JP3806814B2 - ゲル層を持つソフトなマネキン - Google Patents

ゲル層を持つソフトなマネキン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人体に良く似た形状と弾力性を有する、ゲル層を持つソフトなマネキンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のマネキンは、合成樹脂、繊維強化樹脂あるいは紙などの成形材料を人体の形状に成形したものであり、その形状は人体に酷似させているが、柔軟性に全く欠けたハードなマネキンに相当するものであった。
【0003】
しかしながら、柔軟性のないハードなマネキンは、例えば人間の外形に酷似するように三次元的にコンピューターシミュレーションして造られたブラジャーなどの下着を装着したとき、乳房、臀部、腹部などの特に軟らかい人体部分の形状が下着にフィット(形状適合)しないため、その下着の装着によって購入者のボディー形状にどのように変化して形状が変化するのか、或は、その下着が如何にボディーにフィットするものであるのか、といった装着時の真の良否を判断することができないという問題が残されていた。
【0004】
そのため、高級下着を装着したマネキンからは、実際の購入者の軟組織の形状適合性が正確に判断できず、いちいち試着してボディー形状の変化やフィット性の良否を調べる必要があった。けれども、上記のような試着は煩雑であり、試着した下着は汚れるので、商品価値を失うという事情から、人体に酷似した形状と柔軟性、特に乳房、腹部、臀部が人体のような柔軟性を持ったソフトなマネキンの開発が、近年待望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題に対処すべくなされたもので、人体とほぼ同様の柔軟性と弾力性を有し、下着などを装着したときのボディー形状の変化やフィット性の良否を知ることができる、新規な、ゲル層を持つソフトなマネキンの提供を解決課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明の請求項1に係るソフトなマネキンは、人体の外形を模倣した形状に成形された軟質の外皮用フィルムと硬質のコアー材との間にゲル層があり、このゲル層を構成するゲルは、常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリオール又は/及び常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリオールプレポリマーと、常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーとを反応させて得られるポリウレタンゲルであって、ゲルの柔軟性を高める有機分散媒としてアルキレンオキサイドの末端をメトキシやエトキシで封鎖したポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、両者の共重合体のオリゴマー、プロピレンカーボネートなどの環状ポリカーボネート、高級アルコールのエステル化物のいずれかが30〜90重量%含まれたものであることを特徴とするものである。
【0007】
かかるマネキンは、外皮用フィルムが軟質で、該フィルムとコアー材との間にゲル層があるため、下着を装着すると、外皮用フィルムとゲル層が人体とほぼ同じように変形し、この変形の状態から下着のフィット性の良否やボディー形状の変化を推測することができる。
【0008】
次に、請求項2に係るソフトなマネキンは、人体の外形を模倣した形状に成形された軟質の外皮用フィルムと硬質のコアー材との間に、弾力性を有する第一のゲル層があり、乳房、臀部および腹部などの人体のより柔軟な部位に相当する箇所には、外皮用フィルムと第一のゲル層との間に、第一のゲル層よりもより柔軟な弾力性を有する第二のゲル層があり、これら第一および第二のゲル層を構成するゲルは、常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリオール又は/及び常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリオールプレポリマーと、常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーとを反応させて得られるポリウレタンゲルであって、ゲルの柔軟性を高める有機分散媒としてアルキレンオキサイドの末端をメトキシやエトキシで封鎖したポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、両者の共重合体のオリゴマー、プロピレンカーボネートなどの環状ポリカーボネート、高級アルコールのエステル化物のいずれかが30〜90重量%含まれたものであり、第一のゲル層の20%モジュラスの値が第二のゲル層の20%モジュラスの値よりも高くて250〜750g/cm