに他の目的は、ガスに水分が混入した場合であっも劣化を招くことのないエキシマレーザー発振装置を提供することにある。
【0031】
本発明の他の目的は、レーザーチャンバーに導入するガス濃度の高精度化を図り、レーザーパルス出力の再現性の高いエキシマレーザー発振装置を提供することにある。
【0032】
更に、本発明の他の目的は、0.25μm以下の微細パターンの露光が繰り返し長期間安定して行える露光装置を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明のエキシマレーザー発振装置は、表面粗さRa=0.1μm以下の表面上にアルマイト処理によって形成されたアルミナ膜であってその表面粗さがRa=0.1μm以下であるアルミナ膜がレーザーチャンバーの内面に形成されており、該アルミナ膜を形成する基材の組成は、
Mg:2.0〜5.0重量
不可避的不純物:100ppm以下
Al:残部
であることを特徴とする。
【0034】
本発明のエキシマレーザー発振装置用ブロワーは、表面粗さRa=0.1μm以下の表面上にアルマイト処理によって形成されたアルミナ膜であってその表面粗さがRa=0.1μm以下であるアルミナ膜が表面に形成されており、該アルミナ膜を形成する基材の組成は、
Mg:2.0〜5.0重量
不可避的不純物:100ppm以下
Al:残部
であることを特徴とする。
【0035】
本発明のエキシマレーザー発振装置用熱交換器は、表面粗さRa=0.1μm以下の表面上にアルマイト処理によって形成されたアルミナ膜であってその表面粗さがRa=0.1μm以下であるアルミナ膜が表面に形成されており、該アルミナ膜を形成する基材の組成は、
Mg:2.0〜5.0重量
不可避的不純物:100ppm以下
Al:残部
であることを特徴とする。
【0036】
【発明の実施の形態】
図4は本発明の好適な実施形態によるエキシマレーザー発振装置のレーザーチャンバーを示す模式的断面図である。
【0037】
図2に示した符号と同じ符号を付した部分は図2の構成と同じである。
101は、レーザーチャンバー1の内壁に設けられたフッ化不働態膜であり、この膜101の存在によりレーザーチャンバー内面はフッ化不働態表面となっている。
【0038】
102は、チャンバー1内にガスの流れを形成する為のブロワー23の表面に設けられたフッ化不働態膜であり、103は、チャンバー1内のガスの温度を低下させる為の熱交換器24の表面に設けられたフッ化不働態膜である。これらの膜102、103の存在により、ブロワー23、熱交換器24の表面はフッ化不働態表面となっている。25はフィルターである。電極支持部材17、20に導電性の金属を用いる場合には、その表面にもフッ化不働態膜を設けることが望ましい。
【0039】
エキシマレーザーの発振方法は以下の通りである。
まず、チャンバー1内にレーザーガスを充填する。ブロワー23を回転させるとともに、熱交換器24を動作させて図4中矢印に示すようなガスの流れを形成する。
【0040】
一対の電極18、19間にパルス電圧が印加されるとガスがグロー放電する。この放電エネルギーによりエキサイティッドダイマーが形成され、これが基底状態に戻ることで、発光する。この光をミラー10、モジュール2により共振させることによりレーザー光が得られる。
【0041】
放電により温度上昇したガスは、熱交換器24により冷却される。
一対の電極間にはブロワー23により次々とレーザーガスが供給されるので、パルスレーザーを繰り返し出力出来る。
【0042】
(フッ化不働態膜としてのアルミナ膜)
本発明のアルミナ膜の形成は、例えば、次のように行うことが好ましい。基材となるアルミニウム合金の表面を機械的に研磨し、表面粗さをRa=0.1ミクロン以下とする。研磨処理によってアルミニウム合金表面に付着した付着物を、酸化性溶液によって除去した後、アルマイト処理を行う。
【0043】
良質なアルミナ膜を形成するために用いるアルミニウム合金は、不可避的不純物が100ppm以下のAlにマグネシウム(Mg)を2.0〜5.0重量%添加したものが望ましい。Mgを2.0重量%以上含有させることにより強度及び高温耐食性の向上を図ることができる。さらにはジルコニウム(Zr)を0.05〜0.15重量%添加したものがより好ましい。
【0044】
(フッ化不働態膜としてのフッ化アルミニウム/フッ化マグネシウム膜)
機械加工後のアルミニウム合金を機械研磨によって表面粗さをRa=0.1μm以下とすることによってその上にアルマイト処理によって成長したアルミナ膜質が向上する。
【0045】
機械加工によって得られたアルミニウム合金表面はRa=0.1μm以上であり、図5に示すように、アルマイト処理の際にアルミナが様々な方向に成長するため、ストレスが大きくなる。従って、アルマイト膜中には欠陥が本質的に生じ、これが耐食性を著しく劣化させていることが考えられる。一方、機械研磨によって表面平坦性(表面粗さ)をRa=0.1μm以下とした場合、アルミナの成長方向が略々一方向に揃うことがわかり、成長時のストレスが緩和されると考えられる。従って、耐食性が向上したと考えられる。このためアルミニウム合金の表面粗さは、Ra=0.1ミクロン以下、更にストレスを緩和させるためには0.01ミクロン以下がより好ましい。
【0046】
次に、研磨後の表面を酸化性溶液により研磨時に付着した付着物を除去した後にアルマイト処理を行うとアルミナ膜質がさらに向上する作用について説明する。
【0047】
アルマイト処理においては、母材からのAlの供給と電解液からの酸素の供給によってアルミナが成長すると考えられる。研磨によって表面にFe,Ni,C,Siの付着物が存在すれば、アルマイト処理によってこれらの酸化膜が生成し、膜中に混入するために膜質の劣化をまねく。かかる現象は、特にRa=0.1μm以下になると顕著に現れる。これは、アルミナ膜の表面を全反射蛍光X線(TRXRF)による分析結果より明らかとなった(図6)。また、アルミニウム合金の不純物純度を100ppm以下とし、具体的には純度99.9%以上のアルミニウム合金を用いて、アルマイト処理を行った場合、膜表面には不純物が検出されなかった。
【0048】
アルミニウム合金中のMgはアルミニウムの機械的強度を向上させる目的で添加することが好ましい。機械的強度向上の点からは2.0重量%以上添加することが好ましい。ただ、5重量%を超えるとアルマイト処理によりMgOが生成してしまう。5重量%以下ではアルマイト処理によってMgOは生成されない。この原因については今のところ不明である。また、Zrはさらに機械的強度を高めるために添加しているがAl中におけるZrの拡散係数は非常に低いため、アルミナ膜中には混入しないと考えられる。
【0049】
図7は、アルミニウム合金(JIS A5052)材を一般的な機械研磨方法によって処理した後の表面観察結果である。
【0050】
JIS A5052は次なる組成を有する(重量%)。
Mg:2.2〜2.8
Cr:0.15〜0.35
Si:0.25以下
Fe:0.40以下
Cu:0.10以下
Mn:0.10以下
その他:0.15以下
Al:残部
【0051】
研磨後の表面には図7(a)に示すように白い斑点状の付着物と、黒い付着物が観察された。この付着物をEDX(エネルギー分散X線分光法)により分析した結果、白いものは、Fe,Ni系の化合物、黒いものはC,Siの化合物であることがわかった。この付着物をアルミニウム合金をエッチングし、除去することを試みた。薬液は、70%HNO3+H2Oである。図7(b)に示すように、付着物を示す斑点は消失している。いずれの薬液に浸漬した場合でも、研磨後に付着していた不純物を除去できることがわかった。さらに、触針式の表面粗さ計(dektak3030)でエッチング前後の表面粗さを測定した結果、Raは約5nm前後となり変化は見られなかった。
【0052】
次に、研磨時に付着する不純物とアルマイトの膜質の関係を調べた。評価は、試料としてJIS A5052材を研磨し、表面粗さRa=5nmとしたものを用い、70%HNO3+H2O溶液に30分浸漬を行い、付着物をすべて除去したのち、アルマイト処理によってアルミナ膜を50μm成長させた(試料a)。また、比較として同様の研磨を行った試料をそのままアルマイト処理を行い、アルミナ膜を50μm成長させたものを用いた(試料b)。次に、試料a、試料bとも表面を10μm研磨し、アルミナ膜厚を40μmとし、表面粗さをRa=5nmとした。最後にアルミナ膜上に1mm×1mmの電極を形成し、母材のアルミニウム合金とアルミナ膜上に形成した電極間に電圧を印加し、試料a、試料bの抵抗率及びブレークダウン電圧を測定した。
【0053】
結果を図8に示す。
試料aは、試料bに比べブレークダウン電圧が著しく高いことがわかる。
【0054】
以上の結果より、研磨後のアルミ合金に付着している不純物を除去することでアルミナの電気特性を向上させることができたことがわかる。
【0055】
もちろんHNO3系の洗浄のみでなく、不純物を除去可能な薬液を用いることによって同様な効果は期待できる。また、薬液組成も、試料の大きさ、アルミニウム合金の組成により最適化することはいうまでもない。
【0056】
図9アルマイト処理によって作製したアルミナ膜を熱処理するための系である。図中601は、電気炉であり温度をPID制御し、温度分布は有効エリア内で±1℃以内である。602はN2ガスの供給ラインであり、電気炉に供給されるガスの中の不純物濃度は1ppm以下である。また、流量はマスフローコントローラにより制御されている(不図示)。603は無声放電式のオゾン発生器であり、マスフローコントローラ(不図示)により流量制御され、不純物濃度1ppm以下の酸素及びN2が供給できる。オゾン発生器によって発生させたオゾンガスはガス供給系(604)を通り、電気炉に供給される。オゾン濃度計(605)は排気系(606)の途中に設置し、熱処理中のオゾン濃度をモニタできる。
【0057】
上記と同様に、付着物を除去し、不純物が表面に存在しないアルミニウム合金上にアルマイト処理を行うことによってアルミナ膜を50μm成長させ、次いで、10μm研磨を行い表面粗さをRa=5nmとしたものを試料として用いた。
【0058】
実験の方法を以下に示す。試料を電気炉(601)にセットし、N2を602より1LSM供給する。電気炉の温度を2℃/分で昇温し、200℃とした。200℃において2時間保持し、試料に含まれている水分等をN2雰囲気中で除去した。次に、2℃/分で100℃まで降温し、100℃で保持した後、ガスラインを切り替え、5%N2/O2トータル1LSMをオゾン発生器を介して電気炉に供給した。オゾン発生器の出力を調整し、電気炉中のオゾン濃度を10g/cm3とし、2時間の熱処理を行った。
【0059】
オゾン処理を行った試料を1%HF/H2O(25℃)に浸漬した場合のアル ミナ膜のエッチングレートを図10に示す。
