JP3809581B2 - パイプ等の引抜き器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は下端部を地中に打ち込まれたパイプ等の引き抜き器に関する。
【0002】
【従来の技術】
農業用のパイプハウスなどの骨組みに使用される支柱には、通常直径20ミリ程度の表面がメッキされた鉄製のパイプが使用されているが、このパイプは適当な間隔を置いて、地中に下端部を50cm程度の深さに打ち込まれている。
【0003】
このようなパイプは使用目的を終えると、撤去することが多いので、地中から引抜く必要がある。
【0004】
従来、この種のパイプ引抜き具としては、例えば、実用新案登録第3022970号及び第3035620号の考案がある。
【0005】
前者は、U字状挟着片を有する支持片と挟着片に架橋装着した係止棒とからなる支持部の挟着片と係止棒とで規定された通孔にパイプを挿通保持し、支持部に中間点が枢着された他の支持片の先端の係止爪で、支持部に挿通されたパイプを押え、枢着された支持片の他端に取りつけたワイヤ−等をクレ−ン等で吊り上げることによって係止爪でパイプを支持部に固定しつつパイプを引き抜くようにしたものである。
【0006】
この引抜き機では、ワイヤ−等を人力で引き上げることは実際上不可能で、クレ−ン等の別の機械を必要とする欠点がある。
上記後者の考案では、枢着部で互いに回動可能にX状に組まれた2本の腕の下端部に棒状物挟持用金具を設けたクランプ部を、腕の上端部の鎖状物を介して取っ手部の先端に吊り下げ、取っ手部をその中間点を支点として地面に直立設置した支柱部上端でT字形に支持させ、取っ手部をテコの原理で操作して、クランプ部でパイプを挟んで引き抜くようにしたものである。
【0007】
この引抜き具では、パイプを挟む動作と取っ手部を押し下げる動作を同時に行う必要があり、不便であり、また、1回の取っ手部の押し下げ動作でパイプが抜けなければ、パイプ挟持動作と、取っ手部押し下げ動作とを繰り返し行わねばならず、操作が面倒である。
【0008】
【特許文献1】
実用新案登録第3022970号
【特許文献2】
実用新案登録第3035620号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、地中に打ち込まれたパイプや杭等の引抜き器のパイプ等への装着及び装着した引抜き器の引抜き操作が簡単容易であり、表面が滑らかなパイプでも滑らずに確実にクランプが可能であり、パイプや杭を傷つけない引抜き器を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、a)引抜かれるべきパイプ等の下端が打ち込まれた地表に、そのパイプ等の地際部分に一辺を近接させて設置される接地板と、
b)水平部分と直立部分とからなるL字形をなし、水平部分の先端が接地板の前記一辺近傍に回動可能に取り付けられて直立部分が接地板の前記一辺側に傾倒自在な操作棒と、
c)長さ方向の一半部に2個のコマを予め定めた間隔を置いて回転可能に設けたクランプ具と、
d)下端が操作棒の水平部分上面に回動可能に連結され、上端がクランプ具の長さ方向の他端に回動可能に連結された連結支持桿によって、2個のコマを接地板の前記一辺側に配置してクランプ具を操作棒の水平部分上方に支持する手段と、
からなるパイプ等の引抜きを提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
接地板の一辺には、引き抜こうとするパイプの下端地際を受け入れる切り欠きを設けることも出来る。
操作棒は下端にT字状に横バーを固定し、このバ−を接地板上に回動可能に取り付ける。操作棒は横バ−から延長する地面に平行な水平部と、この水平部に続いて直角に延長し上端の握り部で終わる鉛直部とからなるL字形とすることができる。
【0012】
クランプ具の長さ方向の一半部には、弾力性のある材料の一対のコマを所定の間隔を置いて回転可能に取り付ける。コマの間隔は、調節板を介することにより可変とすることができる。
【0013】
