JP3808372B2 - レーザ発振器ならびに光通信方法及びシステム - Google Patents

レーザ発振器ならびに光通信方法及びシステム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ発振器ならびに光通信方法及びシステムに関する。具体的には光信号のスクランブル技術に関し、盗聴等による不正行為を無効にする高信頼の光通信システムに有用である。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバを伝送媒体とした光通信システムでは、光ファイバを局所的に曲げることにより容易に光ファイバ中を伝搬するモードを放射モードに変換して光ファイバ中を伝搬する光を外に取り出せるため、電線を用いた電気通信と同様に盗聴が可能である。また、光の空間伝搬による通信システムにおいても、無線と同様に光受信機を設置することで容易に盗聴が可能である。
【0003】
盗聴により受信した信号を復調することができれば、データが暗号化されていた場合でも理論的には解読される可能性を残している。
【0004】
このため、盗聴により受信した信号から復調することが困難な通信方式が望まれている。そのような通信方式として、従来よりレーザ発振器の不規則性(カオス性)など人為的には再生が不可能な量子力学的な揺らぎを採り入れた通信方式が検討されている。
【0005】
例えば、カオス的な揺らぎを持つレーザ光をキャリアとして用い、それにデータを重畳して送信し、受信側に配置したレーザ共振器に送信した信号光の一部を入力して同期発振させることによりキャリア成分を抽出してデータを復調する通信方式がある。この方式によれば、キャリア成分を抽出する前記の特殊な手段を持たなければ、通常の信号光を直接検波する通信方式では受信された信号が常に雑音状態となるためデータを復調することはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
レーザ共振器に信号光を入力して同期発振させることによりキャリア成分を抽出する場合、光キャリア周波数とレーザ共振器の発振周波数を高精度で一致させる必要がある。しかし、光通信に用いる赤外光の光周波数は約190THzと通常の電気又はマイクロ波の周波数(数ギガヘルツ)よりも大幅に高い。このため、レーザ共振器の揺らぎ(例えば共振器長の熱的、機械的な揺らぎ)による発振周波数の変化量は大きい。また、揺らぎはレーザ共振器の屈折率変化等の物性的変化も反映しているため、広帯域の成分を持っている。
【0007】
レーザ光をもう一つの独立なレーザ共振器に注入して同期発振させようとすると、レーザ共振器の共鳴周波数を注入光の光周波数に精度よく合わせる必要がある。
【0008】
しかし、同期発振させようとするレーザ共振器自体も前記レーザ共振器と同様の発振周波数の揺らぎを有する。このため、同期発振させようとするレーザ共振器の共鳴周波数を同期する周波数帯域に常に保持することを長期にわたって保証することができない。
【0009】
また、盗聴者が以上説明した同期発振により信号を復調する手段を取得している場合には、盗聴した信号を復調することを阻止する何らの物理的手段をも従来の方法は担保していない。
【0010】
従って本発明は上記の課題に鑑み、光通信システムにおいて、量子力学的な揺らぎに基づく究極の光信号のスクランブル技術を提供し、盗聴等の不正行為を無効にして高信頼化を図ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、送信側で少なくとも二つの波長の光に同一信号を重畳させて光信号を送信し、これらの光信号を多重化して光ファイバ又は空間を伝播させ、受信側で対応する波長の信号を選択して同時に同一光検出器で直接検波することにより復調する光通信方法であって、前記少なくとも二つの波長の光は、単峰性のモードが同時に発振するレーザ光であって、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従うレーザ光であることを特徴とする光通信方法である。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の光通信方法において、信号光を構成する波長毎又はいくつかの波長の束毎に異なる経路で且つ等距離を伝播させ、受信地点で合波して同時に同一光検出器で直接検波することにより復調することを特徴とする光通信方法である。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の光通信方法において、前記少なくとも二つの波長の光の強度が等しくなるようにすることを特徴とする光通信方法である。
【0014】
請求項4記載の発明は、透過中心波長が異なる少なくとも二つのバンドパス光フィルタと利得飽和特性を有する光増幅媒体を含むレーザ発振器であって、前記バンドパス光フィルタの二つの中心波長に一致する単峰性のモードが同時に発振し、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従うことを特徴とするレーザ発振器である。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載のレーザ発振器において、利得飽和特性を有する光増幅媒体は半導体光増幅器であることを特徴とするレーザ発振器である。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5に記載のレーザ発振器において、透過中心波長が異なる少なくとも二つのバンドパス光フィルタと利得飽和特性を有する光増幅媒体を含むレーザ発振器は光ファイバを用いたリング共振器で構成され、このリング共振器の光経路の1点を分岐して前記バンドパス光フィルタにそれぞれ入射し、その透過光を再び合波して1本の光ファイバに結合させることによりリング共振器内を異なる二つの波長のモードで同時発振させてレーザ光を得ることを特徴とするレーザ発振器である。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項6に記載のレーザ発振器において、各々の分岐に可変光減衰器を備え、各々のバンドパス光フィルタの透過中心波長の光強度が等しくなるように前記可変光減衰器を調整することを特徴とするレーザ発振器である。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項6又は7に記載のレーザ発振器において、リング共振器内に偏波制御器を配置したことを特徴とするレーザ発振器である。
【0019】
請求項9記載の発明は、請求項6又は7に記載のレーザ発振器において、リング共振器を構成する光ファイバは偏波保持ファイバであり、レーザ発振器の光出力が最大となるように偏波状態を調整して接続したことを特徴とするレーザ発振器である。
【0020】
請求項10記載の発明は、送信側で複数の波長の光に同一信号を重畳させて光信号を送信し、これらの光信号を多重化して光ファイバ又は空間を伝播させ、受信側で対応する波長の信号を選択して同時に同一光検出器で直接検波することにより復調する光通信方法であって、前記複数の波長の光は、単峰性のモードが同時に発振するレーザ光であって、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従うレーザ光であり、送信側において、単位時間当たりに発生する光子の総数が一定であってなおかつ前記複数の波長で同時に発振するレーザ光を発生させ、前記複数の波長の光に同一のデータを重畳させた信号光を送信し、受信側において、前記信号光から同時に発振する前記複数の波長の光を選択して前記データを復調する光通信方法である。
【0021】
請求項11記載の発明は、請求項10に記載の光通信方法において、前記送信側において、同時に発振する前記複数の波長の光を複数組発生させ、該複数組の光を多重化して光ファイバ又は空間を伝播させ、前記受信側において、前記複数組の光から何れかの組を選択し、該選択した組における複数の波長の光を同時に同一の光検出器で直接検波することにより復調する光通信方法である。
【0022】
請求項12記載の発明は、請求項10に記載の光通信方法において、前記レーザ光は、単峰性のモードが同時に発振し、各々のモードの光子の統計分布が熱分布に従い、且つ、該複数のモードの和の光子の総数が一定な統計分布を持つレーザ光である光通信方法である。
