JP3789748B2 - 液体供給構造、液体供給装置およびそれを備えた半導体製造装置 - Google Patents

液体供給構造、液体供給装置およびそれを備えた半導体製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対象物に対し液体を供給する液体供給構造、液体供給装置、およびそれを備えた半導体製造装置に関する。より具体的には、例えば、液晶表示素子、PDP(Plasma Display Panel)等のフラット・ディスプレイ・パネルや、半導体基板、太陽電池基板、磁性体基板等の平板の製造工程で用いられる各種液体を、これら対象物に対し液膜状として供給する液体供給構造、液体供給装置およびそれを備えた半導体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子の製造工程、例えば、洗浄工程やレジスト剥離工程等では、対象物(基板など)に対して処理を均一に施すために、洗浄液やレジスト剥離液等の液体を均一な液膜状として施す液体供給装置が使用されている。以下、このような液体供給装置として、液晶表示素子用のガラス基板の洗浄工程で使用される洗浄装置を例に挙げて説明を行う。
【0003】
上記の洗浄装置は、図5に示すように、図示しない洗浄液供給タンク;ラインノズル110;洗浄液供給タンクとラインノズル110とを接続する2本の洗浄液供給路120・120;を含んで構成されている。洗浄液供給路120・120はそれぞれ上記ラインノズル110に設けられた中空の取付部112・112に取り付けられており、洗浄液供給タンク内の洗浄液は、加圧された状態で洗浄液供給路120・120、並びに取付部112・112内部空間を介してラインノズル110内に供給され、取付部112・112内部空間と連通された吐出口(図6参照)115より外部に吐出される。
【0004】
吐出口115は洗浄の対象物としてのガラス基板130の幅より大きな幅を有するように形成されており、該吐出口115から吐出された洗浄液はカーテン状の洗浄液膜140として、下方に配置されたガラス基板130上にライン(線状)供給される。
【0005】
洗浄液の供給時には、ガラス基板130をラインノズル110に対し相対移動させ、これにより、ガラス基板130上面全体に対し洗浄液が面状かつ均一に供給され、該洗浄液の液膜141がガラス基板130上に生成される。なお、ガラス基板130をラインノズル110に対し相対移動させるには、1)搬送手段を用いてガラス基板130を矢印方向(進行方向:図5参照)に移動させる、および/または、2)ラインノズル110を該矢印と反対方向に移動させれば良い。
【0006】
上記のラインノズル110は、図6および図7に示すように、中空の取付部112・112がその一面に設けられた平板状部材113と、その一面114aに直方体状の凹状部115aが設けられた支持部材114とから構成された一般的なラインノズルである。
【0007】
上記の平板状部材113には取付部112・112の中空部それぞれと連続するように2つの穴部が穿設され、該穴部は取付部112・112が設けられた面の背向面側に貫通している。また、図示しないが、該背向面側にはコの字状の凸部が設けられている。一方、支持部材114の一面114aには、凹状部115aの三方を取り囲むようにコの字状の凹部116が設けられており、さらに上記の凸部と凹部116とは互いに嵌合可能な大きさに設計されている。
【0008】
そして、平板状部材113と支持部材114とは、上記凸部と凹部116とが嵌め合わされるべく組み立てられると共に、ネジ留め等で固定され、カーテン状の膜として洗浄液を吐出する間隙(吐出口115)を備えたラインノズル110が構成される。なお、吐出口115においては、開口幅L1 が吐出される洗浄液膜140の幅に相当し、ギャップW1 がその厚さに相当する。
【0009】
洗浄液を吐出する際、吐出口115以外からラインノズル110外部への洗浄液の流出(すなわち漏出)が発生する場合には、平板状部材113と支持部材114とを接続するための凹部116内にパッキン117を配し、両部材間の密閉性をさらに高めることもできる。なお、上記ラインノズル110には、取付部112は少なくとも一つ設けられていればよい。
【0010】
また、上記のラインノズル110に代えて、図8に示すスプレーノズル150を採用しても、対象物に対し洗浄液を均一な液膜状として施す液体供給装置を構成することが可能である。該液体供給装置は、洗浄液供給路120を介して供給された加圧された洗浄液を、狭い口径を持つ吐出口155から扇状の洗浄液膜160として吐出する。これによりスプレーノズル150の下方に配置されたガラス基板130上に、洗浄液が線状あるいは面状に供給される。
【0011】
洗浄液の供給時には、ガラス基板130上面全体に対し洗浄液が面状かつ均一に供給されるように、ガラス基板130をスプレーノズル150に対し相対移動させる。なお、ガラス基板130をスプレーノズル150に対し相対移動させるには、1)搬送手段を用いてガラス基板130を矢印方向(進行方向:図8参照)に移動させる、および/または、2)スプレーノズル150を該矢印と反対方向に移動させれば良い。
【0012】
また、特開平10−189419号には、上記ラインノズル110に類似のラインノズルを使用する現像装置および現像方法が開示されている。この公報に記載のノズルは、現像液を帯状にして基板上に吐出するために使用されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
液晶表示素子や半導体基板等の製造工程においては、パネル基板や、ウエハ等の平板(対象物)に処理用の液体を供給する作業が不可欠であるため、処理用の液体の使用量を削減することはコストダウンにつながる有効な手段である。
【0014】
例えば、上記したラインノズル110やスプレーノズル150では、
1)それぞれの吐出口115・155の開口面積を小さくすること
2)洗浄液(処理用の液体)の供給圧力を低くすること
のいずれかにより、吐出される洗浄液量の削減が実現可能である。
【0015】
しかしながら、スプレーノズル150において、上記1)、2)の何れかの方法で洗浄液使用量を削減すれば、微小時間における単位面積当たりの洗浄液供給量の均一性を確保することが困難となる。
【0016】
