JP3790479B2 - アレルゲン不活性化フィルター及び空気処理装置 - Google Patents

アレルゲン不活性化フィルター及び空気処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアレルゲン不活性化フィルター及び空気処理装置に関し、特にアレルギーを引き起こす原因物質である生物由来のタンパク質を主成分としたアレルゲンをトラップし、アレルゲンを変性・分解させるアレルゲン不活性化フィルター及びこのフィルターを組み込んだ空調機,除湿機,加湿器,換気装置等の空気処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知の如く、住宅の高気密化などの理由により、近年ではアレルギー問題がクローズアップされてきている。アレルギーとしてはスギ花粉が特に有名であるが、ダニやゴキブリ等の害虫の死骸やその排泄物が原因となるアレルギーも近年では深刻化しており、その対策として各種製品が世に送られている。しかし、アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)を特定して排除する技術は確立されたものは世の中には無く、ハウスダストとしてまとめて処理する掃除用具(掃除機やモップなど)が市販されているに過ぎない。
【0003】
ところで、アレルギーはアレルゲンが直接皮膚に接触することによっても生じるが、その多くは空気中の浮遊アレルゲンを吸引することによって生じるため、空気中のアレルゲンを排除させることができればアレルギー症状を緩和できると考えられる。特に、ダニや花粉などの生物由来のアレルゲンはタンパク質を主成分としているため、アレルゲンタンパク質を変性させることでアレルゲンとしての活性を失わせることができると考えられる。
【0004】
ここで、アレルゲンタンパク質の変性には酸・アルカリを使った化学的変性や、高温等による物理的変性が一般的に知られている。また、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を用いることでタンパク質を分解できることも公知である。
【0005】
従来、アレルゲンを排除する方法としては、以下のものが知られている。即ち、例えばスギに代表される花粉では、外出時に着用するマスクに花粉を通過させないような細かいメッシュを入れることで、体内に花粉が取り込まれないようにしている。しかし、居住空間内における花粉の積極的な排除は、集塵機に代表されるような空気中浮遊物質の一部として花粉が捕獲されるに過ぎず、積極的なアレルゲン除去方法とは言えない。
【0006】
また、ダニ等に代表される害虫由来のアレルゲンでは、寝具のこまめな清掃や畳・床の清掃を行うことで、害虫の存在量を減少させ、アレルゲン量の軽減を行っているのが現状である。しかし、このような方法では一時的にアレルゲンの量が減少するが、害虫が繁殖することによりアレルゲンの量はそれに応じて増加するため、アレルゲン量を低い値で維持するためには、相当の人力を必要とする。また、害虫駆除等で薬品を使うこともあるが、薬品自体の人体への影響も十分に考える必要があり、十分な方策とは言えない。
【0007】
ところで、空調関連機器においてはアレルゲン除去手段を施すことで、自動的にアレルゲン量を軽減できる。具体的にはダニ及び花粉アレルゲンは粒子状であり、フィルターを用いることでトラップ可能である。ここで、トラップ(trap)とは、物を捕らえる、あるいは不要物を除去する、といった動作を示す用語である。また、トラップしたアレルゲンは再飛散する可能性があることから、フィルターでトラップしたアレルゲンを何らかの手段で不活性化を行う方法が重要となるが、このような機能を具備した例はない。
【0008】
ところで、酵素を基材に担持する方法としては、バイオセンサー等で酵素を基材に担持する方法などが既に知られている。また、特開平6―91117号公報には、粘液細菌が生産するよう菌酵素及び抗生物質を基材に固定したフィルターが開示されている。更に、国際公開番号WO98/04334号公報には、空気清浄フィルターの担体の表面に酵素を固定させることにより、従来の空気清浄フィルターでは困難であった浮遊する微生物を直接殺菌浄化でき、フィルター上に補集した微生物をも殺菌・滅菌除去する空気浄化フィルターが開示されている。
【0009】
しかしながら、フィルターにアレルゲン不活性化機能を有する酵素を具備し、浮遊するアレルゲンを不活性化させるものの提案はこれまでになかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、通過空気中に浮遊する花粉やダニアレルゲンを捕獲可能な10μm未満のメッシュを有するフィルター本体に、捕獲した花粉やダニアレルゲンを不活性化する機能を有する,100万U以上の分解能をもつ酸性・中性・塩基性の酵素を担持させ、この酵素によりフィルター本体で捕獲された花粉やダニアレルゲンを変性もしくは分解して不活性化する構成にすることにより、アレルゲン量を低減するアレルゲン不活性化フィルターを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、前記アレルゲン不活性化フィルターを備えた構成にすることにより、上記と同様、アレルゲン量を低減できる空気処理装置を提供することを目的とする。
【0012】
更に、本発明は、アレルゲン除去運転モードを備えた構成にすることにより、モードを切り替えることによって、上記目的を必要に応じて達成する空気処理装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願第1の発明は、通過空気中に浮遊する花粉やダニアレルゲンを捕獲可能な10μm未満のメッシュを有するフィルター本体と、該フィルター本体に担持され、捕獲した花粉やダニアレルゲンを不活性化する機能を有する,100万U以上の分解能をもつ酸性・中性・塩基性の酵素とを具備し、該酵素によりフィルター本体で捕獲された花粉やダニアレルゲンを変性もしくは分解して不活性化することを特徴とするアレルゲン不活性化フィルターである。
