JP3786334B2 - ランプ用電源装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電ランプを光源としたプロジェクタ等に使用されるランプ用電源装置に係わるものであり、特にランプの破壊を防止できるランプ用電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属蒸気中の放電発光を利用した放電ランプには、メタルハライドランプや高圧水銀ランプ等がある。これらの放電ランプは、絶縁破壊を起こして始動させるために、高い始動電圧を必要とする。又、放電ランプは、これに流れる電流が増えると、ランプの端子電圧が減少するように電力で制限される性質を有する。
図5は、従来例のランプ用電源装置を示す回路図である。図5において、この電源装置は、主に直流入力電圧(直流電源)1、チョッパ回路2、高圧パルス発生回路9、放電ランプ12より構成されており、以下、説明する。
【0003】
チョッパ回路2は、非絶縁型のスイッチングレギュレータであり、入力と出力間を電気的に絶縁することはできないが、絶縁型のスイッチングレギュレータであるコンバータ回路に比較して、回路構成が簡単で、コストも安くできる。又、放電ランプの実際の電圧値から考えても、チョッパ回路の方が適している場合が多く、ランプ用電源装置にはチョッパ回路が使用される比率が高い。
チョッパ回路2は、スイッチング素子3、転流ダイオード4、コイル5、平滑容量(コンデンサ)6、電流検出抵抗7、制御部8とから成り、直流電源1により与えられた直流入力を受けて、制御部8により、スイッチング素子3をオン・オフ制御することにより、コイル5及び平滑容量6への電荷の蓄積・放出を行い、放電ランプ12への供給電力を調整する。
【0004】
この制御部8は、チョッパ回路2の出力電圧、即ち、図中A点の電圧をランプ電圧情報として検出し、又、電流検出抵抗7にはランプ電流が流れ、その電流値に応じた電圧降下が生じるから、図中B点の電圧をランプ電流情報として検出して、スイッチング素子3を制御することにより、放電ランプ12の電力制御を行っている。
高圧パルス発生回路9は、高圧トランス10とパルス発生部11とから成り、パルス発生部11で発生したパルスを、高圧トランス10で昇圧して10kV〜30kV程度の高圧パルスを生成し、放電ランプ12に絶縁破壊を起こして、放電ランプ12を始動させる。
【0005】
図6は図5中の高圧パルス発生回路の詳細回路図である。図6において、チョッパ回路2の出力電圧が、高圧パルス発生回路9へ供給され、パルス発生部11において、抵抗13を介して容量(コンデンサ)14を充電する。放電ランプ12の点灯前は、チョッパ回路2の負荷インピーダンスは高いので、チョッパ回路2の出力電圧は高く、直流電源1からの直流入力(例えば、200V〜400V)に近い値となる。そこで、容量14の充電電圧が、2方向性2端子サイリスタ15のブレークオーバー電圧に達するとサイリスタ15が導通し、瞬時に容量14が放電され、この過渡現象によってトランス16の1次巻線にパルス電圧が発生する。
【0006】
トランス16の2次巻線に発生する昇圧されたパルス電圧は、高圧整流ダイオード17と高圧容量(コンデンサ)18で整流され、この電圧が放電ギャップ19のしきい値電圧に達すると、放電ギャップ19が放電する。この過渡現象によって高圧トランス10の1次巻線にパルス電圧が発生し、高圧トランス10の2次巻線に発生する約20kV程度のパルスが放電ランプ12へ供給され、放電ランプ12に絶縁破壊を起こさせ、始動させる。
放電ランプ12が始動して点灯すると、ランプ電圧、即ち、チョッパ回路2の出力電圧が急激に数十Vまで下がるので、サイリスタ15は非導通となり、高圧パルスの発生は停止する。即ち、高圧パルス発生回路9は放電ランプ12の始動と共に自己停止する。
【0007】
