JP3786584B2 - 波長多重用光増幅器の特性測定方法および特性測定システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に利用される波長多重用光増幅器の特性を高い精度で効率良く測定するための方法およびその方法を適用した特性測定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
波長の異なる複数の信号光を含んだ波長多重(WDM)信号光を増幅するWDM用光増幅器において、その特性を測定、評価するためには、各信号光波長における信号光レベルと雑音光レベルとを正確に測定することが必要である。具体的には、例えば光増幅器の特性を表す一般的な指標である利得および雑音指数等を得るためには、各信号光波長に対応した入力信号光レベル、出力信号光レベルおよび雑音光(自然放出光)レベルをそれぞれ取得しなければならない。各波長の入力信号光レベルおよび出力信号光レベルの測定は比較的容易であるが、自然放出光レベルの測定については、光増幅器から出力される光には増幅された信号光と自然放出光が混在しているため、各波長に対応した自然放出光レベルを独立に測定することが難しい。
【0003】
光増幅器の自然放出光レベルを測定するための従来技術としては、例えば、パルス法、プローブ法、補間法などの測定方法が知られている。パルス法は、例えば特開平8−248454号公報等に記載されているように、光増幅媒体の原子寿命またはキャリア寿命よりも十分に短い周期で信号光を変調し、信号光無入力時の出力光レベルを測定する方法である。また、プローブ法は、測定波長帯域内のすべての波長の信号光よりも少ない波長数の信号光を用いて、すべての波長の信号光を入力した時の光増幅器の飽和状態を擬似的に作り出し、そのスペクトルを自然放出光スペクトルとする方法である。さらに、補間法は、光増幅器の出力光スペクトルから補間により自然放出光スペクトルを推測する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の特性測定方法は、測定値の正確性、測定スピード、測定系の簡易性などの点について次のような問題点があった。すなわち、パルス法の問題点としては、測定系が複雑であることが挙げられる。例えば図15に示すように、パルス法では、入力光パワー、出力光パワーおよび自然放出光パワーを測定する際の光の経路がそれぞれ異なるような複雑な測定系が必要になる。また、各光経路における損失の違いを補償する必要があるため、測定作業の手間が増えてしまうという欠点もある。さらに、変調器の損失が大きいため、測定器に到達する光のパワーが小さくなってしまい受光器での信号光対雑音光の比(光SN比)が劣化するという問題点もある。
【0005】
また、プローブ法の問題点としては、測定時間が長くなってしまうことが挙げられる。例えば図16に示すように、プローブ法では、光増幅器の反転分布状態を保ちながら、微弱なプローブ光の波長を測定したい波長グリッドに合わせた後に、信号光のレベルを測定するという一連の作業を繰り返すことになるため、WDM信号光の波長数に比例して測定時間が長くなってしまう。
【0006】
さらに、補間法の問題点としては、測定値の再現性、正確性に欠けることが挙げられる。例えば図17に示すように、補間法では、測定したい波長における自然放出光レベルが実測されるのではなく推測により求められるため、測定者によって、または、補間に用いる近似曲線の選び方によって推測値にばらつきが生じ、再現性が悪くなってしまう可能性がある。また、推測される自然放出光レベルは、例えば図18に示すように、光スペクトラムアナライザの性能(特に、分解能、ダイナミックレンジ)にも依存するため、測定精度を上げようとすると測定器の性能に対する要求が厳しくなる。
【0007】
本発明は上記の問題点に着目してなされたもので、光増幅器の特性を簡易な構成の測定系により高速かつ正確に測定できるWDM用光増幅器の特性測定方法および特性測定システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明にかかるWDM用光増幅器の特性測定方法の1つの態様は、波長の異なる複数の信号光が合波されたWDM信号光を増幅する光増幅器の特性測定方法において、まず、測定波長帯域内の各信号光波長に対応した複数の信号光を、隣り合う波長の信号光が異なるグループに属するように、少なくとも2つ以上のグループに分け、各グループ内の信号光のトータルパワーが予め設定した基準値に略等しくなるように、各々の信号光のパワーを調整する。そして、グループごとに信号光を合波したWDM信号光を光増幅器に順番に入力して、光増幅器からの出力光のスペクトルをグループごとにそれぞれ測定し、それらのスペクトル測定結果に基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における出力信号光パワーおよび自然放出光パワーを判断するものである。
【0010】
このような特性測定方法によれば、光増幅器で増幅されるWDM信号光を複数のグループに分けて測定を行うようにしたことで、測定波長帯域内のすべての信号光波長について、光増幅器から出力される光に含まれる出力信号光および自然放出光の各パワーをそれぞれ実測することができるようになる。
また、上記の特性測定方法については、光増幅器に入力されるWDM信号光のスペクトルを測定し、測定波長帯域内の各信号光波長における入力信号光パワーを判断するようにしてもよい。測定波長帯域内の各信号光波長についてそれぞれ判断した入力信号光パワー、出力信号光パワーおよび自然放出光パワーを用いれば、例えば、光増幅器の利得および雑音指数等を計算することが可能である。
【0011】
さらに、上記の特性測定方法は、各グループについて、測定波長帯域内の信号光パワーの分布が波長方向に対して略均等になるようにするのが望ましい。このようにすることで、各グループに対応した測定時の光増幅器における自然放出光の発生状態が一定になるため、自然放出光パワーをより正確に測定することが可能になる。
【0012】
本発明にかかるWDM用光増幅器の特性測定方法の別の態様は、波長の異なる複数の信号光が合波されたWDM信号光を増幅する光増幅器の特性測定方法において、まず、WDM信号光を入力した光増幅器で発生する自然放出光のうちの信号光入力端から出射される後方放射自然放出光を取り出し、その取り出した後方放射自然放出光のスペクトルと、光増幅器の信号光出力端から出射される、出力信号光および前方放射自然放出光を含んだ出力光のスペクトルとをそれぞれ測定する。そして、予め求めておいた後方放射自然放出光の波長に対する依存性と前方放射自然放出光の波長に対する依存性との間の関係に基づいて、測定した後方放射自然放出光のスペクトルの補正を行い、測定した光増幅器からの出力光のスペクトルに対して、補正した後方放射自然放出光のスペクトルをフィッティングし、そのフィッティングした後方放射自然放出光のスペクトルに基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における前方放射自然放出光パワーを判断すると共に、光増幅器からの出力光のスペクトルに基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における出力信号光パワーを判断するものである。
【0013】
