JP3800684B2 - インクジェット式記録ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタ等に搭載されるインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェットプリンタ等に搭載されるインクジェット式記録ヘッドとして、電圧印加に伴って変形する圧電素子により、ヘッド内に形成されたインク室の容積を変化させ、この容積変化に伴って加圧されるインク室内のインクを、ノズルから外部へと噴出する圧力制御形のものが知られている。
【0003】
また、このタイプのインクジェット式記録ヘッドとして、例えば特公昭62−22790号公報には、圧電素子として、スパッタ、スクリーン印刷などの薄膜形成法により形成されたチタン酸ジルコン酸鉛の薄膜(以下、PZT薄膜という)を備えたものが記載されている。同公報記載の記録ヘッドによれば、別途成形加工された圧電素子を組み込む構造に比べ、小さなPZT薄膜を高密度にヘッド上に形成できるので、記録ヘッドの小型化を図ることができ、また、記録ヘッド作動時のエネルギー消費を抑制できるといった利点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の記録ヘッドは、ある程度の面積が必要なPZT薄膜を、同一基板面上に複数形成していたため、インク室の配列ピッチが、ノズルの配列ピッチに比べてかなり大きくなっていた。
【0005】
そのため、上記公報記載の記録ヘッドにおいては、インク室をノズルのごく近傍に配置することができず、インク室とノズルとの間を連絡するインク流路が相応に長くなり、その分、インク流路内で圧力損失を招き、ノズルからのインク噴射圧が低下しやすい、あるいはインクを噴射する際のレスポンスが悪くなるという問題があった。
【0006】
また、複数のインク流路の内、両端部に配置された流路と中央に配置された流路とでは、それらの形状を同一にはできないため、インク流路の形状によってインク流路内における圧力の伝播状態に差異が生じ、PZT薄膜に対して同一の駆動制御を行っても、各ノズルのインクの噴射状態が必ずしも均等にならず、例えばノズル毎に濃淡差が生じるなど、印字品質に悪影響を及ぼす恐れがあった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、アクチュエータとして薄膜状の圧電素子を具備しながら、インク室をより高密度に配置可能なインクジェット式記録ヘッドを、容易に製造できるインクジェット式記録ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段、および発明の効果】
上記目的を達成するため、本発明においては次のような構成を採用した。
すなわち、本発明は、ノズルプレート(7)と蓋(6)との間において複数の壁(3,4)によって区画され並列に配列するように形成された複数のインク室(2)と、前記壁に形成されインク室内のインクを加圧する圧電素子と、該圧電素子によって加圧されたインクを前記インク室から外部へ噴出するノズルプレートに形成されたノズルとを備えたインクジェット式記録ヘッドの製造方法において、前記複数の壁となる複数の基体(10)とこれらを一端において連結する連結部(21)とを一体成形する工程と、前記複数の基体に、第1導電膜(22)、圧電膜(23)、及び第2導電膜(24)を順に形成する工程と、少なくとも前記基体の他端(26,27)を研削して、他端に形成された前記第1導電膜、前記圧電膜、及び前記第2導電膜を除去する工程と、前記複数の基体の他端に蓋(6)を接着する工程と、前記複数の基体から前記連結部を切り落とす工程と、前記複数の基体の連結部を切り落としてできた端面にノズルプレートを接着する工程とを備えたことを特徴とする。
本発明において、前記複数の壁は、前記インク室の容積を変化させる振動壁と固定壁とからなると好ましい。
また、本発明において、前記第1導電膜及び前記第2導電膜は、無電解メッキ法により形成されると好ましい。
さらに、本発明において、前記圧電膜は、前記圧電膜の前に形成された前記第1導電膜を一方の電極とする電解析出法により形成されると好ましい。
【0009】
以下、本発明の構成について、さらに詳しく説明する。
