JP3781408B2 - 測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,測定装置に関し、特に被測定物の鏡面状表面における複数の点の傾斜角度を同時に測定するのに好適な測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鏡面状の表面を有する被測定物の形状を高精度に測定する超精密測定においては、鏡面上表面の各点での接線の傾斜角度の相対値を計測して、数値積分で形状を求める方法が有効である。鏡面状表面の各点での接線傾斜角を計測する方法として従来から知られている技術のひとつは、ペンタプリズムの入射光が入射光軸に対して直角に曲がる性質を利用して、このペンタプリズムを光軸方向に移動して光の投射方向を一定に保ちながら、投射位置を変える方法である。
【0003】
この方法では光源の光軸方向に並ぶ2点での、光源光軸方向の傾斜角の相対値は知ることができるが、平面的な広がりのある点での傾斜角を相対的に正しく知ることはできない。また、超精密計測などは、空中での光の揺らぎのため光軸の直進性は長い直線範囲では十分な精度の基準となり得ない。これに対し、光の直進性を直接の基準としないで直線断面の高さ形状を求める方法として、直線上の2点の接線の傾斜角の相対変化を計測する技術がある。
【0004】
直線上に並ぶ2点の、直線に沿う方向の傾斜角度を同時に計測する装置として、あるいはその角度の差を直接測定する装置として、差動レーザオートコリメーション法を適用した装置が知られている。しかし、かかる装置では、傾斜角を知りたい2点へ完全に同じ方向からの光を投射することが困難で,2点の傾斜角の差がゼロになる点が正確に定められず、大きな広がりを持つ鏡面の形状測定等に適用する上では問題があった。
【0005】
かかる問題を解決するために、交互に点灯する二つ光源からの光ビーム、回転軸に載せた一つのビームスプリッタおよびfθレンズとPSD(光スポットの位置検出デバイス)を組み合わせた一つの角度センサからなる装置が提案された。この装置は、ビームスプリッタの回転位置を、目標物の接線傾斜角測定位置とゼロ点補正位置に回転軸のエンコーダで位置決めして交互に角度データを取るもので、受光系を一つにすることによってコンパクトな構成を得ることができ、又、受光系のドリフトの影響を受けにくいという利点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このゼロ点補正機構付きの差動レーザオートコリメーション装置は,二つの光源からの光線を測定対象点での反射点間隔で平行に配置する必要があり,受光系を一つにするために交互に点灯する必要があるため、次のような欠点があり,その解決が実用化を図る上での課題として存在している。
【0007】
(1)傾斜の測定と二つのビームによる角度センサのゼロ点補正は、ビームスプリッタの回転を止めて行う必要があるため、加速及び減速のための時間が必要となり、結果としてトータルでの測定時間が長くかかる。
(2)形状測定などのために目標物を走査するときも、対象物も静止させてから傾斜角度を測定する必要がある。これも測定所要時間を長くする。
(3)一つの光源から、複数の光ビームを作成して用いることが容易でなく,光源のドリフトの影響を低下させることができない。
(4)ビームスプリッタの大きさ、fθレンズの開口に制限されてビーム間隔をあまり大きくとれず、また、対象面に投射するビームの数を2本以上にすることはきわめて難しい。
(5)角度検出器の受光部上での光スポットを静止させて測定するので、移動中のスポットのゼロクロス点を利用した測定ができない。
(6)ビームスプリッタの回転軸に組み込まれた高い分解能のエンコーダを用いたディジタル角度測定ができない。
(7)決められたビームスプリッタの位置以外での測定ができないため、ゼロ点補正のためビームスプリッタの90度回転に要する時間が無駄になり、走査測定における測定点を増やすためには、時間をかける以外の手段がない。
(8)平面度などの2次元形状を測定するために適した装置とはなり得ない。
【0008】
その他,受光系が一つではあるが,2つの光線が受光レンズを通過する経路は二つのビームの間隔だけ異なっているため,厳密に言えば二つの受光センサを用いているのと同じで,このセンサの違いが補正されないこと,光源からビームスプリッタを通過して測定目標面に向かう光線がビームスプリッタの2平面の平行度誤差によって受ける影響が考慮されていないことのため,レンズやビームスプリッタの二つの光学部品の形状精度に依存してしまうという難点も残っていた。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、被測定物の表面形状を短時間で高精度に測定できる測定装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の測定装置は、
