JP3807368B2 - ディーゼルエンジンの制御装置 - Google Patents
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- F02D41/0215—Introducing corrections for particular conditions exterior to the engine in relation with elements of the transmission
- F02D41/023—Introducing corrections for particular conditions exterior to the engine in relation with elements of the transmission in relation with the gear ratio shifting
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載ディーゼルエンジンの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車用エンジンにおいては、その出力調整が自動車の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダルの踏込量(アクセル踏込量)に基づき行われる。アクセル踏込量はエンジンに対する出力要求の大きさを表すパラメータであり、このアクセル踏込量に基づくエンジンの出力調整によって要求されるエンジン出力が得られるようになる。例えば、ディーゼルエンジンにおいては、アクセル踏込量等に基づき燃料噴射量が制御され、これにより要求されるエンジン出力を得るための出力調整が行われる。
【0003】
また、自動車用エンジンにはクラッチ機構を介して変速機が連結される。この変速機の変速時にはエンジンと変速機との間の動力伝達を一時的に遮断するようクラッチ機構が動作させられるが、こうしたクラッチ機構の断接(解放・係合)を自動的に行うことが提案されている。また、特許文献1〜3には変速機の変速時であってクラッチ機構の解放によってディーゼルエンジンと変速機との間の動力伝達を遮断しているときには、ディーゼルエンジンへの出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、ディーゼルエンジンの出力トルクを低下させるトルクダウン制御が行われる。このようなトルクダウン制御によって、変速時にクラッチが自動的に解放された状態で、アクセル踏み込み量が保持されていたり、或いは、アクセル踏み込み量が増加されたりしても、エンジンが空吹かし状態となってエンジン回転速度が不必要に上昇したりすることを防止するようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−94830号公報
【特許文献2】
特開平10−329582号公報
【特許文献3】
特開平11−291795号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ディーゼルエンジンにおいては、その燃焼状態を最適化するために噴射時期及び噴射圧力或いは過給圧の調整が行われるようになっている。これらは燃料噴射量と密接な関係があり、噴射時期及び噴射圧力或いは過給圧は燃料噴射量に基づいて設定される。
【0006】
上記のようにトルクダウン制御に起因して燃料噴射量が一時的に減量させられ、変速機の変速完了後に燃料噴射量は出力要求に対応した値に復帰されるようになる。しかし、燃料噴射量の変化に伴う噴射時期、噴射圧力或いは過給圧の変化には応答遅れが存在する。従って、トルクダウン制御によって燃料噴射量が一旦減量させられ、その後にエンジンへの出力要求に対応した値へと増量されるとき、当該燃料噴射量の変化に精度よく追従して噴射時期及び噴射圧力或いは過給圧を変化させることは困難である。そのため、以下のようなディーゼルエンジン特有の問題が発生する。例えば、トルクダウン制御によって燃料噴射量の一時的な減量に基づいて上記噴射時期の制御では失火対策のために噴射時期が進角されていると、大きな燃焼音が発生したり、NOxの発生量が増加したりすることがある。
【0007】
又、噴射圧力の制御では燃料噴射量の減量に基づいて噴射圧力が一時的に低減され、噴射される燃料が微粒化されにくくなり、燃料粒子が燃焼しきらずに排出されることとなって排気中のパティキュレートの量が多くなり、黒煙の発生を招くこととなる。
【0008】
又、過給圧の制御では燃料噴射量の減量に基づいて過給圧が一時的に低減され、燃料噴射量が一旦減量させられた後に増量させられるとき、過給圧が上記増量後の燃料噴射量に適した値まで増量するのに遅れが生じて同燃料噴射量に対しエンジンの吸入空気量が燃料噴射量に対する必要量よりも少なくなる。その結果、酸素不足の状態で燃料の燃焼が行われることから、排気中のパティキュレートの量が多くなり、黒煙の発生を招くこととなる。
【0009】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、変速機の変速時に、トルクダウン制御が実施される場合において、黒煙や燃焼音といったディーゼルエンジン特有の問題が発生することを抑制することができるディーゼルエンジンの制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、ディーゼルエンジンへの出力要求に応じて燃料噴射量を制御するとともに、同ディーゼルエンジンの燃焼状態を最適化するための状態量を調整する調整手段を前記燃料噴射量に基づき制御する制御手段と、前記ディーゼルエンジンにクラッチ機構を介して連結された変速機の変速時に、同ディーゼルエンジンと前記変速機との間が自動的に断接されるよう前記クラッチ機構を解放・係合させるクラッチ制御手段と、前記変速機の変速時に、前記出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、機関出力トルクを低下させるトルク制御手段と、を備えたディーゼルエンジンの制御装置において、前記変速機の変速時に、前記燃料噴射量に基づき前記調整手段を制御することに代えて、前記出力要求の大きさを表すアクセル操作量に基づき、そのときのアクセル操作によって通常の機関運転時に得られる同機関の出力トルクを推定トルクとして算出し、この推定トルクに基づき前記調整手段を制御する変速時制御手段を備えることを特徴とする。
【0011】
変速機の変速時には、ディーゼルエンジンへの出力要求に関係なく燃料噴射量が一旦減量され、これにより変速に伴うクラッチ機構の解放時にエンジン回転速度の過上昇が抑制される。更に、変速機の変速動作が行われた後、上記のように減量された燃料噴射量が同機関への出力要求に対応した値へと増量されるとともにクラッチ機構の係合が開始され、ディーゼルエンジンと変速機との回転が合わせられた状態で両者が接合される。上記のように変速機の変速時に燃料噴射量が一時的に減量されるときには、調整手段が上記出力要求に基づき制御されるため、上記燃料噴射量の減量に伴って燃焼を最適化するための状態量が変更されることはない。そのため、上記燃料噴射量が減量状態から同エンジンへの出力要求に対応した値に向けて増量されるとき、その変化に対する状態量の変化に応答遅れが生じることを抑制することができる。従って、変速機の変速時に、燃焼状態が悪化することを抑制することができる。
【0013】
また、ディーゼルエンジンの出力トルクは燃料噴射量に応じて変化する。このため、上記推定トルクは変速機の変速時におけるディーゼルエンジンへの出力要求、即ちアクセル操作量に応じた燃料噴射量に対応する値となる。従って、推定トルクに基づき調整手段を制御することにより、変速機の変速時における燃料噴射量の一時的な減量に伴って燃焼状態を最適化するための状態量が変更されることはなくなる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、ディーゼルエンジンへの出力要求に応じて燃料噴射量を制御するとともに、同ディーゼルエンジンの燃焼状態を最適化するための状態量を調整する調整手段を前記燃料噴射量に基づき制御する制御手段と、前記ディーゼルエンジンにクラッチ機構を介して連結された変速機の変速時に、同ディーゼルエンジンと前記変速機との間が自動的に断接されるよう前記クラッチ機構を解放・係合させるクラッチ制御手段と、前記変速機の変速時に、前記出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、機関出力トルクを低下させるトルク制御手段と、を備えたディーゼルエンジンの制御装置において、前記調整手段は、前記状態量として燃料の噴射時期、噴射圧力、及び過給圧の少なくとも1つを調整するものであり、前記変速機の変速時に、前記燃料噴射量に基づき前記調整手段を制御することに代えて、前記調整手段を前記変速直前の状態に固定する固定制御を行う変速時制御手段を備えることを特徴とする。
【0015】
