JP3801922B2 - 光モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信及び光情報通信分野等において使用される光モジュールに関する。
【0002】
【発明の背景】
表面実装型の光伝送モジュールにおいて、動作電流や温度特性に優れた面発光レーザー(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、以下、VCSELともいう)の出射光を、所定形状の基体の反射面により光路を変えて、光ファイバ等の光素子に光学的接続を容易に行わせることが可能である。また、次世代の光情報通信ネットワークにおいて、情報伝送容量が増大するため、複数の光源を有する(アレイ状)面発光レーザーの導入が進み、基体の反射面となる面に個々の光源に対応する受光素子を搭載することで、VCSELの出力監視が容易になる。
【0003】
ところで、上述の光路変換体を、光伝送モジュールの基板として好適に用いられる単結晶シリコンで形成する場合、光路変換体の反射面は基板の異方性エッチングで形成することにより、高精度に平坦な反射面を作製できる。
【0004】
しかし、基板を異方性エッチングにより高精度に平坦な反射面を作製するには、不純物の少ない基板を選択しなければならず、そのための製法が限定されしかもコスト高となる。すなわち、例えばFZ(フローティング・ゾーン)法によって製作された、コストの高い単結晶シリコン基板が選ばれる。これは、例えばCZ(チョコラルスキー)法などの比較的安価な手法によって製作された単結晶シリコン基板は、製法プロセス上、不純物が混入し、結晶中に欠陥を作りやすいためである。このような欠陥は異方性エッチングの際に、エッチング面にピットが形成され、これにより平坦な反射面が作製できない。
【0005】
また、上記FZ法で製作された単結晶シリコン基板を用いた場合でも、高精度に平坦な反射面を作製するには、エッチング条件を最適化しなければならず、このような最適化は容易ではない。
【0006】
また、受光素子のような光半導体素子を上記のような光路変換体を利用して搭載する場合、異方性エッチングで形成された面に搭載することになり、この面は基板表面に対し傾斜しているので、多数の光半導体素子を精度良く搭載するのが困難であるという問題が生じる。
【0007】
また、上記光路変換体を搭載する場合、光伝送体への光結合効率を向上するために調芯が必要であり、さらに、複数の光源を有するために、光モジュールの搭載プロセスが複雑になるという問題が生じる。
【0008】
また、多数個の光半導体素子を上記のような光路変換体の反射面に搭載する場合、基板表面と接するエッチング面に比べて面積が大きくなるために、光路変換体が不安定になり転倒するという問題が生じる。
【0009】
さらに、光路変換体の実装基板への搭載時に、光路変換体を実装基板へ加圧・密着させることになるため、光路変換体のエッジ部で、受光素子に接続する電極配線が断線する恐れがあるという問題があった。
【0010】
そこで本発明では、上述の問題を解消し、素子配設面として平坦性の優れた面を備えた光路変換体を用い、さらに、複数の光源を持つ面発光素子と光伝送体との光接続を高効率にできる、信頼性の高い光モジュールを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の光モジュールは、高低差のある基板の低位置面に、複数の発光点を備えた面発光素子と、該面発光素子の出射光を反射させる柱状の光路変換体とを配設し、前記基板の高位置面に前記光路変換体からの反射光を入射させる複数の光伝送体を配設した光モジュールであって、前記光路変換体は、異方性エッチングで形成された、上面と前記基板への配設面である下面と、非エッチング面である受光素子配設面とを有し、前記受光素子配設面には、前記面発光素子からの出射光の一部を反射させ前記光伝送体へ入射させるとともに、この出射光をモニターする受光素子が複数個配設され、前記光路変換体の前記下面と前記受光素子配設面との境界部に、前記基板の電極と前記受光素子の電極とをオーミック接合する不純物拡散領域が形成されていることを特徴とする。なお、ここで非エッチング面とは前記異方性エッチングの際の非エッチング面であり、その前後の工程においてエッチングがなされてもよいこととする。