本発明のインクジェット式記録ヘッドにおいて、圧電膜は、圧電素子を薄膜状に形成したものである。そのため、圧電素子を低電圧で駆動でき、より高速な応答が可能である。また特に、薄膜状の圧電素子は、インク室を区画する壁に形成されている。そのため、薄膜状の圧電素子の面積を十分に大きく確保しても、複数のインク室全体の配列方向への寸法は、ノズルの配列面と略同一面に薄膜状の圧電素子を形成する場合に比べて格段に小さくなり、複数のインク室をきわめて高密度に配列できる。また、この様にインク室を高密度に配列すると、インク室をノズルのごく近傍に配置できるようになる。したがって、インク室からノズルに至るインク流路を短くして、インク流路内での圧力損失を抑制でき、インクを噴射する際のレスポンスが良好になる。更に、インク室をノズルと同等な密度で配列することもできるようになるので、インク室からノズルに至るインク流路の形状をすべて同一にすることもでき、これにより、各ノズルからのインクの噴射状態のばらつきは発生せず、印字品質が良好になる。
【0010】
なお、上記構成において、薄膜状の圧電素子は、インク室を区画する壁に形成されていれば、1つのインク室に対して両側に形成されていても、片側に形成されていてもよい。通常、両側に形成されている方がインクを加圧するのには有利となるが、片側に形成されているものの方がコスト的に有利、あるいは駆動制御が容易となる場合もあるので、これらは任意に選択すればよい。片側の壁に圧電素子を形成する場合、もう一方の壁は剛性の高い変形不能な壁とする方が、圧力の損失を低減できる。
【0011】
また、インク室の容積を変動させるには、圧電素子が壁の表裏いずれかに形成されていても、表裏双方に形成されていてもよい。
更に、インク室の容積を変動させる方法としては、圧電素子に電圧を印加した際にインク室の容積が減少してインクを加圧・噴射するものでも、圧電素子に電圧を印加した際にインク室の容積が増大してインクをインク室内へ吸入すると共に、電圧印加を停止した際にインク室の容積が元に戻ってインクを加圧・噴射するものでもよい。また、この様に圧電素子を変形させるには、圧電素子に電圧を印加するための電極が必要であるが、この電極は、圧電素子に所期の変形を発生させるべく、発生させる電界の向きと圧電素子の分極方向との関係を考慮してあれば、圧電素子の片側の面に配設されていても両側の面に配設されていてもよい。
【0012】
また、隣接する2つのインク室の内、一方のインク室の容量を変化させるべく圧電素子を変形させた際に、他方のインク室には極力影響を及ぼさないようにすることが望ましい。
【0013】
それには、隣接する2つのインク室間に配設される壁が、間隔を空けて略平行に配置された一対の変形可能な板状体からなり、各板状体の表面及び裏面の双方、あるいは表面又は裏面のいずれか一方に、前記圧電素子が薄膜状に形成されているとよい。
【0014】
この様な構成にすれば、一方のインク室の容量を変化させるべく圧電素子を変形させた際に、一方の板状体が変形しても、他方の板状体は変形しないので、他方のインク室の容量は全く変化しない。したがって、隣接するインク室に影響を与えることなく各インク室の容量を任意に変化させることができる。
【0015】
ところで、インクジェット式記録ヘッドは、種々の製造方法によって製造可能と考えられるが、従来技術として示した公報に記載の如く、平面状の基板表面に薄膜状の圧電素子を形成する場合とは異なり、単にスパッタ法や印刷法を用いて圧電材料を堆積させるだけでは、凹部であるインク室間の壁に薄膜状の圧電素子を直接的に形成することはできない。
【0016】
この点は、電解析出法によって前記圧電素子を薄膜状に形成するとよい。
【0017】
ここで、電解析出法とは、薄膜形成箇所に電極が形成された基体と、対極となる電極を、圧電材料となる組成物を含有する溶液中に浸漬して通電することにより、基体側の電極に圧電材料を形成させる方法で、圧電材料となる金属イオンないし金属酸化物イオン等が陽イオンであれば、基体側の電極を陰極として通電を行うことにより、陰極に金属酸化物あるいは水酸化物を堆積させることができる。あるいは、電極を陽極として通電し、陽極酸化を行うとともに、浴中の圧電材料となる組成物のイオンを取り込ませ、複合酸化物を形成する手法も含まれる。
【0018】
電解析出法によって薄膜状の圧電素子を形成すれば、スパッタ法や印刷法とは異なり、凹部となるインク室間の壁にも、圧電材料の薄い層を良好に堆積することができる。したがって、インク室となる凹部が予め形成されている基体を使ってでも、インクジェット式記録ヘッドを製造することができる。
【0019】
なお、本製法においては、基体側の薄膜形成箇所に予め電極を形成しておく必要があるが、この様な電極は如何なる方法で形成してあってもよく、具体的には、例えば基体に無電解メッキの手法で金属膜を形成したり、別途形成した金属薄膜を貼り付ければよい。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明するインクジェット式記録ヘッドは、本発明の実施形態の一例に過ぎず、本発明の構成手段は下記の例に限定されない。
