JP3789665B2 - 移動観測用レーダ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は航空機や衛星などの移動プラットフォーム上に配設され、地表や海面などの上を移動する移動物体を検出する移動観測用レーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
SKOLNIK編,"Radar Handbook second edition",McGraw-Hill,1990.の16章4節には移動観測用レーダ装置の2種類の測定原理が記載されている。
【0003】
図23はそのうちの第一の測定原理を示す説明図である。図において、101は移動プラットフォームの移動方向、102は移動プラットフォーム上に配設された第一送受信アンテナの時刻t1における位置、103は移動プラットフォーム上に配設された第二送受信アンテナの時刻t1における位置、104は第一送受信アンテナの時刻t2における位置、105は第二送受信アンテナの時刻t2における位置、106は被観測点、107は2つの送受信アンテナの指向方向である。
【0004】
次に動作について説明する。
まず、第一送受信アンテナから第一観測電波を放出するとともに、この第一観測電波の被観測点からの散乱波を第一送受信アンテナで受信する。次に、第二送受信アンテナが上記第一送受信アンテナと同じ位置にきたら、この第二送受信アンテナから第二観測電波を放出するとともに、この第二観測電波の被観測点からの散乱波を第二送受信アンテナで受信する。そして、これら2つの散乱波の差を演算し、この差分信号を出力する。
【0005】
そして、被観測点が静止物体である場合には、2つの散乱波は同様に反射されるので、上記2つの散乱波の差演算の結果はゼロとなり、移動物体無しの差分信号が出力される。逆に、例えば被観測点に移動物体が存在した場合には、2つの散乱波のエコーに位相差を生じるので、上記2つの散乱波の差演算の結果はゼロとはならない。
【0006】
従って、この2つの散乱波の差が、所定の閾値以下となるか否かを判断することにより、観測方向における移動物体の有無を示す差分信号を出力することができる。
【0007】
なお、この観測の際の移動プラットフォームの移動速度は例えば下記式1により得られる速度に設定すれば良い。但し、uは移動速度、lは2つの送受信アンテナの間隔(位相中心同士の間隔)、PRIはパルス波の送信繰り返し周期である。
【0008】
u=l/(PRI) ・・・式1
【0009】
図24は第二の測定原理を示す説明図である。図において、108は移動プラットフォームの移動方向、109は移動プラットフォーム上に配設されたモノパルス送受信アンテナの第一パルス波を出力した時刻t1における位置、110はモノパルス送受信アンテナの第二パルス波を出力した時刻t2における位置、111は移動方向108上に設定される被観測点である。
【0010】
次に動作について説明する。
まず、時刻t1においてモノパルス送受信アンテナの第一パルス波を放出するとともに、この第一パルス波の被観測点からの散乱波をモノパルス送受信アンテナで受信する。次に、時刻t2においてモノパルス送受信アンテナの第二パルス波を放出するとともに、この第二パルス波の被観測点からの散乱波をモノパルス送受信アンテナ第二送受信アンテナで受信する。
【0011】
図25はこの2つのパルス波の散乱波のベクトルを示す複素平面図である。図において、112は先に出力された第一パルス波の散乱波のΣ成分である第一Σ受信ベクトル、113は第一パルス波の散乱波のΔ成分に所定の係数kを乗算した第一Δ受信ベクトル、114は第一パルス波より所定の時間の後に出力された第二パルス波の散乱波のΣ成分である第二Σ受信ベクトル、115は第二パルス波の散乱波のΔ成分に所定の係数kを乗算した第二Δ受信ベクトルである。
【0012】
そして、移動プラットフォームはこれら2つのパルス波を出力する間に移動する。従って、被観測点111が静止物体である場合には、2つの散乱波の複素平面上の回転位相差は2つのパルス波を発生する期間における移動プラットフォームの移動量におけるパルス波の位相回転量に応じた量となる(同図(a))。
【0013】
これに対して、被観測点111が移動物体である場合には、2つの散乱波のエコーに位相差を生じるので、2つの散乱波の複素平面上の回転位相差は2つのパルス波を発生する期間における移動プラットフォームの移動量におけるパルス波の位相回転量とは異なる量となる(同図(b))。
【0014】
従って、この2つの散乱波の複素平面上の回転位相差が、移動プラットフォームの移動量に基づいて予測されるパルス波の位相回転量と同一か否かを判断することによって、観測方向における移動物体の有無を示す差分信号を出力することができる。
【0015】
以上のように、第一の送受信アンテナと第二送受信アンテナとをタイミングをずらして同一位置に移動させるとともに、これら2つの送受信アンテナの受信波の残差を演算したり、モノパルス送受信アンテナを用いて異なる2つのタイミングで観測するとともに、この2つの受信波の位相差が、その間の移動量に基づいて予測される位相差と一致するか否かに基づいて判断することで、観測方向における移動物体の有無を検出することができる。
【0016】
しかしながら、これら2つの測定原理ではともに、2つの観測波の残差や観測位相差と予測位相差との残差に基づいて移動物体の検出信号を生成しているので、送受信アンテナの種類や構成を選択すると、それぞれの図に示すように、それに応じて静止物体に基づくエコーを好適にキャンセルすることができる観測方向は一つの方向に一意に決まってしまう。つまり、静止物体に基づく残座を限りなくゼロとすることができる観測方向は一つの方向に一意に決まってしまう。
【0017】
またこれとともに、これら各測定原理の図からも明らかなように、各測定原理においては、観測点と移動プラットフォームの移動方向や移動速度などとの間に一定の関係が要求されることになるので、送受信アンテナの種類や構成とともに被観測点や被観測経路を決めてしまうと、移動プラットフォームの移動方向や移動速度、移動経路が必然的に一義的に決まってしまうことにもなる。
【0018】
従って、これらの測定原理に基づいて構成された従来のレーダ装置では、そのいずれにおいても、任意の方向を観測することができないなどの課題があった。
【0019】
そこで、従来においても、この観測方向に関する制約を緩和するための技術が提案されている。この技術は一般的にクラッター追尾技術とよばれる技術であり、2つの送受信アンテナやモノパルス送受信アンテナの指向方向を観測方向に一致させるとともに、それによる2つの送受信アンテナの観測位置の誤差やモノパルス送受信アンテナの2つの観測電波出力タイミングの間隔の誤差などを、移動プラットフォームの移動速度の制御および受信波の位相補償処理により補正して、これによりあたかも2つの送受信アンテナが同一の観測位置から観測を行なったかのように補正したり、あたかもモノパルス送受信アンテナが適当な出力タイミングにて2つの観測電波を出力しているかのように擬制する技術である。
【0020】
図26は2つの送受信アンテナを用いた場合を例としてこのクラッター追尾処理技術の原理を説明する説明図である。同図は、移動プラットフォームの移動方向に対して角度θの方向を観測方向とし、その方向に2つの送受信アンテナの指向方向を一致させた場合のものである。なお、各部の構成は図18と同様である。
【0021】
そして、下記式2の速度で移動させるとともに、第一受信波と第二受信波との位相差を下記式3に示される電波路長差に相当する位相分だけ一方の受信波の位相を補償することにより、2つの送受信アンテナがあたかも105あるいは102の同一の空間位置において観測を行なった場合と同等の関係にある2つの受信波を得ることができ、この2つの補償後の受信波の差に基づいて観測方向における移動物体の有無を検出することができる。なお、モノパルス送受信アンテナを用いた場合の2つの受信波においても同様の補償により移動物体を検出することができる。
【0022】
u=l/(2PRIsinθ) ・・・式2
s=2u・PRIcosθ ・・・式3
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
従来の移動観測用レーダ装置は以上のような測定原理に基づいて構成されているので、例えクラッター追尾技術を用いたとしても送受信アンテナの指向方向とは異なる方向を観測方向とした場合には静止物体のエコーのキャンセル効果が低下してしまうことになる。他方で、現在の航空機などの移動プラットフォームにおいては、このような制約の下で俯角が生じる方向を観測方向とした場合には、静止物体のエコーのキャンセル効果を一定レベル以上に維持することができず、移動物体を適当に観測することができないなどの課題があった。
【0024】
図27は従来におけるアンテナの指向方向のスクイント角度と静止物体のエコーのキャンセル効果レベルとの関係を示す特性図である。図において、横軸はスクイント角度、縦軸は不要波抑圧比である。また、同図の特性曲線は、アンテナの指向方向を俯角10度に設定するとともにクラッター追尾技術を用い、その条件のもとでアンテナの指向方向からエレベーション角度のみが2度ずれた方向を観測方向とした場合の特性曲線である。
【0025】
そして、同図から明らかなように、観測方向が送受信アンテナの指向方向とはエレベーション角度において2度ずれただけで、静止物体のエコーのキャンセル効果が低下し、特に、スクイント角度を小さくしていった場合にはそのキャンセル効果の低減が甚だしく発生してしまう。そして、好適な観測を行なうとした場合には、やはりアンテナの指向方向を観測方向と一致させることが必須となり、その結果、観測方向として設定することができる方向がアンテナの姿勢制御の設定分解能によって制限されてしまうことになる。
【0026】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、送受信アンテナの指向方向とは異なる方向を観測方向とした場合における静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を抑制することができ、ひいては送受信アンテナの指向方向とは異なる方向を観測方向とした場合であってもスクイント角度や俯角に拘わらず静止物体のエコーを効果的にキャンセルすることができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る移動観測用レーダ装置は、一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機と、上記観測信号を観測電波として放射するとともに、その散乱波をΣ成分とΔ成分とに分離して受信するモノパルス送受信アンテナと、上記モノパルス送受信アンテナを移動プラットフォーム上に保持するアンテナ台と、上記散乱波のΣ成分が入力され、これに応じたΣ受信信号を出力するΣ受信機と、上記散乱波のΔ成分が入力され、これに応じたΔ受信信号を出力するΔ受信機と、Δ受信信号の大きさを上記移動プラットフォームの移動速度に応じて変換する振幅調整回路と、上記Σ受信信号と振幅変換後のΔ受信信号とを加算して加算信号を出力する加算信号生成回路と、上記Σ受信信号から振幅変換後のΔ受信信号を減算して減算信号を出力する減算信号生成回路と、上記減算信号をパルス波の周期の整数倍の時間分だけ遅延させる遅延回路と、遅延後の減算信号と上記加算信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の検出信号として出力する差分演算回路と、上記アンテナ台を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォームの移動方向に対する観測方向の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向に対する当該観測方向の俯角が小さくなるように上記アンテナ台の位置決め制御を行なう多軸制御手段とを備えたものである。
【0030】
この発明に係る移動観測用レーダ装置は、移動プラットフォームの移動方向とアンテナの指向方向を一致させた状態において、この移動方向および第一送受信アンテナならびに第二送受信アンテナを含む平面を角度の基準平面とするとともに、上記移動方向に対する観測方向のスクイント角をθ、上記移動方向に対する当該観測方向の俯角をφとした場合に、移動速度を下記式4の条件に設定し、多軸制御手段が、アンテナの指向方向が当該スクイント角度および俯角となるように位置決め制御するとともに、上記第一送受信アンテナと上記第二送受信アンテナとの配列方向が下記式5を満たすひねり角ψとなるように位置決め制御を行なうものである。
u=B/(2PRI×n) ・・・式4
(但し、PRIはパルス波の周期、nは遅延回路における遅延倍数、Bは2つの送受信アンテナの位相中心同士の間隔。)
