JP3791911B2 - レゼクトスコープ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡下で体組織の切開、切除、蒸散等を電気切除で行うレゼクトスコープ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、レゼクトスコープは、経尿道的切除術(Transurethral resection:TUR)や経頚管的切除術(Transcervical resection:TCR)に用いられ、体腔内に挿入される細長で中空のシース内に、観察用の内視鏡である光学視管(スコープとも記載する)及び生体組織切除用の電極ユニットとを主に備えたものである。レゼクトスコープ装置には、非導電性溶液中で処置が行なえるタイプと、導電性溶液中で処理が行なえるタイプの2つのタイプがある。
【0003】
非導電性溶液中で処理が行えるタイプのレゼクトスコープ装置を用いて、前立腺切除等の処置を行う場合、狭い腔内を拡張する灌流液として絶縁性を有する透明な液体であるD−ソルビトール等を供給して腔を拡張させ、レゼクトスコープのシースを腔内に挿入する。そして、このシース内に配置されているスコープで病変部表面の観察を行いながらシースの先端部開口に配置されている電極ユニットの処置電極に高周波電流を通電する。高周波電流は、処置電極から体内組織を通り、体外に配置された外部電極としての対極板に電流が流れる。術者は、操作部の操作で処置電極を進退操作して病変部の処置を行う。
【0004】
一方、導電性溶液中で処理が行えるタイプのレゼクトスコープ装置を用いて前立腺切除等の処置を行う場合には、灌流液に導電性液体である生理食塩水等を用いる。例えば、特開2000−201946号公報に開示の技術では、導電性を有する液体が充満された体腔内に挿入される細長で中空のシース先端部近傍内にリターン電極を配置し、処置電極からの高周波電流をリターン電極を介して回収する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、導電性溶液を用いるレゼクトスコープ装置では、処置電極すなわち高周波電流を生体組織に伝達するアクティブ電極からの高周波電流をリターン電極を介して確実に回収することが重要であり、処置電極とスコープを構成する導電性部材との間の放電や短絡を確実に防止する必要がある。
【0006】
例えば、アクティブ電極を病変部近傍の体組織に押し付けてアクティブ電極と生体組織との間の放電により病変部の生体組織を焼灼し、アクティブ電極を引き込んで生体組織をすり切って分離する際に、アクティブ電極がスコープを構成する導電性部材に接近し過ぎると、導電性溶液の介在下では放電や短絡が発生する可能性があり、焼灼性能が不足して効果的な処置ができないばかりでなく、スコープや電源装置の不具合や構成部材の劣化を招く虞がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、導電性溶液の存在下で進退操作されるアクティブ電極とリターン電極以外の導電性部材との間の放電や短絡を確実に防止し、焼灼性能を確保することのできるレゼクトスコープ装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のレゼクトスコープ装置は、高周波電流を発生する高周波発生手段と、導電性溶液が充満された体腔内に挿入される挿入部内に前記導電性溶液に接触するように配設された、中空形状を呈する導電性のシースと、前記挿入部内において当該挿入部の挿入方向に進退可能に配設された軸部材の先端側に設けられた電極部であって、前記シースの先端部に配設された絶縁性先端部材より先端側に配置可能な、前記高周波電流を生体組織に伝達する処置電極と前記挿入部の基端側に配設された、前記軸部材を前記進退方向に移動せしめる処置電極位置操作部と、前記処置電極位置操作部の操作により、前記処置電極が前記絶縁性先端部材より先端側の位置から前記シース内に退避する方向に移動される際、当該処置電極の移動位置が、前記シースまたは当該シースと電気的に導通し前記処置電極からの電流を回収可能とする導電部と当該処置電極とが放電を起こさない距離を確保した位置であって、かつ、前記処置電極と前記絶縁性先端部