【0024】
[実施形態1]
インクジェット式記録ヘッド1は、図1(a)に示す通り、内部に複数のインク室2を有し、隣接する2つのインク室2の間は、容易には変形しない固定壁3、および固定壁3よりも薄くて比較的容易に変形可能な振動壁4によって隔てられている。振動壁4は、2枚を1対として間隔を空けて略平行に配置され、1対の振動壁4の間には駆動室5が形成されている。この駆動室5は、一方の振動壁4が変形した際に、他方の振動壁4が従動しないように設けられた緩衝空間である。
【0025】
また、各インク室2の図示上部は、固定壁3及び振動壁4の上端面に接着された1枚の蓋6によって閉塞され、一方、各インク室2の図示下部は、固定壁3及び振動壁4の下端面に接着された1枚のノズルプレート7によって閉塞され、ノズルプレート7には、各インク室2に対応する位置にノズル8が形成されている。そして、図1(a)には表れないが、インク室2の図示正面側および背面側についても、所定形状の板状体を接着することにより閉塞され、一方の板状体には、各インク室2に連通するインク流入口が形成されている。各インク室2は、このインク流入口と上記ノズル8でのみ外部と連通している。
【0026】
更に、これらの構成の内、振動壁4は、図1(b)に拡大して示す通り、基体10の表裏に、第1電極11、PZT膜12、および第2電極13を、この順序で積層した構造とされ、PZT膜12は、強電界中で表裏とも同一方向に分極処理されている。そのため、基体10を中心として表裏対称に形成された第1電極11および第2電極13のいずれか一方を陽極、他方を陰極として電圧を印加すると、表裏にあるPZT膜12のいずれか一方が伸長すると共に他方が収縮する。これにより、振動壁4全体を変形させてインク室2内のインクを加圧し、インクをノズル8から噴射することができる。
【0027】
なお、固定壁3についても、振動壁4と同様、基体15の表裏に第1金属膜16、PZT膜17、および第2金属膜18を形成した構造になっている。但し、これらは後述する製法によって、上記第1電極11、PZT膜12、および第2電極13を形成する際に同時に形成されるものであり、本装置において圧電素子としては利用されていない。
【0028】
次に、上記インクジェット式記録ヘッド1の製造方法について説明する。
まず、上記基体10および基体15を、図2に示す通り、それらの一端に形成される連結部21と共に一体成形する。これら基体10、基体15および連結部21(以下、これらを基体10等という)は、例えば、酸化ジルコニウム等のセラミック材料などを、切削加工することによって形成すればよい。
【0029】
続いて、上記基体10等に対し、図3に示す通り、第1導電膜22、電解PZT膜23、第2導電膜24を、この順序で形成する。
本例において、第1導電膜22は、ニッケル膜を無電解ニッケルメッキ法によって形成している。
【0030】
より詳しく説明すると、上記基体10等は、まずアルカリ脱脂液にて洗浄される。アルカリ脱脂液は一般的に用いられているものでよく、一例を挙げれば、水酸化ナトリウム5〜15g/l,炭酸ナトリウム20〜40g/l,メタケイ酸ナトリウム5〜10g/l,界面活性剤1〜3g/lの組成で、液温40〜70℃で3〜5分程度浸せばよい。
【0031】
次に、塩化第1すず70g/lと塩酸40g/lを含む液に室温で3分間浸した後、塩化パラジウム1g/lを含む浴に3分間浸す。これにより、上記基体10等の表面に触媒が付与される。
そして、触媒が付与された上記基体10等を、無電解ニッケルメッキ浴に浸漬することにより、その表面に第1導電膜22となるNi−P膜(P7〜9%)が形成される。無電解ニッケルメッキ浴も一般的に知られているものでよく、その組成の一例を挙げれば、硫酸ニッケル30〜35g/l,クエン酸ナトリウム80〜85g/l,塩化アンモニウム45〜50g/l,次亜リン酸ナトリウム15〜20g/lで,pH=9〜10,浴温80〜90℃で使用される。この場合のNi−P膜の析出速度は約0.2μm/min程度であるため、約5分の浸漬で膜厚1μmのNi−P膜が得られる。
【0032】
なお、無電解Ni以外にも、同じく無電解メッキの手法で銅、金、あるいはパラジウム等からなる薄膜を形成可能であり、これらの薄膜も第1導電膜22として利用することができる。
