JP3784734B2 - 音響処理装置、音響処理方法およびプログラム - Google Patents

音響処理装置、音響処理方法およびプログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、補聴器、電話、拡声機器、音響通信などの分野で用いられる音響処理装置、音響処理方法およびプログラムに関し、さらに詳しくは、感音性難聴者の聴覚の周波数特性を補償する音響処理装置、音響処理方法およびプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、難聴には、大別して伝音性難聴と感音性難聴の2種類がある。伝音性難聴は、外耳や内耳等の音の物理的な伝播経路に障害があるために起こる聴覚障害である。この伝音性難聴は、聞き取ることができる最小の音圧である最小可聴値(以下、単に閾値という。)および聞き取ることができる最大の音圧である最大可聴値(以下、単に不快レベルという。)が共に健聴者よりも上昇するので、伝音性難聴者用の補聴器では単純に入力音を増幅することにより、伝音性難聴者の聴力を健聴者程度に回復させることが可能である。
【0003】
一方、感音性難聴は、蝸牛以降の中枢側の部分に障害があるために起こる聴覚障害であり、蝸牛の有毛細胞の損傷や、音響信号を伝達する神経系の障害などが原因とされる。老化による加齢性難聴も感音性難聴の一種である。
【0004】
感音性難聴者と健聴者とを比較すると、両者の不快レベルはほぼ同じで、閾値は感音性難聴者の方が健聴者よりも大きい場合が多い。つまり、感音性難聴者は健聴者よりも可聴音圧範囲が狭い。また、不快レベルおよび閾値は、一般に周波数により大きさが異なる場合が多い。
【0005】
そこで、最近では、特にこの感音性難聴者を対象として、入力された音響を感音性難聴者の可聴音圧範囲内に圧縮する補聴処理が考案されている。
【0006】
図3は、感音性難聴者に対する補聴処理の説明図である。図3(a)は、横軸を音圧レベル、縦軸をラウドネスとして、音圧レベルに対するラウドネスの関係(以下、単にラウドネスカーブという。)を示したものである。ここで、音圧レベルとは物理的な音の大きさを表す量であり、ラウドネスとは心理的な音の大きさを表す量である。
【0007】
図3(a)において、実線は健聴者のラウドネスカーブ、点線は感音性難聴者(以下、単に難聴者という。)のラウドネスカーブを示している。図3(a)に示すように、健聴者と難聴者とではラウドネスカーブに差があり、難聴者は健聴者に比べて、同じ音圧レベルの音に対するラウドネスは一般に低くなる。即ち、難聴者は健聴者に比べて、同じ音圧レベルの音が小さく聞こえる。図3(b)は、前述の図3(a)を変形したもので、横軸、縦軸をそれぞれ健聴者に対する音圧レベル、難聴者に対する音圧レベルとし、同じ音圧レベルの音を聞いたとき、健聴者と難聴者とが同じラウドネスになるときの健聴者に対する音圧レベルと難聴者に対する音圧レベルとの対応を示したものである。この健聴者の音圧レベルを入力音圧、難聴者の音圧を出力音圧と考えると、図3(c)のような入出力特性として表すことができる。実線と点線の差をゲインとして、図3(d)の実線に応じて補聴器の入力音を増幅すれば、難聴者が健聴者と同じ音の大きさで知覚することが可能となる。これは、ラウドネス補償と呼ばれる。難聴者のラウドネスカーブは周波数によって異なるのが一般的であるため、個々の難聴者についてラウドネスカーブの測定を予め行い、周波数帯域毎にラウドネス補償を行う必要がある。
【0008】
従来、ラウドネス補償を行う補聴器としては、特開平3−284000号公報等に開示されているようなものがある。
【0009】
図4は、前述の従来の補聴器の構成のブロック図である。図4に示すように、ラウドネス補償を行う従来の補聴器10は、入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換手段11と、各ブロックのディジタル信号をフーリエ分析する短時間フーリエ分析手段12と、各ブロック間で時間的変化が滑らかなフーリエ係数を出力するn個のフーリエ係数の時間的平滑化手段13(131から13nを含む)と、ラウドネスゲインを算出するn個のラウドネスゲイン算出手段14(141から14nを含む)と、ラウドネスゲインに応じて入力信号の周波数特性を補償する周波数特性補償フィルタ15と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換手段16とで構成されている。
【0010】
次に、ラウドネス補償を行う従来の補聴器の動作について説明する。入力されたアナログ信号は、極く短いサンプリング周期で動作するA/D変換手段11でディジタル信号に変換され、短時間フーリエ分析手段12に出力される。このディジタル信号は、短時間フーリエ分析手段12により部分的に重なる逐次の短時間区間内のフーリエ分析を行い、n個のフーリエ係数の時間的平滑化手段13に出力される。n個のフーリエ係数の時間的平滑化手段13では、各短時間区間で時間的変化が滑らかなフーリエ係数が算出される。n個のラウドネス補償ゲイン算出手段14では、ラウドネス補償を行う周波数帯域毎に算出されたフーリエ係数を入力レベルとし、前述の図3(d)に示すようなゲインが算出される。このゲインに応じて、周波数特性補償フィルタ15により入力信号の周波数特性は補償され、D/A変換手段16によりアナログ信号に変換され、さらに音響に変換されて補聴器利用者の耳に達するようになっている。
【0011】
