JP3790140B2 - マルチホップネットワークの中継方法および無線ノード - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のノードを経由してパケットの送受信が可能なマルチホップネットワークにおいて、マルチホップに対応していないMAC層をもつネットワークインタフェースをマルチホップに対応させる中継方法および無線ノードに関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、マルチホップネットワークの構成例を示す(参考文献:特願2000−246972)。
【0003】
図において、マルチホップネットワークは、ノード1,2,3,4,5と、ゲートウェイノード11,12から構成される。ノード1は、ゲートウェイノード11、ノード2およびノード3と無線リンクを介して接続される。ノード2は、ノード1、ノード3およびノード4と無線リンクを介して接続される。ノード3は、ノード1およびノード2と無線リンクを介して接続される。ノード4は、ノード2およびノード5と無線リンクを介して接続される。ノード5は、ゲートウェイノード12およびノード4と無線リンクを介して接続される。ゲートウェイノード11は、ノード1と無線リンクを介して接続されるとともに、有線ネットワーク20を介してゲートウェイノード12と接続される。ゲートウェイノード12は、ノード5と無線リンクを介して接続されるとともに、有線ネットワーク20を介してゲートウェイノード11と接続される。
【0004】
このようなマルチホップネットワークにおいて、例えばノード1からノード5への経路を探索する場合には、ノード1から経路探索宛先であるノード5のアドレスを含む経路探索メッセージをブロードキャストする。この経路探索メッセージを受信したゲートウェイノード11、ノード2およびノード3は、経路探索宛先が自ノードではないので、それぞれ自ノードの経路表の経路情報(ノード1との接続)を書き換えながら、ノード5宛ての経路探索メッセージをブロードキャスト転送する。このようにして経路探索メッセージがノード5まで順次転送されると、ノード5はメッセージ中の経路探索宛先が自ノードであることを確認し、送信元のノード1宛てに経路応答メッセージを返信する。この経路応答メッセージは、経路探索メッセージの転送によりノード1までの経路が各ノードの経路表にあるので、ノード4、ノード2、ノード1の順にユニキャストされ、ノード1がこの経路応答メッセージを受け取ることにより、ノード1からノード5への経路探索を終了する。
【0005】
なお、以上の経路探索は、無線ネットワーク内のノードのみを経由する経路の探索であるが、上記特願2000−246972では、ゲートウェイノードが有線経由で接続されている場合に、有線経由の経路も含めてノード間の経路探索を可能にする方法を開示している。
【0006】
また、特願2001−40341では、無線ネットワークにおけるノード間のパケット転送に関する経路管理として、経路を常時構築しておくテーブル駆動方式と、通信の必要が生じた際に転送経路を構築するオンデマンド方式と、テーブル駆動方式とオンデマンド方式を組み合わせたハイブリッド方式が説明されている。さらに、各ノードが特定のノード(例えばゲートウェイノード)に頻繁にアクセスし、他のノード間のアクセスが少ない無線ネットワークにおけるノード間の経路維持方法を開示している。
【0007】
ところで、このようなマルチホップの実現方法としては、従来は各ノードのMAC層で実現する方法、あるいはIP層の上位であるアプリケーション層で実現する方法がとられている。
【0008】
MAC層で実現する場合には、1つの無線ネットワークインタフェースにしか適用できず、あるネットワークインタフェースで受信し、別のネットワークインタフェースで送信するという形態でマルチホップを実現することができない。すなわち、図4の例では、ゲートウェイノードにおいて有線経由の経路探索を行うことができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
マルチホップに対応していないMAC層をもつネットワークインタフェースをマルチホップに対応させるには、従来はアプリケーション層で実現する方法しかなかった。しかし、アプリケーション層で実現する場合には、IP層、TCP層、アプリケーション層におけるヘッダ処理が必要になるので、オーバヘッドが大きくなる問題がある。
【0010】