一方、ラインノズル110を使用し、洗浄液の供給圧力を低くすることにより使用量を削減する場合、吐出時の洗浄液の流速が減少する。その結果、吐出液面の表面張力の影響で洗浄液膜140の一部、あるいは全体が破れるなど、洗浄液膜140の維持が困難となる。洗浄液膜140が維持されない場合、平板に対する洗浄液の均一な供給は、スプレーノズル150の場合と同様に困難となる。
【0017】
そこで、ラインノズル110では、ギャップW1 を小さくすることにより吐出口115の開口面積を小さくする方法が一般に選択されるが、この際、ギャップW1 の開口状態により液体の吐出状態にむらが発生する場合がある。吐出のむらにより吐出液量が不足する領域が生じた場合、吐出液面の表面張力の影響で膜の維持が困難になる。このようにギャップW1 を小さくすることにより吐出液量(流量)を減少させた状態において、上記の不均一な液体の供給が発生すると、処理すべき平板の表面には、処理が行われない領域が発生することとなる。
【0018】
また、この方法ではカーテン状の洗浄液膜140の単位面積当たりの流量が少なくなる(すなわち洗浄液膜140が薄くなる)。このため、ラインノズル110表面に付着している水滴(液滴)等の外乱による該洗浄液膜140の破壊が発生する可能性が高くなるという問題を招来する。
【0019】
このような水滴は、平板状部材113と支持部材114との接合面間(接合部)に漏出した洗浄液がラインノズル110表面に滲出して形成される。このような接合面間への洗浄液の漏出量は、洗浄液の供給圧力を下げることなく吐出口115の開口面積を小さくすれば増加するため、特に重大な問題となる。
【0020】
上記問題の解決方法としては、例えば、パッキン117(図7参照)を設ける、または、接合面間を封止材料を用いて封止し、両部材の密着性および液密をさらに高めることが考えられる。しかしながら、パッキン117や封止材料を使用すれば、これらが設けられている空隙(例えば凹部116)に漏出した洗浄液は外部に排出されずに長時間滞留し(蓄積し)、洗浄液、パッキン117、並びに封止材料が変質する場合がある。
【0021】
洗浄液が変質すると、変質した洗浄液が吐出口115より平板等の対象物に吐出されて、かえって対象物を汚染する虞がある。また、パッキン117や封止材料が変質し損耗すると、平板状部材113と支持部材114との間に空隙が残るので、パッキン117等を設けない構成と比較してもかえって漏出液量の増加を招来する。加えて、漏出した洗浄液により洗浄液膜140の均一性が破壊される虞も増大する。
【0022】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、1)対象物に対し、液体を均一な液膜状として供給すること、2)洗浄液等の液体の使用量を削減すること、および、3)洗浄液の汚染を抑制することの3点が同時に実現可能な液体供給構造、液体供給装置およびそれを備えた半導体製造装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる液体供給構造は、上記の課題を解決するために、2個以上の空間部構成部材を組み合わせることで、液体流入口と液体吐出口とを有する空間部が形成されてなり、上記液体流入口を介して空間部に流入された液体を、上記液体吐出口より外部空間に対し液膜状として供給する液体供給構造において、外部空間に開口した開口部を有し、上記空間部構成部材間に漏出した液体を外部空間に排出する排出路が、上記空間部とは独立して該空間部構成部材内に形成されてなることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、空間部構成部材間に漏出した液体は排出路を通じて外部空間に排出されるので、液体吐出口の開口面積にかかわらず、該液体の液滴が液体供給構造の表面に形成されることがない。すなわち、液体吐出口から吐出される液体の液膜が、漏出した液体の液滴により破壊される虞のない液体供給構造を提供することが可能となる。
【0025】
加えて、空間部構成部材間に漏出した液体は長時間滞留することなく開口部を介して外部空間に排出されるので、例えば、空間部構成部材間の密着性を高めるために封止材料が使用された場合であっても液体の変質や、封止材料の変質・損傷を抑制することが可能となる。
【0026】
本発明にかかる液体供給構造は、上記の構成に加えて、上記排出路の開口部外側近傍に、液体誘導のための突起部が形成されてなることを特徴としている。
【0027】
上記の構成によれば、開口部を介して排出路から排出される液体は、突起部表面を表面張力により誘導される。それゆえ、空間部構成部材間に漏出した液体を、液体吐出口から吐出される液体の液膜方向に近づけることなく確実に排出することが可能となる。
【0028】
本発明にかかる液体供給構造は、上記の構成に加えて、上記排出路内に、開口部から外部空間に突出するように液体誘導部材が挿入されてなることを特徴としている。
【0029】
上記の構成によれば、開口部を介して排出路から排出される液体は、液体誘導部材表面を表面張力により誘導される。それゆえ、空間部構成部材間に漏出した液体を、液体吐出口から吐出される液体の液膜方向に近づけることなく確実に排出することが可能となる。
【0030】
本発明にかかる液体供給装置は、上記の課題を解決するために、上記いずれかの液体供給構造を備えてなることを特徴としている。
【0031】
上記の構成によれば、対象物に対し、液体を均一な液膜状として供給すること、洗浄液等の液体の使用量を削減すること、および、洗浄液の汚染を抑制することの3点が同時に実現可能な液体供給装置を提供する事が可能となる。
【0032】
本発明の液体供給装置は、液体流入口と、液体流入口から流入した液体を一時的に滞留させる空間部と、この空間部の液体を外部空間に対し液膜状として吐出するための液体吐出口とを備えている液体供給装置において、前記液体吐出口の開口幅が300mm以上であり、この開口幅方向に直交する方向のギャップが0.5mm以下であり、さらに、前記液体流入口に0.2MPa以上の流入圧力にて液体を送り込む液体送込み手段を備えていることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、液体流入口を介して流入した液体は、空間部の間隔に対して液体吐出口のギャップが小さいため、空間部内において一時的に停留される。空間部に流入した液体は、空間部に滞留されることにより昇圧され、また、ギャップを通過する際に、断面積が減少することにより加速されるため、運動エネルギーが付与される。これにより、液体をカーテン状の薄い液膜として液体吐出口から吐出することができる。
