JP3783211B2 - 配線、配管用支持具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーブルや可とう管などの電線資材を吊りボルト等に連結支持する際に用いる配線、配管用支持具に関し、特に径が異なった吊りボルトに対応することができる配線、配管用支持具に関する。
【0002】
【従来の技術】
ケーブルや可とう管などを吊りボルト等に連結支持する際に用いる支持具として、当出願人は既に特許文献1及び2に係る登録実用新案権を所有している(実用新案登録第2084878号及び、実用新案登録第2105092号)。
【0003】
特許文献1は、可とう管やケーブル等の電線資材を吊りボルトに支持固定する際に、電線資材の形状やサイズ、あるいはケーブルの支持本数などが限定されずに使用することが可能で、しかも、電線資材の支持部分の損傷を防止し、緊締具による電線資材の固定作業も簡略化して工事の合理化を図るために考案されたものである。
【0004】
そのため、特許文献1では、吊りボルトを挟み付ける挟着部と、電線資材を載置係止する受け座部と、この受け座部に電線資材を固定する緊締具とを一体に形成した支持具が考案されている。
【0005】
特許文献2は、吊りボルトに直交する可とう管やケーブル等の電線資材を、吊りボルトに強固に支持固定することができ、電線資材の形状やサイズ、あるいは本数などが限定されずに使用することが可能で、しかも、吊りボルトのネジ山による電線資材の支持部分の損傷を防止する目的で考案されている。
【0006】
このため、特許文献2の構成は、吊りボルトを挟み付ける挟着部と、電線資材を載置係止する受け座部とを設け、これら挟着部と受け座部とに緊締具を挿通せしめる挿通孔を開穿し、この挿通孔に電線資材を固定する緊締具を挿通するようにしたものである。
【0007】
【特許文献1】
実公平6‐50706号公報
【特許文献2】
実公平7‐21984号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
吊りボルトを使用したこの種の工事において、従来、W3/8の吊りボルトが多く使用されていたが、近年の電気工事においてW1/2の吊りボルトの使用頻度が多くなっている。尤も、W3/8の吊りボルトの使用率が現在も主流になってはいるが、今後の傾向として、W1/2の吊りボルトにも対応できる支持具の提供が望まれている。
【0010】
また、工事の多様化に伴って、支持具に求められる機能も多様化している。すなわち、電線資材を支持する支持具が、電線資材を吊りボルトに対して直交状態のみに支持するように限定されている場合には、工事の多様化に対応することが困難になっている。例えば、この種の電線資材は、吊りボルトに対して直交する配線に限られているものではなく、吊りボルトの長手方向に沿って支持される電線資材もある。従来では、これら直交する電線資材と長手方向に沿った電線資材とを支持する支持具をそれぞれ個別に選択して使用していた。
【0011】
このため、一本の吊りボルトに対して、直交する電線資材と長手方向に沿った電線資材とを同時に装着する場合には、それぞれに対応した支持具を個々に装着する必要があった。この結果、支持具の装着作業に複数種類の支持具を保持する必要があり、個々の装着作業にそれぞれ別の手間を要するなど、装着作業の能率を妨げることになっていた。しかも、方向の異なる電線資材を吊りボルトの同じ高さで同時に支持しようとしても、種類の異なる支持具を別々に装着するので互いの支持具が妨げになって、同じ位置での装着作業は不可能となり、工事の多様化に対応することが困難になっている。
【0012】
