JP3797912B2 - 植物性原料トレー容器類およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物性原料をバインダーで結合した容器、特に穀物の殻類を主とする植物性原料から作られた食品用のトレー容器類、及びそれを製造する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に従来から弁当箱等の食品容器においては、使い捨てのものが多く普及し、その容器は発泡スチロール製や紙製のものが多く使われている。容器リサイクル法の施行を機に植物性原料を使用した容器類も使われるようになっている。しかし、発泡スチロール製の容器類は、環境ホルモン、スチレン問題等があり、食品衛生の安全面であるいは廃棄処分の上で問題がある。
【0003】
次にPSP容器は、脆弱で持ちづらく、また紙製の容器は、コーティング剤に蝋を使用した期間が長いこともあって、いずれも食品安全上安心できるものではなく、消費者の不安感を取り除くに至っていない。さらに、既に使用されている植物性原料の容器類は、脆弱で、価格が高く、しかもバンダーとして使用されているフェノール樹脂がホルムアルデヒドを含有し容器内の食品、容器の廃棄後に環境に放散するおそれがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、現在大量に生産使用されている発泡スチロール製の容器等は、使用後の処分の際、環境保全に有害なものとしてその扱いが問題になっている。即ちこれら発泡スチロール製の容器は、高温発生と有害な煙の発生が伴い焼却処分ができず、また、土に埋没させても半永久に形をとどめるので、土に戻すこともできない等の問題点がある。さらに、植物性原料を使用した容器は、強度的に問題がある上、コストの高い高価な容器となっている。
【0005】
本発明は、このような技術的背景に基づいてなされたものであり、次のような目的を達成する。
本発明の目的は、現在主流をなしている発泡スチロール製容器等や紙製容器の有する脆弱な欠点を解消し、強度を高めるようにした植物性原料トレー容器類とその製造技術の提供にある。
【0006】
本発明の他の目的は、食物に有害なホルムアルデヒドの放散を基準値以内に抑えるようにした植物性原料トレー容器とその製造技術の提供にある。
さらに、本発明の他の目的は、低価格の製造コストで供給可能な植物性原料トレー容器とその製造技術の提供にある。
【0007】
さらに、本発明の他の目的は、例えば電子レンジに対応し耐熱性を高めるようにした植物性原料トレー容器とその製造技術の提供にある。
さらに、本発明の他の目的は、使用後の容器を一般のごみと同等に廃棄処分ができ、土中に埋没させ処分が可能な植物性原料トレー容器とその製造技術の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の植物性原料トレー容器類は、粉砕微粉末化された植物性原料粉末体と、粉砕微粉末化されたバインダー粉末体と、ホルムアルデヒド放散防止の添加剤とを混合して加熱、加圧成形してなる植物性原料トレー容器類において、前記バインダー粉末体は、ユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂から選択される1種以上の熱硬化性樹脂を含み、前記添加剤はシェラックであることを特徴とする。シェラックは、成形された容器からホルムアルデヒドの放散を防止するのに効果的である。
【0009】
前記植物性原料トレー容器類は、前記植物性原料粉末体と前記バインダー粉末体、及び前記添加剤を計量混合し撹拌されて成形されたトレー容器類成形品をコーティングするコーティング材とからなると良い。
また、前記植物性原料は、植物性の素材、特に植物性繊維が良いが、好ましくは穀物の殻類であってもよい。穀物は大量に生産されるものなので、その殻類を有効に利用できる点で効果的である。