の範囲にあるか、又は、第二のゲル層の20%モジュラスの値が第一のゲル層の20%モジュラスの値よりも低くて50〜350g/cm の範囲にある、人体に酷似した形状と軟組織の柔軟性をもつことを特徴とするものである。
【0009】
このようなマネキンは、第一のゲル層によってマネキン全体が適度に人体の軟組織に酷似した弾力性と柔軟性を備えており、しかも、下着を装着する乳房、臀部、腹部などの極めて柔軟な部位に相当する箇所は、第二のゲル層によってあたかもプリン(custard pudding)のように柔軟性と弾力性が更に高められているため、この箇所に下着を装着すると、これらゲル層があたかも人体のそれらの部分とほぼ同じように挙動する。従って、この変形の状態から、人体に下着を装着したときのボディー形状の変化やフィット性の良否を容易に推測することができる。20%モジュラスの値が250〜750g/cm の範囲にある第一のゲル層は人体の筋肉に良く似た柔軟性、弾力性を備えており、20%モジュラスの値が50〜350g/cm の範囲にある第二のゲル層は人体の乳房などの脂肪質の部位に良く似た柔軟性と弾力性を備えているので、このマネキンは下着を装着したときのゲル層の形状変化が人体のボディー形状の変化に極めて似ており、ボディー形状の変化やフィット性の良否を一層正確に見極めることができる。
【0013】
このような有機分散媒を含むポリウレタンゲルは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の反応比を末端の官能基の比率、すなわちOH/NCOの価で規制したり、アルキレンオキサイド鎖のセグメント長を調整したり、三次元ネットワークの網目鎖濃度を調節したり、有機分散媒の含有量を調節することによって、容易に変形モジュラスの値がコントロールされる。これらは有機分散媒を含んであたかもプリン様の今にも流れ出しそうな柔軟なポリウレタンゲルであるにもかかわらず、外力を加えてこれを除去すると、変形していたポリウレタンゲルが瞬時のうちに元の形状に復元できる反撥力を有し、人体の筋肉や脂肪質の乳房などの部位と極めて良く似た変形と復元挙動を示す。
【0014】
更に、請求項3に係るソフトなマネキンは、乳房、腹部、臀部などの人体の最も柔軟な部位に相当する箇所においてコアー材が部分的に切断(切り目を入れること)あるいは切除され、この切断あるいは切除部分にフィルムまたは布が貼着されていることもまた特徴とするものである。
【0015】
このマネキンのように、柔軟な部位に相当する箇所においてコアー材が部分的に切断あるいは切除されていると、該箇所のゲル層が押されたときに、コアー材との粘着による変形に対する抑止力が生じないため、より一層柔軟性が向上し、しかも、切除または切断部分にはフィルム又は布が貼着されているので、ゲル層が切断または切除部分から硬質のコアー材内部にしみ出すこともない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係るソフトなマネキンを上半身像と下半身像とに分離して示す正面図、図2は同実施形態のソフトなマネキンを上半身像と下半身像とに分離して示す背面図、図3は図1のA−B−C−D−E−F線に沿った断面図、図4は図1のG−H線に沿った端部拡大断面図、図5は図2のI−J−K−L線に沿った断面図、図6はソフトなマネキンの製造方法の説明図である。
【0018】
この実施形態のソフトなマネキンは、図1及び図2に示すように上半身像M1 と下半身像M2 とから成るもので、上半身像M1 と下半身像M2 を上下に結合して使用する場合もあれば、上半身像M1 と下半身像M2 を分離して個別に使用する場合もある。また、ブラジャー装着用として上半身像前部M11(図3参照)のみ、または、パンティー装着用として下半身像背部M22(図5参照)のみを分離して、個別に使用する場合もある。
【0019】