材との間に生体組織を挟んで分離可能とする最小限の距離となる位置に達した後、当該処置電極のさらなる前記シース内への移動を規制する規制手段と、を具備したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図8は本発明の実施の一形態に係わり、図1はレゼクトスコープ装置を用いた電気手術の様子を示す説明図、図2はレゼクトスコープの構成を示す側面図、図3はレゼクトスコープの構成を説明するための組立図、図4は電極ユニットの構成を示す斜視図、図5は電極ユニットの先端部を示す拡大斜視図、図6は高周波電源装置の構成を示すブロック図、図7は処置電極とシース先端部との位置関係を示す説明図、図8はスコープ先端部にリターン電極を配設した場合の処置電極とシース先端部との位置関係を示す説明図である。
【0011】
図1は、レゼクトスコープ装置を用いた電気手術の様子を示し、図においては、レゼクトスコープ1の先端部を経尿道的に患者3に挿入する経尿道的切除術を示す。レゼクトスコープ装置は、レゼクトスコープ1と、このレゼクトスコープ1の先端部に配設された後述する電極ユニットの処置電極への高周波焼灼電流(以下、アクティブ電流という)の供給と、帰還電流(以下、リターン電流という)の回収を行うための高周波電源装置2とを主として構成される。
【0012】
高周波電源装置2から処置電極への電力供給の制御は、高周波電源装置2に接続されたフットスイッチ4のオン、オフによって行われる。フットスイッチ4がオンされると、高周波電源装置2からの高周波電流が、ケーブル5を介してレゼクトスコープ1の処置電極へ供給される。そして、後述するように、リターン電流はケーブル6を介して回収される。
【0013】
また、図1では、レゼクトスコープ1には、膀胱等の体腔内へ灌流液として導電性を有する生理食塩水が、生理食塩水パック7から滅菌チューブ8を通して供給される。術者は、生理食塩水を体腔内に充満させた後、レゼクトスコープ1を体腔内に挿入し、観察用の内視鏡の画像を見ながら、切開、切除等を行う体組織表面へ処置電極を移動し、フットスイッチ4のスイッチをオンさせて切開等を行う。
【0014】
図2に示すように、レゼクトスコープ1は、外套管である、貫通孔を有する中空のアウターシース11と、このアウターシース11内に挿入され、貫通孔を有する中空のインナーシース31と、このインナーシース31の貫通孔内に配置されるスコープ12と、操作部であるハンドル部13とを有し、インナーシース31の貫通孔内に、スコープ12と共に、後述する電極ユニット14(図4参照)が配置される。
【0015】
アウターシース11は、例えば尿道を介して体腔内に挿入される中空の挿入部21と、この挿入部21の後端に設けられた手元本体部22とで構成され、手元本体部22の側周部には、2つの流体管路22a,22bが設けられている。具体的には、流体管路22aは、処置部に灌流液として導電性を有する生理食塩水等を送液するための、コック23と送液口金24とを有し、流体管路22bは、生理食塩水等を排出するための、コック25と、排液口金26とを有している。送液口金24には、送液のためのチューブが接続され、同様に排液口金26には、排液のためのチューブが接続される。コック23,25を動かすことによって、送液及び排液を制御することができる。
【0016】
インナーシース31は、図3に示すように、アウターシース11内に挿入される中空の挿入部32と、挿入部32の後端に設けられた手元本体部33と、挿入部32の先端に設けられた、例えば硬質な樹脂部材等の非導電性部材で形成される先端部材34とで構成される。図3の点線27で示すように、インナーシース31は、手元本体部22の後側の開口部から挿通され、挿入部21内に配置される。尚、アウターシース11を使用しないで、インナーシース31のみが取り付けらた状態で使用される場合もある。
【0017】
スコープ12は、観察光学系を内蔵した細長でインナーシース31内に挿通されて配置される硬質な挿入管41と、その挿入管41を挿通する案内管42と、この案内管42の基端に配設された手元部43とで構成され、手元部43の基端には、術者が目視観察を行う接眼部44が設けられている。手元部43の側部には、観察部位に対して観察用の照明光を供給するライトガイド(図示せず)が接続されるライトガイド接続部45が設けられている。図3の点線36で示すように、スコープ12は、手元本体部33の後側の開口部から電極ユニット14と共に挿通され、インナーシース31内に配置される。