【0014】
本願第2の発明は、前記アレルゲン不活性化フィルターを備えたことを特徴とする空気処理装置である。ここで、空気処理装置としては、空調機、空気清浄機、除湿機、乾燥機,加湿器,換気装置のいずれか一つが挙げられる。
【0015】
本願第3の発明は、アレルゲン除去運転モードを備えたことを特徴とする空気処理装置である。ここで、アレルゲン除去運転モードとは、運転モード選択手段を設け,必要に応じてアレルゲン除去運転を可能とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るアレルゲン不活性化フィルター及びこのフィルターを組み込んだ空調機等の空気処理装置について更に詳しく説明する。
本発明において、前記酵素としては、アレルゲンを構成するタンパク質を変成もしくは分解できるものであり、特に限定はないが、例えばプロテアーゼやペプチターゼが挙げられる。前記プロテアーゼは、タンパク質分子のペプチド結合を加水分解する酵素で、タンパク質はペプトン化される。また、ペプチアーゼは、ペプチド鎖のアミノ末端あるいはカルボキシ末端のペプシド結合を加水分解する働きがある。更に、適用する酵素は、酸性・中性・塩基性の酵素が利用可能であり、100万U(1分間に1μmolのタンパク質を分解する酵素の単位)のものである。但し、これ以上でも何ら問題ない。
【0017】
本発明において、前記フィルター本体の材質としては、例えば綿や羊毛などの天然繊維,レーヨンや酢酸セルロースなどの再生繊維,ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートやポリアミドなどの合成繊維の不織布または編織物、ガラス繊維マット、金属繊維マット、さらにはアクリル酸系,アクリルアミド系,ポリビニルアルコール系などの合成樹脂,あるいはアルギン酸ナトリウム,マンナン,寒天などの天然・再生材料である吸水性/及びまたは吸湿性材料が使用され、前記フィルター本体に前記酵素が直接固定、または担持体を介して固定されている。
【0018】
前記フィルター本体(フィルター)の形状としては、特に限定はないが、例えば下記のものが挙げられる。
1)アレルゲンを不活性化する機能を有する酵素を、不織布などからなる平坦なフィルター本体に担持させたフラット型(図1参照)。
2)前記酵素を担持した担持体をバインダーを用いて不織布に固定したフラット型(図2参照)。
【0019】
3)前記酵素を担持した担持体を2つの基材(繊維シート)によりサンドイッチ状に挟んだフラット型(図3(A)参照)や、一つの基材にオープンサンドイッチ状に載せたフラット型(図3(B)参照)。
4)前記フィルター本体をひだおりしたプリーツ型(図5(A)参照)。プリーツ型の場合、フィルターの本体の面積を増やすことができる。
【0020】
5)酵素を担持させた繊維を束ねて棒状部材にし、これらの棒状部材の両端で連結させた棒状型(図5(B)参照)。ここで、棒状部材の断面は特に限定されることなく、例えば三角形、四角形、円形、楕円形、中空体形状が挙げられる。
6)ウレタン等の多孔体の表面に酵素を担持させた海綿状型(図5(C)参照)。
7)薄板状にして、例えば空調機などのよろい板の開口部にルーバ機能を持たせたルーバ状型(図示せず)。
【0021】
本発明において、フィルター本体にはアレルゲンを不活性化する機能を有する酵素を有する他、脱臭機能、除塵機能、耐微生物機能、芳香付加機能、マイナスイオン付加機能の少なくともいずれか1つの機能を付加させることが好ましい。
【0022】
ところで、一般に酵素は絶乾状態においてはその活性を持たないものである。そのため、空気中の湿気、あるいは液体の補給水等、水分の補給が必要となる。本発明において、アレルゲン不活性化フィルターに給水するためには、水溜をフィルターの上部あるいは下部、又は通風路の邪魔にならない近傍に配置し、水溜とフィルターとを直接接続するか、毛細管作用を有する材料で作られる導水材と連結し、フィルターの酵素が効力を発揮するために必要な水分を水溜から常時補給できるようにすることが好ましい。
【0023】
ここで、毛細管作用を有する材料としては、和紙、脱脂綿、羊毛のマットあるいは織物が使用でき、更にフィルターに使用する材料と同様の吸水性材料を単独、又は和紙、脱脂綿、羊毛のマットあるいは織物と混合したものが使用できる。水分の補給を液体の水で行う場合には吸水性を有する材料を、水分の補給を空気中の湿気から行う場合には吸湿性の材料を使用するのが好適である。もちろん、吸水性と吸湿性とを併せもつ材料も好適に使用できる。
【0024】
前記水溜を構成する容器は、水分の損失を防ぐため水分を透過させない材料で構成することが好ましい。具体的な材料としては、例えばアルミニウム、鉄等の金属材料、あるいはポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックが挙げられる。また、前記容器の形状は特に限定されないが、フィルターの端部に沿った細長い筒状でフィルターへの水の補給は長手方向にスリットあるいは小穴を設けた形状が好ましい。更に、容器には直接水を充填してもよいが、水の漏洩を防止するため吸水性材料を充填することが望ましい。ここで、容器に充填する吸水性材料としては、フィルターに使用する材料と同様のものを使用することができる。
【0025】
