JP3788562B2 - ポリッシング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等のポリッシング対象物を平坦かつ鏡面状に研磨するポリッシング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスの高集積化が進むにつれて回路の配線が微細化し、配線間距離もより狭くなりつつある。特に線幅が0.5μm以下の光リソグラフィの場合、許容される焦点深度が浅くなるためステッパーの結像面の平坦度を必要とする。そこで、半導体ウエハの表面を平坦化することが必要となるが、この平坦化法の1手段として化学機械研磨(CMP)が採用されている。
【0003】
図6は、従来のCMPを行なうポリッシング装置の一例の主要部を示す図である。これは、上面に研磨布100を貼った回転するターンテーブル(研磨テーブル)102と、回転および押圧可能にポリッシング対象物である半導体ウエハ等の基板Wを保持するトップリング104と、研磨布100に砥液Qを供給する砥液供給ノズル106を備えている。トップリング104は駆動軸108に連結され、この駆動軸108は図示しないトップリングヘッドにエアシリンダを介して上下動可能に支持されている。
【0004】
トップリング104はその下面にポリウレタン等の弾性マット110を備えており、この弾性マット110を介して基板Wを保持するようになっている。トップリング104の外周縁部には、円筒状のガイドリング112が下端面をトップリング104の保持面より突出させて取り付けられており、その内側にポリッシング対象物である基板Wを保持する凹所を形成して基板Wが研磨中にトップリング104から外れないようになっている。
【0005】
このような構成の研磨装置において、基板Wをトップリング104の下面の弾性マット110の下部に保持し、ターンテーブル102上の研磨布100に基板Wをトップリング104によって押圧するとともに、ターンテーブル102およびトップリング104を回転させて研磨布100と基板Wを相対運動させて研磨する。砥液供給ノズル106からは、研磨布100の研磨面上に例えばアルカリ溶液に微粒子からなる砥粒を懸濁した砥液Qを供給し、アルカリによる化学的研磨作用と、砥粒による機械的研磨作用との複合作用によって基板Wを研磨する。
【0006】
ポリッシング終了時には、基板Wと研磨布100の間に砥液Qが含まれているので、これらを面に直交する方向に離そうとすると、基板Wと研磨面間に作用する表面張力に対抗するための多大の力が必要となる上、基板Wがトップリング104から離脱する可能性もある。そこで、研磨テーブル102の回転を停止させてから、あるいは回転中に、トップリング104を保持するアームを揺動して、トップリング104を回転させながら研磨面上を這わせるように移動させる。そして、トップリング104で保持した基板Wの一部が研磨面からはみ出すオーバーハング位置まで平行移動させた後、トップリング104を上昇させて基板Wを研磨面から離脱させる。これにより、基板Wを研磨面から離脱させ、基板Wと研磨面との間に生じる表面張力による搬送精度の低下や作業の不安定化を防止するようにしている。
【0007】
上記のようなポリッシング装置においては、自転する研磨テーブル102により研磨を行うものであり、回転中心では変位がなく、研磨が行われない。従って、中心を外れたところで研磨を行うために、研磨テーブル102の大きさは、基板の直径の少なくとも2倍以上の直径を有するように設定されている。このため、研磨テーブルが大きな面積を占有して、ポリッシング装置自体が大型化してしまうとともに、設備コストも大きくなる。この欠点は、基板の大型化の傾向に伴って一層顕著になる。
【0008】
そこで、上記のようなポリッシング装置に替わって、或いはこれと併用して、研磨テーブルが円軌道に沿って循環並進運動(スクロール運動)を行うポリッシング装置の採用が考えられる。この場合は、研磨面がどの点をとっても全て同じ運動を行うので、この大きさは、スクロール動作の直径が小さければポリッシング対象物である基板とほぼ同じ大きさでよいことになる。
【0009】