【0023】
請求項13記載の発明は、請求項12に記載の光通信方法において、前記熱分布はボーズアインシュタイン分布または複合ポアソン分布であって、前記光子の総数が一定な統計分布はポアソン分布である光通信方法である。
【0024】
請求項14記載の発明は、請求項10に記載の光通信方法において、前記信号光を構成する波長毎又はいくつかの波長の束毎に異なる複数の経路で且つ等距離を伝播させ、前記受信側で前記複数の経路で伝播された光を合波し、同時に発振する前記複数の波長の光を選択して同時に同一の光検出器で直接検波することにより前記データを復調する光通信方法である。
【0025】
請求項15記載の発明は、請求項14に記載の光通信方法において、前記複数の経路は、リング状に形成された伝送路上における互いに逆方向の経路である光通信方法である。
【0026】
請求項16記載の発明は、請求項10に記載の光通信方法において、前記送信側において、前記複数の波長の光の強度を等しく設定する光通信方法である。
【0027】
請求項17記載の発明は、透過中心波長が異なる少なくとも二つのバンドパス光フィルタと利得飽和特性を有する光増幅媒体を含むレーザ発振器であって、前記バンドパス光フィルタの二つの中心波長に一致する単峰性のモードが同時に発振し、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従い、単位時間当たりに発生する光子の総数が一定であるレーザ光を出力するレーザ発振器である。
【0028】
請求項18記載の発明は、請求項17に記載のレーザ発振器において、光学的負帰還素子と、前記光学的負帰還素子に接続され、透過中心波長が異なる複数のバンドパス光フィルタとを具備し、前記複数のバンドパス光フィルタの各透過中心波長に一致する単峰性のモードを同時に発振させ、各々のモードの光子の統計分布が熱分布に従い、且つ、該複数のモードの和の光子の総数が一定な統計分布を持つレーザ発振器である。
【0029】
請求項19記載の発明は、請求項18に記載のレーザ発振器において、前記光学的負帰還素子は利得飽和特性を有する半導体光増幅器であるレーザ発振器である。
【0030】
請求項20記載の発明は、請求項18に記載のレーザ発振器において、前記レーザ発振器は光ファイバを用いたリング共振器で構成され、このリング共振器の光経路の1点を複数の分岐に分割して前記複数のバンドパス光フィルタにそれぞれ入射する分岐器と、前記複数のバンドパス光フィルタの透過光を合波して1本の光ファイバに結合させる結合器とを備え、前記リング共振器内を異なる複数の波長のモードで同時発振させてレーザ光を得るレーザ発振器である。
【0031】
請求項21記載の発明は、請求項18に記載のレーザ発振器において、各々の分岐に設けられ、各分岐を伝搬する光を減衰させる複数の可変光減衰器と、各々のバンドパス光フィルタの透過中心波長の光強度が等しくなるように前記可変光減衰器を調整する制御回路とを備えたレーザ発振器である。
【0032】
請求項22記載の発明は、請求項20に記載のレーザ発振器において、各々の分岐の偏波面を調整してこれら分岐の偏波面をそろえる偏波制御器を前記リング共振器内に配置したレーザ発振器である。
【0033】
請求項23記載の発明は、請求項20に記載のレーザ発振器において、前記リング共振器を構成する前記光ファイバは偏波保持ファイバであり、前記レーザ発振器の光出力が最大となるように前記偏波保持ファイバの偏波状態を調整して接続したレーザ発振器である。
【0034】
請求項24記載の発明は、請求項20に記載のレーザ発振器において、前記光ファイバを伝搬する光の偏波面を前記光学的負帰還素子に整合させる偏波制御器を備えたレーザ発振器である。
【0035】
請求項25記載の発明は、請求項18に記載のレーザ発振器において、前記レーザ発振器はミラーを用いた空間リング共振器で構成され、前記空間リング共振器の光経路の1点を複数の分岐に分割して前記複数のバンドパス光フィルタにそれぞれ入射する分岐器と、前記複数のバンドパス光フィルタの透過光を合波する結合器とを備え、前記空間リング共振器内を異なる複数の波長のモードで同時発振させてレーザ光を得るレーザ発振器である。
【0036】
請求項26記載の発明は、請求項25に記載のレーザ発振器において、各々の分岐に設けられ、各分岐を伝搬する光を減衰させて、各々のバンドパス光フィルタの透過中心波長の光強度を等しくする可変光減衰器を備えたレーザ発振器である。
【0037】
請求項27記載の発明は、請求項18に記載のレーザ発振器において、前記レーザ発振器はミラー及びハーフミラーを用いたファブリペロー型共振器で構成され、前記ファブリペロー型共振器の光経路の1点を複数の分岐に分割して前記複数のバンドパス光フィルタにそれぞれ入射すると共に、前記複数のバンドパス光フィルタの透過光を合波する結合器を備え、前記ファブリペロー型共振器内を異なる複数の波長のモードで同時発振させてレーザ光を得るレーザ発振器である。
【0038】
請求項28記載の発明は、請求項27に記載のレーザ発振器において、各々の分岐に設けられ、各分岐を伝搬する光を減衰させて、各々のバンドパス光フィルタの透過中心波長の光強度を等しくする可変光減衰器を備えたレーザ発振器である。
【0039】
請求項29記載の発明は、透過中心波長が異なる少なくとも二つのバンドパス光フィルタと利得飽和特性を有する光増幅媒体を含み、前記バンドパス光フィルタの二つの中心波長に一致する単峰性のモードが同時に発振し、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従い、単位時間当たりに発生する光子の総数が一定であるレーザ光を出力する複数のレーザ発振器と、前記複数のレーザ発振器がそれぞれ出力するレーザ光に同一データを重畳させて光信号を出力する複数の光変調器と、前記複数の光変調器が出力する複数の前記光信号を多重化して波長多重信号を送信する合波器とを具備する送信機である。
【0040】
請求項30記載の発明は、請求項29に記載の送信機において、同一のレーザ発振器が同時に発振する複数の波長が全て異なる波長群に属するように、前記合波器から出力される波長多重信号に含まれる各波長成分を複数の波長群に分離する分離器と、前記各波長群の光をそれぞれ合波して複数の波長多重信号を生成し、各波長多重信号に対応する伝送路へ送信する複数の合波器とを具備する送信機である。
【0041】
請求項31記載の発明は、送信部が、透過中心波長が異なる少なくとも二つのバンドパス光フィルタと利得飽和特性を有する光増幅媒体を含み、前記バンドパス光フィルタの二つの中心波長に一致する単峰性のモードが同時に発振し、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従い、単位時間当たりに発生する光子の総数が一定であるレーザ光を出力する複数のレーザ発振器と、前記複数のレーザ発振器がそれぞれ出力するレーザ光に同一データを重畳させて光信号を出力する複数の光変調器と、前記複数の光変調器が出力する複数の前記光信号を多重化して波長多重信号を送信する合波器とを具備し、受信部が、単位時間当たりに発生する光子の総数が一定であってなおかつ複数の波長で同時に発振する複数のレーザ光に同一データを重畳して波長多重した光信号を伝送路から受信し、該光信号に含まれる波長成分の中から同時に発振された複数の波長成分の組を選択する選択回路と、選択された複数の波長成分の組の光を合波する合波器と、合波された光を直接検波して復調する復調回路とを具備する受信機である。
【0042】
請求項32記載の発明は、請求項31に記載の受信機において、前記光信号は、同時に発振される複数の波長が全て異なる波長群に属するように、前記波長群毎に異なる伝送路上を伝搬されたものであり、複数の前記伝送路から送られてくる光信号を合波して前記選択回路に出力する合波器を具備する受信機である。
【0043】
請求項33記載の発明は、請求項31に記載の受信機において、前記選択回路で選択された複数の波長成分の光の各々の偏波面を調整する複数の偏波制御器を備えた受信機である。
【0044】
請求項34記載の発明は、請求項31に記載の受信機において、前記選択回路で選択された複数の波長成分の光をそれぞれ遅延させる複数の遅延回路を備えた受信機である。
【0045】
