JP3781910B2 - 加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業用加熱炉、ボイラ、家庭用給湯器等の加熱装置において、加熱用バーナに供給される燃料若しくは空気又は空気と燃料の混合気の流量を正確に供給し、NOx生成抑制が可能な加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、加熱装置に備えられたバーナの燃焼量の制御は、開度を連続的に可変できる流量調整弁を用いて、燃料若しくは燃料と空気の混合気の流量を調整することにより行っている。その流量調整弁は、主に、制御モータ若しくは空圧機器を使用してバタフライ弁をアナログ制御にて回転させ、燃料若しくは混合気の流路の開度を調整することにより流量を調整するものであり、この場合、回転角と開度は線形関係にはならず、バタフライ弁の圧損等やバタフライ弁の反応速度等を考慮する必要があったため、正確に燃料若しくは混合気の流量を制御することは困難であった。
また、空気と燃料の混合比の調整は供給される空気を流量調整弁の開度で調整するか、ブロアやファンの回転数を変更して調整して行っていた。これも正確な流量の調整は行えず、NOx生成の抑制を行う上で正確且高速に空気燃料比を設定することは困難であった。
正確な流量制御をバルブポートの形状を工夫した流量制御弁も一部で使用されているが、高価であるためコスト的に不利であった。
以上の構成はすべてアナログ信号による制御であって、燃焼量若しくは燃料と空気の混合比を瞬時に変化させることは困難であった。
また、NOx生成の抑制を行うためには、空気と燃料の混合比を正確に行うことが必要で、燃焼量を変化させる場合は、それに対応させて正確且高速に混合比を制御することが必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の事情に鑑みて、加熱装置に備えられたバーナに供給される燃料、空気、若しくは燃料空気混合気の流量を簡単な構造で精密に制御し、燃焼量の正確な調整や、NOx削減等に対して最適な空気燃料比の正確な制御を実現する加熱装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る加熱装置は、燃焼室に加熱用のバーナを備え、前記バーナに燃料若しくは空気又は燃料空気混合気の流体を供給し燃焼させる加熱装置であって、前記流体の少なくとも1つの流路に開閉弁を備え、前記開閉弁を周期的に開閉させ、開時間比率としてデューティー比を変更可能とするデューティー比制御手段を備える。
この構成により、前記開閉弁のデューティー比を制御することにより、それぞれの流量を正確に調整することができる。また、開閉弁にソレノイドバルブを使用し、デジタル制御することにより高速な制御が可能となり、D−A変換器の必要もなくコスト的にも有利である。燃料若しくは燃料空気の混合気の流路に前記開閉弁を設けた場合は、正確な燃焼量の調整が可能となり、空気の流路に前記開閉弁を設けた場合は、燃焼量に応じた最適な空気比を設定することが可能になる。
また、本発明に係る加熱装置は、燃焼室に加熱用のバーナを備え、前記バーナに燃料と空気を供給し燃焼させる加熱装置であって、前記燃料の流路と前記空気の流路に開閉弁をそれぞれ備え、前記それぞれの開閉弁を周期的に開閉させ、それぞれの開閉動作の位相差を変更可能とする位相差制御手段を備える。
この構成によると、NOx生成を抑制するための最適な位相差を設定し燃焼させることが可能であり、例えば、燃料用開閉弁に対して空気用開閉弁の開閉動作の遅れ周期として位相差を40%程度にすると、位相差0%、すなわち開閉を同期で行うときよりもNOx生成量を半分程度に抑制することができる。
さらに、前記開閉弁の開時間比率としてデューティー比を変更可能とするデューティー比制御手段を備えることもでき、燃料又は空気の流量を正確に調整することができる。
【0005】
それぞれの構成で、前記開閉弁の周期的な開閉動作の周波数を1Hz以上且つ200Hz以下の範囲内とすることができ、前記開閉弁を例えば自動車等に使用されているソレノイド式の燃料噴出器を使用することで、200Hz程度の高周波数の開閉動作が可能で、耐久性にも優れている。また、燃焼室内の温度が燃料の自着火温度以上の場合は、連続運転可能であるが、燃焼室内の温度が自着火温度以下の場合は、燃焼室に連続火花放電可能なスパークロッドや連続的に燃焼しているパイロットバーナ等を設置し、連続的に再点火を行うことで連続運転可能となる。
