JP3786742B2 - シングルレバー水栓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシングルレバー水栓に関するもので、より詳しくは1本のレバー操作によって湯水を混合する水栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、1本のレバーで湯水の混合量及び混合比を調節するシングルレバー水栓として図14及び図15に示すものが特開平6−213340号公報で知られている。
【0003】
この従来の技術のシングルレバー水栓における止水及び通水操作を行う概略構造は、レバー1を図14の止水状態においた場合には、固定弁板2に対して可動弁板3が図14の位置にあり、可動弁板3が給湯口5及び給水口6(該両口5,6は図の紙面の表裏方向に夫々独立して形成されている)上に位置して止水され、また、図15のようにレバー1を下げて球面部7aを中心として軸7を図の時計方向に回転すると、作動ブロック8が図15のように左方へ移動し、これと共に可動弁板3も同調して左方へ移動し、可動弁板3が固定弁板2の給湯口5及び給水口6と離間して通水が行われるようになっている。
【0004】
また、レバー1を、図15の状態において、その軸7の軸心を中心として紙面の表裏方向に正逆回転すると、給湯口5と給水口6の開口割合が変更し、湯水の混合比を調節できるようになっている。
【0005】
そして、止水時の不快なウォーターハンマーの発生と通水開始時点での急激な湯や水の吐出とを防止するために次のような構造になっている。
図14及び図15において、10はピストンで、一端側がガイド環11に形成した隔壁12に嵌合されて不動に備えられている。13は上記作動ブロック8に形成したボアで、その一側端が開口され、該ボア13が上記ピストン10に摺動可能に嵌合されており、上記作動ブロック8が図14のように右方(止水方向)へ移動した場合にはボア13の容積が縮小し、図15のように左方(通水方向)へ移動した場合にはボア13の容積が拡大するようになっている。
【0006】
14は小径の流路孔、15は該流路孔14部に設けた弾性材からなる傘型弁で、図14のように作動ブロック8が止水方向に移動してボア13内の容積が縮小される場合にはボア13内の水圧によって閉弁し、図15のように作動ブロック8が通水方向に移動してボア13内の容積が拡大される場合にはボア13の負圧と流路孔14からの湯水の流入によって開弁するようになっている。
【0007】
また、ボア13には小径の排出孔16が形成されており、上記のようにボア13の容積が縮小する止水時に、ボア13内の湯水が排出孔16より流出するようになっている。
【0008】
以上の構成から、レバー1の通水操作時にはボア13内への給水が速やかに行われ、また、レバー1の止水時にはボア13内の湯水が小径の排出孔16より排出するときの抵抗により、その止水動作を遅くすることができ、ウォーターハンマーの発生が防止される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術におけるウォーターハンマーの発生を防止する部分の構造として、上記のように傘型弁15の軸部周りに複数の小径の流路孔14を形成するものにおいては、この1個の流路孔14の直径は作動上極めて小径に(実験によればφ0.5以下)に形成する必要があり、この流路孔14に異物が詰まりやすく、レバーの操作不能(ロック状態)が生じるおそれがある。
【0010】
また、上記の流通孔16の代わりに、上記ボアの内面又はピストンの外面に排出溝を形成して、ピストンに嵌合したOリングを上記排出溝に沿って摺動させるようにした構造が上記の公報に記載されているが、これらの構造においては、夫々排出溝の開口角部でOリングが損傷したり切断されるおそれがある上に排出溝にOリングの一部が喰い込んでその排水溝がつぶれ、レバーの操作不能(ロック状態)を招くおそれもある。
【0011】
そこで本発明は、上記のようなレバーの通水操作時にはレバーをスムースに操作でき、止水時にはウォーターハンマーの発生を防止する構造において、レバーのロック状態やリングの損傷の発生を防止できるなどの種々な問題を解決できるシングルレバー水栓を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために第1の発明は、可動弁板を備えたシリンダをピストンに摺動可能に嵌合し、レバーの通水操作により上記シリンダをピストンと反対の側へ移動し、レバーの止水操作によりシリンダをピストン側へ移動させるものにおいて、