請求項35記載の発明は、送信側で少なくとも二つの波長の光に同一信号を重畳させて光信号を送信し、これらの光信号を多重化して光ファイバ又は空間を伝播させ、受信側で対応する波長の信号を選択して同時に同一光検出器で直接検波することにより復調する光通信システムであって、前記少なくとも二つの波長の光は、単峰性のモードが同時に発振するレーザ光であって、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従うレーザ光を発生させ、光変調器を用いて前記レーザ光にデータを重畳させた信号光を送出する送信機と、前記送信機から送出される前記信号光を伝搬させる伝送路と、前記伝送路から前記信号光を受信して、前記信号光に含まれる前記複数の窓に対応した波長成分の光信号に基づいて前記データを復調する受信機とを具備する光通信システムである。
【0046】
請求項36記載の発明は、請求項35に記載の光通信システムにおいて、前記送信機は、複数の前記レーザ発振器及び複数の前記光変調器を備え、該複数の光変調器が出力する複数の光信号を多重化し前記信号光として送出し、前記受信機は、前記信号光に含まれる波長成分の中から同一のレーザ発振器に設定された前記複数の窓に対応する複数の波長成分を選択し、該複数の波長成分を合波した光信号に基づいて前記データを復調する光通信システムである。
【0047】
請求項37記載の発明は、請求項36に記載の光通信システムにおいて、前記伝送路として複数の伝送路を備え、前記送信機は、同一のレーザ発振器に設定された前記複数の窓に対応する波長成分が全て異なる波長群に属するように、前記多重化された光信号に含まれる各波長成分を複数の波長群に分離し、波長群毎に波長成分を合波して得られる複数の波長多重信号を対応する伝送路へ送信し、前記受信機は、前記複数の伝送路から送られてくる前記波長多重信号を合波して前記信号光として受信する光通信システムである。
【0048】
請求項38記載の発明は、請求項35に記載の光通信システムにおいて、前記光通信システムは、前記送信機および前記受信機の少なくとも一方を具備するノードをリング状に接続したリングネットワークで構成され、前記送信機を具備するノードは、前記信号光に含まれる波長成分の光を前記リングネットワーク上に設定された互いに逆方向の経路へ送信し、前記受信機を具備するノードは、前記リングネットワーク上を周回する波長成分の光のうち、同一のレーザ発振器に設定された前記複数の窓に対応する全ての波長成分を取り出して前記データを復調する光通信システムである。
【0049】
請求項39記載の発明は、請求項35に記載の光通信システムにおいて、前記光通信システムは、前記送信機および前記受信機を備えた複数のノードと、各ノードから前記伝送路を介して送信される前記信号光を前記伝送路を介して全てのノードへ配信する分配装置とを備えたスター型のネットワークで構成され、前記送信機は、該送信機が属するノードに固有な複数の波長成分を含んだ信号光を前記分配装置へ送信し、前記受信機は、前記分配装置から配信された前記信号光に含まれる波長成分の中から、同一のレーザ発振器に設定された前記複数の窓に対応する波長成分の光を取り出して前記データを復調する光通信システムである。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を用いて詳細に説明する。なお、本発明の各実施の形態では2波長同時発振を例に挙げて説明するが3波長以上の多波長同時発振に対しても同様に適用できるのは言うまでもない。
【0051】
まず初めに、図5及び図6を参照して本発明の各実施の形態における基本原理を説明する。同時に発振する異なる波長の単峰性のモードのレーザ光(多波長同時発振のレーザ光)の性質は光子統計により説明できる。
【0052】
光子統計とは、有限の時間スロットT(図6を参照)内に光子を計数する観測系において計数される光子数の頻度の統計をとるもので、図5に示すように、コヒーレント光である正弦波電磁波は理論的にポアソン分布を有する。そして、ポアソン分布の光子統計を有することは、発生する光子の総数ないしはその流れの量(レーザ光の強度に相当)が一定であることを意味する。一方、白色光などのカオス光はボーズアインシュタイン分布となる。ボーズアインシュタイン分布では計数値が小さいほど光子数の頻度が高くなる傾向にあり、光子の観測されない確率が高い分布である。また、ボーズアインシュタイン分布は熱分布の一種であって自然放出光などが有する分布と同様のものである。他方、完全なカオス光でない場合の光子統計はポアソン分布とボーズアインシュタイン分布との間の中間的な分布である複合ポアソン分布となる。
【0053】
2波長同時発振のレーザ光は、図6に示すように、通常の単一モードレーザと同様に安定な光子列を発生するため、光子の波長(白と黒で区別している)に無頓着になれば従来の単一モードレーザ光と同様にポアソン分布を持つ光子統計に従う。しかし、波長毎に光子統計をとると、どの波長の光子をレーザ発振器が発生するかということは完全に(あるいはほぼ完全に)量子力学的に無秩序であるから、各々の波長の光は、カオス光に対応したボーズアインシュタイン分布(あるいは複合ポアソン分布)を呈する光子統計に従う。
【0054】
従って、以上説明したように、2波長で同時に発振するレーザ発振器から発生するレーザ光に対して光フィルタにより分波したり合波したりすることにより、安定な状態から無秩序な状態への移行又はその逆を容易に行える。
【0055】
本発明の各実施の形態では、このような秩序と無秩序の光の状態を利用することにより、量子力学的な光信号のスクランブルを行おうとするものである。即ち、秩序状態でデータの変復調を行い、無秩序状態で光信号を伝送するものであり、伝送過程で盗聴されても量子力学的に無秩序状態であるがゆえに、いかなる人為的な方法でも復調することが許されないのである。
【0056】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係るレーザ発振器の構成図である。図1に示すように、利得飽和特性を有する光増幅媒体としての半導体光増幅器1は、半導体導波路から成る半導体光増幅素子2(光学的負帰還素子)の入出力の双方にコリメートビーム6を形成するコリメート用のレンズ3を介してアイソレータ4を配置し、レンズ3により再び光ファイバ5に結合する構成を有する。
【0057】
半導体光増幅素子2は、半導体レーザと同様に誘導放出による光増幅作用を有するが、反射防止コートや斜め出射端等端面反射を防止するために工夫された構造を備えている。また、出射端面近傍で吸収率を小さくするようなバンドギャップを持つ窓構造を設け、増幅光による端面損傷を防止するようにしている。アイソレータ4は、戻り光を防止するのみならず、このような半導体光増幅素子2が発生する不要な自然放出光がレーザ共振器20全体に広がるのを防止し、一方向のみの光伝播を許す進行波形光増幅器としての機能を発現させている。
【0058】
このような半導体光増幅器1の出射側に光ファイバ5を介して分波器としての方向性結合器7を配置することにより、光の経路を分割する。分割後の分岐の各々にはバンドパス光フィルタ8、分岐された各経路を伝搬する光の偏波面をそろえるための偏波制御器9、パワーモニタ10及び可変光減衰器11を配置し、合分波器としての方向性結合器18により再び合波し、その出力の一方を前記半導体光増幅器1の入力に接続してリング状のレーザ共振器を構成し、他方の出力をレーザ光出力として利用するようにしている。
【0059】
パワーモニタ10は、レンズ12により形成されるコリメートビーム中に配置されたハーフミラー13と、このハーフミラー13による反射光を受光するPD(フォトダイオード)14から成り、光強度に対応した電気信号を出力する。このようなパワーモニタ10は分岐毎に配置されているので、各々の分岐が備えるバンドパス光フィルタ8の透過中心波長に対応したパワーがモニタできる。
【0060】
パワー制御回路15は、以上説明したパワーモニタ10で検出した各々の波長の光強度(モニタ信号16)を元に、各々の発振波長のパワー差を計算し、その差が0となるように可変光減衰器11の減衰量を制御する減衰器制御信号17を発生する。可変光減衰器11は、この減衰器制御信号17を受けて速やかに減衰量を変え、出力が等しい多波長同時発振が可能なレーザ発振器20が実現される。
【0061】
