JP3809383B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前面に照明装置を備えた反射型の液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、照明手段を備えた液晶表示装置として、液晶表示体の背面に面状の照明装置が配置されたものが存在するが、この液晶表示装置においては、液晶表示体と照明装置との間に半透過半反射のシートが配置されているものと、そのような半透過半反射のシートが配置されていないものとが存在している。
【0003】
そして、半透過半反射のシートが配置されていない液晶表示装置では、常時、照明が点灯された状態で使用されていた。また、半透過半反射のシートが配置された液晶表示装置では、周囲に充分な光がある場合には、背面照明装置を点灯せずに反射型の液晶表示装置として使用し、一方、夜間等、周囲に充分な光がない場合には、背面照明装置を点灯することにより背後の光をシートを介して透過させ、透過型の液晶表示装置として使用していた。
【0004】
しかし、半透過半反射のシートが配置されていないものは、常時、背面照明装置を点灯していなくてはならないため、液晶表示装置の低消費電力という利点を失う結果となってしまっていた。一方、半透過半反射のシートが配置されたものでは、反射型として用いても、透過型として用いても、その性能が中途半端となり、却って見ずらい表示装置になってしまっていた。
【0005】
このような問題点を解消するために、完全な反射型の液晶表示装置であって、液晶体の前面に補助光源が配置された構成の液晶表示装置が提案されている。例えば、実開昭57−3266号公報においては、反射型液晶表示パネルの側方に配置された光源からの光を、液晶表示体の上に配置された文字板に反射させることにより、液晶表示体を照らす構成の液晶表示装置が開示されている。
【0006】
また、特開昭57−144581号公報においては、装置の前面に楔形を与えるただ一つの斜めに傾けられた面を含む導光板を配置することにより、液晶表示体の側方に配置された光源からの光を液晶表示体の上に誘導する反射形液晶表示装置が開示されている。
【0007】
しかし、上記実開昭57−3266号公報において開示された液晶表示装置においては、液晶表示体の横に配置された光を自由空間を透過させることにより液晶表示体上に誘導する構成をとっているため、光を直接又は一度文字板に反射させる経路でしか液晶表示体を照明することができない。
【0008】
従って、このような構成とすると、文字板と液晶表示体との間にかなりの広いスペースを必要とする。また、この照明方法では、周辺部のみ明るく、中心部が暗くなるうえ、かなり厚さの厚い液晶表示装置となってしまい、厚さの薄い液晶表示装置が求められている現状に反してしまうという問題があった。
【0009】
また、上記特開昭57−144581号公報において開示された液晶表示装置では、楔の部分がただ一つの平面から構成されていたため、大きな液晶表示体に対して照明を行おうとすると、照明側の導光板が非常に厚くなってしまうか、もはや楔と言えないほど、楔の角度が小さくなってしまう。また、この方法では、楔の角度が一つであるため、ランプ側の液晶表示体は強い光で照明されるが、ランプから離れるに従って、その光が弱くなってしまうという問題があった。
【0010】
ところで、反射型液晶表示装置は低消費電力であるため、屋外で使われることが多く、小型情報携帯端末に搭載されていることが多い。この小型情報携帯端末では、殆どの機種で、指やペン等で直接画面に触れることにより入力操作を行うタッチパネル方式が採用されている。しかしながら、上記した前面に照明装置が配置された液晶表示装置では、タッチパネルが機能しにくく、そのためタッチパネル方式の採用が難しいという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、タッチパネル方式の採用が可能で、補助照明に起因する液晶表示体の照明輝度の不均一性が存在せず、均一な輝度を有するため、暗所においても高コントラストで、表示品位が高く、かつ、導光板等の補助照明器具による厚みの増加がない、厚さの薄い液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、反射型の液晶セルを有する反射型液晶表示装置であって、上記液晶セルを照明する照明装置として、プラスチックフィルムからなる基板、金属電極層及び正孔注入層を有する有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子が用いられ、かつ、上記照明装置の発光面が上記液晶セル側に配置され、上記反射型液晶表示装置は、上記金属電極層が形成されていない部分に、上記反射型の液晶セルの開口部が位置するものであり、上記正孔注入層に用いられる材料は、下記一般式(1)で表される含窒素化合物である反射型液晶表示装置である。
【化1】
Figure 0003809383
式中、R 、R 、R はトリル基を表し、R 、R 、R はナフチル基を表す。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の液晶表示装置の実施の形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図1は、本発明の液晶表示装置の実施の形態を模式的に示す断面図であり、図2は、上記液晶表示装置の金属電極を模式的に示す平面図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の液晶表示装置は、反射型液晶セル1と有機EL素子2とから構成されている。反射型液晶セル1は、通常の反射型液晶セルと同様に構成されており、液晶表示体と反射板とから構成されている。
【0015】
有機EL素子2は、プラスチックフィルム基板3、透明電極層4、正孔注入層5、正孔輸送層6、電子輸送性発光層7、及び、金属電極層8から構成されており、通常、プラスチックフィルム基板3上に、順次、透明電極層4、正孔注入層5、正孔輸送層6、電子輸送性発光層7、金属電極層8が、真空蒸着等の薄膜形成法を用いて形成されている。