ピストン(36)におけるシリンダ(31)内への先部に通水溝(38)をピストン(36)の全周に亘って形成し、該通水溝(38)内にOリング(41)を備え、該Oリング(41)を、その外周面(41a)が上記シリンダ(31)に圧接し、内面(41b)が上記通水溝(38)の底面(38a)より離間し、かつ上記通水溝(38)の溝幅(L1 )より短い幅(L2 )にして形成し、上記ピストン(36)の外周部にはシリンダの内外を連通する流路(37)を形成し、上記通水溝(38)を形成する先端壁(39)には、該先端壁(39)に上記Oリング(41)が接触した場合にもシリンダ(31)内と通水溝(38)とを連通する通水口(40)を形成し、Oリング(41)と通水溝(38)における通水操作時に相互に接する面のいずれか一方に絞り用溝(46,46a)をピストン(36)の半径方向に形成したことを特徴とするものである。
【0013】
本発明においては、図1の止水状態からレバー(29)を若干通水方向に操作すると、シリンダ(31)が固定のピストン(36)と反対側である図1の左方へ移動し、また同時にOリング(41)もシリンダ(31)と共に左方へ移動して図2及び図4の状態になる。これにより、シリンダ外の通水室(26a)とシリンダ(31)内が比較的流通断面の大きいピストン外周の流路(37)、通水溝(38)、通水口(40)の各通路で連通される。そのため、このレバー(29)の通水操作時は、通水室(26a)内からシリンダ(31)内へスムースに吸水され、そのレバー(29)の通水操作が軽くなる。
【0014】
また、上記図2の通水状態から、レバー(29)を止水方向に操作すると、シリンダ(31)が固定のピストン(36)側である図2の右方へ移動し、また同時にOリング(41)もシリンダと共に右方へ移動し、Oリング(41)が図1及び図5のように通水溝(38)の図示右壁に密着する。これによりシリンダ(31)内とピストン外の通水室(26a)とを連通する流路は絞り用溝(46)で絞られ、その流通抵抗が大きくなってレバー(26)の止水操作が重くなる。そのため、ウォーターハンマーが防止される。
【0015】
しかも本発明においては、通水及び止水操作時におけるOリング(41)の移動が、前記従来のように排水溝(通水溝)と摺動する構造ではなく、シリンダ(31)の平滑面を摺動するため、従来のようなOリング(41)の損傷を防止できる。
【0016】
請求項2記載の第2の発明は、上記絞り用溝(46)に位置してリングを切断したことを特徴とするものである。
本発明においては、レバー(29)を急止水操作してシリンダ(31)の内圧が急上昇した場合には、その内圧によりリング(41)が切断部より開き、内圧を速やかに逃がすことができる。そのため、急止水時においてレバー(29)がロック状態に陥ることを防止できる。また、絞り用溝(46)(52)に異物がかみ込んだ場合も、リング(41)(50)が上記のように開くことにより、その異物も容易に除去される。
【0017】
請求項3記載の第3の発明は、可動弁板を備えたシリンダをピストンに摺動可能に嵌合し、レバーの通水操作により上記シリンダをピストンと反対の側へ移動し、レバーの止水操作によりシリンダをピストン側へ移動させるものにおいて、ピストン(36)におけるシリンダ内への先部に通水溝(38)をピストン(36)の全周に亘って形成し、該通水溝(38)内に樹脂リング(50)(60)(70)を備え、該樹脂リング(50)(60)(70)は、リング(50)(60)(70)の軸方向に平行又は、リング(50)(60)(70)の軸方向に傾斜して切断されており、該樹脂リング(50)(60)(70)を、その外周面(50a)(60a)(70a)が上記シリンダ(31)に接触し、内面(50b)(60b)(70b)が上記通水溝(38)の底面(38a)より離間し、かつ上記通水溝(38)の溝幅(L1 )より短い幅(L2 )にして形成し、上記ピストン(36)の外周部にはシリンダの内外を連通する流路(37)を形成し、上記通水溝(38)を形成する先端壁(39)には、該先端壁(39)に上記樹脂リング(50)(60)(70)が接触した場合にもシリンダ(31)内と通水溝(38)とを連通する通水口(40)を形成したことを特徴とするものである。
【0018】
本第3の発明においては、上記第1の発明における絞り用溝(46)がなく樹脂リング(50)(60)(70)に設けられた切断部のみであるが、この切断部でシリンダ(31)内とピストン外の通水室(26a)との間が絞られ第1の発明における絞り用溝(46)と同様に作用する。他は、上記第1の発明と同様の作用であり、更に、ゴム性のOリングに比べて摩擦抵抗の小さい樹脂でリング(50)(60)(70)を形成することにより、シリンダ(31)との摩擦力を、そのリング(50)(60)(70)を通水溝(38)内で所定位置へ移動させるに十分な小さな値にして、レバーの操作性を向上し、かつそのリング(50)(60)(70)の劣化を少なくして耐久性の向上を図ることができる。