ところが、放電ランプが未接続だったり、放電ランプが不良だったり、あるいは、消灯後の時間経過が少なくランプ内部の気圧が高かったりすると、放電ランプの始動が起きず、高圧パルスを発生し続けることとなり、安全性や電力消費からも好ましくないので、これを防止するために、図6のタイマー回路21とスイッチ素子20が設けられている。放電ランプ12の点灯前は、スイッチ素子20は導通しており、前記説明の如く高圧パルスが発生するが、タイマー回路21で定められた時間(例えば、1秒〜十数秒)経過後に、スイッチ素子20を非導通(開放)にするので、高圧パルスの発生は停止する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記の如く、チョッパ回路2は、非絶縁型のスイッチングレギュレータであるから、入出力間を電気的に絶縁することができない。スイッチング素子3が、何らかの理由、例えば、スイッチング素子3自体の短絡破壊やスイッチング素子3の電極間に導体異物が混入により短絡した場合には、直流入力電圧1が放電ランプ12に印可され、放電ランプに過大電流(たとえば、数十A〜百A以上)が流れ、放電ランプは瞬時に破壊してしまう。このランプ破壊は、短絡後瞬時(例えば、100μs〜1ms未満)に起こるから、短絡状態を検出してからでは破壊を回避するのは困難である。放電ランプが破壊すると、ランプ交換が必要となるが、放電ランプは非常に高価であり、又交換の手間も掛かるので、放電ランプの破壊は大きな問題であった。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、チョッパ回路のスイッチング素子自体の短絡破壊やスイッチング素子の電極間に導体異物が混入して短絡した等の場合にも、点灯前にスイッチング素子の短絡の有無を検知して、高圧パルスの発生を抑制するので、放電ランプの破壊を未然に防止でき、高価な放電ランプ代金の支払や交換の手間が不要となるランプ用電源装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために、直流入力電圧を制御して放電ランプを電力制御するチョッパ回路と、前記放電ランプを始動させるための高圧パルスを発生させる高圧パルス発生回路とを備えたランプ用電源装置であって、前記チョッパ回路は、オンオフ動作を行うことにより前記放電ランプを電力制御するスイッチング素子と、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御部と、前記制御部の動作を停止させる動作停止手段と、電源オン時から第1の所定時間の間、前記動作停止手段を動作させる第1のタイマー回路とを有して構成し、前記高圧パルス発生回路は、前記放電ランプを始動させるための高圧パルスを発生させるパルス発生部と、前記放電ランプへ供給されるランプ電圧を検出し、前記ランプ電圧がしきい値以上の場合には、前記パルス発生部を制御して高圧パルスの発生を停止させるランプ電圧検出手段と、電源オン時から前記第1の所定時間より短い第2の所定時間の間、前記ランプ電圧検出手段のしきい値を前記直流入力電圧の電圧値未満に設定し、第2の所定時間経過後は前記しきい値を前記直流入力電圧の電圧値以上に設定する第2のタイマー回路とを有して構成することを特徴とするランプ用電源装置を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施例を示す回路図である。図1において、図5に示す従来例と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図1では、チョッパ回路2に、制御部8の動作をオン・オフできる動作停止手段22と動作停止手段22を制御するタイマー回路(第1のタイマー回路)23を設けている。タイマー回路23は、電源オンから第1の所定時間の間、動作停止手段22を制御して、制御部8の動作を停止させて、スイッチング素子3を開放状態とし、チョッパ回路2の動作を停止させるので、直流入力電圧(直流電源)1から直流入力を受けても、出力電圧は発生しない。
【0012】