クランプ具を操作棒に回動可能に連結支持する手段は、上端をクランプ具の他半部に、下端を操作棒の水平部にそれぞれ枢着した連結支持捍とすることができる。クランプ具を、コマの間に引き抜こうとするパイプ等を挟んで装着したとき、クランプ具が連結支持捍上で回動して一半部が下降して2個のコマが上下に若干ずれた位置でパイプを挟んで停止するように、各関連部材を構成配置する。
【0014】
【実施例】
図面を参照して実施例を説明する。図において、1は方形の接地板、2は接地板1の直立側板、3、4は接地板1の上面両側に設けた軸受輪、5は接地板1の反対側辺に着脱可能なL型側板で、その直立部6が側板2と対向する。7は接地板1の長辺に設けた切欠きで、後述のように、接地板1を引き抜こうとするパイプの地際に設置する時、パイプの地際部分を受け入れるためのものである。8は接地板1の他方の長辺に設けた垂下縁で、接地板1を地表に固定安定させるためのものである。
【0015】
9はL字状の操作棒、10はその水平部、11はその直立部、12は操作棒9の水平部10の先端にT字状に固定した回動軸(横バ−)で、接地板1上の軸受輪3、4に嵌め込まれて操作棒9の接地板1に対する回動を可能ならしめる。直立部11は鉛直位置から横に(回動軸の軸方向に)傾斜させておく。
【0016】
15は接地板1の軸受輪3の下方に設けた切欠きで、操作棒9の回動軸12の一端を斜めにして軸受輪3に挿入するのを容易にするためのものである。回動軸12の一端を軸受輪3に挿入した後、回動軸12を少し後退させて、他端を他方の軸受輪4に挿入した後、接地板1にL型側板5を固定する。
【0017】
16はクランプ具で、コの字型にプレスし間隔を置いて対峠させた2枚の側板(クランプ板)17、18からなり、19、20はクランプ具の長さ方向の一半部(前半部)に所定の可変間隔を置いて設置した1対の回転可能なコマで、プラスチック、ゴムなどの弾力性のある材料で作られる。21は一方のクランプ板18の外側面に接合設置した調節板、22はクランプ板18に設けた長穴、23は調節板21に設けた長穴、24、25はクランプ板17、18に設けた丸穴、26は調節板21に設けた丸穴である。長穴22と丸穴26は対応し、丸穴24、25は互いに及び長穴23と対応する。
【0018】
27は支軸ボルトで、長穴23及び丸穴24、25に挿通されてコマ19をクランプ板17と18の間に回転可能に支受する。28は他方の支軸ボルトで、丸穴26、長穴22に挿通され、他方のコマ20をクランプ板18の一側面においてコマ19と同一面に回転可能に支持する。29及び30、31はそれぞれボルト27及び28に螺合されるナットである。32はクランプ具16に固着した握りである。
【0019】
33は連結支持捍で、一対の支持板34、35を並設してなり、一端(上端)をクランプ具16の後端(コマ19、20を支受した前半部と反対側端)に枢着36され、他端(下端)は操作棒9の水平部10中間上面に枢着37される。38は枢着点37に設けた停止片で、連結支持捍33の回動を一定範囲に規制するものである。
【0020】
39は調節板21をクランプ具16に固定するボルト、40はその締付けナットである。41、42は調節板21に設けた丸穴、43、44はクランプ板17、18に設けた丸穴で、これらの丸穴は、後述のように、ボルト39を挿通するためのものである。なお、丸穴44はクランプ板18に設けられているが、図5では調節板21の丸穴42に重ねて示されている。
【0021】
調節板21をクランプ具16に対して長穴22、23の長さ方向にずらして位置を変えることにより、支軸ボルト27、28、従ってコマ19と20の軸心間隔を変えて、異なるパイプ径に対応して、パイプを挟持ことができる。すなわち、図5の状態では、調節板21はクランプ具16に対して右側に変位した位置にある。締付けボルト39を穴42、43、44から取り外し、コマ19の支軸ボルト27のナット29、及びコマ20の支軸ボルト28のナット30、31を緩めて、調節板21を図5で矢印X方向に移動させると、長穴23は同じ方向に移動するから、コマ19の支軸ボルト27、従ってコマ19のクランプ具16に対する位置は変わらないが、他方のコマ20の支軸ボルト28は丸穴26に連れ動かされて長穴22内を移動する。つまり、ボルト28、従ってコマ20はボルト2、従ってコマ19から離反し、両コマ19、20の間隔は大きくなり、太い直径のパイプを挟持できる。ボルト39はクランプ具16の丸穴43、44から調節板21の丸穴41に挿通してナット40で固定する。
