JP3809223B2 - インピーダンス測定装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、一般に電流測定に係わり、特に電圧と電流を測定してインピーダンスを求めるインピーダンス測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
広い周波数帯域において広い測定範囲のインピーダンス測定装置を実現する方法は、従来から種々考案されていた。出願人は、特願平3−313898にて、1MHzから1GHz程度の広い周波数帯域で、広範囲のインピーダンスを精度よく測定する電圧電流計法のインピーダンス測定装置を提案した。図5に回路構成を、図6にその等価回路を示す。
【0003】
また出願人は、特願平5−352012にて、コアキシャル・ケーブル及びトライアキシャル・ケーブルを用い、特願平3−313898の特長を保持したまま遠隔測定が実現できることを示した。図7及び図8にその回路構成を、また図9及び図10に等価回路を示す。
【0004】
図6、図9及び図10の等価回路において、測定対象60に流れる電流を抵抗器32又は抵抗器32と抵抗器38の並列回路からなる電流検出抵抗器に流している。該電流検出抵抗器の両端の電圧を電圧計30で測定すれば測定対象60の電流を測定できる。すなわち電流検出抵抗器と電圧計が電流計を構成している。等価回路が示すように、該電流計は接地電位から電位的に浮上している浮上型電流計である。
【0005】
スイッチ40がオフのときの図5及び図6、並びに、図10は、低インピーダンス測定に適した回路である。電圧計10の内部抵抗器11に流れる電流が電流検出抵抗器にも流れるため、測定対象60の電流が小さくなる高インピーダンスの測定には適さない。
【0006】
図5及び図6において、スイッチ40がオンのとき、高インピーダンス測定用の回路構成になる。また図7は、遠隔測定で高インピーダンス測定を実現する回路構成であり、等価回路は図9になる。この回路構成が高インピーダンス測定に適することは良く知られている
【0007】
上記浮上型電流計は、図5、図7及び図8に示すように接地型の電圧計30及びバラン35で実現されている。バラン35は、磁気コアに同軸ケーブル36を貫通するか又は図13に例示するように磁気コア70に同軸ケーブル36を1回以上巻き付けて構成されている。図11に、バラン35を示す等価回路を図示した。バラン35は高周波において励磁インピーダンスが高いので、電圧計30が接地されていても、電流検出抵抗器は接地電位から電位的に浮上することができる。
【0008】
しかしバラン35は、低周波において励磁インピーダンスが低下して、信号源20の負荷となる。動作周波数の下限を伸ばすためには、バランを多数回巻きで、大きなコアにする必要がある。しかし巻線ケーブル長とコアの増大は、特に高い周波数において、温度係数の悪化や信号電力の損失を引き起こす。したがって、測定周波数上限を維持しつつ、バランのみで動作周波数をオーディオ周波数帯まで拡大することは事実上不可能である。
【0009】
ところで、電流検出用抵抗器両端の電位差を差動増幅器で検出する方法で、浮上型電流計を実現できる事は良く知られている。この等価回路を図12に示す。近年の差動増幅器によれば100dBを越える同相除去比が得られるので、実用上理想的と見なせる浮上型電流計が実現できる。ただし、これは低周波に限られ、周波数の増加と共に同相除去比は悪くなる。10MHzで50dB、あるいは100MHzで30dBを得ることは容易でなく、まして1GHzでは10dBの実現さえも困難である。
【0010】
同相除去比の悪化により、測定端子61と62間の開放時における測定電流値が零でなくなりオフセットが生じる。オフセットは、演算処理で補正可能である。しかし温度変化により同相除去比が変動するため、長期的に安定なオフセットの補正は不可能である。このため測定端子開放時におけるアドミタンス測定値にもオフセットを生じ測定誤差になる。
【0011】
また、高インピーダンスを測定するためには、測定対象に流れる電流の測定感度を上げなければならない。そのために電流検出抵抗器の両端の電圧を増幅する必要があるが、電流零点オフセットが大きいと、大きな増幅ができない。すなわちインピーダンス測定装置の高インピーダンス測定能力は、上記同相除去比に大きく支配されているのである。
【0012】
バランを使用すれば、高周波で安定かつ極めて高い同相除去比が得られ、1GHzを越える高い周波数までの浮上型電流計が実現できる。しかし低い周波数では不都合がある。一方差動増幅器は、高い周波数で不都合がある。したがって既存の方法では、高インピーダンス測定を可能とする周波数帯域は、高周波か低周波のどちらかに限られていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
