JP3798296B2 - トンネル内耐火被覆構造 - Google Patents

トンネル内耐火被覆構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として既設や新設の道路用トンネルであって、かつ、シールドトンネル、沈埋トンネル又は開削トンネルの内壁面を火災の熱から守るために提案されたトンネル内耐火被覆構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
シールドトンネルにあっては、シールドマシンにより地盤を掘削すると同時に、地山の内面をコンクリートセグメント、鋼−コンクリートの合成セグメントなどの一次覆工体で補強して構築される。この場合、開削トンネルにあっては、土留め壁築造後に地上より地盤を掘削した後、主に鉄筋コンクリート製のトンネル駆体を施工し、埋め戻して構築される。
【0003】
また、沈埋トンネルは海底等に沈設して構築される。この海底に設置される沈埋トンネルの場合は、工場で製作された巨大なボックス断面の鉄筋コンクリートブロックを作業船で海上の設置場所まで運搬したうえ海底に沈め、海底において複数の前記鉄筋コンクリートブロック同士を接続して海底道路トンネル等として構築される。
【0004】
ところで、道路網が発達しトンネルの数が増えたことや、自動車の増加により交通量が増えたことなどにより、道路トンネル内での自動車同士の衝突、転倒等による火災事故の頻度が増え、また火災事故の規模も大形化の傾向にある。特に、引火性の液体燃料や液化薬品を搭載したタンクローリーによりトンネル内の火災事故が発生したときの災害の危険性は予測をはるかに超えるものがある。
【0005】
トンネル内の火災事故において、人的災害を最小に抑えなければならないのは勿論であるが、他の問題として、トンネル内壁、特に覆工コンクリートを如何にして熱から守るかという問題がある。
【0006】
つまり、既設の道路用トンネルにあっては、トンネル内壁面に覆工コンクリートが露出しているものが殆どであって、このようなトンネルにあっては、火災が発生した場合、急速に上昇した高温の熱が覆工コンクリートに直に熱衝撃的に伝わり、コンクリートに含まれる水分が急速に蒸発されるなどの原因で、当該コンクリートが曝裂してトンネル崩壊等の大事故になりかねない。又、曝裂に至らない場合でも、当該コンクリートが劣化して亀裂が入り、火災が鎮火した後、コンクリートの崩落・剥落の危険が生じる。この場合、火災事故の後、相当長期にわたり覆工コンクリートの修復作業を行うことになるが、その間はトンネル内を走行禁止とし、あるいは、片側通行とするなど、いずれにしても、経済的、社会的損失は少なくない。
【0007】
前述のことから、現在、道路トンネル耐火基準の策定作業が精力的に進められている。従来、シールドトンネルに施工された鉄筋コンクリート、鉄又は鉄及びコンクリートの合成体からなる一次覆工体の内側に用いる耐火パネルであるトンネル内被覆用耐火パネルはPromat社が実施している。その構成は一次覆工体の内側に断熱材を覆う構成である。その断熱材はセメント珪酸カルシウム質の耐火ボード材質である。
【0008】
また、特許2958285号公報には組成が限定された断熱性耐火物の記載がある。本公報にはトンネルに被覆することを目的にした記述があり、その構成は一次覆工体の内側に断熱材を覆う構成体の断熱耐火物の組成である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の道路用トンネルでは、トンネル内壁面に覆工コンクリート(一次覆工体)が露出しており、トンネル内火災が発生した場合、覆工コンクリートの曝裂によりトンネルが崩壊したり、覆工コンクリートが熱で劣化し、長期間掛けてその修復作業が必要となり、それによる経済的、社会的損失が大きくなる。一方、従来技術の一次覆工体の内側に用いる耐火パネルである断熱材は、無機材料系の耐火断熱材であるが、その材料の断熱機能に問題があるわけではない。
【0010】
しかし、覆工コンクリート内面の曲率と耐火パネル背面の曲率の不整合(誤差)、あるいは覆工コンクリート内面の凹凸により、パネル背面に隙間が生じやすい。そのため、断熱性能を損なう。更に、耐火パネル間の目地部の密着性(閉塞性)を完全にすることが困難なので熱流が目地部の隙間からパネル背面の隙間へ入りやすい。また、道路トンネルの耐火パネルはトンネルの天井部を中心に設置され、トンネルは数十年に亘り使用されるため、供用時の落下不安がないことが重要な要素である。従来の無機材料系の耐火断熱材が耐火パネルとして使用される場合、例えば、ボルトにより固定された耐火パネルが長期間天井部にあると、耐火パネルが無機材料であるが故に、固定部分の箇所からクラックが成長することを否定できず落下不安が残っていた。
【0011】
また、運搬時及び施工時に作用する衝撃力により割れ易かったり、覆工コンクリートの内面形状と耐火パネル背面との不整合のためにボルト締め付け時に割れ易いという欠点を有し、上記の供用時安全性を低下させる傾向があった。
【0012】
また、一次覆工体の内側に従来の無機材料系の耐火断熱材が耐火パネルとして使用される場合、トンネルの美観保持のための清掃作業上の機能として不足があった。水噴霧による清掃を行うと、耐火パネルが多孔体であるが故に汚れがその表面に付着し易かった。
【0013】
また、耐火パネルの金属板は、薄鋼板を使用しながらなお、できるだけ厚みを有していることが好ましいこと、さらに、長さと幅が所定寸法の大きさに製作された耐火パネルをトンネル周方向とトンネル軸方向に継ぎ足して一次覆工体に固定する際、前述のとおり目地の開き部から熱気を伝達しやすいので、この目地の開きをなくしたうえで、各耐火パネルを容易、確実に一次覆工体に固定できる覆工構造につき新工夫が望まれていた。
【0014】