【0060】
オゾン処理によりアルミナ膜のエッチングレートは減少した。このことは、Al−Oの結合がより強固なアルミナ膜に変化していることを意味している。
【0061】
また、超純水中へ100日間浸漬し、アルミナ膜からの金属溶出をICPMSにより評価した結果、オゾン濃度10g/cm3で100℃ 2時間のオゾン処 理を行った試料からのAlなどの金属溶出は検出されなかった。
【0062】
以上の結果より、アルマイト処理によって形成したアルミナ膜を酸化性雰囲気中で再処理することによって耐薬品性に優れたアルミナ膜をアルミニウム合金上に形成することが可能となった。
【0063】
アルマイト処理に用いるアルミニウム合金をJIS A5052及び三菱アルミニウム株式会社製MX534(商標)の2種類とし、アルミナ膜の膜質を調べた。なお、ここでは、A5052は不可避的不純物を100ppm以下に制御した。アルミニウム合金の研磨、洗浄、アルマイト処理、封孔処理を同一条件で行った。さらに、オゾンガス雰囲気にて100℃×2時間の熱処理を行い表面に良質なアルミナを形成させた。これら2種類の試料を、プラズマ処理装置(不図示)に設置し、NF3プラズマ中を照射した。処理条件は加熱温度200℃、ガス 圧力300mTorr、プラズマ励起周波数13.56MHz、電力1KWとし、処理時間を2時間とした。A5052とMX534のNF3プラズマ処理前後 のXPS(X線励起光電子分光法)による化学組成の変化を図11に示す。Fの膜中への侵入深さは、A5052の場合は約10nm程度、MX534は約2nmであることが分かる。この原因は現在のところ明らかではないが、材料を高純度化することによって膜質は向上していることがわかる。
【0064】
本発明のエキシマレーザー発振装置に用いられるフッ化不動膜としてのフッ化アルミニウムとフッ化マグネシウムとを含むフッ化膜について述べる。
【0065】
基材はアルミニウム合金が好適に用いられる。アルミニウム合金としては、マグネシウムを添加元素として含むものが用いられる。マグネシウムの添加量は、望ましい範囲としては、3〜5重量%を示すことができる。
【0066】
これは、マグネシウムの添加量が3重量%未満であると、マグネシウムの添加効果が十分ではなく、良質のフッ化マグネシウムであるMgF2ができにくい。すなわち、化学量論比をほぼ満足する耐食性に優れたフッ化マグネシウムができにくい。一方、5重量%を超えると、金属間化合物が生成され、展延性などの加工性を低下させるためである。
【0067】
また、Zr:0.05〜0.15重量%、B:0.05〜0.15重量%、Ti:0.05〜0.15重量%のいずれか1種以上を添加することが好ましい。これらの元素は結晶粒を微細化する。結晶粒が微細であると粒界を介して原子は拡散し表面に到達するため緻密なフッ化膜を厚く形成することができる。0.05重量%未満では上記効果はなく、0.15重量%を超えるとZr,B,Tiが化合物として析出し加工性を低下させてしまう。なお、ZrFは沸点が低く表面から排除されるため特に好ましい。
【0068】
Mn,Si,Fe,Cu,Cr,Znは不可避的不純物であり、それぞれ0.05重量%以下とする。0.05重量%を超えたり、合計で0.2重量%を超えると、これらの元素はMg,Alとの間で金属間化合物を形成してます。金属間化合物が形成されるとそのためにMgが消費されてしまい、フッ化不働態膜が形成されにくくなる。また、金属間化合物上には不働態膜が形成されにくく、また、形成されたとしても剥離しやすい。
【0069】
上記合金は、所望により表面洗浄などの適当な前処理を行い、さらに、所望により、水分や付着物などを蒸散させるために、ベーキングを行う。このベーキングは、150〜450℃の範囲内で行うのが望ましい。これは、150℃未満では、十分なベーキング効果が得られないおそれがあり、また、450℃を超えると、アルミニウム含金の一部溶解などが生じて合金を傷めるおそれがあるためである。なお、ベーキング時間は、1〜5時間程度が好ましい。
【0070】
そして、フッ化処理は、通常は、フッ素単体またはフッ化物ガスを用いて、このガスをアルミニウム合金の表面に接触させて行う。この際に、反応を促進させるように、適当な触媒を用いることも可能である。フッ化処理の温度は、上記ガスの接触による場合に、150〜450℃とするのが望ましい。これは、150℃未満では、十分なフッ化処理がなされないおそれがあリ、また、450℃を超えると、均質なフッ化不働態膜が形成されないためである。好ましくは200℃〜450℃、より好ましくは300℃〜450℃である。また、フッ化処理時間は、1〜6時間とするのが望ましい。
【0071】
なお、フッ化処理の際の温度が高い合金材ほど厚いフッ化不働態膜が形成される。また、同一のフッ化処理温度であっても、ベーキング温度が高いほど不働態膜は厚くなる。なお、フッ化処理後に、熱処理を行うことによって不働態膜は組織上緻密な状態となる。この熱処理温度は150℃〜450℃が好ましく、300℃〜450℃がより好ましい。熱処理温度は1〜24時間が好ましい。
【0072】
上記フッ化処理によるフッ化不働態膜は、アルミニウム合金の少なくとも一部に形成されていればよく、えば、使用目的などによって、特定の表面部位や表面全部を被覆する。なお、上記不働態膜は、通常は20〜500nmが好ましい。不働態膜の厚さが厚い合金材ほど耐食性に優れているが500nmを超えると剥離が生ずる場合もあるため500nm以下が好ましい。100〜200nmがより好ましい。
【0073】
フッ化処理および所望により行うベーキング処理によって、アルミニウム合金中のマグネシウムが拡散し、合金の表面近傍部でマグネシウムが濃厚に存在する。なお、Zr,B,Tiは結晶粒を微細化し、マグネシウムの拡散をより容易にする。
【0074】
フッ化処理によって、このアルミニウム合金の表面に接触したフッ素またはフッ化物と、アルミニウム合金とが反応する。なお、この反応においては、合金の表面で濃厚に存在するマグネシウムが多くフッ化され、アルミニウム合金の表面に、フッ化マグネシウムを含むフッ化不働態膜が形成される。
【0075】
この結果、界面近傍のマグネシウム濃度は低下するため、材料内部からマグネシウムが拡散供給され、フッ化反応が繰返されるので、MgF2を主成分とし、若干のAlF3を含んだフッ化不働態膜が形成されるものと考えられる。このフッ化不働態膜では、連帯は上記したフッ化マグネシウムが主成分となり、耐食性に優れた皮膜が十分に形成される。したがって、フッ化不働態膜で被覆されたアルミニウム合金材は、腐食性の強いフッ素ガスに対しても十分な耐食性を発揮する。
【0076】
さらに、耐水素プラズマ性に優れている。従来の装置では、ガスに微量の水分が含まれているとチャンバーの劣化が激しく装置寿命が短かった。この原因を探求したところ、従来の装置では水分は放電により水素プラズマとなり、それがチャンバー内面の劣化をもたらす原因となることを本発明者は知見した。さらに、フッ化不働態膜は、耐水素プラズマ性に優れていることも見いだした。従って、本発明では、水分がガス中に混入しても内面の劣化を招くことがない。
【0077】
(フッ化不働態膜としてのフッ化鉄膜)
本発明に用いられるフッ化不動膜としてのフッ化鉄膜について述べる。
【0078】
基材は純鉄又はステンレスその他の鉄合金が好適に用いられる。また、基材全てをかかる鉄合金とする必要はなく、例えば、他の金属の表面に純鉄又は鉄合金をライニング等したものでもよい。
【0079】
上記合金は、所望により表面洗浄などの適当な前処理を行い、さらに、所望により、水分や付着物などを蒸散させるために、ベーキングを行う。このベーキングは、150〜450℃の範囲内で行うのが望ましい。なお、ベーキング時間は、1〜6時間程度が好ましい。
【0080】
そして、フッ化処理は、通常は、フッ素単体またはフッ化物ガスを用いて、このガスを鉄合金の表面に接触させて行う。この際に、反応を促進させるように、適当な触媒を用いることも可能である。フッ化処理の温度は、200〜600℃とするのが望ましく、300〜600℃がより好ましい。これは、200℃未満では、十分なフッ化処理がなされないおそれがあリ、また、600℃を超えると、均質なフッ化不働態膜が形成されないためである。また、フッ化処理時間は、1〜6時間とするのが望ましい。フッ化処理温度が高温になると、不働態膜中のフッ化鉄の主成分はFeF2からFeF3と変化するが、FeF2を主成分とするフッ化不働態膜が好ましい。
【0081】
なお、フッ化処理の際の温度が高い合金材ほど厚いフッ化不働態膜が形成される。また、同一のフッ化処理温度であっても、ベーキング温度が高いほど不働態膜は厚くなる傾向がある。
【0082】
フッ化処理の後、N2,Ar,Heガス等の不活性ガス雰囲気中で1〜24時間熱処理するのが好ましい。熱処理温度は200〜600℃が好ましく、300〜600℃がより好ましい。熱処理を行うことによって不働態膜は組織上緻密な状態となる。
【0083】
上記フッ化処理によるフッ化不働態膜は、鉄合金の少なくとも一部に形成されていればよく、倒えば、使用目的などによって、特定の表面部位や表面全部を被覆する。なお、上記不働態膜は、通常は20〜500nmが好ましい。不働態膜の厚さが厚い合金材ほど耐食性に優れているが500nmを超えると剥離が生ずる場合もあるため500nm以下が好ましい。100〜200nmがより好ましい。
【0084】
本発明においては、レーザーチャンバーのみならずF2ガスと接触する部分はフッ化膜を形成するのが好ましい。即ち、ブロワーの表面やガス供給配管内面等のステンレス表面にも同様のフッ化鉄を含むフッ化膜を形成するのが好ましい。
【0085】
また、熱交換器はAlやAl合金からなる場合は、フッ化アルミニウムを含むフッ化膜を形成するのが好ましい。Al、Al合金のフッ化処理及び熱処理条件は処理温度以外は上記ステンレスの場合と同様である。Al、Al合金のフッ化処理及び熱処理温度は200〜450℃が好ましく、300〜450℃がより好ましい。
【0086】
従来のエキシマレーザー装置を用いた場合には、第一に所定の定格出力を得るために上記したF2の補給は5×106パルスごとに行わざるを得ない。
【0087】
第2に、反応により生じたフッ化物により、レーザーが吸収される等の問題が生じ、安定したパワーが得られなくなるため、5×107〜1×108パルスごとにガス全体を交換しなければならない。
【0088】
第3に、レーザーチャンバーのウィンドウに反応により発生したフッ化物が付着するため、1×109パルスごとにウィンドウを交換する必要がある。
【0089】
上記3つの課題のうち第2、第3の課題については、装置内部がフッ素に腐食されてしまうことを確実に防止し、また、腐食による雰囲気の汚染を防止すべく、フッ化不働態膜を20nm〜30nmの膜厚に形成することである程度は防止できる。
