JP3790128B2 - 多段式圧造成形機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに対をなす複数のダイとパンチとで素材を所定形状に成形する多段式圧造成形機に関し、金属塑性加工の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
ボルトやナット或はその他の各種部品類を製造する際に用いられる多段式圧造成形機は、機台に複数のダイを並設する一方、これら各ダイに対して接近離反するラムには上記各ダイにそれぞれ対向するように複数のパンチを配設し、各対向するダイとパンチとにより複数段の圧造ステーションを構成すると共に、線材を所定寸法に切断してなる素材をこれらのステーションに順次供給することにより、上記素材を複数段の圧造成形を経て所定形状の製品に成形するようになっている。
【0003】
この種の多段式圧造成形機においては、クランク軸の回転に合わせて、機台上を進退動するラムや、各圧造ステーションにより圧造成形された素材を上記ラムの進退動作に同期して各ダイ内から前方に押し出すノックアウト手段や、素材を移送して次工程の圧造ステーションに順次供給する素材移送手段などが備えられる。
【0004】
これらのうち、ノックアウト手段は、上記ダイ内に後方からノックアウトピンが貫通して挿入され、該ノックアウトピンが上記ラムの移動に同期して所定範囲で前後に往復動するように構成されている。そして、圧造成形された素材をノックアウトピンの前進によりダイの前方に押し出して、上記素材移送手段に受け渡すようになっている。
【0005】
その場合に、このノックアウト手段は、素材移送手段に確実に受け渡せるタイミングで素材を押し出さなければならず、そのタイミングが適切でないと、素材移送手段が素材を把持することができず、これをダイの下方に落下させてしまうこととなる。そのため、ノックアウト手段の駆動タイミングの精密な調整が必要となる。
【0006】
また、素材移送手段は、機台に各ダイの並設方向にスライドするスライド部材を配備して、このスライド部材を上記ラムの移動に同期させて所定範囲で往復動させるように構成されると共に、該スライド部材に複数のチャック機構を取り付けた構成とされる。そして、上記スライド部材の往復動により、これらのチャック機構を隣接ステーション間で往復動させて、前工程のステーションで受け取った素材を次工程のステーションに供給するように構成される。
【0007】
その場合に、この素材移送装置についても、素材の成形を正確に行なうためには、ラムの進退動作に同期してチャックの開閉タイミング等の調整が必要となる。
【0008】
このように、この多段式圧造成形機においては、各部の作動タイミング等の調整が必要となるが、そのタイミング等は成形する製品の形状等によってそれぞれ最適値が異なるため、製品毎に調整が必要となり、多くの労力を要することとなる。
【0009】
その場合、旧来の多段式圧造成形機においては、上記調整作業はラムの往復動作を安定させる目的で備えられたフライホイールを操作棒等で人手により回転させることにより、各部位を微動させながら行なわれている。しかしながら、該フライホイールの重量は極めて大きいため、回転作業は非常に重労働となり、作業性が良くない。
【0010】
なお、上記のような圧造成形機の調整作業に関するものとして、実願平9−3991号公報に記載されたものがある。この圧造成形機によれば、駆動源をサーボモータとすると共に、パルス発生機によりサーボモータを制御できるようにして、調整時の各部位の微動を可能としたもので、これによれば、人手によるフライホイールの回転作業が不要となり、作業員が重労働から解放されることとなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的にサーボモータの出力には限界がある。すなわち、サーボモータでは、単段式圧造成形機用のフライホイールを回転させることはできても、金属部品の圧造成形等、段数に応じた大きな力を必要とする多段式圧造成形機用の大きなフライホイールを安定して回転させることが困難である。この結果、この公報に記載のような単段式圧造装置の技術を多段式圧造成形機に単に適用することはできない。
【0012】
また、上記多段式圧造成形機においては、操作盤と被調整箇所とが離れた位置にあるため、一人で作業を行なう場合、操作のたびに操作盤と被調整箇所との間を往復する必要があり、時間を要することとなる。複数の作業者で作業を分担することも可能であるが、人手を多く要するだけでなく、作業者間の意識が十分に合っていないと、作業ミスを起こす可能性がある。
【0013】