【0034】
この発明に係る移動観測用レーダ装置は、一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機と、上記観測信号を観測電波として放射するとともに、その散乱波をΣ成分とΔ成分とに分離して受信するモノパルス送受信アンテナと、上記モノパルス送受信アンテナを移動プラットフォーム上に保持するアンテナ台と、上記散乱波のΣ成分が入力され、これに応じたΣ受信信号を出力するΣ受信機と、上記散乱波のΔ成分が入力され、これに応じたΔ受信信号を出力するΔ受信機と、Δ受信信号の大きさを上記移動プラットフォームの移動速度に応じて変換する振幅調整回路と、上記Σ受信信号と振幅変換後のΔ受信信号とを加算して加算信号を出力する加算信号生成回路と、上記Σ受信信号から振幅変換後のΔ受信信号を減算して減算信号を出力する減算信号生成回路と、上記減算信号をパルス波の周期の整数倍の時間分だけ遅延させる遅延回路と、上記アンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角度を計算するエレベーション角算出手段と、当該エレベーション角度に基づいて上記観測方向における固定物に基づく加算信号と減算信号との位相差を減少させるように加算信号あるいは減算信号の一方の位相を補償する位相補償回路と、位相補償後に、遅延後の減算信号と上記加算信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の検出信号として出力する差分演算回路と、当該アンテナ台を上記移動プラットフォームの移動方向を含む平面内で1軸方向に回転させて、上記移動プラットフォームの移動方向に対する観測方向のスクイント角に比べて、上記アンテナの指向方向に対する当該観測方向のスクイント角が小さくなるように当該アンテナ台の位置決め制御を行なう一軸制御手段とを備えたものである。
【0035】
この発明に係る移動観測用レーダ装置は、一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機と、上記観測信号を観測電波として放射するとともに、その散乱波をΣ成分とΔ成分とに分離して受信するモノパルス送受信アンテナと、上記モノパルス送受信アンテナを移動プラットフォーム上に保持するアンテナ台と、上記散乱波のΣ成分が入力され、これに応じたΣ受信信号を出力するΣ受信機と、上記散乱波のΔ成分が入力され、これに応じたΔ受信信号を出力するΔ受信機と、Δ受信信号の大きさを上記移動プラットフォームの移動速度に応じて変換する振幅調整回路と、上記Σ受信信号と振幅変換後のΔ受信信号とを加算して加算信号を出力する加算信号生成回路と、上記Σ受信信号から振幅変換後のΔ受信信号を減算して減算信号を出力する減算信号生成回路と、上記減算信号をパルス波の周期の整数倍の時間分だけ遅延させる遅延回路と、上記アンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角度を計算するエレベーション角算出手段と、当該エレベーション角度に基づいて上記観測方向における固定物に基づく加算信号と減算信号との位相差を減少させるように加算信号あるいは減算信号の一方の位相を補償する位相補償回路と、位相補償後に、遅延後の減算信号と上記加算信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の検出信号として出力する差分演算回路と、上記アンテナ台を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォームの移動方向に対する観測方向の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向に対する当該観測方向の俯角が小さくなるように上記アンテナ台の位置決め制御を行なう多軸制御手段とを備えたものである。
【0036】
この発明に係る移動観測用レーダ装置は、移動プラットフォームの移動方向とアンテナの指向方向を一致させた状態において、この移動方向およびモノパルス送受信アンテナの2つの受信口を含む平面を角度の基準平面とするとともに、上記移動方向に対する観測方向のスクイント角をθ、上記移動方向に対する当該観測方向の俯角をφとした場合に、多軸制御手段が、アンテナの指向方向が当該スクイント角度および俯角となるように位置決め制御するとともに、上記2つの受信口の配列方向が下記式5を満たすひねり角ψとなるように位置決め制御を行なうものである。
【0037】
ψ=arctan(tanφ/tanθ) ・・・式5
【0038】
この発明に係る移動観測用レーダ装置は、振幅調整回路が、下記式35より得られる係数kに基づいて差分信号の振幅を補償するものである。但し、PRIはパルス波の送信繰り返し周期、Bはモノパルス送受信アンテナの2つの受信口の間のベースライン長、uは移動プラットフォームの移動速度、θは移動プラットフォームの移動方向に対するアンテナの指向方向のスクイント角、φは移動プラットフォームの移動方向に対するアンテナの指向方向の俯角、Δφ0はアンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角である。
【0039】
k=(2PRI×u/B)sinθ(cosφ+sinφtanΔφ0)・・・式35
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、1は一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機、2は観測信号を第一観測電波として放射するとともに、その散乱波を第一散乱波として受信する第一送受信アンテナ、3は第一散乱波が入力され、これに応じた第一受信信号を出力する第一受信機、4は送信機1と第一受信機3との第一送受信アンテナ2に対する接続を切り替える第一切替器、5は第一受信信号に対してクラッター追尾処理を行なう第一クラッター追尾回路、6は第一受信信号をパルス波の周期のn倍(nは整数)の時間分だけ遅延させる遅延回路である。
【0041】
また、7は上記観測信号を第二観測電波として放射するとともに、その散乱波を第二散乱波として受信する第二送受信アンテナ、8は第二散乱波が入力され、これに応じた第二受信信号を出力する第二受信機、9は送信機1と第二受信機8との第二送受信アンテナ7に対する接続を切り替える第二切替器、10は第二受信信号に対してクラッター追尾処理を行なう第二クラッター追尾回路、11は遅延後の第一受信信号と上記第二受信信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の検出信号として出力する差分演算回路である。
【0042】
更に、12は航空機や衛星などの移動プラットフォーム、13は第一送受信アンテナ2および第二送受信アンテナ7をそれらの指向方向を揃えて移動プラットフォーム12上に保持するアンテナ台、14はこのアンテナ台13を3軸方向に回転させる回転手段(多軸制御手段)、15はこの回転手段14に位置決め信号を出力するアンテナ角度制御手段(多軸制御手段)、16は2つの送受信アンテナ2,7の中間位置である受信基準位置である。
【0043】
次に動作について説明する。
図2はこの発明の実施の形態1による移動観測用レーダ装置の標準的な観測方法(θ=θ0=90°,φ=φ0=90°)を説明する説明図である。図において、17は移動プラットフォームの移動方向、18は移動プラットフォームの移動方向17に対して垂直方向に設定された2つの送受信アンテナの指向方向、19は地上などの被観測点、20はある時点(t=t1)において被観測点19の鉛直方向に位置する第一送受信アンテナ2の送受信位置、21ある時点(t=t1)における第二送受信アンテナ7の送受信位置、22はある時点(t=t2)における第一送受信アンテナ2の送受信位置、23ある時点(t=t2)において被観測点19の鉛直方向に位置する第二送受信アンテナ7の送受信位置である。
【0044】
図3はこの状態における1回の検出動作における送受信アンテナの動作状態を示す動作説明図である。図において、(a)は第一観測波送信時(t=t1)の各送受信アンテナ2,7の状態であり、(b)は第一受信波受信時(t=t1)の各送受信アンテナ2,7の状態であり、(c)は第二観測波送信時(t=t2)の各送受信アンテナ2,7の状態であり、(d)は第二受信波受信時(t=t2)の各送受信アンテナ2,7の状態である。なお、斜線部分が各時点において1回の検出動作用として機能している部分であり、送信時は2つの送受信アンテナ2,7から同時に電波を放出し、受信は各回毎に一方の送受信アンテナ2または7が受信を行なうので、送信波および受信波の位相中心はそれぞれ各斜線部分の中央部分となる。また、Bは2つの送受信アンテナ2,7の受信時位相中心間の間隔であり、一般的にベースライン長と呼ばれている。
【0045】
そして、同図に示すように、この実施の形態1では、送信時には2つの送受信アンテナ2,7から送信波が同時に出力される一方で、受信波は一方の送受信アンテナ2または7において受信するので、1回目の送信時の位相中心の位置と2回目の受信時の位相中心の位置とが空間上で一致し、2回目の送信時の位相中心の位置と1回目の受信時の位相中心の位置とが空間上で一致するように下記式4を満たすような移動速度で移動させる。但し、PRIはパルス波の周期、nは遅延回路6における遅延倍数、Bは2つの送受信アンテナ2,7の位相中心同士の間隔である。
【0046】
【0047】
そして、第一送受信アンテナ2は観測信号を第一観測電波として放射し、その第一観測電波がアンテナの指向方向18に存在する被観測点19から反射された散乱波を第一散乱波として受信する。そして、この第一散乱波は第一受信機3において第一受信信号に変換された後、第一クラッター追尾回路5においてクラッター追尾処理され、遅延回路6においてパルス波のn周期分の時間(つまり「PRI×n」の時間)だけ遅延されて差分演算回路11に入力される。
【0048】
他方、第二送受信アンテナ7は観測信号を第二観測電波として放射し、その第二観測電波がアンテナの指向方向18に存在する被観測点19から反射された散乱波を第二散乱波として受信する。そして、この第二散乱波は第二受信機8において第二受信信号に変換された後、第二クラッター追尾回路10においてクラッター追尾処理されて差分演算回路11に入力される。
【0049】
そして、差分演算回路11はこれら第一受信信号と第二受信信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の検出信号として出力する。この時、第二送受信アンテナ7は上記遅延時間(PRI×nの時間)の後に第一送受信アンテナ2と同じ位置に来るので、当該タイミングにおいて差分演算回路11に入力される第二受信信号は第一受信信号と同じ被観測点19からの散乱波に基づいた信号となる。
【0050】
従って、上記2つの観測電波を散乱した物体が固定物体である場合には、第一受信信号と第二受信信号とのエコーに位相差が生じないので、差分演算回路11から差分信号が出力されることはなく、これに対して、上記2つの観測電波を散乱した物体が移動物体である場合には、第一受信信号と第二受信信号とのエコーに位相差が生じるので、差分演算回路11から差分信号が出力されることになり、移動物体を検出することができる。なお、この標準的な場合には2つのクラッター追尾回路5,10はともにクラッター追尾処理をしない。
【0051】
次に、アンテナの指向方向を上記標準的な方向(18)から切り替えて、2つの送受信アンテナ2,7の配列方向と移動プラットフォーム12の移動方向17とを異ならせるように(つまり、移動方向17に対してスクイント角度θや俯角φが生じるように(θ=θ0≠90°,φ=φ0≠90°))アンテナの指向方向を位置決めし、このアンテナの指向方向を観測方向とする場合について説明する。
【0052】
図4はアンテナの指向方向を標準的な方向以外の方向に制御する場合のジオメトリを説明するための説明図である。図において、24は移動方向17とは異なる方向のアンテナの指向方向である。そして、同図において移動方向17に対するアンテナの指向方向24のなす角度はスクイント角度θと俯角φとで表わされている。なお、アンテナの指向方向24は送受信の受信基準位置16と被観測点19(指向中心点)とを結ぶビームの中心であるLOS(Line of Sight)と呼ばれるものと一致する。
【0053】
そして、アンテナの指向方向24を観測方向と同じスクイント角度(θ=θ0)および同じ俯角(φ=φ0)に設定するとともに、2つの送受信アンテナ2,7が下記式5を満たすひねり角ψと一致するようにアンテナ台13の位置決め制御を行なう。
【0054】