【0022】
長穴22、23の長さを変え、及び丸穴41、42と同様の穴を多数個設けることによりコマ間隔を多段に変えることができる。丸穴41、43の代わりに長穴を設ければ、コマ間隔を無段調節可能である。
【0023】
本器具を使用するには、接地板1を地表に設置しつつ、握り32を握ってクランプ具16を、地中から引き抜こうとするパイプPに側面から近づけて、パイプをコマ19と20の間に配置し、握り32を離すと、クランプ具16は、先端が自重で降下しながら、支点36を中心に図2で時計方向に回動し、支持捍33は支点37を中心に時計方向に回動してコマ19,20がパイプPと密着し,この状態で、コマ19は上方に、コマ20は下方に位置してパイプPを挟持する。そこで、パイプPと操作棒9をそれぞれ左右の手で握り、互いに相寄る方向(矢印Y、Z)に動かすと、操作棒9は横バ−12を中心に回動して支点37が上昇し、連結捍33を介して支点36を押し上げる。支点36の上昇によりパイプPを挟持しているコマ19、20はそれぞれボルト28、27を中心として矢印R、Qの方向に回動しようとしてパイプPに曲げ応力を加えて、パイプをロック挟持する。更に,曲げ応力に対抗してパイプPの垂直を保持するために,パイプPを手前に引きつつ操作棒9を押し動かすと、支点36、従って、クランプ具16が上昇して、コマ19、20で挟持したパイプPを引き抜く方向に動かす。操作棒9の直立部11は横にやや傾斜させてあるので、これをパイプに交差させて押し動かすことができる。
【0024】
操作棒9を手前に引き戻すと、支点36、37が下がり、クランプ具16のコマ19、20はパイプPの挟持を解除してパイプに沿って下降し、引き上げられたパイプの先の位置より下方の位置に来る。そこで再び先にした動作と同じく、操作棒9とパイプPを互いに相寄る方向に動かすことによって上述したと同じ動作によってパイプは引き抜かれる方向に動かされる。この動作を必要な回数繰り返すことによって、パイプは地中より引き抜かれる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の引抜き器によればパイプ等への装着離脱が簡単容易であり、作業者が腰を曲げることなく作業ができるので、腰への負担が少なくてすみ、コマの円周面によってパイプ等を挟持するので、傷を付ける危険性が少なく、テコの原理を利用しているので、小さい力でパイプを滑らずに、つかむことができ、コマの間隔を変えなくても、一定の範囲で異なる径のパイプに簡単に対応して掴むことができ、構造が簡単、軽量で、操作も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパイプ引抜き器をパイプに装着する状態の立面図。
【図2】本発明のパイプ引抜き器の使用状態の初期段階を示す概略図。
【図3】本発明のパイプ引抜き器の使用状態の次段階を示す概略図。
【図4】本発明のパイプ引抜き器の分解斜視図。
【図5】本発明のパイプ引抜き器のクランプ具の要部の拡大立面図。
【符号の説明】
1 接地板
9 操作棒
12 横バ−
16 クランプ具
19、20 コマ
21 調節板
33 連結支持捍
36、37 支点

Claims (2)

  1. a)引抜かれるべきパイプ等の下端が打ち込まれた地表に、そのパイプ等の地際部分に一辺を近接させて設置される接地板と、
    b)水平部分と直立部分とからなるL字形をなし、水平部分の先端が接地板の前記一辺近傍に回動可能に取り付けられて直立部分が接地板の前記一辺側に傾倒自在な操作棒と、
    c)長さ方向の一半部に2個のコマを予め定めた間隔を置いて回転可能に設けたクランプ具と、
    d)下端が操作棒の水平部分上面に回動可能に連結され、上端がクランプ具の長さ方向の他端に回動可能に連結された連結支持桿によって、2個のコマを接地板の前記一辺側に配置してクランプ具を操作棒の水平部分上方に支持する手段と、
    からなるパイプ等の引抜き器。
  2. 2個のコマの間隔が可変である請求項1のパイプ等の引抜き器。
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