【0034】
このとき、液体供給装置では、液体吐出口の開口幅が300mm以上、この開口幅方向に直交する方向のギャップが0.5mm以下、そして、液体流入口からの液体流入圧力が液体送込み手段により0.2MPa以上に設定されているので、液体吐出口からの液体の吐出量を抑制しつつ、吐出される液体の液膜を壊れ難くすることが可能となり、処理すべき幅が300mm以上の平板(処理対象)に対して使用することができる。
【0035】
上記の液体供給装置は、前記ギャップを形成する、液体吐出口内の両対向面が平坦面となっており、これら両平坦面間における、液体吐出口の先端部から内方へ5mm以上離れた位置に、外形が円柱形のスペーサが設けられている構成としてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、上記スペーサにより、液体供給装置の大型化に伴うギャップの不均一を防止することができる。即ち、液体吐出口の開口幅方向においてギャップを均一にするためにスペーサを設ける場合、スペーサは、円柱形にすると液体の乱流が生じ難くなる。また、スペーサの存在により乱流が生じた場合であっても、スペーサが液体吐出口の先端部から内方へ5mm以上離れた位置に設けられていれば、スペーサから液体吐出口の先端部までの間において乱流を整流化することができる。
【0037】
これにより、特に大型の液体供給装置において、液体吐出口のギャップが不均一となったために生じる、吐出される液体の流量のばらつきに起因する液膜の破壊を防止することができる。
【0038】
上記の液体供給装置は、前記の液体流入口が、前記の液体吐出口の開口幅方向と平行に等間隔に並ぶ状態にて、前記開口幅方向の400mm以内毎に1個設けられている構成としてもよい。
【0039】
上記の構成によれば、配管抵抗により空間部の液体流入口において圧力勾配が生じ、この圧力勾配により空間部内において圧力差が生じる事態を抑制することができる。したがって、空間部内においては、液体の均一かつ安定した供給圧力を生成することができる。
【0040】
これにより、液体吐出口の開口幅方向の各部において、カーテン状の薄い液膜を維持した状態で液膜が到達できる距離の差をなくすことでき、安定したカーテン状の液膜を供給することが可能となる。
【0041】
本発明の半導体製造装置は、上記何れかの液体供給装置を備えていることを特徴としている。
【0042】
上記の構成によれば、半導体装置において、液体供給装置を例えば基板の洗浄装置として使用することができ、この場合には、洗浄液の良好な液膜により、基板を適切に洗浄することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。尚、これによって、本発明が限定されるものではない。
【0044】
本実施の形態にかかる液体供給構造は、例えば液晶表示素子等の製造工程に用いられる枚葉式の洗浄装置(液体供給装置)に適用されるものである。
【0045】
図2に示すように、上記の洗浄装置は、図示しない洗浄液供給タンク;液体供給構造としてのラインノズル11;洗浄液供給タンクとラインノズル11とを接続する2本の洗浄液供給路(洗浄液搬送経路)20・20;を含んで構成されている。洗浄液供給路20・20はそれぞれ上記ラインノズル11に設けられた中空の取付部12・12に取り付けられており、洗浄液供給タンク内の洗浄液(液体)は、加圧された状態で洗浄液供給路20・20、並びに取付部12・12内部空間を介してラインノズル11内に供給され、取付部12・12内部空間と連通された吐出口(図1参照)15より外部に吐出される。
【0046】
吐出口15は洗浄の対象物としてのガラス基板30の幅より大きな幅を有するように形成されており、該吐出口15から吐出された洗浄液はカーテン状の洗浄液膜40として、吐出口15と対向して下方に配置されたガラス基板30上にライン(線状)供給される。なお、本実施の形態において吐出口15は、開口幅400mm、ギャップ80μmのスリット状に形成されているため、上記洗浄液膜40は400mmの幅を持って吐出されることとなる。
【0047】
洗浄液の供給時には、洗浄液の液膜41がガラス基板30上面全体に均一に生成されるように、該ガラス基板30をラインノズル11に対し相対移動させる。ガラス基板30をラインノズル11に対し相対移動させるには、1)複数の搬送ローラ50…等よりなる搬送手段51を用いてガラス基板30を矢印方向(図2参照)に移動させる、および/または、2)ラインノズル11を該矢印と反対方向に移動させれば良い。
【0048】
また、洗浄液が供給されるガラス基板30上面と吐出口15との距離は、洗浄液膜40の均一性維持が可能な限りにおいて特に限定されるものではない。本実施の形態において該距離は10mmに設定されているが、例えば、ガラス基板30上面への洗浄液の供給速度、吐出口15の大きさ、または洗浄液の粘度等に応じて適宜設定することができる。
【0049】
以下、図1ないし図4に基づいて本発明にかかる液体供給構造であるラインノズル11について、さらに詳細に説明を行う。ラインノズル11は、空間部構成部材である平板状部材13と支持部材60とを組み合わせることで、液体流入口14a・14aと吐出口(液体吐出口)15とを有する液体流動空間(空間部)61が形成されてなり、上記液体流入口14a・14aを介して液体流動空間61に流入された洗浄液を、上記吐出口15より外部空間に対し液膜状として供給する液体供給構造であって、さらに、外部空間に開口した開口部62a・62aを有し、上記空間部構成部材間に漏出した洗浄液を外部空間に排出する排出路62(図1への図示は省略)が、上記液体流動空間61とは独立して空間部構成部材間に形成されてなるものである。
【0050】
なお、本発明において上記空間部構成部材とは、液体が流動される液体流動空間(ラインノズル11の内部空間)61の構成に寄与する部材、より具体的には、該液体流動空間61を他の空間と隔てるための少なくとも一面として機能する部材のことを指す。したがって、本発明にかかるラインノズル11は、例えば空間部構成部材間の接合を補強するための接合補強部材など、平板状部材13および支持部材60以外の部材を含んでなるものであってもよい。
