JP3804247B2 - プリンタヘッドにおける部材の接合方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばインクジェットプリンタ等に用いられるリンタヘッドを構成する各部材の接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、インクジェットプリンタに用いられるインクジェットプリンタヘッドは、複数のインク室とインクを貯留しておくインク溜とを有するヘッドプレートと、正あるいは負に帯電される複数の電極を備えた電気−機械変換素子としてPZTからなる圧電体と、ヘッドプレートのインク室に連通したノズル孔を有するノズルプレートとを備えている。そして、印字記録を行うときには、圧電体に電界を加えて圧電体を変位させ、インク室内のインクに圧力波を生じさせてインク滴をインク室に連通するノズル孔から吐出させる。このようなインクジェットプリンタヘッドでは、印字品質の点から、その吐出特性は均一であることが重要である。
【0003】
上記インクジェットプリンタヘッドの構成についてさらに説明を加えると、前記圧電体は板状に形成されており、インク室は、ヘッドプレートの表面に複数のインク溝を形成した後、このヘッドプレートの表面に板状の圧電体を接合し、この圧電体によってインク溝を施蓋することにより形成される。圧電体とヘッドプレートとの接合には、低コストで簡便な方法として樹脂製接着剤を用いた接合方法が好適に用いられる。さらに、ヘッドプレートとノズルプレートの接合にも、樹脂製接着剤を用いた接合方法が用いられる。この方法による接合は、接着剤の流動性により被着面の粗さに影響されにくいという利点がある。従って、ヘッドプレートや圧電体等、インクジェットプリンタを構成する部材の表面が粗い状態であっても、例えばエポキシ系接着剤を用いれば、各部材を互いに接合することができる。即ち、エポキシ系接着剤を部材の表面に塗布し、各部材を所定の位置に互いに仮止めした後、100〜200℃程度で約1時間の加熱を行い、接着剤を硬化させる。これにより、各部材を接合することができ、インクジェットプリンタヘッドを製造することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクジェットプリンタヘッドを構成する各部材の接合に樹脂製接着剤を用いているため、微細部分への接合を行うときに、接着剤層の厚さや量を正確に管理する必要があり、接着剤層の厚さや量の管理が難しいという問題がある。
【0005】
仮に、接着剤の量が不足すると寸法精度に負の狂いが生じたり接着不良を生じ、逆に接着剤の量が過剰であれば寸法精度に正の狂いが生じたり接着剤のはみ出しが生じる。例えば、接着剤の量が不足すると、接着不良により、本来隔壁により分離独立しているはずのヘッドプレートのインク室間で、圧電体により生じたインクの圧力波のクロストークが生じ、不要な部位の印字、即ち、印字不良を起こす場合がある。一方、接着剤の量が過剰であれば、接着剤のはみ出しにより、インク流路の変形が生じ、流路抵抗の増大による不均一な印字を招くばかりか、特にノズルプレート部においては、インクの吐出方向の変化やノズル孔の詰まりによる不具合を起こす場合がある。
【0006】
また、100℃前後の高温でインクを用いる場合には、接着剤の種類によって接着剤が変質を起こす場合がある。例えば、ヘッドプレートと圧電体の接合部において、接着剤の変質が起こると、接着剤の機械的特性が変化し、電界印加時の圧電体の変位特性が変化する。そして、最悪の場合には、接着剤層の部分的な破損によるノズルの詰まりが発生し、印字不良やインクジェットプリンタヘッドの歩留まり低下の原因となるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みなされたものであり、構成部材の被着面が粗い場合でも、各構成部材が互いに寸法精度よく接合されており、寸法誤差や動作不良等を防止することができるリンタヘッドにおける部材の接合方法を提供することを目的としている。
【0008】
また、本発明は、高温環境下において各構成部材の接合力を維持することができ、高温環境下における使用によって動作不良が生じるのを防止できるリンタヘッドにおける部材の接合方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明によるプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法は、インクを貯留するためのインク溝が形成されたヘッドプレートと、ヘッドプレートに接合され、ヘッドプレートに形成されたインク溝を施蓋してヘッドプレート内にインク室を画成するカバープレートとを有するヘッド部材と、シリコン材により形成され、ヘッド部材の外側面に接合され、インク室に貯留されたインクを外部に吐出するためのノズル孔を有するノズル部材とを備えたプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法であって、ヘッド部材の外側面に無電界メッキ及び電界メッキの2段階メッキによりメッキ薄膜を形成するメッキ薄膜形成工程と、メッキ薄膜形成工程により形成されたメッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す平滑加工工程と、平滑加工工程により平滑化されたメッキ薄膜の表面に無電界メッキにより金からなる接合薄膜を形成する接合薄膜形成工程と、接合薄膜形成工程により形成された接 合薄膜の表面と、ノズル部材の接合面とを互いに加熱圧着することにより、ヘッド部材とノズル部材とを接合する接合工程とを備えている。
【0010】
即ち、メッキ薄膜形成工程においてヘッド部材の外側面に無電界メッキ及び電界メッキの2段階メッキによりメッキ薄膜を形成し、平滑加工工程においてメッキ薄膜の表面を平滑化し、接合薄膜形成工程においてメッキ薄膜の平滑な表面に接合薄膜を形成する。これにより、接合薄膜の表面は平滑になる。そして、接合工程のおいて、接合薄膜の表面とノズル部材の接合面とを重ね合わせる。このとき、接合薄膜の表面は平滑であり、ノズル部材はシリコンにより形成されているため、接合薄膜の表面とノズル部材の接合面は互いに密着する。さらに、加熱圧着することにより、接合薄膜を無電界メッキにより形成している金とシリコンが相互拡散し、両者は強固に接合される。これにより、ヘッド部材とノズル部材は強固に接合される。
【0011】
また、メッキ薄膜および接合薄膜の厚さは、容易に寸法精度よく設定することができるため、ヘッド部材とノズル部材をメッキ薄膜および接合薄膜を介して寸法精度よく接合することができる。さらに、高温環境下において、ヘッド部材とノズル部材の接合力を維持することができる。
【0012】
【0013】
請求項2の発明によるプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法において、ヘッドプレートとカバープレートとが接合されたヘッド部材のうち、カバープレートにより施蓋されて複数のインク室が形成されるヘッドプレートの面と反対側の面において、ノズル部材が接合される領域を区画するレジストマスクを形成する工程を備える
【0014】
ヘッド部材のうち、カバープレートにより施蓋されて複数のインク室が形成されるヘッドプレートの面と反対側の面において、ノズル部材が接合される領域を区画するレジストマスクを形成する工程を備えるので、メッキ薄膜の被着領域が制限され、これに対応して金は不要な部位にメッキされないで済む。
【0015】
請求項3の発明によるプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法は、ヘッドプレートのうち、ノズル部材と接合される接合面を予め粗化する。
【0016】
ヘッドプレートのうち、ノズル部材と接合される接合面を予め粗化するので、接合面に形成されるメッキ薄膜にアンカー効果による密着力の向上を図ることができる。
【0017】
【0018】
請求項4の発明によるプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法は、電界メッキは、スルファミン酸ニッケル浴により形成される。
【0019】
電界メッキは、スルファミン酸ニッケル浴により形成されるので、メッキ応力の低いメッキを形成することができる。
