JP3797450B2 - ロボットの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットに動作状態がない状態において、それが内蔵するモータについて位置検出器が変化を検出できる最小の移動量で動作させ、この状態で位置検出器からの位置検出が変化していない時に、位置検出器が異常と判断してモータにブレーキをかけるロボットの位置検出器異常検出手段を備えるロボットの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一つの技術を、図3のブロック図を用いて説明する。この図3は、ロボットの内蔵するモータが駆動制御される回路の構成図である[これを以下、『従来例1』と呼ぶ]。
なお、全ての図面において、同一符号は同一もしくは相当部材を表すものとする。
ロボットには位置検出器として、モータ5に結合され、モータ5の回転に伴ってパルス列を出力するパルス発生器6[以下、『PG』と呼ぶ]が多く用いられている。
【0003】
ロボットの各軸のサーボ制御において、速度検出器8,位置検出器7は先のPG6より出力されるパルスをカウントすることにより行っている。
ここでは、位置指令器1からの位置指令とPG6からのフィードバックされるフィードバックパルスから、位置検出器7によって検出された位置フィードバックの差をとって位置偏差として、これを位置制御器2に入力して速度指令を出力する。
【0004】
次に、速度指令とPG6からフィードバックされるフィードバックパルスから、速度検出器8によって検出した速度フィードバックの差をとって速度偏差として、これを速度制御器3に入力してトルク指令を出力し、トルク指令を電流制御器4に入力して駆動電流をモータ5に通電する。
ここでは、簡単のために位置指令器1は1つのブロックとして説明されているが、実際には軌道計画部,マシンインターフェース等のシステムを構成している。
【0005】
PG6が故障した場合、通常は種々の異常検出が働くが、その故障モードによっては異常検出が働かず、フィードバックパルスがフィードバックされない場合がある。
フィードバックパルスがフィードバックされないと、制御ループが形成されず、オープンループの状態となる。制御する軸が重力負荷を受けている場合は自重落下する場合がある。
これに対してオープンループとなった状態のトルク指令,速度指令など諸量の特徴を検出して異常検出を行う方法が行われている。
【0006】
また、特開昭57−79513号公報[これを以下、『従来例2』と呼ぶ]がある。これは、「プロセスからの制御量信号を入力とし、この制御量信号に対し制御演算部で制御演算を実行し、上記制御演算部の出力信号に基づいて上記プロセスの操作器を作動するフィードバック制御計を備えたプロセス制御用調節計において、プロセス上悪影響を与えない程度の大きさの外乱信号を発生する発生器を設け、この外乱信号を上記制御演算部の出力に重畳するように構成したことを特徴とするプロセス制御用調節計」に関した発明である。
【0007】
さらにまた、従来例3として特公平7−27411号公報が見られる。それは、「駆動対象に対して複数のアクチュエータを対向配置し、これらの対向するアクチュエータを、制御手段からの指令により駆動される駆動器によって差動的に作動させる駆動装置において、前記制御手段からの制御信号とは異なる同振幅同相の信号を発生する手段と、この手段からの信号を前記制御手段からの制御信号に重畳させる手段と、前記駆動装置における応答信号を検出手段と、この検出手段の応答信号から前記重畳信号による応答成分を抽出する手段と、この抽出手段からの応答成分と予め設定した設定値との比較により異常動作を判断する手段とを備えたことを特徴とする駆動装置」である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来例1の技術では、位置指令の入力が行われない状態で、かつ、モータが完全停止し、位置偏差が「0」になっている状態で、フィードバックパルスがフィードバックされない状態が発生した場合には、トルク命令、速度指令などの諸量に変化が現れないために異常検出を行うことができない。このために、ロボットが待機中など停止中に、位置検出器に異常が発生してフィードバックパルスがフィードバックされないと異常検出が行われないまま、重力負荷を受ける軸は自重落下し、治具などと干渉する場合がある。
【0009】
そして、従来例2においてはプロセスの制御信号に、影響のない程度の、1ショットだけ外乱信号を重畳させて、その変化を調節計で検出させて調節計の可否を判断する手段であるから、これをロボットに適用することは難しい。