このゲル層を持つソフトなマネキンの上半身像M1 は、図3及び図4に示すように、上半身像前部M11と上半身像背部M12を接合一体化したもので、これらはいずれも、人体の上半身前部又は上半身背部を模倣した形状に成形された軟質の外皮用フィルム1と、硬質のコアー材2との間に、弾力性を有する第一のゲル層3を設けたものである。そして、上半身像前部M11の柔軟な人体の乳房に相当する箇所は、外皮用フィルム1と第一のゲル層3との間に、第一のゲル層3よりも柔軟な弾力性を有する第二のゲル層4を更に設けている。
【0020】
上記の外皮用フィルム1は、ねじり剛性率が好ましくは100〜1100kgf/cm2 (JIS K−6730)である、低密度または中密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル、ポリウレタン、シリコーンなどの厚さ50〜500μm程度の軟質合成樹脂フィルムを、真空成形や圧空成形などの手段によって、人体の上半身前部又は上半身背部の外形を精巧に模倣した形状に成形したものである。これらの軟質合成樹脂フィルムに対して、成形後にウレタン塗料を塗布して表面に5〜30μm程度のウレタン塗膜を形成することにより、人体の皮膚に良く似た手触りの外皮用フィルム1に仕上げることもできる。
【0021】
また、上記のコアー材2はプラスチックの硬質成形体から成るもので、マネキンの形状を保つための実用的な強度を付与するために、厚さが1〜3mm程度であるポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(結晶性、非晶性を問わない)などの硬質プラスチックの成形体の中から分散剤に耐性をもつものを選ぶのがよい。そして、図1に示すように上半身像前部M11のコアー材2の胸骨部分に凸リブ2aを形成したり、図2に示すように上半身像背部M12のコアー材2の肩甲骨と背骨の部分に凸リブ2bと凹リブ2cをそれぞれ形成することによって、強度を高めることも一方法として望ましい。
【0022】
このコアー材2と上記の外皮用フィルム1との間に設けられる第一のゲル層3は、その圧縮変形時の20%モジュラスの値が第二のゲル層4の20%モジュラスの値より高く、250〜750g/cm2 の範囲にあることが好ましい。これに対し、乳房などの柔軟な部位に相当する箇所の外皮用フィルム1と第一のゲル層3との間に設けられる第二のゲル層3は、その圧縮変形時の20%モジュラスの値が第一のゲル層4の20%モジュラスの値より低く、50〜350g/cm2 の範囲にあることが、人間科学的な肉体の特性のシミュレーションの見地から好ましい。
【0023】
上記のように20%モジュラスの値が250〜750g/cm2 の範囲にある第一のゲル層3は、人体の筋肉に良く似た弾力性を備えており、また、20%モジュラスの値が50〜350g/cm2 の範囲にある第二のゲル層4は、人体の乳房などの脂肪質の部位に良く似た柔軟な弾力性を備えているので、例えばこのマネキンの上半身像M1 のバストの周囲にブラジャーを装着すると、乳房に相当する箇所やその周辺箇所の形状変化が、ブラジャーを装着したときの人体の乳房やその周辺部分の変化に酷似するようになる。従って、このマネキンの形状変化を見れば、人体にブラジャーを装着したときのボディー形状の変化や、ブラジャーのフィット性の良否などを、かなり正確に予測することができ、従来のハードなマネキンに装着したときには到底得ることが出来なかったリアルな肉質感が得られ、下着のサイズ、形状などの適切性が現実のものとして把握できる。
【0024】
第一のゲル層3や第二のゲル層4を構成するゲルとしては、アクリル系やその他のヒドロゲル、シリコーン系ゲル、ポリウレタンゲルなど、各種のゲルが使用可能であるが、その中でもポリウレタンゲルが好適に使用される。特に、常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリオール又は/及び常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリオールプレポリマーと、常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーとを反応させて得られるポリウレタンゲルであって、ゲルの柔軟性を高める有機分散媒を含有させたものは、既述したように、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の反応比を末端の官能基の比率、すなわちOH/NCOの価で規制したり、アルキレンオキサイド鎖のセグメント長を調節したり、三次元ネットワークの網目