【0020】
請求項5の発明によるプリンタヘッドにおけるヘッドプレートとカバープレートの接合方法は、インクを貯留するためのインク溝が形成されたヘッドプレートと、ヘッドプレートの接合面に接合され、ヘッドプレートに形成されたインク溝を施蓋してヘッドプレート内にインク室を画成するカバープレートとを有するヘッド部材と、ヘッド部材の外側面に接合され、インク室に貯留されたインクを外部に吐出するためのノズル孔を有するノズル部材とを備えたプリンタヘッドにおけるヘッドプレートとカバープレートの接合方法であって、ヘッドプレートの接合面に無電界メッキ及び電界メッキの2段階メッキにより第1メッキ薄膜を形成する第1メッキ薄膜形成工程と、第1メッキ薄膜形成工程により形成さ れた第1メッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す第1平滑加工工程と、第1平滑加工工程により平滑化された第1メッキ薄膜の表面に無電界メッキにより金からなる第1接合薄膜を形成する第1接合薄膜形成工程と、カバープレートがPZT系セラミック材からなり、その接合面にメッキにより第2メッキ薄膜を形成する第2メッキ薄膜形成工程と、第2メッキ薄膜形成工程により形成された第2メッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す第2平滑加工工程と、第2平滑加工工程により平滑化された第2メッキ薄膜の表面にスズからなる第2接合薄膜を形成する第2接合薄膜形成工程と、第1接合薄膜形成工程により形成された第1接合薄膜の表面と、第2接合薄膜形成工程により形成された第2接合薄膜の表面とを互いに加熱圧着することにより、ヘッドプレートとカバープレートとを接合する接合工程とを備えている。
【0021】
即ち、第1メッキ薄膜形成工程においてヘッドプレートの接合面に無電界メッキ及び電界メッキの2段階メッキにより第1メッキ薄膜を形成し、第1平滑加工工程において第1メッキ薄膜の表面を平滑化し、第1接合薄膜形成工程において第1メッキ薄膜の平滑な表面に第1接合薄膜を形成する。これにより、第1接合薄膜の表面は平滑になる。一方、第2メッキ薄膜形成工程においてPZT系セラミック材からなるカバープレートの接合面に第2メッキ薄膜を形成し、第2平滑加工工程において第2メッキ薄膜の表面を平滑化し、第2接合薄膜形成工程において第2メッキ薄膜の平滑な表面に第2接合薄膜を形成する。これにより、第2接合薄膜の表面は平滑になる。そして、接合工程のおいて、第1接合薄膜の表面と第2接合薄膜の表面とを重ね合わせる。このとき、各接合薄膜の表面はいずれも平滑であるため、各接合薄膜は互いに密着する。さらに、加熱圧着することにより、第1接合薄膜を形成している金と第2接合薄膜を形成しているスズが相互拡散し、両者は強固に接合される。これにより、ヘッドプレートとカバープレートは強固に接合される。
【0022】
また、各メッキ薄膜および各接合薄膜の厚さは、容易に寸法精度よく設定することができるため、ヘッドプレートとカバープレートを各メッキ薄膜および各接合薄膜を介して寸法精度よく接合することができる。さらに、高温環境下において、ヘッドプレートとカバープレートの接合力を維持することができる。
【0023】
なお、第1メッキ薄膜形成工程から第1接合薄膜形成工程までの一連の工程と、第2メッキ薄膜形成工程から第2接合薄膜形成工程までの一連の工程の順序は、特に限定されない。例えば、第1メッキ薄膜形成工程から第1接合薄膜形成工程までの一連の工程を行った後に、第2メッキ薄膜形成工程から第2接合薄膜形成工程までの一連の工程を行ってもよい。また、第2メッキ薄膜形成工程から第2接合薄膜形成工程までの一連の工程を行った後、第1メッキ薄膜形成工程から第1接合薄膜形成工程までの一連の工程を行ってもよい。さらに、第1メッキ薄膜形成工程から第1接合薄膜形成工程までの一連の工程と、第2メッキ薄膜形成工程から第2接合薄膜形成工程までの一連の工程を並列して行ってもよい。即ち、接合工程を行う前に、ヘッドプレートに第1メッキ薄膜と第1接合薄膜を形成し、カバープレートに第2メッキ薄膜と第2接合薄膜とを形成すればよい。
【0024】
【0025】
請求項6の発明によるプリンタヘッドおけるヘッドプレートとカバープレートの接合方法において、インクを貯留するためのインク溝が形成されたヘッドプレートと、ヘッドプレートの接合面に接合され、ヘッドプレートに形成されたインク溝を施蓋してヘッドプレート内にインク室を画成するカバープレートとを有するヘッド部材と、ヘッド部材の外側面に接合され、インク室に貯留されたインクを外部に吐出するためのノズル孔を有するノズル部材とを備えたプリンタヘッドにおけるヘッドプレートとカバープレートの接合方法であって、ヘッドプレートの接合面に無電界メッキ及び電界メッキの2段階メッキにより第1メッキ薄膜を形成する第1メッキ薄膜形成工程と、第1メッキ薄膜形成工程により形成された第1メッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す第1平滑 加工工程と、第1平滑加工工程により平滑化された第1メッキ薄膜の表面に無電界メッキにより金からなる第1接合層を形成する第1接合薄膜形成工程と、カバープレートがPZT系セラミック材からなり、その接合面にメッキにより第2メッキ薄膜を形成する第2メッキ薄膜形成工程と、第2メッキ薄膜形成工程により形成された第2メッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す第2平滑加工工程と、第2平滑加工工程により平滑化された第2メッキ薄膜の表面にシリコンからなる第2接合薄膜を形成する第2接合薄膜形成工程と、第1接合薄膜形成工程により形成された第1接合薄膜の表面と、前記第2接合薄膜形成工程により形成された第2接合薄膜の表面とを互いに加熱圧着することにより、ヘッドプレートとカバープレートとを接合する接合工程とを備えている
【0026】
ヘッドプレートの接合面上に形成された第1メッキ薄膜は、ヘッドプレートの粗い接合面を平滑にする。これにより、第1メッキ薄膜上に形成された第1接合薄膜の表面も平滑となる。一方、PZT系セラミック材からなるカバープレートの接合面上に形成された第2メッキ薄膜は、カバープレートの粗い接合面を平滑にする。これにより、第2メッキ薄膜上に形成された第2接合薄膜の表面も平滑となる。従って、第1接合薄膜と第2接合薄膜は互いに平滑面をもって密着している
【0027】
即ち、上述した請求項5の発明と同様に、第1メッキ薄膜形成工程から第1接合薄膜形成工程までの一連の工程において、ヘッドプレートの接合面に第1メッキ薄膜と第1接合薄膜を形成し、第2メッキ薄膜形成工程から第2接合薄膜形成工程までの一連の工程において、カバープレートの接合面に第2メッキ薄膜と第2接合薄膜を形成する。ここで、請求項6の発明では、第1接合薄膜を金によって形成し、第2接合薄膜をシリコンによって形成する。そして、接合工程において、第1接合薄膜の表面と第2接合薄膜の表面とを互いに加熱圧着する。加熱圧着により、金とシリコンは相互拡散して、互いに強固に結合する。これにより、ヘッドプレートとカバープレートとを寸法精度よく強固に接合することができると共に、高温環境下において、ヘッドプレートとカバープレートの強固な接合力を維持することができる。
【0028】
なお、第1メッキ薄膜形成工程から第1接合薄膜形成工程までの一連の工程と、第2メッキ薄膜形成工程から第2接合薄膜形成工程までの一連の工程の順序は、特に限定されない。
【0029】
請求項7の発明によるプリンタヘッドにおけるヘッド部材とカバープレートの接合方法は、ヘッドプレートのうち、カバープレートと接合される接合面を予め粗化する。
【0030】
ヘッドプレートのうち、カバープレートと接合される接合面を予め粗化するので、接合面に形成されるメッキ薄膜にアンカー効果による密着力の向上を図ることができる。
【0031】
請求項8の発明によるプリンタヘッドにおけるヘッド部材とカバープレートの接合方法において、電界メッキは、スルファミン酸ニッケル浴により形成される。
【0032】
電界メッキは、スルファミン酸ニッケル浴により形成されるので、メッキ応力の低いメッキを形成することができる。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0057】
