JP3790642B2 - リパーゼ産生増強遺伝子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リパーゼ産生増強遺伝子、及びその利用に関する。より具体的には、リパーゼの産生を増強する遺伝子(リパーゼ産生増強遺伝子);リパーゼ産生増強遺伝子とリパーゼの構造遺伝子とを含んでなるDNA複合構成物;該DNA複合構成物、または、リパーゼ産生増強遺伝子が挿入されてなるベクター;該ベクターが宿主細胞に導入されてなる形質転換体;に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リパーゼは、脂質を加水分解する酵素として油脂加工や、臨床診断薬、洗剤、消化酵素などに使用されている。また、近年は、医薬や農薬の中間体等としての化成品、特に光学活性化合物を製造する反応である、エステル加水分解、エステル合成、エステル交換等を触媒する酵素として注目されている。
【0003】
特に、細菌の一種であるBurkholderia cepaciaの産生するリパーゼは、培地中に分泌されるため工業的に有利であり、例えば、特開平10−210975号公報に記載のように、エステルの不斉加水分解反応を触媒する有用な酵素として、種々の医農薬の中間体(特に光学活性化合物)等の製造への応用が検討されている。
【0004】
また、近年、組換えDNA技術等に代表される遺伝子工学の発達により、工業的利用価値のある様々な酵素遺伝子が単離され、そのDNAの塩基配列が明らかにされている。そして、これらの技術を利用して、酵素の産生効率や、熱、pH変動、有機溶媒等に対する安定性を向上させること、あるいは、より有用な基質特異性を有する酵素に改変すること等が検討、実施されている。
【0005】
具体的には、例えば、Burkholderia cepacia由来のリパーゼを効率的に産生するために、該リパーゼの構造遺伝子(以下、場合によってはリパーゼ遺伝子と称する)を含む組換え体(形質転換体)を用いる方法が報告されている(特開平3−87187号公報、特表平3−280876号公報、特表平4−506455号公報、特開平6−153965号公報、特表平6−181777号公報、特開平7−135980号公報、特開平8−256767号公報、特開平9−322776号公報、特開平10−210975号公報、参照)。
【0006】
上記の組換え体を用いたBurkholderia cepacia由来のリパーゼの産生においては、大腸菌を宿主とした場合にリパーゼ産生量が低く、Burkholderia cepaciaを宿主とした場合にリパーゼ産生量が高くなることが近年報告されている。また、例えば、Burkholderia cepacia等を宿主とした組換え体によるリパーゼの効率良い産生のためには、リパーゼの構造遺伝子だけでなく、その下流にあるモジュレーター遺伝子、あるいは活性化遺伝子と呼ばれる遺伝子が必要であることが報告されている。
【0007】
例えば、特表平4−506455号公報には、Burkholderia cepaciaのリパーゼ遺伝子、及びその下流側に位置するリパーゼ・モジュレーター遺伝子(lim遺伝子)を用いた、Burkholderia cepacia以外の宿主におけるリパーゼの産生について記載されている。また、特開平7−135980号公報では、Burkholderia cepaciaのリパーゼ活性の発現に必要な因子をコードする遺伝子が、リパーゼ遺伝子の下流に存在することが記載されている。
【0008】
さらに、特開平3−87187号公報、及び「Nakanishi ら, Lipases :Structure,Mechanism and Genetic Engineering ;p.263 〜266(ISSN 0930-4320,VCH Publishers,Inc.,New York.1991) 」には、Burkholderia cepaciaを宿主とした組換え体において、リパーゼの構造遺伝子の下流に位置するlipX遺伝子を欠失すると該構造遺伝子の発現が得られないことが記載されている。そして、この結果より、該lipX遺伝子が、リパーゼの産生、特にその効率的な産生に不可欠であることが報告されている。
【0009】
一方、細菌等の微生物に対し、大豆油やオリーブ油などの天然の脂質を与えるとリパーゼ産生が誘導されることは公知であるが、脂質によるリパーゼ産生の誘導機構や産生機構、分泌機構などについては依然不明な点が多い。例えば、リパーゼを菌体外に分泌させるためには、リパーゼの構造遺伝子や、その下流にあるモジュレーター遺伝子、活性化遺伝子だけではなく、多数の分泌に関わる遺伝子やリパーゼの産生に関わる遺伝子が必要とされると予想されている(「阿部ら;日本農芸化学会誌,Vol.71,No.9,pp.906〜909,1997」参照) 。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記説明のように、従来、Burkholderia cepacia由来のリパーゼを、例えばBurkholderia cepacia等を宿主とした組換え体を用いて産生する際、着目される遺伝子は、A)リパーゼの構造遺伝子、及び、B)その下流側に位置するモジュレーター遺伝子、あるいは活性化遺伝子のみであり、その他の遺伝子の組合せによる効果は検討されていない。