本発明は前記の欠点を解決するもので、トンネル内火災が発生した場合でも、その高温の熱が覆工コンクリートに直に伝わらず、したがって、覆工コンクリートが曝裂しないと共に、覆工コンクリートが劣化しないので、その復旧作業をしなくて済み、さらに、耐火パネル同士の目地の開きがなく、かつ確実に耐火パネルを一次覆工体内面に固定できるようにしたトンネル内壁の耐火被覆構造を提供することを目的とする。
【0015】
【問題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は次のように構成する。
【0016】
請求項1に記載の発明は、シールドトンネル、沈埋トンネル又は開削トンネルの何れかのトンネルに施工された鉄筋コンクリート、鉄又は鉄及びコンクリートの合成体からなる一次覆工体の内側に用いるトンネル内耐火被覆構造であって、トンネル内空側表面が金属板で覆われた断熱材よりなる耐火パネルと、トンネル周方向に伸長しており、トンネル軸方向に隣り合う耐火パネル同士を結合すると共に、固定具を介して前記耐火パネルを一次覆工体に固定する支持具よりなり、前記金属板はトンネル周方向に波形状を有していることを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記支持具が、所定長、所定幅の平板または、長手方向に沿って中央部に突条を有する所定長、所定幅の平板からなることを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記支持具が、前記固定具に対し移動できる大きさの固定具挿入用開口部を有することを特徴とする。
【0019】
請求項4の記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明において、前記固定具がボルトであり、一次覆工体に埋め込まれた雌ネジと前記支持具が前記ボルトで固定されていることを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1記載の発明において、一次覆工体と前記支持具との間に前記断熱材の厚さを規定する間隔保持具を介在させたうえ、前記支持具が一次覆工体に固定されていることを特徴とする。
【0021】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、間隔保持具が筒体からなり、前記雌ネジと前記支持具との間において、ボルトに嵌合されていることを特徴とする。
【0022】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項記載の前記支持具が、トンネル軸方向に隣接する耐火パネル間で、トンネル周方向に延長する目地部に可縮性を有する目地部断熱材を介して配置されていることを特徴とする。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の発明において、トンネル軸方向に隣接する耐火パネルの金属板同士が重なり合うように配置されていることを特徴とする。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8の何れか1項に記載の発明において、トンネル周方向に隣接する金属板同士の合わせ部位と断熱材の目地がずれていることを特徴とする。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9の何れか1項に記載の発明において、断熱材が2層構造からなり、金属板に面する第1層の断熱材の目地と、金属板同士の合わせ部位がずれていると共に、一次覆工体に面する第2層の断熱材の目地と前記第1層の断熱材の目地がずれていることを特徴とする。
【0026】
請求項11記載の発明は、請求項1〜10の何れか1項に記載の発明において、前記耐火パネルを形成する断熱材が可縮性を有することを特徴とする。
【0027】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11の何れか1項に記載の発明において、トンネル周方向に隣接するパネル間の断熱材の目地、トンネル軸方向に隣接する断熱材の目地、トンネル周方向で隣接する第1層の断熱材の目地及び第2層の断熱材の目地のうち、何れか1つ又は2つ以上の目地について、隣接する断熱材が互いに圧縮されて目地を構成することを特徴とする。
【0028】
【作用】
本発明によると、シールドトンネル、沈埋トンネル又は開削トンネルの何れかの方法で構築されたトンネルにおいて、これに施工された鉄筋コンクリート、鉄又は鉄及びコンクリートの合成体からなる一次覆工体の内側に、トンネル内空側表面が金属板で覆われた断熱材からなる耐火パネルを設置したことにより、トンネル内で火災事故が発生したとき、火災によるトンネル内の高温の熱は前記耐火パネルで遮断されて一次覆工体のコンクリートに伝達されることが可及的に少ないので、当該コンクリートが熱衝撃から保護されて曝裂は勿論のこと、熱劣化を防止でき、特に、断熱材のトンネル内空側表面が金属板で覆われていることによる熱遮断作用が顕著であり、その結果、トンネル崩壊の防止は勿論のこと、火災後の一次覆工体の修復工事が不要となる。
【0029】
特に、本発明の耐火パネルをトンネル内に施工することにより、断熱材のトンネル内空側を被覆する波形状を有する金属板により当該断熱材を保護し、さらに、トンネル周方向に隣り合う耐火パネル同士を、その目地部を塞いで接合する支持具および、支持具を一次覆工体に固定する固定具を介して、耐火パネルを一次覆工体側に確実に固定でき、かつ供用時の断熱材の落下不安がない。さらに、耐火パネルは運搬時及び施工時に衝撃力が加わっても割れにくく、また、トンネルの美観保持のための水噴霧による清掃作業を行っても、耐火パネルの表面に汚れが付着するという問題も解消できる。
【0030】
さらに、本発明の支持構造によると、断熱材同士の目地と、金属板同士の合わせ部がずれて形成されているので、これらの各部位を介して熱流が耐火パネル背面の隙間に回り込む原因を解消できる。