まず、本発明によるプリンタヘッドの第1の実施の形態として、インクジェットプリンタヘッドを例に挙げ、図1ないし図19に従って説明する。
【0058】
図1に示すインクジェットプリンタヘッド1は、インクジェットプリンタに搭載されるものである。ここで、インクジェットプリンタのうち、特に印字記録手段である駆動部周辺について簡単に説明する。この部分は、主に、印字記録用の用紙を搬送する回転可能なプラテンと、このプラテンにギヤ機構を介して回転力を与えるモーターと、さらにこのプラテンに対向して設置されるインクジェットプリンタヘッドにより構成される。インクジェットプリンタヘッドは、インク供給装置と共にキャリッジ上に設置されている。このキャリッジは、前記プラテンの軸線と平行に設置された2本のガイドロッドに沿って移動可能に支持されている。また、キャリッジ壁部には、一対のプーリ間に掛け渡されたタイミングベルトが固定され、一方のプーリに接続された別のモーターの回転運動を伝達できるように構成されている。このような構成により、モーターの回転力を受けてプラテンが回転して印字記録用の用紙を所定の方向に決まった速度で送ると共に、これに同期して、別のモーターの回転力をタイミングベルトを介して受けたキャリッジがガイドロッドに沿って移動する。この時、キャリッジに設置されたインクジェットプリンタヘッドが、図示しない制御手段が出力する記録情報信号に基づいてインクを吐出するので、プラテンにより搬送された印字記録用の用紙上に所定の画像等が形成されることになる。
【0059】
次に、本実施形態によるインクジェットプリンタヘッド1について説明する。図1はインクジェットプリンタヘッド1の分解斜視図である。図1に示すように、インクジェットプリンタヘッド1は、ヘッドプレート20およびカバープレート30を接合することにより形成されるヘッド部材10と、ヘッドプレート20の外側面21に接合されるノズル部材40とを備えている。
【0060】
ヘッドプレート20は、例えば、アルミナ、PZT等のセラミック材やエポキシ系、アクリル系等の樹脂、またはガラスなどによって形成されている。また、ヘッドプレート20の上面は、カバープレート30と接合される接合面21Bとなり、接合面21B上には、インク溜22およびインク室23を形成するためのインク溝が形成されている。カバープレート30をヘッドプレート20の接合面21Bに接合してヘッドプレート20を上側から施蓋することにより、図2に示すように、ヘッドプレート20の内部にインク溜22および複数のインク室23が形成される。さらに、ヘッドプレート20の下面側には、各インク室23に対応するように複数の貫通孔24が形成されている。また、図3に示すように、各インク室23は、隔壁25によってそれぞれ独立した室となるように分離されている。
【0061】
カバープレート30は、図1に示すように、外側面31を有し、板状に形成されている。さらに、カバープレート30は、図2および図3に示すように、第1圧電体32、共通電極33、第2圧電体34および複数の個別電極35とから構成されている。第1圧電体32、共通電極33および第2圧電体34はそれぞれシート状に形成されており、カバープレート30はこれらを積層することにより形成されている。第1圧電体32および第2圧電体34は、それぞれPZT(ジルコンチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)等の圧電材料により形成されている。各個別電極35は、ヘッドプレート20に形成された各インク室23に対応するようにそれぞれ配置されており、インク室23の細長い形状に対応して帯状に形成されている。
【0062】
ノズル部材40は、シリコン材により形成され、ノズル部材40の接合面41には、ノズル室42およびノズル孔43を形成するための凹溝が形成されている。ノズル部材40をヘッドプレート20の下面に位置する接合面21Aと接合することにより、ノズル部材40の内部に、複数のノズル室42および複数のノズル孔43が形成される。各ノズル室42および各ノズル孔43は、ヘッドプレート20内に形成されたインク室23にそれぞれ対応している。各インク室23と各ノズル室42は、図2に示すように、貫通孔24を介してそれぞれ接続されている。これにより、インクジェットプリンタヘッド1内には、インク溜22、インク室23、貫通孔24、ノズル室42およびノズル孔43からなる一連のインク流路が形成される。
【0063】
ここで、インクジェットプリンタヘッド1の動作について説明する。印字記録を行うときには、前記インク供給装置からヘッドプレート20に形成された各インク室23にインクを供給する。そして、図示しない制御手段から出力される情報信号に基づいて、カバープレート30の共通電極33および個別電極35との間に電圧を印加すると、第1圧電体32および第2圧電体34が、インク室23内に突出するようにユニモルフモードの変形をする。この変形により、インク室23内に貯留されたインクに圧力波が生じる。圧力波は、ヘッドプレート20に形成された貫通孔24を介してノズル部材40のノズル室42に伝えられる。これにより、インクがノズル孔43から吐出する。この場合、インクの吐出は、インクジェットプリンタヘッド1のガイドロッド上での移動速度や方向、あるいはプラテンによる印字記録用の用紙の搬送速度と同期して行われるので、この用紙上に制御手段の出力する情報信号に基づいた画像等が形成されることになる。なお、前記ユニモルフモードとは、面の一方に弾性体が固定された圧電体の分極方向と同じ向き、あるいは逆の向きに電圧が印加されると、圧電体が分極方向と直角方向に伸縮し、前記弾性体がこの伸縮を拘束しようとするために生じる撓み変形のモードであり、本実施の形態においては、前記圧電体は第2圧電体34に相当し、前記弾性体は第1圧電体32に相当する。また、第2圧電体34は、図2の紙面内の上から下の方向、すなわち個別電極35から共通電極33の方向に分極して設置されている。
【0064】
次に、本実施形態によるヘッドプレート20とノズル部材40の接合構造について説明する。図4は、本実施形態によるインクジェットプリンタヘッド1において、図2中の二点鎖線によって囲まれた部分を拡大して示した断面図である。図4に示すように、ヘッドプレート20とノズル部材40はメッキ層50を介して互いに接合されており、メッキ層50は、ヘッド部材10の外側面の一部であるヘッドプレート20の接合面21A上にニッケルメッキにより形成されたメッキ薄膜51と、メッキ薄膜51上に形成された金かなる接合薄膜52とから構成されている。
【0065】
上述したように、ヘッドプレート20は、例えば、アルミナ、PZT等のセラミック材やエポキシ系、アクリル系等の樹脂、またはガラスなどのように、表面の状態が粗い材料によって形成されているため、ヘッドプレート20の接合面21A(外側面21)は、粗い状態である。しかしながら、このような粗い状態の接合面21A上にメッキ薄膜51を形成し、メッキ薄膜51の表面を鏡面化することにより、接合面21Aは平滑な面となっている。さらに、メッキ薄膜51の表面が平滑であるため、メッキ薄膜51上に形成された接合薄膜52の表面も平滑である。一方、ノズル部材40はシリコン材により形成され、ノズル部材40の接合面41は平滑に加工してある。さらに、接合薄膜52は金で形成されており、ノズル部材40はシリコン材で形成されている。金とシリコンは、加熱圧着によって相互拡散し、互いに強固に結合する性質を有する。これにより、接合薄膜52の表面とノズル部材40の接合面41は密着した状態で強固に接合されている。
【0066】
また、メッキ薄膜51および接合薄膜52の膜厚は高精度に設定されている。具体的には、メッキ薄膜51の膜厚は約0.1〜3μmの範囲内における所定の値、例えば1μmであり、接合薄膜52の膜厚は約0.1〜3μmの範囲内における所定の値、例えば1μmである。なお、メッキ薄膜51および接合薄膜52の各膜厚をさらに薄くまたはさらに厚く調整することができる。
【0067】