インピーダンス測定装置の浮上型電流計において、広い周波数範囲で安定かつ高い同相除去比が得られないために、特に高インピーダンスの測定が不可能であった。本発明が解決しようとする課題は、広い周波数範囲で安定かつ高い同相除去比をもつ浮上型電流計を実現し、直流からGHz帯までの広帯域で、広い測定範囲のインピーダンス測定装置を供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、同相除去作用を高周波帯域ではバランに、低周波帯域では差動増幅器に分担させることにより、広い周波数帯域にわたる浮上型電流計を実現し、広帯域で広いインピーダンス範囲の高精度測定を可能にする。
【0015】
【実施例】
本発明の第1の実施例として、図1に回路構成を、図4に簡略化した等価回路を示す。従来技術と同様の構成要素には同じ参照符号を付している。電圧計30、差動増幅器31、2つの抵抗器32及び抵抗器38、並びにバラン35が本発明の電流計の基本構成要素である。またバラン35は、同軸ケーブル36を巻線として構成されている。さらに同軸ケーブル36の外部導体のバラン35の入出力間に抵抗器37が接続されている。同軸ケーブル36の外部導体の差動増幅器入力側と接地間には、コンデンサ33が接続されている。
【0016】
実施例には電流計のほか、電圧計10、信号源20、同軸ケーブル12、22及びスイッチ40等を有している。また演算制御部は図示していない。これらは従来技術の例と同様である。抵抗器32及び抵抗器38は、高周波帯域における整合のために、同軸ケーブルの特性インピーダンスに等しくしてある。この部分については特願平5−352012に詳しい説明がある。
【0017】
本発明の第2の実施例を図2に示す。本実施例は、特願平5−352012に提示した高インピーダンス測定向きの実施例に、本発明を実施した例を示すものである。第1の実施例にたいして第2の実施例は、遠隔測定のためにコアキシャル・ケーブル51及びトライアキシャル・ケーブル52を有している点が異なる。電流計部分に注目すれば、第2の実施例の等価回路も図4になる。
【0018】
従来技術では、図5、図7、図8及び等価回路図11に示すようにバラン35の出力側のケーブルの外部導体が接地されていた。本発明の第1及び第2の実施例では、図1、図2及び等価回路図4に示すように、バラン35の出力側のケーブルの外部導体(図4に示す節点b)はコンデンサ33を介して接地されている。
【0019】
低周波域ではコンデンサ33のインピーダンスが高いので、バラン35の励磁インピーダンスが低くなっても、バラン35が信号源20を短絡することはない。励磁インピーダンスが低いため、同相電圧は、そのまま差動増幅器31に伝えられるが、差動増幅器31の大きな同相除去作用によって差動電圧のみが増幅される。抵抗器32と抵抗器38との並列回路が電流検出抵抗器を構成し、その両端電圧が差動電圧である。差動増幅器の出力を電圧計30が測定する。この結果、低周波帯で浮上型電流計が実現される。
【0020】
高周波帯域では、コンデンサ33のインピーダンスが低いので、バラン35、抵抗器32及びコンデンサ33の共通接続点(図4に示す節点b)が等価的に接地された状態になる。これは従来技術の実施例の図5、図7、図8及び等価回路図11と等価の状態である。
【0021】
節点aから節点b及び節点cを経由して節点dに至る経路において、バラン35の等価的巻数は零だから、抵抗器32は、バラン35を介して抵抗器38と並列接続された状態と等価とみなせる。すなわち低周波帯域と同様に、電流検出抵抗器は抵抗器32と抵抗器38の並列回路になる。このようにして、電流検出抵抗器の両端の電圧のみが差動増幅器31で増幅され、電圧計30で測定されて、高周波帯の浮上型電流計が実現される。
【0022】
低周波帯域と高周波帯域の境界を次に説明する。バラン35の励磁インピーダンスとコンデンサ33のインピーダンスが同一になる周波数が、バラン35と差動増幅器31の同相除去作用の分担周波数帯の境目、いわゆるクロスオーバー周波数である。クロスオーバー周波数におけるバラン35の励磁インピーダンスあるいはコンデンサ33のインピーダンスが、全周波数帯域を通じて信号源20に対する最大負荷になる。したがって、信号源20の出力抵抗器21に対してクロスオーバー周波数におけるコンデンンサ33のインピーダンス及び励磁インピーダンスが高くなるように、それぞれの大きさを選ぶ。
【0023】
