JP3799355B2 - 通信システム、送信装置、受信装置、位相拡散符号生成装置、送信方法、受信方法、位相拡散符号生成方法、ならびに、プログラム - Google Patents

通信システム、送信装置、受信装置、位相拡散符号生成装置、送信方法、受信方法、位相拡散符号生成方法、ならびに、プログラム Download PDF

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Description

本発明は、通信システム、送信装置、受信装置、位相拡散符号生成装置、送信方法、受信方法、位相拡散符号生成方法、ならびに、これらをコンピュータ上に実現するためのプログラムに関する。
従来から、符号分割多重(CDMA;Code Division Multiple Access)通信などの通信技術においては、M系列やカオス乱数など、各種の乱数を用いて多重通信を行う技術が提案されている。たとえば、以下の文献には、カオス乱数を用いる符号分割多重通信に関連する技術が開示されている。
特開2001−292129号公報
[特許文献1]には、カオス乱数を生成する回路とフィルタを用いて通信を行う技術が開示されている。
しかしながら、符号分割多重以外にも、各種の乱数を用いて多重通信を行う技術が強く求められている。
本発明は、このような乱数を用いた多重通信を行うのに好適な通信システム、送信装置、受信装置、位相拡散符号生成装置、送信方法、受信方法、位相拡散符号生成方法、ならびに、これらをコンピュータ上にて実現するためのプログラムを提供することを目的とする。
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
本発明の第1の観点に係る通信システムは、N (N≧3)個の位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]と、所定のビット幅T、所定の角周波数ω、および、チップ幅C = T/Nと、基本搬送信号c(ωt)と、を用い、送信装置と、受信装置と、を備え、以下のように構成する。
まず、基本搬送信号c(ωt)は、周期2π/ωの周期関数であり、
0 2π/ω c(ωt)dt = 0
であり、c(ωt)と、その位相をηずらした信号c(ωt+η)との相関値d(η)を、
d(η) = 1/α∫0 2π/ω c(ωt+η)c(ωt)dt;
α = ∫0 2π/ω c(ωt)2dt
としたときに、相関値d(η)が、周期2π/ωの周期偶関数となる。すなわち、
d(0) = 1;
d(η) = d(-η);
d(η+2π/ω) = d(η);
が満たされる(以下同様。)。
そして、送信装置は、基本搬送信号c(ωt)の位相をずらした信号c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])を搬送波として、ビット幅Tのビット信号を変調して送信する。
一方、受信装置は、受信信号と、基本搬送信号c(ωt)とd(φ[floor(t/C) mod N])との積と、の相関値から、ビット信号を復調する。
また、本発明の通信システムにおいて、受信装置は、当該相関値にかえて、受信信号と基本搬送信号c(ωt)の位相をずらした信号c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])との相関値から、ビット信号を復調するように構成することができる。
また、本発明の通信システムにおいて、当該位相拡散符号は、当該送信装置と、当該受信装置と、に共有される初期値から生成されるカオス乱数列であるように構成することができる。
本発明の他の観点に係る通信システムは、N (N≧3)個の位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]と、所定の角周波数ωの基本搬送波を表す周期2π/ωの周期関数c(ωt)と、を用い、所定のビット幅T、および、チップ幅C = T/Nを用い、送信装置と、受信装置と、を備え、以下のように構成する。
ここで、送信装置は、入力受付部、拡散変調部、送信部を備える。
そして、入力受付部は、正負によりビットを表現するビット幅Tのビット列
b[0],b[1],…
の入力を受け付ける。
一方、拡散変調部は、入力を受け付けられたビット列と、時刻tと、に対して、
s(t) = b[floor(t/T)]×c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])
を拡散変調信号として出力する。
さらに、送信部は、出力された拡散変調信号s(t)を送信する。
一方、受信装置は、受信部、拡散復調部を備える。
ここで、受信部は、時刻tにおいて、拡散変調信号r(t)を受信する。
一方、拡散復調部は、整数
j = 0,1,…
と、時刻t = jTと、に対して、数列定義
B[j] = ∫t t+T r(u)×c(ωu)×d(φ[floor(u/C) mod N])du
により定められる数列
B[0],B[1],…
を求め、これらの正負によりビットを表現するビット幅Tのビット列を出力する。
また、本発明の通信システムにおいて、受信装置の拡散復調部は、当該数列定義にかえて、数列定義
B[j] = ∫t t+T r(u)×c(ωu+φ[floor(u/C) mod N])du
により、数列
B[0],B[1],…
を定めるように構成することができる。
また、本発明の通信システムにおいて、当該位相拡散符号は、当該送信装置と、当該受信装置と、に共有される初期値から生成されるカオス乱数列であるように構成することができる。
本発明の他の観点に係る送信装置は、上記通信システムの送信装置である。
本発明の他の観点に係る受信装置は、上記通信システムの受信装置である。
本発明の他の観点に係る位相拡散符号生成装置は、巡回部、変換部を備え、以下のように構成する。
すなわち、巡回部は、クロックtにおいて、長さMのビット列
s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
を、
s[i](t+1) = s[i+1](t) (0≦i≦M-2);
s[M-1](t+1) = s[0](t)
が成立するように巡回シフトを行って、出力する。
一方、変換部は、クロックtにおいて出力される長さMのビット列
s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
を受け付け、所定の定数ciと、所定の演算と、により長さMのビット列
p[0](t+1),p[1](t+1),…,p[M-1](t+1)
を求めて、これをクロックt+1において位相拡散符号として出力する。
そして、当該所定の演算は、