そこで、本発明は上述の課題を解消すべく、前記特許文献1及び特許文献2を更に改良したもので、異なった二種類の径の吊りボルトのいずれにも対応することが可能になり、しかも、一本の吊りボルトに対して直交する電線資材と長手方向に沿った電線資材とを同じ高さで同時に装着することが可能になり、多様化する配線工事に適合し、工事の合理化を図ることができる配線、配管用支持具の提供を目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成すべく本発明の第1の手段は、連続する一対の挟着片1Aで懸吊部材Pを長手方向に沿って挟着する挟着部1と、この挟着部1の一方の挟着片1Aに設けられ、電線資材Qを載置係止する受け座部2と、これら挟着部1と受け座部2とに緊締具を挿通せしめる挿通孔1B,2Aを開穿し、該緊締具3で電線資材Qを受け座部2に固定する配線、配管用支持具において、懸吊部材Pの長手方向に沿って支持される電線資材Qの側面を包持する平面略凹状の支持ガイド1Cを前記挟着部1の外側面に形成し、該支持ガイド1Cに電線資材Qを固定せしめる緊締具3を前記挟着部1の挿通孔1Bに挿通すると共に、該挟着部1の挟着片1A相互間に径が異なった二種類の懸吊部材Pを選択自在に挟着するように設け、前記挟着部1は、平面略凹状の前記支持ガイド1Cの湾曲した凸面側をヒンジ部1Dとし、該ヒンジ部1Dの両端部に一対の挟着片1Aを開閉自在に形成し、該挟着片1Aの内側面に、径が異なる二種類の懸吊部材Pの対向する側面に対応して挟着する一対の係止凹部1Eを設ける。
【0014】
第2の手段は、前記挟着部1の側面に挿通環4を設け、前記支持ガイド1Cに電線資材Qを固定せしめる緊締具3を挿通環4に挿通する。
【0015】
第3の手段は、前記挟着片1Aの内側面に径が異なった二種類の懸吊部材Pを選択自在に挟着する二種類の係止凹部1Ea,1Ebを設ける。
【0016】
第4の手段は、前記挟着片1Aの開放端部に連結具1Fを設け、径が異なった二種類の懸吊部材Pを選択自在に挟着せしめる二種類の係止凹部1Ea,1Ebを設けた挟着片1Aの開放端部を開閉自在に連結することを課題解消のための手段とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の基本構成は、合成樹脂材にて形成した挟着部1、受け座部2、緊締具3からなる(図1参照)。
【0018】
挟着部1は、連続する一対の挟着片1Aで懸吊部材Pを長手方向に沿って挟着するもので、この挟着部1の外側面に支持ガイド1Cを形成している。この支持ガイド1Cは、平面略凹状を成し、懸吊部材Pの長手方向に沿って支持される電線資材Qの側面を包持するように設けている(図1参照)。
【0019】
受け座部2は、この挟着部1の一方の挟着片1Aに設けられ、電線資材Qを載置係止する。この受け座部2及び前記支持ガイド1Cに装着する電線資材Qとは、ケーブルや可とう管を総称するものである。
【0020】
緊締具3は、電線資材Qを受け座部2に固定するもので、前記挟着部1と受け座部2とに開穿した挿通孔1B,2Aに、この緊締具3を選択的に、又は同時に挿通せしめて使用する。この緊締具3は、図示例のナイロンバンドの他、針金その他の材質を使用することができる。また、挿通孔1B,2Aの数は、夫々任意に設定しても良い。
【0021】
挟着部1の挟着片1A相互は、挟着部1の弾性力を利用して開閉自在に形成してあり、この挟着片1A間に径が異なった二種類の懸吊部材Pを選択自在に挟着するように設けている(図2参照)。この懸吊部材Pとして、例えばW3/8とW1/2の吊りボルトを予定しているが、他の吊りボルトに適応すべく任意に変更することができる。
【0022】
図2に示す挟着部1は、支持ガイド1Cに沿った平面略凸状のヒンジ部1Dと、該ヒンジ部1Dの両端部から開閉自在に形成された一対の挟着片1Aとを有している。そして、挟着片1Aの内側面に、二種類の懸吊部材Pの対向する側面を挟着する係止凹部1Eを設けてある。この係止凹部1Eは、同図(イ)に示す如く、小径の懸吊部材Pの周側面に嵌合するように形成している。そして、大径の懸吊部材Pを挟着する場合は、同図(ロ)に示す如く、略平行に広がった挟着片1Aの内側で、懸吊部材Pの対向する外側面を、係止凹部1Eがそれぞれ二点支持で挟着するものである。このように係止凹部1Eを形成することで、径が異なった二種類の懸吊部材Pを、一対の係止凹部1Eにて選択的に挟着することができる。更に、図示例では、挟着片1Aの開閉操作を容易にするために、一方の挟着片1Aの先端に折返し片1Aaを屈曲している。