このような特性測定方法によれば、実際に測定した後方放射自然放出光のスペクトルについて、予め求めておいた後方放射自然放出光の波長依存性と前方放射自然放出光の波長依存性との間の関係に基づいた補正が行われ、その補正された後方放射自然放出光のスペクトルにフィッティング処理を施して利用することにより、後方放射自然放出光の波長特性および前方放射自然放出光の波長特性についての相違を補償した上で、光増幅器からの出力光に含まれる前方放射自然放出光のスペクトルが高い精度で推測されるため、各信号光波長における前方放射自然放出光パワーを正確に判断できるようになる。
上記の特性測定方法について、光増幅器からの出力光のスペクトルに対する後方放射自然放出光のスペクトルのフィッティングは、具体的には、測定波長帯域内の各信号光波長を除いた波長領域におけるスペクトルデータを用いて行うようにしてもよく、または、測定波長帯域外の波長領域におけるスペクトルデータを用いて行うようにしても構わない。
【0015】
本発明によるWDM用光増幅器の特性測定システムは、上述したような本発明による特性測定方法の各態様を適用したものである。このような特性測定システムでは、簡略な構成で損失の小さい測定系により光増幅器の特性を正確に測定することができるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明にかかるWDM用光増幅器の特性測定方法について、第1の基本原理を説明するための図である。また、図2は、第1の基本原理による特性測定方法を適用した特性測定システムの実施形態(1−1)の構成を示す図である。さらに、図3は、第1の基本原理による特性測定方法の手順を示すフローチャートである。
【0017】
本特性測定システムの構成は、図2に示すように、波長の異なる信号光を発生する複数(ここではN台とする)の可変波長光源101〜10Nと、各可変波長光源101〜10Nから出力される信号光を合波して出力する合波器11と、入力される信号光のスペクトルを測定する光スペクトラムアナライザ(OSA)12と、合波器11からの信号光を、特性測定の対象となる光増幅器(DUT)1に入力し、光増幅器1からの出力光を光スペクトラムアナライザ12に送るか、光増幅器1を介さずに光スペクトラムアナライザ12に直接送るかの切り替えを行う光スイッチ131,132と、各可変波長光源101〜10Nの駆動状態および各光スイッチ131,132の動作を制御する制御部14と、を有する。
【0018】
光増幅器1は、例えば、希土類元素等を添加した光ファイバを増幅媒体として用いる光ファイバ増幅器、ラマン増幅効果を利用したラマン増幅器および半導体光増幅器等の周知のWDM用光増幅器とすることができる。この光増幅器1は、入力されるWDM信号光に含まれる各波長の信号光を所要のレベルまで一括して増幅可能であり、また、信号光の増幅の際に自然放出光に伴う雑音成分を発生するものとする。
【0019】
各可変波長光源101〜10Nは、例えば、光増幅器1に入力するWDM信号光のすべての波長の信号光を複数(ここではX個とする)のグループに分けた場合に、各々の光源に対してX個の波長の信号光を発生する役割がそれぞれ割り当てられる。上記のグループ分けは、測定波長帯域内の波長グリッド上で隣り合う信号光が同一のグループに属さないようにして行われる。ここでは、具体例として、WDM信号光のすべての波長の信号光(チャネル光)について波長の短い順に1,2,…のチャネル番号を付し、各波長の信号光をチャネル番号が奇数のクループと偶数のグループとに分けた場合(X=2)を考えることにする。この場合、可変波長光源101はチャネル番号1,2の各信号光を発生し、可変波長光源102はチャネル番号3,4の各信号光を発生し、以降同様にして、可変波長光源10Nはチャネル番号2N−1,2Nの各信号光を発生するものとする。
【0020】
制御部14は、後述する測定手順に従って、各可変波長光源101〜10Nの波長および出力光パワーをそれぞれ制御すると共に、各光スイッチ131,132を連動させて光路の切り替えを制御する。この制御部14によって駆動状態が制御された各可変波長光源101〜10Nから出力される信号光は、合波器11で合波された後、光増幅器1への入力信号光パワーPinの測定時には、光スイッチ131,132を接続する光路を介して光スペクトラムアナライザ12に送られ、光増幅器1から出力される光のパワー(出力信号光パワーPoutおよび自然放出光パワーPase)の測定時には、光スイッチ131、光増幅器1および光スイッチ132を接続する光路を介して光スペクトラムアナライザ12に送られる。
【0021】
上記のような構成を有する特性測定システムでは、図3のフローチャートに示すように、光増幅器1の特性測定が開始されると、ステップ1(図中S1で示し、以下同様とする)において、各可変波長光源101〜10Nから出力される信号光の波長およびパワーが制御部14によって制御される。ここでは、例えば図1に示すように、最初に奇数のチャネル番号1,3,5,…の信号光が可変波長光源101,102,103,…からそれぞれ出力されるように各光源の波長が制御される。また、各信号光のパワーは、光増幅器1について本来測定すべき全波長の信号光のトータルパワー(基準値)に対して、グループ分けした奇数のチャネル番号の信号光のトータルパワーが略等しくなるように制御される。このような各信号光パワーの制御は、光増幅器に入力される信号光のトータルパワーが等しいとき、波長に対する利得および自然放出光の依存性が変化しないという原理に基づいて行われるものである。具体的には、予め設定した本来測定すべき1チャネル当たりの信号光パワーに対して、奇数のチャネル番号の各信号光パワーがそれぞれ+3dB(2倍)となるように設定することが可能である。
【0022】
各可変波長光源101〜10Nの駆動状態の制御が完了すると、ステップ2において、各光スイッチ131,132の動作が制御部14によって制御される。ここでは、まず、光増幅器1への入力信号光パワーPinを測定するために、光スイッチ131,132間を直接接続する光路が選択され、ステップ3に進む。ステップ3では、各可変波長光源101〜10Nから出力され合波器11で合波された後に光スイッチ131,132を通過した奇数のチャネル番号の信号光スペクトルが、光スペクトラムアナライザ12によって測定される。これにより、光増幅器1への入力信号光パワーPinが奇数のチャネル番号に該当する波長についてそれぞれ取得される。
【0023】
次に、ステップ4では、ステップ1で設定したグループについて、入力信号光パワーPin、出力信号光パワーPoutおよび自然放出光パワーPaseの測定が完了したか否かが判定される。測定が完了していない場合には、ステップ2に戻って各光スイッチ131,132の切り替えが行われ、光スイッチ131、光増幅器1および光スイッチ132を接続する光路が選択される。これにより、各可変波長光源101〜10Nから出力され合波器11で合波された奇数のチャネル番号の信号光が、光スイッチ131を介して光増幅器1に入力され、光増幅器1から出力される信号光および自然放出光が、光スイッチ132を介して光スペクトラムアナライザ12に送られる。そして、ステップ3に進み、光増幅器1からの出力光のスペクトルが光スペクトラムアナライザ12によって測定される。これにより、図1の上段(1回目の掃引)に示すように、信号光の入力があった奇数のチャネル番号については出力信号光パワーPoutが取得され、信号光の入力がなかった偶数のチャネル番号については自然放出光パワーPaseが取得される。
