JP3788386B2 - 発電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電機回転子に複数の界磁巻線が装備され、前記界磁巻線の異極間を電気的に接続する接続線を備えた発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のタービン発電機回転子の極間接続装置に界磁巻線の異極間を電気的に接続するのに採用されている板状の接続線は、特開昭49−105102号公報,特開昭50−4504号公報,特公昭62−10098号公報,特公昭62−31577号公報に記載のように、接続線の中央部に湾曲部を設けて界磁巻線間の相対的変位を吸収出来るように形成されている。
【0003】
そのため、各界磁巻線が回転子の周方向に熱膨張して各界磁巻線間の間隔が変化しても、接続線の湾曲部のたるみでその変化を吸収し断線することなく接続線の機能を維持できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、回転子の回転軸方向に各界磁巻線が熱膨張した際に、各界磁巻線ごとに熱膨張差が相違すると、その相違による接続線に働く無理な力を吸収しにくく接続線に変形を受ける。又、回転子の回転によって接続線には、運転中に大きな遠心力を受ける。そのため、タービン発電機の起動・停止に伴って、周方向及び軸方向の強制的な繰返し変形を受けている。
【0005】
そのため、接続線は、タービン発電機の起動停止回数の著しい増加により、接続線が無理な変形を受けてついには損傷する可能性があり、損傷した場合にはその補修に多大の時間と労力を費やすことになる。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、したがって、その目的とするところは、高頻度の起動停止回数で使用しても破断することの少ない、信頼性の高い発電機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、回転胴部、前記回転胴部に取付けられた複数の界磁巻線、及び隣接する前記界磁巻線の異極間を電気的に接続し且つ曲げられた屈曲部を有する導電体とを有する回転子を備え、各々の前記界磁巻線が周方向において前記回転子に形成された複数のスロットであって前記回転子の軸方向に延びる前記各スロット内に挿入されている発電機において、前記導電体は、前記屈曲部の先端が前記回転子の軸方向を向いて前記隣接する界磁巻線間に配置されている構成を発電機に採用したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。本発明の実施例であるタービン発電機は、図10に示すように、回転胴部1及び複数の界磁巻線4(タービン発電機の回転界磁巻線ともいう。)を有する回転子21と、回転子21を取り囲む固定子(図示せず。)を備えている。回転胴部1の表面部には、周方向に間隔を置いて複数のスロット(図示せず。)が形成されており、各スロットは回転子21の軸方向に延びている。各界磁巻線4は、回転体である回転胴部1に設けられた複数のスロットに挿入され、多数個のウェッジ2で保持されている。
【0009】
このようにして、タービン発電機は、回転子21に2極あるいは4極の界磁極を有しており、そしてこれらの界磁極は、N極,S極の異極が交互に配置され、それぞれ界磁巻線および界磁鉄心を備えている。
【0010】
また、この界磁巻線4の軸方向の端部には、界磁巻線が回転子の回転時の遠心力等によって飛び出さないように、リテイニングリング5,エンドスペーサ20やエンドリング6が取付けられている。そして互いに隣接するすなわち異極の界磁巻線4同士は、それぞれの界磁巻線の最上層のターン部に、図1,図2及び図11に示すようにいずれかの導電体12の両端部を銀ろう(あるいは半田付けなど)で冶金的に取付けることによって電気的且つ機械的に接続されている。
【0011】
その導電体12は、通電電流によって過熱することが少ないように、かつ、界磁巻線の伸縮に追従するような可撓性を持たせるために、導電性の良い銅あるいは銅合金の板で構成されている。このように、タービン発電機の回転界磁巻線の極間接続装置には、導電性の良い金属板構造でフレキシブルとなした導電体12を有する。
【0012】