【0011】
よって、Burkholderia cepaciaにおいてリパーゼの産生効率の向上に関与する新規遺伝子が他に見いだされる可能性があり、該新規遺伝子を用いることでBurkholderia cepacia等に由来するリパーゼの効率的な産生が可能になると考えられる。リパーゼの効率的な産生が可能になれば、より安価にリパーゼを供給することが可能となり、加えて、該新規遺伝子を用いることでリパーゼ産生技術の適用範囲が拡大すること等が期待される。
【0012】
本発明の目的は、Burkholderia cepacia等に由来するリパーゼを組換え体を用いて産生する際に、該リパーゼの産生を増強することができる新規なリパーゼ産生増強遺伝子を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、Burkholderia cepacia等に由来するリパーゼの、組換え体を用いた産生につき研究を行った。その結果、新規なリパーゼ産生増強遺伝子を見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち本発明は、
1)下記の(a)、(b)、又は(c)のDNA構成物を含んでなることを特徴とするリパーゼ産生増強遺伝子。(a)配列番号1、3、5、7記載のアミノ酸配列のうちの少なくとも一つをコードするDNA構成物。(b)配列番号1、3、5、7記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が、欠失、置換、又は付加されてなるアミノ酸配列のうちの少なくとも一つをコードするDNA構成物。(c)配列番号1、3、5、7記載のアミノ酸配列のうちの少なくとも一つをコードするDNA構成物と、ストリンジェント条件下でハイブリダイズするDNA構成物、
2)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8記載の塩基配列を有するDNA構成物のうちの少なくとも一つを含んでなることを特徴とする上記1)記載のリパーゼ産生増強遺伝子、
3)リパーゼ産生増強遺伝子が、Burkholderia cepacia SC-20の染色体に由来することを特徴とする上記2)記載のリパーゼ産生増強遺伝子、
4)上記1)ないし3)のいずれかに記載のリパーゼ産生増強遺伝子とリパーゼの構造遺伝子とを含んで構成されることを特徴とするDNA複合構成物、
5)上記リパーゼの構造遺伝子が、配列番号10記載のアミノ酸配列をコードすることを特徴とする上記4)記載のDNA複合構成物、
6)配列番号9記載の塩基配列を有することを特徴とする上記5)記載のDNA複合構成物、
7)上記1)ないし3)のいずれかに記載のリパーゼ産生増強遺伝子、または、上記4)ないし6)のいずれかに記載のDNA複合構成物が挿入されてなることを特徴とするベクター、
8)上記ベクターがプラスミドであり、該プラスミドがプラスミドpBBR122と同じ複製機構を持つことを特徴とする上記7)記載のベクター、
9)上記7)または8)に記載のベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体、
10)上記宿主細胞がBurkholderia cepaciaであることを特徴とする上記9)記載の形質転換体、
11)上記宿主細胞がBurkholderia cepacia SC-20であることを特徴とする上記10)記載の形質転換体、を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、これによって、本発明が限定されるものではない。
【0016】
(1)リパーゼ産生増強遺伝子
本発明におけるリパーゼ産生増強遺伝子(以下、場合によってはDNA構成物と称する)とは、例えば、Burkholderia cepacia等を宿主とした組換え体(形質転換体)によりリパーゼを産生する際に、該リパーゼの産生量の増加に寄与する遺伝子である。
【0017】
上記リパーゼ産生増強遺伝子として、具体的には、例えば、図1〜図11に示す、OrfA、OrfB、OrfC、及びlixRの各遺伝子を含んで構成される遺伝子群を挙げることができる。該遺伝子群の機能の詳細については、いまだ明らかにはされていないが、以下に説明するように、上記組換え体において、リパーゼの分泌産生量を増加する機能を有する。上記OrfA、OrfB、OrfC、及びlixRの各遺伝子の塩基配列は、順に、配列番号4、6、8、2に記載されたものであり、それぞれ配列番号3、5、7、1に記載のアミノ酸配列をコードしている。
【0018】