図5はこの発明の実施の形態1によるひねり角ψの制御を示すジオメトリの説明図である。図において、25は2つの送受信アンテナ2,7と移動プラットフォーム12の移動方向17とを含む無俯角平面であり、αはこの無俯角平面25内における移動方向17に対する指向方向24の角度差である。
【0055】
このような位置決め制御の下で下記式6の速度条件で移動させるとともに、第一クラッター追尾回路5は上記角度差αに基づいて2つの送受信アンテナ2,7の受信位置差に相当する分だけ第一受信信号の位相補正処理を行なう。具体的には、2つの送受信アンテナ2,7の受信位置差に相当する位相分だけ、第一受信信号の位相を戻す補正処理を行なう。
【0056】
ψ=arctan(tanφ/tanθ) ・・・式5
u = B/(2PRIsinα×n) ・・・式6
【0057】
このように設定することにより、2つの送受信アンテナ2,7の配設方向と移動プラットフォーム12の指向方向17とを含む無俯角平面25内に観測方向のの被観測点19(=指向中心点)を位置させることができ、しかも、その無俯角平面25内におけるアンテナの指向方向24のなす角度αに基づいてクラッター追尾処理を行なうことができるので、このアンテナの指向方向24における静止物体からのエコーを完全にキャンセルすることができ、移動物体を良好に検出することができる。
【0058】
次にアンテナの指向方向を上記標準的な方向(18)から切り替えるとともに、2つの送受信アンテナ2,7の指向方向とは異なる方向を観測させる場合(θ≠90°且つθ≠θ0,φ≠90°且つφ≠φ0)について説明する。
【0059】
この実施の形態1では、アンテナの指向方向24を基準とした観測方向のスクイント角Δθ0および俯角Δφ0がともに最も小さくなるようにアンテナの指向方向24を設定し、このアンテナの指向方向24に基づいてひねり角ψ制御、移動速度設定およびクラッター追尾処理を行う。
【0060】
従って、スクイント角度θのみでアンテナの指向方向を一致させ、この状態でクラッター追尾処理を行っていた従来の移動観測用レーダ装置に比べて格段に、そのアンテナの指向方向24に対する観測方向の誤差およびクラッター追尾処理の誤差を削減することができ、従来よりも格段に精度良く、アンテナの指向方向24とは異なる方向である観測方向における固定物体からのエコーをキャンセルすることができる。特に、Δφ0とΔθ0とがともに十分に小さいと見なすことができる範囲においては、Δφ=Δθ=0であるアンテナの指向方向24そのものを観測した場合と同様に、観測方向に存在する固定物からの散乱波を差分演算により効果的にキャンセルすることができる。
【0061】
図6はこの発明の実施の形態1による移動観測用レーダ装置において、移動方向17に対する観測方向およびアンテナの指向方向24の俯角10度(φ=φ0=10°)、アンテナの指向方向24に対する観測方向のエレベーション角度差2度(Δφ0=2°)の条件の下で観測した場合における不要波抑圧特性を示す特性図である。図において、横軸は観測方向のスクイント角度θ0と一致したアンテナの指向方向24のスクイント角度(θ=θ0)であり、縦軸は上記観測方向における固定物の抑圧比(dB)である。そして、同図には、本実施の形態1の制御による場合の特性曲線とともに、スクイント角度θのみを制御した場合の従来の特性曲線が示されており、同図から明らかなように本実施の形態1ではアンテナの指向方向24とは異なる方向を観測した場合であっても固定物からの散乱波に基づく不要な検出信号を従来に比べて格段に効果的に抑制することができるようになっていることがわかる。特に、スクイント角度が小さい場合においては効果が高い。
【0062】
以上のように、この実施の形態1によれば、2つの送受信アンテナ2,7の受信波の差に基づいて移動物体の検出信号を生成する移動観測用レーダ装置において、当該2つの送受信アンテナ2,7をそれらの指向方向を揃えて移動プラットフォーム12上に保持するアンテナ台13を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォーム12の移動方向17に対する観測方向の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向24に対する当該観測方向の俯角が小さくなるように当該アンテナ台13の位置決め制御を行なう回転手段14およびアンテナ角度制御手段15を備えたので、アンテナの指向方向24をスクイント角度θのみに基づいて制御する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向がスクイント角度θ0とともに俯角φ0が生じるような方向である場合において、アンテナの指向方向24と観測方向との差を減少させることができる。
【0063】
従って、アンテナの指向方向24に対する観測方向の角度差の増加に伴って増加する観測方向の静止物体からのエコー残差の大きさを抑制することができ、アンテナの指向方向24とは異なる方向を観測方向とした場合であっても従来の移動観測用レーダ装置に比べて静止物体のエコーを好適にキャンセルすることができ、これによりアンテナの指向方向24とは異なる方向を観測した場合におけるスクイント角度θや俯角φの変動に応じた静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を従来よりも抑制することができる効果がある。
【0064】
この実施の形態1によれば、移動プラットフォーム12の移動方向17とアンテナの指向方向24を一致させた状態において、この移動方向17および第一送受信アンテナ2ならびに第二送受信アンテナ7を含む平面25を角度の基準平面とするとともに、上記移動方向17に対する観測方向のスクイント角をθ、上記移動方向17に対する当該観測方向の俯角をφとした場合に、アンテナ角度制御手段15が、アンテナの指向方向24が当該スクイント角度および俯角となるように位置決め制御するとともに、上記第一送受信アンテナ2と上記第二送受信アンテナ7との配列方向が上記式5を満たすひねり角ψとなるように位置決め制御を行なうので、俯角をゼロとすることができる。
【0065】
従って、スクイント角度θのみに基づいてアンテナの指向方向24の設定や位相補償処理を行う従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向がスクイント角度θとともに俯角φが生じるような方向である場合であっても、俯角φをゼロとして取り扱うことができ、第一受信波と第二受信波との位相差を格段に減少させることができる効果がある。
なお、この実施の形態1では、2つの送受信アンテナ2,7が同時に電波を出力する例で説明しているが、2つの送受信アンテナ2,7が別々のタイミングで電波を出力するような場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0066】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、26はアンテナの指向方向24に対する観測方向のエレベーション角度Δφ0を計算するエレベーション角算出手段、27はエレベーション角度Δφ0に基づいて観測方向における固定物に基づく第一受信信号と第二受信信号との位相差を減少させるように第二受信信号の位相を補償する位相補償回路であり、差分演算回路11にはこの位相補償された第二受信信号と遅延された第一受信信号とが入力される。また、28は回転手段14に対してスクイント角度θのみを調整する位置決め信号を出力するアンテナ角度制御手段(一軸制御手段)である。これ以外は実施の形態1と同様の構成であり同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
図8はアンテナの指向方向を標準的な方向以外の方向に制御するとともに、このアンテナの指向方向とは異なる方向を観測する場合のジオメトリを説明するための説明図である。図において、29はアンテナの指向方向24とは異なる方向である観測方向である。なお、この実施の形態2ではアンテナの指向方向24はその俯角が所定の値に固定設定されているものとする。
【0068】
そして、同図に示すように、観測方向29がアンテナの指向方向24と異なるためクラッター追尾処理をしても第一送受信アンテナ2の観測位置と第二送受信アンテナ7の観測位置とを一致させるように補正することはできない。
【0069】
ここで、観測方向29のスクイント角(θ−Δθ0)方向をx軸、鉛直方向をz軸、これらと垂直な方向をy軸とする直交座標系を定義し、この座標系で図8に示すb↑,r↑,r0↑を表記するとそれぞれ下記式7,8,9となり、クラッター追尾処理では補正しきれないパルス波の経路差は下記式10のようになる。但し、u0=B/(2PRIsinθ)である。また、「↑」はベクトルであることを意味する。
【0070】
【0071】
そして、この実施の形態2では、図9に示すようにアンテナの指向方向24とスクイント角度θにおいて一致する方向(つまりΔθ0=0)を観測方向として設定するとともに、位相補償回路27が下記式11に示す位相補償処理を行なうように構成した。
【0072】
【0073】
そして、cosΔθ0=1,sinΔθ0=Δθ0と近時した場合、式10は下記式12のように近似することができるので、上記式11による位相補償により、アンテナの指向方向24とは異なる方向29を観測する場合であっても、その観測方向29に存在する固定物からの散乱波を差分演算によりキャンセルすることができる(同式12の右辺第1項をキャンセルすることができる)ことが判る。なお、当然のことながら、アンテナの指向方向24と一致する方向を観測する場合においても、その観測方向に存在する固定物からの散乱波を差分演算によりキャンセルすることができる。
【0074】
【0075】
なお、図9に示すように、被観測点19が指向中心点から距離rgだけ隔たったレンジであるとした場合、指向中心点を基準としたその被観測点19のエレベーション角度Δφ0は下記式13により求めることができる。但し、r0は受信基準位置16と指向中心点との距離である。
【0076】
Δφ0 = φ−arcsin{(r0/(r0−rg))×sinφ}・・・式13
【0077】
図10はこの発明の実施の形態2による移動観測用レーダ装置において、移動方向17に対するアンテナの指向方向24の俯角10度(φ=10°)、アンテナの指向方向24に対する観測方向29のエレベーション角度差2度(Δφ0=2°)の条件の下で観測した場合における不要波抑圧特性を示す特性図である。図において、最も上にある特性曲線は上記式11により位相補償した場合の特性であり、上から2番目にある特性曲線は下記式14により位相補償した場合の特性であり、上から3番目にある特性曲線は下記式15により位相補償した場合の特性であり、一番下にある特性曲線はスクイント角度θのみを観測方向θ0に一致させた場合の従来の特性曲線である。これ以外は図6と同様である。そして、同図から明らかなように、本実施の形態2である式11や式14や式15により位相補償することにより、観測方向29に存在する固定物からの散乱波に基づく不要な検出信号を従来に比べて格段に効果的に抑制することができるようになっている。また特に、スクイント角度θが小さい場合においてはその効果が高いことが判る。
【0078】
【0079】
以上のように、この実施の形態2によれば、2つの送受信アンテナ2,7の受信波の差に基づいて移動物体の検出信号を生成する移動観測用レーダ装置において、アンテナの指向方向24に対する観測方向29のエレベーション角度Δφ0を計算するエレベーション角算出手段26と、当該エレベーション角度Δφ0に基づいて上記観測方向29における固定物に基づく第一受信信号と第二受信信号との位相差を減少させるように第二受信信号の位相を補償する位相補償回路27とを設け、この位相補償後に差分演算回路11が第一受信信号と上記第二受信信号との差分演算を実行するので、スクイント角度θのみに基づいて位相補償する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向29がスクイント角度θとともに俯角φが生じるような方向である場合であっても、第一送受信アンテナ2と第二送受信アンテナ7との受信位置の差に起因する第一受信波と第二受信波との位相差を減少させることができる。
【0080】
従って、アンテナの指向方向24に対する観測方向29の角度差の増加に伴って増加する観測方向29の静止物体からのエコー残差の大きさを抑制することができ、アンテナの指向方向24とは異なる方向を観測方向29とした場合であっても従来の移動観測用レーダ装置に比べて静止物体のエコーを好適にキャンセルすることができ、これによりアンテナの指向方向24とは異なる方向を観測した場合におけるスクイント角度や俯角の変動に応じた静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を従来よりも抑制することができる効果がある。
【0081】
実施の形態3.
