JP3803166B2 - 内視鏡の先端部 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、透明な先端フードが先端部本体に取り付けられた内視鏡の先端部に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡を用いて処置を行う場合に、先端部本体に先端フードがあった方が容易に処置を行うことができる場合がある。また、内視鏡による観察時に被写体との距離をとり難い場所の観察をする場合等にも、先端部本体に先端フードが付いていれば被写体との距離を確保して観察可能となる。
【0003】
そのような状況の場合には、観察窓前方の観察方向に突出する円筒状の先端フードを先端部本体に取り付けた内視鏡が広く用いられている。
ただし、観察視野角度が広角になると、視野範囲の周辺部分が先端フードによって遮られて、周辺を観察できない場合が生じる、そこで、先端フードを透明な材料で形成して、周辺部分では先端フードを通して被写体を観察するようにしている(例えば特開平8−84700号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図6及び図7は、上述のような従来の内視鏡の先端部を示しており、観察窓2の内側に対物光学系3が配置された先端部本体1に、透明な材質によって円筒形状に形成された先端フード10が取り付けられている。対物光学系3の最大視野角は120°である。
【0005】
図からも明らかなように、先端フード10を通さない中心寄りの70°又は60°の視野範囲では良好な観察像が得られる。しかし、その外側の120°までの視野範囲においては、先端フード10を斜めに透過する光線による、歪みの大きな観察像しか得ることができない。
【0006】
また、先端フード10に遮られない観察視野をより広く確保するために、図8に示されるように、先端フード10の先端を斜めに形成して、対物光学系3の観察光軸に近い側における先端フード10の突出長さを短くしたものがある。
【0007】
そのようなものの場合、中心寄りの約80°の視野範囲では良好な観察像が得られるが、その外側の視野範囲においては、先端フード10を斜めに透過した歪みの大きな観察像しか得ることができない。
【0008】
そこで本発明は、透明な先端フードを透過した部分の観察像でも歪みが少なくて広角視野の周辺まで良好な観察像を得ることができる内視鏡の先端部を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の先端部は、先端部本体に設けられた観察窓が内側に位置するように透明な先端フードが上記先端部本体に突出して取り付けられた内視鏡の先端部において、上記先端フードの先端寄りの部分が先側に向かってすぼまる球面状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
そして、上記先端フードの肉厚が少なくとも上記球面状の部分において均一に形成されていてもよく、上記先端フードが上記先端部本体に対して着脱自在であってもよい。
【0011】
なお、上記先端フードが基端側では円筒状に形成されていて、その先端寄りの部分が上記円筒状部分を最大径とする半球面状に形成されていてもよい。
また、上記先端フードが基端側では円筒状に形成されていて、その先端寄りの部分が上記円筒状部分の外径より太い最大径を有する球面状に形成されていてもよい。
【0012】
また、上記先端フードの先端が上記円筒状部分の軸線に対して斜め向きに形成されていてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の内視鏡の先端部を示しており、挿入部の先端部分に設けられた先端部本体1の先端面に観察窓2が配置されている。
【0014】
観察窓2の内側には対物光学系3が配置され、その対物光学系3による被写体の結像位置にイメージガイドファイバ4の像入射端面が配置されている。イメージガイドファイバ4に代えて、固体撮像素子の受光面を配置したものであってもよい。
【0015】
先端部本体1は略円柱状であり、観察窓2より先側に突出する透明な先端フード10が先端部本体1の外周面に着脱自在に取り付けられている。その取り付けは、この実施の形態においては圧入であるが、ねじ込み又は嵌め込み等であってもよい。
【0016】
この実施の形態の先端フード10は、図6に示した従来の先端フード10に対応する寸法形状のものであり、先端部本体1に取り付けられる後半部分及びそこから先側のある程度の位置までは円筒形状に形成されていて、先端寄りの部分は、先側に向かってすぼまる球面状に形成されている。その球面状部分10aの中央部分は円形の開口10bになっており、観察範囲の視野角50°以内の光線はその開口10bを通過する。
【0017】
このように構成された内視鏡の先端部においては、先端フード10が観察窓2前方の観察方向に突出して観察窓2を囲む状態で先端部本体1に取り付けられていて、先端フード10の先側の部分が、円筒状部分を最大径として次第に光軸に近づく球面状に形成されている。
【0018】
この実施の形態においては、先端フード10の球面状部分10aは、観察範囲の最大視野角の120°の光線が透過する付近から先側寄りの部分に形成されており、少なくとも観察光線が透過する部分においては先端フード10は一定の肉厚に形成されている。
【0019】
したがってこの実施の形態においては、50°以内の視野範囲では先端フード10を透過しない観察像が得られ、観察光線が先端フード10を垂直に近い角度で透過する50°〜90°の視野範囲では、歪みのほとんど無い良好な観察像が得られる。
【0020】