【0023】
図3に示す挟着部1の側面には挿通環4を設けてある。この挿通環4は、支持ガイド1Cに電線資材Qを固定する緊締具3を通して使用する。挟着部1の挿通孔1Bと、この挿通環4とに緊締具3を挿通することで、緊締具3を横方向に向けた状態で仮止めできるので、特に支持ガイド1Cに電線資材Qを固定する際に、各緊締具3を使い易くすることができる。
【0024】
図4及び図5に示す挟着部1は、挟着片1Aと支持ガイド1Cとを分離した状態で形成している。この挟着片1Aは、平面湾曲した挟着片1Aと、受け座部2に連続する平板形状の挟着片1Aとからなる。平板形状の挟着片1Aには前記係止凹部1Eを設け、一方、湾曲した挟着片1Aの先端に折返し片1Aaを屈曲している。そして、この折返し片1Aaを拡開して懸吊部材Pを挟着するものである(図5参照)。このとき支持ガイド1Cは、平面湾曲した挟着片1Aと分離された状態で、平板形状の挟着片1Aから延長されている。
【0025】
図6及び図7に示す挟着部1は、径が異なった二種類の懸吊部材Pを選択自在に挟着する二種類の係止凹部1Ea,1Ebを、挟着片1Aの内側面に設けたものである。これらの係止凹部1Ea,1Ebは、それぞれ小径の懸吊部材Pの外側面に嵌合する係止凹部1Eaと、大径の懸吊部材Pの外側面に嵌合する係止凹部1Ebとが別々に形成されている。そして、これらの係止凹部1Ea,1Ebを選択して、径が異なる懸吊部材Pを挟着固定する。図示例では、挟着片1Aの開放端部をテーパー状に拡開して懸吊部材Pの挿入を容易ならしめてある。
【0026】
図8及び図9に示す挟着部1は、挟着片1Aの開放端部に連結具1Fを設けたものである。この連結具1Fは、連結突部1Faと連結凹部1Fbとを係合するもので、連結具1Fの内側面に径が異なった二種類の懸吊部材Pを選択自在に挟着せしめる係止凹部1Ea,1Ebを設けている。また、図示例では挟着片1Aの開閉を容易にするため、挟着部1に薄肉状のヒンジ部1Dを設けている。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、上述の如く構成したことにより、当初の目的を達成する。
【0028】
すなわち、受け座部2を有する挟着部1において、懸吊部材Pの長手方向に沿って支持される電線資材Qの外側面を包持する平面略凹状の支持ガイド1Cを前記挟着部1の側面に形成し、該支持ガイド1Cに電線資材Qを固定せしめる緊締具3を前記挟着部1の挿通孔1Bに挿通して固定することにより、一本の懸吊部材Pに対して直交する電線資材と長手方向に沿った電線資材とを、同じ高さで同時に装着することが可能になった。しかも、挟着部1の挟着片1A相互間に、径が異なった二種類の懸吊部材Pを選択自在に挟着する構成なので、異なった二種類の径の吊りボルトのいずれにも対応することができる。この結果、多様化する配線工事に適合し、装着作業の合理化を図ることができる。
【0029】
また、挟着部1は、平面略凹状の前記支持ガイド1Cの湾曲した凸面側をヒンジ部1Dとし、該ヒンジ部1Dの両端部から開閉自在に形成された一対の挟着片1Aを有し、該挟着片1Aの内側面に、二種類の懸吊部材Pの対向する側面を挟着する係止凹部1Eを設けることで、挟着片1Aにおける開放端部の開閉する間隔を広くすることが可能になり、小径の懸吊部材Pは勿論、大径の懸吊部材Pであっても極めて容易に挟着することができる。
【0030】