図11はこの発明の実施の形態3による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、31は下記式16に基づいて位相補償を行なう位相補償回路である。また、アンテナの指向方向24はスクイント角度θにおいて一致する方向(Δθ0=0)を観測方向として設定する。これ以外は実施の形態1の移動観測用レーダ装置と同様の構成および動作である。
【0082】
【0083】
ところで、図8を参考にして実施の形態1におけるパルス波の経路差を求めると下記式17のようになり、これをcosΔθ0=1,sinΔθ0=Δθ0と近時すると下記式18のようになる。
【0084】
【0085】
従って、上記式16による位相補償によりアンテナの指向方向24とは異なる方向を観測方向29する場合であってもその観測方向29に存在する固定物からの散乱波を差分演算によりキャンセルすることができる(同式12の右辺第1項をキャンセルすることができる)。なお、当然のことながら、アンテナの指向方向24と一致する方向を観測する場合においても、その観測方向に存在する固定物からの散乱波を差分演算によりキャンセルすることができる。
【0086】
図12はこの発明の実施の形態3による移動観測用レーダ装置において、移動方向17に対するアンテナの指向方向24の俯角10度(φ=10°)、アンテナの指向方向24に対する観測方向29のエレベーション角度差2度(Δφ0=2°)の条件の下で観測した場合における不要波抑圧特性を示す特性図である。図において、上にある特性曲線は上記式16により位相補償した場合の特性であり、下にある特性曲線は実施の形態1での特性曲線である。これ以外は図6と同様である。そして、同図から明らかなように、本実施の形態3のように位相補償することにより、単にアンテナ台13を3軸にて位置決めした場合に比べて、観測方向29に存在する固定物からの散乱波に基づく不要な検出信号を従来に比べて格段に効果的に抑制することができるようになっている。特に、スクイント角度θが小さい場合においては効果が高くなっている。
【0087】
以上のように、この実施の形態3によれば、2つの送受信アンテナ2,7の受信波の差に基づいて移動物体の検出信号を生成する移動観測用レーダ装置において、アンテナの指向方向24に対する観測方向29のエレベーション角度Δφ0を計算するエレベーション角算出手段26と、当該エレベーション角度Δφ0に基づいて上記観測方向29における固定物に基づく第一受信信号と第二受信信号との位相差を減少させるように第二受信信号の位相を補償する位相補償回路31とを設け、この位相補償後に差分演算回路11が第一受信信号と上記第二受信信号との差分演算を実行するとともに、2つの送受信アンテナ2,7をそれらの指向方向を揃えて移動プラットフォーム12上に保持するアンテナ台13を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォーム12の移動方向17に対する観測方向29の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向24に対する当該観測方向29の俯角が小さくなるように当該アンテナ台13の位置決め制御を行なう回転手段14およびアンテナ角度制御手段15を備えているので、スクイント角度θのみに基づいてアンテナの指向方向24や位相補償する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向29がスクイント角度θとともに俯角φが生じるような方向である場合であっても、アンテナの指向方向24と観測方向29との差を減少させることができ、しかも、第一送受信アンテナ2と第二送受信アンテナ7との受信位置の差に起因する第一受信波と第二受信波との位相差を減少させることができる。
【0088】
従って、アンテナの指向方向24に対する観測方向29の角度差の増加に伴って増加する観測方向29の静止物体からのエコー残差の大きさを抑制することができ、アンテナの指向方向24とは異なる方向を観測方向29とした場合であっても従来の移動観測用レーダ装置に比べて静止物体のエコーを好適にキャンセルすることができ、これによりアンテナの指向方向24とは異なる方向を観測した場合におけるスクイント角度θや俯角φの変動に応じた静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を従来よりも抑制することができる効果がある。
【0089】
実施の形態4.
図13はこの発明の実施の形態4による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、32は遅延回路6と差分演算回路11との間に直列に接続され、式16による位相補償量を第一受信信号に加算して位相補償を行う位相補償回路である。これ以外は実施の形態3の移動観測用レーダ装置と同様の構成および動作である。
【0090】
従って、第二受信信号は遅延回路6や位相補償回路32などを通らずに第二クラッター追尾回路10から直接に差分演算回路11に入力されることになる。
【0091】
以上のように、この実施の形態4によれば、位相補償回路32が遅延回路6と直列に接続されているので、第二受信信号は位相補償回路32や遅延回路6により遅延されることなく差分演算回路11に入力されることになる。従って、第一観測電波の送信から差分信号出力までの時間を短縮することができ、リアルタイム検出処理能力を向上させることができる効果がある。
【0092】
実施の形態5.
図14はこの発明の実施の形態5による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、33は一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機、34は観測信号を観測電波として放射するとともに、その散乱波をΣ成分とΔ成分とに分離して受信するモノパルス送受信アンテナ、35は散乱波のΣ成分が入力され、これに応じたΣ受信信号を出力するΣ受信機、36は送信機33とΣ受信機35とのモノパルス送受信アンテナ34に対する接続を切り替える切替器、37はΣ受信信号に対してクラッター追尾処理を行なうΣクラッター追尾回路である。なお、34aはモノパルス送受信アンテナ34の第一受信口(受信口)、34bはモノパルス送受信アンテナ34の第二受信口(受信口)である。
【0093】
また、38は散乱波のΔ成分が入力され、これに応じたΔ受信信号を出力するΔ受信機、39はΔ受信信号に対してクラッター追尾処理を行なうΔクラッター追尾回路、40は移動プラットフォーム45の移動速度に応じてΔ受信信号の大きさを変換する振幅調整回路である。
【0094】
次に、41はΣ受信信号と振幅変換後のΔ受信信号とを加算して加算信号を出力する加算信号生成回路、42はΣ受信信号から振幅変換後のΔ受信信号を減算して減算信号を出力する減算信号生成回路、43は減算信号をパルス波の周期のn倍(nは整数)の時間分だけ遅延させる遅延回路、44は遅延後の減算信号と上記加算信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の検出信号として出力する差分演算回路である。
【0095】
更に、45は航空機や衛星などの移動プラットフォーム、46はモノパルス送受信アンテナ34を移動プラットフォーム45上に保持するアンテナ台、47はこのアンテナ台46を3軸方向に回転させる回転手段(多軸制御手段)、48はこの回転手段47に位置決め信号を出力するアンテナ角度制御手段(多軸制御手段)、16はモノパルス送受信アンテナ34の第一受信口34aとおなじ位置となる受信基準位置である。
【0096】
次に動作について説明する。
図15はこの発明の実施の形態5による移動観測用レーダ装置の標準的な観測方法(θ=θ0=90゜,φ=φ0=0゜)を説明する説明図である。図において、49は移動プラットフォーム45の移動方向、50は移動プラットフォーム45上に配設されたモノパルス送受信アンテナ34から第一パルス波を出力した時刻t1における位置、51はモノパルス送受信アンテナ34から第二パルス波を出力した時刻t2における位置、52は移動方向49上に設定される被観測点である。なお、モノパルス送受信アンテナ34の指向方向は移動方向49と一致させている。
【0097】
また、移動プラットフォーム45の移動速度uは2つの受信口34a,34bの位相中心同士の間隔をベースラインBとした場合、上記式4の速度となる。
【0098】
そして、モノパルス送受信アンテナ34は観測信号を観測電波として放射し、その観測電波がアンテナの指向方向49に存在する物体から反射された散乱波を散乱波として受信する。そして、この散乱波のΣ成分はΣ受信機35においてΣ受信信号に変換された後、Σクラッター追尾回路37においてクラッター追尾処理される。また、散乱波のΔ成分はΔ受信機38においてΔ受信信号に変換された後、Δクラッター追尾回路39においてクラッター追尾処理され、振幅調整回路40において移動プラットフォーム45の移動速度に応じた下記式19の係数を乗算することにより大きさが変換される。
【0099】
k=(2PRI×u/B)sinθcosφ ・・・式19
【0100】
次に、このΣ受信信号および振幅変換後のΔ受信信号が加算信号生成回路41において加算されて加算信号に変換され、その後、差分演算回路44に直接入力される。また、Σ受信信号および振幅変換後のΔ受信信号は減算信号生成回路42において減算信号にも変換され、遅延回路43においてパルス波の周期のn倍(nは整数)の時間分だけ遅延された後、差分演算回路44に入力される。そして、この差分演算回路44は同時に入力される加算信号と減算信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の検出信号として出力する。この時、移動プラットフォーム45の移動速度が上記式4に基づいた速度となっているため、第二受信口34bは上記遅延時間(PRI×n)の後に第一受信口34aと同じ受信位置に来ることになり、当該タイミングにおいて差分演算回路44に入力される減算信号は加算信号と同じ物体からの散乱波に基づいた信号と見なすことができる。
【0101】
従って、上記物体が固定物である場合には、最初のパルス波の散乱波における位相と2番目のパルス波の散乱波における位相との位相差が、当該2つのパルス波の送信間隔における移動プラットフォーム45の移動量に相当する回転位相量と一致するので、差分演算回路44から差分信号が出力されることはなく、これに対して、上記物体が移動物体である場合には、最初のパルス波の散乱波における位相と2番目のパルス波の散乱波における位相との位相差が、当該2つのパルス波の送信間隔における移動プラットフォーム45の移動量に相当する回転位相量とは異なる値となるので、差分演算回路44から差分信号が出力されることになり、移動物体を検出することができる。なお、この標準的な場合には2つのクラッター追尾回路37,39はともにクラッター追尾処理をしない。
【0102】
ここで、上記差分演算処理により被観測点52の固定物体のエコーをキャンセルすることができる理由を更に詳細に説明する。モノパルス送受信アンテナ34の2つの受信口34a,34bにて受信される2つの信号をそれぞれ下記式20、式21とした場合、この2つの信号により表わされる散乱波のΣ成分およびΔ成分はそれぞれ下記式22、式23となり、更にΔ/Σは下記式24のように表わされる。更に、Δθ0の大きさが1よりもずっと小さい(θ<<1)と仮定すると「ΔΦ<<1」が成立するので、上記式24は下記式25のように近似することができる。但し、Φは散乱波の位相、ΔΦは2つの受信口34a,34bの受信位置の違いに基づく信号の位相差であり下記式26で表わされる。
【0103】
s1=exp(jΦ) ・・・式20
s2=exp(j(Φ+ΔΦ)) ・・・式21
Σ=s1+s2=exp(jΦ)×(1+exp(jΔΦ))・・・式22
Δ=s1−s2=exp(jΦ)×(1−exp(jΔΦ))・・・式23
Δ/Σ(θ,φ)=(1−exp(jΔΦ))/(1+exp(jΔΦ))・・・式24
Δ/Σ(θ)=(1−exp(jΔΦ))/2 ・・・式25
ΔΦ(θ,φ)=(2πB/λ)sinΔθ0cosΔφ0・・・式26
【0104】