【0018】
図4に示すように、インナーシース31内に挿通配置される電極ユニット14は、先端側に位置して硬質な金属部材である処置電極61と、スコープ12の挿入軸方向に略平行な二股部分を有する金属管からなる二股アーム部材62と、この二股アーム部材62の基端部を先端部に配設した細長な金属パイプ63とで主に構成されている。
【0019】
詳細には、図5に示すように、処置電極61は、細長なワイヤ状の硬質な金属部材をループ形状に形成した電極であり、ループ形状の電極両端部に一体的に接続される導電ワイヤが電極を保持する保持部材としての絶縁部材64で覆われて金属管からなる二股アーム部材62内に挿通され、金属パイプ63内を通って金属パイプ63の基端部で導電ワイヤが後述するスライダ46内の電極固定部(図示せず)に接続される。処置電極61と二股アーム部材62は、アクティブ電極としての電極ユニット14の先端において、フック形状をしており、ループ形状の処置電極61を含む平面とスコープ12の挿入軸とは、予め決められた角度を有している。
【0020】
更に、ループ形状の処置電極61は、処置電極61から二股アーム部材62の金属管先端部への放電による絶縁破壊を確実に防止するため、二股アーム部材62の金属管先端部から規定の距離D1以上離れて配置されている。同時に、処置電極61の両端部を保持する絶縁部材64も、電極部に発生する熱による劣化を防止するため、二股アーム部材62の金属管先端部から露呈する部分が規定の長さD2以上となるように設定されている。
【0021】
アクティブ電極である電極ユニット14は、処置電極61がインナーシース31の先端部材34の開口部35において、インナーシース31の挿入方向に進退自在になるように、インナーシース31内に配置される。処置電極61及び二股アーム部材62を先端側に設けた金属パイプ63の基端部は、インナーシース31の挿入部32及び手元本体部33内を挿通して手元本体部33の基端面から延出し、後述するスライダ46に固定される。
【0022】
ハンドル部13は、インナーシース31の手元本体部33に対して着脱自在に接続されるシース接続部47と、このシース接続部47の後端面から後方に突設してスコープ12の挿入管41が挿通される案内管48と、この案内管48に摺動自在に保持される略パイプ形状のスライダ46とで主に形成されている。シース接続部47には、レバー形状の指掛け部51が一体的に固設され、また、スライダ46には、電極ユニット14の後端部との電気的接続部になる電極固定部(図示せず)と、高周波電源装置2から延出するケーブル5が着脱自在に接続される高周波電源用コネクタ49と、術者の親指を掛けるリング形状の親指掛けリング50とが設けられている。
【0023】
そして、スライダ46とシース接続部47とは、ばね等の弾性部材(図示せず)によって、互いに離れるように力が加えられた状態で連結されている。すなわち、スライダ46は、弾性部材によって常に接眼部44側へ付勢されている。従って、術者が、シース接続部47の指掛け部51と、スライダ46に設けられている親指掛けリング50とを手で把持しながら、指掛け部51と親指掛けリング50の間の距離を縮めるように適宜操作することにより、案内管48に対してスライダ46がスコープ12の先端方向に移動し、電極ユニット14の処置電極61がインナーシース31の先端部材34に対して開口部35から先端方向に突出するように移動する。
【0024】
指掛け部51と親指掛けリング50とに人的な力を加えない状態では、処置電極61とインナーシース31の先端部とは、スコープ12の挿入方向において、予め規定された位置関係にある。すなわち、案内管48の基端側は、スコープ12の手元部43に対して一体的に固定可能となっており、スライダ46の案内管48からの抜け落ちが防止されると共に、処置電極61を進退動させる際の引き込み位置が規制される。しかし、図3の矢印aで示す方向に、すなわち指掛け部51と親指掛けリング50とに力を加えて距離が縮まるように操作すると、挿入管41は移動しないが、矢印bで示す方向に処置電極61が、スコープ12の先端方向に突出するように移動する。