前記バインダー粉末体には、熱硬化性樹脂のみでは容器が硬くなるので、軟化剤としてエチレン酢酸ビニル共重合樹脂等の熱可塑性樹脂、及びカゼイン等を加えると良い。また、製造される容器の形状によりエチレン酢酸ビニル共重合樹脂の割合を増減する。しかしながら、熱硬化性樹脂を基本としているので、電子レンジ等の使用に際しても耐熱性に効果がある。
【0010】
さらに、前記バインダー粉末体には、軟化剤としてカゼインが含有されていてもよい。さらに、前記添加剤はシェラックであってもよい。天然の添加剤なので、容器に盛られる食品に対しては無害であり、成形された容器からホルムアルデヒドの放散を防止するのに効果的である。
【0011】
さらに、前記コーティング材は、セラミックス粉末と結合剤及び分散剤の混合された塗布剤、ポリ乳酸、及びコーンの澱粉であるコーンスターチで選択される1種以上であってもよい。容器の脆弱性の解消と破損時の破片飛散防止に効果的である。前記セラミックス粉末は、SiO2、Al2O3、TiO2,ZrO2等の成分であってもよい。これが水ガラス、塗料として使用されている類の合成樹脂等の結合剤と分散剤とが混合された塗布剤となる。
【0012】
本発明の植物性原料トレー容器類の製造方法は、植物性原料、及びバインダーを粉砕微粉末化する第1工程と、粉砕微粉末化した前記植物性原料と前記バインダーにホルムアルデヒド放散防止の添加剤を添加し計量し混合し撹拌する第2工程と、撹拌された前記植物性原料と前記バインダー、及び前記添加剤の混合体を成形機で加熱、加圧しトレー容器類成形品を成形する第3工程とからなる植物性原料トレー容器類の製造方法において、
前記第2工程の前記バインダーは、ユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂から選択される1種以上の熱硬化性樹脂を含み、前記添加剤はシェラックであることを特徴とする。
【0013】
また、前記第1工程は、前記植物性原料および前記バインダーを各々60〜100メッシュに微粉末化してもよい。成形に効果的な粉砕メッシュであり、この工程は、植物性原料およびバインダーを各々別の設備で粉砕するようにしてもよい。
【0014】
さらに、前記第2工程は、前記バインダー中の熱硬化性樹脂総量に対し重量比1.2%〜1.8%の前記シェラックを添加して撹拌されるようにしてもよい。
【0015】
さらに、前記第3工程の加熱温度は、130℃〜270℃であってもよい。
さらに、前記第3工程の加圧力は、4.4MPa±1.5MPa(45kg/cm2±15kg/cm2)であってもよい。
【0016】
さらに、前記第3工程で前記トレー容器類成形品の肉厚が、1mm±0.5mmになるように成形されてもよい。容器の強度が確保され扱い易く経済的な構成が可能である。
さらに、前記第2工程で混合される混合割合は、重量比で前記植物性原料が65%〜75%であり、前記バインダー、及び前記添加剤が25%〜35%であってもよい。
【0017】
さらに、複数種の前記バインダーを使用する場合、前記バインダーの微粉末、及び前記添加剤の混合割合は、重量比でユリアホルムアルデヒド樹脂が15%〜18%、エチレン酢酸ビニル共重合体が5%〜7%、カゼインが5%±1%であり、これに前記バインダー中の熱硬化性樹脂総量の重量比1.2%〜1.8%の前記シェラックを加えてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。図1は本発明による植物性原料トレー容器の製造方法を示す工程図で、図2及び図3はその構成を示した構成図である。ここで、トレー容器類とは弁当箱等の平型のものに加えカップ等底の深い容器も含むものとする。植物性原料は、稲、そば等の穀物類の殻類を対象としている。本発明においては、籾殻を例にとって説明する。
【0019】