【0031】
また、耐火パネルは請求項2〜12の各項に記載の断熱材、金属板、支持具、固定具等の各部材相互の取り合い構成により、熱遮断性、施工性、製作コスト、供用時の安全性、防汚性、景観性などの面で一層優れた作用を奏する。
【0032】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施態様を図を参照して詳細に説明する。
【0033】
図1、図2は、シールドトンネルによって構築された既設道路トンネル(以下既設トンネルという)に本発明を実施する場合の概要を示し、図1は、コンクリート覆工内面の耐火被覆構造の正面図、図2は側面図である。図15は、沈埋トンネルによって構築された既設道路トンネル(以下既設トンネルという)の覆工内面の耐火被覆構造を示す概要正面図である。
【0034】
各図を説明すると、図1、図2の既設トンネル2は、地山1の内面に、鉄筋コンクリートパネル、鉄及びコンクリートの合成パネルなどからなる一次覆工体3を環状に構築してトンネル内壁が構築されている。既設トンネル2内には床スラブ4が打設されており、床スラブ4の上面が自動車走行用の道路床5で、この道路床5は通常2車線以上、複数車線に構成されており、また、建築限界19が存在している。
【0035】
図1、図2のシールドトンネルで構築された既設トンネル2にあっては、耐火補修前は、コンクリートパネルの一次覆工体3がトンネル内壁面に露呈している。図15の箱形断面のコンクリートブロックからなる沈埋既設トンネル2aにおいても、中間仕切り壁9で左右のトンネル空間9aが区画され、コンクリート等の一次覆工体3aがトンネル内壁面に露呈している。
【0036】
本発明では、道路用トンネルに供される前記既設トンネル2、2aにおいて、コンクリートのトンネル内空側表面に耐火パネル6を配設するもので、この耐火パネル6の構成と、耐火パネル6を一次覆工体3に固定する支持具11とその固定具(固定ボルト12)の構成に発明の主要素がある。
【0037】
図1、図2の既設トンネル2において、耐火パネル6は、一次覆工体3に固着した状態では、図のようにパネル形状(湾曲した形状)に構成されているが、耐火パネル6を施工する際、耐火パネル6の目地部7と一次覆工体3の目地部7aは一致していなくてもよく、地山1側からの押圧力や止水の面からは、目地部7、7aがずれている方がむしろ好ましい。図では、耐火パネル6と一次覆工体3の目地部7、7aをずらして配置した例が示されている。図15の沈埋既設トンネル2aでは、鉄筋コンクリートの一次覆工体3aが型枠で一体成型されるので、パネル形状(各辺がフラットな矩形状)に構成される耐火パネル6の目地部7の位置は特に問題とならない。
【0038】
図1、図2、図15に概要的に示すように、本発明に係る耐火パネル6は、既設トンネル2、2aの一次覆工体3、3aの内面に隙間無く敷き詰め固着されて、トンネル内空側に断熱層を形成する。この断熱層は、トンネル内火災が発生した時、高温の熱から一次覆工体3、3aのコンクリートを守るものであるから、断熱機能を具備することは当然として、耐火パネル6自体が火災によって燃焼しない構造であることが要求される。更に、図1で示したように、トンネル内面には建築限界19があるので耐火パネル6自体の厚さに制限がある。したがって、耐火パネルは可及的薄くて、かつ断熱性、耐火性に富み、さらに軽量であることが望ましい。本発明に係る耐火パネル6は、前記の観点から前述の諸条件を可及的に満たすように構成されている。
【0039】
図3以下は、トンネル内耐火被覆構造を構成する3要素である、耐火パネル6と、トンネル軸方向に隣合う耐火パネル6同士を結合する支持具11と、支持具11を一次覆工体3に固定する固定具(図では固定ボルト12の具体例を示す)の詳細を示す。なお、耐火パネル6は、シールドトンネルの一次覆工体に施工される例として円弧状に形成されたものを示す。
【0040】
前記の耐火パネル6とは、トンネル内空側がトンネル周方向に波形状13(または角波状の場合もある)を有する金属板10で被覆された断熱材8で構成されて一体化した状態(図3等に示す)をいう。この場合、耐火パネル6を構成する断熱材8と金属板10の大きさは必ずしも同じ大きさとは限らず、それぞれ所定の大きさに設けられた複数の断熱材8が目地を介して接合され、同じく、複数の金属板10が合わせ部で接合されて、これらの断熱材8と金属板10が積層一体化状態を耐火パネル6という。このように、耐火パネル6を構成する断熱材8の大きさ(たて、よこの長さ寸法)と、金属板10の大きさ(たて、よこの長さ寸法)は特に制限されないが、製作、施工、運搬等の面からトンネル周方向と、トンネル軸方向に適切な寸法に製作される。また、この場合、断熱材8と金属板10の大きさは必ずしも同じ大きさとは限らず、したがって、1単位の耐火パネル6を構成する断熱材8と金属板10の数は同じとは限らない。
【0041】
耐火パネル6の断熱材8は、耐火被覆材として断熱性を得るために多孔質であり、その気孔は主に連続体である。具体例としては、セラミックファイバーおよび、グラスファイバーの1種又は2種以上から構成することができる。また、断熱材8は主に可縮性が有る材料を用いるが、単層構造または多層構造の何れでもよい。断熱材8を2層構造とするときは、金属板10側の第1層を可縮性が無い材料とし、一次覆工体3側の第2層を可縮性が有る材料として、両材料を組み合わせて用いてもよく、さらに、第2層は、第1層よりも耐熱温度が低い断熱材で構成してもよい。(これらの詳細は、後述する)
【0042】
また、耐火パネル6の金属板10がトンネル周方向に波形状13を有する点は、本発明の特徴の1つであるが、波形状13は曲面でも平面でもよく、加工上は平面が有利である。さらに説明すると、図3以下には、トンネル周方向に凹凸部が交互に連続する波形状に成形された金属板10の例が示されている。金属板10をこのように波形状とすることにより、フラットな金属板に比べて、金属板自体の曲げ強度向上と、それに伴い金属板の板厚の薄肉化による軽量化があり、さらに、波形溝部への断熱材8の嵌入により、金属板10による断熱材8の支持機能の向上がある。