変速機の変速時には、ディーゼルエンジンへの出力要求に関係なく燃料噴射量が一旦減量され、これにより変速に伴うクラッチ機構の解放時にエンジン回転速度の過上昇が抑制される。更に、変速機の変速動作が行われた後、上記のように減量された燃料噴射量が同機関への出力要求に対応した値へと増量されるとともにクラッチ機構の係合が開始され、内燃機関と変速機との回転が合わせられた状態で両者が接合される。上記のように変速機の変速時に燃料噴射量が一時的に減量されるときには、状態量として燃料の噴射時期、噴射圧力、及び過給圧の少なくとも1つを調整する調整手段を変速機の変速直前の状態に固定する固定制御が行われるため、上記燃料噴射量の減量に伴って燃焼を最適化するための状態量が変更されることはない。そのため、上記燃料噴射量が減量状態から同エンジンへの出力要求に対応した値に向けて増量されるとき、その変化に対する状態量の変化に応答遅れが生じることを抑制することができる。従って、変速機の変速時に、燃焼状態が悪化することを抑制することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、ディーゼルエンジンへの出力要求に応じて燃料噴射量を制御するとともに、同ディーゼルエンジンの燃焼状態を最適化するための状態量を調整する調整手段を前記燃料噴射量に基づき制御する制御手段と、前記ディーゼルエンジンにクラッチ機構を介して連結された変速機の変速時に、同ディーゼルエンジンと前記変速機との間が自動的に断接されるよう前記クラッチ機構を解放・係合させるクラッチ制御手段と、前記変速機の変速時に、前記出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、機関出力トルクを低下させるトルク制御手段と、を備えたディーゼルエンジンの制御装置において、前記変速機の変速時に、前記燃料噴射量に基づき前記調整手段を制御することに代えて、そのときのディーゼルエンジンへの出力要求及び前記変速機の変速態様から予測される変速直後の同ディーゼルエンジンの出力トルクに基づき前記調整手段を制御する変速時制御手段を備えることを特徴とする。
【0017】
変速機の変速時には、ディーゼルエンジンへの出力要求に関係なく燃料噴射量が一旦減量され、これにより変速に伴うクラッチ機構の解放時にエンジン回転速度の過上昇が抑制される。更に、変速機の変速動作が行われた後、上記のように減量された燃料噴射量が同エンジンへの出力要求に対応した値へと増量されるとともにクラッチ機構の係合が開始され、ディーゼルエンジンと変速機との回転が合わせられた状態で両者が接合される。上記のように変速機の変速時に燃料噴射量が一時的に減量されるときには、調整手段が変速直後の同エンジンの出力トルクの予測値に基づき制御されるため、上記燃料噴射量の減量に伴い燃焼を最適化するための状態量が変更されることはない。そのため、上記燃料噴射量が減量状態から同エンジンへの出力要求に対応した値に向けて増量されるとき、その変化に対する状態量の変化に応答遅れが生じることを抑制することができる。従って、変速機の変速時に、燃焼状態が悪化することを抑制することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のディーゼルエンジンの制御装置において、前記変速時制御手段は、前記変速機の変速が行われるときには、前記ディーゼルエンジンへの出力要求の大きさを表すアクセル操作量に基づき、変速直前のアクセル操作によって通常の機関運転時に得られる同エンジンの出力トルクを推定トルクとして算出し、この推定トルク及び前記変速機の変速態様に基づき、前記変速直後の同機関の出力トルクを予測することを特徴とする。
【0019】
ディーゼルエンジンの出力トルクは燃料噴射量に応じて変化する。このため、上記推定トルクは変速機の変速直前におけるディーゼルエンジンへの出力要求、即ちアクセル操作量に応じた燃料噴射量に対応する値となる。更に、推定トルク及び変速機の変速態様に基づく変速直後の機関出力トルクの予測値は、変速直後におけるディーゼルエンジンへの出力要求、即ち上記アクセル操作量に応じた変速直後の燃料噴射量に対応した値となる。従って、上記予測値に基づき調整手段を制御することにより、変速機の変速時における燃料噴射量の一時的な減量に伴って燃焼状態を最適化するための状態量が変更されることはなくなる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のディーゼルエンジンの制御装置において、前記調整手段は、燃料の噴射圧力を蓄圧する蓄圧装置、及び前記ディーゼルエンジンに燃料を噴射する燃料噴射ノズル、並びに前記ディーゼルエンジンへの吸入空気を所定の過給圧にて供給する過給機の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0021】
ディーゼルエンジンの燃焼状態を最適化するための状態量として、噴射圧力、噴射時期、及び吸入空気の過給圧が挙げられる。噴射圧力は蓄圧装置を調整することによって制御される。噴射時期は燃料噴射ノズルの開弁時期を調整することによって制御される。過給圧は過給機を調整することによって制御される。これらの蓄圧装置、燃料噴射ノズル、過給機の制御によって変速時に状態量の変化が過多になることが抑制されるようになる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載のディーゼルエンジンの制御装置において、前記変速機は車両の運転状況に応じて自動的に変速されるものであり、前記変速時制御手段は前記変速機の変速要求がなされたとき、前記噴射圧力、噴射時期及び過給圧の少なくともいずれか1つの調整手段の制御を開始することを特徴とする。
【0023】
運転状況に応じて変速機の自動的な変速を行うべく変速要求がなされたとき、変速時制御手段による調整手段の制御が開始され、同制御により変速機の変速時に状態量の変化が過多になることは抑制される。従って、上記のように変速が行われる変速機が採用されている場合において、状態量の変化の過多を抑制するための変速時制御手段による調整手段の制御を的確に開始することができるようになる。
【0024】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜5のいずれかに記載のディーゼルエンジンの制御装置において、前記変速機は運転者のシフト操作に応じて変速されるものであり、前記変速時制御手段は前記変速機の変速要求がなされたとき、前記噴射圧力、噴射時期及び過給圧の少なくともいずれか1つの調整手段の制御を開始することを特徴とする。
【0025】
運転者のシフト操作に応じて変速機を変速させるべく変速要求がなされたとき、変速時制御手段による調整手段の制御が開始され、同制御により変速機の変速時に状態量の変化が過多になることは抑制される。従って、上記のように変速が行われる変速機が採用されている場合において、状態量の変化の過多を抑制するための変速時制御手段による調整手段の制御を的確に開始することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を、ディーゼルエンジンのエンジントルクを算出する方法に具体化した第1実施形態について説明する。
【0027】
車両には、図1に示すように、蓄圧式ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)11が搭載されている。エンジン11は、シリンダヘッド12と、複数の気筒(シリンダ)13を有するシリンダブロック14とを備えている。各シリンダ13内にはピストン15が往復動可能に収容されている。各ピストン15はコネクティングロッド16を介し、エンジン11の出力軸であるクランク軸17に連結されている。各ピストン15の往復運動は、コネクティングロッド16によって回転運動に変換された後、クランク軸17に伝達される。クランク軸17の回転は変速機(図示略)によって変速され、その変速後の回転が駆動輪に伝達される。クランク軸17の回転は、変速機60等を介して自動車の車輪(図示せず)に伝達される。
【0028】
上記変速機60は、例えば1速〜5速といった複数の変速段を有し、自動車の走行状態(運転状態)や運転者からの要求に応じて当該変速段の切り換えを行うものである。この変速機60の入力軸61とエンジン11のクランク軸17とは、両者の間を断接するクラッチ機構62を介して連結されている。そして、変速機60の変速を行う際には、まずクラッチ機構62が解放されてエンジン11と変速機60との間で回転伝達が行われない状態とされ、この状態で変速機60の変速動作が行われた後にクラッチ機構62が係合される。
【0029】
エンジン11には、シリンダ13毎に燃焼室18が設けられている。各燃焼室18には、吸気通路19及び排気通路20が接続されている。シリンダヘッド12には、シリンダ13毎に吸気弁21及び排気弁22が設けられている。これらの吸・排気弁21,22は、クランク軸17の回転に連動して往復動することにより、吸・排気通路19,20を開閉する。
【0030】
吸気通路19には、エアクリーナ23、吸気絞り弁24等が配置されている。そして、基本的にはエンジン11の吸気行程において、排気弁22が閉じられ、吸気弁21が開かれた状態でピストン15が下降すると、シリンダ13内の気圧が外気より低い値(負圧)になり、同エンジン11の外部の空気が吸気通路19の各部を順に通過して燃焼室18に取込まれる。
【0031】