抵抗器37の役割は、バラン35の励磁インダクタンスとコンデンサ33からなる直列共振のQをダンプする事にある。バラン35のコアの損失が大きければ抵抗器37はなくてもよい。Qが高いと上記クロスオーバー周波数における推移特性が悪化する。すなわち、その周波数で差動増幅器31の入力端子に大きな同相電圧が生じるだけでなく信号源20にとって大きな負荷になる。そこで共振を損失的にするよう、抵抗器37の値を選ぶ。
【0024】
なおコンデンサ33の機能を機械的あるいは半導体スイッチで代行することができる。図3に本発明の第3の実施例としてスイッチで代行する例を示す。クロスオーバー周波数を境にスイッチ34をオンまたはオフして、バラン35と差動増幅器31の分担を切り換える。スイッチ34の制御は、測定周波数の設定に伴って演算制御部が行う。
【0025】
ところで、特願平3−313898及び特願平5−352012に示したように、特性インピーダンスで整合した回路構成を本発明に適用し、この構成を2組使用して、それぞれの信号源を交互にオンオフできるようにすれば、Sパラメータ測定装置が実現できる。この2ポート測定装置は、特性インピーダンス(例えば50Ω)のポートインピーダンスでありながら、高入出力インピーダンスを持つ測定対象のS11、S22を精度よく測定することができる。
【0026】
また図2において、バラン35と抵抗器32間の同軸ケーブル36に更に外部シールドを施して、本発明の効果を損なうことなく外部からの雑音の混入を防止することもできる。以上に本発明の実施例を示したが、例示の様式、配置、その他に限定するものでなく、必要に応じて本発明の要旨を失うことなく構成の変化も許容される。
【0027】
【発明の効果】
特願平5−352012にて提案した1MHzから1GHz程度の広い周波数帯域で広範囲のインピーダンス値を精度よく遠隔測定する電圧電流計法に、本発明を適用すれば、高周波帯域の特性を損なわないで周波数下限を直流まで延長できるようになり、実用に供して有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施例を示す図である。
【図4】本発明の等価回路を示す図である。
【図5】従来技術のインピーダンス測定装置の例を示す図である。
【図6】電圧電流計法のインピーダンス測定装置の原理を示す図である。
【図7】従来技術のケーブル延長型インピーダンス測定装置の例を示す図である。
【図8】従来技術のケーブル延長型インピーダンス測定装置の例を示す図である。
【図9】図7の等価回路を示す図である。
【図10】図8の等価回路を示す図である。
【図11】バランを用いた浮上型電流計の例を示す図である。
【図12】差動増幅器を用いた浮上型電流計の例を示す図である。
【図13】同軸ケーブルによるバランの構成例を示す図である。
【符号の説明】
10:電圧計
11:抵抗器
12:同軸ケーブル
20:信号源
21:抵抗器
22:同軸ケーブル
30:電圧計
31:差動増幅器
32:抵抗器
33:コンデンサ
34:スイッチ
35:バラン
36:同軸ケーブル
37:抵抗器
38:抵抗器
40:スイッチ
51:コアキシャル・ケーブル
52:トライアキシャル・ケーブル
60:測定対象
61:測定端子
62:測定端子
70:磁気コア
【産業上の利用分野】
本発明は、一般に電流測定に係わり、特に電圧と電流を測定してインピーダンスを求めるインピーダンス測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
広い周波数帯域において広い測定範囲のインピーダンス測定装置を実現する方法は、従来から種々考案されていた。出願人は、特願平3−313898にて、1MHzから1GHz程度の広い周波数帯域で、広範囲のインピーダンスを精度よく測定する電圧電流計法のインピーダンス測定装置を提案した。図5に回路構成を、図6にその等価回路を示す。
【0003】
また出願人は、特願平5−352012にて、コアキシャル・ケーブル及びトライアキシャル・ケーブルを用い、特願平3−313898の特長を保持したまま遠隔測定が実現できることを示した。図7及び図8にその回路構成を、また図9及び図10に等価回路を示す。
【0004】
図6、図9及び図10の等価回路において、測定対象60に流れる電流を抵抗器32又は抵抗器32と抵抗器38の並列回路からなる電流検出抵抗器に流している。該電流検出抵抗器の両端の電圧を電圧計30で測定すれば測定対象60の電流を測定できる。すなわち電流検出抵抗器と電圧計が電流計を構成している。等価回路が示すように、該電流計は接地電位から電位的に浮上している浮上型電流計である。
【0005】