【0043】
本発明の耐火パネル6において、断熱材8の内側表面を金属板10で覆うのは次の理由による。火災時の火災・高温ガスが直接耐火性の断熱材8に触れることはその多孔体の内部に高温の火災・高温ガスが浸入し、断熱材背面の温度を上昇させる。トンネル内空側の金属板10の背面に断熱材8を配置させることで、当該断熱材8の温度の上昇を抑制できる。
【0044】
トンネル内火災時の温度は、最大1200℃〜1350℃と予測されており、その温度で溶けることなく被覆の用に適用するものとして金属板10は、ステンレス(SUS)薄板、炭素鋼板などの金属板が使用できる。
【0045】
金属板10は、トンネル内空側に位置しており、トンネル内火災時の高温の熱を直接受けるため、その際、熱をトンネル内の熱源に向けて直接反射させないで乱反射、散乱させるよう、当該金属板10の表面をダル・粗面加工して構成するのがよい。乱反射加工の他の例としては、ステンレス板、炭素鋼の表面を多孔メッキ等の処理をしてもよい。
【0046】
図5以下を参照して、本発明の施工工程および、各部の構成をあわせて具体的に説明する。なお、図5(A)、図6(A)、図7(A)は、断熱材8と金属板10と、トンネル内面をフラットな状態で図示しているが、これは説明を容易にするため各部を展開して示すもので、何れも、図5(C)、図6(D)、図7(B)に示すように所定の曲率を以って図示するのが、現実の配置態様である。
【0047】
本発明の耐火パネル6は、トンネル内において耐火性および可縮性を有した断熱材8と金属板10を組み立てて構築するのであるが、この断熱材8と金属板10はそれぞれ所定の大きさに製作されており、これらをトンネル内で目地および合わせ部を介して、トンネル軸方向と周方向に継ぎ足して当該耐火パネル6を構成するものであるから、その構築作業を確実かつ迅速に行うには、施工工程および断熱材8と金属板10の一次覆工体3への固定手段を工夫することが必要である。
【0048】
以下これを順に説明する。
【0049】
図5(A)は、施工工程の第1ステップとして、耐火パネル6の構成部材である、所定の大きさに製作された複数の断熱材8と金属板10を、所定の配置で仮設治具14上に仮保持する途中の状態として、複数の断熱材8と金属板10が分離した状態を示し、図6は、その仮保持作業が終了した状態を示す。この図6の状態で、ひもその他の簡易な固定手段(図示省略する)を用いて、当該断熱材8と金属板10が図のように一体に組まれた状態を仮保持する。この作業は通常トンネル内で行われる。そして、断熱材8と金属板10は、図5(C)、図6(D)に示すように、トンネル内面の曲率に合わせて所定の曲率を有して配設される。
【0050】
さらに説明すると、前記の適切な大きさに設けられた断熱材8は、所定の厚みを有する一層構造でもよいが、厚み方向に分割された2層構造としてもよい。各図に示す断熱材8は、金属板10に面する第1層の断熱材8aと、一次覆工体3に面する第2層の断熱材8bと2層構造からなる例を示す。この場合は、金属板10に面する第1層の断熱材の目地15aと、金属板同士の合わせ部位16とがずれていると共に、一次覆工体3に面する第2層の断熱材8の目地15bと前記第1層の断熱材8の目地15bがずれているように構成するのが、継ぎ目を介して面状に連続する両部材の内外方向のずれを防止し、一体性を向上する点からは勿論、特に、トンネル内火災時における熱気が目地の隙間から一次覆工体3側へ伝達するのを確実に阻止する点で好ましい。
【0051】
また、各層の断熱材8a、8bの大きさは必ずしも同一の大きさでなくてよく、また、それぞれ隣合う第1層の断熱材8a同士、第2層の断熱材8b同士の目地15a、15bは隙間なく圧接した状態とし又は、少し重なりあった状態としてもよい。何れの場合も、断熱材8は可縮性を有しているので、金属板10により一次覆工体3側に押されることで、図6に示すように、断熱材8の目地部は密圧一体化されて隙間が生じず、かつ、第1層と第2層の断熱材8a、8b間にも隙間が生じない。
【0052】
金属板10は、図3、図6等に示すように、トンネル周方向に波形状13が連続するように成形されていると共に、金属板単体では、たて、よこの寸法が適切な大きさに設けられていて、この金属板10を図5に示すように、トンネル周方向に端部の凸部と凹部を重ね合わせながら、合わせ部位16を介して継ぎ足していく。この場合、金属板10同士の合わせ部位16は、第1層と第2層の断熱材8a、8bの目地15a、15bとずれて配置されるように設けられている。その目地15a、15bと合わせ部位16のずれを容易に実現するため、図示例では、図5(B)に示すように、金属板10よりも断熱材8の寸法を大きく設け、金属板10の前後左右の端縁から断熱材8を出張らしてあり、これにより、金属板10のトンネル周方向の合わせ部位16と断熱材8の目地15aは必ずずれて形成されるようになっている。
【0053】
前記断熱材8は、前述したとおり、耐火被覆材として断熱性を得るために多孔質であり、その気孔は主に連続体である。具体例としては、セラミックファイバーおよび、グラスファイバーの1種又は2種以上から構成することができる。また、断熱材8は可縮性の有る材料を用いるが、図示例のように、断熱材8を2層構造とするときは、金属板10側の第1層の断熱材8aを可縮性が少ない材料とし、一次覆工体3側の第2層の断熱材8bを可縮性が有る材料として、両材料を組み合わせて用いてもよい。さらに、第2層の断熱材8bは、第1層の断熱材8aよりも耐熱温度が低い断熱材で構成してもよい。
【0054】