さらに、挟着部1の側面に挿通環4を設け、前記支持ガイド1Cに電線資材Qを固定せしめる緊締具3を挿通環4に挿通することによって、緊締具3を略水平に支持しておくことが可能になり、縦方向に装着する電線資材Qの緊締作業を簡略化することができる。
【0031】
また、挟着片の内側面に径が異なった二種類の懸吊部材を選択自在に挟着する二種類の係止凹部1Ea,1Ebを設けることで、例えばW3/8とW1/2の吊りボルトなどのように、予め径が特定された二種類の懸吊部材を確実に挟着固定できるものになる。
【0032】
そして、挟着片1Aの開放端部に連結具1Fを設け、径が異なった二種類の懸吊部材Pを選択自在に挟着せしめる挟着片1Aの開放端部を開閉自在に連結すると、懸吊部材Pに挟着部1を仮止めしてから緊締具3での固定作業ができるようになり、装着作業を容易にすることができる。
【0033】
このように、本発明によると、異なった二種類の径の吊りボルトのいずれにも対応することが可能になり、しかも、一本の吊りボルトに対して直交する電線資材と長手方向に沿った電線資材とを同じ高さで同時に装着することが可能になり、多様化する配線工事に適合し、工事の合理化を図ることができるなどといった有益な種々の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す分解斜視図。
【図2】 図1に示す挟着部の使用状態を示す平面図で、(イ)は小径の懸吊部材を挟着した状態を示し、(ロ)は大径の懸吊部材を挟着した状態を示す。
【図3】 本発明の他の実施例を示す使用状態の斜視図。
【図4】 本発明の他の実施例を示す使用状態の斜視図。
【図5】 図4に示す挟着部の使用状態を示す平面図で、(イ)は小径の懸吊部材を挟着した状態を示し、(ロ)は大径の懸吊部材を挟着した状態を示す。
【図6】 本発明の他の実施例を示す使用状態の斜視図。
【図7】 図6に示す挟着部の要部平面図。
【図8】 本発明の他の実施例を示す使用状態の斜視図。
【図9】 図8に示す実施例の平面図。
【符号の説明】
P 懸吊部材
Q 電線資材
1 挟着部
1A 挟着片
1Aa 折返し片
1B 挿通孔
1C 支持ガイド
1D ヒンジ部
1E 係止凹部
1F 連結具
1Fa 連結突部
1Fb連結凹部
2 受け座部
2A 挿通孔
3 緊締具
4 挿通環

Claims (4)

  1. 連続する一対の挟着片で懸吊部材を長手方向に沿って挟着する挟着部と、この挟着部の一方の挟着片に設けられ、電線資材を載置係止する受け座部と、これら挟着部と受け座部とに緊締具を挿通せしめる挿通孔を開穿し、該緊締具で電線資材を受け座部に固定する配線、配管用支持具において、懸吊部材の長手方向に沿って支持される電線資材の外側面を包持する平面略凹状の支持ガイドを前記挟着部の側面に形成し、該支持ガイドに電線資材を固定せしめる緊締具を前記挟着部の挿通孔に挿通すると共に、該挟着部の挟着片相互間に径が異なった二種類の懸吊部材を選択自在に挟着するように設け、前記挟着部1は、平面略凹状の前記支持ガイド1Cの湾曲した凸面側をヒンジ部1Dとし、該ヒンジ部1Dの両端部に一対の挟着片1Aを開閉自在に形成し、該挟着片1Aの内側面に、径が異なる二種類の懸吊部材Pの対向する側面に対応して挟着する一対の係止凹部1Eを設けたことを特徴とする配線、配管用支持具。
  2. 前記挟着部の側面に挿通環を設け、前記支持ガイドに電線資材を固定せしめる緊締具を挿通環に挿通する請求項1記載の配線、配管用支持具。
  3. 前記挟着片の内側面に径が異なった二種類の懸吊部材を選択自在に挟着する二種類の係止凹部を設けた請求項1記載の配線、配管用支持具。
  4. 前記挟着片の開放端部に連結具を設け、径が異なった二種類の懸吊部材を選択自在に挟着せしめる二種類の係止凹部を設けた挟着片の開放端部を開閉自在に連結する請求項1又は3記載の配線、配管用支持具。
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