【0024】
奇数のチャネル番号に対応する測定の完了がステップ4で判定されると、ステップ5に進み、すべてのグループに対応した測定が完了したか否かが判定される。偶数のチャネル番号に対応する測定が行われていない場合、ステップ1に戻って各可変波長光源101〜10Nの駆動状態が制御され、偶数のチャネル番号2,4,6,…の信号光が可変波長光源101,102,103,…からそれぞれ出力される。なお、偶数のチャネル番号の各信号光のパワーは、奇数のチャネル番号の場合と同様に、予め設定した本来測定すべき1チャネル当たりの信号光パワーに対して+3dB(2倍)となるようにそれぞれ設定される。そして、前述したステップ2〜ステップ4の処理が同様にして実行され、光増幅器1への入力信号光パワーPinが偶数のチャネル番号について取得されると共に、図1の下段(2回目の掃引)に示すように、信号光の入力があった偶数のチャネル番号に該当する波長についての出力信号光パワーPoutと、信号光の入力がなかった奇数のチャネル番号に該当する波長についての自然放出光パワーPaseとが取得される。次の表1は、光増幅器1からの出力光のスペクトル測定において1,2回目の掃引で取得される出力信号光パワーPoutおよび自然放出光パワーPaseとチャネル番号との対応関係をまとめたものである。
【0025】
【表1】
【0026】
上記のようにして、光増幅器1について取得した入力信号光パワーPin、出力信号光パワーPoutおよび自然放出光パワーPaseの各実測値は、例えば、光増幅器の特性を表す一般的な指標である利得および雑音指数等を計算するために利用することが可能である。具体的には、図4に示すような光増幅器を想定した場合、波長λの信号光に対する利得G(λ)および雑音指数NF(λ)は、次の数1に示す(1)式および(2)式を用いて計算することができる。
【0027】
【数1】
【0028】
ただし、hはボルツマン定数、νは信号光の周波数、Δνは自然放出光パワーPase測定時における測定器の周波数帯域幅である。
このように第1の基本原理による特性測定方法を適用した特性測定システムによれば、光増幅器1で増幅されるWDM信号光をチャネル番号が奇数のグループと偶数のグループとに分けて測定を行うようにしたことで、すべてのチャネル番号について、入力信号光パワーPinおよび出力信号光パワーPoutだけでなく自然放出光パワーPaseをも実測することが可能になる。また、本特性測定方法では、損失が非常に小さい測定系を構成できるため、測定機器のSN特性に対する要求を低く抑えることができ、掃引スピードの高速化を図ることも可能である。さらに、本特性測定システムは、基本的には、WDM用光源と光スペクトラムアナライザのみで入出力信号光パワーPin,Poutおよび自然放出光パワーPaseを実測できるため、従来の各種測定系に比べて簡略な構成により正確な測定を行うことが可能である。
【0029】
なお、上記のような第1の基本原理による特性測定方法は、測定機器の性能(特に分解能、ダイナミックレンジ)に測定値が強く依存するような既存の測定方法に対して、測定機器の性能の制限を緩和するような測定方法として応用することも容易である。例えば、従来の補間法では、図5(A)に示すような波長が密に立てられたWDM信号光において、スペクトルの裾部分の自然放出光レベルを正確に測定して補間を行うことが要求される。しかし、測定機器の分解能、ダイナミックレンジが足りない場合には、図5(B)に示すようにスペクトルの裾部分のレベルが不正確になってしまうため、信号光波長における自然放出光レベルを補間により正確に求めることが難しい。一方、図5(C)に示すように、WDM信号光を複数のグループに分けて光増幅器に入力すれば、スペクトルの裾部分の幅を広くすることができるため、測定機器の分解能、ダイナミックレンジの制限により不正確になる領域を回避して信号光波長における自然放出光レベルを補間により正確に求めることができる。
【0030】
また、前述した第1の基本原理による特性測定方法についての説明では、WDM信号光をチャネル番号が奇数および偶数の2つのグループに分ける一例を示したが、第1の基本原理による特性測定方法はこれに限らず、WDM信号光を3つ以上のグループに分けるようにしてもよい。例えば、WDM信号光を3つのグループに分け、チャネル番号が2つ置きに連続する信号光が各グループにそれぞれ含まれるようにした場合、具体的には、チャネル番号1,4,7,…の第1グループ、チャネル番号2,5,8,…の第2グループおよびチャネル番号3,6,9,…の第3グループに分けたとき、上述した図1に対応する出力光スペクトルは、図6に示すようになる。次の表2は、光増幅器1からの出力光のスペクトル測定において1〜3回目の掃引で取得される出力信号光パワーPoutおよび自然放出光パワーPaseとチャネル番号との対応関係をまとめたものである。
【0031】
【表2】
【0032】
ただし、上記表2に示すように、各チャネル番号に対応した自然放出光パワーPaseについては2回測定されるため、一方の測定値を自然放出光パワーPaseとして採用するようにしてもよく、あるいは、2回の測定値の平均等を自然放出光パワーPaseとして採用するようにしても構わない。
上記のようにWDM信号光を3つのグループに分けることで、可変波長光源の個数は全チャネル数の1/3となり、グループ数を増やすことによって用意する可変波長光源の個数を削減することができる。これにより特性測定システムの構築コストの低減を図ることが可能になる。ただし、グループ数を増やすことでスペクトル測定の掃引回数が増えるため測定時間は多少長くなることになるので、WDM信号光のグループ数は、用意できる可変波長光源の個数と許容される測定時間とに応じて適宜に設定すればよい。
【0033】
なお、上記の説明ではWDM信号光を3つのグループに分ける場合を例示したが、グループ数を一般化してX個(X≧2)で表した場合には、チャネル番号がX−1個置きに連続する信号光が各グループにそれぞれ含まれることになる。
次に、第1の基本原理による特性測定方法を適用した特性測定システムの実施形態(1−2)について説明する。
【0034】
図7は、上記実施形態(1−2)にかかる特性測定システムの構成を示す図である。なお、上述した実施形態(1−1)の構成と同様の部分には同一の符号が付してあり、以下同様とする。
図7において、本特性測定システムの構成が上述の図2に示した実施形態(1−1)の構成と異なる部分は、可変波長光源101〜10Nに代えて、固定波長光源151〜15nおよび可変光減衰器(VOA)161〜16nをそれぞれ設けた部分である。上記以外の他の部分の構成は実施形態(1−1)の場合と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0035】
各固定波長光源151〜15nは、それぞれ、光増幅器1に入力され得るWDM信号光のいずれか1つの波長に対応した固定波長の信号光を発生する。各固定波長光源151〜15nで発生する信号光は、光増幅器1の特性測定に必要となる十分なパワーを保持して出力されるものとする。
各可変光減衰器161〜16nは、対応する各固定波長光源151〜15nから出力される信号光を可変の光減衰量に従って減衰して合波器11に出力する。各可変光減衰器161〜16nの光減衰量は、制御部14からの制御信号に応じて制御される。