なお、全ての発振波長のパワーを等しくする理由は次の通りである。例えば2波長同時発振する場合に両発振波長のパワーに開きがあると、よりパワーが大きな発振波長の光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布からポアソン分布に近づいてゆく。極端なことを言えば、一方の発振波長のパワーがゼロまたはそれに近くなると他方の発振波長における光子の統計分布は通常のレーザ発振と同様となって容易に盗聴が可能になってしまう。つまり、発振波長間でパワーに差があると光子の統計分布が変わって量子ノイズが少なくなり、その結果データの秘匿性が低くなって盗聴可能性が高まってしまう。それゆえ全ての発振波長のパワーを可能な限り等しくすることが望ましい。
【0062】
このようにして発生させた多波長から成るレーザ光は、全出力としてポアソン分布の光子統計を有するコヒーレントに近い光を発生する一方、各々の波長成分は、無秩序のボーズアインシュタイン分布またはほぼ無秩序の複合ポアソン分布を持つ光子統計に従った光(すなわち、完全なカオス光またはそれに近い光)となっている。ここで、多波長で発振するレーザ光の各波長の光がカオス光またはそれに近い光となるのは以下のような理由によるものである。
【0063】
光子列を構成する光子間に相関がない場合には、光子統計がポアソン分布に従うレーザ光を分岐したとしても、分割されたレーザ光の光子統計はポアソン分布に従うことになる。このレーザ光を通信のキャリアに使えば、伝送過程で信号が減衰してもSN比(信号対雑音比)はそれほど劣化しないため、光増幅によって元の信号を復元することができる。したがって、SN比が実効的に若干低下するものの、光増幅器を用いた多中継により長距離伝送が可能となる。
【0064】
これに対して、2波長(例えば波長λ11及びλ12)で発振する本実施形態のレーザでは、誘導放出により波長λ11の光子が発生した場合に、これに続いて発生する光子の波長は波長λ12となる確率よりも波長λ11となる確率が高くなる。このことは、本実施形態のレーザでは光子列を構成する光子間に時間的な相関があることを意味している。こうした光子間の相関によって、多波長同時発振のレーザ光の各波長の光がカオス光またはそれに近い光になると考えられる。なお、以上のような現象によく似た確率過程として、2つの窓口に人が並ぶときに長い列よりも短い列の方に人が並びやすいという現象を挙げることができる。
【0065】
バンドパス光フィルタ8に連続波長可変フィルタを用いることにより、任意の多波長でレーザ発振が可能である。
【0066】
なお、以上説明したリング状のレーザ発振器20において、光ファイバを全て偏波保持ファイバに置き換えるようにしてもよい。この場合、偏波面が最適になるように調整しながら、即ち、レーザ発振器20の光出力が最大となるように偏波状態を調整して偏波保持ファイバを接続することにより上記のような構成のレーザ共振器をつくれば、偏波制御器9を省略して同様の作用を得ることができる。
【0067】
また、上述した説明ではレーザ光の全出力がポアソン分布に従うものとしたがこれに限定されるものではない。通常、レーザ発振している状態では全モードの和の光子の統計分布はポアソン分布に従う。しかし、レーザ発振の閾値よりもわずかに下のところでレーザ発振器を動作させると、上記統計分布はポアソン分布とはならず、図5に示したポアソン分布よりも幅の狭いサブポアソン分布を呈する。こうしたサブポアソン分布であってもポアソン分布と同様の作用を得ることができる。
【0068】
(第2の実施の形態)
図2は本発明の第2の実施の形態に係る光通信方法を説明する図である。図2に示すように、光通信システムは伝送路28を介して送信部及び受信部が配置された構成となっている。送信部では、例えば上記第1の実施の形態で示したレーザ発振器20を複数配置し、これらのレーザ発振器20により、λi1,λi2(i=1,2,・・・,n)など(ここでは2波長同時発振の)レーザ光を発生するようになっている。なお、これら2n個の波長は互いに異なる値に設定される。このレーザ光に対し、送信すべきデータに基づいて光変調器21により、2波長同時にコーディングして光信号を生成し、更に合波器23により、それらを多重化して伝送路28を介して一括伝送する。
【0069】
受信部では、分波器24により全ての波長成分を一旦分波するようになっている。分波器24としては、例えば、アレイ導波路格子を用いた波長合分波器が利用できる。分離できる波長は決まっているので、送信部に配置されたレーザ発振器20の発振波長を受信部における分離波長にあらかじめ整合させておく必要がある。
【0070】
そして、2×N光スイッチ25を分波器24の後に配置し、分波器24で分波された波長成分λ1,λ2,・・・,λNの中からもとのレーザ発振器20が発生する二つの波長に対応したものを選択するようになっている。選択した波長に対応する光出力は方向性結合器26により合波され、その出力の一方がPD27に入力されて直接検波を行い、データを復調する。なお、上述したλ11〜λn2とλ1〜λNとの間では N=2nの関係が成立すると共に、送信部側の各波長(例えばλn2)と受信部側の波長のうちの何れか(例えばλ1)とが一対一に対応している。
【0071】
ここで、どの波長を選択するかはあらかじめ秘匿情報として送受信双方で了解している事項である。一方、波長毎に単独に信号を受信しても雑音しか検出できない。このため、前記の了解事項を知らなければ、正しい波長を多くの多重化された光信号の中から選択することは容易でない。
【0072】
(第3の実施の形態)
図3及び図4は本発明の第3の実施の形態に係る光通信方法を説明する図である。図3は送信部の構成であり、レーザ発振器20により2波長で同時発振するレーザ光を光変調器21でコーディングすることによりデータを重畳して光信号を得る手段を複数設けるところは上記第2の実施の形態と同じである。
【0073】
これらの光信号を合波器23で合波し、分波器24で分波して各々の波長成分λ1,λ2,・・・,λNに分離した後、同時発振する二つの波長λi1とλi2(i=1,2,・・・,n)が分離するようにN×N光スイッチ31で二つの波長群λ11,λ21,・・・,λn1とλ12,λ22,・・・,λn2に組み替える。更に、二つの合波器32,33により、それら二つの波長群を各々合波して波長多重信号を生成し、これらをそれぞれの伝送路34,35に入れて独立の光経路を等距離伝播させる。なお、等距離伝播にあたりコヒーレンス長以下の距離差は誤差として許容できる。
【0074】
図4はこれら二つの波長多重信号からデータを復調する受信部の構成である。図4に示すように、受信部では、伝送路34,35によってそれぞれ伝播されてきた二つの波長多重信号を方向性結合器36により合波し、更に、アレイ導波路格子等の分波器37により各々の波長成分λ1,λ2,・・・,λNに分離する。その後、分波器37の後に配置した2×N光スイッチ38により、分波器37で分波された波長成分λ1,λ2,・・・,λNの中からもとのレーザ発振器20が発振する二つの波長に対応した波長の組を選択して再び方向性結合器39により合波し、PD40により直接検波してデータを復調する。このとき、正しい波長の組は上記第2の実施の形態と同様に秘匿情報としてあらかじめ受信部に周知されている。
【0075】
このような第3の実施の形態では、伝送路34,35を物理的に隔絶することにより、対となる二つの波長の信号光を同時に得ることはできなくなるため、盗聴によるデータの不正取得を完全に防止することができる。
【0076】
(第4の実施の形態)
本実施形態は図2(第2の実施の形態)に示した光通信システムにおける受信部の他の実施の形態である。図7は本実施の形態による受信部の構成を示すブロック図である。なお、図7では図2に示したものと同じ構成要素には同一の符号を付してある。本実施の形態の特徴は、図2に示した2×N光スイッチ25と方向性結合器26との間を結ぶ各経路上に偏波制御器を設けたことにある。
【0077】
第1の実施の形態で述べたように、図1に示したレーザ発振器20では偏波制御器9を用いて分岐された各経路を伝搬する光の偏波面をそろえている。それゆえ、図2に示したように波長多重信号を同一の伝送路28(同一の光ファイバ)上で伝送させる構成では、偏波面が同時に変化するため偏波制御器は本来必要ない。しかしながら、受信部内において波長毎に異なる偏波特性で偏波面が変化する可能性もあり、それによって波長毎に偏波面が異なってくる場合がある。これを補償するために偏波制御器を設けることが必要となってくる。