【0051】
上記平板状部材13は肉薄の直方体状の部材であり、洗浄液供給路20・20を取り付けるための中空の取付部12・12がその一面に設けられているとともに、該取付部12・12の中空部12a・12aそれぞれと連続するように2つの穴部14・14が穿設されている。これら穴部14・14は取付部12・12が設けられた面の背向面側に、上記液体流入口14a・14aとして貫通している。また、図示しないが、該背向面側にはコの字状の凸部が設けられている。
【0052】
一方、図3にも示すように、支持部材60の一面60a側には、直方体状部材から面60a・60bそれぞれの一部をその一面とする直方体が切り取られてなる直方体状の凹状部61aと、面60b側にその両端を有し、該凹状部61aの三方を取り囲むように形成されたコの字状の凹状溝62bとが設けられている。そして、これら凹状部61aと凹状溝62bとの間には、平板状部材13との組合せ時に面シール部60a’として機能する面60aの一部が、コの字状に残されている。つまり、上記凹状部61aと凹状溝62bとは、互いに独立して(非連続に)設けられている。さらに、上記凹状溝62bの内部には、該凹状溝62bの幅(本実施の形態では3mm)よりも小さな幅(直径2mm)を有し、例えばシリコーン等の封止材料からなる円筒長ヒモ型の液体誘導部材70が、その両端部を凹状溝62bの外部へ突出するように挿設されている。
【0053】
上記平板状部材13に設けられた凸部と、支持部材60に設けられた凹状溝62bとは互いに嵌合可能な大きさ、及び位置に設計されているが、凸部の高さに対し凹状溝62bの深さがより大きくなるように形成されている。そして、上記の平板状部材13と支持部材60とは、上記凸部と凹状溝62bとが嵌め合わされるべく組み立てられると共に、ネジ留め等で固定され、ラインノズル11が構成される。
【0054】
ラインノズル11内部には、図1ないし図3に示すように、上記平板状部材13の背向面と、支持部材60の凹状部61aを構成する面とで囲まれた液体流動空間(吐出用流路)61が形成される。この液体流動空間61は、液体流入口14a・14aにおいて、中空の取付部12・12を介し洗浄液供給路20・20と連通されてなるとともに、所定の大きさを有する吐出口15において外部空間に開口している。
【0055】
また、平板状部材13と支持部材60との間、すなわち、平板状部材13の背向面に設けられた凸部と、支持部材60の面60aに設けられた凹状溝62bとの嵌め合い部分には、所定の断面積を有する空間(以下に述べる排出路62に相当)が形成される。より具体的には、凸部の高さは、嵌め合わせ時に凸部が液体誘導部材70に当接またはやや圧接されるように設計されており、嵌め合わせにより凸部と液体誘導部材70との間の密着性が高められるとともに、凹状溝62bの幅よりも小さな直径を有する液体誘導部材70の周囲に、上記空間(排出路62)が形成される。
【0056】
この空間は、吐出口15の幅方向両外側に、外部空間に開口した開口部62a・62aを有し、上記液体流動空間61とは独立して平板状部材13と支持部材60との間に形成されてなるものである。なお、ここで「空間(排出路62)と液体流動空間61とが独立して形成される」とは、平板状部材13の背向面と、支持部材60の一面60a(特に面シール部60a’として機能するコの字状に残された領域)とが密着されて、両空間が実質的に非連続に形成されることを指す。
【0057】
洗浄処理の対象であるガラス基板30の上面に対し洗浄液を供給する際には、該洗浄液は加圧された状態で、洗浄液供給路20・20から液体流入口14a・14aを介して液体流動空間61内に流入され、上記吐出口15より外部空間に対し液膜状として供給される。
【0058】
このとき、液体流動空間61を流れる加圧された洗浄液が、平板状部材13との接合による面シール部(接合部)60a’から外側(外周)方向に漏出すれば、漏出した洗浄液は排出路62内に集められ、開口部62a・62aを介して洗浄液膜40とは離れた外部空間に排出される。また面シール部60a’から漏出する微小量の洗浄液が排出路62内に常時集められることで該排出路62内には絶えず新しい洗浄液が供給されるので、漏出した洗浄液が長時間停留(滞留)することなく排出される。これにより、該洗浄液の変質や、液体誘導部材70の変質・損耗、これによる洗浄液の汚染を従来の構成と比較して大幅に低減することが可能となり、洗浄処理の対象であるガラス基板30が逆に汚染されることもない。
【0059】
加えて、排出路62と液体流動空間61とは独立して形成されているので、漏出した液体が液体流動空間61内の洗浄液の流れに逆流することや、開口部62a・62aから排出される洗浄液が、吐出口15から吐出される洗浄液膜40に合流することがなく、該洗浄液膜40の破壊が防止される。
【0060】
また、ラインノズル11から外部空間への洗浄液の流出を、吐出口15および開口部62a・62aからのみとし、その他の部分からのリークを防止することが可能となる。洗浄液のリークが防止されることにより、吐出口15の開口面積にかかわらず、ラインノズル11表面に洗浄液膜40を破壊する原因となる液滴(水滴)が発生しない。このため、例えば、吐出口15のギャップを小さくしても均一な洗浄液膜40が安定に形成されて、洗浄液の液膜41がガラス基板30上面全体に均一に生成される。
【0061】
なお、図1に示すラインノズル11から液体誘導部材70が省略された構成のラインノズルを用いても上記説明の効果は得られるが、液体誘導部材70がさらに設けられた構成によれば、より確実に上記の効果を得ることが可能となる。すなわち、図1に示す構成では、排出路62内に、開口部62a・62aから外部空間に突出するように液体誘導部材70が挿入されているので、排出される洗浄液は該液体誘導部材70表面を表面張力により誘導され、洗浄液膜40方向に近づくことなくガラス基板30の外側(すなわち、洗浄とは無関係の領域)に確実に排出される。
【0062】
液体誘導部材70の先端部は、誘導される洗浄液が洗浄液膜40やガラス基板30方向に排出されぬように形成されていればよいが、さらに、該先端部を針状とすれば、その表面に付着した洗浄液をより迅速に液滴化し、滴下排出可能となる。また、該先端部を吐出口15(すなわち洗浄液膜40)から離れる方向に屈曲させれば、排出された洗浄液がガラス基板30上に滴下される虞や、洗浄液膜40に合流する虞をより確実に低減することが可能となる。