p[0](t+1) = ci xor s[0](t);
p[j+1](t+1) = p[j](t) xor s[j](t) (0≦j≦M-2)
である。
本発明の他の観点に係る位相拡散符号生成装置は、巡回部にかえて、乱数部、シフト部を備え、以下のように構成する。
すなわち、乱数部は、クロックtにおいて、1ビットの乱数
v(t)
を出力する。
一方、シフト部は、クロックtにおいて、長さMのビット列
s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
を、
s[i](t+1) = s[i+1](t) (0≦i≦M-2);
s[M-1](t+1) = v(t)
が成立するようにシフトを行って、出力する。
また、本発明の位相拡散符号生成装置において、当該所定の定数ciは0であるように構成することができる。
本発明の他の観点に係る送信方法は、N (N≧3)個の位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]と、所定の角周波数ωの基本搬送波を表す周期2π/ωの周期関数c(ωt)と、を用い、所定のビット幅T、および、チップ幅C = T/Nを用い、入力受付工程、拡散変調工程、送信工程を備え、以下のように構成する。
すなわち、入力受付工程では、正負によりビットを表現するビット幅Tのビット列
b[0],b[1],…
の入力を受け付ける。
一方、拡散変調工程では、入力を受け付けられたビット列と、時刻tと、に対して、
s(t) = b[floor(t/T)]×c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])
を拡散変調信号として出力する。
さらに、送信工程では、出力された拡散変調信号s(t)を送信する。
本発明の他の観点に係る受信方法は、N (N≧3)個の位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]と、所定の角周波数ωの基本搬送波を表す周期2π/ωの周期関数c(ωt)と、を用い、所定のビット幅T、および、チップ幅C = T/Nを用い、受信工程、拡散復調工程を備え、以下のように構成する。
すなわち、受信工程では、時刻tにおいて、拡散変調信号r(t)を受信する。
一方、拡散復調工程では、整数
j = 0,1,…
と、時刻t = jTと、に対して、数列定義
B[j] = ∫t t+T r(u)×c(ωu)×d(φ[floor(u/C) mod N])du
により定められる数列
B[0],B[1],…
を求め、これらの正負によりビットを表現するビット幅Tのビット列を出力する。
また、本発明に係る受信方法において、拡散復調工程では、当該数列定義にかえて、数列定義
B[j] = ∫t t+T r(u)×c(ωu+φ[floor(u/C) mod N])du
により、数列
B[0],B[1],…
を定めるように構成することができる。
本発明の他の観点に係る位相拡散符号生成方法は、巡回工程、変換工程を備え、以下のように構成する。
すなわち、巡回工程では、クロックtにおいて、長さMのビット列
s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
を、
s[i](t+1) = s[i+1](t) (0≦i≦M-2);
s[M-1](t+1) = s[0](t)
が成立するように巡回シフトを行って、出力する。
一方、変換工程では、クロックtにおいて出力される長さMのビット列
s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
を受け付け、所定の定数ciと、所定の演算と、により長さMのビット列
p[0](t+1),p[1](t+1),…,p[M-1](t+1)
を求めて、これをクロックt+1において位相拡散符号として出力する。
さらに、当該所定の演算は、
p[0](t+1) = ci xor s[0](t);
p[j+1](t+1) = p[j](t) xor s[j](t) (0≦j≦M-2)
である。
また、本発明の位相拡散符号生成方法は、巡回工程にかえて、乱数工程、シフト工程を備え、以下のように構成することができる。
すなわち、乱数工程では、クロックtにおいて、1ビットの乱数
v(t)
を出力する。
一方、シフト工程では、クロックtにおいて、長さMのビット列
s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
を、
s[i](t+1) = s[i+1](t) (0≦i≦M-2);
s[M-1](t+1) = v(t)
が成立するようにシフトを行って、出力する。
本発明の他の観点に係るプログラムは、コンピュータ(ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含む。)を、上記の送信装置、受信装置、もしくは、位相拡散符号生成装置として機能させ、または、コンピュータに、送信方法、受信方法、もしくは、位相拡散符号生成方法を実行させるように構成する。
また、本発明のプログラムは、コンピュータ読取可能な情報記録媒体(コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、または、半導体メモリを含む。)に記録することができる。
本発明のプログラムを、記憶装置、計算装置、出力装置、通信装置などを備える汎用コンピュータ、携帯電話機、PHC(Personal Handyphone System)装置、ゲーム装置などの携帯端末、並列計算機などの情報処理装置、ASIC、DSP、FPGAなどで実行することにより、上記の上記の送信装置、受信装置、位相拡散符号生成装置送信方法、受信方法、位相拡散符号生成方法を実現することができる。
また、これらの装置とは独立して、本発明の情報記録媒体を店舗等で配布、販売したり、本発明のプログラムそのものをコンピュータ通信網を介して配布、販売したりすることができる。
上記のように、本発明によれば、乱数を用いた多重通信を行うのに好適な通信システム、送信装置、受信装置、位相拡散符号生成装置、送信方法、受信方法、位相拡散符号生成方法、ならびに、これらをコンピュータ上にて実現するためのプログラムを提供することができる。
以下に本発明の実施形態を説明する。なお、以下にあげる実施形態は、説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば、これらの各要素または全要素を、これと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