OrfA、OrfB、OrfC、及びlixRの各遺伝子を含んで構成される上記の遺伝子群は、例えば、標準的な技術(J.Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual (コールド・スプリング・ハーバー、1989年))によりBurkholderia cepacia SC-20の染色体DNAを調製し、続いて、a)配列番号9記載の塩基配列を有するDNAの一部を用いた合成オリゴヌクレオチド、あるいは、b)FERM BP−5740(1996年11月07日に寄託)として寄託されているEscherichia coli JM109/pAL612より調製したプラスミドpAL612、又は該プラスミド(ベクター)への挿入DNA断片の一部、をプローブにしたハイブリッド形成によるスクリーニングにより得られる。
【0019】
また、上記の遺伝子群を、Burkholderia cepacia SC-20の染色体DNAを鋳型にしたPCR法により単離することも可能である。PCR法に用いるプライマーは、例えば、配列番号9記載の塩基配列を参考にして合成できる。尚、PCR法を用いる場合には、Burkholderia cepacia SC-20の菌体(または、その破砕物)を用いてもよく、あるいは、(粗)精製された染色体DNAを用いてもよい。
【0020】
上記方法により得られた(単離された)遺伝子群の同定は、例えば、a)配列番号9記載の塩基配列と比較する、b)単離された遺伝子群がコードするアミノ酸配列と、配列番号1、3、5、7記載のアミノ酸配列との比較をする、等の方法で行うことができる。また、c)単離された遺伝子群がコードする蛋白質(ポリペプチド)とリパーゼの構造遺伝子とを、例えば、Burkholderia cepaciaを宿主としたリパーゼの産生系に共存させ、該蛋白質がリパーゼの産生量を増強する能力をスクリーニングする方法や、d)単離された遺伝子群により産生され得るポリペプチドと、例えば、lixR遺伝子(または、OrfA、OrfB、OrfCの各遺伝子)のコードする蛋白質に対する抗体との反応を利用してスクリーニングする方法で同定することも可能である。
【0021】
上記の遺伝子群の内、lixR遺伝子は、Lys−R型転写制御遺伝子(Schellら、Annu.Rev.Microbiol.,vol.47,p.597,1993)として知られている制御遺伝子と相同性があり、以下に説明するリパーゼの構造遺伝子(以下、場合によってはリパーゼ遺伝子と称する)、あるいはリパーゼの分泌に関わる遺伝子群や、リバーゼの産生に関わる転写因子をコードする遺伝子群などの転写制御に関わると推測される。
【0022】
上記lixR遺伝子は、配列番号1記載の317アミノ酸配列をコードする。該lixR遺伝子と相同性があるLys−R型転写制御遺伝子としては、具体的には、例えば、Escherichia coliのGlycine Cleavage System Transcriptional Activator として知られるGcvA遺伝子(該遺伝子がコードする全305アミノ酸配列は、lixR遺伝子がコードする、連続する298アミノ酸配列と36%の相同性を有する)、Pseudomonas syringae pv.SyringaeのTrpBA Operon Transcriptional Activatorとして知られるTrpI遺伝子(該遺伝子がコードする全298アミノ酸配列は、lixR遺伝子がコードする、連続する298アミノ酸と36%の相同性を有する)、Pseudomonas fluorescens のPnhR遺伝子(該遺伝子がコードする全299アミノ酸配列は、lixR遺伝子がコードする、連続する294アミノ酸配列と36%の相同性を有する)、Pseudomonas aeruginosaのTrpI遺伝子(該遺伝子がコードする全294アミノ酸配列は、lixR遺伝子がコードする、連続する300アミノ酸配列と36%の相同性を有する)、等がある。上記のアミノ酸配列間の相同性は、Pearson とLipmanが開発したホモロジー検索プログラム fasta (Pearson and Lipman;Proc.Natl.Academic.Sci USA,vol.85,2444,1988)を用いて計算することができる。尚、上記の相同性の計算条件は、ktup=1で行った。
【0023】
本発明におけるリパーゼ産生増強遺伝子は、上記説明の遺伝子群に特に限定されるものではなく、例えば、OrfA、OrfB、OrfC、及びlixRの各遺伝子(DNA構成物)のうちの少なくとも一つを含んでなる遺伝子、または、OrfA、OrfB、OrfC、及びlixRの各遺伝子それぞれと置き換え可能なDNA構成物(以下に説明する)のうちの少なくとも一つを含んでなる遺伝子であってもよい。上記の置き換え可能なDNA構成物を含んでなる遺伝子は、置き換え前のリパーゼ産生増強遺伝子と、通常は70%以上の、好ましくは80%以上の、さらに好ましくは90%以上の相同性があり、リパーゼの産生を増強することができる。
【0024】
上記OrfA遺伝子は、以下の(a)〜(c)に示すDNA構成物に置き換えられてもよい。(a)配列番号3記載のアミノ酸配列をコードするDNA構成物、(b)配列番号3記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてなるアミノ酸配列をコードするDNA構成物(欠失、置換若しくは付加のうち、少なくとも一つが起こっていればよい)、(c)配列番号3記載のアミノ酸配列をコードするDNA構成物とストリンジェント条件下でハイブリダイズするDNA構成物。