図16は2つのパルス波の散乱波のベクトルを示す複素平面図である。図において、53は先に出力された第一パルス波の散乱波のΣ成分である第一Σ受信ベクトル、54は第一パルス波の散乱波のΔ成分に所定の係数kを乗算した第一Δ受信ベクトル、55は第一パルス波より所定の時間の後に出力された第二パルス波の散乱波のΣ成分である第二Σ受信ベクトル、56は第二パルス波の散乱波のΔ成分に所定の係数kを乗算した第二Δ受信ベクトルである。
【0105】
そして、同図から明らかなように、移動期間内において移動速度などから予測される位相差η(0)は下記式27で表わされ、更に式19を考慮すると下記式28で表わされ、他方、実際に測定される位相差η(1)は下記式29で表わされる。
【0106】
【0107】
そして、式28と式29とはθ=90゜,φ=0゜では一致する。従って、上記係数乗算後の差分演算処理により被観測点52の固定物体のエコーをキャンセルすることができる。
【0108】
次に、アンテナの指向方向を標準的な方向(49)から切り替えて、モノパルス送受信アンテナ34の指向方向と移動プラットフォーム45の移動方向17とを異ならせるように(つまり、移動方向17に対してスクイント角度θや俯角φが生じるように(θ=θ0≠90゜,φ=φ0≠0゜)アンテナ台46を位置決めし、このアンテナの指向方向24を観測方向とする場合について説明する。
【0109】
この実施の形態5では、モノパルス送受信アンテナ34の指向方向24が観測方向と一致するように制御するとともに(つまり、上記アンテナの指向方向24のスクイント角θと俯角φとが観測方向のそれらθ0,φ0と一致するように位置決め制御するとともに)、ひねり角ψが上記式5で得られる角度と一致するようにアンテナ台46の位置決め制御を行なう。
【0110】
このような位置決め制御の下で上記式6の速度条件で移動させるとともに、各クラッター追尾回路37,39は上記角度差αに基づいて2つの受信口34a,34bの受信位置差に相当する分だけΣ受信信号の位相を戻す補正処理を行なう。
【0111】
このように設定することにより、2つの受信口34a,34bの配設方向と移動プラットフォーム45の移動方向17とを含む無俯角平面25内に観測方向の被観測点19を位置させることができ、しかも、その無俯角平面25内におけるアンテナの指向方向24のなす角度αに基づいてクラッター追尾処理を行うことができるので、このアンテナの指向方向24における静止物体からのエコーを完全にキャンセルすることができ、移動物体を良好に検出することができる。
【0112】
次にアンテナの指向方向24を上記標準的な方向(49)から切り替えるとともに、2つの送受信アンテナ2,7の指向方向24とは異なる観測方向29を観測させる場合(θ≠90°且つθ≠θ0,φ≠90°且つφ≠φ0)について説明する。
【0113】
この実施の形態5では、アンテナの指向方向24を基準とした観測方向29のスクイント角差Δθ0および俯角差Δφ0がともに最も小さくなるようにアンテナの指向方向24を設定し、このアンテナの指向方向24に基づいてひねり角ψ制御、速度設定およびクラッター追尾処理を行う。
【0114】
従って、スクイント角度θのみでアンテナの指向方向を一致させ、この状態でクラッター追尾処理を行っていた従来の移動観測用レーダ装置に比べて格段に、そのアンテナの指向方向24に対する観測方向29の誤差およびクラッター追尾処理の誤差を削減することができ、従来よりも格段に精度良く、アンテナの指向方向24とは異なる方向である観測方向29における固定物体からのエコーをキャンセルすることができる。特に、Δφ0とΔθ0とがともに十分に小さいと見なすことができる範囲においては、Δφ=Δθ=0であるアンテナの指向方向24そのものを観測した場合と同様に、観測方向29に存在する固定物からの散乱波を差分演算により効果的にキャンセルすることができる。
【0115】
図17はこの発明の実施の形態5による移動観測用レーダ装置において、移動方向17に対するアンテナの指向方向24の俯角10度(φ=10°)、アンテナの指向方向24に対する観測方向29のエレベーション角度差2度(Δφ0=2°)の条件の下で観測した場合における不要波抑圧特性を示す特性図である。図において、横軸は観測方向29のスクイント角度と一致したアンテナの指向方向24のスクイント角度(θ=θ0)であり、縦軸は上記観測方向29における固定物の抑圧比(dB)である。そして、同図には、本実施の形態5の制御による場合の特性曲線とともに、スクイント角度θのみを制御した場合の従来の特性曲線が示されており、同図から明らかなように本実施の形態5ではアンテナの指向方向24とは異なる観測方向29における固定物からの散乱波に基づく不要な検出信号を従来に比べて格段に効果的に抑制することができるようになっていることが判る。特に、スクイント角度θが小さい場合においては効果が高い。
【0116】
以上のように、この実施の形態5によれば、モノパルス送受信アンテナ34の2回の受信波の差に基づいて移動物体の検出信号を生成する移動観測用レーダ装置において、当該モノパルス送受信アンテナ34を移動プラットフォーム45上に保持するアンテナ台46を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォーム45の移動方向17に対する観測方向29の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向24に対する当該観測方向29の俯角が小さくなるように当該アンテナ台46の位置決め制御を行なう回転手段47およびアンテナ角度制御手段48を備えたので、アンテナの指向方向24をスクイント角度θのみに基づいて制御する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向29がスクイント角度θとともに俯角φが生じるような方向である場合において、アンテナの指向方向24と観測方向29との差を減少させることができる。
【0117】
従って、アンテナの指向方向24に対する観測方向29の角度差の増加に伴って増加する観測方向29の静止物体からのエコー残差の大きさを抑制することができ、アンテナの指向方向24とは異なる方向を観測方向29とした場合であっても従来の移動観測用レーダ装置に比べて静止物体のエコーを好適にキャンセルすることができ、これによりアンテナの指向方向24とは異なる方向を観測した場合におけるスクイント角度θや俯角φの変動に応じた静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を従来よりも抑制することができる効果がある。
【0118】
この実施の形態5によれば、移動プラットフォーム45の移動方向17とアンテナの指向方向24を一致させた状態において、この移動方向17およびモノパルス送受信アンテナ34の2つの受信口34a,34bを含む平面25を角度の基準平面とするとともに、上記移動方向17に対する観測方向29のスクイント角をθ、上記移動方向17に対する当該観測方向29の俯角をφとした場合に、回転手段47およびアンテナ角度制御手段48が、アンテナの指向方向24が当該スクイント角度および俯角となるように位置決め制御するとともに、上記2つの受信口34a,34bの配列方向が上記式5を満たすひねり角ψとなるように位置決め制御を行なうので、俯角をゼロとすることができる。
【0119】
従って、スクイント角度θのみに基づいてアンテナの指向方向24や位相補償する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向29がスクイント角度とともに俯角が生じるような方向である場合であっても、俯角をゼロとして取り扱うことができ、第一受信波と第二受信波との位相差を格段に減少させることができる効果がある。
【0120】
実施の形態6.
図18はこの発明の実施の形態6による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、57はアンテナの指向方向24に対する観測方向29のエレベーション角度Δφ0を計算するエレベーション角算出手段、58はエレベーション角度Δφ0に基づいて観測方向29における固定物に基づく加算信号と減算信号との位相差を減少させるように加算信号の位相を補償する位相補償回路であり、差分演算回路44にはこの位相補償された加算信号と遅延された減算信号とが入力される。また、59は回転手段47に対してスクイント角度θのみを調整する位置決め信号を出力するアンテナ角度制御手段(一軸制御手段)である。これ以外は実施の形態5と同様の構成であり同一の符号を付して説明を省略する。
【0121】
そして、この実施の形態6では、アンテナの指向方向24とスクイント角度θにおいて一致する方向を観測方向として設定する(つまりΔθ0=0)とともに、位相補償回路58が下記式30に示す位相補償を行うように構成した。
【0122】
【0123】
そして、cosΔθ0=1,sinΔθ0=Δθ0の近似条件の下で「η(1)−η(0)」を計算すると下記式31のようになり、上記式30による位相補償によりアンテナの指向方向24とは異なる方向を観測する場合であっても、その観測方向29に存在する固定物からの散乱波を差分演算によりキャンセルすることができる(同式31の右辺第2項をキャンセルすることができる)。なお、当然のことながら、アンテナの指向方向24と一致する方向を観測する場合においても、その観測方向に存在する固定物からの散乱波を差分演算によりキャンセルすることができる。また、被観測点52が指向中心点から距離rgだけ隔たったレンジであるとした場合における被観測点19のエレベーション角度Δφ0は上記式13により求めることができる。
【0124】
【0125】
図19はこの発明の実施の形態6による移動観測用レーダ装置において、移動方向17に対するアンテナの指向方向24の俯角10度(φ=10°)、アンテナの指向方向24に対する観測方向29のエレベーション角度差2度(Δφ0=2°)の条件の下で観測した場合における不要波抑圧特性を示す特性図である。図において、最も上にある特性曲線は後述する実施の形態8の式36により位相補償した場合の特性であり、上から2番目にある特性曲線はこの実施の形態6により位相補償した場合の特性であり、一番下にある特性曲線はスクイント角度θのみを観測方向に一致させた場合の従来の特性曲線である。これ以外は図6と同様である。そして、同図から明らかなように、本実施の形態6である式30により位相補償することにより、観測方向29に存在する固定物からの散乱波に基づく不要な検出信号を従来に比べて格段に効果的に抑制することができるようになっている。特に、スクイント角度θが小さい場合においては効果が高い。なお、上記式30の代わりに下記式32を利用しても同様の効果が得られる。
【0126】
ΔΦ’=(4πPRI×u×Δφ0/λ)cosθsinφ・・・式32
【0127】
以上のように、この実施の形態6によれば、モノパルス送受信アンテナ34の2つの受信波の差に基づいて移動物体の検出信号を生成する移動観測用レーダ装置において、アンテナの指向方向24に対する観測方向29のエレベーション角度Δφ0を計算するエレベーション角算出手段57と、当該エレベーション角度Δφ0に基づいて上記観測方向29における固定物に基づく加算信号と減算信号との位相差を減少させるように加算信号の位相を補償する位相補償回路58とを設け、この位相補償後に差分演算回路44が減算信号と加算信号との差分演算を実行するので、スクイント角度のみに基づいて位相補償する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向がスクイント角度とともに俯角が生じるような方向である場合であっても、モノパルス送受信アンテナ34の2回の受信位置の違いに起因する減算信号と加算信号との差分を減少させることができる。
【0128】
従って、アンテナの指向方向24に対する観測方向29の角度差の増加に伴って増加する観測方向の静止物体からのエコー残差の大きさを抑制することができ、アンテナの指向方向24とは異なる方向を観測方向29とした場合であっても従来の移動観測用レーダ装置に比べて静止物体のエコーを好適にキャンセルすることができ、これによりアンテナの指向方向24とは異なる観測方向29を観測した場合におけるスクイント角度や俯角の変動に応じた静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を従来よりも抑制することができる効果がある。
【0129】
実施の形態7.