【0025】
スライダ46に設けられた高周波電源用コネクタ49は、上述した電極固定部と例えばリード線等によって電気的に接続されている。このため、高周波電源装置2からのケーブル5を高周波電源用コネクタ49に接続することにより、電極ユニット14の処置電極61と通電状態になって、病変部の処置を行える。尚、レゼクトスコープ装置は、処置電極61に供給される電流値とリターン電流の電流値との差を求めることによって、漏れ電流を測定することができるようになっている。
【0026】
一方、高周波電源装置2は、図6に示すように、フットスイッチ4や操作パネル108からの信号を受けて電力供給の制御を行う制御回路101と、制御回路101に制御され直流電力を発生する電源回路102と、電源回路102からの直流電力をスイッチングして高周波電力を発生する高周波発生回路103と、制御回路101に制御され高周波発生回路103が発生する高周波電力の波形信号を高周波発生回路103に供給する波形回路104と、高周波発生回路103が発生した高周波電力の高周波電圧を増幅して処置電極61用の端子とリターン電流用の端子間に印加し高周波電流を処置電極61に供給する出力トランス回路105と、出力トランス回路105より出力される高周波電流を検出する電流センサ106a,106bと、電流センサ106a,106bにより検出された電流値をA/D変換するセンサ信号処理回路107とを備えている。
【0027】
制御回路101は、センサ信号処理回路107からのデジタル化された電流データに基づいて電源回路102及び波形回路104を制御し、処置電極61と生体組織との間の放電電流による生体組織の切除・凝固の際の電力を制御する。すなわち、処置電極61を導電性溶液下で生体組織に接触させた状態で処置電極61に高周波電流を通電すると、処置電極61及びリターン電極(このリターン電極については後述する)間に高周波電流が流れて処置電極61が発熱し、処置電極61の外周面の導電性用溶液が気泡となって処置電極61を覆い、処置電極61及びリターン電極間の電極間抵抗が上昇して高抵抗となって略絶縁状態となる。それに伴い電圧が上昇し処置電極61と生体組織との間で放電が生じ、この放電による高周波電流によって生体組織が切除・凝固されながら処置が行われることになる。
【0028】
以上のレゼクトスコープ1においては、アウターシース11の挿入部21、手元本体部22、流体管路22a及び送液口金24、流体管路22b及び排液口金26は、共に金属等の導電性部材から形成され、インナーシース31の挿入部32及び手元本体部33は共に金属等の導電性部材から形成されている。従って、アウターシース11とインナーシース31とは電気的に導通し、また、スコープ12の案内管42、シース接続部47、案内管48、スライダ46、及び手元部43は、共に金属等の導電性部材から形成され、案内管48は、アウターシース11、インナーシース31或いはスコープ12と電気的に導通する。
【0029】
従って、本形態のレゼクトスコープ装置では、体腔内に充満された生理食塩水等の導電性溶液の介在下において、レゼクトスコープ1の先端部にリターン電極を配置する従来と同様の構成が可能であることは勿論のこと、アウターシース11又はアウターシース11と電気的に導通する部位、例えば、以下の(1)〜(5)に例示する部位を、リターン電極として使用することができる。
【0030】
(1)アウターシース11の基端部
(2)インナーシース31の基端部
(3)スコープ12の基端部或いはライトガイド接続部45
(4)ハンドル部13
(5)送液口金24或いは排液口金26
(1)〜(5)の部位をリターン電極としてする場合、レゼクトスコープ1においては、図2に破線で示す位置に、高周波電源装置2から延出されるリターン電流用のケーブル6を接続するためのコネクタ71,72,73,74,75,76,77の何れかを設ける。アクティブ電極からの電流は、導電性溶液を介して、アウターシース11及びアウターシース11と電気的に導通する導電性部材に流れ、コネクタを介してリターン電流を回収することができる。尚、アウターシース11又はアウターシースと導通する導電性部材からリターン電流を回収する場合、体組織がアウターシース11に触れていても、インピーダンスの違いからリターン電流は導電性部材を通して回収される。