【0016】
プラスチックフィルム基板3の材料は特に限定されないが、機械的な耐久性に優れたものが好ましく、このような材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレート(PAR)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルフォン(PES)等を挙げることができる。
【0017】
透明電極層4の材料は特に限定されず、例えば、Indium Tin Oxide(ITO)等を挙げることができる。正孔注入層5の材料は特に限定されないが、分子全体の3次元性が大きく、かつ、成膜後のアモルファス状態で安定性が大きいという観点から、二重結合を有さない窒素を4個以上有し、かつ、そのうちの1個が分子の中心部に位置する含窒素化合物が好ましい。
【0018】
窒素が3個以下であると、分子の中心部に窒素が位置する場合には、窒素の配置位置が均一になりにくく、分子全体でみると、構造的に嵩高い部分と嵩高くない部分とが生じ、成膜後のアモルファス状態で安定でなく、結晶化し易く、一方、分子の中心部に窒素が位置しない場合には、分子全体の嵩高さが弱まり、やはり結晶化し易くなる。
【0019】
上記含窒素化合物としては、例えば、下記の一般式(1);
【化3】
Figure 0003809383
(式中、R1 〜R6 は、それぞれフェニル基、トリル基、ナフチル基、3−メチルナフチル基、ビフェニリル基を表し、R1 〜R6 は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。)で表される化合物等を挙げることができる。
【0020】
また、上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記の化学式で表される4,4′,4′′−tris(3−methylphenylphenylamino)triphenylamine(m−MTDATA)、4,4′,4′′−tris(biphenyl−4−yl−3−methylphenylamino)triphenylamine(BMATA)、及び、4,4′,4′′−tris(3−methylphenyl−1−naphthylamino)triphenylamine(MNATA)等を挙げることができる。
【0021】
【化4】
Figure 0003809383
【0022】
【化5】
Figure 0003809383
【0023】
【化6】
Figure 0003809383
【0024】
正孔輸送層6の材料は特に限定されず、例えば、下記の化学式で示されるN,N′−diphenyl−N,N′−bis(3−methylphenyl)−[1,1′−biphenyl]−4,4′−diamine(TPD)等を挙げることができる。
【0025】
【化7】
Figure 0003809383
【0026】
電子輸送性発光層5の材料としては特に限定されず、例えば、下記の化学式で示される8−hidroxyquinolino alminum(Alq)等を挙げることができる。
【0027】
【化8】
Figure 0003809383
【0028】
金属電極層8としては特に限定されず、マグネシウムと銀の共蒸着層等を挙げることができる。このような構成の有機EL素子2を電源に接続し、電圧を印加すると、金属電極層8と透明電極層4との間に電流が流れ、電子輸送性発光層5の金属電極層8が形成されている部分が主として発光する。
【0029】
また、図2に示すように、金属電極層8の形状は、反射型液晶セル1の開口部1aと重ならないような大きさの格子形状となっている。また、透明電極層4が反射型液晶セル1側に設けられ、金属電極層8が正孔輸送層6及び電子輸送性発光層7を挟んで透明電極層4の反対側に設けられているため、発光面は反射型液晶表示セル1側になっている。
【0030】
従って、図2に示すように、位置合わせを行った後、有機EL素子2を液晶表示セル1の前面に貼り付けると、本発明の液晶表示装置が完成する。この液晶表示装置においては、金属電極層8が形成されていない部分に、反射型液晶セル1の開口部1aが位置するようになり、発光部から出た光は、反射型液晶セル1の有効表示部に照射されるため、外光の充分でないところでも、高コントラストで、視認性の高い液晶表示装置となる。
【0031】
この液晶表示装置では、外光の充分でない場合等、必要時のみに有機EL素子2を駆動すればよいので、消費電力を低く抑えることができる。また、上記液晶表示装置を構成する有機EL素子2は、低消費電力であるので、長時間のバッテリー駆動が必要な携帯用の表示装置としても最適であり、有機EL素子2は薄いため、嵩張らない厚さの薄い液晶表示装置となる。
【0032】
更に、有機EL素子2は、プラスチックフィルム基板3を用いているため、ガラス基板を有するEL素子と比べて割れにくく、取り扱い易いため、位置合わせもスムーズに行うことができる。プラスチックフィルム基板3は、可撓性を有するため、有機EL素子2を貼り付けた状態で、タッチパネル入力も可能となる。
【0033】
なお、有機EL素子2において、正孔注入層5は、必須のものではなく、従って、有機EL素子2は、プラスチックフィルム基板3、透明電極層4、正孔輸送層6、電子輸送性発光層7、及び、金属電極層8から構成されていてもよい。
【0034】
図3は、本発明の別の実施形態における金属電極層8を示した平面図である。本実施の形態においては、金属電極層8が柵形状になっており、やはり、金属電極層8が形成されていない部分に、反射型液晶セル1の開口部1aが位置するようになっているため、外光の充分でないところでも、高コントラストで、視認性の高い表示画面が得られる。また、金属電極層8の形状を、図3に示した簡単なものとすることにより、金属電極の作製方法も簡単になり、より安価に金属電極7を作製することができる。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0036】