さて、こうして第1導電膜22を形成したら、引き続いて電解PZT膜23を形成する。
【0033】
本例においてPZTの電解析出に用いる浴は、三塩化チタン0.001〜0.1M、硝酸ジルコニル0.001〜0.1M,硝酸鉛0.002〜0.2Mを、[Pb2+]/([ZrO2+]+[TiO2+])=0.8〜1.2の条件を満たすように含んでいる。浴のpHは1.8〜3.0、浴温は25〜30℃で用いられる。
【0034】
この浴に、第1導電膜22が形成された上記基体10等と白金の対極が浸漬され、第1導電膜22を陰極に、白金対極を陽極にして通電することにより、陰極近傍でpHが上昇し、Pb,Zr,Tiの酸化物あるいは水酸化物の堆積が行われる。電析は電流密度20〜100mA/cm2 の範囲で行われ、10〜15分の電解で約10μm厚の電解PZT膜23が得られる。
【0035】
なお、電解PZT以外にも、圧電性を示す膜としては、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、あるいはPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3-PbZrO3-PbTiO3 のような3元系複合酸化物からなるものが知られており、電解PZT膜23に代えてこれらの薄膜を圧電膜として利用することもできる。
【0036】
こうして電解PZT膜23を形成したら、引き続いて第2導電膜24を形成する。なお、第2導電膜24は、既に説明した第1導電膜22と全く同等の手法で形成可能なので、詳細な説明は省略する。
さて以上の工程によって、図3に示す通り、第1導電膜22、電解PZT膜23、および第2導電膜24を形成したら、基体15の端部26および基体10の端部27を研削する。また、図3には表れないが、基体10および基体15の図示正面側および背面側の縁についても研削する。これにより、図4に示す通り、基体10および基体15の間にのみ、断面形状がコ字形となるように第1導電膜22、電解PZT膜23、および第2導電膜24が残される。
【0037】
続いて、端部26および端部27を削り落としてできた端面に、図5に示す通り、蓋6を接着し、その後で連結部21を切り落とす。この結果、図6に示す通り、蓋6に対して固定壁3および振動壁4が列設された状態となる。この状態において、固定壁3および振動壁4の表裏には、それぞれ独立に圧電素子が形成されていることになる。後は、連結部21を切り落としてできた端面に、図7に示す通り、ノズルプレート7を接着することにより、所期のインクジェット式記録ヘッド1を得ることができる。
【0038】
この様に構成されたインクジェット式記録ヘッド1によれば、薄膜状の圧電素子が、隣接する2つのインク室2の間に配設された振動壁4に形成されているため、インク室2の配列方向への寸法が圧電素子の面積拡大に伴って大きくなるといったことがない。したがって、圧電素子の面積を十分に大きく確保しながら、複数のインク室2をきわめて高密度に配列できる。また、この様にインク室を高密度に配列すると、インク室2をノズル8のごく近傍に配置できるようになる。したがって、インク室2からノズル8に至るインク流路を短くして、インク流路内での圧力損失を抑制でき、インクを噴射する際のレスポンスが良好になる。更に、インク室2をノズルと同等な密度で配列することも容易となるので、インク室2からノズル8に至るインク流路の形状をすべて同一にすることもでき、これにより、各ノズル8からのインクの噴射状態のばらつきは発生せず、印字品質が良好になる。
【0039】
また、上述したインクジェット式記録ヘッド1を製造するに当たっては、電解析出法によって薄膜状の圧電素子を形成しているので、スパッタ法や印刷法とは異なり、凹部となるインク室2の間の壁面に、圧電材料の薄い層を良好に堆積することができる。したがって、インク室2となる凹部が予め形成されている基体を使ってでも、所期のインクジェット式記録ヘッド1を製造することができる。
【0040】
[参考例]
次に、参考例として、上記実施形態1とは別の製法について説明する。
インクジェット式記録ヘッド30は、図8に示す通り、断面略L字形のヘッドエレメント31を複数並べて互いに接着することにより、インクが流入するインク室32と、緩衝空間となる駆動室33を形成したもので、ヘッドエレメント31の配列方向両端には、それぞれ側板34、側板35が接着され、全てのヘッドエレメント31の上部を閉塞する形で、上板36が接着されている。また、全てのヘッドエレメント31の正面側を閉塞する形で、ノズルプレート37が接着され、ノズルプレート37のインク室32に対応する位置には、ノズル38が形成されている。なお、図8には表れないが、全てのヘッドエレメント31の背面側についても、背面板を接着することにより閉塞されている。この背面板には、インク室32に対応する位置に、インク流入路が形成されている。