本発明において、補給水として水道水、蒸留水等の水が使用でき、更に冷房時に熱交換器に発生する凝縮水や冷却された空気の相対湿度が高くなることを利用して吸湿した水も使用できる。いずれの水を使用しても、特殊な処理は全く必要ない。しかし、補給水に界面活性剤(0.1%程度)を共存させることで酵素とアレルゲンの濡れ性が向上し、更なる効果が期待できる。
【0026】
なお、空気の温度が低く、酵素が十分な活性を発揮しない場合がある。例えば、夏季で連続して空調機を冷房運転している場合がこれに該当する。このような場合、本発明において、本発明のアレルゲン不活性化フィルターにヒータを備え、このヒータによる加熱によりアレルゲンを失活させるようにすることが好ましい。具体的には、前記フィルターを例えば空調機に適用した場合について述べれば、空調機がOFFの時に、ヒータをONにして前記フィルターを加熱し、これにより、アレルゲンタンパク質の変性が起こり、アレルゲンとしての活性が失われ、フィルターからはアレルゲン軽減空気が通過することになる。あるいは、ヒータを備える代わりに、空調機の運転を一時的に暖房運転とすることでも、酵素の温度を高めることが可能である。
【0027】
また、冬季の暖房運転を開始した直後も空気の温度が低い。特に、フィルターを空調機の空気吸い込み側に設けた場合は、暖房運転を開始してからフィルター周辺の空気が暖まるまでに時間がかかる。前記したヒータを設けると、このような場合であっても、運転開始直後からフィルター周辺の空気の温度を高め、酵素のアレルゲン不活性化活性を早くから発揮することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の各実施例について図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1(A),(B)を参照する。ここで、図1(A)はアレルゲン不活性化フィルターの全体図、図1(B)は図1(A)の部分拡大図を示す。
図中の符番1は、アレルゲンを不活性化するアレルゲン不活性化フィルターを示す。この不活性化フィルター1は、不織布からなるフィルター本体2と、このフィルター本体2を構成する繊維3に直接担持された酵素4とを備えている。ここで、前記繊維3としては、例えば、ガラス、レーヨン、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリル酸系、ポリアクリルアミド系統の等の繊維が挙げられる。
【0029】
ここで、酵素4を繊維3に担持させる場合、物理的に担持する形態には限らず、化学的に担持する形態も利用できる。例えば、基材のカルボキシル基をアジト化し、アミド結合により酵素と化学結合させることで、酵素を基材に担持させることができる。なお、カルボキシル基に限らず、水酸基やアミノ基等の官能基であっても、化学結合に利用することができる。このように、化学的に担持する方法は、従来から知られている(新実験化学講座 生物化学(I),p.363〜409,丸善(1978))。
【0030】
実施例1に係るフラット型のアレルゲン不活性化フィルターによれば、フィルター本体2に、アレルゲンを不活性化する機能を有する酵素4を担持した構成となっているため、従来と比べ、アレルゲン量を低減することができる。
【0031】
(実施例2)
図2を参照する。図2は、本発明の実施例2に係るフラット型のアレルゲン不活性化フィルターの要部を示す。実施例2は、図2に示すように、吸水性及び/または吸湿性を有する担持体5に酵素4を担持させ、更に前記担持体5をバインダー(図示せず)を用いて繊維6に固定させた構成であることを特徴とする。ここで、前記担持体5の材質としては、例えばポリアクリル酸系,ポリアクリルアミド系,ポリビニルアルコール系などの合成材料、あるいは綿,羊毛,アルギン酸ナトリウム,マンナン,寒天などの天然材料、あるいはレーヨンなどの再生材料等が挙げられる。また、繊維6の材質としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)が挙げられる。
【0032】
実施例2に係るフラット型のアレルゲン不活性化フィルターによれば、吸水性及び/または吸湿性を有する担持体5に酵素4を担持させ、更に前記担持体5をバインダーを用いて繊維6に固定させた構成となっているので、実施例1と同様な効果を有する。
【0033】
(実施例3)
図3(A)を参照する。図3(A)は、本発明の実施例3に係るフラット型のアレルゲン不活性化フィルターを示す。ここで、不活性化フィルター1は、複数の酵素4を担持させた担持体5と、これらを上下からサンドイッチ状に挟む基材7,8とから構成されている。ここで、前記担持体5の材質としては、例えばポリアクリル酸系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、綿、羊毛、レーヨン、アルギン酸ナトリウム、マンナン、寒天が挙げられる。前記基材は7,8は、繊維6からなる不織布からなる。ここで、担持体5の下側に位置する基材8としては、花粉粒子(粒径:20〜30μm)やダニ(特に糞の粒径:10〜40μm)の径より小さいメッシュを有した不織布にすることが担持体5を保持する意味で好ましい。
【0034】
実施例3に係るフラット型のアレルゲン不活性化フィルターによれば、酵素4を担持した担持体5を上下の2つの基材7,8によりサンドイッチ状に挟んだ構成となっているので、実施例1と同様な効果を有する。
【0035】
また、図3(B)に示すオープンサンドイッチ式のフラット型のアレルゲン不活性化フィルターであっても、同様の効果を発揮する。
【0036】
なお、上記実施例1〜3にフラット型のアレルゲン不活性化フィルター1は、図4に示すように、ケース9に入れて空調機などの空気流路等に配置されて使用される。
【0037】
(実施例4)
図5(A)を参照する。図5(A)は、本発明の実施例4に係るプリーツ型のアレルゲン不活性化フィルターを示す。この不活性化フィルター1は、酵素を直接担持させた繊維によりフィルター本体2を構成し、このフィルター本体2をひだ折りすることにより構成している。