実施例1まず、図1に示す構成の有機EL素子2を作製した。この有機EL素子2では、プラスチックフィルム基板3としてPETフィルム、透明電極層4としてITO電極層、正孔注入層5の材料としてm−MTDATA、正孔輸送層6の材料しとてTPD、電子輸送性発光層7の材料としてAlq、金属電極層8の材料としてマグネシウムと銀の共蒸着膜を用いた。また、金属電極層8の形状は、図2に示した形状とした。次に、この有機EL素子2を、金属電極層8が反射型液晶セル1の開口部1aと重ならないように貼り付けて液晶表示装置を作製し、暗所で有機EL素子2を発光させ、画面を観察したところ、充分に高コントラストの表示がなされていた。
【0037】
実施例2正孔注入層5の材料としてBMATAを用いたほかは、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、暗所で有機EL素子2を発光させ、画面を観察したところ、充分に高コントラストの表示がなされていた。
実施例3正孔注入層5の材料としてMNATAを用いたほかは、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、暗所で有機EL素子2を発光させ、画面を観察したところ、充分に高コントラストの表示がなされていた。
【0038】
比較例1正孔注入層5の材料として下記の化学式で示される銅フタロシアニン(CuPC)を用いたほかは、実施例1と同様にして有機EL素子2を作製した。
【0039】
【化9】
Figure 0003809383
【0040】
比較例2正孔注入層5の材料として、正孔輸送層の材料と同じTPDを用いたほかは、実施例1と同様にして有機EL素子2を作製した。
【0041】
評価方法(1)正孔注入層の膜の凝集性についての評価上記実施例1〜3及び上記比較例1〜2で得られた有機EL素子2の一定面積に一定荷重を繰り返しかけて、有機EL素子2を屈曲させ、正孔注入層5の膜が凝集するまでの回数を測定した。その結果を図4のグラフに示した。
【0042】
図4のグラフより明らかなように、実施例1〜3の場合には、屈曲刺激15000回以上で膜の凝集が起こったのに対し、比較例1の場合には、屈曲刺激8500回と少ない回数で膜が凝集してしまい、比較例2の場合にも、屈曲刺激10000回と少ない回数で膜が凝集してしまった。
【0043】
このように、実施例1〜3で用いられた有機EL素子2は、屈曲刺激に対して極めて優れた耐久性を有しているが、これは、使用されている正孔注入層5の材料が、分子全体の3次元性が大きく、従って、成膜後のアモルファス状態の安定性が大きいためと考えられる。
【0044】
一方、比較例1において使用されたTPDは、実施例1〜3において使用された材料と比較して、分子構造の嵩高さが弱く、結晶化し易いため、少ない屈曲刺激の回数で凝集が発生したと考えられる。また、比較例2において使用されたCuPCは、窒素が8か所に存在しているものの、それぞれの窒素は二重結合を有し、平面性が保たれるため、アモルファス状態で安定でなく、結晶化し易く、少ない屈曲刺激の回数で凝集が発生したと考えられる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の液晶表示装置は、上述の通りであり、可撓性に富むプラスチックフィルムを使用しているため、タッチパネル方式の採用が可能であり、補助照明に起因する液晶表示体の照明輝度の不均一性が存在せず、均一な輝度を有するため、暗所においても高コントラストで、表示品位が高い。また、本発明により、導光板等の補助照明器具による厚みの増加がない、厚さの薄い液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る液晶表示装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す液晶表示装置において、有機EL素子を構成する金属電極層を示す平面図である。
【図3】別の実施の形態において、有機EL素子を構成する金属電極層を示す平面図である。
【図4】実施例1〜3及び比較例1〜2において、正孔注入層を構成する材料の屈曲刺激に対する凝集性を調査した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 反射型液晶セル
1a 開口部
2 有機EL素子
3 プラスチックフィルム基板
4 透明電極層
5 正孔注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送性発光層
8 金属電極層

Claims (3)

  1. 反射型の液晶セルを有する反射型液晶表示装置であって、
    前記液晶セルを照明する照明装置として、プラスチックフィルムからなる基板、金属電極層及び正孔注入層を有する有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子が用いられ、かつ、前記照明装置の発光面が前記液晶セル側に配置され、
    前記反射型液晶表示装置は、前記金属電極層が形成されていない部分に、前記反射型の液晶セルの開口部が位置するものであり、
    前記正孔注入層に用いられる材料は、下記一般式(1)で表される含窒素化合物である
    ことを特徴とする反射型液晶表示装置
    Figure 0003809383
    式中、R 、R はトリル基を表し、R 、R はナフチル基を表す。
  2. 前記金属電極層の形状は、前記反射型液晶セルの開口部と重ならないような大きさの格子形状である請求項1記載の反射型液晶表示装置。
  3. 前記金属電極層は、柵形状であり、前記金属電極層が形成されていない部分に、前記反射型液晶セルの開口部が位置している請求項1記載の反射型液晶表示装置。
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