【0036】
上記のような構成の特性測定システムでは、光増幅器1の特性測定が開始されると、すべての固定波長光源151〜15nから所要のパワーの信号光が出力され、各可変光減衰器161〜16nの光減衰量が制御部14によってそれぞれ制御されることで、光増幅器1に入力するWDM信号光のグループ分けが行われる。ここでは、例えば実施形態(1−1)の場合と同様にチャネル番号が奇数のクループと偶数のクループとに分ける場合を考えると、奇数のクループに対応した測定を行う際には、奇数のチャネル番号に対応した可変光減衰器161,163,165,…の光減衰量は、予め設定した本来測定すべき1チャネル当たりの信号光パワーに対して、奇数のチャネル番号の各信号光パワーがそれぞれ+3dB(2倍)となるように制御される。また、偶数のチャネル番号に対応した可変光減衰器162,164,166,…の光減衰量が最大に制御されて、偶数のチャネル番号の信号光が遮断される。一方、偶数のクループに対応した測定を行う際には、偶数のチャネル番号に対応した可変光減衰器162,164,166,…の光減衰量は、予め設定した本来測定すべき1チャネル当たりの信号光パワーに対して、奇数のチャネル番号の各信号光パワーがそれぞれ+3dB(2倍)となるように制御される。また、偶数のチャネル番号に対応した可変光減衰器161,163,165,…の光減衰量が最大に制御されて、奇数のチャネル番号の信号光が遮断される。
【0037】
上記のようにしてグループ分けされたチャネル番号が奇数または偶数の各信号光は、合波器11で合波された後、上述の図3に示した実施形態(1−1)の場合と同様の手順に従って、入力信号光パワーPinの測定の際には、光スイッチ131,132を介して光スペクトラムアナライザ12に送られ、出力信号光パワーPoutおよび自然放出光パワーPaseの測定の際には、光スイッチ131、光増幅器1および光スイッチ132を介して光スペクトラムアナライザ12に送られる。これにより、すべてのチャネル番号についての入力信号光パワーPin、出力信号光パワーPoutおよび自然放出光パワーPaseを実測できるようになる。
【0038】
このように固定波長光源151〜15nを用いた実施形態(1−2)の特性測定システムによっても、実施形態(1−1)の場合と同様の効果を得ることが可能である。
なお、ここでは、可変光減衰器161〜16nを用いて各固定波長光源151〜15nから出力される信号光のパワーを制御し、WDM信号光のグループ分けを行うようにしたが、本発明はこれに限らず、制御部14からの出力信号に従って各固定波長光源151〜15nの駆動状態を直接制御するようにしてもよい。また、WDM信号光を奇数および偶数の2つのグループに分けるようにしたが、上述したようにWDM信号光を3つ以上のグループに分けるようにしてもよい。さらに、実施形態(1−2)においても、実施形態(1−1)の場合と同様にして、入力信号光パワーPinの測定を奇数および偶数のグループごとに行うようにしたが、入力信号光パワーPinの測定については、各固定波長光源151〜15nから出力されるすべての信号光を各可変光減衰器161〜16nで所要のレベルに調整して光スペクトルを一括して測定するようにしてもよい。このようにすれば測定時間をさらに短縮することが可能になる。
【0039】
ここで、第1の基本原理による特性測定方法の精度をより高めるための応用例について説明する。
第1の基本原理による特性測定方法では、WDM信号光を複数のグループに分ける際に、光増幅器の波長に対する利得および自然放出光の依存性が変化しないようにするため、光増幅器1について本来測定すべき全波長の信号光のトータルパワーに対して、各グループに含まれる信号光のトータルパワーが略等しくなるようにした。光増幅器における自然放出光の発生状態をより正確に測定するためには、さらに、測定波長帯域内での信号光のパワーの分布を各々のグループについて均等にするのが望ましい。上述の図1に示したような状態では、奇数および偶数の各グループ内にレベルの揃った信号光が多数配置されるので、測定波長帯域内の光パワー分布は各グループについて比較的均等になる。しかし、例えば各グループについて測定波長帯域内に配置される信号光が少なくなった場合などには、一方のグループの光パワー分布が短波長側に偏り、他方のグループの光パワー分布が長波長側に偏る可能性がある。このような場合、自然放出光の発生状態が各グループで変化してしまうため、グループごとに測定した値に誤差が生じることになる。
【0040】
そこで、例えば図8に示すように、光パワー分布の偏りを補償するための光を測定波長帯域の外側等に意図的に配置して、各グループの光パワー分布が略均等になるようにする。具体的には、光パワー分布が相対的に短波長側に偏っているグループに対しては、その偏りの度合いに応じたパワーの光を測定波長帯域の長波長側外方に配置し、光パワー分布が相対的に長波長側に偏っているグループに対しては、その偏りの度合いに応じたパワーの光を測定波長帯域の短波長側外方に配置するようにする。このとき、各グループについて、光パワー分布の補償用に配置した光を含んだすべての信号光のトータルパワーが、本来測定すべき全波長の信号光のトータルパワーに略等しくなるように、測定波長帯域内に配置される各信号光のパワーが調整されるものとする。
【0041】
これにより、波長シフトした各グループについての光パワー分布およびトータルパワーが略均等になり、光増幅器における自然放出光の発生状態が一定になるため、自然放出光パワーPaseのより正確な測定が可能になる。
なお、ここでは、光パワー分布の偏りを補償するための光を測定波長帯域の外側に配置するようにしたが、補償用の光の配置はこれに限られるものではなく、例えば、測定波長帯域内であって測定波長グリッド上にない所要の位置に補償用の光を配置するようにしてもよい。また、補償用の光を別途配置するのに代えて、各グループ内の各々の信号光のパワーを個別に調整して、光パワー分布の偏りが打ち消されるようにすることも可能である。
【0042】
次に、本発明にかかるWDM用光増幅器の特性測定方法についての第2の基本原理を説明する。
図9は、第2の基本原理による特性測定方法を説明するための概念図である。また、図10は、第2の基本原理による特性測定方法を適用した特性測定システムの実施形態(2−1)の構成を示す図である。
【0043】
第2の基本原理による特性測定方法は、図9に示すように、被測定対象となる周知の光増幅器1について、その信号光入力端から出射される自然放出光(以下、後方放射自然放出光とする)のスペクトルを利用して、光増幅器の信号光出力端から出射される自然放出光(以下、前方放射自然放出光とする)の信号光波長におけるパワーを測定するようにした方法である。
【0044】
この特性測定方法を適用した特性測定システムの構成は、図10に示すように、光増幅器(DUT)1に入力される信号光Linとは逆方向に伝搬する後方放射自然放出光Lraseを取り出すための後方放射自然放出光取り出し部21と、信号光のスペクトルを測定する光スペクトラムアナライザ(OSA)22と、光スペクトラムアナライザ22に入力される光の経路を切り替える光スイッチ231,232と、それらの光スイッチ231,232の動作を制御する制御部24と、光スペクトラムアナライザ22の測定結果を記憶する記憶部25と、光スペクトラムアナライザ22の測定結果および記憶部25の記憶データを用いてフィッティング等の演算を行う演算部26と、を有する。