【0019】
請求項4記載の第4の発明は、上記リング(41)(50)(60)(70)の内面(41b)(50b)(60b)(70b)の形状を、ピストンの軸方向に平行する平面にしたことを特徴とするものである。
【0020】
本発明のように内面(41b)(50b)(60b)(70b)を平面に形成すると、リングを仮に円形断面にしたものに比べて、構造を大型化することなく通水溝(38)の底面(38a)とリング間及び先端壁(39)に形成した流通路(40)とリングとの間の各々の隙間を大きくすることが容易にでき、通水操作時の流通抵抗を少なくしてレバー(29)の通水操作をスムースに行うことに有効である。
【0021】
請求項5記載の第5の発明は、上記第1〜4のいずれかに記載の発明におけるピストン(36)において、そのピストン(36)におけるシリンダ(31)への嵌合側と反対の側に、鍔部(36a)をピストン(36)と一体的に設け、該鍔部(36a)を、上記シリンダ(31)を摺動可能に案内するガイド環(28)と、該ガイド環(28)の外周に嵌着されるカバー(27)とで挟持的に固定支持したことを特徴とするものである。
【0022】
本発明においては、カバー(27)とガイド環(28)を嵌合して水栓を組み付けることにより、同時にピストン(36)の位置決めと固定が可能になる。したがて、ピストン固定用の特別な部材を設ける必要がなく、更にピストンの固定支持構造も簡単になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1乃至図6に示す本発明の第1実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
図1は本発明のシングルレバー水栓に組み込む弁カートリッジ部を示し、この弁カートリッジは、前記従来構造と同様にケーシング19に組み込まれるものである。
【0025】
図1において、20は接続座で、これに給湯口21及び給水口22が図3に示すように形成されている。23は接続座20に固着された固定弁板で、これには上記給湯口21に連通する給湯口24と上記給水口22に連通する給水口25が夫々固定弁板23の表裏方向に貫通して形成されている。
【0026】
26はハウジングで、その下部に上記接続座20を固設し、上部にカバー27が一体形成され内部に通水室26aが形成されている。該ハウジング26内の上部にはガイド環28が平面的に回転可能に収納されている。
【0027】
29はレバーで、その軸部29aに形成した球面部30が上記カバー27及びガイド環28に形成した球面部に摺動可能に嵌合されており、レバー29を上下動することにより軸部29aが球面部30を中心として前後方向C,Dに倒れ、レバー29を平面回転することにより軸部29が平面回転するようになっている。
【0028】
31は上記通水室26a内に設けたシリンダで、その上部に前後方向に案内突部31aが形成され、これが上記ガイド環28の前後方向に形成した案内溝28aに摺動可能に嵌合して、前後方向に摺動可能に備えられている。更に、該シリンダ31は上記ガイド環28とともに平面回転するようになっている。
【0029】
そして、上記レバー29における球面部30の下部に突設した係合部32が上記シリンダ31に形成した凹部33に嵌合され、レバー29を止水状態である上方Aに上げると、シリンダ31が図1のように右方へ前進し、レバー29を下方Bへ下げると、シリンダ31が図2のように左方へ移動し、レバー29を平面的に正逆回転するとシリンダ31が同方向へ正逆回転するようになっている。
【0030】
34はシリンダ31の下面に固着した可動弁板で、上記固定弁板23上に摺動可能に接しており、シリンダ31と同調して前後方向及び平面回転するようになっている。
【0031】
以上の構成から、レバー29を図1の止水状態におくと、シリンダ31とともに可動弁板34が最前進して、可動弁板34により固定弁板23の給湯口24と給水口25が共に全閉されて湯水が止水される。
【0032】
そして、図1の状態からレバー29を下げると、その下げ量に比例してシリンダ31とともに可動弁板34が図1の左方へ後退し固定弁板23の給湯口24と給水口25の開口量が増大し湯水の通水量が増大する。
【0033】