次に、本実施形態によるヘッド部材10を構成しているヘッドプレート20とカバープレート30との接合構造について説明する。図5は、図3中の二点鎖線で囲んだ部分を拡大して示した断面図である。図5に示すように、ヘッドプレート20とカバープレート30はメッキ層60を介して互いに接合されており、メッキ層60は、ヘッドプレート20の接合面21B上にニッケルメッキにより形成されたメッキ薄膜61と、メッキ薄膜61上に形成された金からなる接合薄膜62と、カバープレート30の接合面31A上にニッケルメッキにより形成されたメッキ薄膜63と、メッキ薄膜63上に形成されたスズからなる接合薄膜64とから構成されている。
【0068】
上述したように、ヘッドプレート20は、表面の状態が粗い材料によって形成されているため、ヘッドプレート20の接合面21Bは、粗い状態である。しかしながら、このような粗い状態の接合面21B上にメッキ薄膜61を形成し、メッキ薄膜61の表面を鏡面化することにより、接合面21Bは平滑な面となっている。さらに、メッキ薄膜61の表面が平滑面であるため、メッキ薄膜61上に形成された接合薄膜62の表面も平滑である。一方、カバープレート30の接合面31AはPZTからなる圧電体32の表面に相当するため、この接合面31Aは、ヘッドプレート20の接合面21Aとほぼ同様に粗い状態である。しかしながら、接合面31A上にメッキ薄膜63を形成し、メッキ薄膜63の表面を鏡面化することにより、接合面31Aは平滑な面となっている。さらに、メッキ薄膜63の表面が平滑であるため、メッキ薄膜63上に形成された接合薄膜64の表面も平滑である。さらに、接合薄膜62は金で形成されており、接合薄膜64はスズで形成されている。金とスズは、加熱圧着によって相互拡散し、互いに強固に結合する性質を有する。これにより、接合薄膜62と接合薄膜64は密着した状態で強固に接合されている。
【0069】
また、メッキ薄膜61,63および接合薄膜62,64の膜厚は高精度に設定されている。具体的には、メッキ薄膜61,63の膜厚は約0.1〜3μmの範囲内における所定の値、例えば1μmであり、接合薄膜62,64の膜厚は約0.1〜3μmの範囲内における所定の値、例えば1μmである。なお、メッキ薄膜61,63および接合薄膜62,64の各膜厚をさらに薄くまたはさらに厚く調整することができる。
【0070】
次に、本実施形態によるインクジェットプリンタ1の製造方法について説明する。
【0071】
まず、カバープレート30の製造方法について説明すると、弾性体として働くシート状の第1圧電体32の表面全体に共通電極33をスクリーン印刷法により形成し、これに圧電体として働く第2圧電体34を積層した後、真空プレスして焼成する。スクリーン印刷法で形成される共通電極11は、スパッタ法や蒸着法等のドライプロセスにより形成してもよい。続いて、これら第1圧電体32および第2圧電体34を所定の方向(ここでは、図2の紙面内の上から下の方向)に分極させる。さらに、ヘッドプレート20のインク室23に対応する位置に帯状の個別電極35をスパッタ法や蒸着法等のドライプロセスを用いて形成する。なお、分極処理は、個別電極35の形成後に行ってもよい。この場合には、個別電極35と共通電極33を使って分極処理が可能で、特別な分極装置が不要なため、効率的で低コストの製造ができる。
【0072】
次に、ヘッドプレート20の製造方法について説明すると、ヘッドプレート20は、未焼成のPZT系圧電体シートを数枚重ねた状態で真空プレスした後に焼成して形成する。インク室23等を形成するためのインク溝は、ショットブラス加工により形成する。この場合、ヘッドプレート20の上面側にインク室23等の形状にパターニングされたレジストマスクを形成し、アルミナや炭化珪素等のセラミック粉体を高速で照射するショットブラストにより所望のインク溝を形成することができる。なお、マスク材のレジスト膜は、ショットブラスト加工後に剥離除去する。
【0073】
また、ノズル部材40の製造方法について説明すると、ノズル部材40は板状のシリコン材の表面をほぼ鏡面となるように研磨することにより形成される。ノズル室42等を形成するための凹溝は、ヘッドプレート20にインク溝を形成する場合と同様に、ノズル室42等の形状にパターニングされたレジストマスクをシリコン板に形成し、フッ酸やフッ酸と硝酸の混合液等の酸類、あるいは水酸化セシウム、水酸化カリウム、エチレンジアミン等を主成分とするアルカリ類を用いた化学エッチングを施すことにより形成する。この場合、ドライプロセスであるイオンエッチングを用いて溝加工を行ってもよい。
【0074】
次に、ヘッドプレート20とカバープレート30との接合方法について図6ないし図14に従って説明する。
【0075】
まず、第1エッチング工程により、図6に示すように、PZT系セラミック材等により形成されたヘッドプレート20のうち、少なくとも、ノズル部材40と接合される接合面21Aおよびカバープレート30と接合される接合面21Bにエッチングを施して、表面を粗化する。エッチング液には、フッ酸、ホウフッ酸、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、過塩素酸等の酸類が好適に用いられる。これらを複数種類混合したエッチング液を用いてもよい。また、エッチング処理は、ヘッドプレート20にインク室23等を形成するためのインク溝を形成する前に行ってもよく、ヘッドプレート20に前記インク溝を形成する後に行ってもよい。
【0076】
次に、第1メッキ薄膜形成工程では、図7に示すように、エッチング粗化されたヘッドプレート20の接合面21Bに、無電解ニッケルメッキによってメッキ薄膜61を形成する。無電解ニッケルメッキによってメッキ薄膜61を形成するためには、まずエッチングされたヘッドプレート20の接合面21Bに対し、センシタイジングと呼ばれる処理を行う。センシタイジング処理はSn2+を含む塩酸系溶液に浸漬する処理である。さらに、水洗後、アクチベーティングと呼ばれる処理を行う。アクチベーティング処理は、Pd2+を含む塩酸系溶液に浸漬する処理である。これにより、メッキ困難な面に対するメッキ処理を容易にし、水洗後、無電解ニッケルメッキを行う。無電解ニッケルメッキは、通常はニッケル・リン系メッキ液を使用するが、必要に応じてニッケル・ホウ素系メッキ液を用いてもよい。メッキは約90℃で数分〜1時間程度行う。例えば膜厚約10μmを必要とする場合、メッキ時間は40〜50分程度である。このメッキ薄膜51は、後述するように研磨加工の加工しろとなるため、膜厚としては少なくとも3μm、好ましくは10μm程度は必要である。
【0077】
本実施形態では、上述したようにメッキ薄膜61を、無電解ニッケルメッキのみにより形成したが、無電解ニッケルメッキと電解ニッケルメッキとを併用してメッキ薄膜61を形成することも可能である。この場合、エッチングされたヘッドプレート20をセンシタイジング処理及びアクチベーティング処理し、無電解ニッケルメッキを行うまでは同じである。しかし、無電解ニッケルメッキのメッキ時間は数分で、膜厚は0.1〜1μm程度である。この無電解ニッケルメッキ皮膜の形成により、ヘッドプレート20のメッキ面は導体化されたため、通電用のメッキリードをヘッドプレート20に取り付けた後に電解ニッケルメッキを行うことができる。電解ニッケルメッキ浴には、一般にはメッキ応力の低いスルファミン酸ニッケル浴が用いられるが、安価なワット浴を用いてもよい。電流密度0.1〜10A/dm2で数分〜1時間程度のメッキを行う。電解メッキにより形成されたニッケルメッキ層は、一般に無電解メッキのみで形成されたニッケルメッキ層と比較してメッキ応力が低いため、ヘッドプレート20の接合面21Bとの密着性が良好となるという利点がある。さらに、電解メッキでは電流密度の設定を変えるだけで短時間に所定の膜厚のメッキ薄膜61を形成することが可能である。
【0078】
次に、第1平滑加工工程では、図8に示すように、ヘッドプレート20の接合面21B上に形成されたメッキ薄膜61の表面を、研磨加工して鏡面化する。
【0079】
次に、第1接合薄膜形成工程では、図9に示すように、鏡面化されたメッキ薄膜61上に金メッキにより接合薄膜62を形成する。接合薄膜62を形成するのに用いられる金メッキは、電解金メッキでも無電解金メッキでもどちらでも使用することができる。特に、メッキ薄膜61がニッケルメッキで構成されている場合には、無電解金メッキを使用すると極めて容易に接合薄膜62を形成することができる。接合薄膜62の膜厚は例えば1μm程度である。下地のメッキ薄膜61が鏡面加工されているため、接合薄膜62も鏡面に形成される。