【0090】
しかし、フッ化不働態膜を20nm〜30nmの膜厚に形成した技術の場合には、F2の補給頻度は従来よりは多少減少はするが必ずしも顕著な減少は認められない。しかも、レーザーチャンバーを109回以上の発振を繰り返す程長期間使用するには未だ不十分なものがある。
【0091】
(フッ化不働態膜としてのフッ化ニッケル膜)
本発明に用いられるエキシマレーザー発振装置は、そのチャンバーの内側がフッ化ニッケル薄膜で被覆されている。該薄膜の厚みは100〜200nmとする。
【0092】
単なるNiF2膜を50nm程度まで成膜することは比較的簡単であるが、それ以上の厚みを得ることは簡単ではない。そこで、100〜200nm厚を得るべく、リン(P)を含むNi膜をチャンバー内面にめっきした後フッ素雰囲気で熱処理してニッケルフッ化膜を形成することが望ましい。
【0093】
以下、本発明に用いられるNiF2膜の作製法例について述べる。
【0094】
フッ化不働態膜を形成する前の下地処理として、純金属、合金等の金属等からなる基材上に、ニッケルと、リン、ホウ素、タングステン等の他の金属あるいは半金属とのニッケル合金薄膜を形成し、ニッケル合金薄膜上にフッ化不働態膜を形成する。これによりニッケルとともに合金薄膜を形成しているリン、ホウ素、タングステン等の他の金属あるいは半金属の作用によりきわめて安定的なニッケル合金薄膜を形成することができるし、また、このニッケル合金薄膜に含有されている前記他の金属あるいは半金属の作用により膜厚の厚い安定的なフッ化不働態膜を形成することができる。
【0095】
さらに、フッ化不働態膜を形成する際には、ニッケル合金薄膜に含有されているニッケルがフッ素と反応するほか、合金めっき膜に含有されているリン、ホウ素、タングステン等の他の金属あるいは半金属もフッ素と反応するが、これらのリン、ホウ素、タングステン等の他の金属あるいは半金属とフッ素とは、揮発性の低沸点化合物(フッ化物)を形成することにより直ちに昇華して排出されるため、フッ化不働態膜の少なくとも表面には、リン、ホウ素、タングステン等の他の金属あるいは半金属が含まれていないことになり、これらの金属あるいは半金属の存在により半導体製造に悪影響を与えるおそれがない。
【0096】
また、ニッケルと他の金属あるいは半金属とのニッケル合金薄膜を、特に、無電解めっきにより形成すれば、極めて複雑な形状の装置や配管等にも均一な厚さのめっき膜を形成することができる。
【0097】
フッ化不働態膜を形成する基材としては、純アルミニウムまたはアルミニウム合金、純チタンまたはチタン合金、純鉄またはステンレスのような鉄合金、銅または銅合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金等種々のものが使用できる。ここにおいて、アルミニウム合金としては、例えば、2219、5052、5086、6061、6063、7N01等が用いられる。また、チタン合金としては、チタン含有量99.0%以上のもの(MIL T−9047B−1)、Ti−6Al−4V(MIL T−9046B−2)、Ti−5Al−2.5Sn(MIL T−9057B−2)等が用いられる。さらに、ステンレスとしては、JISG4303〜4312等が用いられる。とりわけアルミニウム、アルミニウム合金はエキシマレーザー発振装置のレーザーチャンバーに好適に用いられる。
【0098】
前述した基材には、最初に下地処理を行うことが好ましい。この下地処理は、基材が純アルミニウムまたはアルミニウム合金の場合、まず、前記基材の表面の酸化被膜を除去し均一な下地膜を形成するため、界面活性剤あるいはテトラクロルエチレン等の有機溶剤を使用して該基材の表面の脱脂後、酸またはアルカリ水溶液中において非エッチングまたは溶解量0.1g/dm2以下の弱エッチングの脱脂を行う。これは、溶解量が0.1g/dm2を越えるエッチングを行うと、比較的大きな晶出物の存在する箇所に有害なピットを生じやすく、後に形成されるニッケル−リン等のニッケル合金薄膜やフッ化不働態膜に有害なミクロ欠陥が生じやすいためである。
【0099】
つぎに、脱脂後の極めて活性な表面状態のアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材の表面に直接めっきを施すことは困難であるため、基材の表面をアルカリ亜鉛酸ソーダ水溶液中に浸漬してジンケート(亜鉛置換法)処理を行う。この場合に、一度ジンケート処理を行った後、室温の50%HNO3溶液に30秒浸漬して脱脂し、その後、再度ジンケート処理するダブルジンケート法を行うようにすれば、より緻密で密着性のよい被膜を得ることができる。
【0100】
前記基材がチタンまたはチタン合金である場合の下地処理は、チタンまたはチタン合金が、極めて化学的に安定な表面状態にあり、直接めっきを施すことが困難であるため、まず、基材の表面粗さを、ショットブラストのような機械的方法により荒らし、ついで、硝酸およびフッ酸の混液によりエッチングを行ったうえで、重クロム酸およびフッ酸の混液により表面を活性化すれば、より緻密でかつ密着性のよい被膜を得ることができる。
【0101】
また、前記基材がステンレスである場合の下地処理としては、まず、アルカリ脱脂を行い、ついで、表面を活性化するために塩酸によるエッチングを行い、さらに、密着性を向上するために、例えば、ワット浴でストライクニッケルめっきを行う。
【0102】
続いて、前記基材の上に、ニッケルとその他の金属あるいは半金属のニッケル合金薄膜を形成するのであるが、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材の表面に、無電解めっきによりニッケル合金薄膜の一例としてのニッケル−リンめっきを行う実施例を説明する。
【0103】
まず、前述した下地処理を行った基材の表面に、主要成分として金属塩たるNiSO4(硫酸ニッケル)、還元剤たるNaH2PO2(次亜リン酸ナトリウム)、補助成分たる有機酸(錯化剤)、安定剤等を含む水溶液中において無電解ニッケル−リンめっきを行う。この無電解めっきは、外部電源を使用せず還元剤を用いて金属イオンを析出することによりめっきを行うものであるため、特に、配管内面や複雑な形状をした容器内面、装置の内面等に均一な膜厚のニッケル−リンめっき膜を形成することができる。例えば、電気めっきの場合、補助陽極を用いた場合でも、電極の位置により、めっき金属が折出しやすい位置とコーナ部のような析出しにくい位置とでは、電流密度分布に著しい差を生じてしまい、めっき膜の膜厚が位置によって10倍以上異なってしまうことが多いが、前述した無電解めっきの場合、水溶液の攪拌や液循環を行うことにより、各位置における平均膜厚を±5%の範囲のばらつき程度に収めることができる。
【0104】
しかも、この無電解ニッケル−リンめっき膜は、リンを含んでいるためニッケルめっきとしてきわめて安定的なめっき(ニッケル−リンめっき)を形成することができる。
【0105】
(ガス供給装置)
なお、本実施例における下地の無電解ニッケル−リンめっき膜の実用上の膜厚は、ほぼ1μm以上、好ましくは2μm以上である。また、NaH2PO2を還元剤とする無電解ニッケル−リンめっきにおいては、めっき膜中に約1重量%以上のリンが共析する。このため、被膜硬度(ビッカース硬度:Hmv)は、めっき後Hmv500〜600と硬くなる。
【0106】
通常の電気ニッケルめっきの場合、めっき膜の硬さは、Hmv150〜250であり、耐摩耗性や機械的なダメージに対する耐久性においても、はるかに無電解めっきが優れている。
【0107】
ところで、基材の上に、ニッケル−リン薄膜を形成するためには、前述した無電解めっきに代えて、電解めっきを用いることも可能であるし、また、これらのウエットプロセスのほか、ドライプロセスによることも可能である。このドライプロセスとしては、スパッタ、イオンプレイティング法等の物理蒸着法(PVD)や、熱蒸着、プラズマ蒸着等の化学蒸着法(CVD)等がある。
【0108】
一方、ニッケルとその他の金属または半金属とのニッケル合金薄膜としては、前述したニッケル−リンのほか、ニッケル−ホウ素、ニッケル−タングステン−リン等種々のものが適用できる。
【0109】
また、本発明においては、単相のNi・W・Pからなる薄膜において、タングステンを5重量%以下、リンを9重量%以上とした膜をめっきした後にフッ化するとよい。より好ましくはWを0.5〜2wt%、Pを10〜13.5wt%とするとよい。
【0110】
前述した工程により、基材の下地処理が完了するが、この下地処理は、均質なフッ化不働態膜を形成するために必要である。
【0111】
また、本実施例においては、前述した下地処理を施した基材を、1%HF水溶液等の液中で約1分エッチングする。ついで、基材内部からのガス放出と表面の汚染物の除去のため、基材を、水洗、乾燥後、N2等の不活性ガス中においてベーキングし、その後、前記基材をフッ化処理し、基材の表面に金属フッ化物(NiF2)からなるフッ化不働態膜を形成し、さらに、再度、不活性ガス雰囲気中において熱処理を行う。前記フッ素化処理は、具体的には、100%F2あるいは水分0.1容量ppm以下のF2ガスを定圧あるいはゲージ圧において2気圧以下の圧力で作用することにより行われる。
【0112】
前記ベーキング温度は、200〜390℃、好ましくは、250〜350℃である。また、ベーキング時間は、1〜5時間である。続くフッ素化処理温度は、200〜390℃、好ましくは、250〜380℃である。また、フッ素化処理の時間は、1〜5時間である。さらに、熱処理温度は、250〜390℃、好ましくは、330〜380℃である。この熱処理は、N2,Ar,He等の不活性ガス中で1〜5時間行うことにより、金属等の基材上に、堅牢かつ緻密で、腐食性ガスに対し耐食性の良好なフッ化不働態膜を形成することができる。
【0113】
ところで、本実施態様例においては、無電解ニッケル−リンめっき膜の上にフッ化不働態膜を形成するので、無電解ニッケル−リンめっき膜に含まれているリンが作用することにより、形成されるフッ化不働態膜は、100nm以上となり、チャンバーの寿命を大幅に延ばせる。より好ましくは100nm以上200nm以下の膜厚に形成され、基材に対して容易に剥離しない状態で形成されることになる。
【0114】
本実施態様例においては、フッ化不働態膜を形成する前の下地処理として、脱脂洗浄およびジンケート処理後、無電解ニッケル−リンめっきを施すようにしたので、従来の電気めっき、真空蒸着等の手段により下地膜を形成するのに比べて、均一にめっき膜を形成することができ、その結果、前記フッ化不働態膜を均一に形成することができ、腐食性ガスに対する耐食性を著しく向上させることができる。ところで、本実施例におけるフッ化不働態膜の表面には、前述したようにリンの分布は認められないが、フッ化不働態膜の内部においては、リンは内部に到るにつれて次第に多く分布することになる。