図20はこの発明の実施の形態7による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、60は下記式33に基づいて位相補償を行なう位相補償回路である。また、アンテナの指向方向24はスクイント角θにおいて一致する方向を観測方向29として設定する(Δθ0=0)。これ以外は実施の形態5の移動観測用レーダ装置と同様の構成および動作である。
【0130】
ΔΦ(θ,Δφ0)=(4πPRI×u/λ)
cosθ(cosΔφ0−1) ・・・式33
【0131】
ところで、実施の形態5におけるパルス波の経路差に相当する位相回転量を求めると、下記式34のようになる。
【0132】
η(1)−η(0)=(4πPRI×u/λ)
cosθ(cosΔθ0cosΔφ0−1) ・・・式34
【0133】
したがって、上記式33による位相補償によりアンテナの指向方向24とは異なる観測方向29を観測する場合であってもその観測方向29に存在する固定物体からの散乱波を差分演算によりキャンセルすることができる(同式34の右辺第1項の少なくとも一部をキャンセルすることができる)。なお、当然のことながら、アンテナの指向方向24と一致する方向を観測する場合においても、その観測方向に存在する固定物からの散乱波を差分演算によりキャンセルすることができる。
【0134】
図21はこのような発明の実施の形態7による移動観測用レーダ装置において、移動方向17に対するアンテナの指向方向24の俯角10度(φ=φ0=10°)、アンテナの指向方向24に対する観測方向29のエレベーション角度差2度(Δφ0=2°)の条件の下で観測した場合における不要波抑圧特性を示す特性図である。図において、上にある特性曲線は上記式33により位相補償した場合の特性であり、下にある特性曲線は実施の形態5での特性曲線である。これ以外は図6と同様である。そして、同図から明らかなように、本実施の形態7のように位相補償することにより、単にアンテナ台46を3軸にて位置決めした場合に比べて、観測方向に存在する固定物からの散乱波に基づく不要な検出信号を従来に比べて格段に効果的に抑制することができるようになっている。特に、スクイント角度θが小さい場合においては効果が高い。
【0135】
以上のように、この実施の形態7によれば、モノパルス送受信アンテナ34の2つの受信波の差に基づいて移動物体の検出信号を生成する移動観測用レーダ装置において、モノパルス送受信アンテナ34を移動プラットフォーム45上に保持するアンテナ台46を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォーム45の移動方向17に対する観測方向29の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向24に対する当該観測方向29の俯角が小さくなるように当該アンテナ台46の位置決め制御を行なう回転手段47およびアンテナ角度制御手段48とともに、アンテナの指向方向24に対する観測方向29のエレベーション角度を計算するエレベーション角算出手段57と、当該エレベーション角度に基づいて上記観測方向29における固定物に基づく加算信号と減算信号との位相差を減少させるように加算信号の位相を補償する位相補償回路60とを設け、この位相補償後に差分演算回路44が減算信号と加算信号との差分演算を実行するので、スクイント角度のみに基づいてアンテナの指向方向や位相補償する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向29がスクイント角度とともに俯角が生じるような方向である場合であっても、モノパルス送受信アンテナ34の2回の受信位置の違いに起因する減算信号と加算信号との差分を減少させることができ、しかも、アンテナの指向方向24と観測方向29との差を減少させることができる。
【0136】
従って、アンテナの指向方向24に対する観測方向29の角度差の増加に伴って増加する観測方向29の静止物体からのエコー残差の大きさを抑制することができ、アンテナの指向方向24とは異なる方向を観測方向29とした場合であっても従来の移動観測用レーダ装置に比べて静止物体のエコーを好適にキャンセルすることができ、これによりアンテナの指向方向24とは異なる方向を観測した場合におけるスクイント角度や俯角の変動に応じた静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を従来よりも抑制することができる効果がある。
【0137】
実施の形態8.
図22はこの発明の実施の形態8による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、61は移動プラットフォーム45の移動速度情報と共にエレベーション角度Δφ0情報が入力され、下記式35により得られる係数kに基づいて差分信号の振幅を補償する振幅調整回路である。但し、PRIはパルス繰り返し周期、Bはモノパルス送受信アンテナ34の2つの受信口34a,34bの間のベースライン長、uは移動プラットフォーム45の移動速度、θは移動プラットフォーム45の移動方向に対するモノパルス送受信アンテナ34の指向方向のスクイント角、φは移動プラットフォーム45の移動方向17に対するモノパルス送受信アンテナ34の指向方向24の俯角、Δφ0はアンテナ34の指向方向24に対する観測方向29のエレベーション角である。これ以外の構成は実施の形態7の移動観測用レーダ装置と同様の構成および動作である。
【0138】
k=(2PRI×u/B)sinθ(cosφ+sinφtanΔφ0)・・・式35
【0139】
そして、このような振幅調整回路61における位相補償により、式31の右辺第1項の分の誤差をもキャンセルすることができるので、アンテナの指向方向24とは異なる観測方向29を観測する場合であっても、その観測方向29に存在する固定物からの散乱波を差分演算によりキャンセルすることができる。なお、当然のことながら、アンテナの指向方向24と一致する方向を観測する場合においても、その観測方向に存在する固定物からの散乱波を差分演算によりキャンセルすることができる。
【0140】
なお、図19に、この発明の実施の形態8による移動観測用レーダ装置において、移動方向17に対するアンテナの指向方向24の俯角10度(φ=φ0=10°)、アンテナの指向方向24に対する観測方向29のエレベーション角度差2度(Δφ0=2°)の条件の下で観測した場合における不要波抑圧特性を示す特性図を示す。そして、同図から明らかなように、本実施の形態8のように位相補償することにより、実施の形態6の場合に比べても、観測方向29に存在する固定物からの散乱波に基づく不要な検出信号を従来に比べて格段に効果的に抑制することができるようになっている。
【0141】
また、上記式35の換わりに下記式36を使用しても同様の効果が得られる。
k’=(2PRI×u/B)sinθ(cosφ+Δφ0×sinφ)・・・式36
【0142】
以上のように、この実施の形態8によれば、振幅調整回路60が、上記式35より得られる係数kに基づいて差分信号の振幅を補償するので、単に移動プラットフォーム45の移動速度17のみに基づいて差分信号の振幅を補償した場合に比べて精度良くΔ信号成分の振幅を補償することができる。従って、移動プラットフォーム45の移動方向17に対してスクイント角度および俯角が共に生じるような観測方向29における固定物に基づく差分信号の発生を抑制することができ、この差分信号に基づいて高度に移動物体を観測することができる効果がある。
【0143】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、2つの送受信アンテナの受信波の差に基づいて移動物体の検出信号を生成する移動観測用レーダ装置において、当該2つの送受信アンテナをそれらの指向方向を揃えて移動プラットフォーム上に保持するアンテナ台を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォームの移動方向に対する観測方向の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向に対する当該観測方向の俯角が小さくなるように当該アンテナ台の位置決め制御を行なう多軸制御手段を備えたので、アンテナの指向方向をスクイント角度のみに基づいて制御する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向がスクイント角度とともに俯角が生じるような方向である場合において、アンテナの指向方向と観測方向との差を減少させることができる。
【0144】
従って、アンテナの指向方向に対する観測方向の角度差の増加に伴って増加する観測方向の静止物体からのエコー残差の大きさを抑制することができ、アンテナの指向方向とは異なる方向を観測方向とした場合であっても従来の移動観測用レーダ装置に比べて静止物体のエコーを好適にキャンセルすることができ、これによりアンテナの指向方向とは異なる方向を観測した場合におけるスクイント角度や俯角の変動に応じた静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を従来よりも抑制することができる効果がある。
【0145】
この発明によれば、2つの送受信アンテナの受信波の差に基づいて移動物体の検出信号を生成する移動観測用レーダ装置において、アンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角度を計算するエレベーション角算出手段と、当該エレベーション角度に基づいて上記観測方向における固定物に基づく第一受信信号と第二受信信号との位相差を減少させるように第一受信信号あるいは第二受信信号の一方の位相を補償する位相補償回路とを設け、この位相補償後に差分演算回路が第一受信信号と上記第二受信信号との差分演算を実行するので、スクイント角度のみに基づいて位相補償する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向がスクイント角度とともに俯角が生じるような方向である場合であっても、第一送受信アンテナと第二送受信アンテナとの受信位置の差に起因する第一受信波と第二受信波との位相差を減少させることができる。
【0146】
従って、アンテナの指向方向に対する観測方向の角度差の増加に伴って増加する観測方向の静止物体からのエコー残差の大きさを抑制することができ、アンテナの指向方向とは異なる方向を観測方向とした場合であっても従来の移動観測用レーダ装置に比べて静止物体のエコーを好適にキャンセルすることができ、これによりアンテナの指向方向とは異なる方向を観測した場合におけるスクイント角度や俯角の変動に応じた静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を従来よりも抑制することができる効果がある。
【0147】
この発明によれば、2つの送受信アンテナの受信波の差に基づいて移動物体の検出信号を生成する移動観測用レーダ装置において、アンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角度を計算するエレベーション角算出手段と、当該エレベーション角度に基づいて上記観測方向における固定物に基づく第一受信信号と第二受信信号との位相差を減少させるように第一受信信号あるいは第二受信信号の一方の位相を補償する位相補償回路とを設け、この位相補償後に差分演算回路が第一受信信号と上記第二受信信号との差分演算を実行するとともに、2つの送受信アンテナをそれらの指向方向を揃えて移動プラットフォーム上に保持するアンテナ台を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォームの移動方向に対する観測方向の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向に対する当該観測方向の俯角が小さくなるように当該アンテナ台の位置決め制御を行なう多軸制御手段を備えているので、スクイント角度のみに基づいてアンテナの指向方向や位相補償する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向がスクイント角度とともに俯角が生じるような方向である場合であっても、アンテナの指向方向と観測方向との差を減少させることができ、しかも、第一送受信アンテナと第二送受信アンテナとの受信位置の差に起因する第一受信波と第二受信波との位相差を減少させることができる。
【0148】
従って、アンテナの指向方向に対する観測方向の角度差の増加に伴って増加する観測方向の静止物体からのエコー残差の大きさを抑制することができ、アンテナの指向方向とは異なる方向を観測方向とした場合であっても従来の移動観測用レーダ装置に比べて静止物体のエコーを好適にキャンセルすることができ、これによりアンテナの指向方向とは異なる方向を観測した場合におけるスクイント角度や俯角の変動に応じた静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を従来よりも抑制することができる効果がある。