【0078】
図7において、方向性結合器41及び波長選択フィルタ42,42が図2の分波器24及び2×N光スイッチ25に対応する。すなわち、方向性結合器41を用いて伝送路28からの波長多重信号を2方向に分岐し、波長選択フィルタ42,42でそれぞれ波長λi1、λi2の波長成分を選択する。これにより、図2と同様に2つの波長成分が選択されると共に各波長成分に分波される。偏波制御器43,43は波長選択フィルタ42,42から出力される各波長成分の偏波面をそろえて方向性結合器26に出力する。光増幅器44は方向性結合器26が合波した波長多重信号を増幅して光検出器45に出力する。光検出器45は図2に示したPD27に相当し、光増幅器44の出力を直接検波して電気信号に変換する。復調回路46は光検出器45から出力される電気信号をもとに送信側が送出したデータを復調する。なお、光増幅器44及び復調回路46は図2では図示を省略している。
【0079】
(第5の実施の形態)
本実施形態は図4(第3の実施の形態)に示した光通信システムにおける受信部の他の実施の形態である。図8は本実施の形態による受信部の構成を示すブロック図である。なお、図8では図4又は図7に示したものと同じ構成要素には同一の符号を付してある。本実施の形態の特徴は、第4の実施の形態と同様に2つの経路上に偏波制御器43を設けたことに加えて、図4に示した2×N光スイッチ38と方向性結合器39との間を結ぶ2つの経路上にそれぞれ可変遅延線等で構成される遅延回路を設けたことにある。
【0080】
図4に示したように経路毎に波長を分けて異なる伝送路上で波長多重信号を伝搬させる場合にも、第4の実施の形態で説明したように受信部内における波長毎の偏波特性が相違する可能性がある。したがって本実施の形態においても偏波制御器43を各経路に設けるようにしている。
【0081】
また、上記のように経路毎に波長を分けて異なる伝送路上で波長多重信号を伝搬させると、各経路を伝搬する光の偏波面が互いにずれてくる可能性がある。ここで、上述した第3の実施の形態では、受信部側で選択される2つの波長成分の光が同時に検波されるように等距離伝搬させて、これら波長成分の光の強度の和をある一定値に保つようにしている。ところが、経路毎の伝搬距離の相違等に起因して経路毎の伝搬時間が互いに異なってくる可能性がある。そうした場合、複数の経路からの光の強度の和が上記一定値に保たれなくなる。これを補償するために上記の遅延回路が必要となってくる。
【0082】
図8において、波長選択フィルタ42,42が図4の方向性結合器36,分波器37及び2×N光スイッチ38に対応する。すなわち、波長選択フィルタ42,42は伝送路34,35より送られてくる波長多重信号からそれぞれ波長λi1、λi2の波長成分を選択する。可変遅延線47,47は波長選択フィルタ42,42で選択された各波長成分の光信号をそれぞれ遅延させて、これら波長成分の光信号が偏波制御器43,43へ同時に到達するようにする。なお、偏波制御器43以降の構成およびその動作は第4の実施の形態と同様である。
【0083】
なお、図8では偏波制御器43および可変遅延線47の双方を設けているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて適宜配置すれば良い。したがって、可変遅延線47を設けずに偏波制御器43を設ける構成としても良い。あるいは、偏波制御器43を設けずに可変遅延線47を設ける構成としても良い。
【0084】
(第6の実施の形態)
図9は本実施の形態に係るレーザ発振器の構成を示すブロック図であって、ファイバリング型のものである。同図では図1(第1の実施の形態)に示したものと同じ構成要素に同一の符号を付してある。本実施の形態では図1のレンズ3及びレンズ12に相当するものを設けていない。また、図1ではアイソレータ4を半導体光増幅素子2の入出力側に設けているが、本実施の形態では半導体光増幅素子2の出力側にのみアイソレータ4を設けている。
【0085】
さらに、本実施の形態では方向性結合器18の出力と半導体光増幅素子2の入力との間に偏波制御器51及びファイバ増幅器52を配置している。偏波制御器51は光ファイバ5を伝搬する光の偏波面を半導体光増幅素子2に整合させる。ファイバ増幅器52はファイバリングを周回することで減衰する光を増幅する。このほか本実施の形態では、図1のハーフミラー13に代えて光分岐器53を設けている。本実施の形態によるレーザ発振器は第1の実施の形態によるレーザ発振器と基本的に同様に動作するためその説明を省略する。なお、レーザ出力として十分な強度が得られるのであればファイバ増幅器52を省略しても良い。
【0086】
(第7の実施の形態)
図10は本実施の形態に係るレーザ発振器の構成を示すブロック図であって、空間リング型のものである。同図では図1(第1の実施の形態)に示したものと同じ構成要素に同一の符号を付してある。本実施の形態では、第1の実施の形態のように光信号を光ファイバ5により伝搬させるのではなく、光信号を空間中で伝搬させて6個のミラー61により光信号の伝搬経路を形成している。また、本実施の形態では図1の方向性結合器7に代えてビームスプリッタ62を配置して光の経路を2つに分岐している。
【0087】
さらに、本実施の形態では図1の方向性結合器18に代えてビームスプリッタ63を配置し、分岐された2つの経路を伝搬してきた光信号を合波してその一方の出力を空間リングに戻し、他方の出力をレーザ出力として取り出している。本実施の形態のような空間系では偏波の回転が起こらないため、図1の偏波制御器9に相当する偏波制御器は必要ない。また図10では図示を省略したが、可変光減衰器11の減衰量を調整するための回路として、図1に示したレンズ12,ハーフミラー13,PD14及びパワー制御回路15と同様の構成を設けても良い。
【0088】
本実施の形態によるレーザ発振器は機能的には第1の実施の形態と等価である。半導体光増幅素子2から出力された光信号がレンズ3を介してミラー61,61で順次反射されたのち、アイソレータ4を通過してビームスプリッタ62で2方向に分岐される。分岐された一方の光はミラー61で反射され、可変光減衰器11で所定量減衰されてからバンドパス光フィルタ8で例えば波長成分λi1が選択される。また、分岐された他方の光は可変光減衰器11で減衰されたのち、バンドパス光フィルタ8で例えば波長成分λi2が選択されてからミラー61で反射される。選択された波長成分λi1及びλi2の光信号はビームスプリッタ63で合波され、その一部がレーザ出力として取り出されると共に、残りがミラー61,61で順次反射されてレンズ3を介して半導体光増幅素子2へ入力される。
【0089】
(第8の実施の形態)
図11は本実施の形態に係るレーザ発振器の構成を示したブロック図であって、ファブリペロー型のものである。同図では図1(第1の実施の形態)又は図10(第7の実施の形態)に示したものと同じ構成要素に同一の符号を付してある。第7の実施の形態では光信号を空間リング上で一方向のみに周回させるためにアイソレータ4を設けていたが、本実施の形態ではミラーを用いて光信号を往復させるためこうしたアイソレータは必要ない。また、本実施の形態も空間伝播型であるため偏波制御器9に相当するものは必要ない。
【0090】
さらに、本実施の形態では図10に示したビームスプリッタ62及び63の代わりにビームスプリッタ71を配置している。ビームスプリッタ71はレンズ3を介して半導体光増幅素子2から出力される光信号を2つの経路へ分岐すると共に、これら2つの経路から戻ってくる光信号を合波し、レンズ3を介して半導体光増幅素子2へ出力する。さらに、図10ではビームスプリッタ63が空間リングからレーザ出力を取り出していたが、本実施の形態では半導体増幅素子2を挟んでビームスプリッタ71と反対側にハーフミラー72を配置している。ハーフミラー72は、レンズ3を介して半導体光増幅素子2から出力される光信号の一部をレーザ出力として取り出すと共に残りを半導体光増幅素子2側へ戻す。なお、可変光減衰器11の減衰量を調整するための回路を設けても良いことは第7の実施の形態と同様である。
【0091】