【0115】
図12は、フッ化不働態膜の表面および内部におけるフッ素とリンの分布状態をX線光電子分析装置(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)により検出した結果を示すものであり、図12(A)はフッ素の分布状態を示し、図12(B)はリンの分布状態を示している。
【0116】
図12(A)、図12(B)の縦軸は、フッ化不働態膜の表面からのエッチング時間(分)を示し、また、各図の横軸は、各元素に固有の結合エネルギーを示している。これらの図によれば、エッチング時間が短いうちに極大値が現れれば、表面近傍にその元素が分布していることを示しており、かなりのエッチング時間が経過した後に極大値が現れれば、表面近傍にはその元素は分布せず、内部のみにその元素が分布していることを示している。
【0117】
図12(A)より明らかなように、フッ素(F)は、フッ化不働態膜の表面ならびにその近傍には分布しているが、その内部には分布していない。これに対し、図12(B)より明らかなように、リン(P)は、フッ化不働態膜の表面ならびにその近傍には分布していないが、内部に到るにつれて次第に多く分布することになる。
【0118】
図13は、実施例において基材上に形成したニッケル合金薄膜たるニッケル−リンの合金めっき膜に代えて、ニッケル−ホウ素の合金めっき膜を形成し、その後、フッ素化処理を行った場合のフッ化不働態膜の表面および内部におけるフッ素とホウ素の分布状態を、同じくX線光電子分析装置により検出した結果を示すものである。なお、この分析結果においては、ニッケルと酸素も同時に検出している。
【0119】
図13より明らかなように、フッ素(F)は、フッ化不働態膜の表面ならびにその近傍には多く分布しているが、内部に到るにつれて分布しなくなる。これに対し、ホウ素(B)は、フッ化不働態膜の表面ならびにその近傍には分布していないが、内部に到るにつれて次第に多く分布することになる。
【0120】
また、図14は、基材上に形成したニッケル−リンの合金めっき膜に代えて、ニッケル−タングステン−リンの合金めっき膜を形成し、その後、フッ素化処理を行った場合のフッ化不働態膜の表面および内部におけるフッ素、タングステンおよびリンの分布状態を、同じくX線光電子分析装置により検出した結果を示すものである。なお、この分析結果においても図13と同様、ニッケルと酸素も検出している。
【0121】
図14より明らかなように、フッ素(F)は、フッ化不働態膜の表面ならびにその近傍には多く分布しているが、内部に到るにつれて分布しなくなる。これに対し、タングステン(W)ならびにリン(P)は、フッ化不働態膜の表面ならびにその近傍には分布していないが、内部に到るにつれて次第に多く分布することになる。
【0122】
さらに、図15(A)は、基材上に、ニッケルとそのフッ化物が揮発性の化合物となる他の金属あるいは半金属を含むニッケル合金薄膜を形成せず、単に、純ニッケルの被膜を形成したうえで、表面に金属フッ化物(NiF2)を形成した場合の、その金属フッ化物の膜厚を示すものであり、この図15(A)によれば、表面からの深さに相当するスパッタ時間が長くなると、フッ素の含有量は約11%まで低下してしまい、この深さにおいては、ほとんどフッ素が分布していないことを表している。
【0123】
これに対し、図15(B)は、基材上に、ニッケルとそのフッ化物が揮発性の化合物となる他の金属あるいは半金属を含むニッケル合金薄膜であるリンを8%含有するニッケル−リンの合金被膜を形成したうえで、表面に金属フッ化物を形成した場合の、その金属フッ化物の膜厚を示すものであり、この図15(B)によれば、表面からの深さに相当するスパッタ時間が長くなっても、フッ素の含有量はまだ約29%であり、この深さにおいても、依然十分な量のフッ素が分布していることを表している。
【0124】
これらの図15(A)、図15(B)によれば、基材上に、ニッケルとそのフッ化物が揮発性の化合物となる他の金属あるいは半金属を含むニッケル合金薄膜を形成することにより、金属フッ化物の膜厚を厚くすることができる。
【0125】
前述した腐食性ガスに対する耐食性については、本発明者が行った実験結果がある。本実験は、前記下地処理後フッ化不働態膜を形成した工業材料の一例として、基材にアルミニウムまたはアルミニウム合金を使用したものを、5容量%HF+1容量%H2O+94容量%N2からなるガス雰囲気中において72時間放置した後、あるいはゲージ圧2kg/cm2のCl2ガス雰囲気中において7日間放置した後に、その基材の表面を電子顕微鏡で観察したものであり、この実験結果によれば、いずれの場合も基材の腐食は観察されず、腐食性ガスに対する耐食性が著しく高いことがわかった。
【0126】
また、1容量%H2O+99容量%Cl2の100℃のウエットガス雰囲気中において30日間放置した後にも基材の腐食は観察されず、腐食性ガスに対する耐食性が著しく高いことがわかった。
【0127】
なお、前述した実験結果ならびにその他の実験結果を表にして表すと下記のようになる。
【0128】
【表1】
Figure 0003809879
(注)顕微鏡および目視により変化の有無を評価
【0129】
したがって、前述したようにフッ化不働態膜を形成した金属材料(基材:アルミニウムまたはアルミニウム合金)を、エキシマレーザー装置に適用することにより、各種装置の腐食を確実に防止することができ、この腐食による雰囲気の汚染を防止し、各装置の加工精度の向上ならびに信頼性の向上等をはかることができる。
【0130】
なお、フィルターに上述したフッ化ニッケル膜を形成しておくこともより好ましい。
参考までにフッ素化合物については、特開平3−215656号公報等に記載されている。
【0131】
本発明のエキシマレーザー発振装置のレーザーチャンバーにガスを供給するガス供給装置において、少なくともF2ガスが接触する部分をフッ化不働態処理するのが好ましい。これは、フッ化処理してフッ化膜を形成することにより、水分等が吸着し難くなり、また、たとえ水分が吸着しても短時間のパージで容易に脱離することができる。また、放出ガスが少なく高清浄な雰囲気を維持することができる。従って、導入されるF2 ガスが消費されることがなく、所望のF2ガス濃度の放電ガスをレーザーチャンバーに充填することが可能となる。この結果、再現性の高いレーザー出力を得ることが可能となると共に、レーザー装置の立ち上げも短縮される。
【0132】
なお、ガス供給装置の内部は、即ち、バルブ、マニホールド等を含め、F2ガスと接触する部分以外も、上記理由でフッ化不働態化処理するのが好ましい。
【0133】
フッ化不働態化処理は、上記したレーザーチャンバーのフッ化不働態化処理と同様に行えばよく、例えば配管の場合は配管を加熱した状態で内部にF2ガスを流すことによってフッ化膜を形成することができる。
【0134】
本発明のエキシマレーザー発振装置のレーザーチャンバーにガスを供給するガス供給装置の一例を図16に示す。
【0135】
図16に示すガス供給装置の特徴は、マニホールド40とチャンバー53との連結配管41に流量計401が設けられている点にある。なお、図3と同じ符号で示した部分は図3と同じ構成である。流量計401としては、ガス流量を所定の値に制御できるマスフローコントローラーが好適に用いられる。
【0136】
図16のガス供給装置を用いて、レーザーガスをレーザーチャンバー充填する方法を以下に述べる。まず、マスフローコントローラーを所定の流量に設定し、1%F2/1%Kr/Neガスを所定時間流して、チャンバー内に導入する。次に、同様にして、マスフローコントローラーを所定の流量に設定し、1%Kr/Neガスを所定の時間流してレーザーチャンバー内に導入する。設定した流量と時間の積により、レーザーチャンバーに導入したガス量が得られる。
【0137】
以上の方法により、1%F2/1%Kr/Neガスと1%Kr/Neガスとを 正確な混合比でレーザーチャンバーに充填することが可能となる。
【0138】
本発明のエキシマレーザー発振装置のレーザーチャンバーにガスを供給するガス供給装置の他の例を図17に示す。
【0139】
図3のガス供給装置は、例えば、ガス供給装置を交換する場合は、図のA−A’線部の継手(不図示)をはずして交換するが、交換の際大気がガス供給配管の内部に混入するため、供給配管内に水分等の不純物が吸着してしまう。この水分等の不純物は導入されるF2ガスと反応するため、F2ガスは消費され、予定したF2ガスをチャンバー内に導入することができず、レーザー出力の再現性が低下することになる。この不純物は微量であっても影響するため、一旦不純物が吸着すると長時間脱ガス処理をする必要があった。
【0140】
一方、図17に示す本発明のガス供給装置においては、各ガス供給配管に不活性ガスのパージ機構が設けられている。図17の例では、パージ機構として、2つの弁から構成される3方弁501、502、503が設けられ、それぞれ一方向が不活性ガス源に接続されている。
【0141】
ガス源を交換するときは、バルブ501b、502b、503bを閉とし、バルブ501a、502a、503aを開とし、バルブ504aを開として高純度N2ガスをガス供給配管内に導入する。次に、A−A’線部の継手(不図示)をはずして、新たなガス源を接続するが、この間、ガス供給配管からは常にN2ガスが外部に噴出されているため、大気がガス供給配管内部に混入することはない。接続後、バルブ501a、502a、503aを閉とし、504aを閉じ、バルブ501b、502b、503bを開とし、マニホールド40を介して排気ポンプ51で配管内を真空排気する。
【0142】
後は、上述した方法により、1%F2/1%Kr/Neガスと1%Kr/Neガスとを所望の混合比でレーザーチャンバーに充填すればよい。
【0143】
なお、図17には示していないが、ガス源側にも同様のパージ機構を設けて、接続時、取り外し時に不活性ガスを噴出させ、大気の混入を防止するのが好ましい。
【0144】
以上の構成とすることにより、ガス交換直後においても安定したレーザー出力を得ることが可能となる。
【0145】
パージ用の不活性ガスとしては、N2ガス、Ar、He等のガスが用いられ、不活性ガス中の不純物は10ppb以下とするのが好ましい。
【0146】
【実施例】
(実施例1)
本例においては、図4に示す構造のレーザーチャンバーの内面にフッ化不働態膜としてのアルミナ膜を形成した。以下にその手順を示す。
【0147】
基材として次のような組成のアルミニウム合金を用いた(%は重量%)。
Mg:3.5%
Zr:0.1%
他の不可避的不純物:90ppm
Al:残部
