JP3790463B2 - ペット用キャップ、及びレインコート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はペット用キャップ、及びペット用レインコートの改良に関し、特に犬等のペット動物が屋外にいるときに雨水によって濡れたり、泥により汚れる等の不具合を防止するための、キャップ及びレインコートに関する。
【0002】
【従来の技術】
犬を中心としたペットブームに乗って、我が国でもペット動物を飼う家庭が増えているが、犬のように定期的な散歩を必要とするペットの場合には、降雨、降雪時に雨水や雪によって濡れたり、泥水によって汚れることが多く、特に室内で飼育する犬の場合には、散歩から帰って来たときに、濡れたまま、汚れたままでは室内に入れることはできない。脚先等に付着した水分、汚れは座敷等に上げる前に洗い場にて除去、乾燥、洗浄することが容易であるが、頭部、胴部等に付着した水分、汚れを除去、乾燥、洗浄する作業は煩雑であり、降雨、降雪時の散歩の度にペットの全身を乾燥させたり、洗浄する作業が求められることは、飼い主が犬を散歩に連れ出す意欲を喪失する原因となり、ペットの健康を害したり、ストレスをためる原因とも成る。特に、中型犬、大型犬の場合は、乾燥、洗浄作業が特に煩雑であるため、問題は深刻になる。
【0003】
このような理由から、これまでペット用のレインコートが種々提案されてきている。例えば、特開平10−201389号、特開2000−032864、同2000−217460、同2001−057824の各公報には、犬のレインコートが提案されている。しかし、まず、特開平10−201389号公報に記載のレインコートは、所要形状に裁断した一枚のシート状の本体を、犬の胴部から頭部にかけて巻き付けた上で、マジックテープ(登録商標)、ひも等によって固定するものであるが、防水シートを単純に巻き付けただけであるため、散歩中における犬の運動によってレインコートが位置ズレしたり、脱げ易くなる。また、フード部と本体が一体であるため、リード(引き綱)を首輪に取り付けること自体が困難であるばかりでなく、無理にリードを取り付けた状態で無理に散歩を継続すると、リードによってレインコートが押圧されて位置ズレを起こしたり、脱落する等の不具合が発生するおそれがある。また、耳が立った状態にある犬にあっては、耳の動きによってフードが位置ズレを起こし、脱落し易い。また、一体品であるため、腹部等の汚れやすい部分だけを洗浄することは難しく、洗浄時には全体を洗浄せざるを得ない。また、サイズや形状が少しでも異なる犬には対応することができず、フリーサイズではないため、犬毎に異なるサイズ、形状のレインコートを用意する必要がある。このため、コストアップを免れることができない。
【0004】
特開2000−032864公報には、胴体部に前足袖、後足袖を付け、袖口にゴムひもを通して縮め、胴体部は腹部より背中部に向けて覆い、背中部に雨侵入防止フラップ付きファスナを付け、更に首廻りにゴムひもを通して縮めたレインコートが開示されている。しかし、着せる際に、ファスナにて胴体部を背中から開放して展開した状態とし、筒状の袖を各足に通す必要があるため、手間がかかる。脱がせる際も同様である。また、胴部が一体化されているため、腹部等の汚れやすい部分だけを洗浄することができず、部分的な汚れにも拘わらずレインコート全体を洗浄する必要が生じる。フードがないので、頭部の濡れを防止することができず、濡れた頭部の水がレインコートの首廻りから胴体側に浸入して胴体を濡らす結果となる。
【0005】
特開2000−217460公報に記載されたレインコートは、透明ビニルを合わせバンドを通せる幅に平行に縫ったものを犬の体格に合わせて切って、これにバンドを通したものを犬の胴体の上下から挟み、固定手段で上下を留めることにより、雨天の散歩で犬の腹が汚れることを防止するものである。しかし、2枚の透明ビニルシートをバンドにて留めただけの構造であるため、散歩時の犬の動作によって間違いなく前後左右にずれが発生し、最悪の場合にはレインコートが胴体から脱落を起こす。脱落を防止するためにはバンドによる締め付け力を強くする必要があるが、犬に苦痛を与えるため実用的でない。また、レインコートとフードがつながっているため、リードの動きによってフードがずれたり脱落する虞が多くなる。