【0080】
次に、第2エッチング工程では、図10に示すように、カバープレート30のうち、少なくとも、ヘッドプレート20と接合される接合面31Aにエッチングを施して、表面を粗化する。エッチング液については、上述した第1エッチング工程と同様である。
【0081】
次に、第2メッキ薄膜形成工程では、図11に示すように、上述した第2エッチング工程によりエッチングされたカバープレート30の接合面31Aに対し、センシタイジング処理およびアクチベーティング処理を行う。その後、カバープレート30の接合面31Aに、無電解ニッケルメッキによってメッキ薄膜63を形成する。メッキ液、メッキ時間等について上述した第1メッキ薄膜形成工程とほぼ同様である。メッキ薄膜61は、後述するように研磨加工の加工しろとなるため、膜厚としては少なくとも3μm、好ましくは10μm程度は必要である。なお、上述したメッキ薄膜51と同様に、メッキ薄膜61を、無電解ニッケルメッキと電解ニッケルメッキとを併用して形成することも可能である。
【0082】
次に、第2平滑加工工程では、図12に示すように、カバープレート30の接合面31A上に形成されたメッキ薄膜61の表面を、研磨加工して鏡面化する。
【0083】
次に、第2接合薄膜形成工程では、図13に示すように、鏡面化されたメッキ薄膜63上に、スズからなる接合薄膜64を形成する。接合薄膜64は、電解スズメッキにより形成する。この場合、電解スズメッキ浴には、硫酸塩浴、ホウフッ化物浴、スズ酸塩浴または有機カルボン酸塩浴等を用いる。電解スズメッキ浴として硫酸塩浴を用いる場合には、室温で、電流密度0.5〜5A/dm2の電流をメッキ薄膜63に通電させることにより電解を行う。数分〜十数分の電解を行うことにより、膜厚が数μm〜十数μm程度の接合薄膜64を形成することができる。また、下地のメッキ薄膜63が鏡面加工されているため、接合薄膜64の表面も鏡面に形成される。
【0084】
ところで、本実施形態では、接合薄膜64をスズにより形成したが、接合薄膜64をシリコンによって形成してもよい。この場合、シリコンからなる接合薄膜64を、スパッタリング法、プラズマCVD法または電子ビーム法により形成することができる。さらに具体的に説明すると、シリコンからなる接合薄膜64を直流マグネトロン方式のスパッタリング法を用いて形成する場合には、作業圧力(希ガスの圧力)を10-2〜10-1Paに設定する。この場合、接合薄膜64の製膜速度は0.15〜1.2μm/分程度である。一般に、マグネトロン方式のスパッタリング法は、製膜速度が速く、不要な温度上昇を抑えることができるという利点がある。従って、シリコンからなる接合薄膜64の形成にマグネトロン方式のスパッタリング法を用いることにより、接合薄膜64を短時間で形成でき、また、カバープレート30の温度が上昇するのを防止できる。
【0085】
次に、第1接合工程では、図14に示すように、メッキ薄膜61および接合薄膜62が形成されたヘッドプレート20と、メッキ薄膜63および接合薄膜64が形成されたカバープレート30とを位置合わせしつつ配置し、ヘッドプレート20側の接合薄膜62の表面と、カバープレート30側の接合薄膜64の表面とを互いに当接させ、加熱圧着する。スズ・金2元系合金の共晶温度は約280℃であるため、加熱圧着の温度を、その付近の温度200℃〜400℃に設定する。これにより、スズおよび金が相互に拡散し、両者は強固に密着接合される。
【0086】
なお、接合薄膜64をシリコン材で形成した場合には、シリコン・金二元系合金の共晶温度は約363℃であるため、400〜600℃で加熱圧着する。これにより、接合薄膜64中のシリコンと接合薄膜62中の金とが相互拡散して、各々が強固に密着し結合される。
【0087】
以上より、ヘッドプレート20とカバープレート30はメッキ層60を介して寸法精度よく強固に接合され、ヘッド部材10が完成する。
【0088】
次に、ヘッド部材10(ヘッドプレート20)とノズル部材40の接合方法について図15ないし図19に従って説明する。
【0089】
まず、第3メッキ薄膜形成工程では、図15に示すように、上述した第1エッチング工程によりエッチングされたヘッドプレート20の接合面21Aに対し、センシタイジング処理およびアクチベーティング処理を行う。そして、ヘッドプレート20の接合面21Aに、無電解ニッケルメッキによって、図16に示すようなメッキ薄膜51を形成する。メッキ液およびメッキ時間については上述した第1メッキ薄膜形成工程と同様である。このメッキ薄膜51は、後述するように研磨加工の加工しろとなるため、膜厚としては少なくとも3μm、好ましくは10μm程度は必要である。なお、上述したメッキ薄膜61とほぼ同様に、メッキ薄膜51を、無電解ニッケルメッキと電解ニッケルメッキとを併用して形成することも可能である。
【0090】
次に、第3平滑加工工程では、図17に示すように、ヘッドプレート20の接合面21A上に形成されたメッキ薄膜51の表面を、研磨加工して鏡面化する。
【0091】
次に、第3接合薄膜形成工程では、図18に示すように、鏡面化されたメッキ薄膜51上に金メッキにより接合薄膜52を形成する。接合薄膜52を形成するのに用いられる金メッキは、電解金メッキでも無電解金メッキでもどちらでも使用することができる。特に、メッキ薄膜51がニッケルメッキで構成されている場合には、無電解金メッキを使用すると極めて容易に接合薄膜52を形成することができる。接合薄膜52の膜厚は例えば1μm程度である。下地のメッキ薄膜51が鏡面加工されているため、接合薄膜52も鏡面に形成される。
【0092】
次に、第2接合工程では、図19に示すように、メッキ薄膜51および接合薄膜52が積層されたヘッドプレート20の接合面21A上に、シリコン材からなるノズル部材40を配置し、400〜600℃で加熱圧着する。これにより、ノズル部材40のシリコンと接合薄膜52中の金とが相互拡散して、各々が強固に密着し結合される。シリコン・金二元系合金の共晶温度は約363℃であるため、その温度付近に加熱することによって、各々の元素が相互に拡散し、共晶層を形成し密着するものである。
【0093】
このようにして、ヘッド部材10(ベースプレート20)とノズル部材40は、メッキ層50を介して寸法精度よく強固に接合され、インクジェットプリンタヘッド1における接合作業は完了する。
【0094】
ところで、上述の無電解ニッケルメッキによりメッキ薄膜51を形成する、第3メッキ薄膜形成工程(図16)において、メッキ薄膜51を形成する領域をノズル部材40が実際に接合される領域Aに制限している。即ち、ヘッドプレート20のエッチングによる粗化が終わった段階で、ノズル部材40が実際に接合される領域に対応したレジストマスクをヘッドプレート20の下面上に形成し、上述した第3メッキ薄膜形成工程を行う。この場合、レジストマスクの剥離除去は、図18の接合薄膜形成工程の前までに行えばよく、エッチングされたヘッドプレート20のセンシタイジング処理及びアクチベーティング処理が終了したときでもよく、あるいは無電解ニッケルメッキが終了したときでもよい。このように、メッキ薄膜51の被着範囲を制限すれば、続いて積層される接合薄膜の形成も自ずとこの領域に制限され、不要な部位への金メッキが起こらないですむ。なお、メッキ薄膜51を形成する領域をノズル部材40が実際に接合される領域Aに制限せず、ヘッドプレート20の下面全体としてもよい。これにより、メッキ薄膜51および接合薄膜52がヘッドプレート20の下面全体に形成されるが、レジストマスクの形成が不要となり、作業が簡略化される。
【0095】
かくして、ヘッドプレート20とカバープレート30とをメッキ層60と介して接合したから、ヘッドプレート20およびカバープレート30の各接合面が粗い状態でも、ヘッドプレート20とカバープレート30とを強固に接合することができる。また、ヘッドプレート20とノズル部材40をメッキ層50を介して接合したから、ヘッドプレート20の接合面が粗い状態であり、接合の相手がシリコンからなるノズル部材40であっても、ヘッドプレート20とノズル部材40を強固に接合することができる。
【0096】