一方、高圧パルス発生回路9には、ランプ電圧検出手段24とタイマー回路25(第2のタイマー回路)を設けている。ランプ電圧検出手段24は、ランプ電圧、即ち、チョッパ回路2の出力電圧を検出し、あるしきい値電圧以上と判断した場合には、パルス発生部11を制御して、その後の電圧に関わらず継続してパルス発生を行わせないようにする。タイマー回路25は、ランプ電圧検出手段24の検出電圧のしきい値を制御し、電源オンから第2の所定時間の間、しきい値を直流入力電圧1未満に下げておき、その後の時間は、しきい値を直流入力電圧1以上に高くする。タイマー回路25で定める第2の所定時間は、タイマー回路23で定める時間よりも短く設定される。
【0013】
図2は図1の動作を説明するための図である。図2において、横軸は電源オンからの時間、縦軸は電圧であり、実線がチョッパ回路2の正常時及び短絡時の出力電圧、破線がランプ電圧検出手段24の検出電圧のしきい値を表している。電源オン時、既にスイッチング素子3が短絡していれば、チョッパ回路2の出力電圧は、直流入力電圧1の電圧値とほぼ同等となって現れるので、ランプ電圧検出手段24の検出電圧のしきい値以上となり、電圧検出手段24により検出され、いったん検出されると継続してパルス発生部11を動作させないように作用するから、放電ランプ12は始動しない。
【0014】
一方、スイッチング素子3が正常であれば、電源オンの当初は、チョッパ回路の出力電圧は現れず、電圧検出手段24は検出しない。タイマー回路23による第1の所定時間が経過して制御部8が動作を開始すると、チョッパ回路2の出力電圧は、直流入力電圧1に近い電圧となるが、この時は既に第2の所定時間が経過後で、電圧検出手段24の検出電圧のしきい値は直流入力電圧1以上に高くなっているので、電圧検出手段24で検出されず、高圧パルス発生回路9は動作を開始して、放電ランプ12に絶縁破壊を起こして、放電ランプ12を始動させる。
【0015】
図3は図1中のチョッパ回路の詳細回路図である。主に、動作停止手段22とタイマー回路23の具体的回路を示している。図3において、動作停止手段22は、トランジスタ31,32と抵抗33,34とから成り、チョッパ回路2の制御部8への供給電圧を制御することにより、その動作をオン・オフする。直流電源26は、直流入力電圧1とほぼ同時に電圧を発生するが、その電圧値は低く、例えば、10V〜20V程度であり、制御部8を駆動するために使用される。しかし、直流電源26が動作しても、トランジスタ32が導通していなければ、制御部8には電流が供給されず、制御部8は動作しないのでスイッチング素子3も動作せず、チョッパ回路2の出力電圧は発生しない。
【0016】
トランジスタ32を導通させるには、前段のタイマー回路23からトランジスタ31のベースへ電圧が供給され、トランジスタ31が導通して、トランジスタ32のベース電流を流す必要がある。タイマー回路23は、抵抗27,30、容量28、ツェナーダイオード29とから成り、直流電源26で発生した電圧を、抵抗27を介して容量28を充電し、この充電電圧がツェナーダイオード29のツェナー電圧に達するとツェナーダイオード29を導通し、後段の動作停止手段22のトランジスタ31を導通させる。従って、抵抗27、容量28、ツェナーダイオード29により定められた時間だけ、動作停止手段22によって制御部8の動作開始を遅らせることとなる。
【0017】
図4は図1中の高圧パルス発生回路の詳細回路図である。主に、ランプ電圧検出手段24とタイマー回路25の具体的回路を示している。図4において、タイマー回路25は、前記のタイマー回路23と同じ回路構成であり、相違点は設定された第2の所定時間がタイマー回路23の第1の所定時間よりも短い(例えば、半分)ことである。ランプ電圧検出手段24は、トランジスタ48、ツェナーダイオード41、サイリスタ43、ダイオード46、及び、抵抗39,40,42,44,47とから成る。もし、トランジスタ48が導通していなければ、ランプ電圧は抵抗39と40で抵抗分割され、その電圧が、ツェナーダイオード41のツェナー電圧とサイリスタ43の動作開始ゲート電圧の和よりも高ければ、サイリスタ43が導通し、ダイオード46も導通し、スイッチ素子20は、タイマー回路21の制御に関係なく、常に開放状態となり、パルス発生回路は動作できないから、高圧パルスも発生しない。