【0063】
上記の液体誘導部材70は特に封止材料にて構成される必要はない。しかしながら、例えば、洗浄液等として高浸透圧の液体を使用する場合には、排出路62のさらに外側への液体の漏出を防止する目的で、該排出路62内に封止材料を配することがより望ましい。この場合、封止材料は、開口部62a・62aから外部空間に突出するように配されてもよく、排出路62内のみに配されてもよい。
【0064】
また図3に示す支持部材60に代えて図4に示す支持部材(空間部構成部材)60’を使用し、平板状部材13と支持部材60’とでラインノズル(液体供給構造)を構成してもよい。このラインノズルは、図1に示すラインノズル11から液体誘導部材70が省略された構成において、排出路62bの開口部62a・62aそれぞれの外側近傍に、液体誘導のための突起部71・71が形成されてなるものである。
【0065】
上記のラインノズルの構成では、平板状部材13と支持部材60’との間に漏出し開口部62a・62aから排出される洗浄液は、突起部71・71表面を表面張力により誘導され、洗浄液膜40方向(すなわち吐出口15方向)に近づくことなくガラス基板30の外側(すなわち、洗浄とは無関係の領域)に確実に排出される。
【0066】
突起部71・71は、誘導される洗浄液が洗浄液膜40やガラス基板30方向に排出されぬように形成されていればよいが、さらに、その先端部を針状とすれば、その表面に付着した洗浄液をより迅速に液滴化し、滴下排出可能となる。また、該先端部を吐出口15(すなわち洗浄液膜40)から離れる方向に屈曲させれば、排出された洗浄液がガラス基板30上に滴下される虞や、洗浄液膜40に合流する虞をより確実に低減することが可能となる。
【0067】
なお、一つの開口部62aに設けられる突起部71の数、形状などは特に限定されるものではない。図4に示すように、開口部62aの外側近傍でかつ吐出口15の遠位側の領域に突起部71を設けてもよく、また、例えば、開口部62aを取り囲むように複数の突起部を設けてもよく、開口部62aを取り囲むように枠状(または円環状)の突起部を一つ設けてもよい。
【0068】
上記説明の液体供給構造において、平板状部材13に設けられる凸部の高さと、支持部材60(または支持部材60’)に設けられる凹状溝62bの深さの関係は、両者を嵌め合わせた際に、所定の断面積を有する空間(排出路62に相当)が構成されるように設計されていれば特に限定されるものではない。さらに、平板状部材13に設けられる凸部は、該平板状部材13と支持部材60(または支持部材60’)との接合が充分に確保されている場合や、両部材間に漏出する洗浄液の量が極めて微小である場合などには省略することも可能である。
【0069】
さらに、いうまでもないが、平板状部材と支持部材との組み立てにより液体流動空間となる凹状部や、排出路となる凹状溝は、平板状部材の上記背向面側または、該背向面と接合される支持部材の一面側の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0070】
また、本実施の形態において排出路62はいずれも、吐出口15の幅方向外側に開口部62a・62aを有するコの字形状の空間であったが、1)平板状部材13と支持部材60(または支持部材60’)との間に液体流動空間61と独立して位置し、かつ、2)部材間に漏出した洗浄液を、洗浄対象物であるガラス基板30や洗浄液膜40から離れた所に排出すべく開口部が形成された空間であれば、特にこの形状に限定されるものではない。
【0071】
例えば、図4において、凹状溝62bをなす2本の垂直溝62b1 ・62b1 と該垂直溝62b1 ・62b1 をつなぐ水平溝62b2 のうち、水平溝62b2 を省略してもよく、場合によっては垂直溝62b1 ・62b1 の一方をさらに省略してもよい。また、排出路62内の洗浄液をより迅速に排出可能とする目的で、例えば支持部材60’の一面60bの背向面側に開口する空気孔部を排出路62と連続するように形成してもよい。
【0072】
なお、排出路62の断面積は、使用される洗浄液の物理的性質(粘度等)や、排出路62の構成自体(空気孔部が設けられているか否か等)に応じて適宜設定することができる。
【0073】
上記説明のように、平板状部材13と支持部材60(または支持部材60’)とを組み合わせてなるラインノズル11は、漏出した洗浄液に起因する液滴がその表面に発生しないので、従来と同等の均一性を有する洗浄液膜40を、より小さなギャップを有する吐出口15から吐出することが可能である。具体的には、2mm(ギャップ)×400mm(開口幅)の大きさの吐出口を有する従来のラインノズルでは均一な洗浄液膜の形成に毎分30リットルの吐出量が必要とされたが、本実施の形態の構成では吐出口15の大きさは80μm(ギャップ)×400mm(開口幅)に設定できるので、毎分4リットルの吐出量で均一な洗浄液膜40を形成することが可能となり、洗浄液の使用量を大幅に削減することができた。
【0074】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の他の形態を図9ないし図15に基づいて以下に説明する。
本実施の形態における液体供給装置は、図9(分解斜視図)および図10(縦断面図)に示す液体供給用ラインノズル(以下、単にラインノズルと称する)201として適用されている。このラインノズル201は、前記のラインノズル11の平板状部材13、支持部材60にそれぞれ対応する平板状部材202、支持部材203を備えている。さらに、ラインノズル201は、前記の吐出口15および液体流動空間61を備え、平板状部材202には、前記の取付部12および液体流入口14aが形成され、支持部材203には凹状部61aが形成されている。
【0075】
即ち、ラインノズル201は、空間構成部材である平板状部材202と支持部材203とを組み合わせることで、吐出口15、ならびに液体を一時的に停留させるためのバッファとして機能する液体流動空間61を形成している。そして、上記取付部12(液体流入口)を介して液体流動空間61に流入された洗浄液を、上記吐出口15より、外部空間に対し液膜状として供給する。
【0076】