籾殻1とバインダー3は第1工程イで、各々別に粉砕微粉末化される。籾殻1は粉砕機Aで微粉末化2される。バインダー3は粉砕機Bで微粉末化4される。籾殻1は、前述のように収穫後の稲を脱穀した穀物の籾を籾摺機にかけ、米と籾殻に分けられたものである。米を主食物としている日本の現状において、大量に排出される農産物の廃棄物でもある。バインダー3は、熱硬化性樹脂であり、ユリアホルムアルデヒド樹脂(尿素樹脂)、メラミン樹脂(MF)、フェノール樹脂(PF)、さらにエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、カゼイン等をいう。熱硬化性樹脂は、植物性繊維に対して接着効果があり、加熱しても変形し難い材料である。
【0020】
軟化剤の熱可塑性樹脂としてのエチレン酢酸ビニル共重合体は、接着効果があり、同様に軟化剤としてリンタンパク質の一種であるカゼインは接着効果がある上、仕上がり時の色彩(クリーム色)に特徴がある。籾殻1、バインダー3ともに粉砕機で60〜100メッシュに微粉末化される。粉砕微粉末化2,4された籾殻1とバインダー3は、第2工程ロで計量5され所定の割合にして混合6される。
【0021】
この混合6のときホルムアルデヒド防止用の添加剤として、シェラック7を混合された微粉末体に添加する。その添加の割合は、バインダー3総量に対して1.2%〜1.5%である。籾殻1とバインダー3の混入割合は、籾殻1が65%〜75%、バインダー3が25%〜35%である。また、複数のバインダー3を使用する場合、用途によりその割合は変わり、使用する量も異なってくる。
【0022】
例えば、丼やコップ等の底の深い容器類を製造する場合の微粉末の割合は、重量比で籾殻1が70%で、バインダー3は尿素樹脂が18%、エチレン重合体が7%、カゼインが5%の合わせて30%である。さらに、皿等の底の浅い容器類を製造する場合の微粉末の割合は、重量比で籾殻1が75%で、バインダー3は尿素樹脂が15%、エチレン酢酸ビニル共重合体が5%、カゼインが5%でバインダーの合計が合わせて25%である。いずれにもシェラック7をバインダー3の総重量比で1.2%〜1.5%の量を添加する。シェラック7が粉末状になっていれば、そのまま混入するが、粉末状になっていない場合は、籾殻1,バインダー3同様に微粉末化してから計量し混入する。
【0023】
混合された籾殻1とバインダー3、及びシェラック7は、第2工程ロで撹拌機により撹拌8され混合体9となる。この第2工程ロでは、成形されるトレー容器に応じて、各々の粉末体は、籾殻1の粉砕粉末体,バインダー3の粉砕粉末体の種類と量を調節しながら均等になるまで混合撹拌機19(図3参照)で撹拌8され混合体9になる。撹拌8された混合体9は、成形する第3工程ハに移動し成形機17の雌金型23に所定量を供給され成形10される。
【0024】
雄金型21と雌金型23に設けられた加熱装置22により130℃〜270℃の範囲で加熱11される。続いて雄金型21と雌金型23の相対移動で混合体9を4.4MPa±1.4MPa(45kg/cm2±15kg/cm2)の範囲で加圧12し成形される。成形されたトレー容器成形品13の肉厚は、1mm±0.5mmである。
【0025】
この成形の第3工程ハによってトレー容器16の形状に成形10されたトレー容器成形品13は、次にトレー容器成形品13の内側にコーティング加工するため、第4工程ニでコーティング14が施される。このコーティング14は自動スプレー方式により行われる。このコーティング14が施される面は直接食物が触れる内側の面である。コーティング14を施すことにより脆弱性の解消と破損時の破片が飛散を防止できる。
【0026】
コーティング材15は、セラミックス粉末と水ガラス等の結合剤、及びラッカーシンナー等の有機溶剤が混合された塗布剤、これは例えば商品名「ヒートレスグラス」(GS−600−1(常温ガラス)大橋化学工業株式会社製造、伊藤忠非鉄マテリアル株式会社販売)である。また、水ガラスは二酸化ケイ素とアルカリとを融解してえられたケイ酸アルカリ塩を濃厚水浴液としたものである。その他、ポリ乳酸、コンスターチ等であり、いずれかを使用する。このコーティング14が施されるとトレー容器成形品13はトレー容器16として完成しコンベア等で搬出され製品となる。このトレー容器16は、耐熱性に優れたものとなる。例えば、電子レンジに対応でき、耐熱温度範囲は−25℃〜+250℃以上である。また、前述の工程で示されるように、低コストで製造出来るので、発泡スチロール製容器等よりも安い価格のトレー容器として市場に供給することが可能である。