【0038】
実施例4に係るフラット型のアレルゲン不活性化フィルターによれば、酵素を直接担持した繊維によりフィルター本体2を構成し、このフィルター本体2をひだ折りした構成になっているため、実施例1と比べ、低圧損であるとともに、アレルゲンとの接触機会が増えるので捕集率を高めることができ、更に水分の蒸発を抑制することができる。
【0039】
(実施例5)
図5(B)を参照する。図5(B)は、本発明の実施例5に係るプリーツ型のアレルゲン不活性化フィルターを示す。この不活性化フィルター1は、酵素4を担持させた繊維を束ねた断面形状が円形の棒状部材11であり、これらの棒状部材11の両端で夫々支持部材12,13に連結させた構成となっている。
【0040】
実施例5に係る棒状型のアレルゲン不活性化フィルターによれば、酵素を担持した繊維により棒状部材11を構成し、この棒状部材11の両端を夫々支持部材12,13に連結させた構成になっているため、実施例1と比べ、低圧損であるとともに、酵素担持量が増大するので不活化能力が大きく、更に長寿命にすることができる。
【0041】
なお、上記実施例5では、棒状部材の断面形状は円形であったが、特に限定されることなく、例えば三角形、四角形、楕円形、あるいは中空体形状でもよい。また、棒状部材の方向性は特に限定されず、縦方向、横方向、あるいは斜め方向等に向きを統一してもよいし、交差させてもよい。更に、実施例5のフィルターを空調機等に実装する場合は、例えば吹出口、あるいは吸込口と吹出口の両方等、空気の流れが速い所等に取り付けるときに好ましく適用できる。
【0042】
(実施例6)
図5(C)を参照する。図5(C)は、本発明の実施例6に係る海綿状型のアレルゲン不活性化フィルターを示す。この不活性化フィルター1は、ウレタン等の多孔体14の表面に酵素4を担持させた構成となっている。
【0043】
実施例6によれば、実施例1と同様な効果を有する。
【0044】
(実施例7)
図6(A),(B)を参照する。ここで、図6(A)は本発の実施例7に係るアレルゲン不活性化フィルターへの給水方法の説明図、図6(B)は図6(A)のX−X線に沿う拡大断面図を示す。
【0045】
本実施例7の場合、毛細管型のアレルゲン不活性化フィルター21を用いる。このフィルター21は、横方向に延びる複数の棒状部材22からなり、両端で電極端子である支持部材23、24により支持されている。各棒状部材22は、図7(B)に示すように、ヒータ(鉄心)25の外周に絶縁材26を介して吸水性高分子27を設けた構成になっている。棒状部材22のヒータ25は両端で支持部材23,24に電気的に接続されている。前記フィルター21の下端は、上部に長手方向(図中左右方向)に沿ってスリット(図示せず)を有した金属製の水タンク28中の水に浸漬しており、毛細管作用により水タンク28内の水がスリット部分からフィルター21に染み出すようになっている。前記支持部材23,24にはヒータ用電源29が接続されている。なお、図中の符番21’は棒状部材22間の隙間を示す。
【0046】
実施例7によれば、アレルゲン不活性化フィルター21の下端が水タンク28中の水に浸漬しているので、毛細管作用により水タンク28中の水がスリット部分からフィルター21に染み出し、フィルター21の酵素が効力を発揮するために必要な水分を水タンク28から常時補給することができる。
【0047】
(実施例8)
図7を参照する。ここで、図7は本発明の実施例8に係るアレルゲン不活性化フィルターへの給水方法の説明図を示し、図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。
本実施例8は、図7と比べ、水タンク28をフィルター21の上部側に配置したことを除いて、実施例7と同様な構成となっている。
実施例8によれば、水タンク28がフィルター21の上部側に配置されているので、実施例7と比べ、水タンク28中の水が自重によりフィルター21に染み込みやすく、フィルター21への水の補給をより一層確実に行うことができる。
【0048】
なお、上記実施例7、8においては、フィルターを構成する棒状部材をヒータの周囲に絶縁材を介して吸水性高分子を設けた場合について述べたが、これに限らない。例えば、図8(A)に示すように吸水性高分子27の外周に、空気の通る側(図中左側)が開口したカバー29を設けた棒状部材22a、あるいは図8B)に示すように吸水性高分子27に多数の孔30を設けた棒状部材22bが挙げられる。前記カバー29を設けるのは、フィルター21から余分な水分の蒸発を防ぎ、長期保水性を維持するためである。また、図示しないが、別な棒状部材として、吸水性高分子の周囲に親水性高分子を配置し、さらにこの外周に空気の通る側が開口したカバーを配置した構成でもよい。
【0049】
なお、吸水性材料は一般に高分子であるが、特に高分子でなくても吸水性材料であれば本発明に使用できることは言うまでもない。
【0050】
(実施例9)
図9(A)〜(C)を参照する。ここで、図9(A)は本発明の実施例9に係るアレルゲン不活性化フィルターへの給水方法の説明図を示し、図9(B)は図9(A)のX矢視図、図9(C)は図9(B)の部分拡大図を示す。但し、図1、図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0051】
図中の符番31は、水を収容した水タンク28の開口部(図示せず)から水部分まで達した透湿性チューブを示す。これら透湿性チューブ31が複数個適宜な間隔で配置されてアレルゲン不活性高分子フィルター32が構成されている。前記透湿性チューブ31の材質は、例えば酢酸セルロースや再生セルロースからなる中空繊維である。またポリテトラフロロエチレン(商品名:ゴアテックス、W.L.ゴア・アンド・アソシエーツ社製)も利用可能である。前記透湿性チューブ31には、図9(B)に示すように酵素3が担持されているとともに、水タンク28内の水を滲み出させるためのミクロンオーダーの穴33が多数設けられている。前記水タンク28には、水タンク28内を加圧する加圧手段としてのポンプ34が接続されている。