支持部材203において、吐出口15のギャップを形成する面、即ちギャップ形成面15aは、凹状部61aよりも平板状部材202側へ突出した平坦面となっている。同様に、ギャップ形成面15aと対向する平板状部材202の面、即ちギャップ形成面202a(図10参照)も平坦面となっている。
【0077】
上記のギャップ形成面15aには、吐出口15のギャップ(平板状部材202と支持部材203との間のギャップW1 ;図10参照)を適切に設定するための2個のスペーサ204が形成されている。このスペーサ204は、円柱形をなして平板状部材202方向に突出し、前端面が平板状部材202のギャップ形成面202aと当接している。
【0078】
吐出口15のギャップW1 は、液体流動空間61における液体流入方向の長さに対して狭いため、液体流動空間61に流入した洗浄液は、その中で一時的に停留することができる。また、このように液体流動空間61を有する構成とすることにより、液体流動空間61に流入した昇圧された洗浄液は、吐出口15(狭いギャップW1 )を通過する際に、昇圧され、断面積が減少することにより加速されるため、運動エネルギーが付与される。したがって、洗浄液は、吐出口15からカーテン状の薄い液膜となって吐出する。
【0079】
具体的には、液体送込み装置(液体送込み手段)210(図11参照)から静圧0.5MPaの洗浄液を洗浄液供給路20および2個の取付部12を介してラインノズル201に供給し、洗浄液を液体流動空間61(H=10mm;図10参照)に流入させたところ、開口幅L1 が400mm、ギャップW1 が80μmに設定された吐出口15から、幅400mmのカーテン状の洗浄液膜40(図11参照)を吐出させることができた。
【0080】
しかしながら、カーテン状の液膜(水膜)は外乱に影響されやすいため、安定した水膜を生成する為には安定した供給圧力を維持することが不可欠である。均一かつ安定した供給圧力を生成するためには、取付部12(液体流入口)の数が重要な要素となる。
【0081】
即ち、取付部12の1個あたりの担当領域が大きくなる場合、取付部12から距離の離れた領域が生じる。そして、液体流動空間61内においては、取付部12の周りに、配管抵抗により図12に示す圧力勾配が生じている。したがって、吐出口15における取付部12に近い領域と遠い領域との間には、上記圧力勾配に基づく圧力差が生じており、この圧力差が、上記の均一かつ安定した供給圧力を生成する上において、障害となる場合がある。
【0082】
そこで、本願の発明者らは、開口幅L1 が400mmのラインノズル201に対して、液体を供給する取付部12(液体流入口)の数について実験を行った。その結果、ラインノズル201において、吐出口15の開口幅方向の中央に、1個のみの取付部12を設定した場合、水膜は生成されるものの、水膜を維持できる吐出口15からの距離、即ち吐出口15から吐出された水膜が壊れるまでの吐出口15からの距離が、吐出口15の開口幅方向の位置によって大きく異なることが観察された。したがって、ラインノズル201を作製する際には、最低でも400mmの距離ごとに取付部12を設ける必要があることがわかった。
【0083】
この場合、複数設けられた取付部(液体流入口)12は、吐出口15の開口幅方向と平行に等間隔に並ぶ状態にて、開口幅方向の400mm以内毎に1個設けられる。
【0084】
なお、例えば、ラインノズル201において、吐出口15の開口幅L1 を400mm、ギャップW1 を0.1mmとし、吐出口開口幅方向の端部に、1個のみの取付部12を設定した場合、吐出口15における取付部12側とは反対側の他端から100mmの位置あたりから液膜とならず、液体が紐状となった。
【0085】
また、液体流動空間61における流動面積は、吐出口15の流動面積と比較すると差が大きく、そのためにラインノズル201は、非常に大きな配管抵抗を有する。この配管抵抗により液体流動空間61はある程度の圧力状態を維持するバッファとして機能する。これにより、取付部12から洗浄液を供給した場合に生じる図12に示すような圧力分布による供給圧の不均一を抑制することができる。
【0086】
以上より、ラインノズル201では、低流量と均一な供給圧力との両方を得ることが可能となる。また、均一な供給圧力が得られる場合、実際にカーテン状の液膜を生成するために必要な流量は吐出口15におけるギャップW1 の大きさと取付部12(液体流入口)からの供給圧力のみに依存することがわかった。図13にその関係を示す。
【0087】
同図から明らかなように、今回使用したラインノズル201の場合、供給圧力は、0.2MPa以上必要であるが、それ以上にしても流量は変化しない。また、供給圧力を0.2MPaより小さくした場合には、水膜に膜切れが発生してしまい、目的である水膜を形成することができなかった。これにより、流量は、吐出口15のギャップW1 の大きさのみに依存していることがわかり、吐出口15の開口幅L1 が400mmでギャップW1 が80μmの場合には、約4リットル/min となる。
【0088】
また、開口幅L1 が400mmでギャップW1 が0.5mm以上の場合には、約10リットル/min となり、流量は増加するものの、流速による効果が小さくなり、カーテン状の水膜は得られなかった。
【0089】
したがって、ラインノズル201の一例としては、ギャップW1 が、0.07以上、0.08mm以下であり、供給される液体の供給圧力が、最小0.4MPaにすることができる。
【0090】
なお、ギャップW1 を0.04mmに設定しようとした場合、機械加工精度等の点から、0.02〜0.03mmの幅の部分が発生してしまった。そして、このような0.02〜0.03mmの幅の部分が存在するため、均一な水膜を形成することができなかった。したがって、現在の機械加工精度を考慮した場合、ギャップW1 は0.04mmより大きくすることが好ましい。
【0091】
ここで、供給圧力を上げることにより、カーテン状の水膜を得ることは可能である。しかし、高圧の液を吐出する場合、流速と流量ともに大きくなりカーテン状の洗浄液膜40が基板211に与える物理的な力が大きくなる。その結果、図14に示すように、基板211のソリが発生しやすくなり、搬送ローラ212との接触による搬送エラーが発生する原因となる。
【0092】