【0149】
この発明によれば、移動プラットフォームの移動方向とアンテナの指向方向を一致させた状態において、この移動方向および第一送受信アンテナならびに第二送受信アンテナを含む平面を角度の基準平面とするとともに、上記移動方向に対する観測方向のスクイント角をθ、上記移動方向に対する当該観測方向の俯角をφとした場合に、多軸制御手段が、アンテナの指向方向が当該スクイント角度および俯角となるように位置決め制御するとともに、上記第一送受信アンテナと上記第二送受信アンテナとの配列方向が上記式5を満たすひねり角ψとなるように位置決め制御を行なうので、俯角をゼロとすることができる。
【0150】
従って、スクイント角度のみに基づいてアンテナの指向方向や位相補償する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向がスクイント角度とともに俯角が生じるような方向である場合であっても、俯角をゼロとして取り扱うことができ、第一受信波と第二受信波との位相差を格段に減少させることができる効果がある。
【0151】
この発明によれば、位相補償回路が遅延回路と直列に接続されているので、第二受信信号は位相補償回路や遅延回路により遅延されることなく差分演算回路に入力されることになる。従って、第一観測電波の送信から差分信号出力までの時間を短縮することができ、リアルタイム検出処理能力を向上させることができる効果がある。
【0152】
この発明によれば、モノパルス送受信アンテナの2回の受信波の差に基づいて移動物体の検出信号を生成する移動観測用レーダ装置において、当該モノパルス送受信アンテナを移動プラットフォーム上に保持するアンテナ台を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォームの移動方向に対する観測方向の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向に対する当該観測方向の俯角が小さくなるように当該アンテナ台の位置決め制御を行なう多軸制御手段を備えたので、アンテナの指向方向をスクイント角度のみに基づいて制御する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向がスクイント角度とともに俯角が生じるような方向である場合において、アンテナの指向方向と観測方向との差を減少させることができる。
【0153】
従って、アンテナの指向方向に対する観測方向の角度差の増加に伴って増加する観測方向の静止物体からのエコー残差の大きさを抑制することができ、アンテナの指向方向とは異なる方向を観測方向とした場合であっても従来の移動観測用レーダ装置に比べて静止物体のエコーを好適にキャンセルすることができ、これによりアンテナの指向方向とは異なる方向を観測した場合におけるスクイント角度や俯角の変動に応じた静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を従来よりも抑制することができる効果がある。
【0154】
この発明によれば、モノパルス送受信アンテナの2つの受信波の差に基づいて移動物体の検出信号を生成する移動観測用レーダ装置において、アンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角度を計算するエレベーション角算出手段と、当該エレベーション角度に基づいて上記観測方向における固定物に基づく加算信号と減算信号との位相差を減少させるように加算信号あるいは減算信号の一方の位相を補償する位相補償回路とを設け、この位相補償後に差分演算回路が減算信号と加算信号との差分演算を実行するので、スクイント角度のみに基づいて位相補償する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向がスクイント角度とともに俯角が生じるような方向である場合であっても、モノパルス送受信アンテナの2回の受信位置の違いに起因する減算信号と加算信号との差分を減少させることができる。
【0155】
従って、アンテナの指向方向に対する観測方向の角度差の増加に伴って増加する観測方向の静止物体からのエコー残差の大きさを抑制することができ、アンテナの指向方向とは異なる方向を観測方向とした場合であっても従来の移動観測用レーダ装置に比べて静止物体のエコーを好適にキャンセルすることができ、これによりアンテナの指向方向とは異なる方向を観測した場合におけるスクイント角度や俯角の変動に応じた静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を従来よりも抑制することができる効果がある。
【0156】
この発明によれば、モノパルス送受信アンテナの2つの受信波の差に基づいて移動物体の検出信号を生成する移動観測用レーダ装置において、モノパルス送受信アンテナを移動プラットフォーム上に保持するアンテナ台を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォームの移動方向に対する観測方向の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向に対する当該観測方向の俯角が小さくなるように当該アンテナ台の位置決め制御を行なう多軸制御手段とともに、アンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角度を計算するエレベーション角算出手段と、当該エレベーション角度に基づいて上記観測方向における固定物に基づく加算信号と減算信号との位相差を減少させるように加算信号あるいは減算信号の一方の位相を補償する位相補償回路とを設け、この位相補償後に差分演算回路が減算信号と加算信号との差分演算を実行するので、スクイント角度のみに基づいてアンテナの指向方向や位相補償する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向がスクイント角度とともに俯角が生じるような方向である場合であっても、モノパルス送受信アンテナの2回の受信位置の違いに起因する減算信号と加算信号との差分を減少させることができ、しかも、アンテナの指向方向と観測方向との差を減少させることができる。
【0157】
従って、アンテナの指向方向に対する観測方向の角度差の増加に伴って増加する観測方向の静止物体からのエコー残差の大きさを抑制することができ、アンテナの指向方向とは異なる方向を観測方向とした場合であっても従来の移動観測用レーダ装置に比べて静止物体のエコーを好適にキャンセルすることができ、これによりアンテナの指向方向とは異なる方向を観測した場合におけるスクイント角度や俯角の変動に応じた静止物体のエコーのキャンセル効果の低下を従来よりも抑制することができる効果がある。
【0158】
この発明によれば、移動プラットフォームの移動方向とアンテナの指向方向を一致させた状態において、この移動方向およびモノパルス送受信アンテナの2つの受信口を含む平面を角度の基準平面とするとともに、上記移動方向に対する観測方向のスクイント角をθ、上記移動方向に対する当該観測方向の俯角をφとした場合に、多軸制御手段が、アンテナの指向方向が当該スクイント角度および俯角となるように位置決め制御するとともに、上記2つの受信口の配列方向が上記式5を満たすひねり角ψとなるように位置決め制御を行なうので、俯角をゼロとすることができる。
【0159】
従って、スクイント角度のみに基づいてアンテナの指向方向や位相補償する従来の移動観測用レーダ装置に比べて、特に観測方向がスクイント角度とともに俯角が生じるような方向である場合であっても、俯角をゼロとして取り扱うことができ、第一受信波と第二受信波との位相差を格段に減少させることができる効果がある。
【0160】
この発明によれば、振幅調整回路が、上記式35より得られる係数kに基づいて差分信号の振幅を補償するので、単に移動プラットフォームの移動速度のみに基づいて差分信号の振幅を補償した場合に比べて精度良くΔ信号成分の振幅を補償することができる。従って、移動プラットフォームの移動方向に対してスクイント角度および俯角が共に生じるような観測方向における固定物に基づく差分信号の発生を抑制することができ、この差分信号に基づいて高度に移動物体を観測することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による移動観測用レーダ装置の標準的な観測方法を説明するための説明図である。
【図3】 2つの送受信アンテナから同時に観測電波を送信する場合における2つの受信アンテナの位相中心同士の間隔Bの説明図である。
【図4】 この発明の実施の形態1によるアンテナ台の位置決め制御を説明するためのジオメトリの説明図である(その1)。
【図5】 この発明の実施の形態1によるアンテナ台の位置決め制御を説明するためのジオメトリの説明図である(その2)。
【図6】 この発明の実施の形態1による移動観測用レーダ装置において、俯角10度(θ=θ0=10°)における不要波抑圧比を示す特性図である。
【図7】 この発明の実施の形態2による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図8】 この発明の実施の形態2による位相補償を説明するためのジオメトリの説明図である(その1)。
【図9】 この発明の実施の形態2による位相補償を説明するためのジオメトリの説明図である(その2)。
【図10】 この発明の実施の形態2による移動観測用レーダ装置において、俯角10度における不要波抑圧比を示す特性図である。
【図11】 この発明の実施の形態3による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図12】 この発明の実施の形態3による移動観測用レーダ装置において、俯角10度における不要波抑圧比を示す特性図である。
【図13】 この発明の実施の形態4による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図14】 この発明の実施の形態5による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図15】 この発明の実施の形態5による移動観測用レーダ装置の標準的な観測方法を説明するための説明図である。
【図16】 この発明の実施の形態5による移動観測用レーダ装置で観測する2つのパルス波の散乱波のベクトルを示す複素平面図である。
【図17】 この発明の実施の形態5による移動観測用レーダ装置において、俯角10度(θ=θ0=10°)における不要波抑圧比を示す特性図である。
【図18】 この発明の実施の形態6による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図19】 この発明の実施の形態6および8による移動観測用レーダ装置において、俯角10度における不要波抑圧比を示す特性図である。
【図20】 この発明の実施の形態7による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図21】 この発明の実施の形態7による移動観測用レーダ装置において、俯角10度における不要波抑圧比を示す特性図である。
【図22】 この発明の実施の形態8よる移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図23】 2つの送受信アンテナを用いた従来の移動観測用レーダ装置の測定原理を示す説明図である。
【図24】 モノパルス送受信アンテナを用いた従来の移動観測用レーダ装置の測定原理を示す説明図である。
【図25】 2つのパルス波の散乱波のベクトルを示す複素平面図である。
【図26】 移動プラットフォームの移動方向に対してアンテナの指向方向にスクイント角を持たせた場合の移動物体の検出原理を示す説明図である。
【図27】 従来の移動観測用レーダ装置において、俯角10度における不要波抑圧比を示す特性図である。
【符号の説明】
1,33 送信機、2 第一送受信アンテナ、3 第一受信機、6,43 遅延回路、7 第二送受信アンテナ、8 第二受信機、11,44 差分演算回路、12,45 移動プラットフォーム、13,46 アンテナ台、14,47 回転手段(多軸制御手段)、15,48 アンテナ角度制御手段(多軸制御手段)、26,57 エレベーション角算出手段、27,31,32,58,60 位相補償回路、28,59 アンテナ角度制御手段(一軸制御手段)、34 モノパルス送受信アンテナ、34a 第一受信口(受信口)、34b 第二受信口(受信口)、35 Σ受信機、38 Δ受信機、40 振幅調整回路、41 加算信号生成回路、42 減算信号生成回路。
Claims (5)
- 移動プラットフォーム上に配設され、移動物体を検出する移動観測用レーダ装置において、