【0052】
実施例9によれば、水タンク28にポンプ34を接続した構成となっているため、水タンク28内の圧力を調整することにより、透湿性チューブ31に送る水の量を制御することができる。
【0053】
なお、実施例9では、加圧手段としてポンプを用いた場合について述べたが、これに限らず、水タンクの周辺等に水タンク内の水を加熱するためのヒータを設け、水を加熱することにより透湿性チューブの穴から水蒸気として蒸発させ、透湿性チューブにおける水分量を調節してもよい。
【0054】
(実施例10)
図10を参照する。ここで、図10は、本発明の実施例10に係るアレルゲン不活性化フィルターへの給水方法の概略的な説明図を示す。但し、図1、図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。
本実施例10は、水タンク28をアレルゲン不活性化フィルター35の上部側に配置したことを特徴とする。ここで、前記フィルター35は、酵素3を担持した複数の中空繊維36から構成され、中空繊維36が水タンク28に連結されている。
【0055】
実施例10によれば、水タンク28中の水が自重により水タンク28、中空繊維36を経て繊維表面に移行し、酵素3を活性化させることができる。また、水の蒸発を最小限に抑え、長寿命なフィルター35が得られる。
【0056】
(実施例11)
図11(A)〜(C)を参照する。ここで、図11は、本発明の実施例11に係るフラット型アレルゲン不活性化フィルターへの給水方法の概略的な説明図を示す。但し、図1、図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0057】
上記実施例6〜10では、棒状部材あるいは中空状部材からなるフィルターへの給水方法について述べたが、本実施例11はフラット状のフィルターへの給水方法を示す。具体的には、下記(1)〜(3)のとおりである。
【0058】
(1).図11(A)に示すように、下部側に長手方向に沿ってスリット(図示せず)を有した水タンク28を用いて、該水タンク28のスリットにフィルター1の上端が挿入されるように配置し、上部の水タンク28から自重により水をフィルター1に給水する方法。
【0059】
(2).図11(B)に示すように、水タンク28のスリット部から不織布37を介してフィルター1と連結させ、毛細管作用により水タンク28中の水を不織布37を経てフィルター1に給水する方法。
【0060】
(3).図11(C)に示すように、フィルター1の下部側に水タンク28を配置するとともに、水タンク28中の水に不織布37を介してエバポレータ(又はドレンポット)38を接続させ、エバポレータ38からの水を不織布37、水タンク28を経てフィルター1に給水する方法。
【0061】
なお、図11(A),(B)では不織布37を用いたが、これに限らず、毛細管作用を発揮する材料であればよい。
【0062】
上記(1)の場合、水タンク28中の水が自重により水タンク28からフィルター1に移行し、フィルター1に担持された酵素を活性化させることができる。上記(2)の場合、水タンク28中の水が水タンク28から不織布37を経てフィルター1に移行し、フィルター1に担持された酵素を活性化させることができる。上記(3)の場合、エバポレータ又はドレンポットに蓄積された水をフィルター1に担持された酵素の活性化のために有効に活用できる。
【0063】
(実施例12)
図12を参照する。本実施例12は、本発明に係るアレルゲン不活性化フィルターへの加熱方法の説明図を示す。図12は、混織型のアレルゲン不活性化フィルター41に対する加熱方法を示すもので、フィルター41の上部、下部には夫々電極となる支持部材42,43が配置されている。ここで、フィルター41は、導電性繊維44と不導体ポリマー45と図示しない酵素とから構成されている。なお、導電性繊維44に代えて、導電性粒子を用いることもできる。
【0064】
こうした状態で交流電源29を用いて前記フィルター41を加熱するには、支持部材42,43間の導電性繊維44に電圧を印加することにより行う。これにより、混織型のアレルゲン不活性化フィルター41の加熱を行うことができる。ここで、フィルターの加熱を行う理由は、粒子状のダニ及びアレルゲンをフィルターにより捕捉(トラップ)しても、使用時間の経過とともに捕捉されたアレルゲンがフィルターを通過して、再度空気中に飛散する傾向があるので、フィルターの加熱によりアレルゲンの不活性化を行うためである。
【0065】
(実施例13)
図13(A)〜(C)を参照する。ここで、図13(A)はフィルター使用時の説明図、図13(B)はフィルター不使用時の説明図、図13(C)は図13(B)のX矢視図を示す。図13は、ロールケーキ(roll cake)型(断面が渦巻き状)のアレルゲン不活性化フィルターに対する加熱方法を示す。
【0066】
図13(A)に示すように、例えば空調機等でフィルター1を使用している時は、フィルター1にはアレルゲンのみ捕捉される。一方、空調機の作動を停止した時は、図13(B),(C)に示すようにフィルター1をヒータ46に巻取り、ヒータをONすることによりフィルターを加熱する。これにより、フィルター1に捕捉したアレルゲンの不活性化を効果的に行うことができる。ロールケーキ(roll cake)型のフィルターの場合、フィルターがヒータ46に巻かれるため、フィルター1を効果的に加熱することができる。
【0067】