さらに、上述したように、メッキ層50,60の膜厚は、寸法精度よく設定することができる。これにより、ヘッドプレート20とカバープレート30の接合、およびヘッドプレート20とノズル部材40の接合をそれぞれ寸法精度よく行うことができる。従って、インクジェットプリンタヘッド1を全体的に高精度に製造することができ、インクジェットプリンタヘッド1のインクの吐出特性を向上させることができる。また、接合不良を防止でき、インクジェットプリンタヘッド1の動作不良を防止できる。
【0097】
例えば、ヘッドプレート20とカバープレート30をメッキ層60で接合することにより、各インク室23を隔壁25により確実に分離でき、各インク室23を確実に独立させることができる。これにより、インク吐出時にインクの圧力波にクロストークが生じる等の動作不良を防止できる。また、ノズル部材40の接触不良によって、貫通孔24やノズル孔43等において、インク流路に変形が生じ、流路抵抗の増大による不均一な印字、インクの吐出方向の変化、ノズル孔43の詰まり等による動作不良を防止することができる。
【0098】
また、メッキ層50,60により、ヘッドプレート20、カバープレート30およびノズル部材40の接合を寸法精度よく行うことができるため、ヘッドプレート20、カバープレート30およびノズル部材40の各サイズを大幅に減少させても、ヘッドプレート20、カバープレート30およびノズル部材40の接合を正確に行うことができる。従って、インクジェットプリンタヘッド1のサイズを減少させることができ、超小型のインクジェットプリンタヘッド1を実現することができる。
【0099】
さらに、メッキ層50,60は、接着剤と比較して高温環境下における耐久性に優れている。従って、例えば100℃以上の高温環境下においてインクジェットプリンタヘッド1を使用しても、ヘッドプレート20,カバープレート30およびノズル部材40の接合状態は安定しており、強固な接合力が維持され、変形を防止できる。これにより、ノズル孔43から吐出されるインクの吐出特性等を高精度に維持することができる。
【0100】
次に、本発明によるプリンタヘッドの第2の実施形態としてインクジェットプリンタヘッドを例に挙げ、図20ないし図22に従って説明する。本実施形態の特徴は、ヘッドプレート上にカバープレートを接合し、さらにそのカバープレートの上にノズル部材を接合したことにある。
【0101】
図20において、本実施形態によるインクジェットプリンタヘッド2は、ヘッドプレート80と、ヘッドプレート80上に接合されたカバープレート90とからなるヘッド部材70と、カバープレート90上に接合されたノズル部材100とを備えている。
【0102】
本実施形態におけるヘッドプレート80は、上述した第1の実施形態によるヘッドプレート20とほぼ同様に、例えば、アルミナ、PZT等のセラミック材やエポキシ系、アクリル系等の樹脂、またはガラスなどによって形成されている。従って、ヘッドプレート80の外側面81の表面は粗い状態であり、カバープレート90と接合されるヘッドプレート80の接合面81Bも同様に粗い状態である。また、ヘッドプレート80にカバープレート90を接合することにより、ヘッドプレート80内には、前述した第1の実施形態によるヘッドプレート20と同様に、複数のインク溝82および複数のインク室83が形成され、各インク室83は隔壁85により分離される。
【0103】
カバープレート90は、図21に示すように、第1圧電体92、共通電極93、第2圧電体94および複数の個別電極95(1個のみ図示)とを積層することにより形成されている。このようにカバープレート90の構成は、前述した第1の実施形態によるカバープレート30とほぼ同様であるものの、本実施形態のカバープレート90には、ヘッドプレート80に形成された各インク室83にそれぞれ連通する貫通孔96が形成されている。そして、カバープレート90の上面91の一部は、ノズル部材100と接合される接合面91Aとなっている。カバープレート90の上面側に位置する接合面91Aは、PZTからなる第2圧電体94の表面に相当するため、粗い状態である。また、カバープレート90の下面側に位置する接合面91Bは、PZTからなる第1圧電体92の表面に相当するため、粗い状態である。
【0104】
ノズル部材100は、シリコン材により形成され、上述した第1実施形態によるノズル部材40と同様に、その接合面101には、複数のノズル室102および複数のノズル孔103が形成されている。そして、各ノズル室102と各インク室83は貫通孔96を介してそれぞれ接続されている。これにより、インクジェットプリンタヘッド2内には、インク溝82、インク室83、貫通孔96、ノズル室102およびノズル孔103からなる一連のインク流路が形成される。
【0105】
ここで、本実施形態によるヘッドプレート80とカバープレート90は、上述した第1の実施形態によるヘッドプレート20とカバープレート30と同様に接合されている。即ち、図22に示すように、本実施形態によるヘッドプレート80とカバープレート90は、メッキ層120を介して接合されており、メッキ層120は、ヘッドプレート80の接合面81B上に無電解ニッケルメッキにより形成された第1メッキ薄膜121と、第1メッキ薄膜121上に無電解金メッキによる形成された第1接合薄膜122と、カバープレート90の下面に位置する接合面91B上に無電解ニッケルメッキにより形成された第2メッキ薄膜123と、第2メッキ薄膜123上に電解スズメッキにより形成された第2接合薄膜124とから構成されている。そして、第1接合薄膜122と第2接合薄膜124は加熱圧着により互いに接合されている。これにより、ヘッドプレート80とカバープレート90はメッキ層120を介して寸法精度よく強固に接合されている。なお、第2接合層124をスズにより形成するのではなく、第1の実施形態で述べたように、シリコン材により形成してもよい。
【0106】
また、本実施形態によるカバープレート90とノズル部材100は、上述した第1の実施形態によるヘッドプレート20とノズル部材100とほぼ同様に接合されている。即ち、本実施形態によるカバープレート90とノズル部材100はメッキ層110を介して接合されており、メッキ層110は、カバープレート90の接合面91A上に無電解ニッケルメッキにより形成されたメッキ薄膜111と、メッキ薄膜111上に無電解金メッキ二より形成された接合薄膜112とから構成されている。そして、接合薄膜112とノズル部材100の接合面101は、加熱圧着により互いに接合されている。これにより、カバープレート90とノズル部材100はメッキ層110により寸法精度よく強固に接合されている。
【0107】
また、本実施形態によるヘッドプレート80、カバープレート90およびノズル部材100の製造方法(接合方法)および本実施形態によるインクジェットプリンタヘッド2の動作は、上述した第1の実施形態によるものとほぼ同様である。
【0108】
このように構成される本実施形態によるインクジェットプリンタヘッド2によっても、前述した第1に実施形態によるインクジェットプリンタヘッド1と同様の効果を奏する。
【0109】
なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。例えば、前記各実施形態では、メッキ薄膜51,61および63(111,121および123)を形成するために無電解または電解ニッケルメッキを用いたが、ニッケルメッキに限らず、例えば銅メッキ、クロムめっき等を用いてもよい。
【0110】
また、前記各実施の形態では、エッチングされたベースプレート20(80)およびカバープレート30(90)に無電解ニッケルメッキを行う際の前処理として、センシタイジング処理とアクチベーティング処理を行ったが、Pd2+・Sn2+コロイド含有塩酸系溶液を使用するキャタリスト法を用いることもできる。さらに、エッチングされたヘッドプレート20(80)およびカバープレート30(90)上にニッケルやクロム等を真空蒸着法またはスパッタ法等のドライプロセスで導体化し、その上にメッキ層51,61および63(111,121および123)を形成する方法も適用可能である。