スイッチ40がオフのときの図5及び図6、並びに、図10は、低インピーダンス測定に適した回路である。電圧計10の内部抵抗器11に流れる電流が電流検出抵抗器にも流れるため、測定対象60の電流が小さくなる高インピーダンスの測定には適さない。
【0006】
図5及び図6において、スイッチ40がオンのとき、高インピーダンス測定用の回路構成になる。また図7は、遠隔測定で高インピーダンス測定を実現する回路構成であり、等価回路は図9になる。この回路構成が高インピーダンス測定に適することは良く知られている
【0007】
上記浮上型電流計は、図5、図7及び図8に示すように接地型の電圧計30及びバラン35で実現されている。バラン35は、磁気コアに同軸ケーブル36を貫通するか又は図13に例示するように磁気コア70に同軸ケーブル36を1回以上巻き付けて構成されている。図11に、バラン35を示す等価回路を図示した。バラン35は高周波において励磁インピーダンスが高いので、電圧計30が接地されていても、電流検出抵抗器は接地電位から電位的に浮上することができる。
【0008】
しかしバラン35は、低周波において励磁インピーダンスが低下して、信号源20の負荷となる。動作周波数の下限を伸ばすためには、バランを多数回巻きで、大きなコアにする必要がある。しかし巻線ケーブル長とコアの増大は、特に高い周波数において、温度係数の悪化や信号電力の損失を引き起こす。したがって、測定周波数上限を維持しつつ、バランのみで動作周波数をオーディオ周波数帯まで拡大することは事実上不可能である。
【0009】
ところで、電流検出用抵抗器両端の電位差を差動増幅器で検出する方法で、浮上型電流計を実現できる事は良く知られている。この等価回路を図12に示す。近年の差動増幅器によれば100dBを越える同相除去比が得られるので、実用上理想的と見なせる浮上型電流計が実現できる。ただし、これは低周波に限られ、周波数の増加と共に同相除去比は悪くなる。10MHzで50dB、あるいは100MHzで30dBを得ることは容易でなく、まして1GHzでは10dBの実現さえも困難である。
【0010】
同相除去比の悪化により、測定端子61と62間の開放時における測定電流値が零でなくなりオフセットが生じる。オフセットは、演算処理で補正可能である。しかし温度変化により同相除去比が変動するため、長期的に安定なオフセットの補正は不可能である。このため測定端子開放時におけるアドミタンス測定値にもオフセットを生じ測定誤差になる。
【0011】
また、高インピーダンスを測定するためには、測定対象に流れる電流の測定感度を上げなければならない。そのために電流検出抵抗器の両端の電圧を増幅する必要があるが、電流零点オフセットが大きいと、大きな増幅ができない。すなわちインピーダンス測定装置の高インピーダンス測定能力は、上記同相除去比に大きく支配されているのである。
【0012】
バランを使用すれば、高周波で安定かつ極めて高い同相除去比が得られ、1GHzを越える高い周波数までの浮上型電流計が実現できる。しかし低い周波数では不都合がある。一方差動増幅器は、高い周波数で不都合がある。したがって既存の方法では、高インピーダンス測定を可能とする周波数帯域は、高周波か低周波のどちらかに限られていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
インピーダンス測定装置の浮上型電流計において、広い周波数範囲で安定かつ高い同相除去比が得られないために、特に高インピーダンスの測定が不可能であった。本発明が解決しようとする課題は、広い周波数範囲で安定かつ高い同相除去比をもつ浮上型電流計を実現し、直流からGHz帯までの広帯域で、広い測定範囲のインピーダンス測定装置を供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、同相除去作用を高周波帯域ではバランに、低周波帯域では差動増幅器に分担させることにより、広い周波数帯域にわたる浮上型電流計を実現し、広帯域で広いインピーダンス範囲の高精度測定を可能にする。
【0015】
【実施例】
本発明の第1の実施例として、図1に回路構成を、図4に簡略化した等価回路を示す。従来技術と同様の構成要素には同じ参照符号を付している。電圧計30、差動増幅器31、2つの抵抗器32及び抵抗器38、並びにバラン35が本発明の電流計の基本構成要素である。またバラン35は、同軸ケーブル36を巻線として構成されている。さらに同軸ケーブル36の外部導体のバラン35の入出力間に抵抗器37が接続されている。同軸ケーブル36の外部導体の差動増幅器入力側と接地間には、コンデンサ33が接続されている。
【0016】