導電体12の部分の構造を図1,図2及び図11を用いて詳細に説明する。隣接する両方の界磁巻線4の最上層部に、回転子21の周方向を向くように銅板製の連結板18がそれぞれ取付けられ、隣接する界磁巻線4間に形成される間隙側に張り出している。一枚の銅板で構成される導電体12の両端部の側面が図1に示すように各連結板18の張り出し部に銀ろう等で接合されている。隣接する界磁巻線4の異極間は導電体12,連結板18によって電気的に及び機械的に接続される。連結板18も導電体である。
【0013】
導電体12は、連結板18が取付けられて隣接している界磁巻線4間に配置されており、途中部分が円弧状に折り曲げられて曲面15を形成した円弧形状部11を有する。その円弧形状部11は屈曲部であり、円弧形状部11の長手方向、即ち折り目方向19は回転子21の回転によって導電体12に生じる遠心力の遠心力方向14、即ち回転子21の半径方向に沿って配置される。
【0014】
このようにすることにより、円弧形状部11で折り曲げられた導電体12は、連結板18より界磁巻線4の長手方向17、即ち回転子21の軸方向に向かって延びており、円弧形状部11の先端が回転子21の軸方向を向いている。導電体12の界磁巻線4と対向する側面の大部分は、連結板18より回転子21の軸心側に位置し、導電体12の板幅の方向は回転子21の半径方向となっている。ちなみに、前述した従来例は、円弧形状部11の先端が回転子21の半径方向を向くように界磁巻線4に接合されている。
【0015】
このような導電体12は異極の界磁巻線4間の狭い隙間に配置されており、導電体12のフレキシブル部の方向16は、界磁巻線4の長手方向17と平行で、かつ遠心力方向14と直角方向に設定できる。さらに、円弧形状部11が形成されたフレキシブル部の銅板が遠心力方向でかつ直角に形成されていると、運転時の遠心力に対する導電体12の断面係数が大きくなり、遠心力に対する剛性が増し、座屈による変形が皆無になる。
【0016】
すなわち従来のような遠心力方向14への折れ曲がりの発生が抑制される。さらに、円弧形状部11が設けられているので異極の界磁巻線4の長手方向17と直交する方向13の伸縮の繰返しを十分吸収されるようになる。さらに、この実施例の場合、導電体12に円弧形状部11を設けているので、異極の界磁巻線4の長手方向17の伸縮の繰返しも十分吸収することができる。したがって、遠心力による座屈変形による折れ曲がりの発生が抑制されて、繰返し変形に対する疲労強度が向上する。
【0017】
図3および図4には導電体の他の第1実施例が示されている。これらの図から明らかなように、本実施例の場合は、導電体12の2箇所を円弧状に折り曲げて両端部に円弧形状部11を設けているので、異極の界磁巻線4の長手方向17の大きな伸縮の繰返しも十分吸収することができる。その他の構成や作用は前述の図1,図2,図10,図11に示す実施例と同じである。
【0018】
図5および図6には導電体の他の第2実施例が示されている。これらの図から明らかなように、本実施例の場合は、導電体12の2箇所をU字型の円弧状に折り曲げて両端部に円弧形状部11を設けている。異極の界磁巻線4の長手方向17の伸縮の繰返しが小さいことが明らかな場合には、円弧形状部11をU字型の円弧状に曲げた形状でも伸縮の繰返しを吸収することができる。その他の構成や作用は前述の図1,図2,図10,図11に示す実施例と同じである。
【0019】
図7には導電体の他の第3実施例が、図8には導電体の他の第4実施例が示されている。これらの図から明らかなように、第3実施例の場合は、前述の図1,図2,図10,図11に示す実施例の導電体12の銅板を2枚の同じ厚さの銅板22,23を重ねて構成したものであり、合せた厚さは、前述の図1,図2,図10,図11に示す実施例の導電体12の1枚ものの銅板の厚さと同じである。第4実施例の場合は、他の第1実施例の導電体12の銅板を2枚の同じ厚さの銅板22,23を重ねて構成したものであり、合せた厚さは、他の第1実施例に示した1枚ものの銅板の厚さと同じである。
【0020】
導電体12に係る第3,4実施例のいずれでも二枚の銅板22,23の一枚毎の厚みが他の実施例の導電体の銅板の厚さの半分になったことにより、界磁巻線4の長手方向17と直交する方向13および界磁巻線4の長手方向17の伸縮の繰返しにおいて、1枚ものの場合に比べて銅板22,23に生じるひずみが小さくなるので疲労寿命がより延伸する。その他の構成や作用は第3実施例は前述の図1,図2,図10,図11に示す実施例と同じで、第4実施例は前述の第1実施例と同じある。
【0021】