そしてまた、従来例3はゴム人工筋アクチュエータを用いた駆動装置でサーボ信号に重畳された疑似ランダム信号のいくつかの周波数成分を抽出し、それらのレベルを判断して異常を検出し、ディザ効果により差動的に作動する複数のアクチュエータの制御に使う手段であり、ロボットの位置検出の異常検出は構成の複雑性とコスト高から不適当である。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、従来例1での動作指令がない状態においても、モータを位置検出器が変化を検出できる最小の移動量で揺動動作させ、この状態で位置検出器から位置情報が変化していない時に、位置検出器が異常と判断しモータにブレーキをかけるようにした、位置検出器の異常検出手段に係るロボットの制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、請求項1の本発明は、位置指令器から出力する位置指令に従ってロボットの動作を行なうモータを駆動する手段を備え、前記位置指令器から前記位置指令が出力されない状態で前記モータが停止時に作動指定され、前記ロボットを駆動する前記モータに取付けられたパルス発生器より情報がフィードバックされない時に異常を検出する異常検出手段を備えたロボットの制御装置において、前記パルス発生器が前記モータの位置変化を検出できる程度の正転補正指令及び逆転補正指令を交互に出力し、揺動動作を前記モータに行なわせる手段と、前記モータを駆動するために発生するトルク指令値が既定値を越えているかどうかを判断する手段と、前記判断により前記トルク指令値が既定値を越えていると判断されかつ前記揺動動作を行なっても前記パルス発生器よりの前記情報が変化しないときに、異常として検出する手段と、を備えたことを特徴とするロボット制御装置である。
【0015】
このようにして、本発明の請求項1によれば、ロボットのモータ停止時に位置検出器の故障により、フィードバックパルスがフィードバックされない状態になっても、暴走や自重落下することがなく、機器の損傷・保安上の危惧が発生せず、ロボットの制御装置としての信頼性が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるロボットの制御装置の回路構成を示すブロック図である。
図2は、本発明の実施の形態の動作手順を表すフローチャートである。
図1において、位置指令器1からの位置指令に位置フィードバックを負帰還させて位置偏差を求め、位置制御器2を経て速度指令とし、さらにそれに速度フィードバックを負帰還させて速度偏差を導出し、速度制御器3・電流制御器4を経由してトルク指令・駆動電流となしてモータ5を駆動する。これまでは、図3の従来例1の技術と同じである。
【0017】
ところが本発明では、図1に示すように位置偏差を演算する前段において、揺動指令発生器9を追加具備されている。
位置指令器1が発生した位置指令は、揺動指令発生器9の入力端子91にも入力される。ここでは、図示していないロボット制御システムから、現在の状態が教示モードか否かの情報も揺動指令発生器9の入力端子92に入力される。
ロボットシステムが複数軸の構成の場合、他軸が動作しているかどうかの情報も、揺動指令発生器9の入力端子93に入力される。
さらに、PG6からのフィードバックパルスも揺動指令発生器9入力端子94に入力される。
【0018】
揺動指令発生器9の出力端子90からの揺動指令は、モータ5を正負方向に回転する位置補正量を、位置指令に加える処理がなされる。
モータ5には摩擦があり、微小の位置補正量を指令しても、モータ5が回転しない場合があることから、本実施の形態は位置補正量をモータ5が動作するまで発生するようにし、動作した後に逆方向の位置補正量を出力するようにして、往復運動を確実に行うようにしている。
【0019】
さらに、本実施の形態では揺動指令発生器9は位置指令へ位置補正量を加えるようにしているが、速度指令に速度補正量や、トルク指令にトルク補正量を加える方法でもよい。
さらにまた、揺動動作が大きい場合は揺動動作量を関数発生器等で発生させ、SIN関数で変化させてもよい。
【0020】
サーボ制御がソフトウェアで実施されている場合に、揺動指令発生器9もソフトウェアで作成され、図2のような実施フローで記述される。以下にこの説明をこなう。
揺動指令発生器9のソフトウェア処理は一定周期毎に起動される。一般的にサーボ制御がソフトウェアで実施されている場合に、サーボ制御処理は一定時間毎に起動、処理されるが、揺動指令発生器9のソフトウェア処理も同じ間隔で起動処理される。
【0021】
揺動指令発生器9のソフトウェア処理が起動されると、教示モードか否かの判断を行う(ステップ101)。
教示モード場合、無条件に揺動処理を行うために処理ブロックのステップ103にジャンプする。
自動モード場合(ステップ102)、自動運転中は1軸が停止していても、他軸が動作している場合があるので、停止しているかの判断は、他の軸の情報も合わせて判断し、ロボットシステムの全軸が停止している時に処理ブロックのステップ103に進む。全軸が停止していない場合は処理を終了する。
【0022】
処理ブロックのステップ103ではPG6からのフィードバックパルスが前回起動時と比べて変化しているかどうかの判断を行う。
変化していれば処理ブロックのステップ112での現在は+方向に補正しているか否かの判断を行い、現在は+方向に補正しているならば、処理ブロックのステップ113で−方向動作中フラグをオン、そうでなければ処理ブロックのステップ114で+方向動作中フラグをオンにする。