【0025】
上記OrfB遺伝子は、以下の(a)〜(c)に示すDNA構成物に置き換えられてもよい。(a)配列番号5記載のアミノ酸配列をコードするDNA構成物、(b)配列番号5記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてなるアミノ酸配列をコードするDNA構成物(欠失、置換若しくは付加のうち、少なくとも一つが起こっていればよい)、(c)配列番号5記載のアミノ酸配列をコードするDNA配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするDNA構成物。
【0026】
上記OrfC遺伝子は、以下の(a)〜(c)に示すDNA構成物に置き換えられてもよい。(a)配列番号7記載のアミノ酸配列をコードするDNA構成物、(b)配列番号7記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてなるアミノ酸配列をコードするDNA構成物(欠失、置換若しくは付加のうち、少なくとも一つが起こっていればよい)、(c)配列番号7記載のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするDNA構成物。
【0027】
上記lixR遺伝子は、以下の(a)〜(c)に示すDNA構成物に置き換えられてもよい。(a)配列番号1記載のアミノ酸配列をコードするDNA構成物、(b)配列番号1記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてなるアミノ酸配列をコードするDNA構成物(欠失、置換若しくは付加のうち、少なくとも一つが起こっていればよい)、(c)配列番号1記載のアミノ酸配列をコードするDNA構成物とストリンジェント条件下でハイブリダイズするDNA構成物。
【0028】
本発明でいう、DNA構成物(DNA構成物Aとする)とストリンジェント条件下でハイブリダイズするDNA構成物(DNA構成物Bとする)とは、DNA構成物Bをメンブレン(一般には、Colony/Plaque Screenメンブレン(第一化学株式会社製)などのナイロンメンブレンが使用できる)に吸着後、(a)そのメンブレンを、68℃に加温した、6xSSC、0.5%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウム(以下、SDSと略する)、5xDenhart's 液 (0.1g ficoll,0.1g polyvinyl pyrrolidone, 0.1g bovine serum albumin /100ml)、及び100μg/mlのdenatured sonicated salmon spermDNAを含んでなるプレハイブリダイゼーション溶液に3時間予備浸漬し、続いて、(b)6xSSC、0.5%(w/v)SDS、及び100μg/mlのdenatured sonicated salmon spermDNAを含んでなるハイブリダイゼーション溶液に、60〜68℃の条件下で18時間浸漬してDNA構成物Aとのハイブリッドが形成されてなるDNA構成物Bであって、さらに、以下の(1)〜(4)の全処理を順に行った後でもDNA構成物Aとハイブリッドが形成されているDNA構成物Bを指す。(1)2xSSC、0.5%(w/v)SDSを含んでなる溶液で5分間室温洗浄する。(2)2xSSC、0.1%(w/v)SDSを含んでなる溶液で15分間室温洗浄する。(3)0.1xSSC、0.5%(w/v)SDSを含んでなる溶液で60分間37℃洗浄する。(4)0.1xSSC、0.5%(w/v)SDSを含んでなる溶液で60分間68℃で洗浄する。尚、上記のnxSSC(nは任意の数)とは、20xSSC溶液をn/20倍に希釈したものを指し、20xSSC溶液は、水1Lに、塩化ナトリウム175.3g、及びクエン酸3ナトリウム88.2gを溶解してなる標準緩衝液(pH7.0)を指す。
【0029】
上記のDNA構成物は、例えば、天然由来のもの、化学合成されたもの、天然由来のものを利用したもの等でも良く、その起源は特に限定されるものではない。一般には、Burkholderia cepacia由来の染色体が利用され、なかでもBurkholderia cepacia SC-20由来の染色体が好ましい。Burkholderia cepacia SC-20は、特開平10−210975に記載の特徴のある微生物で、FERM P−17406として工業技術院生命工学技術研究所に寄託(受理日:平成11年5月31日)されている。尚、上記の各DNA構成物は、一本鎖のものであっても、二本鎖のものであってもよい。
【0030】
(2)リパーゼの構造遺伝子、DNA複合構成物
本発明におけるリパーゼの構造遺伝子とは、酵素リパーゼ、または、該酵素リパーゼの誘導体をコードするものであれば特に限定されるものではない。また、本発明において、DNA複合構成物とは、上記説明のリパーゼ産生増強遺伝子とリパーゼの構造遺伝子とを含んで構成されるDNA断片(例えば、配列番号9に示す塩基配列を有するDNA断片全体)を特に指すものとする。