特開2001−057824公報に記載のレインコートは、構造が複雑で販売価格が高くなる。胴体を覆う部分と頭部を覆うフード部とが一体であるため、リード(引き綱)を首輪に取り付けた状態で無理に散歩を継続すると、リードによってレインコートが押圧されて位置ズレを起こしたり、脱落する等の不具合が発生するおそれがある。また、脚部を覆うための覆い部が筒状であるため、着せたり脱がせる作業が極めて煩雑であり、特に濡れたり汚れた状態にある脚部から脱がせる作業は煩雑となり、更に汚れたレインコート部分の洗浄も大変面倒な作業となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、キャップと胴部カバーをセパレートすると共に、キャップに関しては頭部の自由な動きを許容する一方で、頭部の動きに起因したズレ落ちを確実に防止する構成とし、胴部カバーについては脚部を通す煩雑な作業が不要であり、汚れやすい腹部だけの洗浄が容易であり、犬に締め付けによる苦痛を与えることなく、位置ズレやズレ落ちを防止し、更に多少の体型、サイズの違いに追随してフリーサイズに近い汎用性を提供することができるペット用キャップ、及びレインコートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、動物の頭部に被せることによって、雨水による濡れを防止するペット用キャップにおいて、筒状に構成した防水シートの前部適所及び後部適所に夫々設けた弾性的に拡径可能な伸縮部と、両伸縮部の中間位置に配置した中間伸縮部と、を備え、前部伸縮部と中間伸縮部との間の筒状防水シート部分によりペットの耳を含む頭頂部を被覆するとともに、前部伸縮部より前方に目、鼻、口が露出するように構成し、前部伸縮部から前方へ張り出した庇部によって、少なくとも目を雨水から遮蔽し、中間伸縮部と後部伸縮部との間の筒状防水シート部分により、後頭部及び首部を被覆するように構成したことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のペット用キャップと、該ペット用キャップとはセパレートされた胴体カバーと、を備えたことを特徴とする。
請求項3の発明は、前記胴体カバーは、少なくとも腹部カバー片と、背部カバー片と、両カバー片の側端縁同士を着脱自在に接合する着脱部材と、から成ることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)はペット用キャップ及びレインコートの斜視図、図2(a)(b)及び(c)は本発明のペット用キャップ及びレインコートを着用した犬を示す図である。また、図3はペット用キャップの一例の構成を示す展開図(型紙の構成図)、図4はレインコートの腹部カバー片の展開図(型紙の構成図)、図5は背部カバー片の展開図(型紙の構成図)である。
図1(a)に示したペット用キャップ1は、犬などのペット用動物の頭部に被せることによって、雨水による濡れを防止する手段であり、このキャップ1は、筒状に構成した防水シートの前部適所及び後部適所に夫々設けた弾性的に拡径可能な伸縮部2、3と、両伸縮部2、3の中間位置に配置した中間伸縮部4と、を備えている。前部伸縮部2、と中間伸縮部4との間の筒状防水シート部分5によりペットの耳を含む頭頂部を被覆するとともに、前部伸縮部2よりも前方に犬の目、鼻、口が露出するように構成している。また、前部伸縮部2から前方へ張り出した庇部6によって、少なくとも目を雨水から遮蔽している。
更に、本発明のキャップ1は、特に中間伸縮部2と後部伸縮部3との間の筒状防水シート部分7により、犬の耳を含む後頭部及び首部、更には背部の一部を被覆するように構成している。
【0009】
図1(b)は、図1(a)に示したペット用キャップ1との組合せによってレインコートを構成する胴体カバー11であり、この胴体カバー11は、少なくとも腹部カバー片12と、背部カバー片13と、両カバー片12、13の側端縁同士を着脱自在に接合する着脱部材14と、を備えている。