被測定物に対して相対移動可能な基板と、
前記基板に対して回転自在に支持された回転板と、
前記回転板に取り付けられた第1及び第2のビームスプリッタと、
前記基板に取り付けられた第1及び第2の光源と、
前記光源から受光した光束の位置を検出する第1及び第2のセンサと、を有し、
前記回転板が所定位置にあるときに、前記第1の光源から出射された光束の一部は、前記第1のビームスプリッタで反射されて前記第1のセンサで検出され、前記第1の光源から出射された光束の残りは、前記第1のビームスプリッタを透過し前記第2のビームスプリッタで反射されて前記第2のセンサで検出され、
前記回転板が所定位置から180度回転したときに、前記第2の光源から出射された光束の一部は、前記第1のビームスプリッタで反射されて被測定物の表面に向かい、その表面からの反射光が前記第1のビームスプリッタを透過して前記第2のセンサで検出され、前記第2の光源から出射された光束の残りは、前記第1のビームスプリッタを透過し前記第2のビームスプリッタで反射されて被測定物の表面に向かい、その表面からの反射光が前記第2のビームスプリッタを透過して前記第1のセンサで検出され、
被測定物の表面の傾きを検出する際に、前記回転板が所定位置にあるときの前記第1及び第2のセンサの角度出力と、前記回転板が所定位置から180度回転したときの前記第1及び第2のセンサの角度出力とを比較することにより、前記第1及び第2のセンサ間にあるゼロ点のずれを補正することを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明の装置では、光源から出射される一つの光束の経路上に複数個のビームスプリッタとそれと対をなすセンサをそれぞれ設けることで、被測定物表面における複数の点からの反射光の傾斜角を、回転板が回転中に同時にサンプリングできるようにするものである。このことで、決められた一つのセンサがゼロになる瞬間をトリガにして、他のセンサの出力を同時に検出することで、複数の反射点での相対的な傾斜角の差を正確に検出することができる。回転板の回転角度を検出するロータリエンコーダがあれば,その信号から複数のセンサの出力を回転中に同時サンプリングすることもできる。
【0012】
また,回転板を挟んで対向する形でもう一つの光源を設けることで,ビームスプリッタの反射角の違いを含む各センサのゼロ点の差を、両方の光源を用いて得られる計測データから計算で取り除くことができる。特に、従来技術においては、大きな対物レンズを備えた単一の受光系を使用しているために,レンズの形状誤差を考えると2つのセンサを用いているのと同等の誤差が生じてしまい,その誤差を分離することが困難であるのに対し、本発明の測定装置では、2つのセンサのゼロ点の違いを理論上完全に分離できる。また,一つの光源からの光で2つのセンサの差動出力を得るので,光源の揺らぎの影響は相殺されてしまうという大きな特長も得られる。
【0013】
さらに、本発明によれば、光線が常にビームスプリッタのほぼ中心を通過するように設定することで,個々のビームスプリッタを回転板上で反転することにより平行度を校正し補正データを得るか,あるいは,円板に取り付ける前に2次元的に平行度を校正して補正データを得ておくことで、ビームスプリッタの対向面の平行度誤差を解消することができる。
【0014】
又、本発明によれば、複数のビームスプリッタを異なる円周上に配置できるので、ビーム間隔を必要な幅に広げることも自由にできる。
【0015】
また、ビームスプリッタ回転中のそれぞれのセンサ出力信号をトリガに使えば、ビームスプリッタを取り付けた回転板の回転軸の回転角度を検出するロータリエンコーダで、決められた位置でのビームスプリッタ回転方向の接線傾斜角度をディジタル化して取り出せる。
【0016】
また,ロータリエンコーダの出力から,ビームスプリッタの回転位置が求められるので,これに基づいて,センサの出力をエンコーダの出力でトリガをかけながらサンプリングすれば,一つのビームスプリッタの開口およびセンサの測定範囲の許す範囲でデータ点数を増やすことが出来るため、移動平均を取ったり,合成法と呼ばれる形状復元法を適用する上でも有効である。
【0017】
すなわち、ビームスプリッタが決められた回転位置にある瞬間の信号をエンコーダから発してセンサによる光束読みとりのタイミングを決めるために用いることもでき、また、逆に、ビームスプリッタの回転に伴う光束の方向が決められた角度になった瞬間のビームスプリッタ回転角度位置およびそれを通じて被被測定物やビームスプリッタからの反射光の傾斜角をロータリエンコーダで読みとることができるのである。
【0018】