以上のように、前述の従来の補聴器でも、入力された音響を難聴者の聴覚特性に応じて周波数帯域毎に独立したラウドネス補償を行うことにより、難聴者が聞き取り易いようにすることができた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の補聴器においては、周波数帯域毎に独立のラウドネス補償を行っているので、難聴者の聴覚特性における周波数選択性が健聴者と同程度であれば健聴者と同等な聞こえが実現されるものの、文献1(Mary Florentine, Soren Buus, Bertram Scharf, and EberHard Zwicker, “Frequency Selectivity In Normally-Hearing and Hearing-Impaired Observers”, Journal of Speech and Hearing Research, 1980.9)などに記載されているように、蝸牛の有毛細胞の損傷に起因する難聴者は周波数選択性が低下していることが多いので、健聴者の聴覚特性に合わせて設定された周波数帯域毎の処理、あるいは従来の補聴器でよく用いられる1オクターブバンド間隔の周波数帯域毎処理等では周波数帯域間の影響が考慮されず、複数帯域にまたがる周波数成分を有する入力音に対して、周波数成分の異なる個々の音を聞き分けることが困難になるという問題があった。また、周波数帯域間の影響を抑えるために、周波数帯域幅を広くした場合、狭帯域信号入力時に難聴者の聴覚特性に合わせた綿密な補償が行えなくなるという問題があった。
【0013】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、難聴者の聴覚特性における周波数選択性の低下を補償し、難聴者にとって聞き取りやすい音響を得ることができる音響処理装置、音響処理方法およびプログラムを提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の音響処理装置は、入力信号の周波数特性を分析する周波数特性分析手段と、前記分析された周波数特性を複数の周波数帯域に分割する周波数帯域分割手段と、前記分割された複数の周波数帯域毎に健聴者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性を推定する健聴者マスキング特性推定手段と、前記分割された複数の周波数帯域毎に利用者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性を推定する利用者マスキング特性推定手段と、前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性および前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性に基づいて前記周波数帯域毎のゲイン補償量を算出するゲイン補償量算出手段と、前記周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて前記入力信号に対して前記利用者の聴覚の周波数特性を補償する周波数特性補償手段とを備え、前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性および前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性により算出された前記周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて前記入力信号に対して前記利用者の聴覚の周波数特性を補償する構成を有している。
【0015】
この構成により、健聴者および利用者の周波数帯域間のマスキング特性に基づいて算出された周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて入力信号に対して周波数特性補償手段により利用者の聴覚の周波数特性が補償されることとなる。
【0016】
また、本発明の音響処理方法は、入力信号の周波数特性を分析する周波数特性分析工程と、前記分析された周波数特性を複数の周波数帯域に分割する周波数帯域分割工程と、前記分割された複数の周波数帯域毎に健聴者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性を推定する健聴者マスキング特性推定工程と、前記分割された複数の周波数帯域毎に利用者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性を推定する利用者マスキング特性推定工程と、前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性および前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性に基づいて前記周波数帯域毎のゲイン補償量を算出するゲイン補償量算出工程と、前記周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて前記入力信号に対して前記利用者の聴覚の周波数特性を補償する周波数特性補償工程とを包含し、前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性および前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性により算出された前記周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて前記入力信号に対して前記利用者の聴覚の周波数特性を補償する方法を有している。
【0017】
この方法により、健聴者および利用者の周波数帯域間のマスキング特性に基づいて算出された周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて入力信号に対して周波数特性補償手段により利用者の聴覚の周波数特性が補償されることとなる。