そして、それより外側の90°〜120°の視野範囲においても、先端フード10に対して観察光線のなす角度が従来より垂直に近くなるので、ある程度良好な観察像が得られる。
【0021】
図2は本発明の第2の実施の形態の内視鏡の先端部を示している。この実施の形態の先端フード10は、図7に示した従来の先端フード10に対応する寸法形状のものであり、先端部本体1の外周面に取り付けられる部分が円筒形状に形成されていて、先端部本体1から突出する部分が、円筒状部分の外径より太い最大径を有する球面状に形成されて、先端側においてすぼまっている。
【0022】
球面状部分10aの先端部分の中央部分は円形の開口10bになっており、観察範囲の視野角45°以内の光線はその開口10bを通過する。したがって、45°以内の視野範囲では先端フード10を透過しない観察像が得られる。
【0023】
そして、観察光線が先端フード10を垂直に近い角度で透過する45°〜90°の視野範囲では歪みのほとんど無い良好な観察像が得られ、さらにそれより外側の90°〜110°の範囲においてもある程度良好な観察像が得られる。
【0024】
図3は本発明の第3の実施の形態の内視鏡の先端部を示している。この実施の形態の先端フード10は、図8に示した従来の先端フード10に対応する寸法形状のものであり、先端フード10の先端が斜めに形成されて、対物光学系3の観察光軸に近い側における先端フード10の突出長さが短くなっている。
【0025】
そして先端フード10は、先端部本体1に取り付けられる後半部分及びそこから先側のある程度の位置までは円筒形状に形成されていて、先端寄りの部分は、先側に向かってすぼまる球面状に形成されている。先端の円形開口10bは、視野角60°の範囲に形成されている。
【0026】
この実施の形態においては、球面状部分10aが、観察範囲の最大視野角の120°の光線が透過する付近より先端部本体1に近い位置から始まっていて、視野角120°の光線は球面状部分10a部分を透過する。
【0027】
その結果、この実施の形態においては、視野角60°以内では先端フード10を透過しない観察像が得られ、それより外側の60°〜120°の視野範囲において歪みの少ない良好な観察像が得られる。
【0028】
以上説明したとおり、本発明によれば、透明な先端フード10を透過した部分の観察像でも歪みが少なくて広角視野の周辺まで良好な観察像を得ることができ、先端フード10の先側の部分が球面状に形成されていることにより、体腔内への挿入時に粘膜面を傷めずに容易に挿入をすることができる。
【0029】
さらに、本発明の内視鏡の先端部は、図4に示されるように、高周波スネア80等で切除されたポリープ100を吸引して先端フード10内に納めて回収するような場合に、先端フード10の先端がすぼまっていることにより、小さなポリープ100でも落とさずに確実に回収することができる。
【0030】
また、図5に示されるように、吸引ポリープ101を結紮具90によって結紮するような場合には、先端フード10の先端がすぼまっていて、吸引ポリープ101の茎部の径Dが頭部の径の例えば60%以下に絞られるので、結紮及びその後のスネア等による切除を容易に行うことができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、透明な先端フードの先端寄りの部分を先側に向かってすぼまる球面状に形成したことにより、先端フードを透過した部分の観察像でも歪みが少なくて広角視野の周辺まで良好な観察像を得ることができる。
【0032】
また、先端フードの先端がすぼまっていることにより、小さなポリープ等を落とさずに確実に回収することができ、吸引ポリープの結紮及びその後のスネアによる切除等も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の内視鏡の先端部の側面断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の内視鏡の先端部の側面断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態の内視鏡の先端部の側面断面図である。
【図4】本発明が適用された内視鏡によってポリープ回収を行っている状態の断面図である。
【図5】本発明が適用された内視鏡によって吸引ポリープの結紮を行っている状態の断面図である。
【図6】第1の従来例の内視鏡の先端部の側面断面図である。
【図7】第2の従来例の内視鏡の先端部の側面断面図である。
【図8】第3の従来例の内視鏡の先端部の側面断面図である。
【符号の説明】
1 先端部本体
2 観察窓
3 対物光学系
10 先端フード
10a 球面状部分
10b 開口
Claims (3)
- 先端部本体の先端面に上記先端部本体の中心軸線位置から偏位して観察窓が設けられて、上記観察窓が内側に位置するように透明な先端フードが上記先端部本体に前方に向かって突出して取り付けられた内視鏡の先端部において、
上記先端フードの基端側の部分が上記先端部本体を囲む円筒状に形成されて、上記先端フードの先端部分が、上記先端部本体の中心軸線位置に対して偏位して設けられた上記観察窓の観察光軸に近い部分の突出長が短い斜め向きに形成されると共に、その斜め向きの先端縁に向かってすぼまる球面状に形成されていることを特徴とする内視鏡の先端部。 - 上記先端フードの肉厚が少なくとも上記球面状部分において均一に形成されている請求項1記載の内視鏡の先端部。
- 上記先端フードが上記先端部本体に対して着脱自在である請求項1又は2記載の内視鏡の先端部。
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