なお、フィルターの加熱方法としては、図12、図13で述べた方法に限定されない。例えば、図8(A)に示すようにフィルターを構成する棒状の吸水性ポリマーの中央にヒータを配置するとともに、吸水性材料の外側に一部が開口したカバーを取り付けた状態でヒータによりフィルターを加熱する方法(コア型加熱)が挙げられる。また、図示しないが、例えば棒状の吸水性材料の周囲に親水性材料を配置するとともに、この親水性材料の周囲の一部にヒータを配置した状態でヒータによりフィルターを加熱する方法(外型加熱)が挙げられる。この他、赤外線やマイクロ波による加熱方法でもよい。
【0068】
(実施例14)
図14(A),(B)を参照する。図14は付加機能を有したアレルゲン不活性化フィルターの説明図であり、図14(A)は吸着剤を複合した場合、図14(B)は吸着剤を混合した場合を示す。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0069】
図14(A)において、符番47は、酵素4を担持した吸着剤粒子を示す。ここで、吸着剤粒子47の材質としては特に限定はなく、例えば活性炭、ゼオライト、あるいはセピオライト,カオリナイト,モンモリロナイト等の無機系の多孔質体が挙げられる。前記吸着剤粒子47は、例えばフィルター本体である不織布48に担持されてアレルゲン不活性化フィルター49を構成している。
【0070】
図14(B)の場合、酵素4を担持した担持体50及び吸着剤粒子47を不織布48に固定してアレルゲン不活性化フィルター49を構成している。
【0071】
このように実施例14によれば、アレルゲン不活性化のための酵素4以外に吸着剤粒子47も担持させているので、アレルゲン不活性化とともに脱臭効果を得ることができる。
【0072】
なお、上記実施例14では、アレルゲン不活化のための酵素以外に吸着剤粒子を用いる場合について述べたが、これに限らず、抗菌、防カビ用の光触媒(例えばTiO,ZnO,CdS等)粒子、芳香剤粒子、マイナスイオン発生粒子等を用いてもよい。
【0073】
(実施例15)
図15(A),(B)を参照する。図15は、電圧印加によりアレルゲン不活性化フィルターに除塵機能を付加する場合を示す。
図15(A)は、酵素を担持したフィルター1にワイヤ電極54を用いてコロナ放電を行い、ワイヤ電極54近傍の粒子を荷電させるものである。
【0074】
図15(B)は、フィルター1を支持体55により枠状の絶縁体56を介して支持するとともに、フィルター1の上下に該フィルター1と離間して金網57を配置した状態で、金網57を通過する粒子を荷電させるものである。
【0075】
実施例15によれば、フィルターを荷電させることにより、逆電位のフィルターで粒子を捕集することができる。
【0076】
(実施例16)
図16を参照する。ここで、図16はアレルゲン不活性化フィルターの寿命をモニタリングするための装置の概略説明図を示す。
【0077】
フィルター1の真上には、発光体62が配置されている。また、フィルター1の真下には、受光体63が配置されている。前記発光体62及び受光体63は、夫々コントローラ64に電気的に接続されている。前記コントローラ64は、フィルターの取換時期の状態を出力する出力手段65、ランプ等の表示手段66が順次電気的に接続されている。前記コントローラ64は、下記の保持、測定、比較、認識及び指令を行うものである。例えば、発光体62の出力を特定の値に保持しておき、受光体63の入力を測定する。前記出力と入力とを比較し、入力が一定以上になったところを以って「繊維が細くなった」と認識し、交換時期を表示手段66に指令する。
【0078】
図16の装置では、フィルター1を構成する所定の繊維3の実際の幅を検出し、この幅と交換の目安となる幅とをコントローラ64により比較し、その結果により出力手段65により表示手段66に信号を送り、フィルター1の交換を促すようになっている。
【0079】
実施例16の装置によれば、アレルゲン不活性化フィルター1を例えば空調機に使用した場合でも、実際の繊維の幅と交換時期となる目安の幅との比較により交換時期を表示する表示手段66を備えることにより、フィルター1の寿命を確実に把握することができる。
【0080】
なお、図16の代わりに、図17(A),(B)に示すような手法を用いてもよい。なお、図17(A)はレンズ61のフィルター1に対する配置状態を、図17(B)はフィルター1の交換時期の目安を示す場合の例を示す。この手法は、単にレンズ61があるだけで、例えば目視で以って繊維の太さを認識させ易くさせるものである。通常、フィルター1に水が供給されている場合は、例えば図17(B)に示すように幅広の繊維3が写し出される。これに対し、水タンクなどに補給された水が少なくなると、繊維3の幅が狭くなるので、例えば図17(B)に示すように破線の状態になったら、フィルター1の交換を行う。
【0081】
また、上記実施例16では、繊維の幅をモニタリングすることによりフィルターの寿命を確認する場合について述べたが、これに限らない。例えば、濡れた場合に色が変化する部材をフィルターに貼り付けたり、あるいは湿度計を設けたり、抗体キットを用いることにより、フィルターの寿命を確認してもよい。
【0082】
更に、例えば、図18に示すように、フィルター1にランプ67及び交流電源29による閉回路を作り、フィルター1に含まれる水分の量の変化に応じてランプ67が点灯するように構成してもよい。なお、ランプの代わりに、フィルターに含まれる水分の量に応じてフィルターの導電率が変化するので、電流値を表示するような目盛を設けてもよい。
【0083】