【0018】
さらに、本発明のプログラムは、コンピュータに、入力信号の周波数特性を分析する周波数特性分析手順と、前記分析された周波数特性を複数の周波数帯域に分割する周波数帯域分割手順と、前記分割された複数の周波数帯域毎に健聴者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性を推定する健聴者マスキング特性推定手順と、前記分割された複数の周波数帯域毎に利用者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性を推定する利用者マスキング特性推定手順と、前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性および前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性に基づいて前記周波数帯域毎のゲイン補償量を算出するゲイン補償量算出手順と、前記周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて前記入力信号に対して前記利用者の聴覚の周波数特性を補償する周波数特性補償手順とを実行させる構成を有している。
【0019】
この構成により、健聴者および利用者の周波数帯域間のマスキング特性に基づいて算出された周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて入力信号に対して周波数特性補償手段により利用者の聴覚の周波数特性の補償が、コンピュータ上の処理として実現されることとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態の音響処理装置100は、入力信号の周波数特性を分析する周波数特性分析手段102と、分析された周波数特性を複数の周波数帯域に分割する周波数帯域分割手段103と、分割された複数の周波数帯域毎に健聴者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて健聴者の周波数帯域間のマスキング特性を推定する健聴者マスキング特性推定手段104と、分割された複数の周波数帯域毎に利用者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて利用者の周波数帯域間のマスキング特性を推定する利用者マスキング特性推定手段105と、健聴者の周波数帯域間のマスキング特性および利用者の周波数帯域間のマスキング特性に基づいて周波数帯域毎のゲイン補償量を算出するゲイン補償量算出手段106と、周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて前記入力信号に対して利用者の聴覚の周波数特性を補償する周波数特性補償手段107とを備えている。
【0022】
次に、本実施の形態の音響処理装置100の動作について説明する。
【0023】
音響は図示していないマイクロホン等により集音され、アナログ信号に変換された後、A/D変換手段101によりディジタル信号に変換され、音響処理装置100の周波数特性分析手段102および周波数特性補償手段107に出力される。
【0024】
周波数特性分析手段102に入力された信号は、必要に応じてバッファリングされて高速フーリエ変換等により周波数特性が分析され、周波数帯域分割手段103に出力される。
【0025】
周波数帯域分割手段103では、入力信号は臨界帯域幅やオクターブバンド幅などの複数の周波数帯域に分割された後、健聴者マスキング特性推定手段104および利用者マスキング特性推定手段105に出力される。
【0026】
健聴者マスキング特性推定手段104では、周波数帯域分割手段103で分割されたそれぞれの帯域について、ある帯域内の信号成分が他帯域に与えるマスキング特性が健聴者の平均的な聴覚特性データによる聴覚心理モデルに基づいて推定される。この聴覚心理モデルには、例えば文献2(Brian C.J.Moore and Brian R.Glasberg, “A Model of Loudness Perception Applied to Cochlear Hearing Loss”, Auditory Neuroscience,Vol.3,1997)に記載されているものがあり、文献2に記載のSpecific Loudness Pattern(以下、単に特定ラウドネスパターンという。)を算出することにより、入力された音が聴覚上どれほど周波数領域で広がって知覚されるかが予測できるので、ある帯域内の信号成分が他帯域に与えるマスキング特性を推定することができる。健聴者の平均的な聴覚特性データにより、前述の特定ラウドネスパターンを算出すれば、周波数帯域分割手段103で分割されたそれぞれの帯域における健聴者の平均的なマスキング特性を得ることができる。
【0027】
一方、利用者マスキング特性推定手段105では、利用者の聴覚特性に基づいた他周波数帯域へのマスキング特性が推定される。健聴者マスキング特性推定手段104と同様に、利用者の聴覚特性データにより、前述の特定ラウドネスパターンを算出すれば、周波数帯域分割手段103で分割されたそれぞれの帯域における利用者のマスキング特性を得ることができる。
【0028】
ゲイン補償量算出手段106では、推定された健聴者および利用者のマスキング特性に基づいて、健聴者の聞こえと一致するように、分割された各帯域のゲインの補償量が算出される。これは、例えば、前述の特定ラウドネスパターンにおいて、他帯域からの広がりと重ならない部分、即ちマスキングされない部分の信号の振幅あるいはエネルギー値が健聴者と難聴者で等しくなるように各帯域のゲインの補償量が算出される。