センサを2次元方向に検出可能なのもの(これを2次元センサと呼ぶ)にして、走査方向に直交する方向の傾斜も同時に計測し、平面の直交する2方向の接線の傾斜を計測することで平面度などの2次元形状への対応も可能にする。
【0019】
尚、ビームスプリッタ回転テーブルの回転軸に沿った方向に光ビームと2次元センサ及びビームスプリッタの付いた回転テーブルを配置することで,平面の計測にも適した装置になる。なお,この場合の回転軸方向に並んだセンサのゼロ点の違いは,測定対象鏡面を90度回転して,上で得た真直形状を基準にして補正することができる。
【0020】
複数のビームスプリッタを取り付けた複数の回転板の代わりに,軸方向に長いビームスプリッタを用いて,回転板を単一とした構造で,回転軸に沿って複数の光源とセンサとを配置してもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に図を用いて、本発明の実施の形態にかかる測定装置の構造と動作を説明する。図1は、本実施の形態にかかる測定装置の斜視図である。図2は、図1に示す所定の位置から回転板を180回転させた状態を示す図である。測定装置は、被測定物OBに対してX又はY軸方向に移動可能に配置された基板1と、基板1に回転自在に保持された円盤状の回転板2と、基板1において、回転板2の直径に沿って水平方向に光束を出射し且つ出射方向を向き合わせるように配置された第1の光源3及び第2の光源4と、回転板2において、その中心からそれぞれ等距離に離れ(すなわち同一円周上で)且つ直径方向に配置された第1のビームスプリッタ7及び第2のビームスプリッタ8と、両ビームスプリッタ7,8の間に配置された1/4波長板5,6と、両ビームスプリッタ7,8の上方において、基板1にそれぞれ配置された光学系9,10及び第1のセンサ11及び第2のセンサ12と、両ビームスプリッタ7,8の下方において、基板1にそれぞれ配置された1/4波長板13,14とを有している。第1のセンサ11及び第2のセンサ12は光電変換素子であって、光学系9,10により集光させた光束の位置に応じた信号を出力することで、光束の傾斜角度(被測定物表面の法線の傾斜角度に相当)を高精度に測定できるものである。
【0022】
尚、第1のセンサ11及び第2のセンサ12を、1次元の測定のみ可能なものにするときは,両方ともX軸方向の傾斜角を検出できる方向に設置するとよい。どちらか一方または両方を2次元の測定が可能なセンサにするときは,本実施の形態のように、X、Y軸方向の傾斜角が検出できるものにする。また,光学系9,第1のセンサ11及び光学系10と第2のセンサ12,それぞれの対がオートコリメーションの原理で光束の傾斜角度を測定しているが,これを臨界角法,その他の角度検出器に置き換えても同様の結果になる.
【0023】
次に、測定装置の動作について説明する。まず図1に示す基板1と回転板2との位置において、第1の光源3から出射された光束は、まず第1のビームスプリッタ7に入射し、ここで反射成分と透過成分に分離される。光束の一部である反射成分は、光学系9を通過し第1のセンサ11に向かい,光束の残りである透過成分は、1/4波長板5,6を通過して、第2のビームスプリッタ8で反射し,光学系10を通過し第2のセンサ12に向かう。
【0024】
一方、第2の光源4から出射された光束は、第2のビームスプリッタ8に入射し、ここで反射成分と透過成分に分離される。光束の一部であるで反射成分は、1/4波長板14を通過後被測定物OBに投射され、鏡面状であるその表面からの反射光は1/4波長板14を通過後、第2のビームスプリッタ8を透過して、さらに光学系10を通過し第2のセンサ12に向かう。これに対し、光束の残りである透過成分は1/4波長板5,6を通過後、第1のビームスプリッタ7で反射され,1/4波長板13通過後被測定物OBに向かい,その表面からの反射光は1/4波長板13,第1のビームスプリッタ7を通過して,光学系9を通過し第1のセンサ11に向かう。なお,1/4波長板5,6の代わりに1/2波長板一個を配置しても同様の効果が得られる。
【0025】
これに対し、基板1に対して回転板180度回転させた図2においては、第2の光源4から出射された光束は、第1のビームスプリッタ7に入射し、ここで反射成分と透過成分に分離される。光束の一部であるで反射成分は、1/4波長板14を通過後被測定物OBに投射され、鏡面状であるその表面からの反射光は1/4波長板14を通過後、第1のビームスプリッタ7を透過して、さらに光学系10を通過し第2のセンサ12に向かう。これに対し、光束の残りである透過成分は1/4波長板5,6を通過後、第2のビームスプリッタ8で反射され,1/4波長板13を通過後被測定物OBに向かい,その表面からの反射光は1/4波長板13,第2のビームスプリッタ8を通過して,光学系9を通過し第1のセンサ11に向かう。