そして、レバー29を最下降すると図2に示すようにシリンダ31とともに可動弁板34が最後退し、固定弁板23の給湯口24と給水口25が共に全開され、湯水の通水量が最大になる。
【0034】
また、レバー29を図2の通水状態で右方又は左方へ平面回転すると可動弁板34による給湯口24と給水口25の開口比が変化し、湯水の混合割合を調節できる。
【0035】
次にレバーの通水操作をスムースに行い、かつ止水時におけるウォーターハンマーを防止する構造について説明する。
35は上記シリンダ31に形成したボアで、前側が開口し奥部が詰まった有底状に形成されている。
【0036】
36は前後方向に配置されたピストンで、その基部にピストン主体部36bより大径の鍔部36aが一体形成されている。また、上記ガイド環28には、上記ピストン主体部36bがほぼ一ぱいに嵌合する内径であって逆U字状の嵌合穴28bと、該嵌合穴28bの外側に位置して上記鍔部36aがほぼ一ぱいに嵌合する内径の係止穴28cが、夫々下方を開口して形成され、これらで支持部を形成している。更に、上記係止穴28cの深さは上記鍔部36aの厚み(ピストン36の軸方向の厚み)とほぼ同等に形成されている。
【0037】
そして、ピストン36の鍔部36aを係止穴28cに嵌合し、ガイド環28の外周面に、カバー27のハウジング26を嵌着することにより、ガイド環28とハウジング26の内面により鍔部36aが挟持的に固定され、その結果、ピストン36全体が固定状態で支持される。
【0038】
このような支持状態でそのピストンの主体部36bが上記ボア35内に摺動可能に嵌合している。
そのため、カバー27とガイド環28を嵌合して水栓を組み付けることにより、同時にピストン36の位置決めと固定が可能になる。したがって、、ピストン固定用の特別な部材を設ける必要がなく、更にピストンの固定支持構造も簡単になる。
【0039】
上記ピストン36の主体部36bの外面には軸方向に溝状の通水路37が全長に亘って形成されている。該通水路37は、ピストン36の周方向に等間隔で4本形成されている。尚、ピストン36の主体部外周面とシリンダ31の内面間には若干の隙間D1 が形成されている。
【0040】
上記ピストン36の先部には、上記の通水路37の深さより深い溝でかつピストン36の全周に亘る環状の通水溝38が形成されている。
更に上記ピストン36における通水溝38を形成する先端壁39には、上記通水溝38と略同等の深さを有する切欠溝状の通水口40が形成されている。該通水口40は周方向に等間隔で4個形成されている。
【0041】
41はゴム等の弾性材料で環状に形成されたOリングで、上記の通水溝38内に位置して設けられている。該Oリング41の形状を図6に示す。該Oリング41の半径方向の断面形状は図6(c)に示すように外側面41aが略半円形状に形成され内面41bが上記ピストン36の軸芯と平行する平面に形成された、略かまぼこ状に形成されている。また、該Oリング41の外径R1 は上記シリンダ31におけるボア35の径より若干大径に形成されて、シリンダ31に圧接されている。更に内面41bの内径R2 は、上記ピストン36に形成した通水溝38の底面38a及び通水口40の底面40aの径より大径に設定されている。
【0042】
上記のように内面41bを平面に形成することにより、図4に示すように、Oリング41と通水溝38間に大きな隙間D2 を有する通水部42が形成され、Oリング41と通水口40間に大きな隙間D3 を有する通水部43が形成されるようになっている。
【0043】
更に、上記Oリング41は図6(a)(b)に示すように切り込み45により切断された有端状に形成されているとともにこの切り込み45部は相互に接触している。更に、上記ピストン36の主体部36bと対向する側面には、上記切り込み45から主体部36bに向かって拡開するV状の絞り用溝46が径方向に貫通して形成されている。該絞り用溝46の拡開角θ(図6(b)参照)は、その溝46の製造上から15°以上で、かつOリング41が上記ピストン36の主体部36aに圧接した場合に、溝46が潰れることを防止する上から60°以下に形成されている。該絞り用溝46の流通面積は、止水作動時にφ0.5相当以下になるように設定されている。
【0044】
尚、該絞り用溝46はV溝に限ることなくU溝でもよい。
また、図4に示すように上記通水溝38におけるピストン36の軸方向の幅L1 は、上記Oリング41における同方向への幅L2 よりも大きく形成されており、Oリング41が上記ピストン36における先部壁39へ接触した場合に、反対側において主体部36aとの間に十分な通水空隙D4 が形成されるようになっている。