そこで、本願発明は、調整作業が容易で、かつ大きな素材の加工を可能とする多段式圧造成形機を提供することを第1の課題とすると共に、操作盤と被調整箇所とが離れた場所にある大型の装置であっても、効率的に作業を進めることができる多段式圧造成形機を提供することを第2の課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0015】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、機台に並設された複数のダイと、これら各ダイに向かって進退動するラムの前面に取り付けられて各ダイに対向する複数のパンチと、上記各ダイの後方に配設されて該ダイと各パンチとにより圧造された素材を上記ラムの進退動作に同期して各ダイ内から前方に押し出すノックアウト手段と、上記各ダイの並設方向に往復動自在に支持され、且つ機台の一側より供給された素材又は上段側のダイからノックアウト手段により押し出された素材を保持して下段側のダイの前方位置に移送すると共に上記パンチの前進に同期してその保持を解除する複数の素材移送手段と、上記ラムを往復動させるクランク軸を主クラッチを介して駆動するフライホイールと、該フライホイールを回転させる主モータと、上記クランク軸から動力を取り出して上記素材移送手段及びノックアウト手段をそれぞれ駆動する動力伝達機構と、上記素材移送手段及びノックアウト手段のうちの少なくとも一つの動力伝達機構に連結されたサーボモータと、該サーボモータを制御するパルス発生手段と、該パルス発生手段を制御可能とする遠隔操作手段とを有することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、主モータを作動させることによりフライホイールが回転されると共に、この状態で上記クラッチを接続することによりクランク軸が駆動される。この結果、該クランク軸を介してラムと、このクランク軸から動力を取り出す動力伝達機構を介して素材移送手段及びノックアウト手段とが駆動される。
【0017】
また、上記素材移送手段及びノックアウト手段のうちの少なくとも一つの動力伝達機構にサーボモータが連結されているので、該サーボモータを作動させれば、この動力伝達機構に連結された素材移送手段及びノックアウト手段のうちの少なくとも一つだけでなく、動力伝達機構を介して連結されているクランク軸も駆動され、この結果、このクランク軸により駆動されるラムと、上記動力伝達機構を介して駆動される上記素材移送手段及びノックアウト手段のうちの残りのものも、駆動されることとなる。
【0018】
そして、サーボモータによるこの多段式圧造成形機の駆動調整時には、上記クラッチを切断することにより、サーボモータの回転のフライホイールへの伝達が遮断される。これによれば、フライホイール及び該フライホイールに連結されている主モータが連れ回りしないので、サーボモータにかかる負荷が減少して該サーボモータの容量を小さくできる。また、サーボモータの回転時に誤って主モータを作動させた場合でも、上記クラッチが切断された状態で主モータの回転がクランク軸に伝達されないので、両モータが干渉したりこじれたりせず、両モータに損傷を与えることがない。
【0019】
そして、サーボモータはパルス発生手段により駆動制御されるため、パルス数やパルス同期を調整することにより、ラムと、素材移送手段と、ノックアウト手段とを緻密に駆動制御できる。その場合、遠隔操作手段によりパルス発生手段を制御することが可能であるので、作業時に作業者がパルス発生手段の設置場所に居る必要はなく、例えば作業箇所の前面に位置して作業を進めることが可能となる。
【0020】
次に、本願の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多段式圧造成形機において、サーボモータは、サーボモータ用クラッチを介して動力伝達機構に連結されていることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、サーボモータは、サーボモータ用クラッチを介して動力伝達機構に連結されているので、サーボモータの回転を必要に応じて動力伝達機構に伝達することが可能となる。
【0022】
例えば、主モータによるこの成形機の圧造駆動時にサーボモータ用クラッチを断とすれば、サーボモータに関係なく、主モータによりフライホイールを介してクランク軸が駆動されると共に、サーボモータによる成形機の駆動調整時に、サーボモータ用クラッチを接続すれば、動力伝達機構を介してこの成形機を駆動調整することができる。すなわち、主モータによるフライホイールの巨大なエネルギーを利用した運転と、サーボモータによる微動調整とが容易に切り換えられることとなり、微動調整しながら、巨大な圧造力を必要とする試運転が可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態に係る多段式圧造成形機について説明する。
【0026】
図1、図2に示すように、この多段式圧造成形機1における機台2の所定位置にはダイブロック3が配設されており、該ダイブロック3には、外部から供給される線材4を所定寸法に切断して素材を形成するカッター5が配設されていると共に、粗から精に至る複数個のダイ6…6が一定間隔に並設されている。また、上記ダイブロック3の前方に位置し、機台2に装備されたラム7の前面には、上記各ダイ6と対向するように複数個のパンチ8…8が配設されており、これら各対向するダイ6…6とパンチ8…8とで複数の圧造ステーションが構成されている。