【0012】
また特に、一主面側で前記光伝送体を覆い、他主面側に溝を設けた固定ブロックを備えるとともに、該固定ブロックの前記溝の底の一辺部分と前記光路変換体の前記受光素子配設面の一部とを係合させて、前記光路変換体と前記光伝送体とを位置合わせするようにしたことを特徴とする。そして、このとき、前記光路変換体の前記上面と前記下面との高さは、前記基板の前記低位置面と前記固定ブロックの前記他主面の高低差と等しくされていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る実施形態の例について模式的に示した図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1に参考例の光モジュールM1,図2に本発明の光モジュールM2の断面図を示す。光モジュールM1,M2は、高低差のある低位置面1a及び高位置面1bを形成した基板1の低位置面1aに、アレイ状に複数の発光点を備えた面発光手段である面発光素子5、及び面発光素子5の出射光L1を反射させる光路変換体2をそれぞれ配設し、光伝送体固定ブロック3,4および基板1を基板1の高位置面1b上に積み上げ、光軸に直交する断面形状がV字状を成す搭載用溝6に、光路変換体2からの反射光L2を先端8aに入射させる光ファイバやその他の光導波路体から成る光伝送体8を配設している。
【0015】
ここで、光路変換体2は異方性エッチングが可能な材料から成り柱状である。そして、この本体の上下面2a,2bはアルカリ水溶液等を用いた異方性エッチングで形成されている。また、非エッチング面である傾斜面2cは、面発光素子5からの入射光L1を所定方向へ光路変換させるための金属膜9a等の反射膜を設けた光反射面(図1を参照)、または受光素子等の光半導体素子9bを配設(素子の形成を含む)するための素子配設面(素子形成面)である(図2を参照)。なお、ここで非エッチング面とは前記異方性エッチングの際の非エッチング面であり、その前後の工程においてエッチングがなされてもよい。
【0016】
この光路変換体2において、特に本体が単結晶シリコンまたはそれと同様な結晶構造の半導体材料から成り、異方性エッチングを施す上下面2a,2bは(111)面またはその等価な面であり、かつ光反射面または素子配設面が、(100)面から[110]方向へ5°〜15°傾斜させた面(より好適には9°〜10°、最適には9.7°)またはその等価な面であり、面発光素子5からのほぼ垂直な出射光を、光路変換体2の傾斜面2cでほぼ90°角度またはそれに近い角度で光路変換させて(略水平方向へ)水平に配設された光伝送体8へ入射させることができ、効率よく光接続できる。このように、光反射面は入射光に対してほぼ90°の角度で光路変換させるように形成されているとよい。
【0017】
光路変換体2は、以下のようにして製造される。まず、図3に平面図、図4に図3のA−A’線断面図にて示すように、単結晶ウエハWの両主面10,13に対し、異方性エッチングの保護を目的とし、フォトリソグラフィ技術を用いて窒化シリコン膜11を所定の領域に形成し、露出面に対しアルカリ水溶液等による異方性エッチングを施すことにより、両主面10,13上に交互に位置するV溝12を所定方向に複数条に形成する。これにより、V溝12の両側に形成され断面が平行四辺形状で厚みが交互に異なる柱状部14,15が形成される。
【0018】
なお、光路変換体2の傾斜面2cは、光反射面または光半導体素子を高精度に配設するため、単結晶ウエハの両主面10、13は、MCP(メカノケミカルポリッシュ)により鏡面(算術平均粗さが10nm以下)に研磨されたものを用いる。
【0019】
次に、厚みの小さい方の柱状部14の両側に示したラインDにおいてダイシングを行なうことにより除去し、厚みの大きい方の柱状部15を分離する。なお、図4において、θ1は40°〜50°、θ2は59.4°〜69.4°となる。θ1は45°に対して±5°、θ2は64.4°に対して±5°とするのは、光ファイバに光を有効に入射させるように、光ファイバの開口比を考慮して傾きの範囲を±5°とするためである。
【0020】
このようにして得た、柱状をなす本体の非エッチング面の一部を、入射光を所定方向へ光路変換させるための金属膜9aを設けた光反射面(図1を参照)、または光半導体素子9bを設ける素子配設面(図2を参照)とする。