【0026】
一方、第1の光源3から出射された光束は、まず第2のビームスプリッタ8に入射し、ここで反射成分と透過成分に分離される。光束の一部である反射成分は、光学系9を通過し第1のセンサ11に向かい,光束の残りである透過成分は、1/4波長板5,6を通過して、第1のビームスプリッタ7で反射し,光学系10を通過し第2のセンサ12に向かう。
【0027】
第1の光源3及び第2の光源4は、互いに異なる位相で点灯,消灯を繰り返し,第1のセンサ11及び第2のセンサ12は、それらの点灯のタイミングと同期して二つの光源に関係した測定データを分離するか,あるいは,2つの光源3,4を異なる周波数で変調して、それぞれのセンサ11,12の出力信号から2つの光源3,4に関する情報を分離検出することができる。得られた情報は、不図示のCPUにて処理され、それによりセンサ11,12に入射した光束の傾斜角度を求めることができる。
【0028】
いま,第1の光源3からの光束を基準にして,X軸に沿う正しい幾何学的関係からビームスプリッタ7,8のそれぞれの反射角の誤差をM11,M21とし,センサ11,12に、それぞれの前にある光学系9,10を介して入射する光束のずれをそれぞれS1,S2とし,ビームスプリッタ7,1/4波長板5,6を通過することで生じる光線の振れ角をP0とすると,図1の状態で光源3からの光束の傾斜角度を求めるためセンサ11,12から出力される出力(これを角度出力という)は,それぞれ次の出力A0、B0となる。
A0=M11+S1 (1)
B0=M21+S2+P0 (2)
【0029】
これに対し、回転板2を180度回転した状態(図2の状態)では,被測定物OBの表面の角度をT1,T2とし,被測定物OBからの反射光がビームスプリッタ7,8を通過することによる光束の振れをそれぞれP1,P2,第1の光源3と第2の光源4からそれぞれ出射される光束の平行度のずれをCとすると,光源4からの光束に関するセンサ11,12の角度出力A1、B1はそれぞれ以下のように表せる。
A1=S1−M21+T1+P2+C−P0 (3)
B1=S2−M11+T2+P1+C (4)
【0030】
ここで、センサ11,12のゼロ点を調整した差動出力として,次式を得る。
(A1−B1)−(A0−B0)=T1−T2+(P2−P1) (5)
【0031】
先に述べたように,ビームスプリッタ7,8の透過による光束の振れの違いを求めるため,個々のビームスプリッタ7,8を回転板2上で反転して、上と同じ測定をすると次式を得る。
(A1−B1)−(A0−B0)=T1−T2−(P2−P1) (6)
式(5)、(6)から、誤差分として除外したい値(T1−T2)と(P2−P1)を分離することができる。一度(P2−P1)を測定してしまえば,以降の測定は不要となるから、この測定を,ビームスプリッタ7,8を回転板2に取り付ける前に行ってもよい。
【0032】
上述のゼロ点補正は、1次元の角度変化(入射光束の位置ズレに対応する)を検出できるセンサについて述べたが,2つのセンサが2次元の角度変化を検出できるものである場合は,その2次元のそれぞれの成分のゼロ点補正を、同じ式に従って同時に行える。なおこの場合は,プリズムの平行度の誤差も2次元で計測しておく必用があり,式(2)と(3)に入っているP0に相当する項についても,あらかじめの計測をしておく必要がある。
【0033】
なお,式(1),(2)の値を得たときの,第2の光源4からの光束により得た測定データと,式(3)、(4)を得たときの第1の光源3からの光束により得た測定データを組み合わせても、上と同様の,被測定物における特定面の差動傾斜角と測定装置の誤差が分離できる。従って,測定装置と被測定物を相対移動して走査測定をするときには,円板半回転ごとに目的のデータが1回得られることになる。これは,測定の迅速化に有効に使える。
【0034】
図3は,別な実施の形態を示す図であり、第1の光源3と第2の光源4から対向して出射される2つの光束の軸を意図的に微小角αだけずらせて,相手の光源に向かってビームスプリッタを透過した光束が、相手の光源への外乱光にならない位置関係にして,波長板を省略した測定装置を示している。ビームスプリッタ7,8が配置された直径が,第1の光源3の光束の光軸に対して±α/2ずれた回転板2の回転位置で、第2の光源4からの光束の光軸による測定データを読みとるようにすると,図1、2の場合と同様のゼロ点調整が可能な測定装置が構成される。
【0035】
図1、2のビームスプリッタ7,8が載っている直径と直交する直径上で同じ円周上に同様のビームスプリッタ系を並べると,回転板2を1/4回転(90度)ごとに測定データが得られることは明らかである。同様に,一つの測定系(光源−ビームスプリッタ−センサ)を結ぶ光束が邪魔されない範囲で、多数の直径上にビームスプリッタ系を配列して,測定の迅速化を図ることができる。被測定物OBが長い場合は、一般にビーム間隔も長くする方が有利になるので、ビームスプリッタを取り付ける回転板2の直径も大きくなり、光束が互いに干渉しない範囲でビームスプリッタを多数配置することができる。