本発明は、IP層以下で複数のネットワークインタフェースを用い、かつ高速にマルチホップすることができるマルチホップネットワークの中継方法および無線ノードを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のマルチホップネットワークの中継方法は、無線ノードに、IP層とMAC層の間にWM(ワイヤレスミドルウェア)層を導入し、WM層で宛先アドレス、中継ノードのアドレス、送信するポートを管理する経路表をもち、WM層において受信したパケットのWMヘッダを解析し、自ノード宛てのパケットならばIP層にパケットを引き継ぎ、他ノード宛てのパケットならば経路表に基づいてネットワークインタフェースを選択し、そのネットワークインタフェースを用いて中継することを特徴とする。
【0012】
また、WM層を導入した無線ノードは、周辺のノードがWM層導入ノードか否かを判断し、WM層導入ノードならばWM層で中継可能なノードとして管理し、WM層未導入ノードならばWM層で終端するノードとして管理する。
【0013】
また、WM層未導入ノードからWM層導入ノード(中継ノード)を介してWM層導入ノードへデータを送信する場合には、中継ノードは、WM層未導入ノードからIP層で送信されたMACヘッダ、IPヘッダ、ペイロードからなるパケットを受信し、WM層に引き継ぎ、WM層で経路表に基づいて経路を確定し、宛先のWMアドレスを付加してWM層導入ノードへ転送し、WM層導入ノードはこのデータパケットをIP層に引き継いで受信する。
【0014】
一方、WM層導入ノードからWM層導入ノード(中継ノード)を介してWM層未導入ノードへデータを送信する場合には、中継ノードは、WM層導入ノードから中継ノードのWMヘッダを付加して送信されたパケットを受信し、IP層に引き継ぎ、IP層で経路表に基づいて経路を確定し、WM層ヘッダを付加せずにMAC層に引き継いでWM層未導入ノードへ転送し、WM層未導入ノードはこのデータパケットをIP層に引き継いで受信する。
【0015】
本発明のマルチホップネットワークの無線ノードは、IP層とMAC層の間にWM(ワイヤレスミドルウェア)層を導入し、WM層で宛先アドレス、中継ノードのアドレス、送信するポートを管理する経路表をもち、WM層において受信したパケットのWM層ヘッダを解析し、自ノード宛てのパケットならばIP層にパケットを引き継ぎ、他ノード宛てのパケットならば経路表に基づいてネットワークインタフェースを選択し、そのネットワークインタフェースを用いて転送する手段を備える。さらに、周辺のノードがWM層導入ノードか否かを判断し、WM層導入ノードならばWM層で中継可能なノードとして管理し、WM層未導入ノードならばWM層で終端するノードとして管理する手段を備える。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の無線ノードは、IP層とMAC層の間にWM(ワイヤレスミドルウェア)層を導入する。また、WM層で宛先アドレス、中継ノードのアドレス、送信するポートを管理する経路表をもつ。中継ノードは、WM層において受信したパケットのWMヘッダを解析し、自ノード宛てのパケットならばIP層にパケットを引き継ぎ、他ノード宛てのパケットならば経路表に基づいてネットワークインタフェースを選択し、そのネットワークインタフェースを用いて転送する。これにより、IP層以下の層でマルチホップに対応させ、パケットの中継が可能になる。
【0017】
図1は、本発明によるWM層導入ノードの構成例を示す。図において、無線ノードは、MAC機能部30とIP機能部40との間にWM機能部50を有する。MAC機能部30はMACフィルタ機能31を有し、MACアドレスフィルタテーブルに記録されているMACアドレスからきたパケットをWM機能部50のカプセル化機能55に引き継ぐ。IP機能部40は宛先とインタフェースを対応付けたIP層経路管理機能41を有する。
【0018】
本発明の特徴とするWM機能部50は、WM層経路管理機能51、MACアドレスフィルタテーブル52、IPアドレスフィルタテーブル53、WM層認証機能54、カプセル化機能55、IP透過機能56を有する。
【0019】
WM層経路管理機能51は、宛先のWMアドレスと、宛先のWMアドレスにパケットを送信するための中継ノードのアドレスを管理する。WM層のパケットを受信すると、経路表を基にパケットを転送する。このパケット転送では、例えば上記の特願2000−246972や特願2001−40341に記載の方式を利用する。
【0020】
MACアドレスフィルタテーブル52は、WM層未導入ノードのMACアドレスを管理する。IPアドレスフィルタテーブル53は、WM層未導入ノードのIPアドレスを管理する。
【0021】