【0021】
面発光素子5は、例えばVCSELアレイを用いるが、実装基板表面に対し法線方向に発光している形状であれば適用可能である。
【0022】
光伝送体8は、複数の光ファイバで構成される場合、これを覆う光伝送体固定ブロック3,4で固定される。なお、この光伝送体は、各種形状の光導波路体や基板1および光伝送体固定ブロックに直接形成した光導波路としてもよい。
【0023】
光伝送体固定ブロック3は、以下のようにして製造される。まず、単結晶ウエハの両主面に対し、酸化シリコン(SiO 2 )膜あるいは窒化シリコン膜などを形成し、所定の領域に露出面を形成する。次に、露出面に対しKOH水溶液等のアルカリ水溶液等による異方性エッチングを施すことにより、両主面上にV溝を所定方向に複数条に形成し、ダイシングで切り分けて作製する。
【0024】
また、最上段の光伝送体固定ブロック4の場合は、一主面上に浅溝7を,他主面上にV溝を所定方向に複数条に形成する。このとき、図9に示す浅溝7の底面における一辺38の長さは、図7に示す光路変換体2の一辺の長さW1に相当する。その後、中央部をダイシングなどの切削加工により、90°の角度を有するV溝を形成しながら切断し、図9に示す上面の一部に突設部39を設けて作製する。
【0025】
さらに、光伝送体固定ブロック3,4の高さ、および実装基板1の高低差の和は、図7に示す光路変換体2の高さH1に等しくする。
【0026】
そのため、図15に最終組み上げ図にて示すように、光伝送体固定ブロック3の浅溝7の底における一辺部分を、光路変換体2の光反射面の一部に係合させることにより、光路変換体2の転倒を防ぎ、さらに、光路変換体2の互いに直交するX−Y−ZにおけるX方向において正確な位置決めを可能にし、光路変換体2の最上面2aは光伝送体固定ブロック3の最上面37と同一平面であるために光路変換体2のZ方向の位置決めを可能にし、光伝送体固定ブロック3の突設部39は、光路変換体2のY方向の位置合わせを可能にする。
【0027】
かくして、異方性エッチング技術を用いた傾斜面を光反射用の斜面として用いず、鏡面研磨されたウエハの両主面を光反射面とすることができ、平坦性の優れた光反射面または素子配設面を備えた、優れた光路変換体を提供できる。
【0028】
また、光路変換体はウエハプロセスによる一括作製が可能なため、非常に低コストに作製可能である。
【0029】
また、ウエハ面方位により入射光に対して所定角度で光路変換させる光路変換体を提供できるため、任意の傾斜角を形成でき、面発光素子からの出射光を効率的に入射光学系へ効率的に入射する光学系を提供できる。
【0030】
また、受光素子付き光路変換体の一部を光伝送体固定ブロックの凹部に組み込むことにより、アレイ状のVCSELと複数の光伝送体との光接続を高効率にできる信頼性の高い光モジュールを短時間で容易に作製することができる。
【0031】
さらに、光路変換体として単結晶シリコンを用いることにより、光半導体素子をシリコン基板上に直接形成したり、光半導体素子としてシリコンとは異なる化合物半導体材料を用いる場合、別の化合物半導体基板上に複数の光半導体素子を形成し、複数の光路変換体が形成されたシリコン基板表面へ、一括して貼り合わせる接着が可能なため、実装コストを削減した優れた受光素子付き光路変換体が実現される。
【0032】
次に、本発明の実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0033】
図5に示すように、光路変換体2の非エッチング面である傾斜面(素子配設面)2cに、フォトダイオード等の受光素子である光半導体素子を配設する。光半導体素子は、以下のようにして製造される。まず、図5(a)に断面図にて示すように、例えばSi単結晶ウエハWにp型基板を用い、ダイシング前の柱状部15の主面10に対し、所定のSiO 2 膜あるいはSiN膜11を形成する。
【0034】
次に、図5(b)に断面図にて示すように、露出面に対し、例えばリンを拡散しn型領域21,25を形成する。その後、図5(c)、(d)に示すように、p型領域22を露出させ、各領域の電極配線を配設し、図6に平面図にて示すような電極配線の光半導体素子を有する光反射面を作製する。
【0035】