この基材を研磨し、表面粗さRa=0.01μmとした。
【0148】
研磨後、70%HNO3+H2O溶液に30分浸漬を行い、付着物をすべて除去した。
【0149】
付着物の除去後、アルマイト処理によってアルミナ膜を50μm成長させた。次に、酸化性雰囲気中において200℃に封孔処理を行った。アルミナ膜の表面を10μm研磨し、アルミナ膜厚を40μmとし、表面粗さをRa=5nmとした。
以上によりハウジング部材13,14を作成した。
【0150】
ついで、熱交換器24、ブロアー23、電極18、19等を内蔵せしめて図4に示すレーザーチャンバー1を作成した。なお、本例では、熱交換器24には電解研磨したJIS5052材を用い、ブロワー23には電解研磨したSUS316L材を用いた。
【0151】
このレーザーチャンバー1を図1に示したものと同様のシステムに組み込み、図3の供給システムによりレーザーチャンバー1内にF2,Kr,Neガスを封入した。
【0152】
かかるエキシマレーザー発振装置につき以下の項目について試験を行った。
【0153】
(注入頻度)
図1の光学モニターモジュール4によりパルスごとの出力を測定し、所定の定格出力が失われ、フッ素ガスの注入が必要になるまでのパルスの回数により評価した。
本実施例では、8×106パルスであった。
【0154】
(放電の安定性)
図1の光学モニターモジュール4によりパルスごとのエネルギーのバラツキと、レーザー形状の変化を観察し、エネルギー、レーザー形状のバラツキが5%以上になるまでのパルスの回数により評価した。
本例では、5×108パルスであった。
【0155】
(装置の寿命)
レーザーチャンバーの交換が必要なまでのパルス回数により評価した。
本例では5×109パルスであった。
【0156】
(実施例2)
本実施例では、レーザーチャンバー内に収納されるブロワー23にも実施例1と同じアルミニウム合金を用い、その表面に実施例1と同じアルミナ膜を施した。
他の点は実施例1と同様とした。
【0157】
アルミナ膜の形成は、実施例1におけると同様の条件で行い、膜厚は50μmとした。
【0158】
エキシマレーザー発振装置の評価を実施例1と同様に行ったところ次のような結果が得られた。
注入頻度:1.6×107
放電安定性:5×108
寿命:5×109
【0159】
(実施例3)
本実施例では、熱交換器には実施例1と同じアルミニウム合金表面にアルミナからなるフッ化不働態膜が形成された材料を用いた。
【0160】
他の点は実施例1と同様とした。なお、ブロワーはSUS316Lの電解研磨材とした。
【0161】
アルミナ膜の形成は、実施例1におけると同様の条件で行い、膜厚は100nmとした。
【0162】
エキシマレーザー発振装置の評価を実施例1と同様に行ったところ次のような結果が得られた。
注入頻度:2.4×107
放電安定性:6×108
寿命:5×109
【0163】
(実施例4)
本実施例では、チャンバー内面、ブロワー表面、熱交換器表面の全てについてアルミナ膜を形成した。
【0164】
エキシマレーザー発振装置の評価を実施例1と同様に行ったところ次のような結果が得られた。
注入頻度:4×107
放電安定性:6×108
寿命:5×109
【0165】
主要部品の全てにアルミナからなる膜を形成した本実施例は、実施例1〜実施例4の場合に比べて、注入頻度、放電安定性、寿命の全てにおいて著しい特性の向上が認められる。
【0166】
(実施例5)
本実施例では、1.ブロワー内面のみにアルミナ膜を形成した場合(チャンバー内面および2.熱交換器表面は電解研磨面)および2.熱交換器表面のみにアルミナ膜を形成した場合(チャンバー内面およびブロワー表面は電解研磨面)についても評価を行った。注入頻度は、1.では6.4×106、2、では7×106を示した。
【0167】
(実施例6)
本実施例では、実施例1と同様に、研磨後の基材表面から付着物を除去し、不純物が表面に存在しないアルミニウム合金上にアルマイト処理を行った。このアルマイト処理によりアルミナ膜を50μm成長させた。
【0168】
次いで、10μm研磨を行い表面粗さをRa=5nmとした。
【0169】
10μm研磨後、基材を電気炉(601)にセットし、N2を602より1LSM供給した。電気炉の温度を2℃/分で昇温し、200℃とした。200℃において2時間保持し、基材表面に付着している水分等をN2雰囲気中で除去した。次に、2℃/分で100℃まで降温し、100℃で保持した後、ガスラインを切り替え、5%N2/O2トータル1LSMをオゾン発生器を介して電気炉に供給した。オゾン発生器の出力を調整し、電気炉中のオゾン濃度を10g/cm3とし、2時間の熱処理を行った。
【0170】
本例では、以上のようにしてオゾン処理を行った基材を作成した。
【0171】
実施例1と同様に、この素材を用いてチャンバーを組立、その特性を評価した。
【0172】
本例では、注入頻度9×106、放電安定性6.5×108、寿命5.5×109であった。
【0173】
(実施例7)
図17に示す構成のレーザーガス供給装置を用いて、実施例4と同じレーザーチャンバーに放電ガスを充填した。
【0174】
まず、マスフローコントローラー401を所定の流量に設定し、1%F2/1%Kr/Neガスを所定時間流して、チャンバー51内に導入した。次に、同様にして、マスフローコントローラー401を所定流量に設定し、1%Kr/Neガスを所定時間流してレーザーチャンバー51内に導入する。ガス導入量比(流量×時間)は1:9とした。
【0175】
以上の方法により、1%F2/1%Kr/Neガスと1%Kr/Neガスとの混合比の精度は、従来の方法に比べ向上し、レーザー出力の再現性が向上した。
【0176】
図17に示す構成の本実施例のレーザーガス供給装置とガス源の着脱について述べる。
【0177】
ガス源又は装置を交換するときは、バルブ501b、502b、503bを閉とし、バルブ501a、502a、503aを開とし、バルブ504aを開として高純度N2ガスをガス供給配管内に導入した。次に、A−A’線部の継手(不図示)をはずした。この間、ガス供給配管からは常にN2ガスが外部に噴出するようにした。接続後、バルブ501a、502a、503aを閉とし、504aを閉じ、バルブ501b、502b、503bを開とし、マニホールド40を介して排気ポンプで配管内を真空排気した。なお、本実施例では、図17のガス源側にも同様のパージ機構を設けて、接続時、取り外し時に不活性ガスを噴出させた。
【0178】
それぞれ真空排気した後、高純度N2ガスを所定時間流し、再度真空排気した 後、レーザーガスをレーザーチャンバーに導入し、レーザーを発信させて、発振の安定性、出力を調べた。
【0179】
図17の例の場合、パージをする必要はなく、N2ガスを排気した後すぐにレーザーガスを導入し、レーザー発信させても、定格出力が得られ、また、パルスごとの出力安定性も定格値が得られた。
【0180】
本実施例によれば、レーザーチャンバーに導入するガス濃度の高精度化を図ることができ、レーザーパルス出力の再現性を向上させると共に、ガス源又は装置の交換直後であっても安定したレーザー発振をすることが可能となる。
【0181】
又、レーザーチャンバーの交換寿命の長期化、放電安定性の向上を図ることができたのみならず、注入頻度を大幅に低減させることができた。
【0182】
参考
本例においては、図4と同様の構造のレーザーチャンバーの内面にフッ化アルミニウムとフッ化マグネシウムを含むフッ化不働態膜を形成した。以下にその手順を示す。
【0183】
まず、図18にフッ化処理の概略を示す。61は、ベーキングおよびフッ化処理を行う密閉構造の処理室であり、処理室61には加熱手段62が備えられている。また、63は、処理室61内の温度を測定して表示する温度調定部である。
【0184】
処理室61には、高純度のフッ素ガスおよび窒素ガスを供給する供給部64、65がそれぞれバルブ64a、65aを通して接続されている。
【0185】
また、処理室61には、それぞれバルブ66a、67aを介して真空ポンプ66および排出部67が接続されており、この接続経路には、それぞれバルブ68a、69aを介して、圧力計68および露点計69が設けられている。
【0186】
参考例では、Al−3.5重量%Mg−0.12重量%Zrを用いた。Mn,Si,Fe,Cu,Cr,Znはそれぞれ0.05重量%以下とした。
【0187】
処理室61内に、基材70を設置した。基材70は、電解研磨により表面の平滑化を行った。また、酸洗いによって表面を洗浄にした。
【0188】
図18に示す上記装置を用いてフッ化処理を行った。
【0189】
基材70を処理室61内に設置した状態で、真空ポンプ66により処理室61内を排気し、その後、真空ポンプ66および排出部67のバルブを閉じ、バルブを開けて高純度窒素ガスを処理室61内に導入した。
【0190】
一方、処理室61内は、300℃に加熱しておき、2時間のベーキングを行った。
【0191】
ベーキングによって、アルミニウム合金70に付着した水分等は蒸散し、真空ポンプ66で処理室61内から排出された。なお、排気の露点を露点計68で測定して、ベーキングの進行状況を把握した。
【0192】
ベーキング後には、バルブ65aを閉じ、真空ポンプ66で処理室61内を排気し、その後、真室ポンプ66および排出部67のバルブを閉じ、バルブ64aを開けて処理室61内に高純度フッ素ガスを送出した。なお、処理室61内を、300℃に加熱し、1時間のフッ化処理を行った。フッ素ガスとしては不純物が10ppb以下のフッ素ガスを用いた。
【0193】
フッ化処理後には、再度、処理室61内を排気して、窒素ガスを供給し、450℃にて2時間加熱して熱処理を行った。
【0194】
得られたアルミニウム合金材の表面には、100nm厚さのフッ化アルミニウムとフッ化マグネシウムを含むフッ化不働態膜が形成された。
【0195】
上記フッ化不働態膜をESCAスペクトルで分析した結果、不働態膜の中で、フッ化マグネシウム成分が大部分を占め、その他をフッ化アルミニウムなどが占めていた。
【0196】
以上によりハウジング部材13、14を作成した。
【0197】
ついで、熱交換器24、ブロアー23、電極18、19等を内蔵せしめて図2に示すレーザーチャンバー1を作成した。なお、本例では、熱交換器24には電解研磨したJIS5052材を用い、ブロワー23には電解研磨したSUS316L材を用いた。
【0198】
このレーザーチャンバー1を図1のものと同じのシステムに組み込み、図17の供給システムによりレーザーチャンバー1内にF2,Kr,Neガスを封入した。
【0199】
かかるエキシマレーザー発振装置につき以下の項目について試験を行った。
【0200】
(注入頻度)
光学モニターモジュール4によりパルスごとの出力を測定し、所定の定格出力が失われ、フッ素ガスの注入が必要になるまでのパルスの回数により評価した。 本参考例では、1×107パルスであった。