図1は、本発明の実施形態の1つにかかる通信システムの概要構成を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
通信システム101は、送信装置102と受信装置103とを備える。そして、送信装置102と、受信装置103と、においては、共通のN (N≧3)個の位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]が既知となっているほか、所定の角周波数ωの基本搬送信号c(ωt)も既知となっている。また、ビット幅Tやチップ幅C = T/Nも両者に既知となっている。
典型的的には、c(ωt)は、周期2π/ωの周期関数であり、
0 2π/ω c(ωt)dt = 0
であり、c(ωt)と、その位相をηずらした信号c(ωt+η)との相関値d(η)を、
d(η) = 1/α∫0 2π/ω c(ωt+η)c(ωt)dt;
α = ∫0 2π/ω c(ωt)2dt
としたときに、相関値d(η)が、周期2π/ωの周期偶関数となる。すなわち、
d(0) = 1;
d(η) = d(-η);
d(η+2π/ω) = d(η);
が満たされるものである。
たとえば、正弦波(余弦波)やステップ状の繰り返し関数、離散コサイン関数等が適用できる。
特に、c(ωt)が余弦波cos(ωt)の場合には、
cos(ωt) = d(ωt)
が成立する。以下では主に、c(ωt)が余弦波cos(ωt)を例にあげて説明する。
さて、送信装置102には、伝送すべきビット信号として、所定のビット幅Tのビット信号が与えられる。すなわち、ビット信号の1ビットを受け付けるのに要する時間はTとなり、受付の際の転送ビットレートは1/Tとなる。また、受け付けられるビット信号は、正負によってビットを表すものとし、典型的には、-1,1のいずれかの値によってビットを表現するものとする。
送信装置102の内部では、ビット幅を所定の正整数Nで割ったチップ幅C = T/Nを基本単位として処理を行う。すなわち、送信装置102は、基本搬送信号c(ωt)の位相をずらした信号c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])を搬送波とする。
この搬送波は、チップ幅Cごとに、基本搬送信号c(ωt)の位相をφ[floor(t/C) mod N]だけずらしたものである。ここで、floor(x)は、引数xの小数部を切り捨てて整数化する演算であり、典型的には、整数演算における割り算が適用される。a mod bは、aをbで割ったときの余りを求める演算である。
そして、この搬送波に、受け付けたビット幅Tのビット信号を重畳(乗算)することによって変調して、受信装置103に送信する。
一方、受信装置103では、通信の相手となる送信装置102からの信号が電波伝搬路の影響を受けたものと、他の送信装置からの信号と、が混合された受信信号を受信する。
そして、受信した受信信号と、基本搬送信号c(ωt)と相関関数d(φ[floor(t/C) mod N])の積と、の相関値から、ビット信号を復調する。
このほか、受信装置103においては、受信信号と基本搬送信号c(ωt)の位相をずらした信号c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])との相関値から、ビット信号を復調するようにしても良い。
尚、上記の変調と復調の原理については、以降でその詳細について説明する。
ここで、互いに通信し合う送信装置102と受信装置103との対ごとに、位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]のセットを異なるものとすれば、同じ基本搬送信号c(ωt)を用いた場合でも、いずれの受信装置103でも自身宛の信号を分離して復調することができ、符号分割多重が可能となる。
(位相拡散符号の生成技術)
上記のように、本実施形態においては、位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]を用いる。この位相拡散符号としては、互いに通信し合う送信装置102と受信装置103とで共有される初期値から生成されるM系列などの乱数列を用いることができるが、本実施形態では、特に、ある初期値から1次元の区分線形写像を繰り返し適用して生成される以下のようなカオス乱数列を用いるものとする。
ここで、1次元の区分線形写像とは、以下の条件をすべて満たす写像をいう。図2は、このような1次元の区分線形写像の様子を示すグラフである。
(1)定義域と値域が等しい。
(2)定義域を、複数の区間に分割し、各区間についての当該写像の形が1次関数となるようにすることができる。
たとえば、以下のように定義されるベルヌーイシフト写像F(・)は、1次元の区分線形写像である。
F(x) = 2x (0≦x<1/2);
= 2x-1 (1/2≦x≦1);
また、以下のように定義されるテント写像G(・)も、1次元の区分線形写像である。
G(x) = 2x (0≦x<1/2);
= 2-2x (1/2≦x≦1);
このような1次元の区分線形写像を繰り返し適用して得られる数列
x,F(x),F(F(x)),F(F(F(x))),…
や、
x,G(x),G(G(x)),G(G(G(x))),…
は、カオス乱数となる。
よく知られるように、カオス乱数は、初期値に敏感であり、無限精度で計算した場合には周期がない(周期が無限長である)一方で、当該乱数の分布関数は解析的に記述可能であり、種々の特性を調べることができる便利な乱数である。
以下では、上記の1次元の区分線形写像を用いたカオス乱数を生成する位相拡散符号生成装置の実施形態について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る位相拡散符号生成装置の概要構成を示す説明図である。
第1の実施形態に係る位相拡散符号生成装置301は、巡回部302、変換部303を備え、以下のように構成する。
まず、巡回部302は、長さMの巡回レジスタから構成される。本図では、M = 24の場合が図示されている。左が低位ビット、右が高位ビットである。そこで、あるクロックtにおいて当該巡回レジスタが出力する長さMのビット列のうちi番目のものを、s[i](t)と記述すると、巡回部302は、クロックtにおいて、長さMのビット列
s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
を出力することとなる。
また、巡回シフトの様子は、
s[i](t+1) = s[i+1](t) (0≦i≦M-2);
s[M-1](t+1) = s[0](t)
のように記述することができる。すなわち、高位ビットから低位ビットの方向へ、1クロックにつき1ビット巡回シフトするとともに、格納されている値も出力するのである。