また、現在、処理対象となる平板(基板211)が大型化しており、このような平板は、処理すべき幅が300mm以上となっている。このような平板に対して図15のように2本以上のラインノズル110を使用して液体を供給する装置もあるが、この装置においては交差領域213が発生する。この交差している領域における液体供給はまったく無駄となる。従って、ラインノズル110の大型化、即ちラインノズル110における吐出口115(図6参照)の開口幅L1 の増大が要求される。
【0093】
この大型化のなかでラインノズル110における吐出口115のギャップW1 は均一であることが必要である。しかしながら、この開口幅L1 が増大すると、吐出口115におけるギャップW1 を支持する部位が少ないために吐出口115のギャップW1 を均一にすることが困難となる。ギャップW1 が均一でない場合、吐出される水膜(洗浄液膜140)の厚さも均一でなくなる。この場合、配管抵抗が断面積とその周囲の長さに依存することを考慮にいれると、ギャップW1 の変化によって配管抵抗の変化が生じ、配管抵抗の小さい部分に液体が集中し、その結果、他の条件が同一であっても液膜の維持が不可能となる。本願の発明者らが実際に作成したギャップW1 が80μmのラインノズルにおいて、ギャップW1 が60〜80μmにばらつくと、水膜が不安定となり水膜の破壊が発生しやすくなっていた。
【0094】
そこで、所定のギャップW1 を維持するため、吐出口15のギャップ内の吐出口15の先端部から内方へ10mm以上離れた位置に直径6mmの円柱形のスペーサ204を挿入した。一般に、流体が流れる経路内の物体の抵抗係数は、同一材料、同一流速であれば物体が円柱形の場合、物体の直径の2乗に反比例する。逆に物体の直径が4mm以下の大きさの場合には、ギャップW1 の両端の荷重が集中することにより、ギャップ形成面に圧痕の発生が見られた。また、スペーサ204を四角柱等の角を持つ形状とするとその角の部分で乱流が発生し、スペーサ204となる薄板が設置された位置で水膜の破壊が発生する。そこで、スペーサ204は円柱形とするのが好ましい。
【0095】
しかし、スペーサ204が円柱形の薄板でも乱流は発生する。そこで、水膜の破壊の発生しない吐出口15とスペーサ204との距離を実験により調べたところ、吐出口15の先端部から5mmの距離をおいてスペーサ204が設置されていれば、水膜が維持されることを確認した。実際の使用では安全を見込んで10mm以上の距離を設定するのが好ましい。このように吐出口15とスペーサ204との距離を設定すると、スペーサ204により生じた乱流が吐出口15の間隙内で整流される効果があり、吐出される水膜の歪みが消失し、カーテン状の水膜を生成することが可能となる。
【0096】
また、この実施の形態において、実施の形態1に示した構成、即ち排出路62、液体誘導部材70等を備えてもよい。
【0097】
なお、本発明にかかる液体供給構造および液体供給装置は、特に上記例示の洗浄装置のみに適用されるものではなく、例えばレジスト剥離装置など、液体を液膜状として対象物に供給するいかなる装置(例えば半導体製造装置)にも適用可能である。この液体供給装置を使用することで、1)対象物に対し、液体を均一な液膜状として供給すること、2)洗浄液等の液体の使用量を削減すること、および、3)洗浄液の汚染を抑制することの3点が同時に実現可能となる。また、上記の液体供給装置は、半導体製造装置において、例えば基板の洗浄装置として使用する場合にも好適である。
【0098】
【発明の効果】
本発明にかかる液体供給構造は、以上のように、空間部構成部材を組み合わせることで空間部が形成されてなり、該空間部に流入された液体を外部空間に対し液膜状として供給する液体供給構造において、外部空間に開口した開口部を有する排出路が、上記空間部とは独立して空間部構成部材間に形成されてなる構成である。
【0099】
上記の構成によれば、空間部構成部材間に漏出した液体は排出路を通じて外部空間に排出されるので、該液体の液滴が液体供給構造の表面に形成されることがない。すなわち、空間部から吐出される液体の液膜が、漏出した液体の液滴により破壊される虞のない液体供給構造を提供することが可能となるという効果を奏する。
【0100】
本発明にかかる液体供給構造は、上記の構成に加えて、上記排出路の開口部外側近傍に、液体誘導のための突起部が形成されてなる構成である。
【0101】
上記の構成によれば、排出路から排出される液体は突起部表面を表面張力により誘導されるので、空間部構成部材間に漏出した液体を、空間部から吐出される液体の液膜方向に近づけることなく確実に排出することが可能となるという効果を併せて奏する。
【0102】
本発明にかかる液体供給構造は、上記の構成に加えて、上記排出路内に、開口部から外部空間に突出するように液体誘導部材が挿入されてなる構成である。
【0103】
上記の構成によれば、排出路から排出される液体は液体誘導部材表面を表面張力により誘導されるので、空間部構成部材間に漏出した液体を、空間部から吐出される液体の液膜方向に近づけることなく確実に排出することが可能となるという効果を併せて奏する。
【0104】
本発明にかかる液体供給装置は、以上のように、上記いずれかの液体供給構造を備えてなる構成である。
【0105】
上記の構成によれば、対象物に対し、液体を均一な液膜状として供給すること、洗浄液等の液体の使用量を削減すること、および、洗浄液の汚染を抑制することの3点が同時に実現可能な液体供給装置を提供することが可能となるという効果を奏する。
【0106】
本発明の液体供給装置は、液体流入口と、液体流入口から流入した液体を一時的に滞留させる空間部と、この空間部の液体を外部空間に対し液膜状として吐出するための液体吐出口とを備えている液体供給装置において、前記液体吐出口の開口幅が300mm以上であり、この開口幅方向に直交する方向のギャップが0.5mm以下であり、さらに、前記液体流入口に0.2MPa以上の流入圧力にて液体を送り込む液体送込み装置を備えている構成となっている。
【0107】
上記の構成によれば、液体流入口を介して流入した液体は、空間部の間隔に対して、液体吐出口のギャップが小さいため、空間部内において一時的に停留される。空間部に流入した液体は、空間部に滞留されることにより昇圧され、また、ギャップを通過する際に、断面積が減少することにより加速されるため、運動エネルギーが付与される。これにより、液体をカーテン状の薄い液膜として液体吐出口から吐出することができる。
【0108】