WM層認証機能54は、IEEE802.11bでMAC層の認証後にWM層の認証を行う。ただし、所定時間経過してもWM層の認証が行われない場合には、このMAC層のノードはWM層未導入ノードとみなし、MACアドレスフィルタテーブル52に登録する。また、このMACアドレスからIPアドレスを解析し、このIPアドレスをIPアドレスフィルタテーブル53に登録する。さらに、IPアドレスとこのIPアドレスと通信できる通信媒体のインタフェースをIP層の経路表に登録する。
【0022】
カプセル化機能55は、パケット受信後にパケットから宛先のIPアドレスを調べ、このIPアドレスのノードのWMアドレスを調べ、このWMアドレス宛てのWMヘッダを生成し、パケットにWMアドレスを付加してWM層経路管理機能51に引き継ぐ。
【0023】
IP透過機能56は、IP層から引き継いだパケットのうち、IPアドレスフィルタテーブル53に登録されているIPアドレス宛てのパケットに対して、何も処理せずにMAC層に引き継ぐ。
【0024】
図2は、本発明によるWM層導入ノードにおけるパケット中継手順の第1例を示す。ここでは、WM層導入ノード(中継ノード)200が、WM層未導入ノード100からWM層導入ノード300宛てのデータパケットを中継する例を示す。
【0025】
まず、WM層未導入ノード100が立ち上がると、既に立ち上がっているWM層導入ノード200との間でIEEE802.11bに基づいてMAC層で認証を行う。WM層導入ノード200は、MAC層の認証後にWM層の認証を行う。しかし、所定時間経過してもWM層の認証が行われないので、ノード100をWM層未導入ノードとみなし、MACアドレスフィルタテーブル52にWM層未導入ノード100のMACアドレスを登録し、IPアドレスフィルタテーブル53にWM層未導入ノード100のIPアドレスを登録する。すなわち、WM層未導入ノード100を終端するノードとして管理する。
【0026】
なお、WM層導入ノード300が立ち上がると、既に立ち上がっているWM層導入ノード200とWM層間で認証を行い、WM層導入ノード(中継可能なノード)であることを認識する(図示せず)。
【0027】
ここで、WM層未導入ノード100がIP層でWM層導入ノード300宛てのデータパケットを送信する。このデータパケットは、MACヘッダ+IPヘッダ+ペイロードとなる。このWM層未導入ノード100を管理するWM層導入ノード200は、WM層未導入ノード100からデータパケットを受信すると、MACアドレスフィルタテーブル52をもとに、このデータパケットにノード300宛てのWMアドレスを付加してノード300に転送する。このデータパケットは、MACヘッダ+WMヘッダ+IPヘッダ+ペイロードとなる。WM層導入ノード300は、このデータパケットが自ノード宛てなのでIP層にデータパケットを引き継ぐ。
【0028】
図3は、本発明によるWM層導入ノードにおけるパケット中継手順の第2例を示す。ここでは、WM層導入ノード(中継ノード)200が、WM層導入ノード300からWM層未導入ノード100宛てのデータパケットを中継する例を示す。
【0029】
WM層導入ノード300がIP層でデータパケットをWM層未導入ノード100のアドレスに送信すると、WM層でのアドレス解析によりWM層導入ノード200のアドレスが指定され、IPパケットにノード200宛てのWMヘッダを付加して送信する。このデータパケットは、MACヘッダ+WMヘッダ+IPヘッダ+ペイロードとなる。
【0030】
WM層導入ノード200は、WM層導入ノード300からデータパケットを受信すると、自ノード宛てなのでIP層にデータパケットを引き継ぐ。IP層では、WM層未導入ノード100宛てのデータパケットなので、経路表に基づいて経路を確定し、ノード100へ転送する。このとき、IPの宛先がノード100宛てのデータパケットなので、IPアドレスフィルタテーブルに基づいてWMヘッダを付加せずにMAC層に引き継ぐ。このデータパケットは、MACヘッダ+IPヘッダ+ペイロードとなる。
【0031】
WM層未導入ノード100は、このデータパケットをIP層にて受信する。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のマルチホップネットワークの中継方法および無線ノードは、マルチホップに対応していないMAC層をもつネットワークインタフェースをマルチホップに対応させることができる。すなわち、IP層以下で複数のネットワークインタフェースを用い、かつ高速にマルチホップすることができる。これにより、IP機能とMAC機能からなる無線ノードと、IP機能とWM機能とMAC機能からなる無線ノードとの間においても、本発明の無線ノードを用いることによりパケットの中継が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるWM層導入ノードの構成例を示す図。