本実施の形態によるレーザ発振器は機能的には第1の実施の形態や第7の実施の形態と等価である。半導体光増幅素子2から出力された光信号はレンズ3を通ってビームスプリッタ71で分岐される。分岐された2つの光信号は第7の実施の形態と同様にしてバンドパス光フィルタ8で波長成分が選択され可変光減衰器11によってそれぞれの所定量減衰される。この後、2つの光信号はそれぞれミラー61,61で反射されて今まで通ってきた経路を逆方向に伝搬してビームスプリッタ71で合波されたのち、レンズ3を介して半導体光増幅素子2に入力される。そして半導体光増幅素子2から出力された光はハーフミラー72で一部がレーザ出力として取り出され、残りが反射されて再び半導体光増幅素子2へ入力される。なお、可変光減衰器11の減衰量を調整するための回路を設けても良いことは第7の実施の形態と同様である。
【0092】
(第9の実施の形態)
図12は本実施の形態に係る光通信システムの構成を示したブロック図であって、トポロジーとして光リングを採用したネットワークである。同図において符号101〜106は光リングネットワークを構成するノードであって、各ノードは上記各実施の形態で説明した送信部及び受信部(図12では図示を省略)を具備している。なお、各ノードは送信部又は受信部の一方のみを備えていても良い。また、符号107は図8に示した可変遅延線47を構成する光ファイバである。
【0093】
また、符号111及び112は光リングネットワーク上で各波長成分が伝送される論理的な経路を示したものである。例えばノード101が波長成分λ11及びλ12を含む信号光を出力することを想定すると、波長成分λ11は経路111上を時計方向に周回し、波長成分λ12は経路112上を波長成分λ11とは逆向き(すなわち反時計方向)に周回する。なお、経路111及び112は1本の光ファイバで実現しても良いし、異なる2本の光ファイバで実現していても良い。
【0094】
いま、ノード101からノード103へデータを送信することを想定する。送信側のノード101が光信号にデータを重畳させ、波長成分λ11及びλ12を含む光信号光をそれぞれ別々の経路111,112へ送出すると、これら信号光は経路111,112上を周回するようになる。ここで、経路111から波長成分λ11を含む信号光を取り出しても符号113に示したように雑音状態となってデータを復調することはできない。このことは、符号114に示すように、経路112から波長成分λ12を含む信号光を取り出しても同様である。一方、受信側のノード103は秘匿情報として波長成分λ11及びλ12を選択することが通知されているため、これら2つの波長成分を選択して合波することで、符号115に示したように雑音の無い信号光が得られてデータを復調することができる。
【0095】
(第10の実施の形態)
図13は本実施の形態に係る光通信システムの構成を示したブロック図であって、トポロジーとしてスター型を採用したネットワークである。同図において符号121−1〜121−Nはスター型光リングネットワークを構成するノードであって、各ノードは上述した各実施の形態で説明した送信部及び受信部としてそれぞれ送信機122及び受信機123を備えている。また、送信機122は各ノードに固有な波長成分の光信号を送信する。すなわち、ノード121−1は波長成分λ11及びλ12の光信号を送信し、以下同様に、ノード121−NはλN1及びλN2の光信号を送信する。符号124はN×Nスターカプラであって、例えばN×1スターカプラ125及び126を組み合わせることで実現可能である。
【0096】
いま、例えばノード121−1がデータを重畳させた波長成分λ11及びλ12の光信号を出力すると、この光信号はN×1スターカプラ125を介してN×1スターカプラ124に伝搬し、N×1スターカプラ124はこの光信号を全てのノード121−1〜121−Nへ配信する。同様にして、ノード121−2〜121−Nが送出する波長成分λ21〜λN2の光信号も全てのノードへ配信される。そして、秘匿情報として波長成分λ11及びλ12を選択することが知らされているノードは、受信機123で受信した光信号から波長成分λ11及びλ12を選択してそれらを合波し直線検波することで、ノード121−1が送信したデータを復調できる。
【0097】
なお、上述した各実施の形態を適宜組み合わせても良いのは言うまでもない。
【0098】
(実験例)
図14は送信側に設けたレーザ発振器が出力するレーザ光の測定結果を示した説明図である。左端のグラフはレーザ光の全出力に関して、時間波形(横軸:時間,縦軸:光強度[任意単位])及びパワースペクトル(横軸:頻度,縦軸:確率分布関数(PDF)の計数)を示している。同グラフから通常のレーザ発振と同様にポアソン分布を持ったパワースペクトルを有していることが分かる。なお、出力光に含まれる波長成分は1585[nm](図ではch.1)及び1565[nm](図ではch.2)に設定している。また、中央及び右端のグラフは、2つに分岐されたch.1側及びch.2側についてそれぞれ時間波形とパワースペクトルとを示したものであって、いずれもカオス光が検出されている。
【0099】
図15は分岐された2つの経路からの光信号を受信側で合波して直接検波したときの測定結果であって、図14と同様に時間波形及びパワースペクトルを示したものである。図示から分かるように、2つの波長成分の光強度はほぼ等しく、また、送信側に比べて光強度は低下しているものの、送信側とほぼ同様のポアソン分布を持ったスペクトルが観測されている。なお、実験では送信するデータで変調しなかったため図14及び図15ではアイパターンが開いていないが、変調をすることによってアイパターンが開いてくる。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、量子的な揺らぎを利用して人為的に再生困難な二つ又はそれ以上の雑音に信号光を分離する。このため、一つの波長に着目して受信してもカオス的な雑音成分が検出されるのみである。従って、盗聴によるデータの復調をほぼ完全に阻止することができる。更に、一つの信号光を複数の波長成分に分離した後、それぞれ異なる経路を伝播させることにより、盗聴によるデータ復調の可能性を物理的にも完全に排除し、極めて高い信頼性のある通信サービスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係るレーザ発振器の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第2の実施の形態に係る光通信方法を説明するブロック図である。
【図3】 本発明の第3の実施の形態に係る光通信方法を説明する送信側のブロック図である。
【図4】 本発明の第3の実施の形態に係る光通信方法を説明する受信側のブロック図である。
【図5】 同時に発振する異なる波長の単峰性のモードのレーザ光の性質を光子統計により説明する図である。
【図6】 同時に発振する異なる波長の単峰性のモードのレーザ光の性質を光子統計により説明する図である。
【図7】 本発明の第4の実施の形態に係る光通信方法を説明する受信側の構成を示すブロック図である。
【図8】 本発明の第5の実施の形態に係る光通信方法を説明する受信側の構成を示すブロック図である。
【図9】 本発明の第6の実施の形態に係るレーザ発振器の構成を示すブロック図である。
【図10】 本発明の第7の実施の形態に係るレーザ発振器の構成を示すブロック図である。
【図11】 本発明の第8の実施の形態に係るレーザ発振器の構成を示すブロック図である。
【図12】 本発明の第9の実施の形態に係る光通信システムの構成を示すブロック図である。
【図13】 本発明の第10の実施の形態に係る光通信システムの構成を示すブロック図である。
【図14】 本発明の実験結果を示す説明図である。
【図15】 本発明の実験結果を示す説明図である。
【符号の説明】
1 半導体光増幅器
2 半導体光増幅素子
3 レンズ
4 アイソレータ
5 光ファイバ
6 コリメートレンズ
7 方向性結合器
8 バンドパス光フィルタ
9 偏波制御器
10 パワーモニタ
11 可変光減衰器
12 レンズ
13 ハーフミラー
14 PD(フォトダイオード)
15 パワー制御回路
16 モニタ信号
17 減衰器制御信号
18 方向性結合器
20 レーザ発振器
21 光変調器
23 合波器
24 分波器
25 2×N光スイッチ
26 方向性結合器
27 PD(フォトダイオード)
28 伝送路
31 N×N光スイッチ
32,33 合波器
34,35 伝送路