【0023】
その後、処理ブロックのステップ115でタイムカウンタをクリアした後に、処理ブロックのステップ116でT2 (ms)待った後に処理を終了する。ここで、T2 (ms)の待ち時間は予め任意の値に設定されており揺動の周期を決定する。
この揺動動作周期は短すぎると振動となって位置検出器に悪影響を与えるので適切な値を設定する。
【0024】
ステップ103において、揺動動作が変化していなければ処理ブロックのステップ104で、現在、補正量をどちらに加えているかを判断する。
+方向動作中フラグがオンしていれば、処理ブロックのステップ105で予め決められた量の+方向の位置補正量を位置指令に加え、−方向動作中フラグがオンしていれば処理ブロックのステップ106で予め決められた量の−方向の位置補正を位置指令に加える。
【0025】
その後、処理ブロックのステップ107で現在に発生トルクが既定値を越えていないかどうかの判断を行う。前記既定値は予め設定されている。発生トルクが既定値以上ならば、処理ブロックのステップ108でタイムカウンタをインクリメントする。
タイムカウンタは時間計測を行うカウンタで発生トルクが既定値以上になった時間を計測するためのもので、カウンタ値に本処理ブロックの起動間隔を乗じると時間となる。
発生トルクが既定値以上でなければ、処理ブロックのステップ109でタイムカウンタをリセットする。
【0026】
その後、処理ブロックのステップ110でカウンタ値が一定値以上であるかどうかの判断を行い、一定値以上であればPG6が異常であるために、フィードバックパルスがフィードバックされず、発生トルクが既定値を一定時間越えたと判断して処理ブロックのステップ112でアラームを発生する。
一定値以上でなければステップ111へ進み、処理時間のT1 (ms)待った後に処理を終了する。
【0027】
なお、本実施例では異常を検出するように指定されたときに機能するものであるが、ロボットが動作可能である状態で、ロボットの動作指令が出ていない状態では、自動的に異常を検出する指定がなされるようにしてもよい。
さらに、本実施例では、異常を検出を検出した際に、ロボットを駆動するモータに直ちにブレーキを懸け、緊急停止をさせるようにして、事故発生を未然に防防止し、徒に事故を拡大しない装置としている。
【0028】
【発明の効果】
かくして、これまでの詳細な説明から明らかなように、本発明によれば、ロボットのモータ停止時に位置検出器の故障により、フィードバックパルスがフィードバックされない状態になっても、暴走や自重落下することがないので、周辺機器へ損傷を与えることがなく、さらに位置検出器の故障検出するための外部装置を付加することがないのでコストアップが生じないという特段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の制御回路構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態の度さ手順を表すソフトウェアフローチャート
【図3】従来の技術を示す制御回路構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 位置指令器
2 位置制御器
3 速度制御器
4 電流制御器
5 モータ
6 パルス発生器
7 位置検出器
8 速度検出器
9 揺動指令発生器
Claims (1)
- 位置指令器から出力する位置指令に従ってロボットの動作を行なうモータを駆動する手段を備え、前記位置指令器から前記位置指令が出力されない状態で前記モータが停止時に作動指定され、前記ロボットを駆動する前記モータに取付けられたパルス発生器より情報がフィードバックされない時に異常を検出する異常検出手段を備えたロボットの制御装置において、
前記パルス発生器が前記モータの位置変化を検出できる程度の正転補正指令及び逆転補正指令を交互に出力し、揺動動作を前記モータに行なわせる手段と、
前記モータを駆動するために発生するトルク指令値が既定値を越えているかどうかを判断する手段と、
前記判断により前記トルク指令値が既定値を越えていると判断されかつ前記揺動動作を行なっても前記パルス発生器よりの前記情報が変化しないときに、異常として検出する手段と、
を備えたことを特徴とするロボットの制御装置。
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JP27516397A JP3797450B2 (ja) | 1997-09-22 | 1997-09-22 | ロボットの制御装置 |
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1997
- 1997-09-22 JP JP27516397A patent/JP3797450B2/ja not_active Expired - Fee Related
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