鎖濃度を調節したり、有機分散媒の含有量を調節することによって、容易に変形モジュラスの値をコントロールできる利点があり、しかも、有機分散媒を含んで今にも流動しそうな極めて柔軟なポリウレタンゲルであるにもかかわらず、三次元ネットワークの網目鎖構造をもつために、外力を加えてこれを除去すると、変形していたポリウレタンゲルが瞬時のうち(0.5秒以内)に元の形状に復元できる低モジュラスの反撥力を有し、人体の筋肉や脂肪質の部位と極めて良く似た復元挙動を示す利点があること、および、ヒドロゲルのように風乾によりゲルから分散媒である水が飛散して硬いキセロゲルを形成するような経時変化がないので、最適である。
【0025】
有機分散媒としては、アルキレンオキサイドの末端をメトキシやエトキシで封鎖したポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールあるいは両者の共重合体(ブロックでもランダムでもよい)のオリゴマー、プロピレンカーボネートなどの環状ポリカーボネート、高級アルコールのエステル化物など、ポリウレタンの構成成分と反応しない高沸点の溶媒が使用できる。
【0026】
かかる有機分散媒の含有割合は30〜90重量%の範囲内とする必要があり、30重量%未満ではポリウレタンゲルの柔軟性が不足するようになる。一方、90重量%を越えるとゲル化が困難になり、保形性を有するポリウレタンゲルが形成されなくなる。有機分散媒の望ましい含有割合は、分散媒の種類によっても異なるが、40〜70重量%である。
【0027】
このマネキンに用いる第一のゲル層3を構成する具体的なゲルとしては、ポリオール成分としてのポリプロピレングリコール(Mw:1500)に対し、ポリイソシアネート成分として、トリメチロールプロパンにポリプロピレングリコールを付加してこれにヘキサメチレンジイソシアネートを反応させて得られた三官能のトリイソシアネートを、OH/NCOの価が1.5となるように反応させたポリウレタンゲルであって、反応時に、有機分散媒としてテトラエチレンオキシドの両末端をメトキシ基で封鎖したテトラグライムを60重量%含有させたものが用いられる。また、第二のゲル層4を構成するゲルとしては、上記のポリオール成分とポリイソシアネート成分をOH/NCOが2.0となるように反応させ、反応時に上記と同じ有機分散媒としてのテトラグライムを65重量%含有させて得たポリウレタンゲルを使用した。
【0028】
第一のゲル層3を構成する上記のテトラグライム含有ポリウレタンゲルは、その圧縮変形時の20%モジュラスが約550g/cm2 で人体の筋肉に極めて良く似た柔軟性と弾力性を有し、瞬時(0.5秒以内)に復元できる反撥力を有していた。また、第二のゲル層4を構成する上記のテトラグライム含有ポリウレタンゲルは、その圧縮変形時の20%モジュラスが約125g/cm2 で人体の脂肪質の部位に極めて良く似た柔軟性と弾力性を有し、柔軟性に富んでいるにも拘らず瞬時に復元できる低モジュラスの反撥力を有していた。
【0029】
尚、第一及び第二のゲル層3,4を構成するゲルとして、有機分散媒を含有させないで、上記のポリオール成分とポリイソシアネート成分のOH/NCOの価、および、アルキレンオキサイド鎖のセグメント長の調整、あるいは網目鎖濃度の調整により、圧縮変形時の20%モジュラスの値をそれぞれ上記とほぼ同様の値に調整したセグメント化ポリウレタンゲルを用いてもよいことは言うまでもない。
【0030】
以上のようなソフトなマネキンの上半身像M1 は、例えば次の方法によって製造される。
【0031】
まず、図6に示す方法で上半身像前部M11を造る。すなわち、図6(a)に示すように、上半身前部の鋳型5に、予め人体の上半身前部の外形を模倣した形状に成形された軟質の外皮用フィルム1をセットすると共に、予め成形されたプラスチック製の硬質のコアー材2を、ゲル層の厚み分をひかえて外皮用フィルム1の内側にセットする。そして、図6(b)に示すように、柔軟な乳房に相当する箇所に第二のゲル層4を形成するための例えば有機分散媒含有ポリウレタンゲルの材料(未反応のポリオール成分とポリイソシアネート成分と有機分散媒との混合物)を注入して加熱硬化させることにより第二のゲル層4を形成し、更に、図6(c)に示すように、第一のゲル層3を形成するための例えば有機分散媒含有ポリウレタンゲルの材料(未反応のポリオール成分とポリイソシアネート成分と有機分散媒との混合物)を、コアー材2と外皮用フィルム1及び第二のゲル層4との間に注入して加熱硬化させることにより第一のゲル層3を形成する。このように有機分散媒を含んだポリウレタンゲルで第一及び第二のゲル層3,4を形成すると、該ゲルの粘着力によって外皮用フィルム1やコアー材2が粘着一体化される。そして、図6(d)に示すように脱型するとマネキンの上半身像前部M11が得られる。尚、外皮用のフィルム1にウレタン塗料を塗布して表面にウレタン塗膜を形成して仕上げることもできる。