【0045】
次に上記シリンダ31とピストン36とOリング41の作動について説明する。
図1の止水状態からレバー29を通水方向(矢印B方向)に若干押し下げると、シリンダ31がピストン36と反対側(図1(b)の矢印E方向)へ移動し、Oリング41の外面がシリンダ31に若干押し潰された状態で圧接していることにより、その摩擦抵抗によってOリング41もシリンダ31に追従して通水溝38内を矢印E方向へ移動し、図2に示すように、Oリング41の左側面が通水溝38の左側面、すなわちピストン36における先部壁39の内面に密着する。
【0046】
これにより、図2及び図4に示すように、通水室26aとボア35間が、通水路37、通水溝38、通水部42、通水部43によって連通される。これら通水路37、通水溝38、通水部42,43は、夫々周方向の全周又は複数形成されているため夫々の総流通面積が大きい。
【0047】
そして、更にレバー29を通水方向に押し下げると、Oリング41が通水溝38の左側面に密着停止した状態で、シリンダ31がOリング41と摺動して更に左方(矢印E方向)に移動する。
【0048】
そのため、このレバー29の通水方向への操作によるシリンダ31の左方への移動時には、通水室26aからボア35内にスムースに給水されることになり、レバー29の通水操作が軽くなる。
【0049】
次に上記の通水状態からレバー29を止水方向に操作する場合について説明する。
図2の状態からレバー29を矢印A方向へ若干押し上げると、シリンダ31がピストン36側(図2(b)の矢印F方向側)へ移動し、Oリング41も追従して通水溝38内を矢印F方向へ移動し、図1に示すように、Oリング41の右側面が通水溝38の右側面、すなわちピストン36における主体部36aに密着する。この密着状態では、通水路37内とボア35の流通路間が、上記通水路37、通水溝38、通水部42,43の夫々の総流通面積より小さい流通面積の絞り用溝46で絞られる。
【0050】
そして、更にレバー29を止水方向(矢印A方向)に押し上げると、Oリング41が通水溝38の右側面に密着停止した状態で、シリンダ31がOリング41と摺動して更に右方(矢印F方向)に移動する。
【0051】
そのため、レバー29の止水方向への押し上げ操作によるシリンダ31の右方への移動時には、図5に示すように、上記ボア35内から通水室26aへは絞り用溝46を通じて少量だけ排水されることになり、この絞り用溝46が通路抵抗となり、ボア35内の内圧が上昇し、その抵抗によってレバー29の止水操作が重くなる。したがって、ウォーターハンマーを防止できる。
【0052】
尚、絞り用溝46と通水路37との位相がずれた場合にも、ピストン36とシリンダ31との隙間D1 と絞り用溝46とが連通しているため、上記の流通は確保される。
【0053】
また、レバー29を急止水操作してボア35内の圧力が急上昇した場合には、その内圧によってOリング41の切り込み45部が開いて絞り用溝46部が大きく開き、ボア35内の圧力を速やかに逃がすことができる。そのため、急止水時においてレバー29が操作不能、すなわちロック状態に陥ることを防止できる。また、絞り用溝46内に異物がかみ込んだ場合にも、ボア35内の上昇圧力によってOリング41の切り込み45部が開き、レバー29がロック状態に陥ることを防止できるとともに切り込み45部の開きによりかみ込んだ異物も除かれる。
【0054】
また、上記の通水及び止水操作において、Oリング41は、平滑なシリンダ31の面を摺動するのみであるため、Oリング41が損傷したり切断することはない。
【0055】
尚、上記Oリング41を、上記のような絞り用溝46は形成するが上記切り込み45は形成しない無端状リングにしてもよい。この場合は、上記のような切り込み45による作用、効果はない。
【0056】
図7は本発明の第2実施例を示す。
本第2実施例は、上記第1実施例におけるOリング41の絞り用溝46を形成することなく、ピストン36の主体部36a側に絞り用溝46aを形成したものである。この絞り用溝46aは、上記通水溝38側面が拡開するV状に形成され、かつ上記通水路37に位置してその通水路37と連通して形成され、更に、ピストン36の主体部36aの外周面から上記通水溝38の底面38a部に亘って形成されている。尚、該絞り用溝46aは1個である。その他の構造は上記第1実施例と同様の構造であるため、同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0057】