吸気絞り弁24は、吸気通路19内に回動可能に支持されており、同吸気絞り弁24に連結されたステップモータ等のアクチュエータ25により駆動される。吸気通路19を流れる空気の量(吸入空気量)は、吸気絞り弁24の開き具合(開度)に応じて変化する。
【0032】
シリンダヘッド12には、各燃焼室18に燃料を噴射する燃料噴射ノズル26が取付けられている。各燃料噴射ノズル26は電磁弁(図示略)を備えており、この電磁弁により、燃料噴射ノズル26から燃焼室18への燃料噴射が制御される。燃料噴射ノズル26は、蓄圧装置(共通の蓄圧配管)であるコモンレール27に接続されており、電磁弁が開いている間、コモンレール27内の燃料が燃料噴射ノズル26から対応する燃焼室18に噴射される。コモンレール27には、燃料噴射圧に相当する比較的高い圧力が蓄積されている。この蓄圧を実現するために、コモンレール27は、燃料ポンプであるサプライポンプ29に接続されている。
【0033】
サプライポンプ29は燃料タンク(図示略)から燃料を吸入するとともに、エンジン11の回転に同期するカムによってプランジャを往復動させ、燃料を所定圧に高めてコモンレール27に供給する。サプライポンプ29には、コモンレール27へ向けて吐出される燃料の圧力、ひいては吐出量を制御するための圧力制御弁として吸入調量弁31が設けられている。
【0034】
コモンレール27には、所定の条件が満たされた場合に開弁される減圧弁(リリーフ弁)32が設けられている。この減圧弁32の開弁により、コモンレール27内の高圧燃料がリターン配管(図示略)を通じて燃料タンクへ戻されて、コモンレール27内の圧力が低下する。
【0035】
そして、吸気通路19を通ってシリンダ13内に導入され、かつピストン15により圧縮された高温かつ高圧の吸入空気に対し、燃料噴射ノズル26から燃料が噴射される。この噴射燃料は自己着火して燃焼する。このときに生じた燃焼ガスによりピストン15が往復動され、クランク軸17が回転されて、エンジン11の駆動力(出力トルク)が得られる。燃焼ガスは、排気通路20に設けられた触媒33等を通ってエンジン11の外部へ排出される。
【0036】
エンジン11には、過給機の一形態である可変ノズルターボチャージャ34が設けられている。可変ノズルターボチャージャ34は、排気通路20を流れる排気ガスによって回転するタービンホイール35と、吸気通路19に配置され、かつロータシャフト36を介してタービンホイール35に連結されたコンプレッサホイール37とを備えている。可変ノズルターボチャージャ34では、タービンホイール35に排気ガスが吹付けられて同ホイール35が回転する。この回転は、ロータシャフト36を介してコンプレッサホイール37に伝達される。その結果、エンジン11では、ピストン15の移動にともなって燃焼室18内に発生する負圧によって空気が燃焼室18に送り込まれるだけでなく、その空気がコンプレッサホイール37の回転によって強制的に燃焼室18に送り込まれる(過給される)。このようにして、燃焼室18への空気の充填効率が高められる。
【0037】
また、可変ノズルターボチャージャ34では、タービンホイール35の外周を囲うように、そのホイール35の回転方向に沿って排気ガス経路が形成され、排気ガスは排気ガス経路を通過し、タービンホイール35の軸線に向かって吹付けられる。排気ガス経路には、リング状のノズルバックプレート38に対して複数のノズルベーン(可変ノズル)39を回動可能に設けた可変ノズル機構が設けられている。可変ノズル機構は、DCモータ等のアクチュエータ40の作動により全ノズルベーン39が同期した状態で開閉動作することで、排気ガス経路の排気ガス流通面積を変更し、タービンホイール35に吹付けられる排気ガスの流速を可変とする。このように可変とすることで、タービンホイール35の回転速度が調整され、ひいては燃焼室18への吸入空気が所定の過給圧にて供給される。
【0038】
エンジン11には、排気通路20を流れる排気ガスの一部を、吸気通路19に還流させる排気還流(以下「EGR」という)装置42が設けられている。EGR装置42は、還流にともない吸入空気に混合された排気ガス(EGRガス)により、混合気中の不活性ガスの割合を増やして燃焼最高温度を下げ、大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)の発生を低減させるためのものである。
【0039】
EGR装置42は、EGR通路43及びEGR弁44を備えている。EGR通路43は、排気通路20と、吸気通路19において吸気絞り弁24よりも下流側の箇所とをつないでいる。EGR弁44はEGR通路43の途中、例えば、EGR通路43の吸気通路19との接続箇所に取付けられている。EGR通路43を流れるEGRガスの流量は、EGR弁44の開き具合(開度)に応じて変化する。
【0040】
上記のように構成されたディーゼルエンジン11の制御を行うために電子制御装置(以下、ECUという)52が設けられている。ECU52はディーゼルエンジン11における燃料噴射量制御及び燃料噴射時期制御といった燃料噴射制御を行う。この燃料噴射量制御に付随してECU52はコモンレール27内の燃料の噴射圧力制御及び可変ノズルターボチャージャ34による過給圧制御を行う。又、ECU52はEGR弁44の開度制御及び吸気絞り弁24の開度制御を行う。更に、ECU52は、変速機60及びクラッチ機構62の駆動制御を行う。
【0041】
ECU52には、以下に示される各種信号が入力される。
・ 自動車の運転者によって操作されるアクセルペダル45の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ46からの検出信号。
【0042】
・ クランク軸17の回転に対応した信号を出力するクランクポジションセンサ47からの検出信号。
・ コモンレール27内に蓄えられている燃料の圧力、すなわち噴射圧力(PF)を検出する燃圧センサ49からの検出信号。
【0043】
・ 変速機60の入力軸61の回転速度を検出する入力回転速度センサ63からの信号。
・ 自動車の車速を検出する車速センサ64からの検出信号。
【0044】
・ 運転者によって操作されるシフトレバー65の位置に対応した信号。
上記シフトレバー65は、変速機60のシフトアップやシフトダウンといった変速を行う際の変速モードを、自動車の走行状態や走行要求に応じて自動的に上記変速を行う自動モードと、運転者によるシフトレバー65の操作に基づいて上記変速を行う手動モードとの間で切り換えるのに用いられる。なお、変速機60の変速は、自動モードでは車速センサ64からの検出信号から求められる車速、及びアクセル踏込量ACCPに基づき自動的に行われ、手動モードでは運転者によるシフトレバー65の変速操作(シフト操作)によって行われる。
【0045】
ディーゼルエンジン11においては、ECU52による燃料噴射量制御によって出力トルクが調整される。こうした燃料噴射量制御は、アクセル踏込量ACCP及びエンジン回転速度NE等から算出される燃料噴射量指令値Qfinに基づき燃料噴射ノズル26を駆動制御することによって行われる。なお、アクセル踏込量ACCPはアクセルポジションセンサ46からの検出信号に基づき求められ、エンジン回転速度NEはクランクポジションセンサ47からの検出信号に基づき求められる。
【0046】
上記のようにECU52を通じて燃料噴射ノズル26を駆動制御することにより、燃料噴射量指令値Qfinに対応した量の燃料が噴射されてディーゼルエンジン11の出力トルクが調整されるようになる。燃料噴射量指令値Qfinの算出に用いられるアクセル踏込量ACCPは、運転者による自動車への走行要求、言い換えればディーゼルエンジン11への出力要求を表すパラメータである。従って、燃料噴射量指令値Qfinに基づき燃料噴射量を制御することで、運転者から要求される出力トルクが得られるようディーゼルエンジン11の出力トルクが調整されることとなる。
【0047】
また、ECU52は、サプライポンプ29の吐出量を制御するとともに、減圧弁(リリーフ弁)32のリリーフ圧を調整することによってコモンレール27内の燃圧、すなわち噴射圧力を制御する。この噴射圧力については、噴射圧力を増加させるほど燃料噴射ノズル26から噴射される燃料の微粒化を促進することができる。ただし、燃料噴射量が多い場合には噴射圧力が増加するように設定され、噴射された燃料の微粒化を促進して燃料粒子の燃え残りをなくして煤を主成分とする微粒子(パティキュレート)の生成を抑制するようにしている。
【0048】
従って、噴射圧力を制御するためのサプライポンプ29及び減圧弁32の調整としては燃料噴射量指令値Qfin等に基づいて行われる。
即ち、燃料噴射量指令値Qfin及びエンジン回転速度NEに基づき、噴射圧力PFの制御に用いられる噴射圧力指令値PFtが算出される。噴射圧力指令値PFtについては、エンジン回転速度NEが一定という条件のもとで、燃料噴射量指令値Qfinが大きくなるほど大とされるとともに、燃料噴射量指令値Qfinが小さくなるほど小とされる。
【0049】
そして、ECU52を通じて噴射圧力指令値PFtに基づきサプライポンプ29及び減圧弁32が駆動される。これにより、噴射圧力は、燃料噴射量指令値Qfinが多くなるほど大きくされるとともに燃料噴射量指令値Qfinが少なくなるほど小さくされる。
【0050】