一方、変換部303は、クロックtにおいて巡回部302から出力される長さMのビット列
s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
を受け付ける。
そして、所定の定数ci(典型的には0)と、後述する所定の演算と、により長さMのビット列
p[0](t+1),p[1](t+1),…,p[M-1](t+1)
を求めて、これをクロックt+1において位相拡散符号φ[t+1]として出力する。
ここで、変換部303の詳細について説明する。図4は、変換部303の基本構成を示す説明図である。
変換部303は、図4(a)に示すユニットがM個連結されたものである。なお、図3に示す実施例では、当該ユニットを8個連結して1単位とし、さらに当該単位1を3個連結して24ビットの演算ができるようにしている。図4(b)には、このような1単位の様子を示してある。
ユニット401は、排他的論理和回路(xor; eXclusive OR)402からなる。
図に示すように、ユニット401は、クロックtに上側から入力されるビットs(t)の値と、左側から入力されるビットi(t)の値と、を受け付ける。
そして、排他的論理和回路402は、s(t)とi(t)との排他的論理和を求めて、クロックt+1で、求められた排他的論理和を、右側にビットo(t+1)として、下側にビットp(t+1)として、それぞれ出力する。
このようなユニット401を用いることにより、変換部で行われる当該所定の演算は、
p[0](t+1) = ci xor s[0](t);
p[j+1](t+1) = p[j](t) xor s[j](t) (0≦j≦M-2)
のように表現することができる。
この位相拡散符号生成装置301によれば、巡回部402の巡回レジスタ内に格納されるMビットの値や、変換部303により出力されるMビットの値を、固定小数点表現された実数値(精度Mビットの実数値)と見たときに、これをカオス乱数として取り扱うことができるようになる。
実際に位相拡散符号としてこの値を用いる場合には、π倍して、
φ[t] = πΣi=0 M-1 p[i](t)×21-i
として取り扱うことになる。
この位相拡散符号生成装置301が生成する乱数とカオス乱数を生成するのに用いられるチェビシェフ多項式との関係については、後述する。
図5は、第2の実施形態に係る位相拡散符号生成装置の概要構成を示す説明図である。なお、図3に示す実施例と同様の機能を果たす部分には、同じ符号を付してある。また、本図では、16ビットの位相拡散符号を生成する場合について図示してある。
さて、位相拡散符号生成装置301は、乱数部304、シフト部305、変換部303を備える。
すなわち、乱数部304は、2値の擬似乱数生成装置501を用いて、クロックtにおいて、1ビットの乱数
v(t)
を出力する。この乱数はどのような乱数でも良いが、この乱数の周期と本位相拡散符号生成装置301が出力する位相拡散符号(乱数)の周期とが一致することとなる。
尚、乱数部304が生成する乱数v(t)は、送信装置102と受信装置103とで共通のものとしなければならない。
一方、シフト部305は、長さMのビット列
s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
を、
s[i](t+1) = s[i+1](t) (0≦i≦M-2);
s[M-1](t+1) = v(t)
が成立するようにシフトを行って、出力する。
すなわち、シフト部305は、Mビットの一方向シフトレジスタであり、最高位ビットには、乱数部304が生成する乱数が順次与えられて、高位ビットから低位ビットの方向に、1クロックに1ビットだけシフトするものである。
一方、変換部303は、上記実施形態と同様の一連の排他的論理和演算を行う。
この位相拡散符号生成装置301が生成する乱数とカオス乱数を生成するのに用いられるチェビシェフ多項式との関係についても、後述する。
上記実施形態では、最初に巡回レジスタに与える値が送信装置102と受信装置103とで共通のものとなり、これが鍵となって変復調が可能となるのであるが、本実施形態では、2値の擬似乱数生成装置501に与えられる初期値や、2値の擬似乱数生成装置501が採用する擬似乱数の生成手法のアルゴリズムが送信装置102と受信装置103とで共通のものとなり、これが鍵となって変復調が可能となる。
そして、これらの鍵は、互いに通信し合う送信装置102と受信装置103とのセットごとに、異なるものとしなければならない。
以下、送受信の技術について、さらに詳細に説明する。
(送信の技術)
図6は、本実施形態に係る送信装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。なお、以下の実施例では、c(ωt)としてcos(ωt)を用いる。この場合、上述した通り、相関関数については、d(η) = cos(η)となる。
送信装置102は、入力受付部601、拡散変調部602、送信部603を備える。
まず、入力受付部601は、正負によりビットを表現するビット幅Tのビット列
b[0],b[1],…
の入力を受け付ける。上記のように、b[i]は、-1,+1のいずれかの値をとるものとする。
一方、拡散変調部602は、入力を受け付けられたビット列と、時刻tと、に対して、
s(t) = b[floor(t/T)]×c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])
を拡散変調信号として出力する。
図7は、当該送信装置を回路によって構成する場合の説明図である。
まず、チップレートC = T/Nをクロックレートとする位相拡散符号生成装置301を用意し、これから位相拡散符号を順次生成させる。
そして、生成された位相拡散符号の正弦(sin)の符号を反転したもの(-sin)と余弦(cos)を求める(302、303)。
上記の位相拡散符号生成装置301によって生成される位相拡散符号は、0〜1の間の値をとるため、これをπ倍したものの正弦や余弦等を求めることが望ましい。
すなわち、時刻tに用いられる位相拡散符号は、クロックuで位相拡散符号生成装置301から出力される乱数をp(u)としたとき、
φ[floor(t/C) mod N] = π p(floor(t/C))
である。
また、正弦や余弦等を求める際、高速な演算ができない場合には、あらかじめ表を用意しておいて高速化を図ることができる。特に、通信を開始する際に、φ[0],…,φ[N-1]の余弦や正弦等をあらかじめ求めておき、表を用意しておくことが効果的である。