本第2実施例においても絞り用溝46aの存在により上記第1実施例と同様に通水時においてはレバー29をスムースに通水操作ができ、また止水時においてはウォーターハンマーを防止できる。
【0058】
更に、Oリング41の切損も上記と同様に防止できる。
尚、本第2実施例においては、上記第1実施例のOリング41の切り込み45による作用、効果は発揮されない。
【0059】
図8乃至図10は本発明の第3実施例を示す。
本実施例は、上記第1実施例におけるOリング41の代わりに樹脂製のリング70を使用したものである。
【0060】
本実施例における樹脂製のリング70は図10に示すような形状に形成され、そのリング70の外径R3 は図8及び図9のように組み込まれた状態での使用時において、そのリング70の外面70aが上記シリンダ31に圧接される径に設定されている。該樹脂製のリング70の内周面70bと外周面70aは、図10(b)に示すように、そのリングの軸方向、すなわち上記ピストン36の軸方向に平行する平面に形成されている。更に、そのリングの軸方向に傾斜して切断されている。71はその切り込みを示す。
【0061】
また、本樹脂製のリング70の材質としては、例えば4フッ化エチレン樹脂を使用すると有効である。
そして、上記の樹脂製のリング70は、上記第1実施例と同様の構造のシングルレバー水栓に組み付けられるもので、その組み付け状態を図8、図9に示す。この図において、上記第1実施例と同一部品及び部分については上記と同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
本第3実施例においても、上記第1実施例と同様の作動をなし、レバーの通水操作時においてそのレバーの操作を軽くし、更にレバーの止水操作時にはシリンダ(31)内とピストン外の通水室(26a)との間が絞られそのレバーを重くしてウォーターハンマーの発生を防止でき、更にリングの損傷も防止できる。
【0063】
更に本第3実施例においては、ゴム性のOリングに比べて摩擦抵抗の小さい樹脂でリング70を形成することにより、シリンダ31との摩擦力を、そのリング70を通水溝38内で所定位置へ移動させるに十分な小さな値にして、レバーの操作性を向上し、かつそのリング70の劣化を少なくして耐久性の向上を図ることができる。
【0064】
図11及び図12は本発明の第4実施例を示す。
本第4実施例は、上記第2実施例のように、ピストン36に絞り用溝46aを形成したものにおいて、そのOリング41の代わりに樹脂製のリング60を使用したものである。
【0065】
該リング60は、内外周面60a,60bがそのリングの軸方向に平行する面とし、更に幅L2 を同幅にしたリングであって、リングの軸方向に平行でかつ内外方向に貫通した切り込み61を形成したものである。更に、本リング60の材質も上記のリング70と同様である。
【0066】
そして、上記の樹脂製のリング60は、上記第2実施例と同様の構造のシングルレバー水栓に組み付けられるもので、その組み付け状態を図11に示す。この図11において、上記第2実施例と同一部品及び部分については上記と同一符号を付してその説明を省略する。
【0067】
本第4実施例においても上記第3実施例と同様の作用、効果を発揮する。ただし第3実施例と比較して絞り用溝46aが設けられているぶん、レバーの止水操作が軽くなる。
【0068】
図13は本発明の第5実施例を示す。
本第5実施例は、上記第4実施例の樹脂製のリング60を使用する図11,12のシングルレバー水栓において、そのリング60を、切り込み51の一端に絞り用溝52を設けたリング50としたものである。
【0069】
本第5実施例においても上記第4実施例と同様の作用、効果を発揮する。
【0070】
【発明の効果】
以上のようであるから、請求項1記載の発明によれば、レバーの通水操作時にはそのレバーの操作を軽くすることができ、またレバーの止水操作時にはそのレバーの操作を重くしてウォーターハンマーの発生を防止できるは勿論、特に、Oリングの損傷を防止して耐久性の向上を図ることができる。
【0071】
請求項2記載の発明によれば、更にレバーの急止水操作時にレバーがロック状態に陥ることを防止できる上に、絞り用溝に異物がかみ込んだ場合にも、この異物が除去できる。
【0072】
請求項3記載の発明によれば、更にレバーの操作性とリングの耐久性を向上できる。
請求項4記載の発明によれば、レバーの通水操作をスムースに行うための流路の形成が、構造を大型化することなく容易に行える。
【0073】