【図2】本発明によるWM層導入ノードにおけるパケット中継手順の第1例を示す図。
【図3】本発明によるWM層導入ノードにおけるパケット中継手順の第2例を示す図。
【図4】マルチホップネットワークの構成例を示す図。
【符号の説明】
1,2,3,4,5 ノード
11,12 ゲートウェイノード
20 有線ネットワーク
30 MAC機能部
31 MACフィルタ機能
40 IP機能部
41 IP層経路管理機能
50 WM機能部
51 WM層経路管理機能
52 MACアドレスフィルタテーブル
53 IPアドレスフィルタテーブル
54 WM層認証機能
55 カプセル化機能
56 IP透過機能
Claims (4)
- 無線ノードに、IP層とMAC層の間にWM(ワイヤレスミドルウェア)層を導入し、WM層で宛先アドレス、中継ノードのアドレス、送信するポートを管理する経路表をもち、
前記WM層において受信したパケットのWMヘッダを解析し、自ノード宛てのパケットならばIP層にパケットを引き継ぎ、他ノード宛てのパケットならば前記経路表に基づいてネットワークインタフェースを選択し、そのネットワークインタフェースを用いて中継するマルチホップネットワークの中継方法において、
前記WM層を導入した無線ノードは、周辺のノードが前記WM層を導入しているノード(以下「WM層導入ノード」という)か否かを判断し、WM層導入ノードならばWM層で中継可能なノードとして管理し、WM層を導入していないノード(以下「WM層未導入ノード」という)ならばWM層で終端するノードとして管理する
ことを特徴とするマルチホップネットワークの中継方法。 - WM層未導入ノードからWM層導入ノード(中継ノード)を介してWM層導入ノードへデータを送信する場合には、前記中継ノードは、前記WM層未導入ノードからIP層で送信されたMACヘッダ、IPヘッダ、ペイロードからなるパケットを受信し、WM層に引き継ぎ、WM層で経路表に基づいて経路を確定し、宛先のWMアドレスを付加して前記WM層導入ノードへ転送し、前記WM層導入ノードはこのデータパケットをIP層に引き継いで受信し、
WM層導入ノードからWM層導入ノード(中継ノード)を介してWM層未導入ノードへデータを送信する場合には、前記中継ノードは、前記WM層導入ノードから前記中継ノードのWMヘッダを付加して送信されたパケットを受信し、IP層に引き継ぎ、IP層で経路表に基づいて経路を確定し、前記WM層ヘッダを付加せずにMAC層に引き継いで前記WM層未導入ノードへ転送し、前記WM層未導入ノードはこのデータパケットをIP層に引き継いで受信する
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチホップネットワークの中継方法。 - IP層とMAC層の間にWM(ワイヤレスミドルウェア)層を導入し、WM層で宛先アドレス、中継ノードのアドレス、送信するポートを管理する経路表をもち、
前記WM層において受信したパケットのWM層ヘッダを解析し、自ノード宛てのパケットならばIP層にパケットを引き継ぎ、他ノード宛てのパケットならば前記経路表に基づいてネットワークインタフェースを選択し、そのネットワークインタフェースを用いて転送する手段を備えた無線ノードにおいて、
周辺のノードが前記WM層を導入しているノード(以下「WM層導入ノード」という)か否かを判断し、WM層導入ノードならばWM層で中継可能なノードとして管理し、WM層を導入していないノード(以下「WM層未導入ノード」という)ならばWM層で終端するノードとして管理する手段を備えた
ことを特徴とする無線ノード。 - 前記WM層未導入ノードから送信されたデータを前記WM層導入ノードへ転送する前記WM層導入ノード(中継ノード)は、前記WM層未導入ノードからIP層で送信されたMACヘッダ、IPヘッダ、ペイロードからなるデータパケットを受信し、WM層に引き継ぎ、WM層で経路表に基づいて経路を確定し、宛先のWMアドレスを付加して前記WM層導入ノードへ転送する手段を備え、前記WM層導入ノードはこのデータパケットをIP層に引き継いで受信し、
前記WM層導入ノードから送信されたデータを前記WM層未導入ノードへ転送する前記WM層導入ノード(中継ノード)は、前記WM層導入ノードから前記中継ノードのWMヘッダを付加して送信されたデータパケットを受信し、IP層に引き継ぎ、IP層で経路表に基づいて経路を確定し、前記WM層ヘッダを付加せずにMAC層に引き継いで前記WM層未導入ノードへ転送する手段を備え、前記WM層未導入ノードはこのデータパケットをIP層に引き継いで受信する
ことを特徴とする請求項3に記載の無線ノード。
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