【0036】
本実施の形態によれば、ビームスプリッタを定常的に回転することで、絶えずゼロ点のずれ(2本の投射ビームの相対傾斜角の変化や受光系のゼロ点の変動)を補正して、被測定物表面の各点における相対傾斜角の精度よい測定を保証することができる。又、被測定物と測定装置とを相対移動させながら連続的に光束投射点を変化させて、必要な間隔でデータをサンプリングすることができる。更に、ビームスプリッタの回転によって振れる方向の角度出力をトリガ信号に使い、例えばロータリーエンコーダで回転板の角度を読みとることができるため、比較的大きな角度変化に対しても分解能の高い角度検出ができる。なお、2次元方向の角度変化を検出できるセンサの場合、同時にサンプリングするビームスプリッタの回転角と直交する方向の角度は、角度変化が微小である場合が多いのでアナログ量として、同時にサンプリングすることができる。回転角方向の角度変化は、大きい角度分をエンコーダでディジタル的に読み、微小な変動をアナログで読むこともできる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の測定装置によって、従来から知られていたビームスプリッタ反転法によるゼロ点誤差補正法の欠点が取り除かれ,高い精度で真直度,平面度の測定ができる実現できる。又、ゼロ点補正を繰り返し実施することで、光学系のドリフトの影響を低減する一方で、ゼロ点補正をしない場合と同程度の走査測定の速度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる測定装置の斜視図である。
【図2】図1に示す位置から回転板を180回転させた状態を示す図である。
【図3】別な実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 回転板
3 第1の光源
4 第2の光源
5,6 1/4波長板
7 第1のビームスプリッタ
8 第2のビームスプリッタ
9,10 光学系
11 第1のセンサ
12 第2のセンサ
13、14 1/4波長板
OB 被測定物
Claims (4)
- 被測定物に対して相対移動可能な基板と、
前記基板に対して回転自在に支持された回転板と、
前記回転板に取り付けられた第1及び第2のビームスプリッタと、
前記基板に取り付けられた第1及び第2の光源と、
前記光源から受光した光束の位置を検出する第1及び第2のセンサと、を有し、
前記回転板が所定位置にあるときに、前記第1の光源から出射された光束の一部は、前記第1のビームスプリッタで反射されて前記第1のセンサで検出され、前記第1の光源から出射された光束の残りは、前記第1のビームスプリッタを透過し前記第2のビームスプリッタで反射されて前記第2のセンサで検出され、
前記回転板が所定位置から180度回転したときに、前記第2の光源から出射された光束の一部は、前記第1のビームスプリッタで反射されて被測定物の表面に向かい、その表面からの反射光が前記第1のビームスプリッタを透過して前記第2のセンサで検出され、前記第2の光源から出射された光束の残りは、前記第1のビームスプリッタを透過し前記第2のビームスプリッタで反射されて被測定物の表面に向かい、その表面からの反射光が前記第2のビームスプリッタを透過して前記第1のセンサで検出され、
被測定物の表面の傾きを検出する際に、前記回転板が所定位置にあるときの前記第1及び第2のセンサの角度出力と、前記回転板が所定位置から180度回転したときの前記第1及び第2のセンサの角度出力とを比較することにより、前記第1及び第2のセンサ間にあるゼロ点のずれを補正することを特徴とする測定装置。 - 前記第1及び第2のビームスプリッタは、前記回転板に複数組取り付けられており、一つの組の前記第1もしくは第2のビームスプリッタを透過もしくは反射した光束は、他の組の前記第1もしくは第2のビームスプリッタに遮られることなく前記第1及び第2のセンサに到達することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
- 前記第1及び第2の光源と、前記第1及び第2のセンサ及びビームスプリッタを取り付けた前記回転板を、それぞれ複数組有することを特徴とする請求項1又は2に記載の測定装置。
- 前記回転板の回転角を検出するエンコーダを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の測定装置。
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