キャップ1を構成するシート材料としては、防水性、撥水性を備えたシートであれば、どのような素材を使用しても良く、図3に示した如き単純な形状に裁断したシート21の3カ所に細いゴムひも22を縫い付けて固定する。各ゴムひも22縫い付け部は、上記3つの伸縮部2、3、4を構成する。各ゴムひも22を縫い付けることによって、縫い付けたシート部分が常時において収縮(縮径)した状態となるように構成する。前部伸縮部2に相当するゴムひも縫い付け部は、図示のように円弧状に縫い付け、他の伸縮部3、4に相当するゴムひも縫い付け部は直線状に縫い付ける。また、前部伸縮部2と中間伸縮部4との間の距離は、犬の耳を含む頭頂部をカバーし得るように設定する。中間伸縮部4と後部伸縮部3との間の距離は、犬の後頭部から首部(或いは背部)をカバーし得るように寸法設定する。
このようにゴムひも22を縫い付けたシート21の両端縁21a同士を縫い付け等によって接合して筒状のキャップ1を形成することができる。
【0010】
このキャップ1は、図2(a)(b)に示したように、耳が立った犬に被せたときに、耳を含む頭部の動きによってキャップが前後左右にずれを起こす不具合を防止できる。即ち、耳を含む頭部の前後位置を夫々伸縮部2、4によって軽い力で常時押さえ込んでいるため、耳によって筒状部5が押圧されてずれを起こすことがなく、長時間に渡って着用してもズレ落ちることがない。
また、前部伸縮部2の前方には庇部6が張り出しているので、犬の顔面、特に目を雨水の直撃からカバーすることができる。
また、中間伸縮部4よりも後方の筒状部、及び後部伸縮部3よりも後方の筒状部8は、首及び背をカバーすることができる。
この実施形態に係るキャップ1は、図3に示した展開図から明らかな如く、型紙にカーブ等の複雑な形状を有した部分が少なく、裁断、縫製が容易であり、デザインもシンプルであるため、生産性を高め、コストを低減する上で好適である。また、シートを単純な筒状に構成し、ゴムひもにて首、耳の前部分、及び耳の後部分を絞ったので、犬の首振り等の大きな動作による脱落、ずれを防止できる。
犬に対してキャップを着用させる場合は頭部から被せれば良く、また離脱させる場合には逆の操作を行えばよい。
なお、図中に記した寸法を示す数字の単位はcmであり、この寸法は、中型犬に対して使用するフリーサイズのキャップに適している。
【0011】
次に、胴体カバー11は、図4に示した腹部カバー片12と、図5に示した背部カバー片13と、から成り、両カバー片12、13の側端縁同士を着脱自在に接合する着脱部材14と、を備えている。両カバー片12、13の材質は、前記キャップと同様である。着脱部材14としては、この例ではスナップ釦であるが、マジックテープその他の手段を用いても良い。
腹部カバー片12は、図4に示すような略長方形の本体31の両長辺の両端部に夫々張り出し片32、33を設けた構成を備え、各張り出し片32、33に所定の間隔で一方のスナップ釦片34を固定する。各張り出し片32、33は、矩形のシート材料を2つ折りにしたものを本体13に縫い付け等によって固定してもよい。
また、本体31の長手方向両端縁と、中間部、更には長辺の中間部適所には、夫々ゴムひも35を縫い付けて収縮させる。
腹部カバー片12は、犬の胸(両前脚間)と腹部全体を覆うように構成する。
腹部カバー片12の後端縁については、図示のように曲線状のカットしておくことにより、雄の犬が排尿する際に便利となる。
【0012】
次に、背部カバー片13は、図5に示すように、前端縁よりも後端縁を拡開した形状を備えた本体41を有しており、犬の背、側腹部等をカバーするように構成する。
この本体41の両側縁には、腹部カバー片12に設けた各スナップ釦片34と嵌合する他方のスナップ釦片44を設けた張り出し片42、43を備えている。
着脱手段としてのスナップ釦片34、44は、夫々腹部カバー片12と背部カバー片13の両側縁全長に渡って設けられるわけではなく、所定の間隔を隔てて設けられているため、両スナップ釦片34、44を嵌合させた場合にも、上記間隔に相当する部分は穴状になり、この穴内に犬の前足を位置させることができる。また、腹部カバー片12の側縁中央部に設けたゴムひもによって前足の太さに応じて伸縮が可能となるため、便利である。また、前足と接する背部カバー13の側縁にはタック45を設けているため、前足を軽く締め付けるゴムひもとの協働によって、犬の頭部の上下動を妨げることもなくなる。