実施例には電流計のほか、電圧計10、信号源20、同軸ケーブル12、22及びスイッチ40等を有している。また演算制御部は図示していない。これらは従来技術の例と同様である。抵抗器32及び抵抗器38は、高周波帯域における整合のために、同軸ケーブルの特性インピーダンスに等しくしてある。この部分については特願平5−352012に詳しい説明がある。
【0017】
本発明の第2の実施例を図2に示す。本実施例は、特願平5−352012に提示した高インピーダンス測定向きの実施例に、本発明を実施した例を示すものである。第1の実施例にたいして第2の実施例は、遠隔測定のためにコアキシャル・ケーブル51及びトライアキシャル・ケーブル52を有している点が異なる。電流計部分に注目すれば、第2の実施例の等価回路も図4になる。
【0018】
従来技術では、図5、図7、図8及び等価回路図11に示すようにバラン35の出力側のケーブルの外部導体が接地されていた。本発明の第1及び第2の実施例では、図1、図2及び等価回路図4に示すように、バラン35の出力側のケーブルの外部導体(図4に示す節点b)はコンデンサ33を介して接地されている。
【0019】
低周波域ではコンデンサ33のインピーダンスが高いので、バラン35の励磁インピーダンスが低くなっても、バラン35が信号源20を短絡することはない。励磁インピーダンスが低いため、同相電圧は、そのまま差動増幅器31に伝えられるが、差動増幅器31の大きな同相除去作用によって差動電圧のみが増幅される。抵抗器32と抵抗器38との並列回路が電流検出抵抗器を構成し、その両端電圧が差動電圧である。差動増幅器の出力を電圧計30が測定する。この結果、低周波帯で浮上型電流計が実現される。
【0020】
高周波帯域では、コンデンサ33のインピーダンスが低いので、バラン35、抵抗器32及びコンデンサ33の共通接続点(図4に示す節点b)が等価的に接地された状態になる。これは従来技術の実施例の図5、図7、図8及び等価回路図11と等価の状態である。
【0021】
節点aから節点b及び節点cを経由して節点dに至る経路において、バラン35の等価的巻数は零だから、抵抗器32は、バラン35を介して抵抗器38と並列接続された状態と等価とみなせる。すなわち低周波帯域と同様に、電流検出抵抗器は抵抗器32と抵抗器38の並列回路になる。このようにして、電流検出抵抗器の両端の電圧のみが差動増幅器31で増幅され、電圧計30で測定されて、高周波帯の浮上型電流計が実現される。
【0022】
低周波帯域と高周波帯域の境界を次に説明する。バラン35の励磁インピーダンスとコンデンサ33のインピーダンスが同一になる周波数が、バラン35と差動増幅器31の同相除去作用の分担周波数帯の境目、いわゆるクロスオーバー周波数である。クロスオーバー周波数におけるバラン35の励磁インピーダンスあるいはコンデンサ33のインピーダンスが、全周波数帯域を通じて信号源20に対する最大負荷になる。したがって、信号源20の出力抵抗器21に対してクロスオーバー周波数におけるコンデンンサ33のインピーダンス及び励磁インピーダンスが高くなるように、それぞれの大きさを選ぶ。
【0023】
抵抗器37の役割は、バラン35の励磁インダクタンスとコンデンサ33からなる直列共振のQをダンプする事にある。バラン35のコアの損失が大きければ抵抗器37はなくてもよい。Qが高いと上記クロスオーバー周波数における推移特性が悪化する。すなわち、その周波数で差動増幅器31の入力端子に大きな同相電圧が生じるだけでなく信号源20にとって大きな負荷になる。そこで共振を損失的にするよう、抵抗器37の値を選ぶ。
【0024】
なおコンデンサ33の機能を機械的あるいは半導体スイッチで代行することができる。図3に本発明の第3の実施例としてスイッチで代行する例を示す。クロスオーバー周波数を境にスイッチ34をオンまたはオフして、バラン35と差動増幅器31の分担を切り換える。スイッチ34の制御は、測定周波数の設定に伴って演算制御部が行う。
【0025】
ところで、特願平3−313898及び特願平5−352012に示したように、特性インピーダンスで整合した回路構成を本発明に適用し、この構成を2組使用して、それぞれの信号源を交互にオンオフできるようにすれば、Sパラメータ測定装置が実現できる。この2ポート測定装置は、特性インピーダンス(例えば50Ω)のポートインピーダンスでありながら、高入出力インピーダンスを持つ測定対象のS11、S22を精度よく測定することができる。
【0026】
また図2において、バラン35と抵抗器32間の同軸ケーブル36に更に外部シールドを施して、本発明の効果を損なうことなく外部からの雑音の混入を防止することもできる。以上に本発明の実施例を示したが、例示の様式、配置、その他に限定するものでなく、必要に応じて本発明の要旨を失うことなく構成の変化も許容される。