【0031】
この場合、ハンドル部13の操作による処置電極61の引き込み位置は、図7に示すようにな位置関係に規制されており、処置電極61からリターン電極を形成するアウターシース11又はアウターシース11と電気的に導通する導電性部材との間の放電を確実に防止する。
【0032】
本形態におけるレゼクトスコープ1では、アウターシース11よりインナーシース31の先端部が処置電極61側に突出しているため、処置電極61が引き込まれたときのインナーシース31先端部との間の最小距離D3が規定されており、この距離D3よりも小さい距離D4に、先端部材34が配置されることで、確実に処置電極61とインナーシース31との間の放電を防止する。距離D4は、処置電極61と生体組織との間の放電により生体組織を焼灼し、処置電極61を引き込んで先端部材34で生体組織をすり切って分離可能とする最小限の距離である。
【0033】
このような関係は、図8に示すように、先端部材34の内部上面に、別途、リターン電極80を配置し、リード線81等を介してリターン電流用のコネクタに接続する場合においても同様である。すなわち、処置電極61が引き込まれたとき、処置電極61とインナーシース31先端部との間の最小距離D5が、確実に処置電極61とインナーシース31との間の放電を防止することのできる距離に規制され、且つ、先端部材34と処置電極61との間の距離D4が、リターン電極80と処置電極61との間の距離D6よりも小さくなるように設定される。この場合、アウターシース11又はアウターシース11と電気的に導通する導電性部材によってリターン電極を形成する図7の例に対し、リターン電極80からのリターン電流の経路を、アウターシース11及びアウターシース11と電気的に導通する導電性部材から絶縁するという条件下で、D5≦D3とすることが可能である。
【0034】
換言すれば、各距離D3,D5は、処置電極61とインナーシース31との間に、非導電性部材である先端部材34を絶縁部として介在させることで放電を防止するのではなく、先端部材34を介在させなくても、導電性溶液中でインナーシース31と処置電極61との間の放電を防止することのできる絶縁距離である。図7,8においては、この絶縁距離を模式的に示している。このことは、図5において先に説明した、処置電極61と二股アーム部材62の金属管先端部との間の距離D1についても同様である。
【0035】
厳密には、処置電極61とインナーシース31先端部との間の漏れ電流を完全に0にすることは困難であるが、周辺の導電性溶液を気泡化して放電路を形成するような電流は、上述の距離を確保することにより確実に阻止できる。これらの絶縁距離は、必要な絶縁強度、引加される電圧や想定される過電圧の大きさ、各部の電気的物性、導電性溶液の性質や温度等の各種条件や、関連部位の形状的な寸法を考慮し、放電防止に必要な空間距離及び沿面距離をシミュレーション計算や実験等により求めて設定される。
【0036】
尚、リターン電極80を別途設ける場合、リターン電極80をリード線81等を介してリターン電流用のコネクタに接続し、リターン電流の経路をアウターシース11及びアウターシース11と電気的に導通する導電性部材から絶縁しても良いが、別途設けたリターン電極80をアウターシース11及びアウターシース11と電気的に導通する導電性部材の何れかに電気的に接続し、上述のコネクタ71〜77の何れかを使用することも可能である。
【0037】
以上の構成によるレゼクトスコープ装置による電気手術においては、前述したように、レゼクトスコープ1の挿入部21を尿道より挿入し、インナーシース31内に配置されているスコープ12の接眼部44を通して尿道内を観察しながら、病変部近傍に先端部材34の開口部35を配置する。
【0038】
次に、術者は、送液口金24を介して生理食塩水を腔内に充満させた後、処置電極61への通電を開始し、接眼部44を通して病変部と処置電極61との位置関係を観察しながらハンドル部13を適宜操作し、処置電極61を病変部近傍の体組織に押し付け、親指掛けリング50を手元側に移動させるように適宜操作することにより、処置電極61と生体組織との間の放電により病変部の生体組織を焼灼し、処置電極61を引き込んで先端部材34で生体組織をすり切って分離することで、切除を行う。