そして、得られた-sinとcosを、それぞれビット信号に乗じる(304、305)。さらに、そのそれぞれに、基本搬送信号c(ωt)の位相をπ/4だけずらしたc(ωt-π/4)と、基本搬送信号c(ωt)と、を乗じて(306、307)加算する。すなわち、それぞれ、sin(ωt)と、cos(ωt)と、が乗じられて、加算されることになる。
これらの処理によって、
s(t) = b[floor(t/T)]×c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])
が求められるのである。
さらに、送信部603は、出力された拡散変調信号s(t)を送信する。
(受信の技術)
図8は、本実施形態に係る受信装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
受信装置103は、受信部701、拡散復調部702を備える。
上記のように、当該受信装置103と対になる送信装置102は、搬送信号として
c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])
を用いている。異なる位相拡散符号を用いた場合の2つの搬送信号をチップ単位で対比すると、それぞれの位相がずれていることが期待される。位相が異なる三角関数同士の相関をとると0となり、位相が一致する三角関数同士の相関をとると1となるから、位相拡散符号によって位相がずらされた搬送信号によって、相関をとることのみによって、対となる送信装置102から伝送されたビット信号が復元できると期待されるのである。
すなわち、受信部701は、時刻tにおいて、拡散変調信号r(t)を受信する。ここで、拡散変調信号r(t)は、送信装置102との同期がすでにとられているものとし、遅延は考慮しないで良いものとする。
一方、拡散復調部702は、整数
j = 0,1,…
と、時刻t = jTと、に対して、数列定義
B[j] = ∫t t+T r(u)×c(ωu+φ[floor(u/C) mod N])du
により定められる数列
B[0],B[1],…
を求め、これらの正負によりビットを表現するビット幅Tのビット列を出力する。
c(ωt) = cos(ωt)を用いて上記の式を展開すると、
B[j] = ∫jT (j+1)T r(u)×c(ωu+φ[floor(u/C) mod N])du
= Σk=0 M-1〔 cos(φ[k])∫jT+kC jT+(k+1)C r(u)×cos(ωu)du
-sin(φ[k])∫jT+kC jT+(k+1)C r(u)×sin(ωu)du 〕
となる。
図9には、これを実際に回路とする場合の実施形態を示す。各積分項の時間区間には重複がないので、受信信号に、それぞれ、cos(ωt)と、sin(ωt)と、を乗じて(801、802)、チップ長Cの時間長で順次積分する(803、804)。
チップ長Cの時間長での積分の結果が得られたら、順次送信装置102と同様に、位相拡散符号生成装置301から生成された位相拡散符号の余弦(cos 805)と正弦の符号反転(-sin 806)を求め、積分の結果のそれぞれに乗じる(807、808)。
そして、加算回路では、Nチップごとに乗じた結果を積算し(809、810)、比較回路で正負を判別して(811)、伝送信号を得るのである。
以下では、さらに詳しくB[j]の値について検討する。1チャンネルの通信s(t) = r(t)で、送信側で位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]を使って変調し、受信側で位相拡散符号ν[0],…,ν[N-1]を使って復調しようとした場合を考え、上記の数式に具体的な値を入れて計算を行うと、以下のような結果が得られる。
B[j] = (2παC/ω)b[j]Σi=0 N-1 d(φ[i]-ν[i])
したがって、受信側と送信側とで、位相拡散符号が一致する場合(φ[i] = ν[i])、復調信号は、以下のようになる。
B[j] = (2παT/ω)b[j]
したがって、一致しない場合に比べての利得は、以下のようになる。
N/|Σi=0 N-1 d(φ[i]-ν[i])|
相関関数は、両者が一致する場合に最大となるから、本方式によれば、上記の利得で、他の位相拡散符号を用いて送信された信号から、所望の位相拡散符号を用いて送信された信号を分離することができる。
(その他の受信の技術)
また、c(ωt) = cos(ωt)を用いた場合、搬送信号
c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])

c(ωt)×d(φ[floor(t/C) mod N])
との相関を考えた場合も、同じ位相拡散符号を用いている場合には、相関の値は所定の値となり、異なる位相拡散符号を用いている場合には、相関の値を0となると期待される。したがって、上記の場合と同様に、当該数列定義にかえて、数列定義
B[j] = ∫t t+T r(u)×c(ωu)×d(φ[floor(u/C) mod N])du
により、数列
B[0],B[1],…
を定めるようにしても良い。
この場合、上式を変形すると、
B[j] = Σk=0 N-1 cos(φ[k])∫jT+kC jT+(k+1)C r(u)×c(ωu)du
となる。
図10には、これを実際に回路とする場合の実施形態を示す。上記の場合と同様に、各積分項の時間区間には重複がないので、受信信号にcos(ωt)を乗じてから(901)、チップ長Cの時間長で順次積分する(902)。
チップ長Cの時間長での積分の結果が得られたら、順次送信装置102と同様に、位相拡散符号生成装置301から生成された位相拡散符号の余弦(cos 903)を求め、積分の結果に乗じる(904)。
そして、加算回路では、Nチップごとに結果を積算し(905)、比較回路で正負を判別して(906)、伝送信号を得るのである。
本実施形態の場合について、上記実施形態と同様に、1チャンネルの通信s(t) = r(t)で、送信側で位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]を使って変調し、受信側で位相拡散符号ν[0],…,ν[N-1]を使って復調しようとした場合を考え、上記の数式に具体的な値を入れて計算を行うと、以下のような結果が得られる。
B[j] = (2παC/ω)b[j]Σi=0 N-1 d(φ[i])d(ν[i])
したがって、受信側と送信側とで、位相拡散符号が一致する場合(φ[i] = ν[i])、復調信号は、以下のようになる。
B[j] = (2παT/ω)b[j]Σi=0 N-1 d(φ[i])2
また、利得は、以下のようになる。
i=0 N-1 d(φ[i])2|/|Σi=0 N-1 d(φ[i])d(ν[i])|