また、光路変換体2において、その本体の下面2bと素子配設面2cとの間、すなわち、素子配設面2cとエッチング面である下面2bとの境界部において、オーミックコンタクト用の不純物拡散領域25が形成されている。
【0036】
このようにして構成した光路変換体2を用い、図2に断面図にて示すように、光モジュールM2は、高低差のある低位置面及び高位置面を形成した基板1の低位置面1aに、面発光素子5及びこれからの出射光を反射させる光路変換体2を配設するとともに、前記高位置面に光路変換体2からの反射光を入射させる光伝送体8を配設している。なお、本発明の光モジュールM2において、光路変換体2に光半導体素子9を配設すること以外の構成は、図1に示す参考例の光モジュールM1とほぼ同様であり、同一構成要素については同一符号を付し説明を省略する。
【0037】
かくして、本発明の光モジュールM2によれば、参考例の光モジュールM1と同様な効果を奏する上に、異方性エッチング技術を用いた傾斜面を光反射用の斜面として用いず、鏡面研磨されたウエハの両主面を光半導体素子の素子配設面とすることができ、平坦性の優れた素子配設面を備えた、優れた光路変換体を提供できる。
【0038】
また、素子配設面と光路変換体の下面との間に所定以上(例えば1×1018cm-3以上)の不純物濃度が拡散されているため、金属薄膜等で形成される受光素子の電極線路を2面に形成する必要が無くなり、電気配線が光路変換体のエッジで断線することがない。
【0039】
さらに、受光素子付き光路変換体の一部を光伝送体固定ブロックの凹部に組み込むことにより、アレイ状のVCSELと光を複数の受光素子でモニターできる信頼性の高い光モジュールを短時間で容易に実現される。
【0040】
【実施例】
次に、本発明の光モジュールをより具体化した実施例について説明する。
<参考例1>図1に示す参考例の光モジュールM1において、単結晶シリコンから成り高低差のある基板1の低位置面1aに光路変換体2及び面発光レーザー5が配設され、基板1の高位置面1bに形成された断面V字形状の搭載溝6に光ファイバ8が配設されたものとした。なお、本実施例ではVCSELの光源を2×3個のアレイで図示しているが、それ以外の1次元あるいは他の2次元アレイであってもよい。
【0041】
図10〜図15について説明する。まず、図10に示す基板1は特に材質がCZ法で作製されたコストが安いことに特徴のある単結晶シリコンを用いた。段差は異方性エッチングにより形成し、また、光ファイバ4の搭載溝6は異方性エッチングにより形成した。この段差は200μmとした。これは、後述の搭載溝のV溝深さよりも深いが、搭載溝はV溝形成後にエッチングが終端し、V溝深さは変化しないので問題はない。搭載溝6の深さは、後述する光伝送体固定ブロック4と基板1の搭載溝6によって光伝送体の光ファイバが4点で固定され、さらに、基板1と光伝送体固定ブロック4の間に隙間が出来ないようにするために、例えば直径125μmのマルチモードファイバーに対して、搭載溝6の深さを115.8μmとした。なおこの時、搭載溝6の深さは、ファイバが上下の搭載溝で固定されている場合であれば、搭載溝深さは上述以下であれば問題ない。また、後述の搭載溝6の深さも同一とした。
【0042】
次に、図11に示す面発光レーザーアレイ5を加圧・密着させ、実装基板1に形成された薄膜半田(不図示)を溶解・冷却し、基板1上に実装固定した。
【0043】
次に、図12に示す光ファイバ8を搭載用溝6上に搭載した。
【0044】
次に、図13に示す光伝送体固定ブロック4は、実装基板1上の光ファイバ8を、押圧固定する等の方法で実装固定すると同時に、光伝送体固定ブロック4の位置決めに利用した。
【0045】
また、光伝送体固定ブロック4は以下のようにして作製した。例えば厚み400μmの単結晶ウエハの両主面に対し、LPCVD法によりSiN膜11を形成し、フォトリソグラフィ技術により、搭載用V溝に露出面を形成した。次に、露出面に対しアルカリ水溶液等による異方性エッチングを施すことにより、両主面上にV溝12を所定方向に複数条に形成し、ダイシングにより個々のブロックに切り分けて光伝送体固定ブロック4を作製した。
【0046】
次に、図14に示す光伝送体固定ブロック3は、光伝送体固定ブロック4上の光ファイバ8を、押圧固定する等の方法で実装固定すると同時に、光伝送体固定ブロック3の位置決めに利用した。
【0047】