【0032】
上半身像前部M11の作製が終わると、上半身背部の鋳型を用いて、上記と同様に、予め上半身背部の外形を模倣した形状に成形された軟質の外皮用フィルムとプラスチック製の硬質のコアー材をセットすると共に、これらの間に第一のゲル層を形成するための例えば有機分散媒含有ポリウレタンゲルの材料を注入して加熱硬化させることにより第一のゲル層を形成し、脱型してマネキンの上半身像背部M12を作製する。このとき、上記配合条件を変えて第一のゲル層の硬さを前記上半身像前部M11の第一のゲル層と硬さと異なるようにしてもよい。
【0033】
そして、この上半身像背部M12と上記の上半身像前部M11を図3,図4に示すように接合して合体させると、マネキンの上半身像M1 が得られる。その場合、図4に示すように、上半身像前部M11又は上半身像背部M12のいずれか一方の外皮用フィルム1(図4では上半身像背部M12の外皮用フィルム1)の端縁を重ね代1aとして延設しておき、この重ね代1aを他方の外皮フィルム1の端部に重ねて接着するか、或は、上半身像前部と上半身像背部の接合箇所に布や粘着テープ(不図示)を貼ることによって、上半身像前部M11と上半身像背部M12を分離しないようにすることができる。
【0034】
一方、このマネキンの下半身像M2 も、図5に示すように下半身像前部M21と下半身像背部M22を接合一体化したものであって、これらはいずれも、人体の下半身前部又は下半身背部の外形を模倣した形状に成形された軟質の外皮用フィルム1と、硬質のプラスチック製のコアー材2との間に、弾力性を有する第一のゲル層3を設けたものである。そして、下半身像背部M22の柔軟な人体の臀部に相当する箇所は、外皮用フィルム1と第一のゲル層3との間に、第一のゲル層3よりも柔軟な弾力性を有する第二のゲル層4を更に設けている。
【0035】
この下半身像M2 に用いる外皮用フィルム1、コアー材2、第一のゲル層3、第二のゲル層4は、既述した上半身像M1 に用いたものと同じであり、また、製造方法も同様であるので、説明を省略する。
【0036】
このような下半身像M2 にパンティー装着すると、臀部に相当する箇所やその周辺箇所の形状変化が、パンティーを装着したときの人体の臀部やその周辺部分の変化に酷似するので、このマネキンの形状変化を見れば、人体にパンティーを装着したときのボディー形状の変化や、パンティーのフィット性の良否などをかなり正確に予測することができる。
【0037】
以上の実施形態のマネキンは、乳房、腹部、臀部などの人体の柔軟な部位に相当する箇所においてコアー材2が部分的に切断または切除されていないが、柔軟な部位に相当する箇所でコアー材2を部分的に切断または切除し、このコアー材の切断または切除部分にフィルム又は布を貼着するように構成してもよい。尚、切断とは切り目を入れること、切除とは切り取ることを意味する。
【0038】
上記のように構成すると、柔軟な部位に相当する箇所の第一及び第二のゲル層3,4が押圧されて変形するときに、コアー材との粘着による変形に対する抑止力が生じないため、より一層柔軟性が向上して人体の脂肪質の部位の感触に近づくという利点があり、しかも、切断または切除部分にはフィルムまたは布が貼着されているので、ゲル層3,4が切除部分からコアー材2内部に漏れ出す心配もない。
【0039】
また、このソフトなマネキンは、場合によっては、伸縮性を有する薄い布(例えばボディースーツやボディーストッキング等)を上半身像M1 や下半身像M2 に被せて使用することもできる。