【0027】
また、この多段式圧造成形機1には駆動手段として主モータ9が設けられており、該主モータ9によりベルト10を介してフライホイール11を駆動すると共に、該フライホイール11に備えられた主クラッチ12を介してクランク軸13を駆動するようになっている。このクランク軸13には連結ロッド14を介して上記ラム7が連結されている。これにより、主モータ9が作動すれば、ラム7がクランク軸13の回転に伴って上記ダイブロック3に対して前後動することとなり、前進時に該ラム7の前面に装備された各パンチ8とダイブロック3に配設された各ダイ6との間で素材が圧造加工されることになる。
【0028】
更に、上記ダイブロック3上に前端部が載置されかつ後端部が支軸15に軸支された支持フレーム16の前端部には、チャックブロック20が各ダイ6の並設方向に摺動自在に支持されている。このチャックブロック20は、上記クランク軸13に設けられたカム21の回転により、揺動レバー22と、中間レバー23と、ラック軸24と、ピニオン25と、連結部材26と、チャックブロック駆動用ロッド27とを介して図2におけるX−X方向に往復動されるようになっている(上記各部材21、22…は、上記チャックブロック20作動用の動力伝達機構Aを構成する)。そして、上記クランク軸13の回転により、ラム7が前後動されると同時にチャックブロック20が作動し、ラム7が一往復動する間にこのチャックブロック20が隣接するダイ6…6の間隔に等しい距離だけ一往復動するように構成されている。
【0029】
また、上記チャックブロック20の前面には、上記各ダイ6と同数個の素材移送用チャック28…28がダイ6の並設間隔と同間隔で取り付けられている。そして、上記クランク軸13により、駆動ギア30と、中間ギア31と、ベベルギア32、33と、中間軸34と、ベベルギア35、36とを介して駆動されるチャック開閉軸37が備えられている(上記各部材30、31…はチャック開閉用の動力伝達機構Bを構成する)と共に、このチャック開閉軸37上には、各チャック28ごとのチャック開閉用カム38…38が固設されており、チャック開閉軸37が回転することにより、該チャック開閉用カム38…38及び図3に示すチャック開閉機構39を介して素材移送用チャック28…28が開閉されることとなる。ここで、各チャック28…28は、ラム7の駆動源と同じクランク軸13から動力を取り出しているため、ラム7の前後動に同期して開閉されると共に、ラム7の前進時における各パンチ8…8と各チャック28…28との干渉が回避されるようになっている。
【0030】
この場合に、チャック開閉軸37上のチャック開閉用カム38をチャック開閉軸37を中心として回転させて、チャック開閉軸37への取り付け位相角を変更することにより、素材移送用チャック28…28の開閉タイミングを各圧造ステーション毎に調整可能とされ、また、各チャック28を構成する一対の爪部材の取り付け状態を調整することにより、各チャック28…28の閉じた状態での開度を、保持すべき素材の大きさ等に応じて各圧造ステーション毎に調整可能とされている。
【0031】
一方、図3に示すように、ダイ6の内部から後方にはノックアウト手段40が設けられている。このノックアウト手段40は、ダイ6内に先端部が挿入されたノックアウトピン41と、該ノックアウトピン41を前後動させる押圧ロッド42と、該押圧ロッド42を内嵌するネジスリーブ43と、該ネジスリーブ43に螺合されるロックナット44とを有し、このロックナット44を緩めた状態でネジスリーブ43を回転させて該ネジスリーブ43を前後動させることにより、上記ノックアウトピン41の後退時の先端位置をブランク形状に合わせて調整することができるようになっている。
【0032】
また、上記ノックアウト手段40の後方及び下方付近には、該ノックアウト手段40を前後動させるクランク機構50及びカム機構60が設けられている。このクランク機構50は、クランク軸13により図示していない伝動機構を介して駆動される主軸51と、該主軸51に回動自在に支持されたエキセン輪52と、該エキセン輪52に一端が支持されたコンロッド53とを有し、該コンロッド53を前後動させるようになっている。また、カム機構60は、上記コンロッド53と連結ピン61を介して連結され、基軸62に揺動自在に支持された揺動レバー63と、該揺動レバー63の上部に支軸64により揺動自在に支持されたカム部材65と、該カム部材65の外周面に摺接するローラ部材66とを有し、かつ支軸67に揺動自在に支持されたロッカーアーム68と、該ロッカーアーム68の上端部に固設されたノックアウトレバー69とで構成され、上記ローラ部材66はロッカーアーム68と一体に支軸67を中心として回動するようになっている。
【0033】