また、光伝送体固定ブロック3は、以下のようにして作製した。図8(a)に断面図にて示すように、例えば厚み400μmの単結晶ウエハ30の両主面31,32に対し、LPCVD法により窒化シリコン膜33を形成し、フォトリソグラフィ技術により、搭載用V溝の領域35および光路変換体位置決め用の浅溝領域34に露出面を形成した。次に、図8(c)、(d)にて示すように、露出面に対しアルカリ水溶液等による異方性エッチングを施すことにより、主面31上には浅溝7,主面32上にはV溝を所定方向に複数条に形成した。このとき、図9にて示す浅溝7の底の一辺38は、図7に示す光路変換体2の一辺W1の長さに相当する。その後、図8(f)の側面図にて示すように、中央部を90度の角度を有する刃(ブレード)を用いたダイシングの切削加工により、V溝36を形成しながら切断し、図9に示すように、浅溝7を形成する面31に突設部39を有する光伝送体固定ブロック3を作製した。
【0048】
次に、図15に示すように、光路変換体2は、光伝送体固定ブロック3の浅溝7の一底辺を利用して、X方向へ正確に位置決めした。また、光路変換体2の上面2aは、光伝送体固定ブロック3の上面37と同一平面となるので、Z方向へ正確に位置決めした。さらに、光伝送体固定ブロック4の突設部39を利用し、Y方向へ正確に位置決めし、最終的に、固定材にはAuSu系の半田を用い実装固定した。
【0049】
また、光路変換体2は以下のようにして作製した。まず、図3に示すように、MCPにより鏡面に研磨された表裏面10,13が(100)面から9.7°傾いた面を有し、厚みが1mmのウエハWを用い、表裏面において、フォトリソグラフィー技術およびLPCVD法によるSiN成膜技術により、[110]方向へ沿って直線状にSiN膜11を等間隔に被着形成し、このウエハWの露出部を水酸化カリウム水溶液に浸すことにより異方性エッチングを施した。これにより、(111)面及びそれに等価な面が斜面の断面V字状の溝12が形成された。ウエハWの厚みを1mmとするのは、基板1の高低差と光伝送体固定ブロック3,4の高さの合計と同じくするためである。
【0050】
図4に示すように、ウエハWは(100)から前記[110]方向へ9.7°傾いているので、傾斜角θ1は45°、θ2は64.4°となる。なお、θ1は光路を90°変換するために、θ1=45°に設定する必要があり、この形成は異方性エッチングにより高精度に形成した。
【0051】
また、45°斜面を有する光路変換体の柱状部15を形成するように、表面10と裏面13でフォトレジスト16の形成領域をずらした。
【0052】
次に、フォトレジスト16をリムーバーにより除去し、その後、光路変換体の柱状部15の上下面10,13に光反射膜を形成するべく金属薄膜を形成した。ここで、金属薄膜の最上層には反射率の高いAuを用いた。また、この最上層金属膜をウエハWのシリコン基体上に有効に形成させるために、最上層金属薄膜とシリコン基体の間に下地金属膜としてCr層を用い、シリコン基体表面にシリコン酸化膜層を形成した。金属薄膜の合計膜厚は約1μmとした。
【0053】
そして、図4に示すラインDに沿って、ダイシングにより切断を行い、個々の光路変換体となるように切り分けた。その際に、エッチング残部である小さい方の柱状部14が完全に除去され、所定形状の光路変換体が作製できた。
【0054】
かくして、参考例の光モジュールM1によれば、光反射面はミラー加工された{100}面を利用するので、高精度に平坦化された反射面を実現できる。また、異方性エッチングにおいてエッチング面を高精度に平坦化する必要がないことにより、FZ法、CZ法等の各種の製法で作製したシリコン基板を用いることができ、また、エッチング中に超音波揺動などを行う必要がなく、エッチング条件の最適化が省けた。また、光路変換体はシリコンウエハの両面からエッチングを行うことにより、断面が略平行四辺形で、光路変換体の上面が平坦になることから、光路変換体は光伝送体固定ブロックの一部を利用し、複数の光源でも、容易に短時間での高精度の実装も可能となった。
【0055】
<実施例1>光路変換体2の作製は参考例1と同様にして行った。
【0056】
そして、図5(a)〜(d)、および図6に示すように、光路変換体2の斜面2cに、光半導体素子5を以下のようにして配設した。
【0057】