また、上記のような従来の方法では、研磨布が弾性を有するためにポリッシングの際に容易に変形し、基板W上の配線密度が低い場合には、絶縁層を凹状に研磨して、加工後に基板表面上のうねりが生じる、あるいは、基板面上にある段差の解消に時間を要するという問題がある。このため、例えば、シリカ等の砥粒をバインダを用いて結合させて平板状に加工した砥石を用いて、これを研磨テーブル上に貼設し、トップリング104に保持された半導体ウエハWを押圧、摺動することにより研磨を行う方法が提案されている。これにより、砥石とウエハの摺動に伴い、バインダが崩壊あるいは溶解して砥粒を生成しつつ研磨が行われる。
【0010】
このような研磨方法によれば、砥石は研磨布と比較して硬質であるため、加工後に基板表面上のうねりが生じるという問題点が解消される。また、砥粒を多量に含むスラリー状の砥液を用いないため、その処理が不要であり、稼動コストを低下させるとともに、環境の維持も容易であるという利点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の自転する研磨テーブルでは、テーブル自体の中心は移動しないので、トップリングを保持するアームを一定角度揺動すれば、基板は研磨テーブルに対して一定のオーバーハング状態となる。しかしながら、上記のような円に沿って循環並進運動を行う研磨テーブルでは、研磨終了時の研磨テーブルの停止位置が一定ではない。従って、トップリングをオーバーハング位置に移動させても、基板と研磨面との接触面積が一定とならず、トップリングを上昇させて基板を研磨面から離脱させる際に基板と研磨面との間に生じる表面張力が変化して、搬送不能となったり、基板の脱落や割れ、更にはトップリングの傾きによるスクラッチを発生させるという問題があった。このことは、研磨テーブルが循環移動するような方式のポリッシング装置でも同様である。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みて為されたもので、ポリッシングの終了したポリッシング対象物を円滑に次工程に搬送することができるポリッシング装置を提供することを目的とする。
【0013】
【解題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、研磨面を有する研磨テーブルと、基板を保持する基板保持部材と、前記基板の被研磨面を前記研磨面に対して押圧する押圧機構と、前記基板と前記研磨面を相対的に循環移動させる循環移動機構とを備え、前記循環移動機構には、前記基板の被研磨面が前記研磨面に対して一定のオーバーハング状態となるように前記基板保持部材と前記研磨テーブルの停止位置を制御するオーバーハング制御手段が設けられていることを特徴とするポリッシング装置である。
【0014】
これにより、ポリッシング終了後の基板を研磨面から離脱させる時に、基板と研磨面との間に生じる表面張力を常に一定にし、基板の搬送を円滑に、かつ基板に余分の負荷を掛けることなく行なうことができる。ここで、オーバーハング状態とは、基板の被研磨面が研磨テーブルの研磨面に対してずれた状態、すなわち、はみ出した状態を言う。また、一定のオーバーハング状態とは、そのようなはみ出し量(オーバーハング量)が一定であることを言う。オーバーハング量としては、これが大きいほど接触面積が小さくなって表面張力が低下するので、離脱は容易となるが、基板保持部材の中心が研磨面のエッジに近づくと基板保持部材の姿勢が不安定になるので、50%程度が好適であり、最大でも基板保持部材の中心が研磨面のエッジを超えないようにする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記オーバーハング制御手段は、前記研磨テーブルを予め定めた一定位置で停止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のポリッシング装置である。前記研磨テーブルを予め定めた一定位置で停止すれば、基板保持部材も常に同じ位置に移動することによって一定のオーバーハング状態とすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記オーバーハング制御手段は、前記研磨テーブルの停止位置を検知し、その停止位置に対応して前記基板保持部材の位置を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のポリッシング装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1ないし図5は、本発明の1つの実施の形態のポリッシング装置を示すもので、このポリッシング装置は、図1に示すように、全体が長方形をなす床Fの一端側に研磨部2が配置され、他端側には、基板収納用カセット4a,4bを載置するロード・アンロードユニット4が設けられている。研磨部2とロード・アンロードユニット4との間には、2台の搬送ロボット6a,6bを有する搬送部6と洗浄機8a,8b及び反転機8cが配置されている。