さらに、前記周波数が約20Hz以上の場合は、前記開閉弁の周期的な開閉動作による流体の脈動は配管経路の抵抗で整流されるので、安定した燃焼を発生することができ、前記周波数が10Hz以下の場合は、NOx生成抑制が期待される。すなわち、燃料若しくは混合気の供給が休止中に前に供給された燃料若しくは燃料と空気の混合気が燃焼室内で炉気にて希釈され、燃料濃度や酸素濃度が低下してからゆっくりと燃焼する緩慢燃焼となり、EGR(排ガス再循環)の作用があるからである。
【0006】
前記開閉弁を流れる流体の圧力又は流量を調整可能な圧力調整弁又は定流量弁若しくは流量制御弁を前記開閉弁の上流側に備えることも好ましい。たとえば前記開閉弁の上流側の燃料若しくは空気又は燃料と空気の混合気の圧力を一定にすることで、より正確にデューティ比制御にて流量を調整できる。流量を一定にすれば、デューティ比制御にてバーナ入圧力を変えることができ、ひいては混合気の流速を変えることができるのでNOx生成を制御できる。
前記開閉弁を流れる流体を一次的貯蔵可能なバッファータンクを前記開閉弁の上流側に備えることで、前記開閉弁の周期的な開閉動作による、上流側の機器等への変動圧力による影響を緩和することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係る加熱装置について、実施の形態を図面に基いて説明する。
図1において、燃焼室4内にバーナ5を備え、燃料10と空気11をそれぞれバーナ5に供給し予混合燃焼する加熱装置であり、詳しくは、空気10をバッファータンク8、定流量弁6、空気開閉弁1を介しバーナ5に供給する空気流路と、燃料11をバッファータンク9、定流量弁7、燃料開閉弁2を介しバーナ5に供給する燃料流路を備えている。前記空気開閉弁1と前記燃料開閉弁2は周期的な開閉動作可能なソレノイド式燃料噴出弁の中でも、特に許容流量が大きいものとして天然ガス自動車用に使用されているソレノイド式燃焼噴出弁を使用している。
【0008】
前記空気開閉弁1と前記燃料開閉弁2は制御器3によってそれぞれ制御されており、周期的開閉動作の開閉周波数、開時間比率としてデューティー比が変更可能であり、制御器3は、デューティー比制御手段であり、位相差制御手段であるといえる。
空気開閉弁1と燃料開閉弁2の開閉周波数が同じ場合、後者の開閉に対する前者の開閉の遅れ周期を位相差として変更可能となっている。すなわち、図2の(イ)に示すように燃料開閉弁2の開閉動作を周期T、開時間TGo、閉時間TGcで行い、(ロ)に示すように空気開閉弁1の開閉動作を周期T、開時間TAo、閉時間TAcで行ったときのデューティー比DG、DAと位相差Aは以下のようになる。
DG(%)=TGo/(TGo+TGc)×100=TGo/T×100
DA(%)=TAo/(TAo+TAc)×100=TAo/T×100
A(%)=(tA−tG)/T×100
また、制御器3により、前記定流量弁6、7は定流量設定可能となっており、スパークロッド17は連続点火放電可能となっている。
以上の構成により、空気10と燃料11がバーナ5に供給される流量は、定流量弁6、7で設定した流量とデューティー比に比例し、制御器3によりデューティー比をデジタル制御することにより正確且高速に流量を制御できる。また、それぞれの開閉の周波数を約20Hz以上に設定すると、開閉動作による流体の脈動は配管経路の抵抗で整流されるので、ほぼ一定の流量でバーナ5に供給することができ、初期にスパークロッド17により点火すると連続的に燃焼し、約20Hz以下のときでも、スパークロッド17を連続的に点火放電することにより連続的に燃焼させることが可能である。
【0009】
ここで、燃焼室4内が900℃で、空気開閉弁1の開閉周波数を約20Hz以上、燃料開閉弁2の開閉周波数を約5Hzとすると、空気10は安定してバーナ5に供給されるが、燃料11は断続的に供給され、このことで、燃料11が休止中に前に供給された燃料11が燃焼室4内で希釈され、燃料濃度や酸素濃度が低下してからゆっくりと燃焼し、NOx生成濃度30ppm程度に削減することができる。逆に、燃料開閉弁2の開閉周波数を約20Hz以上、空気開閉弁2の開閉周波数を約5Hzとすると、燃料11は安定してバーナ5に供給されるが、空気10は断続的に供給され燃料を希薄状態で燃焼することができ、NOx生成濃度を25ppm程度にすることができる。