更に、図19に示すような装置によりフィルターの寿命を確認してもよい。図19において、符番71,72は夫々フィルター1の入口側、出口側に配置された入口側センサー、出口側センサーを示す。入口側センサー71には該センサー71の出力をアレルゲン濃度(効力)に変換する変換手段73が接続され、出口側センサー72には該センサー72の出力をアレルゲン濃度(効力)に変換する変換手段74が接続されている。
前記変換手段73、74は、入口側センサー出力と出口側センサー出力を比較してその時のアレルゲン除去効率、フィルター寿命を判別する判定手段75が接続されている。この判定手段75は、ランプや液晶パネル等による光学的な手段による表示を行う表示回路76に接続されている。なお、光学的な手段に代えてブザーやスピーカー等による音響的な手段を用いることができるのは言うまでもない。前記入口側センサー71、出口側センサー72は空調機の運転モード制御手段77に接続され、この制御手段77は前記判定手段75に接続されている。
【0084】
図19の装置によれば、フィルター1の入口側、出口側に入口側センサー71、出口側センサー72を配置し、これらセンサーの出力を比較することにより、その時のアレルゲン除去効率、フィルター寿命を判別するように構成されているので、フィルター1の寿命を確実に把握することができる。
【0085】
(実施例17)
図20を参照する。実施例17は、例えば実施例1に係るアレルゲン不活性化フィルター1を空調機(エアコン)に組み込んだ例を示す。
図20において、符番81は筐体を示す。この筐体81の内部には複数のエアコン用冷却ユニット等の熱交換器82やファン83等の構成部品が配置され、筐体81の内部から外部にかけてはドレン84等の構成部品が配置され、更に空気排出口にはルーバ85が配置されている。本実施例17の場合、アレルゲン不活性化フィルターが空調機の空気流路86に配置されている。ここで、空気流路86としては、熱交換器前面、ケース内壁、ファンブレード、ルーバ等がある。
【0086】
上記実施例17によれば、アレルゲン不活性化フィルターが空調機の空気流路86に配置されているので、花粉粒子やダニ等を確実に捕獲することができる。従って、従来の空調機と比べて、アレルゲン量を低減することができる。
【0087】
(実施例18)
上記実施例17では、ヒータ等による加熱機構を有しないフィルターを用いた場合について述べた。本実施例18は、例えば図6に示すようにヒータ等を備えた加熱機構を有したアレルゲン不活性化フィルターを空調機に適用したことを特徴とする。ここで、加熱機構はアレルゲン除去運転モードの機能をもち、具体的には、ヒータとこのヒータを支持する電極としての支持部材と電源とを具備している。
【0088】
アレルゲン除去運転モードを効果的に作用させるためには、フィルターを巻き取り可能な構造としておき、通常はフィルターを展開して空気との接触面積を増やし、アレルゲンを積極的に捕捉する。ある程度のアレルゲンを捕捉したならばフィルターを巻き取って嵩を小さくしてヒータの熱を効率的に伝導されるようにして酵素によるアレルゲン不活性化反応を促進させ、再びフィルターを展開してアレルゲンを捕捉する周期を設定するとよい。但し、ヒータが熱伝導式ではなく、熱放射式の場合は、フィルターは展開したままであってもよい。
【0089】
本実施例18の場合、空調機がOFFの時に、ヒータをONにして前記フィルターを例えば約70℃で加熱する。これにより、アレルゲン含有空気がフィルターを通過するが、フィルターで花粉粒子やダニ由来のアレルゲンが捕獲され、ヒータによって活性を高められて酵素によりアレルゲンタンパク質の変性が効果的に起こり、アレルゲンとしての活性が失われ、フィルターからはアレルゲン低減空気が通過することになる。つまり、アレルゲン由来の粒子がフィルターから再放出されることがあっても、その粒子はアレルゲンとしての活性を既に失っており、無害である。
【0090】
また、アレルゲンの発生量は季節によって変動するのが普通であるから、アレルゲン除去運転モードは必要に応じて選択するものであり、アレルゲンの発生しにくい季節には通常の運転モードで使用することができるのは言うまでもない。
【0091】
なお、上記実施例17,18では、アレルゲン不活性化フィルターを空調機に適用した場合について述べたが、これに限らず、空気清浄機、除湿機、乾燥機、加湿器、換気装置等に適用しても上記実施例と同様な効果を得ることができる。
【0092】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、通過空気中に浮遊する花粉やダニアレルゲンを捕獲可能な10μm未満のメッシュを有するフィルター本体に、捕獲した花粉やダニアレルゲンを不活性化する機能を有する,100万U以上の分解能をもつ酸性・中性・塩基性の酵素を担持させ、この酵素によりフィルター本体で捕獲された花粉やダニアレルゲンを変性もしくは分解して不活性化する構成にすることにより、アレルゲン量を低減しえるアレルゲン不活性化フィルターを提供できる。
【0093】
また、本発明によれば、前記アレルゲン不活性化フィルターを備えた構成にすることにより、上記と同様、アレルゲン量の低減をなしえる空気処理装置を提供できる。
【0094】
更に、本発明によれば、アレルゲン除去運転モードを備えた構成にすることにより、モードを切り替えることによって、上記と同様、アレルゲン量の低減をなしえるアレルゲン不活性化フィルターを提供できる。
【0095】
本発明の空気処理装置によれば、アレルゲン運転除去モードを備えることにより、抗アレルゲン薬剤を使用する必要がなくなるので、前記薬剤による生体への悪影響もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るアレルゲン不活性化フィルターの説明図。
【図2】本発明の実施例2に係るアレルゲン不活性化フィルターの要部の説明図。
【図3】本発明の実施例3に係るアレルゲン不活性化フィルターの説明図。
【図4】図1〜図3のフィルターの空調機に取り付ける場合の説明図。