このとき、液体供給装置では、液体吐出口の開口幅が300mm以上、この開口幅方向に直交する方向のギャップが0.5mm以下、そして、液体流入口からの液体流入圧力が液体送込み装置により0.2MPa以上に設定されているので、液体吐出口からの液体の吐出量を抑制しつつ、吐出される液体の液膜を壊れ難くすることが可能となり、処理すべき幅が300mm以上の平板(処理対象)に対して使用することができるという効果を奏する。
【0109】
上記の液体供給装置は、前記ギャップを形成する、液体吐出口内の両対向面が平坦面となっており、これら両平坦面間における、液体吐出口の先端部から内方へ5mm以上離れた位置に、外形が円柱形のスペーサが設けられている構成としてもよい。
【0110】
上記の構成によれば、上記スペーサにより、液体供給装置の大型化に伴うギャップの不均一を防止することができる。即ち、液体吐出口の開口幅方向においてギャップを均一にするためにスペーサを設ける場合、スペーサは、円柱形にすると液体の乱流が生じ難くなる。また、スペーサの存在により乱流が生じた場合であっても、スペーサが液体吐出口の先端部から内方へ5mm以上離れた位置に設けられていれば、乱流を整流化することができる。
【0111】
これにより、特に大型の液体供給装置において、液体吐出口のギャップが不均一となったために生じる、吐出される液体の流量のばらつきに起因する液膜の破壊を防止することができるという効果を奏する。
【0112】
上記の液体供給装置は、前記の液体流入口が、前記の液体吐出口の開口幅方向と平行に等間隔に並ぶ状態にて、前記開口幅方向の400mm以内毎に1個設けられている構成としてもよい。
【0113】
上記の構成によれば、配管抵抗により空間部の液体流入口において圧力勾配が生じ、この圧力勾配により空間部内において圧力差が生じる事態を抑制することができる。したがって、空間部内においては、液体の均一かつ安定した供給圧力を生成することができる。
【0114】
これにより、液体吐出口の開口幅方向の各部において、カーテン状の薄い液膜を維持した状態で到達できる距離の差をなくすことでき、安定したカーテン状の液膜を供給することが可能となるという効果を奏する。
【0115】
本発明の半導体製造装置は、上記何れかの液体供給装置を備えている構成としている。
【0116】
上記の構成によれば、半導体装置において、液体供給装置を例えば基板の洗浄装置として使用することができ、この場合には、洗浄液の良好な液膜により、基板を適切に洗浄することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる液体供給構造の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す液体供給構造を備えてなる洗浄装置を用い、ガラス基板上面に対し洗浄液を供給する動作を示す斜視図である。
【図3】図1に示す液体供給構造をなす空間部構成部材の一方の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図3に示す部材に代えて使用される、他の空間部構成部材の概略構成を示す斜視図である。
【図5】従来構成のラインノズルを備えてなる洗浄装置を用い、ガラス基板上面に対し洗浄液を供給する動作を示す斜視図である。
【図6】図5に示す洗浄装置に備えられた従来構成のラインノズルの概略構成を示す斜視図である。
【図7】図6に示すラインノズルをなす部材の一方の概略構成を示す斜視図である。
【図8】従来構成のスプレーノズルを備えてなる洗浄装置を用い、ガラス基板上面に対し洗浄液を供給する動作を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の他の形態における液体供給装置としてのラインノズルの概略構成を示す分解斜視図である。
【図10】図9に示したラインノズルの組立て状態の縦断面図である
【図11】図9に示したラインノズルを備えた洗浄装置を用い、基板上面に対し洗浄液を供給する動作を示す説明図である。
【図12】液体流入口が1個の場合におけるラインノズル内の圧力分布の状態を示す図である。
【図13】図9に示したラインノズルの吐出口のギャップと水膜を維持する為に必要な流量との関係を示すグラフである。
【図14】ラインノズルから吐出した液が高圧である場合に基板にソリが発生する状態を示す説明図である。
【図15】従来構成のラインノズルを2個備えてなる洗浄装置を用い、ガラス基板上面に対し洗浄液を供給する動作を示す斜視図である。
【符号の説明】
11 ラインノズル(液体供給構造)
13 平板状部材(空間部構成部材)
14a 液体流入口
15 吐出口(液体吐出口)
15a ギャップ形成面
40 洗浄液膜(液体)
41 液膜(液体)
60 支持部材(空間部構成部材)
60’ 支持部材(空間部構成部材)
61 液体流動空間(空間部)
62 排出路
62a 開口部
70 液体誘導部材
71 突起部
201 ラインノズル
202 平板状部材
203 支持部材
204 スペーサ
210 液体送込み装置(液体送込み手段)

Claims (5)

  1. 2個以上の空間部構成部材を組み合わせることで、液体流入口と液体吐出口とを有する空間部が形成されてなり、
    上記液体流入口を介して空間部に流入された液体を、上記液体吐出口より外部空間に対し液膜状として供給する液体供給構造において、
    外部空間に開口した開口部を有し、上記空間部構成部材間に漏出した液体を外部空間に排出する排出路が、上記空間部とは独立して該空間部構成部材間に形成されてなることを特徴とする液体供給構造。
  2. 上記排出路の開口部外側近傍に、液体誘導のための突起部が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の液体供給構造。
  3. 上記排出路内に、開口部から外部空間に突出するように液体誘導部材が挿入されてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体供給構造。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の液体供給構造を備えてなる液体供給装置。
  5. 請求項4に記載の液体供給装置を備えていることを特徴とする半導体製造装置。
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