上記のようなカオス乱数から生成された位相拡散符号をベクトルとして考えた場合、2つの位相拡散符号の長さは概ね等しくなることが期待される。一方で上記のΣの計算は、ベクトルの内積の計算に相当するから、同じ方向であれば(同じベクトルであれば)最大となる。すなわち、本実施形態においても、本方式によれば、上記の利得で、他の位相拡散符号を用いて送信された信号から、所望の位相拡散符号を用いて送信された信号を分離することができる。
(チェビシェフ多項式との関係)
図3、図4、図5に示す位相拡散符号生成装置は、適当な係数を用いて固定小数点表現を行った値について、ベルヌーイシフト写像等の1次の区分線形写像を繰り返し適用して得られるカオス乱数を生成するものである。位相拡散符号として利用できるカオス乱数列として、より一般的に、以下の漸化式によって得られる数列を考えることができる。
φ[j+1] = Pφ[j] mod 2π
ここで、Pは適当な2以上の整数である。
一方、カオス乱数の分野では、チェビシェフ多項式を用いたものが広く知られている。図11は、種々の次数のチェビシェフ多項式の値の変化の様子を示すグラフである。q (q≧2)次のチェビシェフ多項式は、以下のように定義される。
cos(qθ) = Tq(cosθ)
さてここで、天下り的ではあるが
a[j] = d(φ[j]) = cos(φ[j])
とおくと、
a[j+1] = cos(φ[j+1])
= cos(Pφ[j] mod 2π)
= cos(Pφ[j])
= TP(cos(φ[j]))
= TP(a[j])
と変形できる。
また、上記実施形態の復調信号や利得などの式には、d(φ[i])などが表われるが、これは、上記のようにa[i]に置き換えることができる。
すなわち、ベルヌーイシフトを用いた位相拡散符号による変復調は、チェビシェフ多項式によるカオス拡散符号を用いた直接拡散(Direct Sequence)CDMAに対応付けることができるのである。
P=2の場合のベルヌーイシフトによる位相拡散符号生成装置は、上記のように、長さMのシフトレジスタを用いて構成することができる。あるクロックtにおいてシフトレジスタが出力する長さMのビット列のうちi番目のものをs[i](t)と表記すると、ベルヌーイシフトによる写像は、シフトレジスタの左シフトに対応し、
s[i](t+1) = s[i+1](t);
となる。最下位ビットのs[M-1](t+1)については、最上位ビットs[0](t)を用いれば、図3に示す位相拡散符号生成装置に対応し、他の乱数v(t)を用いれば、図5に示す位相拡散符号生成装置に対応する。
さて、カオス理論によれば、ベルヌーイシフト写像の位相構造は、実はチェビシェフ多項式の位相構造とは異なることが知られている。チェビシェフ多項式の位相構造と同じ位相構造を持つ区分線形写像には、テント写像がある。
たとえば、適当な係数、加減定数を用いたテント写像による漸化式として
φ[j+1] = π - 2|φ[j] - π/2|
を考えることができる。
ここで、上記のシフトレジスタが出力する固定小数点値(ベルヌーイシフト写像により得られる値)は、パラメータciを用いた変換を行えば、テント写像により得られる固定小数点値(チェビシェフ多項式により得られるカオス乱数と位相同型なカオス乱数)に変換できる。この処理を行っているのが、上記のユニット401(排他的論理和回路402)なのである。
上記のように、本発明によれば、乱数を用いた多重通信を行うのに好適な通信システム、送信装置、受信装置、位相拡散符号生成装置、送信方法、受信方法、位相拡散符号生成方法、ならびに、これらをコンピュータ上にて実現するためのプログラムを提供することができ、各種の通信技術に適用することができる。
本発明の実施形態の1つにかかる通信システムの概要構成を示す説明図である。 種々の区分線形写像の値の変化の様子を示すグラフである。 第1の実施形態に係る位相拡散符号生成装置の概要構成を示す説明図である。 変換部の基本構成を示す説明図である。 第2の実施形態に係る位相拡散符号生成装置の概要構成を示す説明図である。 本実施形態に係る送信装置の概要構成を示す模式図である。 送信装置を実際に回路で構成する場合の概要構成を示す説明図である。 本実施形態に係る受信装置の概要構成を示す模式図である。 受信装置を実際に回路で構成する場合の概要構成を示す説明図である。 受信装置を実際に回路で構成する場合の概要構成を示す説明図である。 チェビシェフ多項式の値の変化の様子を示すグラフである。
符号の説明
101 通信システム
102 送信装置
103 受信装置
301 位相拡散符号生成装置
302 巡回部
303 変換部
304 乱数部
305 シフト部
401 ユニット
402 排他的論理和回路
601 入力受付部
602 拡散変調部
603 送信部
701 受信部
702 拡散復調部

Claims (24)

  1. N (N≧3)個の位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]と、所定のビット幅T、所定の角周波数ω、および、チップ幅C = T/Nと、基本搬送信号c(ωt)と、を用い、
    基本搬送信号c(ωt)は、周期2π/ωの周期関数であり、
    0 2π/ω c(ωt)dt = 0
    であり、c(ωt)と、その位相をηずらした信号c(ωt+η)との相関値d(η)を、
    d(η) = 1/α∫0 2π/ω c(ωt+η)c(ωt)dt;
    α = ∫0 2π/ω c(ωt)2dt
    としたときに、相関値d(η)が、周期2π/ωの周期偶関数となる
    通信システムであって、送信装置と、受信装置と、を備え、
    前記送信装置は、基本搬送信号c(ωt)の位相をずらした信号c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])を搬送波として、ビット幅Tのビット信号を変調して送信し、
    前記受信装置は、受信信号と、基本搬送信号c(ωt)とd(φ[floor(t/C) mod N])との積と、の相関値から、ビット信号を復調する
    ことを特徴とするもの。
  2. 請求項1に記載の通信システムであって、
    前記受信装置は、当該相関値にかえて、受信信号と基本搬送信号c(ωt)の位相をずらした信号c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])との相関値から、ビット信号を復調する
    ことを特徴とするもの。
  3. 請求項1または2に記載の通信システムであって、
    当該位相拡散符号は、当該送信装置と、当該受信装置と、に共有される初期値から生成されるカオス乱数列である