【0045】
後方放射自然放出光取り出し部21は、入力信号光Linを通過させて光スイッチ231に送ると共に、光増幅器1の信号光入力端から光スイッチ231を介して送られてくる、伝搬方向が入力信号光Linと逆方向の後方放射自然放出光Lraseを抽出して光スイッチ232に送る。なお、入力信号光Linは、測定波長帯域内のすべての波長の信号光を含むものとする。上記後方放射自然放出光取り出し部21の具体的な構成としては、例えば図11に示すような少なくとも3つのポートを有する光サーキュレータ等を利用することが可能である。ただし、本発明の後方放射自然放出光取り出し部21の構成はこれに限られるものではない。
【0046】
光スイッチ231は、入力信号光Linを光増幅器1を介さずに光スイッチ232に送る光路と、入力信号光Linを光増幅器1に送る光路との切り替えを行う。また、光スイッチ232は、光スイッチ231から直接送られる入力信号光Linを光スペクトラムアナライザ22に送る光路と、光増幅器1からの出力光(出力信号光Loutおよび前方放射自然放出光Lfase)を光スペクトラムアナライザ22に送る光路と、後方放射自然放出光取り出し部21で取り出された後方放射自然放出光Lraseを光スペクトラムアナライザ22に送る光路との切り替えを行う。また、制御部24は、後述する測定手順に従って、各光スイッチ231,232を連動させて光路の切り替えを制御する。
【0047】
上記のような構成を有する特性測定システムでは、例えば図12のフローチャートに示すように、光増幅器1の特性測定が開始されると、まずステップ21において、前方放射自然放出光Lfaseおよび後方放射自然放出光Lraseについて、波長に対する光パワーの依存性(波長特性)の補償を行うか否かの判別が行われる。波長特性の補償を行う場合には、ステップ22に進み、波長特性の補償を行わない場合には、ステップ23に移る。
【0048】
ステップ22では、前方放射自然放出光Lfaseの波長特性と後方放射自然放出光Lraseの波長特性との測定が行われる。具体的には、励起した光増幅器1に信号光を入力しない状態で、前方放射自然放出光Lfaseおよび後方放射自然放出光Lraseの各スペクトルが光スペクトラムアナライザ22で測定される。そして、測定された2つのスペクトルを演算部26で比較することで、前方放射自然放出光Lfaseの波長特性に対する後方放射自然放出光Lraseの波長特性の関係が求められ、その結果が波長特性の補償用データとして記憶部25に記憶される。
【0049】
なお、ここで求められる自然放出光の波長特性に関するデータは、後方放射自然放出光Lraseの取り出し経路に存在する光部品の波長に対する損失特性をも含んだものとなる。また、上記のような波長特性の補償に関する処理は、前方放射自然放出光Lfaseの波長特性と後方放射自然放出光Lraseの波長特性との間に有意な差異がなく、使用する光部品にも波長に対する損失の依存性がない場合、もしくは、要求される測定精度によっては省略することが可能である。この場合にはステップ21からステップ23に移ることになる。
【0050】
ステップ23では、光増幅器1への入力信号光Linのスペクトルが測定され、測定波長帯域内の各信号光波長における入力信号光パワーPinがそれぞれ取得される。この際、光スイッチ231では、入力信号光Linを光増幅器1を介さずに光スイッチ232に送る光路が選択され、光スイッチ232では、光スイッチ231からの入力信号光Linを光スペクトラムアナライザ22に送る光路が選択される。
【0051】
入力信号光パワーPinの測定が完了すると、ステップ24に進み、入力信号光Linを光増幅器1に与えて、光増幅器1からの出力光および後方放射自然放出光Lraseの各スペクトルの測定が行われる。具体的には、光スイッチ231が切り替えられて入力信号光Linを光増幅器1に送る光路が選択される。そして、光増幅器1からの出力光のスペクトル測定が行われるときには、光スイッチ232の切り替えにより、光増幅器1からの出力光を光スペクトラムアナライザ22に送る光路が選択され、後方放射自然放出光Lraseのスペクトル測定が行われるときには、後方放射自然放出光取り出し部21で取り出された後方放射自然放出光Lraseを光スペクトラムアナライザ22に送る光路が選択される。
【0052】
光増幅器1からの出力光および後方放射自然放出光Lraseの各スペクトルの測定が完了すると、ステップ25に進み、ステップ22の処理を行ったか否か、すなわち、前方放射自然放出光Lfaseおよび後方放射自然放出光Lrase間の波長特性を補償するためのデータが得られているかが判定される。波長特性補償用のデータが取得されている場合には、ステップ26に進み、取得されていない場合には、ステップ27に移る。
【0053】
ステップ26では、記憶部25に記憶された波長特性の補償用データを用いて、ステップ24で測定された後方放射自然放出光Lraseのスペクトルの補正が演算部26において行われる。この補正処理により、光増幅器1からの出力光に含まれる前方放射自然放出光Lfaseの波長特性と、後方放射自然放出光Lraseの波長特性との間の差異が補償される。
【0054】
ステップ27では、演算部26において、ステップ24で測定された光増幅器1からの出力光スペクトルと後方放射自然放出光Lraseスペクトルとのフィッティング処理が行われ、各信号光波長における出力信号光パワーPoutおよび前方放射自然放出光パワーPfaseがそれぞれ取得される。
ここで、上記フィッティング処理の具体的な方法について説明する。
【0055】
図13は、第2の基本原理による特性測定方法で行われるフィッティング処理の一例を示す概念図である。
図13に示す一例では、光増幅器1に入力されるWDM信号光として、波長数j(ここでは各波長をλ1,λ2,…,λjとする)の信号光X1,X2,…,Xjが波長間隔2aで多重されたものを想定した場合に、図の下段に示すような後方放射自然放出光Lraseのスペクトルと、図の上段に示すような光増幅器1からの出力光のスペクトルとについて、各信号光波長λ1,λ2,…,λj間の中心に位置する波長λ1+a,λ2+a,…,λj+aにおけるパワーレベルがそれぞれ求められる。そして、各波長λ1+a,λ2+a,…,λj+aに対応した2つのパワーレベル値の差に関する最大偏差が最小となるように、または、2つのパワーレベル値の差に関する偏差の平均値が最小となるように、後方放射自然放出光Lraseのスペクトルが光増幅器1からの出力光のスペクトルに対してフィッティングされる。
【0056】
図14は、第2の基本原理による特性測定方法で行われるフィッティング処理の他の一例を示す概念図である。
図14に示す他の一例では、光増幅器1に入力されるWDM信号光の波長帯域外における自然放出光のパワーレベルを利用して、光増幅器1からの出力光のスペクトルに対する後方放射自然放出光Lraseのスペクトルのフィッティング処理が行われる。すなわち、図の下段に示すような後方放射自然放出光Lraseのスペクトルと、図の上段に示すような光増幅器1からの出力光のスペクトルとについて、信号光の最短波長から短波長側に少し離れた領域と、最長波長から長波長側に少し離れた領域とにおけるパワーレベルがそれぞれ求められる。そして、各領域に対応した2つのパワーレベル値の差が最小となるように、後方放射自然放出光Lraseのスペクトルが光増幅器1からの出力光のスペクトルに対してフィッティングされる。