【図5】本発明の他の実施例に係るアレルゲン不活性化フィルターの他の形態の説明図。
【図6】本発明の実施例7に係るアレルゲン不活性化フィルターへの給水方法の説明図。
【図7】本発明の実施例8に係るアレルゲン不活性化フィルターへの給水方法の説明図。
【図8】図6の給水方法で使用された棒状部材とは異なる態様を示す棒状部材の説明図。
【図9】本発明の実施例9に係るアレルゲン不活性化フィルターへの給水方法の説明図。
【図10】本発明の実施例10に係るアレルゲン不活性化フィルターへの給水方法の説明図。
【図11】本発明の実施例11に係るフラット型アレルゲン不活性化フィルターへの給水方法の概略的な説明図
【図12】本発明の実施例12に係るアレルゲン不活性化フィルターへの加熱方法の説明図。
【図13】本発明の実施例13に係るアレルゲン不活性化フィルターへの加熱方法の説明図。
【図14】本発明の実施例14に係る付加機能を備えたアレルゲン不活性化フィルターの説明図。
【図15】本発明の実施例15に係る付加機能を備えたアレルゲン不活性化フィルターの説明図。
【図16】本発明に係るアレルゲン不活性化フィルターの寿命を確認する装置の説明図。
【図17】本発明に係るアレルゲン不活性化フィルターの寿命を確認する手段の説明図。
【図18】本発明に係るアレルゲン不活性化フィルターの寿命を確認するその他の装置の説明図。
【図19】本発明に係るアレルゲン不活性化フィルターの寿命を確認する更に他の装置の説明図。
【図20】本発明に係るアレルゲン不活性化フィルターを実装した空調機の説明図。
【符号の説明】
1,21、32,41,71,85…アレルゲン不活性化フィルター、
2…フィルター本体、 3,6…繊維、 4…酵素、
5…担持体、 7,8…基材、 9…ケース、
12,13,23,24,42,43…支持部材、
14…多孔体、 15…カバー、 22…棒状部材、
25、46…ヒータ、 26…絶縁材、 27…吸水性ポリマー、
28…水タンク、 29…交流電源、 30…孔、
31…透湿性ポリマー、 33…穴、 36…中空繊維、
37…不織布、 38…エバポレータ、 44…導電性繊維、
45…不導体ポリマー、 61…凸レンズ、 62…発光体、
63…受光体、 64…コントローラ、 65…出力手段、
66…表示手段、 67…ランプ、 71…入力側センサー、
72…出力側センサー、 73,74…変換手段、 75…判定手段、
76…表示回路、 77…制御手段、 81…筐体、 82…熱交換器、
83…ファン、 84…ドレン、 85…ルーバ、 86…空気流路。

Claims (14)

  1. 通過空気中に浮遊する花粉やダニアレルゲンを捕獲可能な10μm未満のメッシュを有するフィルター本体と、該フィルター本体に担持され、捕獲した花粉やダニアレルゲンを不活性化する機能を有する,100万U以上の分解能をもつ酸性・中性・塩基性の酵素とを具備し、該酵素によりフィルター本体で捕獲された花粉やダニアレルゲンを変性もしくは分解して不活性化することを特徴とするアレルゲン不活性化フィルター。
  2. 前記フィルター本体は、吸水性及び吸湿性の一方または両方の性質を有する材料からなることを特徴とする請求項1に記載のアレルゲン不活性化フィルター。
  3. 前記フィルター本体及び前記酵素の間に担持体を具備することを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載のアレルゲン不活性化フィルター。
  4. 前記担持体は、吸水性及び吸湿性の一方または両方の性質を有する材料からなることを特徴とする請求項3に記載のアレルゲン不活性化フィルター。
  5. 前記フィルター本体の形状が、平板状、海綿状、プリーツ状、棒状、ルーバ状のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のアレルゲン不活性化フィルター。
  6. 加熱手段を更に含んでなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のアレルゲン不活性化フィルター。
  7. 前記加熱手段は、ヒータ及び暖房の熱の一方または両方であることを特徴とする請求項6に記載のアレルゲン不活性化フィルター。
  8. アレルゲンを不活性化する機能を有する他、脱臭機能、除塵機能、耐微生物機能、芳香付加機能、マイナスイオン付加機能の少なくともいずれか1つの機能を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれか1項記載のアレルゲン不活性化フィルター。
  9. 前記フィルター本体に水を供給する手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項8いずれか1項記載のアレルゲン不活性化フィルター。
  10. 水を供給する手段は、フィルター本体の一側辺に接触して毛細管現象によりフィルター本体に水を供給する水タンクであることを特徴とする請求項9記載のアレルゲン不活性化フィルター。
  11. 水を供給する手段は、フィルター本体の一側辺に接触して加圧手段によりフィルター本体に水を供給する水タンクであることを特徴とする請求項9記載のアレルゲン不活性化フィルター。
  12. 請求項1乃至請求項11いずれか1項のアレルゲン不活性化フィルターを備えたことを特徴とする空気処理装置。
  13. 前記空気処理装置は、空調機、空気清浄機、除湿機、乾燥機のいずれか一つであることを特徴とする請求項12記載の空気処理装置。
  14. 前記空気処理装置は、アレルゲン除去運転モードを備えたことを特徴とする請求項12もしくは請求項13に記載の空気処理装置。
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