【0039】
その際、上述したように、電極ユニット14を構成する処置電極61が二股アーム部材62の金属管先端部から規定距離D1以上突出した位置に配置されており、また、処置電極61の両端部を保持する絶縁部材64も二股アーム部材62の金属管先端部からの露呈部分が規定長D2以上の長さが確保されているため、、二股アーム部材62の金属管先端部との間の放電による絶縁破壊を確実に防止すると共に絶縁部材64の劣化を防止し、焼灼性能を確保することができる。
【0040】
また、処置電極61を引き込んでレゼクトスコープ先端の導電性部材と最も接近した状態においても、処置電極61とアウターシース11及びアウターシース11と電気的に導通する導電性部材との間に放電や短絡が発生することがなく、処置電極61の焼灼性能を確保し、処置部に接触した処置電極61からリターン電極に効率良く電流を回収して的確に処置を行うことができる。このことは、狭い腔内を導電性溶液を満たして拡張したにも拘わらず、処置をスムーズかつ効率的に行えることにつながり、術者及び手術関係者、患者への負担を大幅に軽減することができる。
【0041】
このように、本実施の形態では、高周波電流を生態組織に伝達するアクティブ電極とレゼクトスコープを構成する導電性部材との間の有害な放電や短絡を確実に防止してアクティブ電極の焼灼性能を確保すると共に、有害な放電や短絡によるレゼクトスコープの各部の劣化を防止して製品品質の向上に寄与することができる。
【0042】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、導電性溶液の存在下で進退操作されるアクティブ電極とリターン電極以外の導電性部材との間の放電や短絡を確実に防止してアクティブ電極の焼灼性能を確保すると共に、有害な放電や短絡による各部の劣化を防止して製品品質の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レゼクトスコープ装置を用いた電気手術の様子を示す説明図
【図2】レゼクトスコープの構成を示す側面図
【図3】レゼクトスコープの構成を説明するための組立図
【図4】電極ユニットの構成を示す斜視図
【図5】電極ユニットの先端部を示す拡大斜視図
【図6】高周波電源装置の構成を示すブロック図
【図7】処置電極とシース先端部との位置関係を示す説明図
【図8】スコープ先端部にリターン電極を配設した場合の処置電極とシース先端部との位置関係を示す説明図
【符号の説明】
1 レゼクトスコープ
2 高周波電源装置
7 生理食塩水パック
11 アウターシース
12 スコープ
14 電極ユニット
31 インナーシース
31 処置電極31
34 先端部材
61 処置電極
64 絶縁部材
80 リターン電極

Claims (1)

  1. 高周波電流を発生する高周波発生手段と、
    導電性溶液が充満された体腔内に挿入される挿入部内に前記導電性溶液に接触するように配設された、中空形状を呈する導電性のシースと、
    前記挿入部内において当該挿入部の挿入方向に進退可能に配設された軸部材の先端側に設けられた電極部であって、前記シースの先端部に配設された絶縁性先端部材より先端側に配置可能な、前記高周波電流を生体組織に伝達する処置電極と
    前記挿入部の基端側に配設された、前記軸部材を前記進退方向に移動せしめる処置電極位置操作部と、
    前記処置電極位置操作部の操作により、前記処置電極が前記絶縁性先端部材より先端側の位置から前記シース内に退避する方向に移動される際、当該処置電極の移動位置が、前記シースまたは当該シースと電気的に導通し前記処置電極からの電流を回収可能とする導電部と当該処置電極とが放電を起こさない距離を確保した位置であって、かつ、前記処置電極と前記絶縁性先端部材との間に生体組織を挟んで分離可能とする最小限の距離となる位置に達した後、当該処置電極のさらなる前記シース内への移動を規制する規制手段と、 を具備したことを特徴とするレゼクトスコープ装置。
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