また、ECU52は、ディーゼルエンジン11での燃焼状態が最適化されるように、燃料噴射量に応じて噴射時期を調整するようになっている。この噴射時期については、噴射時期を進角させるほど燃焼の開始時期を早めることができる。
【0051】
更に、ECU52は、ディーゼルエンジン11での燃焼状態が最適化されるように、アクチュエータ40を駆動してノズルベーン39の開度VNTを調整することによって可変ノズルターボチャージャ34による過給圧を制御する。
【0052】
又、ECU52は、自動モードでの車速やアクセル踏込量ACCPといった運転状態の変化、若しくは手動モードでのシフトレバー65の変速操作に基づき変速機60の変速を行う。
【0053】
次に、変速機60の変速時におけるディーゼルエンジン11、クラッチ機構62、及び変速機60の各種制御について、図2のタイムチャートを併せ参照して説明する。
【0054】
変速機60の変速時には、ディーゼルエンジン11と変速機60との間で回転伝達(動力伝達)が行われないよう、ECU52を通じてクラッチ機構62が駆動制御され、同機構62の断接が自動的に行われる。
【0055】
即ち、まず変速機60の変速動作の開始前、例えば図2(a)に示されるように変速要求があったときにクラッチ機構62が解放され、ディーゼルエンジン11と変速機60との間の動力伝達が一時的に遮断される(タイミングt1)。この状態で、シフトアップやシフトダウンなど変速機60の変速動作が行われる。クラッチ機構62が解放されている間には、ディーゼルエンジン11のエンジン回転速度NEが過上昇しないよう、ディーゼルエンジン11への出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、同エンジン11の出力トルクを低下させるトルクダウン制御が行われる。
【0056】
こうしたトルクダウン制御のための燃料噴射量の減量は、通常はアクセル踏込量ACCP(出力要求)等に基づき算出される燃料噴射量指令値Qfinを、図2(d)に示されるアクセル踏込量ACCPに関係なく図2(e)に示されるように所定値まで小さくすることによって実現される。なお、当該所定値としては、例えばディーゼルエンジン11の出力トルクが「0Nm」となるような値を採用することが好ましい。上記のように燃料噴射量指令値Qfinを小さくすることで、ディーゼルエンジン11の燃料噴射量が減量され、同エンジン11の出力トルクが図2(c)に実線で示されるように小さくされる。
【0057】
上記トルクダウン制御が実行されることにより、クラッチ機構62が解放されている間のエンジン回転速度NEは、図2(b)に破線で示されるように徐々に低下する。また、変速機60の入力軸61の回転速度である入力回転速度NIは、クラッチ機構62の解放後、変速機60の変速態様に応じて推移することとなる。この入力回転速度NIは入力回転速度センサ63からの検出信号に基づき求められる。
【0058】
図2(b)の実線は、変速機60がシフトアップする場合の入力回転速度NIの推移を示している。この場合の入力回転速度NIは、クラッチ機構62の解放後、当該シフトアップに伴うギヤ比の変化に基づいて徐々に低下する。
【0059】
上記シフトアップのための変速動作が終了すると(タイミングt2)、図2(e)に示されるように燃料噴射量指令値Qfinがアクセル踏込量ACCP(出力要求)及びエンジン回転速度NEに対応した値に向けて徐々に大きくされて燃料噴射量が徐々に増量されるとともに、クラッチ機構62の係合が開始される。これにより、エンジン回転速度NEと入力回転速度NIとの回転が合わされ、クラッチ機構62の係合によるクランク軸17と変速機60の入力軸61との接合が行われる(タイミングt3)。そして、同接合が行われることによって変速機60の変速(この場合はシフトアップ)が終了する。
【0060】
ところで、上記トルクダウン制御のために燃料噴射量を一時的に減量する際には、燃料噴射量指令値Qfinがアクセル踏込量ACCP(出力要求)に関係なく所定値まで小さくされ、その後にアクセル踏込量ACCPに対応した値まで大きくされる。この燃料噴射量指令値Qfinは、噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt及びVNT開度指令値VAtの算出に用いられている。
【0061】
このため、燃料噴射量指令値Qfinが一時的に小さくなると、それに対応して噴射圧力指令値PFtが図2(f)に細い実線で示されるように一時的に小さい値となるとともに、噴射時期指令値IAtが図2(g)に細い実線で示されるように一時的に小さい値となる。又、VNT開度指令値VAtが図2(h)に細い実線で示されるように一時的に小さい値となる。その結果、減圧弁32が図2(f)に破線で示されるように一時的に噴射圧力を低下させる側に制御されるとともに、燃料噴射ノズル26が図2(g)に破線で示されるように一時的に噴射時期を遅角する側に制御される。又、ノズルベーン39が図2(h)に破線で示されるように一時的に過給圧を低下させる側である閉じ側に制御される。
【0062】
上記の減圧弁32の噴射圧力の低下制御により、一時的に小さくされる燃料噴射量指令値Qfinに対応して噴射圧力PFが一時的に低下されるようになる。このときの噴射圧力の変化については、図2(f)に細い実線で示されるように燃料噴射量指令値Qfinの変化に対応して行われることが理想であるが、実際には同燃料噴射量指令値Qfinの変化に対して破線で示されるように応答遅れが生じる。又、噴射時期の変化についても、図2(g)に示されるように実際には燃料噴射量指令値Qfinの変化に対して破線で示されるように応答遅れが生じる。更に、過給圧の変化についても、図2(h)に示されるように実際には燃料噴射量指令値Qfinの変化に対して破線で示されるように応答遅れが生じる。
【0063】
そして、噴射圧力の変化に応答遅れが生じると、トルクダウン制御のために燃料噴射量が一旦減量させられた後にアクセル踏込量ACCPに対応した値に向けて増量されるとき、当該燃料噴射量の変化に追従して精度良く噴射圧力を変化させることは困難になる。このため、上記のように燃料噴射量が一旦減量させられた後に増量させられるとき、噴射圧力が上記増量後の燃料噴射量に適した値まで増加するのに遅れが生じる。このように噴射圧力が低下した状態になると、その燃料の微粒化が抑制される。その結果、燃焼室18内に噴射された燃料粒子は完全に燃え尽きずに燃え残り、これがパティキュレートとなって排気中のパティキュレートの量が多くなることは避けられない。
【0064】
そして、過給圧の変化に応答遅れが生じると、トルクダウン制御のために燃料噴射量が一旦減量させられた後にアクセル踏込量ACCPに対応した値に向けて増量されるとき、当該燃料噴射量の変化に追従して精度良く過給圧を変化させることは困難になる。このため、上記のように燃料噴射量が一旦減量させられた後に増量させられるとき、過給圧が上記増量後の燃料噴射量に適した値まで増加するのに遅れが生じる。このように過給圧が低下した状態になると、その燃料噴射量の燃焼に必要な空気量を確保することができなくなり、燃焼室18内に噴射された燃料は完全に燃え尽きずに燃え残り、これがパティキュレートとなって排気中のパティキュレートの量が多くなることは避けられない。
【0065】
こうした問題を解決するため、本実施形態では、変速機60の変速時には、燃料噴射量指令値Qfin等に基づくのではなく、アクセル踏込量ACCP(出力要求)等に基づき噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt、及びVNT開度指令値VAtを算出する。
【0066】
即ち、まずアクセル踏込量ACCP及びエンジン回転速度NEに基づき、そのときのアクセル踏込量ACCP(出力要求)によって通常のエンジン運転時に得られる出力トルクを推定トルクTeとして算出する。こうして算出される推定トルクTeは、燃料噴射量の一時的な減量が行われているとき、図2(c)に破線で示されるように、ほぼ一定となるように推移することとなる。この推定トルクTe及びエンジン回転速度NEに基づき、噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt、及びVNT開度指令値VAtを算出する。
【0067】
その結果、噴射圧力指令値PFtは図2(f)に太い実線で示されるように推定トルクTe等に対応してほぼ一定となるように推移し、噴射時期指令値IAtは図2(g)に太い実線で示されるように推定トルクTe等に対応してほぼ一定となるように推移する。更に、VNT開度指令値VAtは図2(h)に太い実線で示されるように推定トルクTe等に対応してほぼ一定となるように推移する。
【0068】
従って、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、サプライポンプ29及び減圧弁32は上記減量に伴い一時的に噴射圧力を低下させる側に制御されることなくほぼ一定となるように推移し、それに応じて、噴射圧力も図2(f)に示されるようにほぼ一定となるように推移する。このため、燃料噴射量が一時的な減量状態からアクセル踏込量ACCP(出力要求)に対応した値に向けて増量されるとき、その変化に対する噴射圧力の増加に応答遅れが生じることはない。従って、燃料噴射量に応じた噴射圧力によって噴射された燃料の微粒化が行われるため、燃料粒子が完全に燃え尽きて燃え残りが生成されることはなく、排気中のパティキュレート量が増加するのを抑制することができる。