これによれば、クランク軸13が回転することにより、上記クランク機構50及びカム機構60を介してノックアウトレバー69が前後動することとなり、該ノックアウトレバー69の前端部に設けられたノッカー70が上記ノックアウト手段40の押圧ロッド43及びノックアウトピン41を前動させて、ブランクがダイ6の内部から前方に押し出されるようになっている(上記図示していない伝動機構、各部材51、52…は、ノックアウト手段40駆動用の動力伝達機構Cを構成する)。
【0034】
また、カム機構60のカム部材65の下端部に配設されたネジ部材71に螺合されたナット部材72を回転させることにより、カム部材65の揺動レバー63に対する取り付け状態を調整することが可能となっている。これにより、上記ノッカー70の前動量が変更されて、ノックアウトピン41の前進時の先端位置を調整し得るようになっている。
【0035】
以上の構成に加えて、この多段式圧造成形機1は、図1に示すように、この成形機1を調整駆動可能なサーボモータ81を有し、このサーボモータ81と、ベベルギア35の中間軸34とは反対側から延びる連結軸82との間に、このサーボモータ81の動力を断接するサーボモータ用クラッチ83が介設されている。そして、上記サーボモータ用クラッチ83は、サーボモータ81の作動時のみ、該サーボモータ81と連結軸82とを接続するように図示しない制御装置により制御される。また、該制御装置は、サーボモータ81の作動時には、前述の主クラッチ12がクランク軸13とフライホイール11との接続を切り離すように制御し、これにより、サーボモータ81の駆動によるクランク軸13の回転がフライホイール11及びこれに接続された主モータ9に伝達されないようにしている。つまり、サーボモータ81を作動させれば、クラッチ83、連結軸82、ベベルギア35、中間軸34、ベベルギア33、ベベルギア32、中間ギア31、駆動ギア30を介してクランク軸13が駆動され、このクランク軸13に連結されているラム7と、このクランク軸13から動力を取り出している素材移送用チャック28と、ノックアウト手段40とが駆動される。
【0036】
また、機台2には操作スイッチ類の備えられた操作盤90が設けられており、該操作盤90に備えられたパルス発生機91により、上記サーボモータ81の微動回転制御が可能とされている。従って、上記サーボモータ用クラッチ83を接続した状態でパルス発生機91を操作してサーボモータ81を微動させることにより、クランク軸13を微動回転させることが可能となり、これにより該クランク軸13を介して駆動されるラム7と、該クランク軸13から取り出される動力で作動する上記素材移送用チャック28及びノックアウト手段40とを微動させることが可能となる。
【0037】
なお、この多段式圧造成形機1には、本体とは分離された遠隔操作装置92が備えられており、該遠隔操作装置92により、上記パルス発生機91を遠隔操作可能としている。
【0038】
次に、この多段式圧造成形機1の作用を説明する。
【0039】
まず、通常の製品加工作業時の作用について説明すると、サーボモータ用クラッチ83を切断した状態で主モータ9を作動させれば、ベルト10を介してフライホイール11が回転される。その際、フライホイール11内に設けられた主クラッチ12によりフライホイール11をクランク軸13に連結しておけば、該クランク軸13が回転すると共に、ラム7と、該クランク軸13から動力を取り出している素材移送用チャック28及びノックアウト手段40とが駆動されることとなる。
【0040】
つまり、第1図に示すように、ラム7が後退して該ラム7の前面に取り付けられたパンチ8がダイ6より離反している状態において、各素材移送用チャック28が、チャック開閉軸37の回転に伴って、第2図に示す状態より左右に開動されると共に、左右に開動された各素材移送用チャック28が、チャックブロック駆動用ロッド27により、第2図に示すX−X方向に移動されて、前段位置の各ダイ6の前面に移動される。その状態で、該ダイ6に内装されたノックアウトピン41によりブランクがダイ6から押し出されて、素材移送用チャック28の先端部の空間に挿入される。そして、該素材移送用チャック28に把持されて、次段のダイ6の前面位置に移送される。移送後、ブランクを落下させない程度にチャック28が若干開いた状態で、パンチ8がブランクに向かって前進することにより、ブランクがダイ6に押し込められて、圧造成形されることとなる。圧造成形後は、再度、前段で説明した動作が繰り返されることとなる。
【0041】
次に、サーボモータ81を用いた各部の調整作業時の作用について説明すると、まず、パルス発生機91によりサーボモータ81を作動させると、主クラッチ12によりクランク軸13とフライホイール11との接続が切り離され、その次にサーボモータ用クラッチ83が接続される。そのとき、上記動力伝達機構Bを介して、クランク軸13と、該クランク軸13により駆動されるラム7とが駆動されると共に、クランク軸13から上記動力伝達機構A、Cを介して、チャックブロック20とノックアウト手段40とが駆動されることとなる。そして、このサーボモータ81はパルス発生機91により微動制御可能とされているため、上記クランク軸13に連結されている機構を微調整することが可能となる。