【0041】
また、各ヘッドエレメント31には、薄膜状の圧電素子39が形成されている。この圧電素子39は、先に説明した実施形態1と同様、薄い金属膜間に薄いPZT膜を挟み込む形で積層した三層構造のもので、各ヘッドエレメント31に形成されたPZT膜は、あらかじめ強電界中でいずれも同一方向に分極処理されている。そのため、各圧電素子39は、表裏の金属膜のいずれか一方を陽極、他方を陰極として電圧を印加すると伸長し、陽極と陰極を入れ替えて電圧を印加すると収縮する。したがって、インク室32に露出する圧電素子39を伸長させる一方、駆動室33に露出する圧電素子39を収縮させることにより、インク室32の側壁面を変形させ、インク室32内のインクを両側から加圧し、インクをノズル38から噴射することができる。
【0042】
次に、上記インクジェット式記録ヘッド30の製造方法について説明する。
まず、図9に示す通り、板状の基体40の一方の面に、上記インク室32又は駆動室33となる凹部41を形成すると共に、他方の面に、第1導電膜42、PZT膜43、第2導電膜44を、この順序で形成する。
【0043】
これら第1導電膜42、PZT膜43および第2導電膜44は、先に説明した実施形態1と同様、無電解メッキ法および電解析出法によって形成することができる。また、上記実施形態1とは異なり、平板の一面に対して薄膜を形成すればよいので、周知のスパッタ法や印刷法といった薄膜形成技術を使ってもよく、更には薄く加工した導電膜、PZT膜を接着して形成しても構わない。
【0044】
続いて、第1導電膜42、PZT膜43および第2導電膜44が形成された基体40を、図10に示す通り、中央部で切断することにより、2つのヘッドエレメント31を得る。この状態において、基体40の凹部41による薄肉部分には、第1導電膜42、PZT膜43および第2導電膜44の積層膜である圧電素子39が設けられた形となる。
【0045】
この様にして形成されるヘッドエレメント31を、図11に示す様に順次重ねて接着することにより、基体40の凹部41は、インク室32又は駆動室33となる溝を形成し、後は、側板34、側板35、上板36、ノズルプレート37(以上図8参照)、および背面板(図示略)等を接着することにより、所期のインクジェット式記録ヘッド30を得ることができる。
【0046】
この様に構成されたインクジェット式記録ヘッド30によれば、薄膜状の圧電素子が、隣接する2つのインク室32の間に配設された壁面に形成されているため、インク室32の配列方向への寸法が圧電素子の面積拡大に伴って大きくなるといったことがない。したがって、圧電素子の面積を十分に大きく確保しながら、複数のインク室32をきわめて高密度に配列できる。また、この様にインク室を高密度に配列すると、インク室32をノズル38のごく近傍に配置できるようになる。したがって、インク室32からノズル38に至るインク流路を短くして、インク流路内での圧力損失を抑制でき、インクを噴射する際のレスポンスが良好になる。更に、インク室32をノズルと同等な密度で配列することも容易となるので、インク室32からノズル38に至るインク流路の形状をすべて同一にすることもでき、これにより、各ノズル38からのインクの噴射状態のばらつきは発生せず、印字品質が良好になる。
【0047】
更に、このインクジェット式記録ヘッド30を製造する際には、圧電素子39を形成するに当たって、平板状の基体40に対して薄膜を形成すればよいので、実施形態1に示した無電解メッキ法や電解析出法はもちろんのこと、スパッタ法や印刷法を使うこともでき、更には、予め形成した薄膜を接着してもよい。したがって、薄膜形成法を自由に選択することができるとともに、電極材料及び圧電材料の選択に関しても自由に行うことができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態である実施形態1と、この実施形態1とは別の製法である参考例について説明したが、本発明の構成手段については上記実施形態以外にも種々考えられる。
例えば、PZT薄膜を変形させるための電極は、発生させる電界の向きとPZT薄膜の分極方向とを考慮して、インク室内のインクを加圧できるような形に配設されていればよく、電極の形状や一対の電極の内いずれを陽極にするかは任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェット式記録ヘッドの一例を示し、(a)はその断面図、(b)はその部分拡大断面図である。