【0031】
上記のリパーゼの構造遺伝子は、例えば、天然由来のもの、化学合成されたもの、天然由来のものを利用したもの等でも良く、その起源は特に限定されるものではない。一般には、Burkholderia cepacia由来のリパーゼの構造遺伝子が好適に利用され、中でもBurkholderia cepacia SC-20由来のリパーゼの構造遺伝子(配列番号10記載のアミノ酸配列をコードする構造遺伝子lipA)が、特に好適に利用される。
【0032】
尚、リパーゼの構造遺伝子とは、リパーゼ、または、リパーゼの誘導体として知られたアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてなるアミノ酸配列(酵素活性を有するものに限る)をコードする構造遺伝子も含むものとする。また、場合によっては、宿主細胞が元来有するリパーゼの構造遺伝子を利用することもできる。
【0033】
(3)ベクター
上記説明のDNA構成物(リパーゼ産生増強遺伝子)、および/または、リパーゼの構造遺伝子(DNA複合構成物も含む)を宿主細胞に運ぶベクターは、特に限定されるものではないが、通常、宿主細胞中で複製可能なプラスミドが好適に使用される。
【0034】
上記のプラスミドとして、具体的には、例えば、プラスミドpUC19、pACYC177、pKT230、pSa、pBBR122(MoBiTec GmbH,Germany)等と同様の複製オリジン(ori領域)を有するプラスミドが使用され、特に、Burkholderia cepacia SC-20等、Burkholderia cepaciaを宿主細胞とするときには、IncQ(不和合性Q)群のプラスミドpKT230や、IncW群のプラスミド、IncQ群でもIncW群でもない不和合性のプラスミドpBBR122がより好ましく、なかでも、プラスミドpBBR122と同じ複製機構を有するプラスミド、すなわち、グラム陰性菌用の広域宿主プラスミドベクターがさらに好ましい。
【0035】
プラスミドは、形質転換体を選択可能とするマーカー遺伝子、例えば、カナマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、アンピシリン等の抗生物質に対する耐性を賦与する生成物をコードする遺伝子を含んでいてもよい。尚、上記のDNA構成物、及びリパーゼの構造遺伝子が、異なるベクターにより同一の宿主細胞に運ばれることは妨げられるものではない。
【0036】
(4)宿主
本発明に使用される宿主(宿主細胞)は、ベクターにより運ばれた上記DNA構成物、および/または、リパーゼの構造遺伝子(DNA複合構成物も含む)が好適に発現される適当な細胞であれば特に限定されるものではなく、一般には、Bacillus属、Brevibacterium属、Staphylococcus属、Escherichia 属、Pseudomonas 属、Burkholderia属等の細菌;Streptomyces属、Rhodococcus 属等の放線菌;Saccharomyces 属、Candida 属、Pichia属等の酵母;Aspergillus 属、Rhizopus属等の真菌;等の微生物が好適に使用される。
【0037】
上記例示の宿主細胞のうち、一般には、Escherichia 属、Pseudomonas 属、Burkholderia属、等のグラム陰性の細菌が好ましく、中でも、Burkholderia cepaciaがより好ましく、Burkholderia cepacia SC-20が特に好ましい。Burkholderia cepaciaを宿主細胞とすることにより、リパーゼの構造遺伝子、および、ベクターにより運ばれた上記DNA構成物が好適に発現されるとともに、産生されたリパーゼを培地中に放出させることができる。
【0038】
尚、上記のBurkholderia cepaciaとは、Yabuuchiら(Microbiol.Immunol.,vol.36,p.1251,1992)により提唱され、1993年に属として認めらた(International Journal of Systematic Bacteriology,vol.43,p.398,1993) Burkholderia属に属する細菌である。
【0039】
(5)形質転換体の作製方法
ベクターを用いた宿主細胞の形質転換は、ベクター毎に確立されている方法で行うことができる。例えば、上記ベクターとしてプラスミドを使用する場合、塩化ルビジウム法、塩化カルシウム法、エレクトロポーレーション法、接合伝達法等の方法を利用することにより、該プラスミドが導入された宿主細胞(形質転換体)を作製することができる。
【0040】
(6)リパーゼ(およびその誘導体)の産生方法、回収方法
宿主細胞を培養するための培地は、該宿主細胞(主に細菌)の増殖に適する培地であれば特に限定されるものではないが、リパーゼ又はその誘導体の産生を誘導するために、リパーゼ誘導物資を含有していることが好ましい。上記リパーゼ誘導物資としては、具体的には例えば、ダイズ油、オリーブ油、菜種油等の脂質;トリパルミチン、トリステアリン、トリオレイン等のトリグリセリド;などを挙げることができる。