【0069】
又、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、燃料噴射ノズル26による噴射時期は図2(g)に示されるようにほぼ一定となるように推移する。このため、燃料噴射量が一時的な減量状態からアクセル踏込量ACCP(出力要求)に対応した値に向けて増量されるとき、その変化に対する噴射時期の増加に応答遅れが生じることはない。従って、燃料噴射量に応じた噴射時期に燃料の噴射が行われるため、燃費の向上を図ることができるようになる。また、低負荷時には失火対策用マップに基づいて過進角する必要があるが、このように本実施形態によれば過進角領域を使用しなくてよいため、燃焼音を低減することができる。
【0070】
更に、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、ノズルベーン39は上記減量に伴い一時的に過給圧を低下させる側に制御されることなくほぼ一定となるように推移し、それに応じて、過給圧も図2(h)に示されるようにほぼ一定となるように推移する。このため、燃料噴射量が一時的な減量状態からアクセル踏込量ACCP(出力要求)に対応した値に向けて増量されるとき、その変化に対する過給圧の増加に応答遅れが生じることはない。従って、燃料噴射量に応じた過給圧によって燃焼室18内に燃焼用の空気が供給されるため、ディーゼルエンジン11の吸入空気量を燃料噴射量に対する必要量を確保することができ、燃料の燃え残りが生成されることはなく、排気中のパティキュレート量が増加するのを抑制することができる。
【0071】
次に、噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt及びVNT開度指令値VAtの算出手順について、図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。この指令値算出ルーチンは、ECU52を通じて例えば所定時間毎の時間割り込みにて実行される。
【0072】
指令値算出ルーチンにおいて、ステップ101において変速機60の変速中であるか否かを判断するための変速フラグFが「0(非変速中)」か否かが判定され、ステップ102では変速要求がないか否かが判定される。変速フラグFが「0(非変速中)」であり(図3のステップ101:YES)、且つ変速要求がないときには(ステップ102:YES)、燃料噴射量指令値Qfin及びエンジン回転速度NEに基づいて通常の噴射圧力指令値PFtの算出が行われる(ステップ103)。続いて、燃料噴射量指令値Qfin及びエンジン回転速度NEに基づいて通常の噴射時期指令値IAtの算出が行われ(ステップ104)、燃料噴射量指令値Qfin及びエンジン回転速度NEに基づいて通常のVNT開度指令値VAtの算出が行われる(ステップ105)。
【0073】
この算出ルーチンにおいて、ステップ102の処理で否定判定がなされて変速要求ありの旨判断されると、ステップ108(図4)に進んで変速フラグFが「1(変速中)」とされた後、ステップ109〜112の処理が実行される。また、変速フラグFが「1」にされると、以降のステップ101(図3)では否定判定がなされ、ステップ109〜112に進むようになる。従って、変速機60の変速中はステップ109〜112の処理が実行される。
【0074】
この処理として、ステップ109ではアクセル踏込量ACCP及びエンジン回転速度NEに基づき推定トルクTeが算出される。また、ステップ110では、例えば図5のマップを参照してエンジン回転速度NE及び推定トルクTeに基づき噴射圧力指令値PFtが算出される。なお、上記噴射圧力指令値PFtについては、図5に示されるように、例えばエンジン回転速度NEが一定という条件のもとで、推定トルクTeが大きくなるほど大になるとともに推定トルクTeが小さくなるほど小になる。
【0075】
ステップ111では、例えば図6のマップを参照してエンジン回転速度NE及び推定トルクTeに基づき噴射時期指令値IAtが算出される。なお、上記噴射時期指令値IAtについては、図6に示されるように、例えばエンジン回転速度NEが一定という条件のもとで、推定トルクTeが大きくなるほど進角されるとともに、推定トルクTeが小さくなるほど遅角される。
【0076】
更に、ステップ112では、例えば図7のマップを参照してエンジン回転速度NE及び推定トルクTeに基づきVNT開度指令値VAtが算出される。なお、上記VNT開度指令値VAtについては、図7に示されるように、例えばエンジン回転速度NEが一定という条件のもとで、推定トルクTeが大きくなるほど大になるとともに、推定トルクTeが小さくなるほど小になる。
【0077】
従って、変速機60の変速中は、燃料噴射量指令値Qfin等に基づき噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt、及びVNT開度指令値VAtが算出される代わりに、アクセル踏込量ACCP等に基づき噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt、及びVNT開度指令値VAtが算出されるようになる。
【0078】
ステップ109〜112の処理が実行された後、ステップ106(図3)に進み、変速機60の変速が終了したか否かが判断される。ここで肯定判定であれば、変速フラグFが「0(非変速中)」とされる(ステップ107)。
【0079】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)変速機60の変速時に、アクセル踏込量ACCP(出力要求)に関係なく燃料噴射量指令値Qfinを一時的に小さくする際には、噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt、及びVNT開度指令値VAtがアクセル踏込量ACCPから求められる推定トルクTe等に基づき算出されるようになる。この推定トルクTeは、変速機60の変速時におけるアクセル踏込量ACCPによって通常のエンジン運転時に得られる理論上の出力トルクである。ディーゼルエンジン11の出力トルクは燃料噴射量に応じて変化するため、推定トルクTeは変速機60の変速時におけるアクセル踏込量ACCP(出力要求)に応じた燃料噴射量に対応する値となる。従って、推定トルクTe等から求められる噴射圧力指令値PFtに基づきサプライポンプ29及び減圧弁32を制御することにより、変速機60の変速時に燃料噴射量指令値Qfinが一時的に小さくされても、噴射圧力が一時的に低減されることはなくなる。よって、同燃料噴射量指令値Qfinの減量状態からの増量に対し噴射圧力の増加に応答遅れが生じることはない。このため、変速機60の変速時に、燃料噴射量に応じた噴射圧力によって噴射された燃料の微粒化が行われるため、燃料粒子が完全に燃え尽きて燃え残りが生成されることはなく、排気中のパティキュレート量が増加するのを抑制することができる。
【0080】
(2)又、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、その燃料噴射量指令値Qfinに対して噴射時期が一時的に遅角されることはなくなり、燃料噴射量に応じた噴射時期に燃料の噴射が行われるため、燃費の向上を図ることができるようになる。また、低負荷時には失火対策用マップに基づいて過進角する必要があるが、このように本実施形態によれば過進角領域を使用しなくてよいため、燃焼音を低減することができる。
【0081】
(3)更に、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、その燃料噴射量指令値Qfinに対して過給圧が一時的に低下されることはなくなり、燃料噴射量に応じた過給圧によって燃焼室18内に燃焼用の空気が供給される。そのため、ディーゼルエンジン11の吸入空気量を燃料噴射量に対する必要量を確保することができ、燃料の燃え残りが生成されることはなく、排気中のパティキュレート量が増加するのを抑制することができる。
【0082】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図8及び図9を参照して説明する。
この実施形態では、変速機60の変速時に、サプライポンプ29及び減圧弁32の作動状態を変速直前の状態に固定する固定制御が行われる。又、変速機60の変速時に、燃料噴射ノズル26の噴射時期を変速直前の状態に固定する固定制御が行われるとともに、可変ノズルターボチャージャ34のノズルベーン39のVNT開度を変速直前の状態に固定する固定制御が行われる。
【0083】
この固定制御により、変速機60の変速時に燃料噴射量指令値Qfinが一時的に小さくされたとしても、サプライポンプ29及び減圧弁32が噴射圧力を低下させる側に制御されることはなくなる。又、燃料噴射ノズル26の噴射時期が遅角側に制御されることはなくなるとともに、可変ノズルターボチャージャ34のノズルベーン39のVNT開度が減量される側に制御されることはなくなる。
【0084】