【0029】
周波数特性補償手段107では、ゲイン補償量算出手段106により算出されたゲインの補償量に応じてA/D変換手段101の出力信号に対し分割された帯域毎に利用者の聴覚の周波数特性が補償され、D/A変換手段108に出力する。周波数特性補償手段107から出力されたディジタル信号は、D/A変換手段108でアナログ信号に変換され、図示していない増幅回路、イヤホン等を通して利用者の耳に出力される。
【0030】
以上のように、本実施の形態の音響処理装置によれば、分割された複数の周波数帯域毎に、健聴者および利用者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて健聴者および利用者の周波数帯域間のマスキング特性を推定し、この2つのマスキング特性に基づいて周波数帯域毎のゲイン補償量を算出するので、周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて入力信号に対して利用者の聴覚の周波数特性を補償することができ、利用者の周波数選択性の低下を補償することが可能となる。
【0031】
なお、前述の聴覚心理モデルは、文献2に記載のもののみに限定するものではなく、他の聴覚心理モデルに基づいて健聴者のマスキング特性および利用者のマスキング特性を推定しても同等の効果が得られる。
【0032】
次に、本発明の第2の実施の形態の音響処理方法について説明する。
【0033】
図2に示すように、入力されたディジタル信号は、周波数特性分析工程S21で必要に応じてバッファリングされて高速フーリエ変換器等により周波数特性が分析される。
【0034】
次いで、周波数特性が分析された信号は、周波数帯域分割工程S22で臨界帯域幅やオクターブバンド幅などの複数の周波数帯域に分割される。
【0035】
次いで、健聴者マスキング特性推定工程S23では、周波数帯域分割工程S22で分割されたそれぞれの帯域について、ある帯域内の信号成分が他帯域に与えるマスキング特性が健聴者の平均的な聴覚特性データによる聴覚心理モデルに基づいて推定される。健聴者の平均的な聴覚特性データにより、前述の特定ラウドネスパターンを算出すれば、周波数帯域分割工程S22で分割されたそれぞれの帯域における健聴者の平均的なマスキング特性を得ることができる。
【0036】
次いで、利用者マスキング特性推定工程S24では、利用者の聴覚特性に基づいた他周波数帯域へのマスキング特性が推定される。健聴者マスキング特性推定工程S23と同様に、利用者の聴覚特性データにより、前述の特定ラウドネスパターンを算出すれば、周波数帯域分割工程S22で分割されたそれぞれの帯域における利用者のマスキング特性を得ることができる。
【0037】
次いで、ゲイン補償量算出工程S25では、推定された健聴者のマスキング特性および利用者のマスキング特性から、健聴者の聞こえと一致するようにゲイン補償量が算出される。これは、例えば、前述の特定ラウドネスパターンにおいて、他帯域からの広がりと重ならない部分、即ちマスキングされない部分の信号の振幅が健聴者と難聴者で等しくなるように各帯域のゲインの補償量が算出される。
【0038】
次いで、周波数特性補償工程S26では、算出された各帯域のゲインの補償量に応じて前記入力信号に対して分割された帯域毎に利用者の聴覚の周波数特性を補償する。
【0039】
以上のように、本実施の形態の音響処理方法によれば、分割された複数の周波数帯域毎に、健聴者および利用者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて健聴者および利用者の周波数帯域間のマスキング特性を推定し、この2つのマスキング特性に基づいて周波数帯域毎のゲイン補償量を算出するので、周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて入力信号に対して利用者の聴覚の周波数特性を補償することができ、利用者の周波数選択性の低下を補償することが可能となる。
【0040】
なお、前述の聴覚心理モデルは、文献2に記載のもののみに限定するものではなく、他の聴覚心理モデルに基づいて健聴者および利用者のマスキング特性を推定しても同等の効果が得られる。
【0041】
また、前述の健聴者マスキング特性推定工程S23および利用者マスキング特性推定工程S24の処理の順序は固定されているものではなく、どちらが先でもよく、また、同時に処理しても同等の効果が得られる。
【0042】
さらに、前述の音響処理工程のプログラムをコンピュータに実行させることにより、分割された複数の周波数帯域毎に、健聴者および利用者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて健聴者および利用者の周波数帯域間のマスキング特性を推定し、この2つのマスキング特性に基づいて周波数帯域毎のゲイン補償量を算出できるので、周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて入力信号に対して利用者の聴覚の周波数特性を補償することができ、利用者の周波数選択性の低下を補償することが可能となる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、分割された複数の周波数帯域毎に、健聴者および利用者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて健聴者および利用者の周波数帯域間のマスキング特性を推定し、この2つのマスキング特性に基づいて周波数帯域毎のゲイン補償量を算出するようになっているので、利用者の聴覚特性における周波数選択性が健聴者と異なる場合でも、周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて入力信号に対して利用者の聴覚の周波数特性を補償することができ、利用者の周波数選択性の低下を補償することが可能となるので、複数帯域にまたがる周波数成分を持つ入力音に対しても個々の音を聞き分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における音響処理装置の構成のブロック図