【0027】
この容器類は、1)販売ディスプレイ用トレー類、2)検尿カップ、3)食器(惣菜ディスプレイ用、販売用、電子レンジ対応トレー、電子レンジ対応丼、インスタント麺用カップ、丼、清涼飲料水販売用コップ、テークアウト用カップ類等)であるが、これに限定されるわけではない。
【0028】
図2,図3はトレー容器16の成形工程の構成を示した図で、図2は平面図、図3は側面図を示している。さらに詳述すると、成形機17を中央部に図の左側に粉砕機18、混合撹拌機19が隣接して設置されている。粉砕機18の上方には、籾殻1、バインダー3,シェラック7の各々の貯留タンク20a、20b、20cがあり所定の量の材料が蓄積されている。これらの材料等は各々の粉砕機18で微粉末化2,4され、下部に設けられた混合撹拌機19で計量し混合され撹拌8される。
【0029】
材料等はこの装置外の例えば倉庫の別の場所等で粉砕されたものを、ダスト形式でそれぞれのタンクに搬送させるようにしてもよい。撹拌された混合体9は、成形機17との間に設けられた供給手段24によって成形機17に所定量供給される。成形機17は、プレス成形を行うもので、混合体9は、この成形機17の雌金型23に供給される。この雌金型23は油圧シリンダー25で上下動自在に支持されている。
【0030】
この雌金型23の上方に、4つの支持体26で支持された金型保持具21aに保持された状態で雄金型21が設けられており、雌金型23との相対移動で、相互に接近し雌金型23に供給された混合体9をプレス成形する。2つの金型、雄金型21と雌金型23には、それぞれ加熱装置22が設けられていて、前述の温度範囲に設定されている。
【0031】
成形機17のトレー容器成形品搬出側にコーティング装置27が設けられていて、プレス成形されたトレー容器成形品13は、搬出手段28で取り出されコーティング装置に送られ、このコーティング装置27はスプレーを有し自動スプレーでトレー容器成形品13の内面をコーティングする。コーティングされたトレー容器成形品13はトレー容器16としてコンベア29で所定位置まで自動的に搬送され製品となる。また、このような構成の成形機17でトレー容器16はプレスされて製造されるが、本発明のトレー容器16は、食品用の弁当箱等に使用されるものである。従って、食品衛生法の安全基準はクリアされるものでなければならない。
【0032】
図4,図5,図6は具体的なトレー容器16の実施例を示すもので、図4は、弁当箱や惣菜入れ等の底の浅い容器30である。図5は、カップラーメン等の容器で、比較的底の深い容器31である。図6は、さらに底の深い容器32でポップコーン等の入れ物あるいはジュース等のカップ類である。いずれもトレー容器16の内側30a,31a,32aに食品が入るものである。
【0033】
また、安全面については、籾殻1は自然の植物であるので問題ないが、バインダー3については、トレー容器16の内側はコーティングされているとは言え、化学成分が食品の中に僅かでも溶け出すおそれがないとはいえない。特に尿素樹脂はホルムアルデヒドを含んでいると予見される。このため、籾殻1によるトレー容器16を食品に使用することは、トレー容器自体の脆弱さの他、食品の安全面で多くの制約があり、問題点も多く、一般に普及する状態になっていない。
【0034】
本発明はこのバインダー3にシェラック7を添加することで前述の問題点を解消した。次にこのシェラック7について詳述する。シェラック7は、南洋の植物に寄生するラック貝殻虫が樹液を吸った後分泌する樹脂状物質のことである。これは古くから知られている天然樹脂であって、シェラック7は天然樹脂として唯一の熱硬化性樹脂である。公知のメーカー資料(日本シェラック工業株式会社、SHELLAC&SPECIFICATION)によれば、植物性容器を製造する上で関係のある特徴、成分等は次のようになっている。