従って、燃料噴射量指令値Qfinの減量状態からの増量に対する噴射圧力の増加に応答遅れが生じることもなく、当該応答遅れによって噴射圧力が低下することは抑制される。又、燃料噴射量指令値Qfinの減量状態からの増量に対する噴射時期の変化に応答遅れが生じることもなく、可変ノズルターボチャージャ34のVNT開度の変化に応答遅れが生じることもなく、当該応答遅れによって過給圧が低下することは抑制される。
【0085】
ここで、上記固定制御について、図8のタイムチャートを併せ参照して詳しく説明する。
変速要求がなされたとき(タイミングt1)、燃料噴射量指令値Qfin及びエンジン回転速度NEに基づき噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt及びVNT開度指令値VAtが算出される。そして、変速機60の変速中には、噴射圧力指令値PFtが上記のように算出された値に固定されて図8(f)に太い実線で示されるように一定とされ、噴射時期指令値IAtも上記のように算出された値に固定されて図8(g)に太い実線で示されるように一定とされる。又、VNT開度指令値VAtも図8(h)に太い実線で示されるように一定とされる。
【0086】
その結果、噴射圧力指令値PFtに基づき制御されるサプライポンプ29及び減圧弁32の作動状態が一定となり、噴射圧力も図8(f)に太い実線で示されるように一定となる。又、噴射時期指令値IAtに基づき制御される燃料噴射ノズル26の噴射時期も図8(g)に太い実線で示されるように一定となる。更に、VNT開度指令値VAtに基づき制御される可変ノズルターボチャージャ34のVNT開度も図8(h)に太い実線で示されるように一定となる。
【0087】
変速機60の変速時には、燃料噴射量(燃料噴射量指令値Qfin)の一時的な減量が行われる際、噴射圧力は一定となって低下する側に変更されることはない。そのため、燃料噴射量が一時的な減量状態からアクセル踏込量ACCP(出力要求)に対応した値に向けて増量されるとき(タイミングt2後)、その変化に対する噴射圧力の増加に応答遅れが生じることは抑制される。
【0088】
又、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、燃料噴射ノズル26による噴射時期は一定となって低下する側に変更されることはない。そのため、燃料噴射量が一時的な減量状態からアクセル踏込量ACCP(出力要求)に対応した値に向けて増量されるとき、その変化に対する噴射時期の増加に応答遅れが生じることはない。
【0089】
更に、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、ノズルベーン39は上記減量に伴い一時的に過給圧を低下させる側に制御されることなく一定となるように推移し、それに応じて、過給圧も一定となって低下する側に変更されることはない。そのため、燃料噴射量が一時的な減量状態からアクセル踏込量ACCP(出力要求)に対応した値に向けて増量されるとき、その変化に対する過給圧の増加に応答遅れが生じることはない。
【0090】
次に、噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt及びVNT開度指令値VAtの算出手順について説明する。この指令値算出ルーチンは、ECU52を通じて例えば所定時間毎の時間割り込みにて実行される。本実施形態では、この指令値算出ルーチンとして、第1実施形態の指令値算出ルーチンにおけるステップ109〜112(図4)の処理を、図9に示されるステップ201〜204の処理に代えたものが用いられる。
【0091】
このため、本実施形態の指令値算出ルーチンでは、変速要求がなされると、ステップ201の処理で変速フラグFが「1(変速中)」にされる。
続いて、ステップ202の処理では、燃料噴射量指令値Qfin及びエンジン回転速度NEに基づき、固定用の噴射圧力指令値PFtが算出される。この噴射圧力指令値PFtは変速直前の値であって、変速機60の変速中は噴射圧力指令値PFtが上記の値に固定されることとなる。
【0092】
ステップ203の処理では、燃料噴射量指令値Qfin及びエンジン回転速度NEに基づき、固定用の噴射時期指令値IAtが算出される。この噴射時期指令値IAtも変速直前の値であって、変速機60の変速中は噴射時期指令値IAtが上記の値に固定されることとなる。
【0093】
ステップ204の処理では、燃料噴射量指令値Qfin及びエンジン回転速度NEに基づき、固定用のVNT開度指令値VAtが算出される。このVNT開度指令値VAtも変速直前の値であって、変速機60の変速中はVNT開度指令値VAtが上記の値に固定されることとなる。
【0094】
本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(4)変速機60の変速時には、噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt及びVNT開度指令値VAtを変速直前の値に固定する固定制御が実行される。そのため、一時的に小さくされる燃料噴射量指令値Qfinに対して噴射圧力が一時的に低減されることはなくなり、同燃料噴射量指令値Qfinの減量状態からの増量に対し噴射圧力の増加に応答遅れが生じることはない。従って、変速機60の変速時に、燃料噴射量に応じた噴射圧力によって噴射された燃料の微粒化が行われるため、燃料粒子が完全に燃え尽きて燃え残りが生成されることはなく、排気中のパティキュレート量が増加するのを抑制することができる。
【0095】
(5)又、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、その燃料噴射量指令値Qfinに対して噴射時期が一時的に遅角されることはなくなり、燃料噴射量に応じた噴射時期に燃料の噴射が行われるため、燃費の向上を図ることができるようになる。また、低負荷時には失火対策用マップに基づいて過進角する必要があるが、このように本実施形態によれば過進角領域を使用しなくてよいため、燃焼音を低減することができる。
【0096】
(6)更に、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、その燃料噴射量指令値Qfinに対して過給圧が一時的に低下されることはなくなり、燃料噴射量に応じた過給圧によって燃焼室18内に燃焼用の空気が供給される。そのため、ディーゼルエンジン11の吸入空気量を燃料噴射量に対する必要量を確保することができ、燃料の燃え残りが生成されることはなく、排気中のパティキュレート量が増加するのを抑制することができる。
【0097】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図10及び図11を参照して説明する。
この実施形態では、変速機60の変速時には、変速直後の推定トルクTeである変速後トルクTe2、及び変速直後のエンジン回転速度NEである変速後エンジン回転速度NE2に基づき、噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt及びVNT開度指令値VAtが算出される。この噴射圧力指令値PFtに基づきサプライポンプ29及び減圧弁32を制御することで、変速機60の変速時に燃料噴射量指令値Qfinが一時的に小さくされたとしても、サプライポンプ29及び減圧弁32が噴射圧力を低下させる側に制御されることはなくなる。又、燃料噴射ノズル26の噴射時期が遅角側に制御されることはなくなるとともに、VNT開度指令値VAtに基づいてノズルベーン39の開度が制御されるため、可変ノズルターボチャージャ34のノズルベーン39のVNT開度が減量される側に制御されることはなくなる。
【0098】
従って、燃料噴射量指令値Qfinの減量状態からの増量に対する噴射圧力の増加に応答遅れが生じることもなく、当該応答遅れによって噴射圧力が低下することは抑制される。又、燃料噴射量指令値Qfinの減量状態からの増量に対する噴射時期の変化に応答遅れが生じることもなく、可変ノズルターボチャージャ34のVNT開度の変化に応答遅れが生じることもなく、当該応答遅れによって過給圧が低下することは抑制される。
【0099】
ここで、変速後トルクTe2及び変速後エンジン回転速度NE2の算出について、並びに、それらから求められる噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt及びVNT開度指令値VAtに基づく制御について、図10のタイムチャートを参照して説明する。
【0100】
変速要求がなされたとき(タイミングt1)、アクセル踏込量ACCP(出力要求)及びエンジン回転速度NEに基づき、そのときの推定トルクが変速前トルクTe1として算出される。また、そのときのエンジン回転速度NEは変速前エンジン回転速度NE1として用いられる。そして、変速前エンジン回転速度NE1及び変速前トルクTe1は、変速後の変速段に対応した所定の係数を乗算すること等により、それぞれ変速直後のエンジン回転速度NEである変速後エンジン回転速度NE2、及び変速直後の推定トルクTeである変速後トルクTe2に変換される。
【0101】