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のゲル層を持つソフトなマネキンは、人体の軟組織に似た柔軟性と弾力性を有するものであり、特に、第一のゲル層と第二のゲル層を持つマネキンは、第一のゲル層によってマネキン全体が筋肉に似た弾力性と柔軟性を備えており、しかも、下着を装着する乳房、腹部、臀部などの極めて柔軟な部位に相当する箇所は、第二のゲル層により更に柔軟性が高められて、ヒドロゲルの一種である人体の脂肪質の部位に似た柔軟性や弾力性を備えているため、その箇所に下着を装着すると、これらのゲル層が人体とほぼ同じような変形挙動を示し、あたかも生体の如き肉質感を示すので、その状態から、人体に下着を装着したときのボディー形状の変化や下着のフィット性の良否を容易に推測することができる。従って、従来のように下着を試着してその適合性を確認する必要がなくなる。また、これらのゲル層を持つソフトなマネキンは、人間工学により精巧にシュミレートされた人体や各部位の模型をも提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るソフトなマネキンを上半身像と下半身像とに分離して示す正面図である。
【図2】同実施形態のソフトなマネキンを上半身像と下半身像とに分離して示す背面図である。
【図3】図1のA−B−C−D−E−F線に沿った断面図である。
【図4】図1のG−H線に沿った端部拡大断面図である。
【図5】図2のI−J−K−L線に沿った断面図である。
【図6】ソフトなマネキンの製造方法の説明図である。
【符号の説明】
1 マネキンの上半身像
11 上半身像前部
12 上半身像背部
2 マネキンの下半身像
21 下半身像前部
22 下半身像背部
1 外皮用フィルム
2 コアー材
3 第一のゲル層
4 第二のゲル層

Claims (3)

  1. 人体の外形を模倣した形状に成形された軟質の外皮用フィルムと硬質のコアー材との間にゲル層があり、このゲル層を構成するゲルは、常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリオール又は/及び常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリオールプレポリマーと、常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーとを反応させて得られるポリウレタンゲルであって、ゲルの柔軟性を高める有機分散媒としてアルキレンオキサイドの末端をメトキシやエトキシで封鎖したポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、両者の共重合体のオリゴマー、プロピレンカーボネートなどの環状ポリカーボネート、高級アルコールのエステル化物のいずれかが30〜90重量%含まれたものであることを特徴とするソフトなマネキン。
  2. 人体の外形を模倣した形状に成形された軟質の外皮用フィルムと硬質のコアー材との間に、弾力性を有する第一のゲル層があり、乳房、臀部および腹部などの人体のより柔軟な部位に相当する箇所には、外皮用フィルムと第一のゲル層との間に、第一のゲル層よりもより柔軟な弾力性を有する第二のゲル層があり、これら第一および第二のゲル層を構成するゲルは、常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリオール又は/及び常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリオールプレポリマーと、常温で液状のアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーとを反応させて得られるポリウレタンゲルであって、ゲルの柔軟性を高める有機分散媒としてアルキレンオキサイドの末端をメトキシやエトキシで封鎖したポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、両者の共重合体のオリゴマー、プロピレンカーボネートなどの環状ポリカーボネート、高級アルコールのエステル化物のいずれかが30〜90重量%含まれたものであり、第一のゲル層の20%モジュラスの値が第二のゲル層の20%モジュラスの値よりも高くて250〜750g/cm の範囲にあるか、又は、第二のゲル層の20%モジュラスの値が第一のゲル層の20%モジュラスの値よりも低くて50〜350g/cm の範囲にある、人体に酷似した形状と軟組織の柔軟性をもつことを特徴とするソフトなマネキン。
  3. 乳房、臀部および腹部などの人体の柔軟な部位に相当する箇所においてコアー材が部分的に切断あるいは切除され、この切断あるいは切除部分にフィルムまたは布が貼着されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のソフトなマネキン。
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