以上の実施例に関し、その疲労強度特性を検討した結果は次のとおりである。即ち、図9は接続線単品に実機と同じように周方向(接続線の長手方向)と軸方向(接続線の直角方向)に同時に繰返し変位を与える2軸疲労試験を行った結果である。この図は繰返し等価変位量と疲労き裂発生回数との関係で示されている。なお、等価変位量は、周方向変位量と軸方向変位量の相乗平均として求めたものである。同図から明らかなように、1枚の銅板からなる本発明の実施例の疲労強度特性線Bの方が、従来品の疲労強度特性線Cよりも約4倍以上も疲労寿命が長いことがわかる。さらに、1枚板の場合の半分厚さの2枚の銅板からなる本発明の実施例の疲労強度特性線Aの方は、従来品の疲労強度特性線Cよりも10倍以上も疲労寿命が優れていることがわかる。
【0022】
上述のように本発明の各実施例は、隣接する最外層の異極の界磁巻線4間を接続する導電体12の、その湾曲部の湾曲方向を異極の界磁巻線4の軸方向、即ち長手方向17と平行で、かつ、回転子21が回転した際の遠心力方向14と直角にするとともに、かつ、円弧形状部11を設け、さらに、円弧形状部11に対して直角方向に突出した銅板製の連結板18部を有し、この連結板18に界磁巻線4と導電体12とをろう付けで冶金的に接合し、電気的にかつ機械的に結合するようにした。そのため、遠心力方向14に対する導電体12の断面係数が大きくなり、遠心力に対する剛性が増し、座屈による変形が皆無になる。すなわち、遠心力方向14への折れ曲がりの発生が抑制される。折れ曲がりがなくなり、大きな伸縮の繰返しも十分吸収することができる。さらに、繰返し変位に対する疲労強度が大となって、高頻度の起動停止回数で使用しても破断することの少ない、信頼性の高いタービン発電機回転子の極間接続装置を得ることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、発電機の運転時の遠心力や異極の界磁巻線間の相対変位をうけても極間接続装置部分が損傷しにくい発電機が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるタービン発電機の異極界磁巻線の極間接続装置の上平面図である。
【図2】図1の立面図である。
【図3】導電体の他の第1実施例を採用した本発明の実施例によるタービン発電機の異極界磁巻線の極間接続装置の上平面図である。
【図4】図3の立面図である。
【図5】導電体の他の第2実施例を採用した本発明の実施例によるタービン発電機の異極界磁巻線の極間接続装置を示す上平面図である。
【図6】図5の立面図である。
【図7】導電体の他の第3実施例を採用した本発明の実施例によるタービン発電機の異極界磁巻線の極間接続装置を示す上平面図である。
【図8】導電体の他の第4実施例を採用した本発明の実施例によるタービン発電機の異極界磁巻線の極間接続装置を示す上平面図である。
【図9】タービン発電機の異極界磁巻線の極間接続装置の従来例と本発明の実施例とに関する繰返し変位量と疲労き裂発生寿命の関係を示す特性グラフ図である。
【図10】本発明のタービン発電機の回転子部分の一部断面表示による斜視図である。
【図11】図10の極間接続装置周辺を拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
1…タービン発電機の回転子の回転胴部、2…ウェッジ、4…界磁巻線、5…リテイニングリング、6…エンドリング、11…円弧形状部、12…導電体、13…界磁巻線4の長手方向17と直交する方向、14…遠心力方向、15…曲面、17…界磁巻線4の長手方向、18…連結板、19…折り目方向、20…エンドスペーサ、21…回転子、22,23…銅板。

Claims (4)

  1. 回転胴部、前記回転胴部に取付けられた複数の界磁巻線、及び隣接する前記界磁巻線の異極間を電気的に接続する導電体を有する回転子を備え、各々の前記界磁巻線が周方向において前記回転子に形成された複数のスロットであって前記回転子の軸方向に延びる前記各スロット内に挿入されている発電機において、
    前記導電体は、前記隣接する界磁巻線間に配置されている連結板と、前記連結板に隣接して設置され先端が前記回転子の軸方向を向いている屈曲部と、有することを特徴とする発電機。
  2. 請求項1において、前記屈曲部には曲面が形成されていることを特徴とする発電機。
  3. 請求項1又は請求項2において、前記導電体は、前記屈曲部が複数存在することを特徴とする発電機。
  4. 請求項1又は請求項2又は請求項3において、前記導電体の屈曲部は、複数枚の導電性の板を重ねて構成したことを特徴とした発電機。
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