    ことを特徴とするもの。
  4. 請求項3に記載の通信システムであって、
    前記カオス乱数列は、初期値φ[0]に対して1次元の区分線形写像T(・)を用いた漸化式
    φ[i+1] = T(φ[i]) (i≧0)
    により生成される
    ことを特徴とするもの。
  5. N (N≧3)個の位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]と、所定の角周波数ωの基本搬送波を表す周期2π/ωの周期関数c(ωt)と、を用い、所定のビット幅T、および、チップ幅C = T/Nを用いる通信システムであって、
    基本搬送信号c(ωt)は、周期2π/ωの周期関数であり、
    0 2π/ω c(ωt)dt = 0
    であり、c(ωt)と、その位相をηずらした信号c(ωt+η)との相関値d(η)を、
    d(η) = 1/α∫0 2π/ω c(ωt+η)c(ωt)dt;
    α = ∫0 2π/ω c(ωt)2dt
    としたときに、相関値d(η)が、周期2π/ωの周期偶関数となり、
    送信装置と、受信装置と、を備え、
    (a)前記送信装置は、
    正負によりビットを表現するビット幅Tのビット列
    b[0],b[1],…
    の入力を受け付ける入力受付部、
    前記入力を受け付けられたビット列と、時刻tと、に対して、
    s(t) = b[floor(t/T)]×c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])
    を拡散変調信号として出力する拡散変調部、
    前記出力された拡散変調信号s(t)を送信する送信部
    を備え、
    (b)前記受信装置は、
    時刻tにおいて、拡散変調信号r(t)を受信する受信部、
    整数
    j = 0,1,…
    と、時刻t = jTと、に対して、数列定義
    B[j] = ∫t t+T r(u)×c(ωu)×d(φ[floor(u/C) mod N])du
    により定められる数列
    B[0],B[1],…
    を求め、これらの正負によりビットを表現するビット幅Tのビット列を出力する拡散復調部
    を備える
    ことを特徴とするもの。
  6. 請求項5に記載の通信システムであって、
    前記受信装置の前記拡散復調部は、当該数列定義にかえて、数列定義
    B[j] = ∫t t+T r(u)×c(ωu+φ[floor(u/C) mod N])du
    により、数列
    B[0],B[1],…
    を定める
    ことを特徴とするもの。
  7. 請求項5または6に記載の通信システムであって、
    当該位相拡散符号は、当該送信装置と、当該受信装置と、に共有される初期値から生成されるカオス乱数列である
    ことを特徴とするもの。
  8. 請求項7に記載の通信システムであって、
    前記カオス乱数列は、初期値φ[0]に対して1次元の区分線形写像T(・)を用いた漸化式
    φ[i+1] = T(φ[i]) (i≧0)
    により生成される
    ことを特徴とするもの。
  9. 請求項5から8のいずれか1項に記載の通信システムの送信装置。
  10. 請求項5から8のいずれか1項に記載の通信システムの受信装置。
  11. クロックtにおいて、長さMのビット列
    s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
    を、
    s[i](t+1) = s[i+1](t) (0≦i≦M-2);
    s[M-1](t+1) = s[0](t)
    が成立するように巡回シフトを行って、出力する巡回部、
    クロックtにおいて前記出力される長さMのビット列
    s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
    を受け付け、所定の定数ciと、所定の演算と、により長さMのビット列
    p[0](t+1),p[1](t+1),…,p[M-1](t+1)
    を求めて、これをクロックt+1において位相拡散符号として出力する変換部
    を備え、
    当該所定の演算は、
    p[0](t+1) = ci xor s[0](t);
    p[j+1](t+1) = p[j](t) xor s[j](t) (0≦j≦M-2)
    であり、
    前記変換部によりクロックtにおいて出力される位相拡散符号は、当該長さMのビット列
    p[0](t),p[1](t),…,p[M-1](t)
    を固定小数点表現とする固定小数点数p(t)にπを乗じたものを、当該クロックtにおける位相拡散の位相のずれとする
    ことを特徴とする位相拡散符号生成装置。
  12. 請求項11に記載の位相拡散符号生成装置であって、
    クロック0における当該長さMのビット列
    s[0](0),s[1](0),…,s[M-1](0)
    は、「すべてが0」ではなく、かつ、「すべてが1」ではない
    ことを特徴とする位相拡散符号生成装置。
  13. クロックtにおいて、1ビットの乱数
    v(t)
    を出力する乱数部、
    クロックtにおいて、長さMのビット列
    s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
    を、
    s[i](t+1) = s[i+1](t) (0≦i≦M-2);
    s[M-1](t+1) = v(t)
    が成立するようにシフトを行って、出力するシフト部、
    クロックtにおいて前記出力される長さMのビット列
    s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
    を受け付け、所定の定数ciと、所定の演算と、により長さMのビット列
    p[0](t+1),p[1](t+1),…,p[M-1](t+1)
    を求めて、これをクロックt+1において位相拡散符号として出力する変換部
    を備え、
    当該所定の演算は、
    p[0](t+1) = ci xor s[0](t);
    p[j+1](t+1) = p[j](t) xor s[j](t) (0≦j≦M-2)
    であることを特徴とするもの。
  14. 請求項11から13のいずれか1項に記載の位相拡散符号生成装置であって、
    当該所定の定数ciは0である