【0018】
又、タイマー回路25からトランジスタ48のベースへ電圧が供給され、トランジスタ48が導通すれば、ランプ電圧は抵抗39と抵抗40,47の並列抵抗値とによる抵抗分割となるから、サイリスタ43が導通するためには、より高いランプ電圧が必要となる。そして、抵抗39,41,47の定数を、サイリスタ43が導通するのに必要なランプ電圧が、トランジスタ48が非導通時には、直流入力電圧1未満の値(例えば、80%程度)になるように、又、導通時には、直流入力電圧1以上の高い値(例えば、2倍程度)になるように設定する。
【0019】
以上説明した如く、図3,図4において、もし、スイッチング素子3が短絡していれば、直流入力電圧1に電圧が発生した瞬間から、チョッパ回路2の出力電圧即ち、ランプ電圧はほぼ直流入力電圧1と同じであるから、サイリスタ43が直ちに導通し、高圧パルスは発生せず、放電ランプ12は始動できない。
又、スイッチング素子3が正常であれば、ランプ電圧が高くなるのは、ランプ電圧検出手段24における検出電圧のしきい値が直流入力電圧1以上に高くなった後であるから、サイリスタ43は開放のままで、パルス発生回路は正常に動作するから、高圧パルスが発生し、放電ランプ12は始動する。
【0020】
【発明の効果】
本発明のランプ用電源装置は、チョッパ回路のスイッチング素子自体の短絡破壊やスイッチング素子の電極間に導体異物が混入して短絡した等の場合にも、点灯前にスイッチング素子の短絡の有無を検知して、高圧パルスの発生を抑制するので、放電ランプの破壊を未然に防止でき、高価な放電ランプ代金の支払や交換の手間が不要となるという極めて優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す回路図である。
【図2】図1の動作を説明するための図である。
【図3】図1中のチョッパ回路の詳細回路図である。
【図4】図1中の高圧パルス発生回路の詳細回路図である。
【図5】従来例のランプ用電源装置を示す回路図である。
【図6】図5中の高圧パルス発生回路の詳細回路図である。
【符号の説明】
1 直流入力電圧
2 チョッパ回路
3 スイッチング素子
4 転流ダイオード
5 コイル
6 平滑容量
7 電流検出抵抗
8 制御部
9 高圧パルス発生回路
10 高圧トランス
11 パルス発生部
12 放電ランプ
22 動作停止手段
23 タイマー回路(第1のタイマー回路)
24 ランプ電圧検出手段
25 タイマー回路(第2のタイマー回路)

Claims (1)

  1. 直流入力電圧を制御して放電ランプを電力制御するチョッパ回路と、前記放電ランプを始動させるための高圧パルスを発生させる高圧パルス発生回路とを備えたランプ用電源装置であって、
    前記チョッパ回路は、
    オンオフ動作を行うことにより前記放電ランプを電力制御するスイッチング素子と、
    前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御部と、
    前記制御部の動作を停止させる動作停止手段と、
    電源オン時から第1の所定時間の間、前記動作停止手段を動作させる第1のタイマー回路とを有して構成し、
    前記高圧パルス発生回路は、
    前記放電ランプを始動させるための高圧パルスを発生させるパルス発生部と、
    前記放電ランプへ供給されるランプ電圧を検出し、前記ランプ電圧がしきい値以上の場合には、前記パルス発生部を制御して高圧パルスの発生を停止させるランプ電圧検出手段と、
    電源オン時から前記第1の所定時間より短い第2の所定時間の間、前記ランプ電圧検出手段のしきい値を前記直流入力電圧の電圧値未満に設定し、第2の所定時間経過後は前記しきい値を前記直流入力電圧の電圧値以上に設定する第2のタイマー回路とを有して構成することを特徴とするランプ用電源装置。
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