【0035】
1,特徴
アルコールに溶解し、熱にも容易に溶融するが、一度熱硬化すると熱にも溶剤にも浸されない。耐油性が著しく強い。電気的に不電導である。耐摩耗性がすぐれている。アルコールに溶解して塗布、溶剤が揮発した後には、常温で光沢にすぐれ、滑らかで耐摩耗性、密着性、耐久性に富んだ薄い皮膜を形成する。アルコール以外の有機溶剤にはほとんど不溶または膨潤するだけである。
【0036】
2,成分
シェラックの成分は、シェラック樹脂分約95%とシェラックワックス約5%からなっていて、シェラック樹脂は、オキシカルボンが化学的にラクトンとして互いに結合して生じた天然縮合生成物と考えられており、その化学組成は推定の域ではあるが、次の構造式が認容されている。
【0037】
【数1】
【0038】
他に2%以下のプトール酸、少量のパルミチン酸、ミリスチン酸その他が含まれていると考えられている。シェラックワックスは、Schaeferの研究発表によれば、温アルコール可溶のワックス(全ワックス中の85%)ラクシャジアセロール(C25H51OH)とラクシャジアセリン酸(C25H51OOH)のエステルで融点80〜81℃、温アルコール不溶ワックス(全ワックス中の15%)ラッケロール(C32H65OH)とラッケル酸(C31H63COH)のエステルで融点93〜94℃、他に少量の不鹸化蝋を含有しているといわれている。
【0039】
3,性質
比重: 1.02〜1.12、
比熱: 0.53(at0℃)、
軟化点: 70〜75℃、
電気的性質: 1)電気絶縁耐力 20〜50kv/mm、2)誘電率 2.7〜3.5、3)固有抵抗 10Ωcm(at22℃)、
熱硬化: 125℃で約3時間加熱するとアルコール不溶性となる、
溶解性: 1)溶解する溶剤:メチルアルコール・エチルアルコール・プロピールアルコール・ブチルアルコール等の1価のアルコール類、
2)不溶の溶剤:ベンゾール・キシロール等の芳香族炭化水素・石油系溶剤、
3)一部溶および膨潤する溶剤:酢酸メチル・酢酸エチル等のエステル類・エチレングリコール等の多価アルコール類、アセトン・MEK等のケトン類、
4)混合溶剤:アルコール類を主体としてエステルやケトン類、炭化水素類を混合した溶剤には溶解する、相溶性
5)樹脂:フェノール樹脂・ユリヤ樹脂・ロジン・マレイン酸樹脂・硝化綿酢酸ビニール樹脂・ポリビニールブチラール樹脂・ケトン樹脂、耐薬品性 シェラックの皮膜は酸には非常に強く、むしろ硬化を促進するくらいで浸されないが、アルカリには比較的弱く、温アルカリ水に溶解または膨潤する。
【0040】
4,シェラック製品の一例
表1は、粉体の例として使用されるもので精製白ラックである。表2は、製品に直接塗布してホルムアルデヒドを低減させるため等に使用するもので、水性シェラック溶液である。これら精製白ラックまたは水性シェラック溶液をエタノールまたは100%アルコールで溶解して使用する。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
これらの特徴から食品用容器成形の混合体への添加剤として効果的な使用が可能である。熱硬化は前述のとおり、125℃で約3時間加熱すると、アルコール不溶性となる。また、フェノール樹脂等に相溶性があり、耐薬品性もある。即ち、シェラックの皮膜は酸には非常に強く、硬化を促進する。このような性質を利用して成形されたトレー容器は、完全に熱硬化されている上、ホルムアルデヒドを封じた状態で放散を防止している。シェラックが天然樹脂であるが故の特徴を生かし食品衛生安全上の問題点を解消した。
【0044】