【0018】
研磨部2には、研磨テーブル10と、この研磨テーブル10を挟む位置にトップリング装置12及びドレッシング装置14とが設けられ、研磨テーブル10の側方に、搬送ロボット6bと基板Wの授受を仲介するプッシャ15が設置されている。研磨テーブル10の上面には、研磨部材としての円板状の砥石16が固着され、この砥石16の表面に平坦な研磨面16aが形成されている。研磨テーブル10の下方には、例えば制御可能なサーボモータで構成された駆動モータ18が配置されている。なお、特に仕上げ研磨の場合は、研磨部材として従来のように砥石の代わりに研磨布を使用してもよい。
【0019】
駆動モータ18の上下方向に延びる駆動軸20の上端には該駆動軸20の軸心O1と偏心量"e"だけ偏心した位置に軸心O2を有する駆動ピン20aが設けられている。一方、研磨テーブル10の裏面中央には凹部10aが形成され、この凹部10aの内部に軸受22を介して駆動ピン20aが収容されている。なお、図示していないが、研磨テーブル10の支持機構には、研磨テーブル10が駆動ピン20aまわりに自転するのを防止するための機構が設けられている。
【0020】
これにより、駆動モータ18の駆動に伴う駆動軸20の回転によって、駆動ピン20aが偏心量"e"を半径とした円軌道を描き、研磨テーブル10は、自転することなく、偏心量"e"を半径とした公転運動である循環並進運動(スクロール運動)を行うようになっている。
【0021】
駆動モータ18には、エンコーダ24が装着され、研磨テーブル10の下方には、研磨テーブル10の原点位置を検出する原点センサ26が配置されている。そして、エンコーダ24及び原点センサ26からの信号は制御装置28に入力され、この制御装置28から駆動モータ18へ制御信号が出力され、これにより研磨テーブル10の停止位置が制御されるようになっている。
【0022】
トップリング装置12には、カバー30の内部を挿通する支持軸32が設けられ、この支持軸32の下端に基板Wを吸着保持しつつ該基板Wを研磨面16aに向けて所定の力で押し付ける略円盤状のトップリング34が取り付けられている。そして、カバー30の内部には、図示しないモータ、揺動アーム及び上下動シリンダが配置され、揺動アームの基端は上下方向に延びる回転自在な支柱36の上端に連結されているとともに、この揺動アームの自由端に支持軸32が上下動及び回転自在に支承されている。
【0023】
これによって、支柱36の回転によって揺動アームがカバー30と共に水平方向に揺動し、モータの駆動及び上下動シリンダの作動に伴って、支持軸32とトップリング34が一体となって回転及び上下動するようになっている。
【0024】
次に、このような構成のポリッシング装置の動作を図2,3及び5を参照して説明する。まず、プッシャ15上に載置された基板Wをトップリング34によって吸着保持し、揺動アームを介してトップリング34を研磨テーブル10の上方の支持軸32の軸心が駆動軸20の軸心O1に一致する位置まで移動させる。研磨テーブル10は、駆動モータ18の駆動により円軌跡を描く循環並進運動をしている。この状態で、図5(a)に示すように、基板Wを回転させながら下降させ、研磨テーブル10の研磨面16aに向けて押圧して、基板Wを研磨する。
【0025】
ポリッシングが終了した後、研磨テーブル10を一定位置に停止させるように、つまり、駆動ピン20aの軸心O2が駆動軸20の軸心O1に対して所定の方向に来た位置で停止させるように、駆動モータ18を制御する。これは例えば以下のようにして行なう。すなわち、研磨テーブル10の原点が原点センサ26を通過した時の位置を予め制御装置28に記憶しておく。そして、原点から停止位置までのエンコーダ24のパルス数を予め設定しておき、原点通過後にエンコーダ24から出力されるパルス数が設定値になったときに駆動モータ18を停止させる。
【0026】
次に、図5(b)に示すように、トップリング34を回転させつつ、揺動アームを予め定めた所定角度だけ揺動させ、トップリング34を、保持している基板Wの被研磨面を研磨面16aに摺動させつつ平行移動させ、図5(c)に示す所定のオーバーハング位置で停止させる。揺動アームを所定位置で停止させる方法も上述したものと基本的に同じである。