断熱材8に可縮性(クッション性)のある材料を用いる第1の理由は、覆工コンクリート内面形状と耐火パネル背面形状の不整合、あるいは覆工コンクリート内面の凹凸によるパネル背面の隙間に対し、ボルト締め付けにより断熱材を覆工コンクリート内面に密着させることであるが、第2の理由として次のことが挙げられる。火災時の加熱中に表層の鋼板などが膨張した場合、あるいは供用時の鋼板の撓みが生じた場合に、断熱材にクッション性がないと、表層鋼板である金属板10と断熱材8であるファイバーとの間に目地開きが生じ、火災時に火災の熱風が浸入して予定した断熱状況が確保できないことである。
【0055】
断熱材8の可縮性(クッション性)とは、前述のように火災時の加熱中に表層の鋼板などが膨張した場合、あるいは供用時の鋼板の撓みが生じた場合に、それに追随して膨らむことであり、隙間を生じさせない性状であって、火災時にも予定した断熱状況が確保できることである。
【0056】
図7に戻って、本発明の施工工程の説明を続ける。図6の第1ステップにおいて、断熱材8と金属板10を仮設治具14に仮保持した後、図7、図8の第2ステップ、図9〜図11の第3ステップ、図12の第4ステップを経て耐火パネル6の一次覆工体3への組立てを進める。
【0057】
なお、既述のように、図7(A)、図8(A)、図9(A)、図10(A)は、トンネル内面3bと断熱材8と金属板10等をフラットな状態で図示しているが、これは説明を容易にするため各部を展開して示すもので、何れも、図7(B)、図8(D)、図9(C)、図10(B)に示すように所定の曲率を以って図示するのが、現実の配置態様である。
【0058】
図7の第2ステップにおいて、仮設治具14によりフラットな断熱材8と金属板10を一次覆工体3の内面に配置する前に、一次覆工体3の内面には予め複数本の固定ボルト12を固定しておく。固定ボルト12は後述の支持具11を固定するためのものである。固定ボルト12の固定手段は任意でよいが、実施形態では図13に示すように、一次覆工体3の内面にアンカーナット17をインサートしておき、このアンカーナット17に固定ボルト12を螺合しておく。(固定ボルト12による詳細な支持構造は後述する)
【0059】
図7のようにして、仮設治具14により断熱材8と金属板10を一次覆工体3の内面3bに圧接配置したとき、各部材は図8の第2ステップの最終配置態様になる。このとき、固定ボルト12は、図8(B)、(C)に示すように断熱材8のトンネル周方向両側縁に沿って位置しており、かつ、トンネル周方向に所定の間隔をあけて複数配置されている。
【0060】
次に、図9〜図11に示す第3ステップにおいて、前記固定ボルト12と、トンネル周方向に長い帯状の目地部断熱材18と、同じくトンネル周方向に長い支持具11とナット20等を用いて、トンネル周方向とトンネル軸方向に耐火パネル6を継ぎ足し固定するための作業をする。なお、仮設治具14は図10の第3ステップの初期作業が終わった時点で取り除く。
【0061】
前記の第3ステップを図9〜図11および、図13、図14を参照してさらに説明する。
【0062】
まず、図9〜図11に示すように、トンネル周方向に長い帯状の目地部断熱材18を断熱材8の両側縁に当てがい、固定ボルト12と同じ間隔で開設したボルト挿通孔21(図13に示す)を当該固定ボルト12に嵌合する。この目地部断熱材18は、トンネル軸方向に隣り合う断熱材8の両側縁を同時に押圧できる幅を有しており、かつ可縮性を有していて、断熱材8の両側縁に密に圧接できる。
【0063】
帯状の目地部断熱材18の上に、本発明の主要素の1つである支持具11を当てがう。支持具11は鋼板製であって、所定幅を有し、かつトンネル周方向に長い帯状である。実施形態に示す支持具11は、中央部が長手方向に沿って山形に盛り上っていて、その山部11aには、所定間隔でボルト用長孔22が開設されていて、山部11aを目地部断熱材18に当てがい、かつ山部11aのボルト用長孔22を固定ボルト12に嵌合したうえ、山部11aの内側に突出する固定ボルト12にナット20を螺合する。
【0064】
このとき、支持具11の山部11aと両側部11bとの段差は、トンネル周方向に波形が連続した金属板10の厚み幅(波の凹凸部の高さ)と略同じ寸法に設けてあるので、図9〜図12に示すように、ナット20を固定ボルト12に締めたとき、支持具11の両側部11bで、断熱材8のトンネル内空側に配した金属板10の隣り合う両側縁を同時に押えて固定できるように設けてある。
【0065】
支持具11は、平板でもよいが前述のように、山部11a(突条)を有する方が軽量・強度状有利であり、また、この山部11aは幅方向に円周に沿った曲面であるか、幅狭の場合は曲面加工でなくてもよい。R5mでは、施工上から前記の曲面加工長さは約3mまでが好ましい。理由は、ボルトが内側に傾斜している(トンネルの中心方向を向いている)ので、支持具11を金属板10に取付ける際、トンネルの中心から半径方向に支持具11を移動させて支持具11を金属板10に取付ける際、支持具11のボルト用長孔22を、円の中心から半径方向に見て、固定ボルト12の先端と基端の位置ずれの長さ分だけ、支持具11のボルト用長孔22の長さを確保する必要があり、このため、ボルト用長孔22大きさが非常に大きくなり、支持具11の強度が低下するためである。
【0066】
図13によって固定ボルト12とナット20による固定構造を詳しく説明すると、一次覆工体3にインサートしたアンカーナット17に螺合の固定ボルト12には、パイプ状の間隔保持具(スペーサー)23が嵌合してあって、ロックワッシャー24により固定ボルト12から脱出しないように設けられている。間隔保持具23は、可縮性を有する断熱材8に本来の厚みを保持させるために設けられるもので、断熱材8の厚みと間隔保持具23の長さはほぼ同じに設けられている。
【0067】