請求項5記載の発明によれば、カバー27とガイド環28を嵌合して水栓を組み付けることにより、同時にピストン36の位置決めと固定が可能になる。したがって、ピストン固定用の特別な部材を設ける必要がなく、更にピストンの固定支持構造も簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の止水状態を示すもので、(a)は側断面図、(b)は平断面図。
【図2】本発明の第1実施例の通水状態を示すもので、(a)は側断面図、(b)は平断面図。
【図3】図1における正断面図。
【図4】本発明の第1実施例における通水状態の要部拡大側断面図。
【図5】同じく止水状態の要部拡大側断面図。
【図6】本発明のOリングを示すもので、(a)は正面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)のX−X線断面図、(d)は(b)のY−Y線断面図。
【図7】本発明の第2実施例を示す側断面図。
【図8】本発明の第3実施例を示すもので、止水状態を示す要部拡大側断面図。
【図9】図8の実施例における通水状態を示す要部拡大側断面図。
【図10】図8及び図9の実施例に使用する樹脂製のリングを示すもので、(a)は正面図、(b)は(a)の左側面図。
【図11】本発明の第4実施例を示す要部拡大側断面図。
【図12】図11の実施例に使用する樹脂製のリングを示すもので、(a)は正面図、(b)は(a)の左側面図。
【図13】本発明の第5実施例を示す樹脂製のリングの他の例を示すもので、(a)は正面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)のX−X線断面図、(d)は(b)のY−Y線断面図。
【図14】従来構造を示す止水状態の側断面図。
【図15】同通水状態を示す側断面図。
【符号の説明】
27…カバー 28…ガイド環
29…レバー 31…シリンダ
36…ピストン 36a…鍔部
37…流路 38…通水溝
39…先端壁 40…通水口
41…Oリング 41a,50a,60a,70a…外周面
41b,50b,60b,70b…内面
45…切り込み 46,46a,52…絞り用溝
50,60,70…樹脂製のリング
51,61,71…切り込み
Claims (5)
- 可動弁板を備えたシリンダをピストンに摺動可能に嵌合し、レバーの通水操作により上記シリンダをピストンと反対の側へ移動し、レバーの止水操作によりシリンダをピストン側へ移動させるものにおいて、
ピストンにおけるシリンダ内への先部に通水溝をピストンの全周に亘って形成し、該通水溝内にOリングを備え、該Oリングを、その外周面が上記シリンダに圧接し、内面が上記通水溝の底面より離間し、かつ上記通水溝の溝幅より短い幅にして形成し、上記ピストンの外周部にはシリンダの内外を連通する流路を形成し、上記通水溝を形成する先端壁には、該先端壁に上記Oリングが接触した場合にもシリンダ内と通水溝とを連通する通水口を形成し、Oリングと通水溝における通水操作時に相互に接する面のいずれか一方に絞り用溝をピストンの半径方向に形成したことを特徴とするシングルレバー水栓。 - 絞り用溝に位置してリングを切断したことを特徴とする請求項1記載のシングルレバー水栓。
- 可動弁板を備えたシリンダをピストンに摺動可能に嵌合し、レバーの通水操作により上記シリンダをピストンと反対の側へ移動し、レバーの止水操作によりシリンダをピストン側へ移動させるものにおいて、
ピストンにおけるシリンダ内への先部に通水溝をピストンの全周に亘って形成し、該通水溝内に樹脂リングを備え、該樹脂リングは、そのリングの軸方向に平行又はリングの軸方向に傾斜して切断されており、該樹脂リングを、その外周面が上記シリンダに接触し、内面が上記通水溝の底面より離間し、かつ上記通水溝の溝幅より短い幅にして形成し、上記ピストンの外周部にはシリンダの内外を連通する流路を形成し、上記通水溝を形成する先端壁には、該先端壁に上記樹脂リングが接触した場合にもシリンダ内と通水溝とを連通する通水口を形成したことを特徴とするシングルレバー水栓。 - リングの内面の形状を、ピストンの軸方向に平行する平面にしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシングルレバー水栓。
- ピストンにおけるシリンダへの嵌合側と反対の側に、鍔部をピストンと一体的に設け、該鍔部を、上記シリンダを摺動可能に案内するガイド環と、該ガイド環の外周に嵌着されるカバーとで挟持的に固定支持したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシングルレバー水栓。
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