【0057】
このようにして、光増幅器1からの出力光のスペクトルに対する後方放射自然放出光Lraseのフィッティング処理が完了すると、次に、フィッティング処理された後方放射自然放出光Lraseのスペクトルについて、各信号光波長におけるパワーレベルが読み取られることによって、各信号光波長に対応した前方放射自然放出光パワーPfaseが取得される。また、各信号光波長に対応した出力信号光パワーPoutについては、光増幅器1からの出力光のスペクトルを用いて求められる。
【0058】
上記のようにして取得された各信号光波長における入力信号光パワーPin、出力信号光パワーPoutおよび自然放出光パワーPaseの各々の測定値は、上述した第1の基本原理による特性測定方法の場合と同様に、例えば、光増幅器の利得および雑音指数等を計算するためなどに利用することが可能である。
このように第2の基本原理による特性測定方法を適用した特性測定システムによれば、実際に測定した後方放射自然放出光Lraseのスペクトルを利用して、光増幅器1からの出力光に含まれる前方放射自然放出光Lfaseのスペクトルを推測し、各信号光波長における前方放射自然放出光パワーPfaseを得るようにしたことで、従来の補間法等における測定の容易性、測定系の簡便性、測定スピードなどのメリットを保持したままで測定精度の向上を図ることが可能である。
【0059】
なお、光増幅器の後方放射自然放出光を利用した測定技術としては、例えば、本出願人の先願である特開平8−255940号公報等に記載した技術が知られている。この周知技術では、後方放射自然放出光のスペクトル形状をフィッティングにより求める方法が開示されており、この方法を上述した第2の基本原理による特性測定方法における後方放射自然放出光のスペクトル測定に利用することも可能である。第2の基本原理による特性測定方法では、さらに、光増幅器1からの出力光のスペクトルに対して後方放射自然放出光のスペクトルをフィッティングすることで、前方放射自然放出光のスペクトル形状だけでなく絶対値(パワーレベル)までを求めることができる。これにより、より高い精度の特性測定が実現可能になる。
【0060】
以上、本明細書で開示した主な発明について以下にまとめる。
【0061】
(付記1) 波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅する光増幅器の特性測定方法において、
測定波長帯域内の各信号光波長に対応した複数の信号光を、隣り合う波長の信号光が異なるグループに属するように、少なくとも2つ以上のグループに分け、該各グループ内の信号光のトータルパワーが予め設定した基準値に略等しくなるように、各々の信号光のパワーを調整し、
前記グループごとに信号光を合波した波長多重信号光を前記光増幅器に順番に入力して、該光増幅器からの出力光のスペクトルを前記グループごとにそれぞれ測定し、
該グループごとのスペクトル測定結果に基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における出力信号光パワーおよび自然放出光パワーを判断することを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定方法。
【0062】
(付記2) 付記1に記載の特性測定方法であって、
前記測定波長帯域内の各信号光波長に対応した複数の信号光は、各々の波長に応じて順に付されたチャネル番号が、奇数に該当するグループと、偶数に該当するグループとに分けられることを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定方法。
【0063】
(付記3) 付記1に記載の特性測定方法であって、
前記測定波長帯域内の各信号光波長に対応した複数の信号光は、複数X個のグループに分けられ、各々の波長に応じて順に付されたチャネル番号がX−1個置きに連続する信号光が前記各グループにそれぞれ含まれることを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定方法。
【0064】
(付記4) 付記1に記載の特性測定方法であって、
前記光増幅器に入力される波長多重信号光のスペクトルを測定し、測定波長帯域内の各信号光波長における入力信号光パワーを判断することを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定方法。
【0065】
(付記5) 波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅する光増幅器の特性を測定する特性測定システムにおいて、
測定波長帯域内の各信号光波長に対応した複数の信号光を発生可能な光源部と、
隣り合う波長の信号光が異なるグループに属するように、前記光源部で発生する複数の信号光を少なくとも2つ以上のグループに分け、かつ、前記各グループ内の信号光のトータルパワーが予め設定した基準値に略等しくなるように、前記光源部で発生する各信号光のパワーを調整し、前記グループごとに信号光を合波した波長多重信号光を前記光増幅器に順番に入力する制御部と、
前記光増幅器からの出力光のスペクトルを前記グループごとに測定可能な測定部と、
該測定部でのスペクトル測定結果に基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における出力信号光パワーおよび自然放出光パワーを判断する判断部と、を備えて構成されたことを特徴とする特性測定システム。
【0066】
(付記6) 付記5に記載の特性測定システムであって、
前記制御部は、前記光増幅器への入力信号光および前記光増幅器からの出力光の一方を前記測定部に切り替えて送り、
前記判断部は、前記測定部でのスペクトル測定結果に基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における入力信号光パワー、出力信号光パワーおよび自然放出光パワーを判断することを特徴とする特性測定システム。
【0067】
(付記7) 付記6に記載の特性測定システムであって、
前記判断部は、測定波長帯域内の各信号光波長についてそれぞれ判断した入力信号光パワー、出力信号光パワーおよび自然放出光パワーを用い、少なくとも前記光増幅器の利得および雑音指数を計算することを特徴とする特性測定システム。
【0068】
(付記8) 付記5に記載の特性測定システムであって、
前記光源部は、発生する信号光の波長を調整することができる可変波長光源を含み、前記制御部は、前記可変波長光源の波長を制御することで複数の信号光のグループ分けを行うことを特徴とする特性測定システム。
【0069】
(付記9) 付記5に記載の特性測定システムであって、
前記光源部は、波長が固定の信号光を発生する固定波長光源を含み、前記制御部は、前記固定波長光源で発生する信号光のパワーを調整することで複数の信号光のグループ分けを行うことを特徴とする特性測定システム。
【0070】
(付記10) 付記5に記載の特性測定システムであって、
前記制御部は、前記各グループについて、測定波長帯域内の信号光パワーの分布を波長方向に対して略均等にする制御を行うことを特徴とする特性測定システム。
【0071】