【0201】
(放電の安定性)
光学モニターモジュール4によりパルスごとのエネルギーのバラツキと、レーザー形状の変化を観察し、エネルギー、レーザー形状のバラツキが5%以上になるまでのパルスの回数により評価した。
本例では、5×108パルスであった。
【0202】
(装置の寿命)
レーザーチャンバーの交換が必要なまでのパルス回数により評価した。
本例では6×109パルスであった。
【0203】
次に、チャンバー内のガスに0.5ppmの水分を混入させ、パルスを出した。従来の装置に比べ本参考例装置は10倍以上の寿命を示した。
【0204】
参考
参考では、レーザーチャンバー内に収納されるブロワー23にも参考と同じアルミニウム合金を用い、参考と同じフッ化不働態処理を施した。
他の点は参考と同様とした。
【0205】
フッ化不働態膜としてのフッ化アルミニウムとフッ化マグネシウムを含む、膜の形成は、参考におけると同様の条件で行い、膜厚は100nmとした。
【0206】
エキシマレーザー発振装置の評価を参考と同様に行ったところ次のような結果が得られた。
注入頻度:2×107
放電安定性:5×108
寿命:6×109
【0207】
参考
参考例では、熱交換器を参考と同じアルミニウム合金にフッ化アルミニウムとフッ化マグネシウムを含むフッ化不働態膜が形成された材料を用いた。
【0208】
他の点は参考と同様とした。なお、ブロワーはSUS316Lの電解研磨材とした。
【0209】
フッ化不働態膜の形成は、参考におけると同様の条件で行い、膜厚は100nmとした。
【0210】
エキシマレーザー発振装置の評価を参考と同様に行ったところ次のような結果が得られた。
注入頻度:3×107
放電安定性:6×108
寿命:5×109
【0211】
参考
参考例では、チャンバー内面、ブロワー表面、熱交換器表面の全てについてフッ化アルミニウムとフッ化マグネシウムを含むフッ化不働態膜を形成した。
【0212】
エキシマレーザー発振装置の評価を参考と同様に行ったところ次のような結果が得られた。
注入頻度:6×107
放電安定性:7×108
寿命:7×109
【0213】
主要部品の全てにフッ化アウミニウムとフッ化マグネシウムを含むフッ化不働態膜を形成した本参考例は、参考参考の場合に比べて、注入頻度、放電安定性、寿命の全てにおいて著しい特性の向上が認められる。
【0214】
参考
参考例では、1、ブロワー内面のみにフッ化膜を形成した場合(チャンバー内面および熱交換器表面は電解研磨面)および2、熱交換器表面のみにフッ化膜を形成した場合(チャンバー内面およびブロワー表面は電解研磨面)についても評価を行った。注入頻度は、1では8×106、2では9×106であり、ブロワー、熱交換器の影響もあることもわかる。
【0215】
参考
本例では、基材の組成について調べた。以下の表2に示す。
【0216】
【表2】
Figure 0003809879
注入頻度、放電安定性、寿命についての評価
△:従来より良好だが実施例8より劣る
○:従来より良好だが参考より少し劣る
◎:従来より良好であり、参考と同等かそれ以上
【0217】
参考
図17に示す構成のレーザーガス供給装置を用いて、レーザーチャンバーに放電ガスを充填した。
【0218】
まず、マスフローコントローラー401を所定の流量に設定し、1%F2/1%Kr/Neガスを所定時間流して、チャンバー53内に導入した。次に、同様にして、マスフローコントローラー401を所定流量に設定し、1%Kr/Neガスを所定時間流してレーザーチャンバー53内に導入する。ガス導入量比(流量×時間)は1:9とした。
【0219】
以上の方法により、1%F2/1%Kr/Neガスと1%Kr/Neガスとの 混合比の精度は、従来の方法に比べ向上し、レーザー出力の再現性が向上した。
【0220】
図17に示す構成の本実施例のエキシマレーザー装置とガス源の着脱について述べる。
【0221】
ガス源又は装置を交換するときは、バルブ501b、502b、503bを閉とし、バルブ501a、502a、503aを開とし、バルブ504aを開として高純度N2ガスをガス供給配管内に導入した。次に、A−A’線部の継手(不図示)をはずした。この間、ガス供給配管からは常にN2ガスが外部に噴出するようにした。接続後、バルブ501a、502a、503aを閉とし、504aを閉じ、バルブ501b、502b、503bを開とし、マニホールド40を介して排気ポンプで配管内を真空排気した。なお、本参考例では、図17のガス源側にも同様のパージ機構を設けて、接続時、取り外し時に不活性ガスを噴出させた。
【0222】
それぞれ真空排気した後、高純度N2ガスを所定時間流し、再度真空排気した後、レーザーガスをレーザーチャンバーに導入し、レーザーを発信させて、発振の安定性、出力を調べた。
【0223】
図17の例の場合、パージをする必要はなく、N2ガスを排気した後すぐにレー ザーガスを導入し、レーザー発信させても、定格出力が得られ、また、パルスごとの出力安定性も定格値が得られた。
【0224】
参考例によれば、レーザーチャンバーに導入するガス濃度の高精度化を図ることができ、レーザーパルス出力の再現性を向上させると共に、ガス源又は装置の交換直後であっても安定したレーザー発振をすることが可能となる。
【0225】
以上説明した参考1〜7によれば、レーザーチャンバーの交換寿命の長期化、放電安定性の向上を図ることができるのみならず、注入頻度を大幅に低減させることができた。また、耐水素プラズマ性にも優れているためガス中に不純物として水分が混入したとしてもそれによる腐食を生じなかった。
【0226】
0.25ミクロン以下の微細パターンの露光が繰り返し長期間安定して行える露光装置を提供することができる。
【0227】
参考
参考例においては、図4に示すものと同じ構造のレーザーチャンバーの内面にフッ化鉄からなるフッ化不働態膜を形成した。以下にその手順を示す。
【0228】
まず、フッ化鉄膜形成用の処理装置は図18に示した装置と同じものを用いることが出来る。61は、ベーキングおよびフッ化処理を行う密閉構造の処理室であり、処理室61には加熱手段62が備えられている。また、63は処理室61内の温度を測定して表示する温度調定部である。
【0229】
処理室61には、高純度のフッ素ガスおよび窒素ガスを供給する供給部64、65がそれぞれバルブ64a、65aを通して接続されている。
【0230】
また、処理室61には、それぞれバルブを介して真空ポンプ66および排出部67が接続されており、この接続経路には、それぞれバルブを介して、圧力計68および露点計69が設けられている。
【0231】
参考例では、レーザーチャンバーの基材にSUS316Lを用いた。処理室61内に、基材70を設置した。
【0232】
基材70は、電解研磨により表面の平滑化を行った。また、酸洗いによって表面を洗浄にした。
【0233】
そして、基材70を処理室61内に設置した状態で、真空ポンプ66により処理室61内を排気し、その後、真空ポンプ66および排出部67のバルブを閉じ、バルブ65aを開けて高純度窒素ガスを処理室61内に導入した。
【0234】
一方、処理室61内は、300℃に加熱しておき、2時間のベーキングを行った。
【0235】
ベーキングによって、基材70に付着した水分等は蒸散し、真空ポンプ66で処理室61内から排出された。なお、排気の露点を露点計68で測定して、ベーキングの進行状況を把握した。
【0236】
ベーキング後には、バルブ65aを閉じ、真空ポンプ66で処理室61内を排気し、その後、真室ポンプ66および排出部67のバルブを閉じ、バルブ64aを開けて処理室1内に高純度フッ素ガスを送出した。なお、処理室61内を、300℃に加熱し、1時間のフッ化処理を行った。
【0237】
フッ化処理後には、再度、処理室61内を排気して、窒素ガスを供給し、450℃にて1時間加熱して熱処理を行った。
【0238】
得られたSUS316L材の表面には、210nm厚さのフッ化鉄からなるフッ化不働態膜が形成された。
【0239】
上記フッ化不働態膜をESCAスペクトルで分析した結果、不働態膜はFeF2とCrF2占められていた。
以上によりハウジング部材13、14を作成した。
【0240】
ついで、熱交換器24、ブロアー23、電極18、19等を内蔵せしめて図4に示すものと同じレーザーチャンバー1を作製した。なお、本例では、熱交換器24には電解研磨したJIS5052材を用い、ブロワー23には電解研磨したSUS316L材を用いた。
【0241】
このレーザーチャンバー1を図1のシステムに組み込み、図3の供給システムによりレーザーチャンバー1内にF2,Kr,Neガスを封入した。
【0242】
かかるエキシマレーザー発振装置につき以下の項目について試験を行った。
【0243】
(注入頻度)
光学モニターモジュール4によりパルスごとの出力を測定し、所定の定格出力が失われ、フッ素ガスの注入が必要になるまでのパルスの回数により評価した。 本参考例では、7.5×106パルスであった。
【0244】
(放電の安定性)
光学モニターモジュール4によりパルスごとのエネルギーのバラツキと、レーザー形状の変化を観察し、エネルギー、レーザー形状のバラツキが5%以上になるまでのパルスの回数により評価した。
本例では、2×108パルスであった。
【0245】
(装置の寿命)
レーザーチャンバーの交換が必要なまでのパルス回数により評価した。
本例では3.5×109パルスであった。
【0246】
参考
参考では、レーザーチャンバー内に収納されるブロワー23にも実施例15と同様にフッ化処理を行いフッ化鉄膜を形成した。
【0247】
エキシマレーザー発振装置の評価を参考と同様に行ったところ次のような結果が得られた。
注入頻度:9.5×106
放電安定性:2.5×108
寿命:3.8×109
【0248】
参考10
参考例では、熱交換器についてもフッ化処理を行いフッ化鉄膜を形成した。処理条件は、フッ化処理後の熱処理温度を300℃とした以外は参考と同じである。なお、ブロワーはSUS316Lの電解研磨材とした。
【0249】
エキシマレーザー発振装置の評価を参考と同様に行ったところ次のような結果が得られた。
注入頻度:1.4×107
放電安定性:3.6×108
寿命:4.2×109
熱交換器もブロワーと同様の影響を与えることがわかる。
【0250】
参考11
参考例では、チャンバー内面、ブロワー表面、熱交換器表面の全てについてフッ化鉄膜を形成した。
【0251】
エキシマレーザー発振装置の評価を参考と同様に行ったところ次のような結果が得られた。
注入頻度:1.8×107
放電安定性:4.2×108
寿命:4.5×109
【0252】