【0111】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、請求項1の発明のプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法によれば、ヘッド部材の外側面に無電界メッキ及び電界メッキの2段階メッ キによりメッキ薄膜を形成するメッキ薄膜形成工程と、メッキ薄膜形成工程により形成されたメッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す平滑加工工程と、平滑加工工程により平滑化されたメッキ薄膜の表面に無電界メッキにより金からなる接合薄膜を形成する接合薄膜形成工程と、接合薄膜形成工程により形成された接合薄膜の表面と、ノズル部材の接合面とを互いに加熱圧着することにより、ヘッド部材とノズル部材とを接合する接合工程とを備える構成としたから、ヘッド部材の外側面が粗い状態であっても、ヘッド部材とノズル部材を寸法精度よく強固に接合することができ、かつ、かかる接合を容易に行うことができる。従って、動作不良のない信頼性の高いプリンタヘッドを低コストで製造することができると共に、プリンタヘッドの小型化を図ることができる。また、高温環境下の使用においても、変形や動作不良が生じないプリンタヘッドを製造することができる。
【0112】
【0113】
請求項2の発明のプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法によれば、ヘッド部材のうち、カバープレートにより施蓋されて複数のインク室が形成されるヘッドプレートの面と反対側の面において、ノズル部材が接合される領域を区画するレジストマスクを形成する工程を備えるので、メッキ薄膜の被着領域が制限され、これに対応して金は不要な部位にメッキされないで済む。
【0114】
請求項3の発明のプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法によれば、ヘッドプレートのうち、ノズル部材と接合される接合面を予め粗化するので、接合面に形成されるメッキ薄膜にアンカー効果による密着力の向上を図ることができる
【0115】
請求項4の発明のプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法によれば、電界メッキは、スルファミン酸ニッケル浴により形成されるので、メッキ応力の低いメッキを形成することができる
【0116】
請求項5の発明のプリンタヘッドのヘッドプレートとカバープレートの接合方法によれば、ヘッドプレートの接合面に無電界メッキ及び電界メッキの2段階メッキにより第1メッキ薄膜を形成する第1メッキ薄膜形成工程と、第1メッキ薄膜形成工程により形成された第1メッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す第1平滑加工工程と、第1平滑加工工程により平滑化された第1メッキ薄膜の表面に無電界メッキにより金からなる第1接合薄膜を形成する第1接合薄膜形成工程と、カバープレートがPZT系セラミック材からなり、その接合面にメッキにより第2メッキ薄膜を形成する第2メッキ薄膜形成工程と、第2メッキ薄膜形成工程により形成された第2メッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す第2平滑加工工程と、第2平滑加工工程により平滑化された第2メッキ薄膜の表面にスズからなる第2接合薄膜を形成する第2接合薄膜形成工程と、第1接合薄膜形成工程により形成された第1接合薄膜の表面と、第2接合薄膜形成工程により形成された第2接合薄膜の表面とを互いに加熱圧着することにより、前記ヘッドプレートとカバープレートとを接合する接合工程とを備える構成としたから、ヘッドプレートの接合面およびカバープレートの接合面がそれぞれ粗い状態であっても、ヘッドプレートとカバープレートを寸法精度よく強固に接合することができ、かつ、かかる接合を容易に行うことができる。従って、動作不良のない信頼性の高いプリンタヘッドを低コストで製造することができると共に、プリンタヘッドの小型化を図ることができる。また、高温環境下の使用においても、変形や動作不良が生じないプリンタヘッドを製造することができる。
【0117】
【0118】
請求項6の発明のプリンタヘッドのヘッドプレートとカバープレートの接合方法によれば、ヘッドプレートの接合面に無電界メッキ及び電界メッキの2段階メッキにより第1メ ッキ薄膜を形成する第1メッキ薄膜形成工程と、第1メッキ薄膜形成工程により形成された第1メッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す第1平滑加工工程と、第1平滑加工工程により平滑化された第1メッキ薄膜の表面に無電界メッキにより金からなる第1接合薄膜を形成する第1接合薄膜形成工程と、カバープレートがPZT系セラミック材からなり、その接合面にメッキにより第2メッキ薄膜を形成する第2メッキ薄膜形成工程と、第2メッキ薄膜形成工程により形成された第2メッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す第2平滑加工工程と、第2平滑加工工程により平滑化された第2メッキ薄膜の表面にシリコンからなる第2接合薄膜を形成する第2接合薄膜形成工程と、第1接合薄膜形成工程により形成された第1接合薄膜の表面と、第2接合薄膜形成工程により形成された第2接合薄膜の表面とを互いに加熱圧着することにより、前記ヘッドプレートとカバープレートとを接合する接合工程とを備える構成としたから、ヘッドプレートの接合面およびカバープレートの接合面がそれぞれ粗い状態であっても、ヘッドプレートとカバープレートを寸法精度よく強固に接合することができ、かつ、かかる接合を容易に行うことができる。従って、動作不良のない信頼性の高いプリンタヘッドを低コストで製造することができると共に、プリンタヘッドの小型化を図ることができる。また、高温環境下の使用においても、変形や動作不良が生じないプリンタヘッドを製造することができる。
【0119】
請求項7の発明のプリンタヘッドにおけるヘッド部材とカバープレートの接合方法によれば、ヘッドプレートのうち、カバープレートと接合される接合面を予め粗化するので、接合面に形成されるメッキ薄膜にアンカー効果による密着力の向上を図ることができる。
【0120】
請求項8の発明のプリンタヘッドにおけるヘッド部材とカバープレートの接合方法によれば、電界メッキは、スルファミン酸ニッケル浴により形成されるので、メッキ応力の低いメッキを形成することができる。
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリンタヘッドを示す分解斜視図である。
【図2】 図1中のインクジェットプリンタヘッドを矢示II−II方向にみた状態を示す断面図である。
【図3】 図2中のインクジェットプリンタヘッドを矢示III−III方向にみた状態を示す断面図である。
【図4】 図2中のインクジェットプリンタヘッドにおいて二点鎖線で囲んだ部分を拡大して示す断面図である。
【図5】 図3中のインクジェットプリンタヘッドにおいて二点鎖線で囲んだ部分を拡大して示す断面図である。
【図6】 本発明の第1の実施形態によるヘッドプレートとカバープレートの接合過程においてヘッドプレートの一部を示す断面図である。
【図7】 本発明の第1の実施形態によるヘッドプレートとカバープレートの接合過程においてヘッドプレートの接合面上にメッキ薄膜を形成した状態を示す断面図である。
【図8】 本発明の第1の実施形態によるヘッドプレートとカバープレートの接合過程においてメッキ薄膜の表面を鏡面化した状態を示す断面図である。
【図9】 本発明の第1の実施形態によるヘッドプレートとカバープレートの接合過程においてメッキ薄膜上に接合薄膜を形成した状態を示す断面図である。
【図10】 本発明の第1の実施形態によるヘッドプレートとカバープレートの接合過程におけるカバープレートの一部を示す断面図である。
【図11】 本発明の第1の実施形態によるヘッドプレートとカバープレートの接合過程においてカバープレートの接合面上にメッキ薄膜を形成した状態を示す断面図である。
【図12】 本発明の第1の実施形態によるヘッドプレートとカバープレートの接合過程においてメッキ薄膜の表面を鏡面化した状態を示す断面図である。
【図13】 本発明の第1の実施形態によるヘッドプレートとカバープレートの接合過程においてメッキ薄膜上に接合薄膜を形成した状態を示す断面図である。
【図14】 本発明の第1の実施形態においてヘッドプレートとカバープレートとを接合する状態を示す断面図である。