またホルムアルデヒドの放散を防止する他の添加剤として、ホルマリンシーラー(三精塗料工業社製天然樹脂塗料)がある。これは、成分が天然樹脂で、食品添加物として使用され安全面に実績のあるものである。生分解性があり環境を悪化させることはない。また、焼却により有害なガスを発生させることのない特徴を有している。建材等多方面に亘って使用実績のあるものである。特にホルムアルデヒド等の化学物質の遮断能力に優れているもので、混合体に添加剤として添加すると効果的である。
【0045】
この効果は住宅の合板に使用された例として、ホルムアルデヒド放散に関する規制値で、WHOの基準値0.08ppm以下をクリアしており、また、ホルマリンシーラーを塗装する前と後での比較で、その抑止率はメーカーの資料によれば96.1%のデータが提示されている。このホルマリンシーラーを使用しての抑止は、発生したホルムアルデヒドを活性炭などの吸着剤で吸着除去する方法あるいはホルムアルデヒド発生源に塗装等で被覆、遮蔽する方法による。
【0046】
本発明の添加剤にシェラック同様にこのホルマリンシーラーを使用すると、前述のように食品容器においても、ホルムアルデヒド放散に関する規制値を基準値以下に抑止する効果をあげることができる。またホルマリンキラーと称するものも前述同様の特徴を有し、トレー容器類の成形の添加剤として使用が可能である。
【0047】
このように本発明は、特にシェラックまたはホルマリンシーラーを抑止剤としてホルムアルデヒド防止に効果的に使用している。本発明で製造された容器を廃棄する場合は、基材として籾殻を使用しているので、家庭用の生ゴミと一緒に棄てることが可能である。また、この容器を焼却する温度は一般ごみと同じである。発泡スチロールのように高温になり、有害な煙、ガス等を発生するようなことはない。さらに、土中に埋没処理しても微生物分解するので、自然界に戻すことが可能で、廃棄後分解しない万年ごみになって生態環境を悪化させるようなことはない。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法は、シェラックを添加剤として使用することでホルムアルデヒド等の溶解、放散のおそれはなく食品安全基準をクリアしているので、この方法で成形されたトレー容器は安全な弁当箱等の食器として使用することができる。さらに、籾殻とバインダーを粉砕微粉末化して撹拌し成形するので、トレー容器は低コストで簡単に製造ができる。
【0049】
さらに、このトレー容器は脆弱性を克服し強度を有し、耐熱性も有し電子レンジに対応できる。さらに、廃棄処理は、一般ごみとして焼却処理も可能であり、土中に埋没処理させることもできるので、環境を悪化させることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の植物性原料トレー容器類の製造方法を示す工程図である。
【図2】図2は、植物性原料トレー容器類の製造装置の概略を示す平面図である。
【図3】図3は、植物性原料トレー容器類の製造装置の概略を示す側面図である。
【図4】図4は、植物性原料トレー容器類で弁当箱の底の浅い例を示した外観図である。
【図5】図5は、植物性原料トレー容器類でカップラーメンタイプの例を示した外観図である。
【図6】図6は、植物性原料トレー容器類で底の深いコップタイプの例を示した外観図である。
【符号の説明】
1…籾殻
3…バインダー
6…混合
7…シェラック
8…撹拌
9…混合体
10…成形
14…コーティング
16…トレー容器
Claims (15)
- 粉砕微粉末化された植物性原料粉末体、
粉砕微粉末化されたバインダー粉末体、及び
ホルムアルデヒド放散防止の添加剤
を計量混合し撹拌して加熱、加圧成形してなる植物性原料トレー容器類において、
前記バインダー粉末体は、ユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂から選択される1種以上の熱硬化性樹脂を含み、前記添加剤はシェラックである
ことを特徴とする植物性原料トレー容器類。 - 請求項1に記載の植物性原料トレー容器類において、