【図2】本発明の第2の実施の形態における音響処理方法の手順のフローチャート
【図3】感音性難聴者に対する補聴処理の説明図
【図4】従来の音響処理装置の構成のブロック図
【符号の説明】
10 音響処理装置
11 A/D変換手段
12 短時間フーリエ分析手段
13 フーリエ係数の時間的平滑化手段
14 ラウドネスゲイン算出手段
15 周波数特性補償フィルタ
16 D/A変換手段
100 音響処理装置
101 A/D変換手段
102 周波数特性分析手段
103 周波数帯域分割手段
104 健聴者マスキング特性推定手段
105 利用者マスキング特性推定手段
106 ゲイン補償量算出手段
107 周波数特性補償手段
108 D/A変換手段

Claims (3)

  1. 入力信号の周波数特性を分析する周波数特性分析手段と、前記分析された周波数特性を複数の周波数帯域に分割する周波数帯域分割手段と、前記分割された複数の周波数帯域毎に健聴者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性を得る健聴者マスキング特性推定手段と、前記分割された複数の周波数帯域毎に利用者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性を得る利用者マスキング特性推定手段と、前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性および前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性に基づいて前記周波数帯域毎のゲイン補償量を算出するゲイン補償量算出手段と、前記周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて前記入力信号に対して前記利用者の聴覚の周波数特性を補償する周波数特性補償手段とを備え、前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性および前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性により算出された前記周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて前記入力信号に対して前記利用者の聴覚の周波数特性を補償することを特徴とする音響処理装置。
  2. 入力信号の周波数特性を分析する周波数特性分析工程と、前記分析された周波数特性を複数の周波数帯域に分割する周波数帯域分割工程と、前記分割された複数の周波数帯域毎に健聴者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性を得る健聴者マスキング特性推定工程と、前記分割された複数の周波数帯域毎に利用者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性を得る利用者マスキング特性推定工程と、前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性および前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性に基づいて前記周波数帯域毎のゲイン補償量を算出するゲイン補償量算出工程と、前記周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて前記入力信号に対して前記利用者の聴覚の周波数特性を補償する周波数特性補償工程とを包含し、前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性および前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性により算出された前記周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて前記入力信号に対して前記利用者の聴覚の周波数特性を補償することを特徴とする音響処理方法。
  3. コンピュータに、入力信号の周波数特性を分析する周波数特性分析手順と、前記分析された周波数特性を複数の周波数帯域に分割する周波数帯域分割手順と、前記分割された複数の周波数帯域毎に健聴者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性を得る健聴者マスキング特性推定手順と、前記分割された複数の周波数帯域毎に利用者の聴覚特性による聴覚心理モデルに基づいて前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性を得る利用者マスキング特性推定手順と、前記健聴者の周波数帯域間のマスキング特性および前記利用者の周波数帯域間のマスキング特性に基づいて前記周波数帯域毎のゲイン補償量を算出するゲイン補償量算出手順と、前記周波数帯域毎のゲイン補償量に応じて前記入力信号に対して前記利用者の聴覚の周波数特性を補償する周波数特性補償手順とを実行させるためのプログラム。
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