主要部品の全てにフッ化鉄のフッ化不働態膜を形成した本参考例は、参考参考10の場合に比べて、注入頻度、放電安定性、寿命の全てについて著しい特性の向上が認められる。
【0253】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することができる。
【0254】
参考12
図16に示す構成のレーザーガス供給装置を用いて、レーザーチャンバーに放電ガスを充填した。
【0255】
まず、マスフローコントローラー401を所定の流量に設定し、1%F2/1%Kr/Neガスを所定時間流して、チャンバー内に導入した。次に、同様にして、マスフローコントローラーを所定流量に設定し、1%Kr/Neガスを所定時間流してレーザーチャンバー内に導入する。ガス導入量比(流量x時間)は1:9とした。
【0256】
以上の方法により、1%F2/1%Kr/Neガスと1%Kr/Neガスとの混合比の精度は、従来の方法に比べ10倍程度向上し、レーザー出力の再現性が向上した。
【0257】
参考13
図17に示す構成の本参考例のレーザーガス供給装置と図16に示すレーザーガス供給装置とについて、ガス源を交換した後、ガス供給装置内部を高純度窒素ガス(不純物濃度10ppb)で所定時間パージし、レーザーガスをレーザーチャンバーに導入してレーザーを発振させて、レーザー定格出力及び安定性が得られるまでのパージ時間を比較した。なお、レーザーチャンバーは参考と同じのものを用いた。
【0258】
図16の装置については、内部を全て電界研磨後フッ化処理しフッ化鉄膜を形成したガス供給装置と電界研磨処理だけしたガス供給装置を用いた場合についても比較した。
【0259】
図17の例では、ガス源を交換するときは、バルブ501b、502b、503bを閉とし、バルブ501a、502a、503aを開とし、バルブ504aを開として高純度N2ガスをガス供給配管内に導入した。次に、A−A’線部の継手(不図示)をはずして、新たなガス源を接続した。この間、ガス供給配管からは常にN2ガスが外部に噴出するようにした。接続後、バルブ501a、502a、503aを閉とし、504aを閉じ、バルブ501b、502b、503bを開とし、マニホールドC04を介して排気ポンプで配管内を真空排気した。なお、本参考例では、図17のガス源側にも同様のパージ機構を設けて、接続時、取り外し時に不活性ガスを噴出させた。
【0260】
一方、図16に示す構成では、ガス供給配管のバルブを閉じ、ガス源の交換を行い、配管等の内部を真空排気した。
【0261】
それぞれ真空排気した後、高純度N2ガスを所定時間流し、再度真空排気した後、レーザーガスをレーザーチャンバーに導入し、レーザーを発信させて、発振の安定性、出力を調べた。
【0262】
図17の例の場合、パージをする必要はなく、N2ガスを排気した後すぐにレーザーガスを導入し、レーザー発信させても、定格出力が得られ、また、パルスごとの出力安定性も定格値が得られた。
【0263】
一方、図16の構成では、内面をフッ化処理した供給装置を用いた場合で、30分、電界研磨のみの供給装置では3時間のパージが必要であることが分かった。
【0264】
以上説明した参考8〜13によれば、レーザーパルスのエネルギー、形状が安定したレーザー発振が得られるとともに、F2ガスの注入頻度を大幅に低減し、レーザーガスおよびチャンバーの交換寿命の長期化、放電安定性の向上を図ることができる。
【0265】
また、レーザーチャンバーに導入するガス濃度の高精度化を図ることができ、レーザーパルス出力の再現性を向上させると共に、ガス源の交換直後であっても安定したレーザー発振をすることが可能となる。
【0266】
さらに、超微細、高精度、安定したレジスト露光が可能な露光装置を提供することができる。
【0267】
参考14
本例においては、図4に示す構造と同じ構造のレーザーチャンバーの内面にニッケルフッ化膜を形成した。以下にその手順を示す。
【0268】
基材の材料にはJIS6063アルミニウム材を用いた。これを図4のハウジング13、14の形状に加工した。なお肉厚を15mmとした。
【0269】
次に、メッキの下地処理を行った。まず、基材の表面の酸化被膜を除去し均一な下地膜を形成するため、界面活性剤を使用して基材の表面を脱脂した。次に、酸溶液中において溶解量0.1g/dm2以下の弱エッチングを施し脱脂、酸化被膜の除去を行った。
【0270】
つぎに、脱脂後の極めて活性な表面状態基材の表面をアルカリ亜鉛酸ソーダ水溶液中に浸漬してジンケート(亜鉛置換法)処理を行った。この場合に、一度ジンケート処理を行った後、室温の50%HNO3溶液に30秒浸漬して脱脂し、その後、再度ジンケート処理するダブルジンケート法を行った。
【0271】
つぎに、前述した下地処理を行った基材の表面に、主要成分として金属塩たるNiSO4(硫酸ニッケル)、還元剤たるNaH2PO2(次亜リン酸ナトリウム)、補助成分たる有機酸(錯化剤)、安定剤等を含む水溶液中において無電解ニッケル−リンめっきを行った。
【0272】
参考例における下地の無電解ニッケル−リンめっき膜の膜厚は、ほぼ1μmとした。めっき膜におけるPは12重量%とした。
【0273】
また、本参考例においては、前述しためっき処理を施した基材を、1%HF水溶液等の液中で約1分エッチングした。ついで、基材内部からのガス放出と表面の汚染物の除去のため、基材を、水洗、乾燥後、N2ガス中においてベーキングした。その後、前記基材をフッ化処理し、基材の表面に金属フッ化物(NiF2)からなるフッ化不働態膜を形成し、さらに、再度、不活性ガス雰囲気中において熱処理を行った。前記フッ素化処理は、100%F2(水分10ppb以下)のガスを定圧で作用することにより行った。
【0274】
前記ベーキング温度は、350℃、ベーキング時間は5時間とした。続くフッ素化処理温度は、350℃、フッ素化処理の時間は5時間とした。さらに、熱処理温度も350℃、N2の不活性ガス中で5時間行った。
以上によりハウジング部材13、14を作成した。
【0275】
ついで、熱交換器24、ブロアー23、電極18、19等を内蔵せしめてレーザーチャンバー1を作成した。
【0276】
なお、本例では、熱交換器には電解研磨したJIS5052材を用い、ブロワーには電解研磨したSUS316L材を用いた。これらをフッ素ガス雰囲気中に放置した後チャンバーに取り付けた。
【0277】
このレーザーチャンバー1を図1のシステムに組み込み、図3の供給システムによりレーザーチャンバー1内にF2,Kr,Neガスを封入した。
【0278】
かかるエキシマレーザー発振装置につき以下の項目について試験を行った。
【0279】
(注入頻度)
光学モニターモジュール4によりパルスごとの出力を測定し、所定の定格出力が失われ、フッ素ガスの注入が必要になるまでのパルスの回数により評価した。 本参考例では、8×106パルスであった。
【0280】
(放電の安定性)
光学モニターモジュール4によりパルスごとのエネルギーのバラツキと、レーザー形状の変化を観察し、エネルギー、レーザー形状のバラツキが5%以上になるまでのパルスの回数により評価した。
本例では、2×108パルスであった。
【0281】
(装置の寿命)
フッ素ガスの注入だけでは所定の定格出力に回復できずレーザーチャンバーの交換が必要なまでのパルス回数により評価した。
本例では6×109パルスであった。
【0282】
参考15
本例では、フッ化膜の膜厚について調べた。
【0283】
ニッケル−リンのメッキ厚、フッ化処理温度・時間、フッ化処理後のアニールの温度・時間を適宜変化させることにより、0nm(電解研磨のみ)、30nm,90nm,100nm,200nm,220nmの各種膜厚のフッ化不働態膜を形成した。
【0284】
他の点は参考14と同様として、エキシマレーザー発振装置を作成した。
【0285】
参考14と同様に、注入頻度、放電安定性、寿命を評価した。評価結果を表3に示す。
【0286】
【表3】
Figure 0003809879
【0287】
表3に示すように、ニッケルフッ化不働態膜が100nm以上の場合には放 電安定性の向上、長寿命化に効果を発揮するのみならず注入頻度の低減について他の膜厚では発揮しない効果を発揮する。
【0288】
なお、200nmを超えると効果は飽和し、若干の剥離の発生が認められた。
【0289】
参考16
参考14では、レーザーチャンバー内に収納されるブロワーにはSUSU316Lを使用し、その表面は電解研磨面としたが、本参考16ではブロワーにはSUS316Lの表面にフッ化不働態膜であるニッケルフッ化膜を形成したものを用いた。他の点は参考14と同様とした。
【0290】
ニッケルフッ化膜の形成は、参考14におけると同様の条件で行い、膜厚は100nmとした。
【0291】
エキシマレーザー発振装置の評価を参考14と同様に行ったところ次のような結果が得られた。
注入頻度:1.4×107
放電安定性:3×108
寿命:5×109
【0292】
参考17
本実施例では、熱交換器としてニッケルフッ化膜が形成されたJIS5052材で表面が形成されている熱交換器を用いた。
【0293】
他の点は参考14と同様とした。なお、ブロワーの表面を構成する材料はSUS316Lの電解研磨材である。
【0294】
ニッケルフッ化膜の形成は、参考14におけると同様の条件で行い、膜厚は100nmとした。
【0295】
エキシマレーザー発振装置の評価を参考14と同様に行ったところ次のような結果が得られた。
注入頻度:1.9×107
放電安定性:3×108
寿命:5×109
【0296】
参考18
本実施例では、チャンバー内面、ブロワー表面、熱交換器表面の全てについてニッケルフッ化膜を形成した。
【0297】
エキシマレーザー発振装置の評価を参考14と同様に行ったところ次のような結果が得られた。
注入頻度:2.4×107
放電安定性:5×108
寿命:6×109
【0298】
主要部品の全てにニッケルフッ化膜を形成した本実施例は、参考14参考17の場合に比べて、注入頻度、放電安定性、寿命の全てにおいて著しい特性の向上が認められる。
【0299】
参考19
参考例では、1、ブロワー内面のみにニッケルフッ化膜を形成した場合(チャンバー内面および熱交換器表面は電解研磨面)および2、熱交換器表面のみにニッケルフッ化膜を形成した場合(チャンバー内面およびブロワー表面は電解研磨面)についても評価を行った。
【0300】
注入頻度は、1、の場合は6.8×106であり、2、の場合は6.3×106であった。
【0301】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することができる。
【0302】
(実施例
図17に示す構成のレーザーガス供給装置を用いて、レーザーチャンバーに放電ガスを充填した。
【0303】