(付記11) 波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅する光増幅器の特性測定方法において、
前記波長多重信号光を入力した前記光増幅器で発生する自然放出光のうちの信号光入力端から出射される後方放射自然放出光を取り出し、
該取り出した後方放射自然放出光のスペクトルと、前記光増幅器の信号光出力端から出射される、出力信号光および前方放射自然放出光を含んだ出力光のスペクトルとをそれぞれ測定し、
該測定した光増幅器からの出力光のスペクトルに対して、前記後方放射自然放出光のスペクトルをフィッティングし、
該フィッティングした後方放射自然放出光のスペクトルに基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における前方放射自然放出光パワーを判断すると共に、前記光増幅器からの出力光のスペクトルに基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における出力信号光パワーを判断することを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定方法。
【0072】
(付記12) 付記11に記載の特性測定方法であって、
前記光増幅器からの出力光のスペクトルに対する後方放射自然放出光のスペクトルのフィッティングは、測定波長帯域内の各信号光波長を除いた波長領域におけるスペクトルデータを用いて行うことを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定方法。
【0073】
(付記13) 付記11に記載の特性測定方法であって、
前記光増幅器からの出力光のスペクトルに対する後方放射自然放出光のスペクトルのフィッティングは、測定波長帯域外の波長領域におけるスペクトルデータを用いて行うことを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定方法。
【0074】
(付記14) 付記11に記載の特性測定方法であって、
前記後方放射自然放出光の波長に対する依存性と、前記前方放射自然放出光の波長に対する依存性との間の関係を予め求め、
該求めた関係に基づいて、前記後方放射自然放出光のスペクトルの測定結果を補正することを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定方法。
【0075】
(付記15) 付記11に記載の特性測定方法であって、
前記光増幅器に入力される波長多重信号光のスペクトルを測定し、測定波長帯域内の各信号光波長における入力信号光パワーを判断することを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定方法。
【0076】
(付記16) 波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅する光増幅器の特性を測定する特性測定システムにおいて、
前記波長多重信号光を入力した前記光増幅器で発生する自然放出光のうちの信号光入力端から出射される後方放射自然放出光を取り出す後方放射自然放出光取り出し部と、
該後方放射自然放出光取り出し部で取り出した後方放射自然放出光のスペクトルと、前記光増幅器の信号光出力端から出射される、出力信号光および前方放射自然放出光を含んだ出力光のスペクトルとを測定可能な測定部と、
該測定部で測定した光増幅器からの出力光のスペクトルに対して、前記後方放射自然放出光のスペクトルをフィッティングし、該フィッティングした後方放射自然放出光のスペクトルに基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における前方放射自然放出光パワーを判断すると共に、前記光増幅器からの出力光のスペクトルに基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における出力信号光パワーを判断する演算部と、を備えて構成されたことを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定システム。
【0077】
(付記17) 付記16に記載の特性測定システムであって、
前記光増幅器への入力信号光、前記光増幅器からの出力光および前記後方放射自然放出光取り出し部で取り出した後方放射自然放出光のいずれか1つを前記測定部に切り替えて送る制御部を備え、
前記演算部は、前記測定部でのスペクトル測定結果に基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における入力信号光パワー、出力信号光パワーおよび自然放出光パワーを判断することを特徴とする特性測定システム。
【0078】
(付記18) 付記17に記載の特性測定システムであって、
前記演算部は、測定波長帯域内の各信号光波長についてそれぞれ判断した入力信号光パワー、出力信号光パワーおよび自然放出光パワーを用い、少なくとも前記光増幅器の利得および雑音指数を計算することを特徴とする特性測定システム。
【0079】
(付記19) 波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅する光増幅器の特性測定方法において、
前記複数の信号光のうちの1つの信号光である第1の波長の信号光を含まず、前記波長多重信号光のトータルパワーと略等しいトータルパワーの波長多重信号光を前記光増幅器に入力し、
該光増幅器の出力信号光のうち前記第1の波長に対応する信号光のパワーの測定を行うことにより、前記波長多重信号光入力時における前記光増幅器からの前記第1の波長に対応する自然放出光のパワーを検出する、
ことを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定方法。
【0080】
(付記20) 光源部からの波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅する光増幅器の出力信号の測定を行う測定器を備えた光増幅器の特性測定システムにおいて、
前記複数の信号光のうちの1つの信号光である第1の波長の信号光を含まず、前記波長多重信号光のトータルパワーと略等しいトータルパワーの波長多重信号光が前記光増幅器に入力されるように前記光源部を制御する制御部と、
前記光増幅器の出力信号光のうち前記第1の波長に対応する信号光のパワーを前記測定器により測定して、前記波長多重信号光入力時における前記光増幅器からの前記第1の波長に対応する自然放出光のパワーを検出する判断部と、
を有することを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定システム。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるWDM用光増幅器の特性測定方法および特性測定システムによれば、WDM用光増幅器の特性を実測値に基づいて正確に判断することができると共に、簡易な構成により高精度かつ高速の測定を行うことができる。これにより、柔軟性に富んだ測定系を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるWDM用光増幅器の特性測定方法について、第1の基本原理を説明するための図である。