【0041】
宿主細胞を培養することで産生されたリパーゼ又はその誘導体は、該宿主細胞および/または培地から回収することができる。回収方法は特に限定されるものではなく、リパーゼ又はその誘導体が細胞中に含まれている場合には、例えば、細胞を破砕後、破砕液を遠心分離にかける方法が用いられる。また、リパーゼ又はその誘導体が培地(液体培地)に含まれている場合には、培地を遠心分離あるいはろ過して宿主細胞を取り除き、続いて、硫酸アンモニウム等の塩、または、アセトン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルアルコール等の有機溶媒を用いて、上澄みまたはろ液のタンパク質成分(主にリパーゼ又はその誘導体)を沈殿分離する方法が用いられる。
【0042】
このようにして分離・回収されたリパーゼ又はその誘導体は、必要に応じて、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティー・クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等、各種のクロマトグラフィー手法を用いて精製されてもよい。
【0043】
(7)リパーゼ(およびその誘導体)の活性測定方法
リパーゼ(およびその誘導体)の活性測定方法は特に限定されるものではないが、例えば、脂質等のエステル等を酵素反応(加水分解)の基質として与え、a)生じる脂肪酸の量を測定する、b)脂肪酸が生じることによるpHの変化を測定する、等の方法を用いることができる。また、リパーゼ(およびその誘導体)の活性の有無を簡便に評価する方法として、c)脂質等の加水分解による、そのエマルジョン消失を観察する方法、等を用いることもできる。
【0044】
一般には、a)オリーブ油を基質としてリパーゼの酵素反応を行い、フェノールフタレインを指標にして遊離する脂肪酸をアルカリ滴定する方法、b)酵素反応により脂肪酸が生じる際のpHの変化をpHスタットにて計測する方法、c)寒天培地上に基質としてのトリブチリンを与え、クリアゾーンの形成の有無を見る方法等が用いられる。
【0045】
このようにして得られたリパーゼ(およびその誘導体)は、熱や有機溶媒に対する安定性、及び該酵素の基質特異性の改変等を行い、より一層価値の高いリパーゼへ誘導することも可能である。これにより、医薬や農薬等の化成品の中間体等としての光学活性化合物を製造する上での有用性がさらに高まること等も期待される。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、実施例において、%は特に断りの無いかぎり(W(重量)/V(体積))%を表すものとする。
【0047】
〔実施例1〕
(産生プラスミドの構築)
リパーゼの構造遺伝子lipAを含有する、Burkholderia cepacia SC-20(受託番号FERM P−17406)のプラスミドpAL601(特開平10−210975号公報参照)を制限酵素EcoRIで切断後、ベクターへの挿入DNA断片として約6.0kbのDNA断片を、QIAquick Gel Extraction Kit (株式会社キアゲン)を用いて回収した。
【0048】
また、グラム陰性菌用の広宿主域ベクターであるプラスミドpBBR122(MoBiTec GmbH,Germany)を制限酵素EcoRIで切断し、Shrimp Alkaline Phosphatase (ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を用いて末端の脱リン酸化処理を行った。そして、上記の約6.0kbのDNA断片をプラスミドpBBR122にライゲーションして、目的とするプラスミドpAL720を作製した。続いて、プラスミドpAL720を、大腸菌DH5α内に導入し、該プラスミドpAL720のコピーを作製させた。尚、プラスミドpAL720導入後の大腸菌DH5αに対し、該プラスミド(または、約6.0kbのDNA断片)が導入されていることを確認するための塩基配列解析については実施例2で行った。
【0049】
一方、上記の6.0kbのDNA断片を、さらに制限酵素ApaI、及び制限酵素SmaIで切断し、リパーゼの構造遺伝子lipAを含む約1.6kbのDNA断片(図17参照)を同様に回収し、該DNA断片の末端を、DNA Blunting Kit (宝酒造株式会社)を用いて平滑化した。
【0050】
上記の約1.6kbのDNA断片を、制限酵素DraIで切断後に末端の脱リン酸化処理が行われたプラスミドpBBR122にライゲーションして、プラスミドpAL717を作製した。続いて、プラスミドpAL717を、大腸菌DH5α内に導入し、該プラスミドpAL717のコピーを作製させた。尚、プラスミドpAL717導入後の大腸菌DH5αに対し、該プラスミド(または、約1.6kbのDNA断片)が導入されていることを確認するための塩基配列解析については実施例2で行った。尚、上記のプラスミドpAL720に挿入されるDNA断片と、プラスミドpAL717に挿入されるDNA断片との相対的な位置関係は、図17に示した。