また、図2に示す光モジュールM2は、光路変換体2に光半導体素子26を配設し、その配線等を施した以外については、既に説明した光モジュールM1と同様に構成した。
【0058】
この実施例では、図5(b)に示すように、光路変換体2の傾斜面2cと下面2bの境界部分25にも、例えばリンを拡散し、不純物濃度を1×1018cm−3以上とした。なおこの時、砒素など半導体の不純物であればリン以外でも良い。
【0059】
次に、光半導体素子のアノード用線路23、カソード用線路24を金属薄膜で形成した。この金属薄膜は上層/下層で、Au/Crとし、その厚みは合計で約1μmとした。このとき、各線路の一端は、不純物拡散領域25まで配置した。
【0060】
また、光ファイバへの反射する所望の光強度を得るために、上記の光半導体素子のn型領域上の金属電極は、全面あるいは一部に真空蒸着により作製しても良い。
【0061】
また、2個のn型領域に対して1個のp型領域として共通アノード電極を用いたが、受光素子の性能を有するようにすれば電極配線はこれ以外でも良い。
【0062】
また、単結晶基板にp型を用いたが、n型を用いてボロンを注入しp型領域を形成しても同様の受光素子が作製できる。
【0063】
また、光半導体素子5は、GaAs、InGaAs/InPなどの化合物半導体材料でも、また、PN型フォトダイオード以外のPIN型フォトダイオード、アバランシェ・フォト・ダイオードなど、フォトダイオードの機能を有するものを貼り合わせの技術を用いて搭載しても良い。
【0064】
このようにして得た受光素子付き光路変換体2は、光伝送体固定ブロック3を利用して、正確に位置決めし実装した。その後、光半導体素子が搭載された光路変換体と実装基板および光伝送体固定ブロックに対して300〜400℃の熱処理を行い、実装基板上の電気線路と反射鏡素子の不純物拡散領域をアニールすることによりオーミック接合された。
【0065】
かくして、本発明の光モジュールM2によれば、参考例の光モジュールM1の作用・効果に加えて、以下のような効果を奏する。受光素子は、シリコン基板表面に固相拡散やイオン注入などの技術およびフォトリソグラフィ技術を用いて、シリコンのフォトダイオードを形成することにより、実装時間の削減・高精度の実装が実現できた。
【0066】
また、VCSELアレイの個別の出力光を正確に制御することが可能となった。
【0067】
また、受光素子付き光路変換体の端部に存在する高濃度の不純物領域を介して、実装基板と受光素子付き光路変換体の電極が結合される。その結果、受光素子付き光路変換体のエッジ部に電極が配線されていないことから断線することがなくなった。
【0068】
さらに、受光素子付き光路変換体の一部を光伝送体固定ブロックの凹部に組み込むことにより、アレイ状のVCSELと光を複数の受光素子でモニターできる信頼性の高い光モジュールを短時間で容易に作製できた。
【0069】
【発明の効果】
本発明の光モジュールによれば、異方性エッチング技術を用いた傾斜面を光反射用の斜面として用いず、鏡面研磨がしやすいウエハの両主面を光半導体素子の素子配設面とすることができ、この平坦性の優れた素子配設面に光半導体素子からの出射光の一部を反射させ前記光伝送体へ入射させる受光素子を複数個配設させた、光路変換体を備えたものであるので、ウエハ面方位により入射光に対して所定角度で光路変換させるようにできるため、面発光素子からの複数の出射光を効率的に入射光学系へ効率的に光接続できる光モジュールを提供できる。
【0070】
また、本発明の光路変換体において、素子配設面に複数の受光素子を配設させることにより、面発光素子の個々の出射光を精度よくモニターすることができるとともに、受光素子からの反射光を効率的に光伝送体へ入射させることが可能な優れた光モジュールを提供できる。
【0071】
また、本発明の光路変換体の下面と素子配設面との間に、オーミックコンタクト用の不純物拡散領域を形成すれば、金属薄膜で光半導体素子の電極パターンを光路変換体の2面に形成する必要が無くなり、光路変換体のエッジで金属薄膜の断線がない信頼性に優れた光モジュールを提供できる。
【0072】