36 方向性結合器
37 分波器
38 2×N光スイッチ
39 方向性結合器
40 PD(フォトダイオード)
41 方向性結合器
42 波長選択フィルタ
43 偏波制御器
44 光増幅器
45 光検出器
46 復調回路
47 可変遅延線
51 偏波制御器
52 ファイバ増幅器
53 光分岐器
61 ミラー
62,63,71 ビームスプリッタ
72 ハーフミラー
101〜106 ノード
107 光ファイバ
111,112 経路
121−1〜121−4,121−N ノード
122 送信機
123 受信機
124 N×Nスターカプラ
125,126 N×1スターカプラ

Claims (39)

  1. 送信側で少なくとも二つの波長の光に同一信号を重畳させて光信号を送信し、これらの光信号を多重化して光ファイバ又は空間を伝播させ、受信側で対応する波長の信号を選択して同時に同一光検出器で直接検波することにより復調する光通信方法であって、
    前記少なくとも二つの波長の光は、単峰性のモードが同時に発振するレーザ光であって、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従うレーザ光であることを特徴とする光通信方法。
  2. 請求項1に記載の光通信方法において、
    信号光を構成する波長毎又はいくつかの波長の束毎に異なる経路で且つ等距離を伝播させ、受信地点で合波して同時に同一光検出器で直接検波することにより復調することを特徴とする光通信方法。
  3. 請求項1又は2に記載の光通信方法において、
    前記少なくとも二つの波長の光の強度が等しくなるようにすることを特徴とする光通信方法。
  4. 透過中心波長が異なる少なくとも二つのバンドパス光フィルタと利得飽和特性を有する光増幅媒体を含むレーザ発振器であって、
    前記バンドパス光フィルタの二つの中心波長に一致する単峰性のモードが同時に発振し、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従うことを特徴とするレーザ発振器。
  5. 請求項4に記載のレーザ発振器において、
    利得飽和特性を有する光増幅媒体は半導体光増幅器であることを特徴とするレーザ発振器。
  6. 請求項4又は5に記載のレーザ発振器において、
    透過中心波長が異なる少なくとも二つのバンドパス光フィルタと利得飽和特性を有する光増幅媒体を含むレーザ発振器は光ファイバを用いたリング共振器で構成され、このリング共振器の光経路の1点を分岐して前記バンドパス光フィルタにそれぞれ入射し、その透過光を再び合波して1本の光ファイバに結合させることによりリング共振器内を異なる二つの波長のモードで同時発振させてレーザ光を得ることを特徴とするレーザ発振器。
  7. 請求項6に記載のレーザ発振器において、
    各々の分岐に可変光減衰器を備え、各々のバンドパス光フィルタの透過中心波長の光強度が等しくなるように前記可変光減衰器を調整することを特徴とするレーザ発振器。
  8. 請求項6又は7に記載のレーザ発振器において、
    リング共振器内に偏波制御器を配置したことを特徴とするレーザ発振器。
  9. 請求項6又は7に記載のレーザ発振器において、
    リング共振器を構成する光ファイバは偏波保持ファイバであり、レーザ発振器の光出力が最大となるように偏波状態を調整して接続したことを特徴とするレーザ発振器。
  10. 送信側で複数の波長の光に同一信号を重畳させて光信号を送信し、これらの光信号を多重化して光ファイバ又は空間を伝播させ、受信側で対応する波長の信号を選択して同時に同一光検出器で直接検波することにより復調する光通信方法であって、
    前記複数の波長の光は、単峰性のモードが同時に発振するレーザ光であって、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従うレーザ光であり、
    送信側において、単位時間当たりに発生する光子の総数が一定であってなおかつ前記複数の波長で同時に発振するレーザ光を発生させ、前記複数の波長の光に同一のデータを重畳させた信号光を送信し、
    受信側において、前記信号光から同時に発振する前記複数の波長の光を選択して前記データを復調することを特徴とする光通信方法。
  11. 請求項10に記載の光通信方法において、
    前記送信側において、同時に発振する前記複数の波長の光を複数組発生させ、該複数組の光を多重化して光ファイバ又は空間を伝播させ、
    前記受信側において、前記複数組の光から何れかの組を選択し、該選択した組における複数の波長の光を同時に同一の光検出器で直接検波することにより復調することを特徴とする光通信方法。
  12. 請求項10に記載の光通信方法において、前記レーザ光は、単峰性のモードが同時に発振し、各々のモードの光子の統計分布が熱分布に従い、且つ、該複数のモードの和の光子の総数が一定な統計分布を持つレーザ光であることを特徴とする光通信方法。
  13. 請求項12に記載の光通信方法において、前記熱分布はボーズアインシュタイン分布または複合ポアソン分布であって、前記光子の総数が一定な統計分布はポアソン分布であることを特徴とする光通信方法。
  14. 請求項10に記載の光通信方法において、
    前記信号光を構成する波長毎又はいくつかの波長の束毎に異なる複数の経路で且つ等距離を伝播させ、
    前記受信側で前記複数の経路で伝播された光を合波し、同時に発振する前記複数の波長の光を選択して同時に同一の光検出器で直接検波することにより前記データを復調することを特徴とする光通信方法。
  15. 請求項14に記載の光通信方法において、前記複数の経路は、リング状に形成された伝送路上における互いに逆方向の経路であることを特徴とする光通信方法。
  16. 請求項10に記載の光通信方法において、前記送信側において、前記複数の波長の光の強度を等しく設定することを特徴とする光通信方法。
  17. 透過中心波長が異なる少なくとも二つのバンドパス光フィルタと利得飽和特性を有する光増幅媒体を含むレーザ発振器であって、
    前記バンドパス光フィルタの二つの中心波長に一致する単峰性のモードが同時に発振し、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従い、単位時間当たりに発生する光子の総数が一定であるレーザ光を出力することを特徴とするレーザ発振器。
  18. 請求項17に記載のレーザ発振器において、
    光学的負帰還素子と、
    前記光学的負帰還素子に接続され、透過中心波長が異なる複数のバンドパス光フィルタとを具備し、
    前記複数のバンドパス光フィルタの各透過中心波長に一致する単峰性のモードを同時に発振させ、各々のモードの光子の統計分布が熱分布に従い、且つ、該複数のモードの和の光子の総数が一定な統計分布を持つことを特徴とするレーザ発振器。
  19. 請求項18に記載のレーザ発振器において、前記光学的負帰還素子は利得飽和特性を有する半導体光増幅器であることを特徴とするレーザ発振器。
  20. 請求項18に記載のレーザ発振器において、
    前記レーザ発振器は光ファイバを用いたリング共振器で構成され、
    このリング共振器の光経路の1点を複数の分岐に分割して前記複数のバンドパス光フィルタにそれぞれ入射する分岐器と、
    前記複数のバンドパス光フィルタの透過光を合波して1本の光ファイバに結合させる結合器とを備え、
    前記リング共振器内を異なる複数の波長のモードで同時発振させてレーザ光を得ることを特徴とするレーザ発振器。
  21. 請求項18に記載のレーザ発振器において、
    各々の分岐に設けられ、各分岐を伝搬する光を減衰させる複数の可変光減衰器と、
    各々のバンドパス光フィルタの透過中心波長の光強度が等しくなるように前記可変光減衰器を調整することを特徴とする制御回路とを備えたレーザ発振器。
  22. 請求項20に記載のレーザ発振器において、
    各々の分岐の偏波面を調整してこれら分岐の偏波面をそろえる偏波制御器を前記リング共振器内に配置したことを特徴とするレーザ発振器。
  23. 請求項20に記載のレーザ発振器において、
    前記リング共振器を構成する前記光ファイバは偏波保持ファイバであり、前記レーザ発振器の光出力が最大となるように前記偏波保持ファイバの偏波状態を調整して接続したことを特徴とするレーザ発振器。