さらに、それぞれの開閉弁の開閉周波数を約10Hz、デューティー比30%とし、位相差を0%すなわち同時に開閉した場合のNOx生成濃度は約50ppmであることに対し、位相差を60%にすると25ppm、位相差を40%にするとNOx生成濃度は最低値の約20ppmとなり、燃焼状態は図2(ハ)に示すように断続的になり、適切な位相差を持たせた開閉動作がNOx生成を削減するのに有効であることがいえる。このことは、本願の目的である、デューティー比にて燃料流量、及び空気燃料比を精密に制御し、それに対応した最適の位相差を制御することで、幅広い燃焼負荷に対して低NOx燃焼が可能である加熱装置を提供することができ、これは、開閉弁としてソレノイド式の燃料噴射弁を使用し、開閉弁の開閉動作をデジタル信号で制御可能としたことで簡単に実現することがでる。
【0010】
また、図3に示す加熱装置は、燃焼室4内にバーナ5を備え、燃料と空気の混合気15をバッファータンク14、調圧弁13、混合気開閉弁12を介しバーナ5に供給する流路と、混合気開閉弁12の上流側より分岐しパイロットバーナ16に供給する流路を備えている。この構成によると、混合気開閉弁12の開閉を低周波数で行っても、パイロットバーナ16による火炎がバーナ5の火炎を常時再点火するため、連続的な燃焼を行うことができる。よって、混合気15がバーナ5に断続的に供給され、このことで、混合気15が休止中に前に供給された混合気15が燃焼室4内で希釈され、燃料濃度や酸素濃度が低下してからゆっくりと燃焼し、NOx生成濃度を削減することができ、本発明の目的を達成する加熱装置を提供することができる。
【0011】
【発明の効果】
本発明に係る加熱装置においては、例えば、工業用加熱炉、ボイラ、家庭用給湯器等に使用され、供給される燃料、空気、若しくは燃料空気混合気のそれぞれの流路に備えられた開閉弁のデューティー比及び位相差を制御することにより、簡単な構造で流量及び供給状態を精密に制御し、燃焼量を正確に調整することや、NOx生成抑制に対して最適な空気燃料比及び位相差を正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態で燃料と空気を供給する加熱装置の系統図
【図2】図1に示す加熱装置の燃料と空気の供給状態と燃焼状態を示すグラフ
【図3】本発明に係る実施の形態で燃料と空気の混合気を供給する場合の加熱装置の系統図
【符号の説明】
1 空気開閉弁
2 燃料開閉弁
3 制御器
4 燃焼室
5 バーナ
6、7 定流量弁
10 バッファータンク
Claims (9)
- 燃焼室に加熱用のバーナを備え、前記バーナに燃料若しくは空気又は燃料空気混合気の流体を供給し燃焼させる加熱装置であって、前記流体の少なくとも1つの流路に開閉弁を備え、前記開閉弁を周期的に開閉させ、開時間比率としてデューティー比を変更可能とするデューティー比制御手段を備え、
前記開閉弁を流れる流体を一次的貯蔵可能なバッファータンクを前記開閉弁の上流側に備えた加熱装置。 - 燃焼室に加熱用のバーナを備え、前記バーナに燃料若しくは空気又は燃料空気混合気の流体を供給し燃焼させる加熱装置であって、前記流体の少なくとも1つの流路に開閉弁を備え、前記開閉弁を周期的に開閉させ、開時間比率としてデューティー比を変更可能とするデューティー比制御手段を備え、
前記開閉弁の周期的な開閉動作の周波数を1以上且つ10Hz以下の範囲内とした加熱装置。 - 燃焼室に加熱用のバーナを備え、前記バーナに燃料若しくは空気又は燃料空気混合気の流体を供給し燃焼させる加熱装置であって、前記流体の少なくとも1つの流路に開閉弁を備え、前記開閉弁を周期的に開閉させ、開時間比率としてデューティー比を変更可能とするデューティー比制御手段を備え、
前記開閉弁を流れる流体の流量を調整可能な定流量弁若しくは流量制御弁を前記開閉弁の上流側に備え、前記流体の流量を一定にする加熱装置。 - 燃焼室に加熱用のバーナを備え、前記バーナに燃料と空気を供給し燃焼させる加熱装置であって、前記燃料の流路と前記空気の流路に開閉弁をそれぞれ備え、前記それぞれの開閉弁を周期的に開閉させ、それぞれの開閉動作の位相差を変更可能とする位相差制御手段を備えた加熱装置。
- 前記開閉弁の開時間比率としてデューティー比を変更可能とするデューティー比制御手段を備えた請求項4記載の加熱装置。
- 前記開閉弁の周期的な開閉動作の周波数を1Hz以上且つ200Hz以下の範囲内とした請求項4又は5に記載の加熱装置。
- 前記開閉弁を流れる流体の流量を調整可能な定流量弁若しくは流量制御弁を前記開閉弁の上流側に備えた請求項4から6のいずれか1項に記載の加熱装置。
- 前記開閉弁を流れる流体を一次的貯蔵可能なバッファータンクを前記開閉弁の上流側に備えた請求項4から7のいずれか1項に記載の加熱装置。
- 前記開閉弁を流れる流体の圧力を調整可能な圧力調整弁を前記開閉弁の上流側に備えた請求項1から8のいずれか1項に記載の加熱装置。
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