【図2】本発明の第1の基本原理による特性測定方法を適用した特性測定システムの実施形態(1−1)の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の基本原理による特性測定方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の特性測定方法により計算される光増幅器の利得および雑音指数を説明するための図である。
【図5】本発明の第1の基本原理による特性測定方法の応用例を説明するための図である。
【図6】本発明の第1の基本原理による特性測定方法について、WDM信号光を3つのグループに分けたときの一例を説明するための図である。
【図7】本発明の第1の基本原理による特性測定方法を適用した特性測定システムの実施形態(1−2)の構成を示す図である。
【図8】本発明の第1の基本原理による特性測定方法について、精度をより高めるための応用例を説明する図である。
【図9】本発明の第2の基本原理による特性測定方法を説明するための概念図である。
【図10】本発明の第2の基本原理による特性測定方法を適用した特性測定システムの実施形態(2−1)の構成を示す図である。
【図11】実施形態(2−1)の特性測定システムに用いられる後方放射自然放出光取り出し部の具体例を示す図である。
【図12】本発明の第2の基本原理による特性測定方法の手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の基本原理による特性測定方法で行われるフィッティング処理の一例を示す概念図である。
【図14】本発明の第2の基本原理による特性測定方法で行われるフィッティング処理の他の一例を示す概念図である。
【図15】従来のパルス法における測定系の構成例を示す図である。
【図16】従来のプローブ法の概要を説明するための図である。
【図17】従来の補間法の概要を説明するための図である。
【図18】従来の補間法における測定器の性能の影響を説明するための図である。
【符号の説明】
1 光増幅器(DUT)
101〜10N 可変波長光源
11 合波器
12,22 光スペクトラムアナライザ(OSA)
131,132,231,232, 光スイッチ
14,24 制御部
151〜15n 固定波長光源
161〜16n 可変光減衰器(VOA)
21 後方放射自然放出光取り出し部
25 記憶部
26 演算部
Claims (4)
- 波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅する光増幅器の特性測定方法において、
測定波長帯域内の各信号光波長に対応した複数の信号光を、隣り合う波長の信号光が異なるグループに属するように、少なくとも2つ以上のグループに分け、
該各グループ内の信号光のトータルパワーが予め設定した基準値に略等しくなるように、各々の信号光のパワーを調整し、
前記グループごとに信号光を合波した波長多重信号光を前記光増幅器に順番に入力して、該光増幅器からの出力光のスペクトルを前記グループごとにそれぞれ測定し、
該グループごとのスペクトル測定結果に基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における出力信号光パワーおよび自然放出光パワーを判断することを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定方法。 - 波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅する光増幅器の特性を測定する特性測定システムにおいて、
測定波長帯域内の各信号光波長に対応した複数の信号光を発生可能な光源部と、
隣り合う波長の信号光が異なるグループに属するように、前記光源部で発生する複数の信号光を少なくとも2つ以上のグループに分け、かつ、前記各グループ内の信号光のトータルパワーが予め設定した基準値に略等しくなるように、前記光源部で発生する各信号光のパワーを調整し、前記グループごとに信号光を合波した波長多重信号光を前記光増幅器に順番に入力する制御部と、
前記光増幅器からの出力光のスペクトルを前記グループごとに測定可能な測定部と、
該測定部でのスペクトル測定結果に基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における出力信号光パワーおよび自然放出光パワーを判断する判断部と、を備えて構成されたことを特徴とする特性測定システム。 - 波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅する光増幅器の特性測定方法において、
前記波長多重信号光を入力した前記光増幅器で発生する自然放出光のうちの信号光入力端から出射される後方放射自然放出光を取り出し、
該取り出した後方放射自然放出光のスペクトルと、前記光増幅器の信号光出力端から出射される、出力信号光および前方放射自然放出光を含んだ出力光のスペクトルとをそれぞれ測定し、
予め求めておいた前記後方放射自然放出光の波長に対する依存性と前記前方放射自然放出光の波長に対する依存性との間の関係に基づいて、前記測定した後方放射自然放出光のスペクトルの補正を行い、前記測定した光増幅器からの出力光のスペクトルに対して、前記補正した後方放射自然放出光のスペクトルをフィッティングし、
該フィッティングした後方放射自然放出光のスペクトルに基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における前方放射自然放出光パワーを判断すると共に、前記光増幅器からの出力光のスペクトルに基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における出力信号光パワーを判断することを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定方法。 - 波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅する光増幅器の特性を測定する特性測定システムにおいて、
前記波長多重信号光を入力した前記光増幅器で発生する自然放出光のうちの信号光入力端から出射される後方放射自然放出光を取り出す後方放射自然放出光取り出し部と、
該後方放射自然放出光取り出し部で取り出した後方放射自然放出光のスペクトルと、前記光増幅器の信号光出力端から出射される、出力信号光および前方放射自然放出光を含んだ出力光のスペクトルとを測定可能な測定部と、
予め求めておいた前記後方放射自然放出光の波長に対する依存性と前記前方放射自然放出光の波長に対する依存性との間の関係に基づいて、前記測定部で測定された後方放射自然放出光のスペクトルの補正を行い、前記測定部で測定された光増幅器からの出力光のスペクトルに対して、前記後方放射自然放出光のスペクトルをフィッティングし、該フィッティングした後方放射自然放出光のスペクトルに基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における前方放射自然放出光パワーを判断すると共に、前記光増幅器からの出力光のスペクトルに基づいて、測定波長帯域内の各信号光波長における出力信号光パワーを判断する演算部と、を備えて構成されたことを特徴とする波長多重用光増幅器の特性測定システム。
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