【図2】 第1実施形態におけるインクジェット式記録ヘッドの製法の第1工程を説明するための断面図である。
【図3】 第1実施形態におけるインクジェット式記録ヘッドの製法の第2工程を説明するための断面図である。
【図4】 第1実施形態におけるインクジェット式記録ヘッドの製法の第3工程を説明するための断面図である。
【図5】 第1実施形態におけるインクジェット式記録ヘッドの製法の第4工程を説明するための断面図である。
【図6】 第1実施形態におけるインクジェット式記録ヘッドの製法の第5工程を説明するための断面図である。
【図7】 第1実施形態におけるインクジェット式記録ヘッドの製法の第6工程を説明するための断面図である。
【図8】 参考例としてのインクジェット式記録ヘッドを示す斜視図である。
【図9】 参考例におけるインクジェット式記録ヘッドの製法の第1工程を説明するための断面図である。
【図10】 参考例におけるインクジェット式記録ヘッドの製法の第2工程を説明するための断面図である。
【図11】 参考例におけるインクジェット式記録ヘッドの製法の第3工程を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1・・・インクジェット式記録ヘッド、2・・・インク室、3・・・固定壁、4・・・振動壁、5・・・駆動室、6・・・蓋、7・・・ノズルプレート、8・・・ノズル、10・・・基体、11・・・第1電極、12・・・PZT膜、13・・・第2電極、15・・・基体、16・・・第1金属膜、17・・・PZT膜、18・・・第2金属膜、21・・・連結部、22・・・第1導電膜、23・・・電解PZT膜、24・・・第2導電膜、26,27・・・端部、30・・・インクジェット式記録ヘッド、31・・・ヘッドエレメント、32・・・インク室、33・・・駆動室、34,35・・・側板、36・・・上板、37・・・ノズルプレート、38・・・ノズル、39・・・圧電素子、40・・・基板、41・・・凹部。
Claims (4)
- ノズルプレート(7)と蓋(6)との間において複数の壁(3,4)によって区画され並列に配列するように形成された複数のインク室(2)と、前記壁に形成されインク室内のインクを加圧する圧電素子と、該圧電素子によって加圧されたインクを前記インク室から外部へ噴出するノズルプレートに形成されたノズルとを備えたインクジェット式記録ヘッドの製造方法において、
前記複数の壁となる複数の基体(10)とこれらを一端において連結する連結部(21)とを一体成形する工程と、
前記複数の基体に、第1導電膜(22)、圧電膜(23)、及び第2導電膜(24)を順に形成する工程と、
少なくとも前記基体の他端(26,27)を研削して、他端に形成された前記第1導電膜、前記圧電膜、及び前記第2導電膜を除去する工程と、
前記複数の基体の他端に蓋(6)を接着する工程と、
前記複数の基体から前記連結部を切り落とす工程と、
前記複数の基体の連結部を切り落としてできた端面にノズルプレートを接着する工程と
を備えたことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。 - 前記複数の壁は、前記インク室の容積を変化させる振動壁と固定壁とからなることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
- 前記第1導電膜及び前記第2導電膜は、無電解メッキ法により形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
- 前記圧電膜は、前記圧電膜の前に形成された前記第1導電膜を一方の電極とする電解析出法により形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
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JP26186096A JP3800684B2 (ja) | 1996-10-02 | 1996-10-02 | インクジェット式記録ヘッドの製造方法 |
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JPH10100406A JPH10100406A (ja) | 1998-04-21 |
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