背部カバー片13の後端縁は、フリーとなっているので、尻尾の有無に関係なく、適用することができる。
実際に犬の胴体にこの胴体カバーを取り付ける際には、まず図6に示すように腹部カバー片12と背部カバー片13の前方に夫々設けた張り出し片32、42に設けたスナップ釦片34、44同士を接合させた状態で犬の頭部から被せ、しかる後、後方に設けた張り出し片33、44に設けたスナップ釦片34、44同士を接合させて着用を完了する。
なお、前方の張り出し片32、42を接合させてから犬の頭部に被せる方法に代えて、犬の胸部と首の付け根部に対して夫々腹部カバー片12と背部カバー片13の各前部を位置決めした状態で、各張り出し片32、42のスナップ釦34、44を接合させてもよい。
【0013】
これによれば、胴体カバー11の周方向寸法はゴムひもの作用によって伸縮するため、犬の胴回り寸法に追随して変形でき、フリーサイズ的に使用することができる。長手方向寸法に関しても、小型犬、中型犬、大型犬、夫々の平均的な寸法に設定しておくことにより、夫々のタイプに属する犬について、フリーサイズ的に使用することができる。
また、キャップ1と胴体カバー11とをセパレートしているので、首輪を取り付けたままリードを使用でき、リードや首輪の影響によってキャップや胴体カバーがずれたり、落下することがなくなる。
更に、胴体カバー11は、腹部と背中部を別々のカバー片12、13によって構成されているので、何れか一方、例えば最も汚れやすい腹部カバー片12がひどく汚れた場合は、一方だけを洗濯することができる。
【0014】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、キャップと胴部カバーをセパレートすると共に、キャップに関しては頭部の自由な動きを許容する一方で、頭部の動きに起因したズレ落ちを確実に防止する構成とし、胴部カバーについては脚部を通す煩雑な作業が不要であり、汚れやすい腹部だけの洗浄が容易であり、犬に締め付けによる苦痛を与えることなく、位置ズレやズレ落ちを防止し、更に多少の体型、サイズの違いに追随してフリーサイズに近い汎用性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係るペット用キャップ及びレインコートの斜視図。
【図2】(a)(b)及び(c)は本発明のペット用キャップ及びレインコートを着用した犬を示す図。
【図3】ペット用キャップの一例の構成を示す展開図(型紙の構成図)。
【図4】レインコートの腹部カバー片の展開図(型紙の構成図)。
【図5】背部カバー片の展開図(型紙の構成図)。
【図6】着用手順を示す図。
【符号の説明】
1 ペット用キャップ、2 前部伸縮部、3 後部伸縮部、4 中間伸縮部、
5 筒状防水シート部分、6 庇部、7 筒状防水シート部分、11 胴体カバー、12 腹部カバー片、13 背部カバー片、14 着脱部材、21 シート、22 ゴムひも、23、33 張り出し片、34、44 張り出し片、35 ゴムひも、41 本体、42、43 張り出し片。

Claims (3)

  1. 動物の頭部に被せることによって、雨水による濡れを防止するペット用キャップにおいて、
    筒状に構成した防水シートの前部適所及び後部適所に夫々設けた弾性的に拡径可能な伸縮部と、両伸縮部の中間位置に配置した中間伸縮部と、を備え、
    前部伸縮部と中間伸縮部との間の筒状防水シート部分によりペットの耳を含む頭頂部を被覆するとともに、前部伸縮部より前方に目、鼻、口が露出するように構成し、
    前部伸縮部から前方へ張り出した庇部によって、少なくとも目を雨水から遮蔽し、
    中間伸縮部と後部伸縮部との間の筒状防水シート部分により、後頭部及び首部を被覆するように構成したことを特徴とするペット用キャップ。
  2. 請求項1に記載のペット用キャップと、該ペット用キャップとはセパレートされた胴体カバーと、を備えたことを特徴とするペット用レインコート。
  3. 前記胴体カバーは、少なくとも腹部カバー片と、背部カバー片と、両カバー片の側端縁同士を着脱自在に接合する着脱部材と、から成ることを特徴とする請求項2に記載のペット用レインコート。
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