【0027】
【発明の効果】
特願平5−352012にて提案した1MHzから1GHz程度の広い周波数帯域で広範囲のインピーダンス値を精度よく遠隔測定する電圧電流計法に、本発明を適用すれば、高周波帯域の特性を損なわないで周波数下限を直流まで延長できるようになり、実用に供して有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施例を示す図である。
【図4】本発明の等価回路を示す図である。
【図5】従来技術のインピーダンス測定装置の例を示す図である。
【図6】電圧電流計法のインピーダンス測定装置の原理を示す図である。
【図7】従来技術のケーブル延長型インピーダンス測定装置の例を示す図である。
【図8】従来技術のケーブル延長型インピーダンス測定装置の例を示す図である。
【図9】図7の等価回路を示す図である。
【図10】図8の等価回路を示す図である。
【図11】バランを用いた浮上型電流計の例を示す図である。
【図12】差動増幅器を用いた浮上型電流計の例を示す図である。
【図13】同軸ケーブルによるバランの構成例を示す図である。
【符号の説明】
10:電圧計
11:抵抗器
12:同軸ケーブル
20:信号源
21:抵抗器
22:同軸ケーブル
30:電圧計
31:差動増幅器
32:抵抗器
33:コンデンサ
34:スイッチ
35:バラン
36:同軸ケーブル
37:抵抗器
38:抵抗器
40:スイッチ
51:コアキシャル・ケーブル
52:トライアキシャル・ケーブル
60:測定対象
61:測定端子
62:測定端子
70:磁気コア
Claims (8)
- 被測定電流を電流検出抵抗器に流し、前記電流検出抵抗器の両端の電圧を測定して前記被測定電流を測定する電流計において、
磁気コアに同軸ケーブルを巻き付けるか貫通させて成るバランと、
一方の入力端子が前記バランの同軸ケーブルの一端の中心導体に接続され、他方の入力端子が前記バランの同軸ケーブルの一端の外部導体に接続された差動増幅器と、
前記バランの同軸ケーブルの他端の中心導体と外部導体との間に接続された前記電流検出抵抗器と、
前記バランの同軸ケーブルの一端の外部導体を選択的に接地する接地手段と、
前記差動増幅器の出力電圧を測定して前記被測定電流を決定する電圧計と、
を備えて成り、
前記接地手段は、前記被測定電流が高周波である場合には前記バランの同軸ケーブルの一端の外部導体を接地し、前記被測定電流が低周波である場合には前記バランの同軸ケーブルの一端の外部導体と接地との間を開放することを特徴とする電流計。 - 前記電流検出抵抗器は、前記バランの同軸ケーブルの一端の中心導体と外部導体との間に接続され、
前記被測定電流は、前記バランの同軸ケーブルの他端の中心導体と外部導体との間に流されることを特徴とする請求項1記載の電流計。 - 前記電流検出抵抗器は、前記バランの同軸ケーブルの他端の中心導体と外部導体との間に接続される第1の抵抗器と、および、前記バランの同軸ケーブルの一端の中心導体と外部導体との間の接続される第2の抵抗器と備えて成り、
前記第1の抵抗器および前記第2の抵抗器は、前記同軸ケーブルの特性インピ ーダンスに等しい、
ことを特徴とする請求項1記載の電流計。 - 前記接地手段は、コンデンサ手段であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の電流計。
- 前記接地手段は、スイッチ手段を有し、
前記スイッチ手段は、前記被測定電流が高周波である場合には前記バランの同軸ケーブルの一端の外部導体を接地し、前記被測定電流が低周波である場合には前記バランの同軸ケーブルの一端の外部導体と接地との間を開放することを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の電流計。 - 前記バランの同軸ケーブルの他端の外部導体と前記バランの同軸ケーブルの一端の外部導体との間に抵抗器が接続されていることを特徴とする請求項4記載の電流計。
- 前記バランの同軸ケーブルの一端は、更に外部シールドを有することを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の電流計。
- 測定対象に印加される電圧及び電流を測定し、前記電圧及び電流の測定値から測定対象のインピーダンス等の回路定数や材料の特性値を演算処理によって求める測定装置において、請求項1乃至7のいずれかに記載の電流計を有することを特徴とする測定装置。
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