さらに、本発明の光路変換体と光伝送体の固定ブロックを係合させることにより、複雑な調芯を行わずに、アレイ状のVCSELと光を複数の光伝送体との光接続を高効率にできる信頼性の高い光モジュールを短時間で容易に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例に係る光モジュールを模式的に説明する断面図である。
【図2】本発明に係る光モジュールを模式的に説明する断面図である。
【図3】本発明に係る光路変換体の製造方法を模式的に説明するための平面図である。
【図4】図3におけるA−A’線断面図である。
【図5】(a)〜(d)はそれぞれ本発明に係る光路変換体製造方法を模式的に説明するための断面図である。
【図6】本発明に係る光路変換体を模式的に説明するための平面図である。
【図7】本発明に係る光路変換体を模式的に説明するための斜視図である。
【図8】(a)、(c)、(e)はそれぞれ本発明に係る光伝送体固定ブロックを模式的に説明するための製造方法を模式的に説明するための断面図、(b)、(d)、(f)はそれぞれ側面図である。
【図9】本発明に係る光伝送体固定ブロックを模式的に説明するための斜視図である。
【図10】本発明に係る光モジュールの組み立てを模式的に説明する斜視図である。
【図11】本発明に係る光モジュールの組み立てを模式的に説明する斜視図である。
【図12】本発明に係る光モジュールの組み立てを模式的に説明する斜視図である。
【図13】本発明に係る光モジュールの組み立てを模式的に説明する斜視図である。
【図14】本発明に係る光モジュールの組み立てを模式的に説明する斜視図である。
【図15】本発明に係る光モジュールの組み立てを模式的に説明する斜視図である。
【符号の説明】
1:基板
1a:基板1の低位置面
1b:基板1の高位置面
2:光路変換体
2a、2b:光路変換体の上下面
2c:光路変換体の傾斜面
3、4:光伝送体固定用ブロック
5:面発光素子アレイ
6:搭載用溝
7:浅溝
8:光伝送体
8a:光伝送体の先端
9a:金属膜
9b:光半導体素子(受光素子、フォトダイオード)
10、13:単結晶ウエハWの両主面
11:SiN膜
12:V溝
14,15:光路変換体の柱状部
16:フォトレジスト
21:n型領域
22:p型領域
23:アノード用線路
24:カソード用線路
25:反射面端部n型領域
30:光伝送体固定ブロック作製用単結晶ウエハ
31、32:光伝送体固定ブロック作製用単結晶ウエハWの両主面
33:レジスト
34:浅溝作製領域
35:搭載溝作製領域
36:切削V溝
37:光伝送体固定ブロック最上面
38:浅溝の一辺
39:突起部
D:ダイシングライン
D1:浅溝深さ
D2:搭載溝深さ
H1:光路変換体2の高さ
L1,L2:出射光
M1,M2:光モジュール
W:単結晶ウエハ
W1:光路変換体2の一辺
W2:浅溝の一辺
X:光モジュールのX方向
Y:光モジュールのY方向
Z:光モジュールのZ方向
θ1、θ2:エッチング面の傾斜角度
Claims (3)
- 高低差のある基板の低位置面に、複数の発光点を備えた面発光素子と、該面発光素子の出射光を反射させる柱状の光路変換体とを配設し、前記基板の高位置面に前記光路変換体からの反射光を入射させる複数の光伝送体を配設した光モジュールであって、
前記光路変換体は、異方性エッチングで形成された、上面と前記基板への配設面である下面と、非エッチング面である受光素子配設面とを有し、
前記受光素子配設面には、前記面発光素子からの出射光の一部を反射させ前記光伝送体へ入射させるとともに、この出射光をモニターする受光素子が複数個配設され、
前記光路変換体の前記下面と前記受光素子配設面との境界部に、前記基板の電極と前記受光素子の電極とをオーミック接合する不純物拡散領域が形成されていることを特徴とする光モジュール。 - 一主面側で前記光伝送体を覆い、他主面側に溝を設けた固定ブロックを備えるとともに、該固定ブロックの前記溝の底の一辺部分と前記光路変換体の前記受光素子配設面の一部とを係合させて、前記光路変換体と前記光伝送体とを位置合わせするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
- 前記光路変換体の前記上面と前記下面との高さは、前記基板の前記低位置面と前記固定ブロックの前記他主面の高低差と等しくされていることを特徴とする請求項2に記載の光モジュール。
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