まず、マスフローコントローラー401を所定の流量に設定し、1%F2/1%Kr/Neガスを所定時間流して、チャンバー53内に導入した。次に、同様にして、マスフローコントローラー401を所定流量に設定し、1%Kr/Neガスを所定時間流してレーザーチャンバー53内に導入する。ガス導入量比(流量×時間)は1:9とした。
【0304】
以上の方法により、1%F2/1%Kr/Neガスと1%Kr/Neガスとの混合比の精度は、従来の方法に比べ向上し、レーザー出力の再現性が向上した。
【0305】
図17に示す構成の本実施例のエキシマレーザー装置とガス源の着脱について述べる。
【0306】
ガス源又は装置を交換するときは、バルブ501b、502b、503bを閉とし、バルブ501a、502a、503aを開とし、バルブ504aを開として高純度N2ガスをガス供給配管内に導入した。次に、A−A’線部の継手(不図示)をはずした。この間、ガス供給配管からは常にN2ガスが外部に噴出するようにした。接続後、バルブ501a、502a、503aを閉とし、504aを閉じ、バルブ501b、502b、503bを開とし、マニホールド40を介して排気ポンプで配管内を真空排気した。なお、本実施例では、図17のガス源側にも同様のパージ機構を設けて、接続時、取り外し時に不活性ガスを噴出させた。
【0307】
それぞれ真空排気した後、高純度N2ガスを所定時間流し、再度真空排気した 後、レーザーガスをレーザーチャンバーに導入し、レーザーを発信させて、発振の安定性、出力を調べた。
【0308】
図17の例の場合、パージをする必要はなく、N2ガスを排気した後すぐにレー ザーガスを導入し、レーザー発信させても、定格出力が得られ、また、パルスごとの出力安定性も定格値が得られた。
【0309】
本実施例によれば、レーザーチャンバーに導入するガス濃度の高精度化を図ることができ、レーザーパルス出力の再現性を向上させると共に、ガス源又は装置の交換直後であっても安定したレーザー発振をすることが可能となる。
【0310】
こうして、レーザーチャンバーの交換寿命の長期化、放電安定性の向上を図ることができるのみならず、注入頻度を大幅に低減させることができる。
【0311】
(実施例
図19は本発明のエキシマレーザー発信装置を用いた半導体作製用の露光装置を示す図である。
【0312】
1001は照明光学系、1002は露光マスクを保持する手段、1003は露光される半導体ウエハ、ガラス基板等を保持し移動するステージ及びウエハ搬入・搬出手段を備えた装置である。図1と同じ符号で示した部分は図1と同じ構成である。
【0313】
この装置によれば、0.25μm以下の微細パターンの露光が繰り返し長期間安定して行える。
【0314】
【発明の効果】
本発明によれば、レーザーチャンバーの交換寿命の長期化、放電安定性の向上を図ることができるのみならず、注入頻度を大幅に低減させることができる。
【0315】
また、本発明によれば、レーザーチャンバーの交換寿命の長期化、放電安定性の向上を図ることができるのみならず、注入頻度を大幅に低減させることができる。また、耐水素プラズマ性にも優れているため、ガス中に不純物として水分が混入したとしてもそれによる腐食を生じなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エキシマレーザー発振装置を示すシステム図である。
【図2】 レーザーチャンバーの構造を示す概念的横断面図である。
【図3】 レーザーチャンバーへのガス供給を示すシステム図である。
【図4】 本発明によるエキシマレーザー発振装置のレーザーチャンバーの断面図である。
【図5】 アルミナ膜の形成を示す概念図である。
【図6】 全反射蛍光X線による分析結果を示すグラフである。
【図7】 (a)は研磨後表面観察結果を示す図であり、(b)は洗浄後の表面観察結果を示す図である。
【図8】 ブレークダウン電圧を示すグラフである。
【図9】 熱処理系を示す概念図である。
【図10】 オゾン処理有無におけるエッチングレート結果を示すグラフである。
【図11】 プラズマ処理前後における組成変化を示すグラフである。
【図12】 (A)はフッ素の分布状態を示すグラフ、(B)はリンの分布状態を示すグラフである。
【図13】 フッ素とホウ素の分布状態を示すグラフである。
【図14】 フッ素とタングステンとリンの分布状態を示すグラフである。
【図15】 (A)は基材上に純ニッケル薄膜を形成してフッ素化処理を行った場合のフッ素の分布状態を示すグラフであり、(B)は基材上にニッケル−リン化合物薄膜を形成してフッ素化処理をした場合のフッ素の分布状態を示すグラフである。
【図16】 本発明に用いられるレーザーチャンバーへのガス供給装置を示すシステム図である。
【図17】 本発明に好適に用いられるレーザーチャンバーへのガス供給装置を示す図である。
【図18】 フッ化処理装置の概念図である。
【図19】 本発明のエキシマレーザー発振装置を用いた露光装置を示す図である。
【符号の説明】
1 レーザーチャンバー、
2 狭帯域化モジュール、
3 パルスパワーモジュール、
4 光学モニターモジュール、
5 高圧電源、
6 コンピューターコントローラー、
7 インターフェイス、
8 露光装置コントロールユニット、
9 露光装置コンピューター、
10 光学ミラー、
11 ハーフミラー、
12 ステッピングモーター、
13、14 ハウジング部材、
15 O−リング、
16 絶縁体、
17 カソード電極支持部材、
18 カソード電極、
19 アノード電極、
20 アノード電極支持部材、
21 接続コネクター、
22 O−リング等のシール部材、
23 ブロワー、
24 熱交換器、
25 フィルター、
26 ガス取入れ口、
101 レーザーチャンバー1の内壁のフッ化不働態膜、
102 ブロワー23の表面のフッ化不働態膜、
103 熱交換器24の表面のフッ化不働態膜、
31 1%Kr/Neガスの供給ライン、
32 1%F2/1%Kr/Neガスの供給ライン、
33 Heガスの供給ライン、
34、35、36 オリフィス、
37、38、39 バルブ、
40 マニホールド、
41 連結配管、
42 チャンバーバルブ、
43 バルブ、
44 F2ガス補給用配管、
45 インジェクションバルブ、
46 流量制御用オリフィス、
47 スプリングバルブ、
48 マニホールドの排気ライン、
49 バルブ、
50 F2ガス除害装置、
51 排気ポンプ、
52 圧力計、
53 チャンバー、
61 処理室、
62 加熱手段、
63 温度調定部、
64、65 ガス供給部、
64a、65a バルブ、
66 真空ポンプ、
66a、67a、68a、69a バルブ、
67 排出部、
68 圧力計、
69 露点計、
70 基材、
401 流量計、
501、502、503 三方弁、
501a、501b、502a、502b、503a、503b、504a バルブ、
601 電気炉、
602 N2ガスの供給ライン、
603 無声放電式のオゾン発生器、
604 オゾンガス供給系、
605 オゾン濃度計、
606 排気系、
1001 照明光学系、
1002 露光マスク保持手段、
1003 ステージ及びウエハ搬入・搬出手段を備えた装置。

Claims (12)

  1. 表面粗さRa=0.1μm以下の表面上にアルマイト処理によって形成されたアルミナ膜であってその表面粗さがRa=0.1μm以下であるアルミナ膜がレーザーチャンバーの内面に形成されており、
    該アルミナ膜を形成する基材の組成は、
    Mg:2.0〜5.0重量%
    不可避的不純物:100ppm以下
    Al:残部
    であることを特徴とするエキシマレーザー発振装置。
  2. 表面粗さRa=0.1μm以下の表面上にアルマイト処理によって形成されたアルミナ膜であってその表面粗さがRa=0.1μm以下であるアルミナ膜がレーザーチャンバー内のブロワー表面に形成されていることを特徴とする請求項1記載のエキシマレーザー発振装置。
  3. 表面粗さRa=0.1μm以下の表面上にアルマイト処理によって形成されたアルミナ膜であってその表面粗さがRa=0.1μm以下であるアルミナ膜がレーザーチャンバー内の熱交換器表面に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のエキシマレーザー発振装置。
  4. 表面粗さRa=0.1μm以下の表面上にアルマイト処理によって形成されたアルミナ膜であってその表面粗さがRa=0.1μm以下であるアルミナ膜が表面に形成されており、
    該アルミナ膜を形成する基材の組成は、
    Mg:2.0〜5.0重量%
    不可避的不純物:100ppm以下
    Al:残部
    であることを特徴とするエキシマレーザー発振装置用ブロワー。
  5. 表面粗さRa=0.1μm以下の表面上にアルマイト処理によって形成されたアルミナ膜であってその表面粗さがRa=0.1μm以下であるアルミナ膜が表面に形成されており、
    該アルミナ膜を形成する基材の組成は、
    Mg:2.0〜5.0重量%
    不可避的不純物:100ppm以下
    Al:残部
    であることを特徴とするエキシマレーザー発振装置用熱交換器。
  6. アルミナ膜はアルミニウム合金表面に付着した付着物を、酸化性水溶液によって除去した後に形成したものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のエキシマレーザー発振装置。
  7. 前記酸化性溶液はHNO3,HF/H22,H3PO4のいずれか1つを含む水溶液であることを特徴とする請求項6記載のエキシマレーザー発振装置。
  8. 前記アルマイト処理後、酸化性雰囲気中で熱処理したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のエキシマレーザー発振装置。
  9. 前記熱処理温度は室温〜300℃であることを特徴とする請求項8記載のエキシマレーザー発振装置。
  10. 前記熱処理温度は120℃〜200℃であることを特徴とする請求項8記載のエキシマレーザー発振装置。
  11. アルミナ膜を形成する基材の組成は、
    Mg:2.0〜5.0重量
    Zr:0.05〜0.15重量%
    不可避的不純物:100ppm以下
    Al:残部
    であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のエキシマレーザー発振装置。
  12. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のエキシマレーザー発振装置と、基板を移動させるためのステージと、具備することを特徴とする露光装置。
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