  24. 請求項20に記載のレーザ発振器において、
    前記光ファイバを伝搬する光の偏波面を前記光学的負帰還素子に整合させる偏波制御器を備えたことを特徴とするレーザ発振器。
  25. 請求項18に記載のレーザ発振器において、
    前記レーザ発振器はミラーを用いた空間リング共振器で構成され、
    前記空間リング共振器の光経路の1点を複数の分岐に分割して前記複数のバンドパス光フィルタにそれぞれ入射する分岐器と、
    前記複数のバンドパス光フィルタの透過光を合波する結合器とを備え、
    前記空間リング共振器内を異なる複数の波長のモードで同時発振させてレーザ光を得ることを特徴とするレーザ発振器。
  26. 請求項25に記載のレーザ発振器において、
    各々の分岐に設けられ、各分岐を伝搬する光を減衰させて、各々のバンドパス光フィルタの透過中心波長の光強度を等しくする可変光減衰器を備えたことを特徴とするレーザ発振器。
  27. 請求項18に記載のレーザ発振器において、
    前記レーザ発振器はミラー及びハーフミラーを用いたファブリペロー型共振器で構成され、
    前記ファブリペロー型共振器の光経路の1点を複数の分岐に分割して前記複数のバンドパス光フィルタにそれぞれ入射すると共に、前記複数のバンドパス光フィルタの透過光を合波する結合器を備え、
    前記ファブリペロー型共振器内を異なる複数の波長のモードで同時発振させてレーザ光を得ることを特徴とするレーザ発振器。
  28. 請求項27に記載のレーザ発振器において、
    各々の分岐に設けられ、各分岐を伝搬する光を減衰させて、各々のバンドパス光フィルタの透過中心波長の光強度を等しくする可変光減衰器を備えたことを特徴とするレーザ発振器。
  29. 透過中心波長が異なる少なくとも二つのバンドパス光フィルタと利得飽和特性を有する光増幅媒体を含み、前記バンドパス光フィルタの二つの中心波長に一致する単峰性のモードが同時に発振し、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従い、単位時間当たりに発生する光子の総数が一定であるレーザ光を出力する複数のレーザ発振器と、
    前記複数のレーザ発振器がそれぞれ出力するレーザ光に同一データを重畳させて光信号を出力する複数の光変調器と、
    前記複数の光変調器が出力する複数の前記光信号を多重化して波長多重信号を送信する合波器とを具備することを特徴とする送信機。
  30. 請求項29に記載の送信機において、
    同一のレーザ発振器が同時に発振する複数の波長が全て異なる波長群に属するように、前記合波器から出力される波長多重信号に含まれる各波長成分を複数の波長群に分離する分離器と、
    前記各波長群の光をそれぞれ合波して複数の波長多重信号を生成し、各波長多重信号に対応する伝送路へ送信する複数の合波器とを具備することを特徴とする送信機。
  31. 送信部が、
    透過中心波長が異なる少なくとも二つのバンドパス光フィルタと利得飽和特性を有する光増幅媒体を含み、前記バンドパス光フィルタの二つの中心波長に一致する単峰性のモードが同時に発振し、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従い、単位時間当たりに発生する光子の総数が一定であるレーザ光を出力する複数のレーザ発振器と、
    前記複数のレーザ発振器がそれぞれ出力するレーザ光に同一データを重畳させて光信号を出力する複数の光変調器と、
    前記複数の光変調器が出力する複数の前記光信号を多重化して波長多重信号を送信する合波器とを具備し、
    受信部が、
    単位時間当たりに発生する光子の総数が一定であってなおかつ複数の波長で同時に発振する複数のレーザ光に同一データを重畳して波長多重した光信号を伝送路から受信し、該光信号に含まれる波長成分の中から同時に発振された複数の波長成分の組を選択する選択回路と、
    選択された複数の波長成分の組の光を合波する合波器と、
    合波された光を直接検波して復調する復調回路と
    を具備することを特徴とする受信機。
  32. 請求項31に記載の受信機において、
    前記光信号は、同時に発振される複数の波長が全て異なる波長群に属するように、前記波長群毎に異なる伝送路上を伝搬されたものであり、
    複数の前記伝送路から送られてくる光信号を合波して前記選択回路に出力する合波器を具備することを特徴とする受信機。
  33. 請求項31に記載の受信機において、
    前記選択回路で選択された複数の波長成分の光の各々の偏波面を調整する複数の偏波制御器を備えたことを特徴とする受信機。
  34. 請求項31に記載の受信機において、
    前記選択回路で選択された複数の波長成分の光をそれぞれ遅延させる複数の遅延回路を備えたことを特徴とする受信機。
  35. 送信側で少なくとも二つの波長の光に同一信号を重畳させて光信号を送信し、これらの光信号を多重化して光ファイバ又は空間を伝播させ、受信側で対応する波長の信号を選択して同時に同一光検出器で直接検波することにより復調する光通信システムであって、
    前記少なくとも二つの波長の光は、単峰性のモードが同時に発振するレーザ光であって、各々のモードの光子の統計分布がボーズアインシュタイン分布に従い、且つ、それら二つのモードの和の光子の統計分布がポアソン分布に従うレーザ光を発生させ、光変調器を用いて前記レーザ光にデータを重畳させた信号光を送出する送信機と、
    前記送信機から送出される前記信号光を伝搬させる伝送路と、
    前記伝送路から前記信号光を受信して、前記信号光に含まれる前記複数の窓に対応した波長成分の光信号に基づいて前記データを復調する受信機とを具備することを特徴とする光通信システム。
  36. 請求項35に記載の光通信システムにおいて、
    前記送信機は、複数の前記レーザ発振器及び複数の前記光変調器を備え、該複数の光変調器が出力する複数の光信号を多重化し前記信号光として送出し、
    前記受信機は、前記信号光に含まれる波長成分の中から同一のレーザ発振器に設定された前記複数の窓に対応する複数の波長成分を選択し、該複数の波長成分を合波した光信号に基づいて前記データを復調することを特徴とする光通信システム。
  37. 請求項36に記載の光通信システムにおいて、
    前記伝送路として複数の伝送路を備え、
    前記送信機は、同一のレーザ発振器に設定された前記複数の窓に対応する波長成分が全て異なる波長群に属するように、前記多重化された光信号に含まれる各波長成分を複数の波長群に分離し、波長群毎に波長成分を合波して得られる複数の波長多重信号を対応する伝送路へ送信し、
    前記受信機は、前記複数の伝送路から送られてくる前記波長多重信号を合波して前記信号光として受信することを特徴とする光通信システム。
  38. 請求項35に記載の光通信システムにおいて、
    前記光通信システムは、前記送信機および前記受信機の少なくとも一方を具備するノードをリング状に接続したリングネットワークで構成され、
    前記送信機を具備するノードは、前記信号光に含まれる波長成分の光を前記リングネットワーク上に設定された互いに逆方向の経路へ送信し、
    前記受信機を具備するノードは、前記リングネットワーク上を周回する波長成分の光のうち、同一のレーザ発振器に設定された前記複数の窓に対応する全ての波長成分を取り出して前記データを復調することを特徴とする光通信システム。
  39. 請求項35に記載の光通信システムにおいて、
    前記光通信システムは、前記送信機および前記受信機を備えた複数のノードと、各ノードから前記伝送路を介して送信される前記信号光を前記伝送路を介して全てのノードへ配信する分配装置とを備えたスター型のネットワークで構成され、
    前記送信機は、該送信機が属するノードに固有な複数の波長成分を含んだ信号光を前記分配装置へ送信し、
    前記受信機は、前記分配装置から配信された前記信号光に含まれる波長成分の中から、同一のレーザ発振器に設定された前記複数の窓に対応する波長成分の光を取り出して前記データを復調することを特徴とする光通信システム。
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