【0027】
このオーバーハング位置におけるオーバーハング量(基板Wの被研磨面のうち研磨面16aの表面から外方にはみ出す面積の割合)は、図5(c)を下方から見た図である図5(d)に示すように、約20〜50%程度であり、しかも基板Wの中心が研磨面16aの面上にある位置である。前述のように、この実施の形態では、研磨テーブル10の停止位置は常に一定であり、トップリング34の揺動距離も一定であるから、オーバーハング位置も常に一定になる。従って、センサを設けて研磨テーブルの停止位置をその都度検知し、これに基づいてトップリングの揺動量を決めるような複雑な工程を経ることなく、オーバーハング量を一定とすることができる。
【0028】
そして、図5(e)に示すように、トップリング34を回転させたまま上昇させて、基板Wを研磨面16aから離脱させる。このとき、オーバーハング量が一定なので、基板Wと研磨面16aとの間に生じる表面張力が一定となって、常に安定した離脱動作を行うことができる。その後、トップリング34の回転を停止させ、揺動アームを揺動させてトップリング34をプッシャ15の上方に移動し、ポリッシング終了後の基板Wをプッシャ15上に搬送する。
【0029】
なお、この実施の形態においては、基板と研磨テーブルどうしの離脱位置を一定としてオーバーハング量を一定にするようにした例を示しているが、ポリッシング終了時における研磨テーブルの停止位置を特に一定にすることなく、停止した位置を検知してから、この研磨テーブルの停止位置に合わせて、基板と研磨面との接触面積が一定となるようにオーバーハング位置にトップリングを移動するように制御しても良い。
【0030】
また、以上の説明では、トップリングに保持された基板と研磨テーブルの間の位置制御について説明したが、ドレッシング装置におけるドレッサ(ドレッシング工具)と研磨テーブルに対して同様の制御を行ってもよい。これにより、ドレッサが研磨テーブルから円滑に離脱し、砥石や研磨布が研磨テーブルから剥離する等の事故を防止することができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基板を研磨テーブルから離脱させる際の基板の研磨面に対するオーバーハング量を一定にすることにより、ポリッシングの終了したポリッシング対象物を搬送する作業を円滑に行なうことができ、基板や装置に無用の力が掛かったり、それによる事故の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のポリッシング装置の全体の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態のポリッシング装置の要部を示す斜視図である。
【図3】図2の研磨テーブルの平面図である。
【図4】図2のポリッシング装置の断面図である。
【図5】図2のポリッシング装置の動作の説明に付する斜視図である。
【図6】従来の研磨テーブルの断面図である。
【符号の説明】
10 研磨テーブル
12 トップリング装置
15 プッシャ
16 砥石
16a 研磨面
18 駆動モータ
20 駆動軸
20a 駆動ピン
22 軸受
24 エンコーダ
26 原点センサ
28 制御装置
34 トップリング
Claims (3)
- 研磨面を有する研磨テーブルと、
基板を保持する基板保持部材と、
前記基板の被研磨面を前記研磨面に対して押圧する押圧機構と、
前記基板と前記研磨面を相対的に循環移動させる循環移動機構とを備え、
前記循環移動機構には、前記基板の被研磨面が前記研磨面に対して一定のオーバーハング状態となるように前記基板保持部材と前記研磨テーブルの停止位置を制御するオーバーハング制御手段が設けられていることを特徴とするポリッシング装置。 - 前記オーバーハング制御手段は、前記研磨テーブルを予め定めた一定位置で停止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のポリッシング装置。
- 前記オーバーハング制御手段は、前記研磨テーブルの停止位置を検知し、その停止位置に対応して前記基板保持部材の位置を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のポリッシング装置。
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