これら変速後エンジン回転速度NE2及び変速後トルクTe2に基づき、噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt、及びVNT開度指令値VAtが算出される。そして、変速機60の変速中には、図10(f)に太い実線で示されるように噴射圧力指令値PFtが上記のように算出された値とされ、噴射時期指令値IAtも図10(g)に太い実線で示されるように上記のように算出された値とされる。又、VNT開度指令値VAtも図10(h)に太い実線で示されるように上記のように算出された値とされる。この噴射圧力指令値PFtに基づきサプライポンプ29及び減圧弁32が制御され、噴射時期指令値IAtに基づいて燃料噴射ノズル26が制御され、VNT開度指令値VAtに基づいてノズルベーン39の開度が制御される。
【0102】
なお、タイミングt1後の噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt及びVNT開度指令値VAtの変化については、図10(f)、図10(g)及び図10(h)に太い実線で示されるように急に行ってもよいし、或いは太い破線で示されるように徐々に行ってもよい。
【0103】
変速機60の変速時には、燃料噴射量(燃料噴射量指令値Qfin)の一時的な減量が行われるが、このときサプライポンプ29及び減圧弁32は変速後トルクTe2等から求められる噴射圧力指令値PFtに基づき制御される。このため、サプライポンプ29及び減圧弁32が燃料噴射量の一時的な減量に伴って噴射圧力を低下させる側に変更されることはなく、それに応じて噴射圧力は図10(f)に太い実線で示されるようにほぼ一定となるように推移する。従って、燃料噴射量が一時的な減量状態からアクセル踏込量ACCP(出力要求)に対応した値に向けて増量されるとき(タイミングt2後)、その変化に対する噴射圧力の増加に応答遅れが生じることはない。
【0104】
又、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、燃料噴射ノズル26は変速後トルクTe2等から求められる噴射時期指令値IAtに基づき制御され、燃料噴射ノズル26による噴射時期は一定となって低下する側に変更されることはない。そのため、燃料噴射量が一時的な減量状態からアクセル踏込量ACCP(出力要求)に対応した値に向けて増量されるとき(タイミングt2後)、その変化に対する噴射時期の進角側への変化に応答遅れが生じることはない。
【0105】
更に、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、ノズルベーン39は変速後トルクTe2等から求められるVNT開度指令値VAtに基づき制御され、過給圧も一定となって低下する側に変更されることはない。そのため、燃料噴射量が一時的な減量状態からアクセル踏込量ACCP(出力要求)に対応した値に向けて増量されるとき(タイミングt2後)、その変化に対する過給圧の増加に応答遅れが生じることはない。
【0106】
次に、噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt及びVNT開度指令値VAtの算出手順について説明する。本実施形態では、この指令値算出ルーチンとして、第1実施形態の指令値算出ルーチンにおけるステップ109〜112(図4)の処理を、図11に示されるステップ301〜306の処理に代えたものが用いられる。
【0107】
このため、本実施形態の指令値算出ルーチンでは、変速要求がなされると、ステップ301の処理で変速フラグFが「1(変速中)」にされ、その後に変速後トルクTe2等に基づく噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt及びVNT開度指令値VAtの算出が行われる(ステップ302〜306)。
【0108】
即ち、ステップ302の処理では、アクセル踏込量ACCP及びエンジン回転速度NEに基づき変速前トルクTe1が算出される。また、ステップ303の処理では、変速前エンジン回転速度NE1、変速前トルクTe1、及びいずれの変速段に変速されるかといった変速態様に基づき、変速後エンジン回転速度NE2、変速後トルクTe2が算出される。
【0109】
ステップ304の処理では、変速後トルクTe2及び変速後エンジン回転速度NE2に基づき、噴射圧力指令値PFtが算出される。ステップ305の処理では、変速後トルクTe2及び変速後エンジン回転速度NE2に基づき、噴射時期指令値IAtが算出される。そして、ステップ306の処理では変速後トルクTe2及び変速後エンジン回転速度NE2に基づき、VNT開度指令値VAtの算出が行われる。
【0110】
本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(7)変速機60の変速時に、アクセル踏込量ACCP(出力要求)に関係なく燃料噴射量指令値Qfinを一時的に小さくする際には、噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt、及びVNT開度指令値VAtが、変速直後の推定トルクTeである変速後トルクTe2等に基づき算出されるようになる。この変速後トルクTe2は、変速直前のアクセル踏込量ACCP(出力要求)等から求められる変速直前の推定トルクTe、及び変速機60の変速態様等から予測される値である。ディーゼルエンジン11の出力トルクは燃料噴射量に応じて変化するため、変速後トルクTe2は上記アクセル踏込量ACCPに応じた変速機60の変速直後における燃料噴射量に対応する値となる。従って、変速後トルクTe2等から求められる噴射圧力指令値PFtに基づきサプライポンプ29及び減圧弁32を制御することにより、変速機60の変速時に燃料噴射量指令値Qfinが一時的に小さくされても、噴射圧力が一時的に低減されることはなくなる。よって、同燃料噴射量指令値Qfinの減量状態からの増量に対し噴射圧力の増加に応答遅れが生じることはない。このため、変速機60の変速時に、燃料噴射量に応じた噴射圧力によって噴射された燃料の微粒化が行われるため、燃料粒子が完全に燃え尽きて燃え残りが生成されることはなく、排気中のパティキュレート量が増加するのを抑制することができる。
【0111】
(8)又、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、その燃料噴射量指令値Qfinに対して噴射時期が一時的に遅角されることはなくなり、燃料噴射量に応じた噴射時期に燃料の噴射が行われるため、燃費の向上を図ることができるようになる。また、低負荷時には失火対策用マップに基づいて過進角する必要があるが、このように本実施形態によれば過進角領域を使用しなくてよいため、燃焼音を低減することができる。
【0112】
(9)更に、変速機60の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、その燃料噴射量指令値Qfinに対して過給圧が一時的に低下されることはなくなり、燃料噴射量に応じた過給圧によって燃焼室18内に燃焼用の空気が供給される。そのため、ディーゼルエンジン11の吸入空気量を燃料噴射量に対する必要量を確保することができ、燃料の燃え残りが生成されることはなく、排気中のパティキュレート量が増加するのを抑制することができる。
【0113】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図12を参照して説明する。
ディーゼルエンジン11の構成は第1実施形態と同様である。この実施形態では、変速機60の変速時には、アクセル踏込量ACCP(出力要求)によって通常のエンジン運転時に得られる推定トルクTeと、実際の燃料噴射量に基づくエンジントルクとの中間の値に基づき、噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt及びVNT開度指令値VAtが算出される。
【0114】
その結果、噴射圧力指令値PFtは図12(f)に太い実線で示されるように推移し、噴射時期指令値IAtは図12(g)に太い実線で示されるように推移する。更に、VNT開度指令値VAtは図12(h)に太い実線で示されるように推移する。
【0115】
そして、変速機60の変速中には、図12(f)に太い実線で示される噴射圧力指令値PFtに基づきサプライポンプ29及び減圧弁32が制御され、燃料噴射ノズル26は図12(g)に太い実線で示される噴射時期指令値IAtに基づいて制御される。又、ノズルベーン39は図12(h)に太い実線で示されるVNT開度指令値VAtに基づいて制御される。
【0116】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(3)とほぼ同様の効果が得られる。この際、第1実施形態では、変速機60の変速時に、アクセル踏込量ACCPから求められる推定トルクTe等に基づき噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt、及びVNT開度指令値VAtを算出するようにしているため、過補正となる場合がある。ところが、本実施形態では、アクセル踏込量ACCPから求められる推定トルクTeと、実際の燃料噴射量に基づくエンジントルクとの中間の値に基づき、噴射圧力指令値PFt、噴射時期指令値IAt及びVNT開度指令値VAtを算出するようにしている。そのため、変速機60の変速完了後における噴射圧力、噴射時期及び過給圧の収束性を向上することができる。