一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機と、
上記観測信号を観測電波として放射するとともに、その散乱波をΣ成分とΔ成分とに分離して受信するモノパルス送受信アンテナと、
上記モノパルス送受信アンテナを移動プラットフォーム上に保持するアンテナ台と、
上記散乱波のΣ成分が入力され、これに応じたΣ受信信号を出力するΣ受信機と、
上記散乱波のΔ成分が入力され、これに応じたΔ受信信号を出力するΔ受信機と、
Δ受信信号の大きさを上記移動プラットフォームの移動速度に応じて変換する振幅調整回路と、
上記Σ受信信号と振幅変換後のΔ受信信号とを加算して加算信号を出力する加算信号生成回路と、
上記Σ受信信号から振幅変換後のΔ受信信号を減算して減算信号を出力する減算信号生成回路と、
上記減算信号をパルス波の周期の整数倍の時間分だけ遅延させる遅延回路と、
遅延後の減算信号と上記加算信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の検出信号として出力する差分演算回路と、
上記アンテナ台を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォームの移動方向に対する観測方向の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向に対する当該観測方向の俯角が小さくなるように上記アンテナ台の位置決め制御を行なう多軸制御手段とを備え
上記移動プラットフォームの移動方向とアンテナの指向方向を一致させた状態において、この移動方向およびモノパルス送受信アンテナの2つの受信口を含む平面を角度の基準平面とするとともに、上記移動方向に対する観測方向のスクイント角をθ、上記移動方向に対する当該観測方向の俯角をφとした場合に、
移動速度を下記式4の条件に設定し、
上記多軸制御手段は、アンテナの指向方向が当該スクイント角度および俯角となるように位置決め制御するとともに、上記2つの受信口の配列方向が下記式5を満たすひねり角ψとなるように位置決め制御を行なうことを特徴とする移動観測用レーダ装置。
u=B/(2PRI×n) ・・・式4
(但し、PRIはパルス波の周期、nは遅延回路における遅延倍数、Bは2つの送受信アンテナの位相中心同士の間隔。)
ψ=arctan(tanφ/tanθ) ・・・式5 - 移動プラットフォーム上に配設され、移動物体を検出する移動観測用レーダ装置において、
一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機と、
上記観測信号を観測電波として放射するとともに、その散乱波をΣ成分とΔ成分とに分離して受信するモノパルス送受信アンテナと、
上記モノパルス送受信アンテナを移動プラットフォーム上に保持するアンテナ台と、
上記散乱波のΣ成分が入力され、これに応じたΣ受信信号を出力するΣ受信機と、
上記散乱波のΔ成分が入力され、これに応じたΔ受信信号を出力するΔ受信機と、
Δ受信信号の大きさを上記移動プラットフォームの移動速度に応じて変換する振幅調整回路と、
上記Σ受信信号と振幅変換後のΔ受信信号とを加算して加算信号を出力する加算信号生成回路と、
上記Σ受信信号から振幅変換後のΔ受信信号を減算して減算信号を出力する減算信号生成回路と、
上記減算信号をパルス波の周期の整数倍の時間分だけ遅延させる遅延回路と、
上記アンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角度を計算するエレベーション角算出手段と、
当該エレベーション角度に基づいて上記観測方向における固定物に基づく加算信号と減算信号との位相差を減少させるように加算信号あるいは減算信号の一方の位相を補償する位相補償回路と、
位相補償後に、遅延後の減算信号と上記加算信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の検出信号として出力する差分演算回路と、
上記アンテナ台を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォームの移動方向に対する観測方向の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向に対する当該観測方向の俯角が小さくなるように上記アンテナ台の位置決め制御を行なう多軸制御手段とを備え、
上記移動プラットフォームの移動方向とアンテナの指向方向を一致させた状態において、この移動方向およびモノパルス送受信アンテナの2つの受信口を含む平面を角度の基準平面とするとともに、上記移動方向に対する観測方向のスクイント角をθ、上記移動方向に対する当該観測方向の俯角をφとした場合に、
移動速度を下記式4の条件に設定し、
上記多軸制御手段は、アンテナの指向方向が当該スクイント角度および俯角となるように位置決め制御するとともに、上記2つの受信口の配列方向が下記式5を満たすひねり角ψとなるように位置決め制御を行なうことを特徴とする移動観測用レーダ装置。
u=B/(2PRI×n) ・・・式4
(但し、PRIはパルス波の周期、nは遅延回路における遅延倍数、Bは2つの送受信アンテナの位相中心同士の間隔。)
ψ=arctan(tanφ/tanθ) ・・・式5 - 移動プラットフォーム上に配設され、移動物体を検出する移動観測用レーダ装置において、
一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機と、
上記観測信号を観測電波として放射するとともに、その散乱波をΣ成分とΔ成分とに分離して受信するモノパルス送受信アンテナと、
上記モノパルス送受信アンテナを移動プラットフォーム上に保持するアンテナ台と、
上記散乱波のΣ成分が入力され、これに応じたΣ受信信号を出力するΣ受信機と、
上記散乱波のΔ成分が入力され、これに応じたΔ受信信号を出力するΔ受信機と、
Δ受信信号の大きさを上記移動プラットフォームの移動速度に応じて変換する振幅調整回路と、
上記Σ受信信号と振幅変換後のΔ受信信号とを加算して加算信号を出力する加算信号生成回路と、
上記Σ受信信号から振幅変換後のΔ受信信号を減算して減算信号を出力する減算信号生成回路と、
上記減算信号をパルス波の周期の整数倍の時間分だけ遅延させる遅延回路と、
遅延後の減算信号と上記加算信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の検出信号として出力する差分演算回路と、
上記アンテナ台を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォームの移動方向に対する観測方向の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向に対する当該観測方向の俯角が小さくなるように上記アンテナ台の位置決め制御を行なう多軸制御手段とを備え、
上記振幅調整回路は、下記式35より得られる係数kに基づいて差分信号の振幅を補償することを特徴とする移動観測用レーダ装置。
k=(2PRI×u/B)sinθ(cosφ+sinφtanΔφ0)・・・式35
但し、PRIはパルス波の送信繰り返し周期、
Bはモノパルス送受信アンテナの2つの受信口の間のベースライン長、
uは移動プラットフォームの移動速度、
θは移動プラットフォームの移動方向に対するアンテナの指向方向のスクイント角、
φは移動プラットフォームの移動方向に対するアンテナの指向方向の俯角、
Δφ0はアンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角である。 - 移動プラットフォーム上に配設され、移動物体を検出する移動観測用レーダ装置において、
一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機と、
上記観測信号を観測電波として放射するとともに、その散乱波をΣ成分とΔ成分とに分離して受信するモノパルス送受信アンテナと、
上記モノパルス送受信アンテナを移動プラットフォーム上に保持するアンテナ台と、
上記散乱波のΣ成分が入力され、これに応じたΣ受信信号を出力するΣ受信機と、
上記散乱波のΔ成分が入力され、これに応じたΔ受信信号を出力するΔ受信機と、
Δ受信信号の大きさを上記移動プラットフォームの移動速度に応じて変換する振幅調整回路と、
上記Σ受信信号と振幅変換後のΔ受信信号とを加算して加算信号を出力する加算信号生成回路と、
上記Σ受信信号から振幅変換後のΔ受信信号を減算して減算信号を出力する減算信号生成回路と、
上記減算信号をパルス波の周期の整数倍の時間分だけ遅延させる遅延回路と、
上記アンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角度を計算するエレベーション角算出手段と、
当該エレベーション角度に基づいて上記観測方向における固定物に基づく加算信号と減算信号との位相差を減少させるように加算信号あるいは減算信号の一方の位相を補償する位相補償回路と、
位相補償後に、遅延後の減算信号と上記加算信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の検出信号として出力する差分演算回路と、
当該アンテナ台を上記移動プラットフォームの移動方向を含む平面内で1軸方向に回転させて、上記移動プラットフォームの移動方向に対する観測方向のスクイント角に比べて、上記アンテナの指向方向に対する当該観測方向のスクイント角が小さくなるように当該アンテナ台の位置決め制御を行なう一軸制御手段とを備え、
上記振幅調整回路は、下記式35より得られる係数kに基づいて差分信号の振幅を補償することを特徴とする移動観測用レーダ装置。
k=(2PRI×u/B)sinθ(cosφ+sinφtanΔφ0)・・・式35
但し、PRIはパルス波の送信繰り返し周期、
Bはモノパルス送受信アンテナの2つの受信口の間のベースライン長、
uは移動プラットフォームの移動速度、
θは移動プラットフォームの移動方向に対するアンテナの指向方向のスクイント角、
φは移動プラットフォームの移動方向に対するアンテナの指向方向の俯角、
Δφ0はアンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角である。 - 移動プラットフォーム上に配設され、移動物体を検出する移動観測用レーダ装置において、
一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機と、
上記観測信号を観測電波として放射するとともに、その散乱波をΣ成分とΔ成分とに分離して受信するモノパルス送受信アンテナと、
上記モノパルス送受信アンテナを移動プラットフォーム上に保持するアンテナ台と、
上記散乱波のΣ成分が入力され、これに応じたΣ受信信号を出力するΣ受信機と、
上記散乱波のΔ成分が入力され、これに応じたΔ受信信号を出力するΔ受信機と、
Δ受信信号の大きさを上記移動プラットフォームの移動速度に応じて変換する振幅調整回路と、
上記Σ受信信号と振幅変換後のΔ受信信号とを加算して加算信号を出力する加算信号生成回路と、
上記Σ受信信号から振幅変換後のΔ受信信号を減算して減算信号を出力する減算信号生成回路と、
上記減算信号をパルス波の周期の整数倍の時間分だけ遅延させる遅延回路と、
上記アンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角度を計算するエレベーション角算出手段と、
当該エレベーション角度に基づいて上記観測方向における固定物に基づく加算信号と減算信号との位相差を減少させるように加算信号あるいは減算信号の一方の位相を補償する位相補償回路と、
位相補償後に、遅延後の減算信号と上記加算信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の検出信号として出力する差分演算回路と、
上記アンテナ台を3軸方向に回転させて、上記移動プラットフォームの移動方向に対する観測方向の俯角に比べて、上記アンテナの指向方向に対する当該観測方向の俯角が小さくなるように上記アンテナ台の位置決め制御を行なう多軸制御手段とを備え、
上記振幅調整回路は、下記式35より得られる係数kに基づいて差分信号の振幅を補償することを特徴とする移動観測用レーダ装置。
k=(2PRI×u/B)sinθ(cosφ+sinφtanΔφ0)・・・式35
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Bはモノパルス送受信アンテナの2つの受信口の間のベースライン長、
uは移動プラットフォームの移動速度、
θは移動プラットフォームの移動方向に対するアンテナの指向方向のスクイント角、
φは移動プラットフォームの移動方向に対するアンテナの指向方向の俯角、
Δφ0はアンテナの指向方向に対する観測方向のエレベーション角である。
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