次に、ロックワッシャー24の上に目地部断熱材18を配置し、さらにその上に支持具11の山部11aを当てがい、さらに山部11aの内側に支持具11と相似の断面形状の座金25を配置し、その内側にワッシャー26を当てがったうえ、前述のナット20を締結し、さらにその上からナット20のゆるみ止めとしてロックワッシャー27を設ける。こうしてナット20を締結することにより、支持具11の両側部11bで断熱材8の両側縁をトンネル軸方向に沿って押え、かつこの支持具11と固定ナット20を介して、断熱材8と金属板10等の耐火パネル6を一次覆工体3に確実に固定できる。この場合、間隔保持具23により可縮性を有する断熱材8の変形量を一定とすることができ、以って断熱性と施工性の均一を容易に確保できる。また、前記の作業に際し、一次覆工体3に埋め込まれたアンカーナット17に螺合さている固定ボルト12と支持具11とにより、耐火パネル6間の耐火材目地が開孔していないことを確認しながら作業できる。
【0068】
図14には、支持具11に設けるボルト用長孔22の配置態様が示されている。このようにボルト用長孔22を介して固定ボルト12を嵌合すると、火災時に支持具11が膨張する際に、固定ボルト12に対し、ボルト用長孔22の開口部が移動できるので、支持具11が曲がり変形して、断熱材8の側縁を押え固定できなくなる不具合を無くすことができる。支持具11は、図14(B)に示すように長尺の両端に位置するボルト用長孔22は、中間を半分に切断した開孔形状に成形し、他方の支持具11の端部の同形状の半断開孔を接合することで、ボルト用長孔22が形成されるようにする。また、図14(C)に示すように、長孔の中間を半分に切断した形状の開孔22aを端部に有する短尺の支持具11cを固定ボルト12の位置に配置して目地部を閉鎖するように構成してもよい。
【0069】
図12は第4ステップとして、2つの耐火パネル6の断熱材8と金属板10を支持具11と目地部断熱材18と固定ナット20によりトンネル軸方向に密圧に接続して一次覆工体3の内面に固定した状態を示す。この耐火パネル6のトンネル周軸方向の接続作業に際しては、アンカーナット17を介して一次覆工体3に固定した固定ボルト12に支持具11を取付ける際、断熱材8のトンネル周方向間の目地が開口していないことを確認しながら作業できる。
【0070】
前記耐火パネル6のトンネル周方向への一次覆工体3への固定作業が、トンネル軸方向に渡り所定区間で終了したならば、次の区間において前述の作業を繰り返し、これの連続でトンネル内の所定長距離に渡り耐火被覆構造の構築が行われる。
【0071】
【実施例】
本発明および比較例に係るトンネル内耐火被覆構造をそれぞれ製作し、その作用効果を比較したので、以下説明する。
【0072】
本発明:
[金属板]
寸法は、952(トンネル周方向幅)×710(トンネル軸方向幅)、
板厚0.5mm、 重ね代38mm(前記952幅への重ね代)、
円周円弧13748=(15枚×914+38)(繰返し長で914となる)、15枚×2円弧=30枚、
金属板の波の高さ15mm、波ピッチ:76.16台形波、R加工なし、
材料は、SUS430、表面加工:防眩処理(ダル加工)。
【0073】
[支持具]
2742×71(5ケ/円弧)、板厚1.2mm、山部の高さ12mm、3円弧に施工した。
ボルト用の長孔の開口部10×20(長円)、これは、914を3分割してボルト用開口とする。914×3=2742(ボルト用開口部は、突条部にある)
材料は、SUS430。
【0074】
[断熱材]
基本材 760×1210
厚さ 18mm、ポリエチレン袋入り、2層断熱層タイプ、第1層、第2層の目地ずらす(軸方向端部は、適宜幅、異なる長さを準備した)。
目地部断熱材 50×1210(基本長)
厚さ 6mm ポリエチレン袋入り、(周方向端部は、適宜幅、異なる長さを準備した)
材質 新日化サーマルセラミックス製、ブランケット(グレード1400)
【0075】
[固定具(ボルト)]
直径6mm、長さ65mm全ねじの丸鋼を使用。間隔保持リングにより断熱材の厚さ30mmとした。
材料 SUS430
【0076】
[間隔保持リング]
長さ30mm、
材料 SUS430
【0077】
比較例:
[金属板]
寸法は、952(トンネル周方向幅)×750(トンネル軸方向幅)。
板厚0.5mm、 重ね代38mm(片側19mm)、15枚×2円弧=30枚、
金属板の波の高さ15mm、76、16ピッチの台形波、R加工なし、ボルト口、直径10mmの丸(施工時に開口)、ボルト口の場所:金属板コーナーから、150,57mm、4孔と150、(57+304)2孔、150、(57+228)2孔の計8孔をボルト口とした。突条の位置(一次覆工体に埋め込まれたボルトへ取付ける)。
材料は、SUS430、表面加工:防眩処理(ダル加工)。
【0078】
[支持具]
支持具は使用しない。その代わり、金属板の位置のボルト口で150,57mm位置で、ボルト固定。
セグメントのボルト埋設ピッチは(304、304、228、76mm)で繰返す。
【0079】
[断熱材]
基本材 760×924
厚さ 36mm、ポリエチレン袋入り、1層断熱(金属板上に両面テープで接着)。
材質 新日化サーマルセラミックス製、ブランケット(グレード1400)。
【0080】
[固定具(ボルト)]
直径6mm、一次覆工体表面から長さ55mm。目視見当で断熱材の厚さ30mmとした。
材料 SUS430
【0081】
[間隔保持リング]
使用せず
【0082】
耐火性評価実験は次のように行った。
▲1▼火災想定曲線は、図16のとおり。
▲2▼炉体:2000(幅)×3500(長さ)×750高さ、
▲3▼セグメント寸法:1500(幅)×(1000+1000)×250(厚さ)、
36mm鋼殻(H型、ウェブ厚さ19mm)、6mm鋼板、コンクリートを中詰め。
▲4▼セグメント間:止水材(旭電化工業(株)製)アデカウルトラシール、
▲5▼炉体:トンネル天井へセグメント/耐火被覆構造体を設置し、床スラブの端部にバーナー口を3口設置。耐火レンガにより3条の煙道を設け、火格子状態とした。周辺は断熱材を配置した。
プロパンガス 20Nm3/Hr(最大ガス量)、
空気 500Nm3/Hr(最大ガス量)、いずれも3口。
【0083】
効果:
[断熱材目地の施工性]
本発明:
断熱材の端部・目地が目視され、リング間の圧縮施工、第1層あるいは第2層で層内目地の圧縮施工が、確実に実施できる。また、間隔保持リングにより断熱材厚さが一定に保たれ、所定の断熱能が保持される。
【0084】
比較例:
金属板ボルト口が断熱材で塞がれ、ボルトが見えないため、計画どおりボルトが通過されないことが欠点である。さらに、断熱材目地部が金属板で覆われ、圧縮施工、目地の閉じた状態が確認できない。
【0085】
[美観]
本発明:
波形金属板の突条の強軸を支持具で押えるため、断熱材の反作用による金属板への力を押さえ込み変形が目立たないため、美観に優れる。
【0086】
比較例:
ボルトにより約304mm、あるいは約228mm間隔で保持したところ、ボルト保持部以外の部分が膨れ、撓みが見られ、美観に優れないことが分かった。なお、撓みを目立たないように、ボルト保持間隔を短くすることは、経済上優れない。
【0087】
[加工・美観・視線性]
本発明:
金属板をR加工せずに使用できるのでコスト上のメリットがあり、また、金属板間の目地処理ができた。さらに、突条がトンネル軸を向いており、運転上の視線を向ける機能に優れる。
【0088】
比較例:
金属板を保持するボルト間隔を短くしないと円周方向に金属板間の目地を綺麗に閉じられない。あるいは、板厚を厚くしてR加工しないと、当該目地を綺麗に閉じられないので、経済上優れない。また、前述のように目地が綺麗に閉じられないので、視線性は不十分である。
【0089】
[耐火性]
本発明:
金属板の各コーナーが肉厚の金属に支持されており、そのため、高温時の軟化変形が小さく、目地から熱気が侵入することがなく、耐火性能が発揮される。
【0090】
比較例:
ボルト保持部から金属板の角の部位が高温に晒されて軟化するため、熱気が侵入しやすくなり、耐火性能が十分に発揮されない。
【0091】
前記のとおり、実施例によって、比較例に比べて本発明のトンネル内耐火被覆構造の有効性が確認できた。
【0092】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるので次のような効果を有している。
【0093】
シールドトンネル、沈埋トンネル又は開削トンネルの何れかのトンネルに施工された鉄筋コンクリート、鉄又は鉄及びコンクリートの合成体からなる一次覆工体の内側に、トンネル内空側表面が金属板で覆われた断熱材からなる耐火パネルを設置したことにより、トンネル内で火災事故が発生したとき、火災によるトンネル内の高温の熱は前記耐火パネルで遮断されて一次覆工体のコンクリートに伝達されないので、当該コンクリートが熱から保護されて水分蒸発により熱劣化しない効果がある。
【0094】
特に、断熱材のトンネル内空側表面が金属板で覆われていることによる熱遮断作用が顕著であり、結果、火災後の一次覆工体の修復工事が不要となり、その修復工事に要する費用の削減、その間トンネル内の通行停止などによる経済的損失を解消できる効果がある。
【0095】
また、耐火パネルは請求項2以下の各項に記載の各断熱材の積層構造及び、各断熱材のそれぞれの組成、組み合せ等で、熱遮断性、施工性、製作コストなどの面で優れた効果を奏する。すなわち、断熱材を不定形耐火物、耐火ボード及びセラミックファイバーおよびグラスファイバーの1種又は2種以上を組み合わせて、且つこれらが可縮性を有し、又は可縮性を有しない材料で構成し、さらに、前記断熱材に、この断熱材と同種材料の第2の断熱材を積層し、または、この第2の断熱材を、前記の断熱材より耐熱温度の低い断熱材で構成し、さらに、前記金属板の形状を波形断面に構成にするなどにより、前記の相互作用で、熱遮断性、施工性、製作コストなどの面で一層の効果が期待できる。
【0096】
更に、一次覆工体の内側に用いる金属板を有する耐火パネルである断熱材を覆う構成は供用時の落下不安を解消せしめる。
【0097】
また、一次覆工体の内側に用いる金属板を有する耐火パネルである断熱材を覆う構成はトンネルの美観保持のための清掃作業上の機能として、水噴霧による清掃を行うと、汚れが容易に落とせる。
【0098】
さらに、本発明の支持構造によると、断熱材同士の目地と、金属板同士の合わせ部がずれて形成されているので、これらの各部位を介して熱流が耐火パネル背面の隙間に回り込む原因を解消できる。
【0099】
また、耐火パネルは請求項2〜12の各項に記載の断熱材、金属板、支持具、固定具等の各部材相互の取り合い構成により、熱遮断性、施工性、製作コスト、供用時の安全性、防汚性、景観性などの面で一層優れた作用を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】シールドトンネルによって構築された既設道路トンネルの、コンクリート覆工内面の耐火被覆構造の正面図である。
【図2】図(A)は、同図(B)のa−a拡大断面図、(B)は、図1と同じトンネルの正面図である。
【図3】図1の複数の耐火パネルを円弧状に組み立てた概要斜視図である。
【図4】図3の金属板の単体の斜視図である。
【図5】(A)は、耐火被覆構造の各部材を組み立てる施工工程の第1ステップの途中の状態をフラットに展開して示す側面説明図、(B)は、耐火パネルを構成する断熱材と金属板との大きさの関係を示す底面図、(C)は、図(A)の現実の配置形態として、トンネル内面の円弧に沿って配設する円弧配置態様を示す説明図である。
【図6】図(A)は、第1ステップの後半の状態をフラットに展開して示す側面説明図、(B)は、(A)の底面図、(C)は、(B)のb−b断面図、(D)は、図(A)の現実の配置形態として、トンネル内面の円弧に沿って配設する円弧配置態様を示す説明図である。
【図7】(A)は、第2ステップの途中の状態をフラットに展開して示す側面説明図、(B)は、図(A)の現実の配置形態として、トンネル内面の円弧に沿って配設する円弧配置態様を示す説明図である。