前記植物性原料粉末体と前記バインダー粉末体、及び前記添加剤を計量混合し撹拌されて成形されたトレー容器類成形品をコーティングするコーティング材とからなる
ことを特徴とする植物性原料トレー容器類。 - 請求項1又は2に記載の植物性原料トレー容器類において、
前記植物性原料粉末体は、穀物の殻類であることを特徴とする植物性原料トレー容器類。 - 請求項1、又は2記載の植物性原料トレー容器類において、
前記バインダー粉末体には、軟化剤として熱可塑性樹脂が含有されていることを特徴とする植物性原料トレー容器類。 - 請求項1、又は2記載の植物性原料トレー容器類において、
前記バインダー粉末体には、軟化剤としてカゼインが含有されていることを特徴とする植物性原料トレー容器類。 - 請求項2記載の植物性原料トレー容器類において、
前記コーティング材は、セラミックス粉末と結合剤及び分散剤の混合された塗布剤、ポリ乳酸、コーンスターチで選択される1種であることを特徴とする植物性原料トレー容器類。 - 植物性原料、及びバインダーを粉砕微粉末化する第1工程と、
粉砕微粉末化した前記植物性原料と前記バインダーにホルムアルデヒド放散防止の添加剤を添加し計量し混合し撹拌する第2工程と、
撹拌された前記植物性原料と前記バインダー、及び前記添加剤の混合体を成形機で加熱、加圧しトレー容器類成形品を成形する第3工程と
からなる植物性原料トレー容器類の製造方法において、
前記第2工程の前記バインダーは、ユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂から選択される1種以上の熱硬化性樹脂を含み、前記添加剤はシェラックである
ことを特徴とする植物性原料トレー容器類の製造方法。 - 請求項7に記載の植物性原料トレー容器類の製造方法において、
前記第3工程後に成形された前記トレー容器類成形品をコーティングする第4工程と
からなることを特徴とする植物性原料トレー容器類の製造方法。 - 請求項7又は8に記載の植物性原料トレー容器類の製造方法において、
前記第1工程は、前記植物性原料、及び前記バインダーを各々60〜100メッシュに微粉末化することを特徴とする植物性原料トレー容器類の製造方法。 - 請求項7又は8に記載の植物性原料トレー容器類の製造方法において、
前記第2工程は、前記バインダー中の前記熱硬化性樹脂総量の重量比1.2%〜1.8%の前記シェラックを添加して攪拌されることを特徴とする植物性原料トレー容器類の製造方法。 - 請求項7又は8に記載の植物性原料トレー容器類の製造方法において、
前記第3工程の加熱温度は、130℃〜270℃であることを特徴とする植物性原料トレー容器類の製造方法。 - 請求項7又は8に記載の植物性原料トレー容器類の製造方法において、
前記第3工程の加圧力は、4.4MPa±1.5Mpaであることを特徴とする植物性原料トレー容器類の製造方法。 - 請求項7又は8に記載に植物性原料トレー容器類の製造方法において、
前記第3工程で前記トレー容器類成形品の肉厚が、1mm±0.5mmになるように成形されることを特徴とする植物性原料トレー容器類の製造方法。 - 請求項7又は8に記載の植物性原料トレー容器類の製造方法において、
前記第2工程で混合される混合割合は、重量比で前記植物性原料が65%〜75%であり、前記バインダー、及び前記添加剤が25%〜35%であることを特徴とする植物性原料トレー容器類の製造方法。 - 請求項14に記載の植物性原料トレー容器類の製造方法において、
複数種の前記バインダーを使用する場合、前記バインダーの微粉末、及び前記添加剤の混合割合は、重量比でユリアホルムアルデヒド樹脂が15%〜18%、エチレン酢酸ビニル共重合体が5%〜7%、カゼインが5%±1%であり、前記バインダー中の熱硬化性樹脂総量の重量比1.2%〜1.8%の前記シェラックを加えることを特徴とする植物性原料トレー容器類の製造方法。
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