【0051】
(形質転換体の作製)
エレクトロポーレーション法により宿主細胞としてのBurkholderia cepacia SC-20に、プラスミドpAL720を導入した(形質転換した)。形質転換は、ジーンパルサー(日本バイオ・ラッド・ラボラトリーズ株式会社)を用い、25kV/cmの条件で行った。エレクトロポーレーション後、0.2mg/mlのカナマイシンを含有するNutrient Agar 培地で、プラスミドpAL720が導入されてなる形質転換体(Burkholderia cepacia SC-20/pAL720)を選択した。また、プラスミドpAL717が導入されてなる形質転換体(Burkholderia cepacia SC-20/pAL717)も、同様の方法で作製・選択した。
【0052】
(形質転換体の培養と活性測定)
上記2種類の形質転換体、及び形質転換のなされていないBurkholderia cepacia SC-20それぞれを、Nutrient Broth培地で別々に前培養を行った。尚、以下、前培養液とは、形質転換体、または形質転換のなされていないBurkholderia cepacia SC-20を含んでなるNutrient Broth培地のことを指す。
【0053】
続いて、オリーブ油が1%となるように加えられたNB2培地(Nutrient Brothに、リン酸2水素1カリウム、硫酸マグネシウム・7水和物、硫酸第一鉄・7水和物が、順に0.1%、0.02%、0.001%となるように加えた液体培地)100mlに、前培養液の1mlを植菌した。培養は、三角フラスコにて30℃の温度条件で行った。なお、形質転換体を培養するための各NB2培地には、0.25mg/mlとなるようにカナマイシンを添加した。
【0054】
上記の条件で50時間培養を行った後、形質転換体、または形質転換のなされていないBurkholderia cepacia SC-20を含んでなるNB2培地(培養液)を、15000rpmで5分間、遠心分離にかけて上清液を回収し、該上清液に含まれるリパーゼの活性を測定し、リパーゼ量の評価を行った。
【0055】
上清液中のリパーゼ量は、15mlのトリブチリン、50mlのエマルジョン液(塩化ナトリウム17.9g、リン酸2水素1カリウム0.41g、グリセロール540ml、アラビアゴム6gに水を加えて1Lに調製した液)に、235mlの水を加えてよく混合した後、上清液の20倍水希釈液を100μl添加し、温度30℃、pH7.0の反応条件下で酵素反応を行わせ、遊離する酪酸の量をpHスタット法により測定することで評価される。本実施例におけるリパーゼの酵素単位1U(ユニット)とは、1分間に測定可能な1マイクロモルの酪酸を遊離させる酵素(リパーゼ)の量である。リパーゼ活性の測定結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
上記の表1より明らかなように、プラスミドpAL720が導入された形質転換体Burkholderia cepacia SC-20/pAL720 と、元株(Burkholderia cepacia SC-20)とを比較すると、上清液1ml当たりのリパーゼ活性(U/ml)は、上記形質転換体が元株の約3倍となっていた。即ち、Burkholderia cepacia SC-20/pAL720 は、元株の約3倍量のリパーゼを産生したことが分かった。また、形質転換体Burkholderia cepacia SC-20/pAL717 と比較しても、約2倍量のリパーゼを産生したことが分かった。
【0058】
〔実施例2〕
(塩基配列の解析)
実施例1にて、リパーゼの効率よい産生のためには、リパーゼの構造遺伝子lipAに加え、制限酵素EcoRIで切り出される約6.0kbのDNA断片上の他の遺伝子が働いていることが明らかになった。そこで、本実施例では該DNA断片の塩基配列の解析を行った。
【0059】
始めに、約6.0kbのDNA断片のサブクローンを作製し、染色体歩行(クロモソームウォーキング、またはプライマーウォーキング)により、該DNA断片の塩基配列を決定した。塩基配列の解析には、ABI Prism Cycle Sequencing Kit(PE バイオシステムズ ジャパン株式会社)を用いた。反応は、該キットの説明書にある条件、あるいは、該DNA断片のGC含量が多いため、反応液にグリセロール、及びDMSO(ジメチルスルホキシド)それぞれを、該反応液の体積の5%となるように添加した条件で行った。シークェンスは、DNAシークェンサー373S(PE バイオシステムズ ジャパン株式会社)を用いて行い、得られた結果は、Sequenceher(Gene Codes Corp,USA)とGenetyx-Mac (ソフトウェア開発株式会社)を用いて解析した。
【0060】
得られた塩基配列を解析した結果を、図2〜図16に示す。この約6.0kbのDNA断片において、リパーゼの構造遺伝子lipAの下流には、リパーゼの産生に寄与するとされてきたモジュレーター遺伝子や活性化遺伝子等は存在しなかった。
【0061】