【図8】図(A)は、第2ステップの終了時の状態をフラットに展開して示す側面説明図、(B)は、(A)の底面図、(C)は、(B)のc−c断面図、(D)は、図(A)の現実の配置形態として、トンネル内面の円弧に沿って配設する円弧配置態様を示す説明図である。
【図9】図(A)は、第3ステップの途中の状態をフラットに展開して示す側面説明図、(B)は、(A)のd−d断面図、(C)は、図(A)の現実の配置形態として、トンネル内面の円弧に沿って配設する円弧配置態様を示す説明図である。
【図10】(A)は、第3ステップの最終時の状態をフラットに展開して示す側断面図、(B)は、図(A)の現実の配置形態として、トンネル内面の円弧に沿って配設する円弧配置態様を示す説明図である。
【図11】(A)は、図10(A)の底面図、(B)は、(A)のe−e断面図である。
【図12】(A)は第4ステップを示し、図10において、耐火パネルの2つの単体をトンネル周方向に接合した底面図、(B)は、(A)のf−f断面図である。
【図13】(A)は、固定ボルト、間隔保持具、支持具、ワッシャー、ナット等の部材を分離して示す説明図、(B)は組み立て後の断面図である。
【図14】(A)は、長尺の支持具の中間部の正面図、(B)は、中間部を一部省略して示す支持具の全長の正面図、(C)は、他例として短尺の支持具を示す正面図である。
【図15】図1と異なる他の施工例として沈埋トンネルによって構築された既設道路トンネルの、コンクリート覆工内面の耐火被覆構造の正面図である。
【図16】火災想定曲線をグラフで示す図である。
【符号の説明】
1 地山
2 既設道路トンネル
2a 既設道路トンネル
3 一次覆工体
3a 一次覆工体
3b 一次覆工体の内面
4 床スラブ
5 道路床
6 耐火パネル
7 目地部
7a 目地部
8 断熱材
8a 第1層断熱材
8b 第2層断熱材
9 中間仕切り壁
10 金属板
11 支持具
11a 山部
11b 両側部
12 固定具(固定ボルト)
13 波形状
14 仮設治具
15a 第1層の目地
15b 第2層の目地
16 合わせ部位
17 アンカーナット
18 目地部断熱材
20 ナット(緩み止めナット)
21 ボルト挿通孔
22 ボルト用長孔
23 間隔保持具
24 ロックワッシャー
25 座金
26 ワッシャー
27 ロックワッシャー

Claims (12)

  1. シールドトンネル、沈埋トンネル又は開削トンネルの何れかのトンネルに施工された鉄筋コンクリート、鉄又は鉄及びコンクリートの合成体からなる一次覆工体の内側に用いるトンネル内耐火被覆構造であって、トンネル内空側表面が金属板で覆われた断熱材よりなる耐火パネルと、トンネル周方向に伸長しており、トンネル軸方向に隣り合う耐火パネル同士を結合すると共に、固定具を介して前記耐火パネルを一次覆工体に固定する支持具からなり、前記金属板はトンネル周方向に波形状を有していることを特徴とするトンネル内耐火被覆構造。
  2. 前記支持具が、所定長、所定幅の平板または、長手方向に沿って中央部に突条を有する所定長、所定幅の平板からなることを特徴とする請求項1記載のトンネル内耐火被覆構造。
  3. 前記支持具が、前記固定具に対し移動できる大きさの固定具挿入用開口部を有することを特徴とする請求項1又は2記載のトンネル内耐火被覆構造。
  4. 前記固定具がボルトであり、一次覆工体に埋め込まれた雌ネジと前記支持具が前記ボルトで固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のトンネル内耐火被覆構造。
  5. 一次覆工体と前記支持具との間に前記断熱材の厚さを規定する間隔保持具を介在させたうえ、前記支持具が一次覆工体に固定されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のトンネル内耐火被覆構造。
  6. 前記間隔保持具は、筒体からなり請求項4記載の雌ネジと前記支持具との間において、前記ボルトに嵌合されていることを特徴とする請求項5記載のトンネル内耐火被覆構造。
  7. 前記支持具が、トンネル軸方向に隣接する耐火パネル間で、トンネル周方向に延長する目地部に可縮性を有する目地部断熱材を介して配置されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のトンネル内耐火被覆構造。
  8. トンネル周方向に隣接する耐火パネルの金属板同士が重なり合うように配置されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のトンネル内耐火被覆構造。
  9. トンネル周方向に隣接する耐火パネルの金属板同士の合わせ部位と断熱材の目地がずれていることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のトンネル内耐火被覆構造。
  10. 断熱材が2層構造からなり、金属板に面する第1層の断熱材の目地と、金属板同士の合わせ部位がずれていると共に、一次覆工体に面する第2層の断熱材の目地と前記第1層の断熱材の目地がずれていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のトンネル内耐火被覆構造。
  11. 耐火パネルを形成する前記断熱材が可縮性を有することを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のトンネル内耐火被覆構造。
  12. トンネル周方向に隣接するパネル間の断熱材の目地、トンネル軸方向に隣接する断熱材の目地、トンネル周方向で隣接する第1層の断熱材の目地及び第2層の断熱材の目地のうち、何れか1つ又は2つ以上の目地について、隣接する断熱材が互いに圧縮されて目地を構成することを特徴とる請求項1〜11の何れか1項に記載のトンネル内耐火被覆構造。
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