    ことを特徴とするもの。
  15. N (N≧3)個の位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]と、所定の角周波数ωの基本搬送波を表す周期2π/ωの周期関数c(ωt)と、を用い、所定のビット幅T、および、チップ幅C = T/Nを用い、
    基本搬送信号c(ωt)は、周期2π/ωの周期関数であり、
    0 2π/ω c(ωt)dt = 0
    であり、c(ωt)と、その位相をηずらした信号c(ωt+η)との相関値d(η)を、
    d(η) = 1/α∫0 2π/ω c(ωt+η)c(ωt)dt;
    α = ∫0 2π/ω c(ωt)2dt
    としたときに、相関値d(η)が、周期2π/ωの周期偶関数となる
    送信方法であって、
    正負によりビットを表現するビット幅Tのビット列
    b[0],b[1],…
    の入力を受け付ける入力受付工程、
    前記入力を受け付けられたビット列と、時刻tと、に対して、
    s(t) = b[floor(t/T)]×c(ωt+φ[floor(t/C) mod N])
    を拡散変調信号として出力する拡散変調工程、
    前記出力された拡散変調信号s(t)を送信する送信工程
    を備えることを特徴とする方法。
  16. N (N≧3)個の位相拡散符号φ[0],…,φ[N-1]と、所定の角周波数ωの基本搬送波を表す周期2π/ωの周期関数c(ωt)と、を用い、所定のビット幅T、および、チップ幅C = T/Nを用い、
    基本搬送信号c(ωt)は、周期2π/ωの周期関数であり、
    0 2π/ω c(ωt)dt = 0
    であり、c(ωt)と、その位相をηずらした信号c(ωt+η)との相関値d(η)を、
    d(η) = 1/α∫0 2π/ω c(ωt+η)c(ωt)dt;
    α = ∫0 2π/ω c(ωt)2dt
    としたときに、相関値d(η)が、周期2π/ωの周期偶関数となる
    受信方法であって、
    時刻tにおいて、拡散変調信号r(t)を受信する受信工程、
    整数
    j = 0,1,…
    と、時刻t = jTと、に対して、数列定義
    B[j] = ∫t t+T r(u)×c(ωu)×d(φ[floor(u/C) mod N])du
    により定められる数列
    B[0],B[1],…
    を求め、これらの正負によりビットを表現するビット幅Tのビット列を出力する拡散復調工程
    を備えることを特徴とする方法。
  17. 請求項16に記載の受信方法であって、
    前記拡散復調工程では、当該数列定義にかえて、数列定義
    B[j] = ∫t t+T r(u)×c(ωu+φ[floor(u/C) mod N])du
    により、数列
    B[0],B[1],…
    を定める
    ことを特徴とする方法。
  18. クロックtにおいて、長さMのビット列
    s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
    を、
    s[i](t+1) = s[i+1](t) (0≦i≦M-2);
    s[M-1](t+1) = s[0](t)
    が成立するように巡回シフトを行って、出力する巡回工程、
    クロックtにおいて前記出力される長さMのビット列
    s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
    を受け付け、所定の定数ciと、所定の演算と、により長さMのビット列
    p[0](t+1),p[1](t+1),…,p[M-1](t+1)
    を求めて、これをクロックt+1において位相拡散符号として出力する変換工程
    を備え、
    当該所定の演算は、
    p[0](t+1) = ci xor s[0](t);
    p[j+1](t+1) = p[j](t) xor s[j](t) (0≦j≦M-2)
    であり、
    前記変換工程にてクロックtにおいて出力される位相拡散符号は、当該長さMのビット列
    p[0](t),p[1](t),…,p[M-1](t)
    を固定小数点表現とする固定小数点数p(t)にπを乗じたものを、当該クロックtにおける位相拡散の位相のずれとする
    ことを特徴とする位相拡散符号生成方法。
  19. 請求項18に記載の位相拡散符号生成方法であって、
    クロック0における当該長さMのビット列
    s[0](0),s[1](0),…,s[M-1](0)
    は、「すべてが0」ではなく、かつ、「すべてが1」ではない
    ことを特徴とする位相拡散符号生成方法。
  20. クロックtにおいて、1ビットの乱数
    v(t)
    を出力する乱数工程、
    クロックtにおいて、長さMのビット列
    s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
    を、
    s[i](t+1) = s[i+1](t) (0≦i≦M-2);
    s[M-1](t+1) = v(t)
    が成立するようにシフトを行って、出力するシフト工程、
    クロックtにおいて前記出力される長さMのビット列
    s[0](t),s[1](t),…,s[M-1](t)
    を受け付け、所定の定数ciと、所定の演算と、により長さMのビット列
    p[0](t+1),p[1](t+1),…,p[M-1](t+1)
    を求めて、これをクロックt+1において位相拡散符号として出力する変換工程
    を備え、
    当該所定の演算は、
    p[0](t+1) = ci xor s[0](t);
    p[j+1](t+1) = p[j](t) xor s[j](t) (0≦j≦M-2)
    であることを特徴とする方法。
  21. 請求項18から20のいずれか1項に記載の位相拡散符号生成方法であって、
    当該所定の定数ciは0である
    ことを特徴とする方法。
  22. コンピュータを、請求項9に記載の送信装置として機能させることを特徴とするプログラム。
  23. コンピュータを、請求項10に記載の受信装置として機能させることを特徴とするプログラム。
  24. コンピュータを、請求項11から13のいずれか1項に記載の位相拡散符号生成装置として機能させることを特徴とするプログラム。
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