一方、図1〜図16、及び図18に示すように、リパーゼの構造遺伝子lipAの上流にlixR遺伝子が、また、該構造遺伝子lipAが位置するDNA鎖の相補鎖に以下に説明する3つのORF(Open Reading Frame) が、即ち全部で4つのORFが見出された。上記遺伝子のうちlixR遺伝子は、塩基配列の比較から、上記説明のようにLys−R型転写制御遺伝子と相同性があることがわかった。また、lixR遺伝子と逆方向に読まれる上記相補鎖には、上流側から順に、OrfA遺伝子、OrfB遺伝子、OrfC遺伝子(3つのORFに相当)、及びORFの途中まで含まれているOrfD遺伝子が見出された。
【0062】
図18に示すように、プラスミドpAL717への挿入DNA断片と比較して、プラスミドpAL720への挿入DNA断片は、OrfA遺伝子、OrfB遺伝子、OrfC遺伝子、及びlixR遺伝子よりなる遺伝子群を含む点で異なっており、これらの遺伝子群が、リパーゼの産生を増強するリパーゼ産生増強遺伝子として機能していると考えられる。
【0063】
以上の各実施例において、プラスミドの調製、制限酵素などを用いた反応、形質転換及びDNA断片の処理は、特に記載したもの以外は、制限酵素やDNA修飾酵素、形質転換用大腸菌等は、宝酒造株式会社、東洋紡績株式会社、NEW England Biolabs,Inc.(USA) のものを使用して行った。
【0064】
【発明の効果】
本発明により、Burkholderia cepacia等に由来するリパーゼを組換え体を用いて産生する際に、該リパーゼの産生を増強することができる新規なリパーゼ産生増強遺伝子を提供することが可能となる。また、リパーゼ産生増強遺伝子とリパーゼの構造遺伝子とを含んでなるDNA複合構成物;該DNA複合構成物、または、リパーゼ産生増強遺伝子が挿入されてなるベクター;該ベクターが宿主細胞に導入されてなる形質転換体;を提供することが可能となる。よって、例えば、医農薬の中間体などの光学活性化合物の製造に利用されるリパーゼを効率よく供給することができるという効果を奏する。
【0065】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】約6.0kbのDNA断片の制限酵素地図と、そのDNA断片上に位置するリパーゼの構造遺伝子、及びリパーゼ産生増強遺伝子の位置関係を示す図である。
【図2】図1に示すDNA断片の塩基配列、及び該DNA断片上に位置するリパーゼの構造遺伝子、及びリパーゼ産生増強遺伝子の位置を示す図である。
【図3】図2に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図4】図3に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図5】図4に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図6】図5に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図7】図6に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図8】図7に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図9】図8に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図10】図9に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図11】図10に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図12】図11に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図13】図12に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図14】図13に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図15】図14に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図16】図15に示すDNA断片の塩基配列の続きを示す図である。
【図17】プラスミドpAL720への挿入DNA断片、及びプラスミドpAL717への挿入DNA断片と、リパーゼ構造遺伝子との位置関係を示す図である。
【図18】プラスミドpAL720への挿入DNA断片、及びプラスミドpAL717への挿入DNA断片と、リパーゼ構造遺伝子、及びリパーゼ産生増強遺伝子との位置関係を示す図である。
Claims (1)
- リパーゼ産生増強遺伝子を含むDNAであって、
(a)配列番号9に示される塩基配列の第1位〜第4238位からなるDNA;または
(b)上記(a)に記載のDNAと90%以上の相同性を有するDNA。
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