【0117】
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・ 上記各実施形態では、自動モードでの変速と手動モードでの変速との両方を実行可能な変速機60を例示したが、いずれか一方のモードのみで変速を行う変速機を採用してもよい。
【0118】
・ 第1実施形態では、変速機60の変速時にアクセル踏込量ACCP等から求められる推定トルクTeに基づき噴射圧力指令値PFt、及び噴射時期指令値IAt、及びVNT開度指令値VAtを算出したが、本発明はこれに限定されない。例えば、変速機60の変速時には、アクセル踏込量ACCP及びエンジン回転速度NEに基づき噴射圧力指令値PFt、及び噴射時期指令値IAt、及びVNT開度指令値VAtを算出するようにしてもよい。
【0119】
・ 第4実施形態では、変速機60の変速時にアクセル踏込量ACCP等から求められる推定トルクTeと実際の燃料噴射量に基づくエンジントルクとの中間の値に基づき噴射圧力指令値PFt、及び噴射時期指令値IAt、及びVNT開度指令値VAtを算出した。この推定トルクTeに代えて、第2実施形態における変速直前のエンジントルクを採用してもよいし、第3実施形態における変速直後のエンジントルクを採用してもよい。
【0120】
・ 上記各実施形態において、変速機の変速時において、噴射圧力、噴射時期、及び過給圧の制御のいずれか1つ又は2つのみを行うようにしてもよい。例えば、噴射圧力及び噴射時期の組合せ、噴射時期及び過給圧の組合せ、噴射圧力及び過給圧の組合せで制御を行うようにしてもよい。
【0121】
・ 上記各実施形態では、コモンレール、及びターボチャージャを備えたディーゼルエンジンに具体化したが、コモンレール及びターボチャージャの少なくともいずれかを備えないディーゼルエンジンに具体化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の制御装置が適用されるディーゼルエンジン全体を示す略図。
【図2】(a)〜(h)は、第1実施形態における変速機の変速時のディーゼルエンジン、クラッチ機構、及び変速機の各種制御の説明に用いられるタイムチャート。
【図3】第1実施形態における指令値算出手順を示すフローチャート。
【図4】第1実施形態における噴射圧力指令値、噴射時期指令値及び過給圧指令値の算出手順を示すフローチャート。
【図5】噴射圧力指令値の算出に用いられるマップ。
【図6】噴射時期指令値の算出に用いられるマップ。
【図7】VNT開度指令値の算出に用いられるマップ。
【図8】(a)〜(h)は、第2実施形態での変速機の変速時におけるディーゼルエンジン、クラッチ機構、及び変速機の各種制御の説明に用いられるタイムチャート。
【図9】第2実施形態における指令値算出手順を示すフローチャート。
【図10】(a)〜(h)は、第3実施形態での変速機の変速時におけるディーゼルエンジン、クラッチ機構、及び変速機の各種制御の説明に用いられるタイムチャート。
【図11】第3実施形態における指令値算出手順を示すフローチャート。
【図12】(a)〜(h)は、第4実施形態での変速機の変速時におけるディーゼルエンジン、クラッチ機構、及び変速機の各種制御の説明に用いられるタイムチャート。
【符号の説明】
11…ディーゼルエンジン、15…ピストン、16…コネクティングロッド、17…クランク軸、18…燃焼室、19…吸気通路、20…排気通路、26…調整手段としての燃料噴射ノズル、27…調整手段としてのコモンレール(蓄圧装置)、34…調整手段としての可変ノズルターボチャージャ(過給機)、45…アクセルペダル、46…アクセルポジションセンサ、47…クランクポジションセンサ、52…制御手段、クラッチ制御手段、トルク制御手段及び変速時制御手段としての電子制御装置(ECU)、60…変速機、61…入力軸、62…クラッチ機構、63…入力回転速度センサ、64…車速センサ、65…シフトレバー、PF…噴射圧力、Te…推定トルク。
Claims (7)
- ディーゼルエンジンへの出力要求に応じて燃料噴射量を制御するとともに、同ディーゼルエンジンの燃焼状態を最適化するための状態量を調整する調整手段を前記燃料噴射量に基づき制御する制御手段と、
前記ディーゼルエンジンにクラッチ機構を介して連結された変速機の変速時に、同ディーゼルエンジンと前記変速機との間が自動的に断接されるよう前記クラッチ機構を解放・係合させるクラッチ制御手段と、
前記変速機の変速時に、前記出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、機関出力トルクを低下させるトルク制御手段と、
を備えたディーゼルエンジンの制御装置において、
前記変速機の変速時に、前記燃料噴射量に基づき前記調整手段を制御することに代えて、前記出力要求の大きさを表すアクセル操作量に基づき、そのときのアクセル操作によって通常の機関運転時に得られる同機関の出力トルクを推定トルクとして算出し、この推定トルクに基づき前記調整手段を制御する変速時制御手段を備える
ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - ディーゼルエンジンへの出力要求に応じて燃料噴射量を制御するとともに、同ディーゼルエンジンの燃焼状態を最適化するための状態量を調整する調整手段を前記燃料噴射量に基づき制御する制御手段と、
前記ディーゼルエンジンにクラッチ機構を介して連結された変速機の変速時に、同ディーゼルエンジンと前記変速機との間が自動的に断接されるよう前記クラッチ機構を解放・係合させるクラッチ制御手段と、
前記変速機の変速時に、前記出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、機関出力トルクを低下させるトルク制御手段を備えたディーゼルエンジンの制御装置において、
前記調整手段は、前記状態量として燃料の噴射時期、噴射圧力、及び過給圧の少なくとも1つを調整するものであり、
前記変速機の変速時に、前記燃料噴射量に基づき前記調整手段を制御することに代えて、前記調整手段を前記変速直前の状態に固定する固定制御を行う変速時制御手段と、
を備えることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - ディーゼルエンジンへの出力要求に応じて燃料噴射量を制御するとともに、同ディーゼルエンジンの燃焼状態を最適化するための状態量を調整する調整手段を前記燃料噴射量に基づき制御する制御手段と、
前記ディーゼルエンジンにクラッチ機構を介して連結された変速機の変速時に、同ディーゼルエンジンと前記変速機との間が自動的に断接されるよう前記クラッチ機構を解放・係合させるクラッチ制御手段と、
前記変速機の変速時に、前記出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、機関出力トルクを低下させるトルク制御手段と、
を備えたディーゼルエンジンの制御装置において、
前記変速機の変速時に、前記燃料噴射量に基づき前記調整手段を制御することに代えて、そのときのディーゼルエンジンへの出力要求及び前記変速機の変速態様から予測される変速直後の同ディーゼルエンジンの出力トルクに基づき前記調整手段を制御する変速時制御手段を備える
ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項3に記載のディーゼルエンジンの制御装置において、
前記変速時制御手段は、前記変速機の変速が行われるときには、前記ディーゼルエンジンへの出力要求の大きさを表すアクセル操作量に基づき、変速直前のアクセル操作によって通常の機関運転時に得られる同エンジンの出力トルクを推定トルクとして算出し、この推定トルク及び前記変速機の変速態様に基づき、前記変速直後の同機関の出力トルクを予測する
ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のディーゼルエンジンの制御装置におい て、
前記調整手段は、前記ディーゼルエンジンに噴射される燃料の噴射圧力を蓄える蓄圧装置、及び前記ディーゼルエンジンに燃料を噴射する燃料噴射ノズル、並びに前記ディーゼルエンジンへの吸入空気を所定の過給圧にて供給する過給機の少なくとも一つである
ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のディーゼルエンジンの制御装置において、
前記変速機は車両の運転状況に応じて自動的に変速されるものであり、
前記変速時制御手段は前記変速機の変速要求がなされたとき、前記噴射圧力、噴射時期及び過給圧の少なくともいずれか1つの調整手段の制御を開始する
ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のディーゼルエンジンの制御装置において、
前記変速機は運転者のシフト操作に応じて変速されるものであり、前記変速時制御手段は前記変速機の変速要求がなされたとき、前記噴射圧力、噴射時期及び過給圧の少なくともいずれか1つの調整手段の制御を開始する
ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。
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