【0042】
そして、調整作業について説明すると、チャック28の開閉タイミングの調整が必要な場合には、チャック開閉軸37上のチャック開閉用カム38を、チャック開閉軸37を中心として回転させて、チャック開閉軸37への取り付け位相角を変更することとなる。また、チャック28の閉じた状態での開度の調整が必要な場合は、チャック28を構成する一対の爪部材の取付状態を変更することとなる。そして、ノックアウトピン41の後退時の先端位置の調整が必要な場合は、ノックアウト手段40のネジスリーブ43を回転させて該ネジスリーブ43を前後動させることとなる。さらに、ノックアウトピン41の前進時の先端位置の調整が必要な場合は、カム機構60のナット部材72を回転させることによりロッカーアームを前後動させることとなる。そして、上記の調整を行なった後にサーボモータ81を微動させて状態を確認し、最適な状態になるまでそれぞれの調整を繰り返すこととなる。
【0043】
その場合に、上記サーボモータ81の回転の上記フライホイール11への伝達を遮断するクラッチ12が備えられているので、この多段式圧造成形機1のサーボモータ81による駆動調整時には、上記クラッチ12を切断することにより、フライホイール11及び該フライホイール11に連結されている主モータ9が連れ回りしないので、サーボモータ81にかかる負荷が減少してサーボモータ81の容量を小さくできる。また、サーボモータ81の回転時に、誤って主モータ9を作動させた場合でも、上記クラッチ12が切断された状態で主モータ9の回転がクランク軸13に伝達されないので、両モータ13、81が干渉したりこじれたりせず、両モータ13、81に損傷を与えることがない。
【0044】
なお、上記の各調整作業に際して遠隔制御装置92を用いれば、作業者がパルス発生機91の操作のために操作盤90の近傍に居る必要性がなくなり、調整が必要な箇所である素材移送用チャック28やノックアウト手段40の近傍で調整状況を確認しながら作業を進めることが可能となる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本願発明によれば、多段式圧造成形機の調整の際に、人手によるフライホイールの回転作業が不要となって、作業者の負担の軽減が図れると共に、主モータによれば大きな素材の加工が可能となる。また、操作盤と被調整箇所とが離れた場所にある大型の装置であっても、遠隔操作手段により効率的に作業を進めることができる多段式圧造成形機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の実施の形態に係る多段式圧造成形機の平面図である。
【図2】 同多段式圧造成形機の素材移送用チャック周辺の正面図である。
【図3】 同多段式圧造成形機の側面図である。
【符号の説明】
1 多段式圧造成形機
6 ダイ
7 ラム
8 パンチ
9 主モータ
11 フライホイール
12 主クラッチ(クラッチ)
13 クランク軸
28 素材移送用チャック(素材移送手段)
40 ノックアウト手段
81 サーボモータ
83 サーボモータ用クラッチ
91 パルス発生機(パルス発生手段)
92 遠隔操作装置(遠隔操作手段)
A、B、C 動力伝達機構

Claims (2)

  1. 機台に並設された複数のダイと、これら各ダイに向かって進退動するラムの前面に取り付けられて各ダイに対向する複数のパンチと、上記各ダイの後方に配設されて該ダイと各パンチとにより圧造された素材を上記ラムの進退動作に同期して各ダイ内から前方に押し出すノックアウト手段と、上記各ダイの並設方向に往復動自在に支持され、且つ機台の一側より供給された素材又は上段側のダイからノックアウト手段により押し出された素材を保持して下段側のダイの前方位置に移送すると共に上記パンチの前進に同期してその保持を解除する複数の素材移送手段と、上記ラムを往復動させるクランク軸を主クラッチを介して駆動するフライホイールと、該フライホイールを回転させる主モータと、上記クランク軸から動力を取り出して上記素材移送手段及びノックアウト手段をそれぞれ駆動する動力伝達機構と、上記素材移送手段及びノックアウト手段のうちの少なくとも一つの動力伝達機構に連結されたサーボモータと、該サーボモータを制御するパルス発生手段と、該パルス発生手段を制御可能とする遠隔操作手段とを有することを特徴とする多段式圧造成形機。
  2. サーボモータは、サーボモータ用クラッチを介して動力伝達機構に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の多段式圧造成形機。
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