【図15】 本発明の第1の実施形態によるヘッドプレートとノズル部材の接合過程におけるヘッドプレートの一部を示す断面図である。
【図16】 本発明の第1の実施形態によるヘッドプレートとノズル部材の接合過程においてヘッドプレートの接合面上にメッキ薄膜を形成した状態を示す断面図である。
【図17】 本発明の第1の実施形態によるヘッドプレートとノズル部材の接合過程においてメッキ薄膜の表面を鏡面化した状態を示す断面図である。
【図18】 本発明の第1の実施形態によるヘッドプレートとノズル部材の接合過程においてメッキ薄膜上に接合薄膜を形成した状態を示す断面図である。
【図19】 本発明の第1の実施形態においてヘッドプレートとノズル部材とを接合する状態を示す断面図である。
【図20】 本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリンタヘッドを示す分解斜視図である。
【図21】 図20中のインクジェットプリンタヘッドを矢示XXI−XXI方向にみた状態を示す断面図である。
【図22】 図21中のインクジェットプリンタヘッドにおいて二点鎖線で囲んだ部分を拡大してい示す断面図である。
【符号の説明】
1,2 インクジェットプリンタヘッド(プリンタヘッド)
10,70 ヘッド部材
20,80 ヘッドプレート
21,31,81,91 外側面
21A,21B,31A,41,81A,91A,91B,101 接合面
23,83 インク室
30,90 カバープレート
32,34,92,94 圧電体(圧電素子)
40,100 ノズル部材
43,103 ノズル孔
50,60,110,120 メッキ層
51,61,63,111,121,123 メッキ薄膜
52,62,64,112,122,124 接合薄膜

Claims (8)

  1. インクを貯留するためのインク溝が形成されたヘッドプレートと、前記ヘッドプレートに接合され、前記ヘッドプレートに形成されたインク溝を施蓋して前記ヘッドプレート内にインク室を画成するカバープレートとを有するヘッド部材と、
    シリコン材により形成され、前記ヘッド部材の外側面に接合され、前記インク室に貯留されたインクを外部に吐出するためのノズル孔を有するノズル部材と
    を備えたプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法であって、
    前記ヘッド部材の外側面に無電界メッキ及び電界メッキの2段階メッキによりメッキ薄膜を形成するメッキ薄膜形成工程と、
    前記メッキ薄膜形成工程により形成されたメッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す平滑加工工程と、
    前記平滑加工工程により平滑化されたメッキ薄膜の表面に無電界メッキにより金からなる接合薄膜を形成する接合薄膜形成工程と、
    前記接合薄膜形成工程により形成された接合薄膜の表面と、前記ノズル部材の接合面とを互いに加熱圧着することにより、前記ヘッド部材とノズル部材とを接合する接合工程と
    を備えてなるプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法。
  2. 前記ヘッドプレートと前記カバープレートとが接合されたヘッド部材のうち、前記カバープレートにより施蓋されて複数のインク室が形成されるヘッドプレートの面と反対側の面において、前記ノズル部材が接合される領域を区画するレジストマスクを形成する工程を備える請求項1に記載のプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法。
  3. 前記ヘッドプレートのうち、前記ノズル部材と接合される接合面を予め粗化する請求項1に記載のプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法。
  4. 前記電界メッキは、スルファミン酸ニッケル浴により形成される請求項1に記載のプリンタヘッドにおけるヘッド部材とノズル部材の接合方法。
  5. インクを貯留するためのインク溝が形成されたヘッドプレートと、前記ヘッドプレートの接合面に接合され、前記ヘッドプレートに形成されたインク溝を施蓋して前記ヘッドプレート内にインク室を画成するカバープレートとを有するヘッド部材と、
    前記ヘッド部材の外側面に接合され、前記インク室に貯留されたインクを外部に吐出するためのノズル孔を有するノズル部材と
    を備えたプリンタヘッドにおけるヘッドプレートとカバープレートの接合方法であって、
    前記ヘッドプレートの接合面に無電界メッキ及び電界メッキの2段階メッキにより第1メッキ薄膜を形成する第1メッキ薄膜形成工程と、
    前記第1メッキ薄膜形成工程により形成された第1メッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す第1平滑加工工程と、
    前記第1平滑加工工程により平滑化された第1メッキ薄膜の表面に無電界メッキにより金からなる第1接合薄膜を形成する第1接合薄膜形成工程と、
    前記カバープレートがPZT系セラミック材からなり、その接合面にメッキにより第2メッキ薄膜を形成する第2メッキ薄膜形成工程と、
    前記第2メッキ薄膜形成工程により形成された第2メッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す第2平滑加工工程と、
    前記第2平滑加工工程により平滑化された第2メッキ薄膜の表面にスズからなる第2接合薄膜を形成する第2接合薄膜形成工程と、
    前記第1接合薄膜形成工程により形成された第1接合薄膜の表面と、前記第2接合薄膜形成工程により形成された第2接合薄膜の表面とを互いに加熱圧着することにより、前記ヘッドプレートとカバープレートとを接合する接合工程と
    を備えてなるプリンタヘッドにおけるヘッドプレートとカバープレートの接合方法。
  6. インクを貯留するためのインク溝が形成されたヘッドプレートと、前記ヘッドプレートの接合面に接合され、前記ヘッドプレートに形成されたインク溝を施蓋して前記ヘッドプレート内にインク室を画成するカバープレートとを有するヘッド部材と、
    前記ヘッド部材の外側面に接合され、前記インク室に貯留されたインクを外部に吐出するためのノズル孔を有するノズル部材と
    を備えたプリンタヘッドにおけるヘッドプレートとカバープレートの接合方法であって、
    前記ヘッドプレートの接合面に無電界メッキ及び電界メッキの2段階メッキにより第1メッキ薄膜を形成する第1メッキ薄膜形成工程と、
    前記第1メッキ薄膜形成工程により形成された第1メッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す第1平滑加工工程と、
    前記第1平滑加工工程により平滑化された第1メッキ薄膜の表面に無電界メッキにより金からなる第1接合層を形成する第1接合薄膜形成工程と、
    前記カバープレートがPZT系セラミック材からなり、その接合面にメッキにより第2メッキ薄膜を形成する第2メッキ薄膜形成工程と、
    前記第2メッキ薄膜形成工程により形成された第2メッキ薄膜の表面に対し、当該表面を平滑化するための加工を施す第2平滑加工工程と、
    前記第2平滑加工工程により平滑化された第2メッキ薄膜の表面にシリコンからなる第2接合薄膜を形成する第2接合薄膜形成工程と、
    前記第1接合薄膜形成工程により形成された第1接合薄膜の表面と、前記第2接合薄膜形成工程により形成された第2接合薄膜の表面とを互いに加熱圧着することにより、前記ヘッドプレートとカバープレートとを接合する接合工程と
    を備えてなるプリンタヘッドにおけるヘッドプレートとカバープレートの接合方法。
  7. 前記ヘッドプレートのうち、前記カバープレートと接合される接合面を予め粗化する請求項5又は6に記載のプリンタヘッドにおけるヘッド部材とカバープレートの接合方法。
  8. 前記電界メッキは、スルファミン酸ニッケル浴により形成される請求項5又は6に記載のプリンタヘッドにおけるヘッド部材とカバープレートの接合方法。
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