JP3780242B2 - 医療検査素子を媒体とする情報の処理方法、及び情報の処理システム - Google Patents

医療検査素子を媒体とする情報の処理方法、及び情報の処理システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医療検査素子を媒体とする情報の処理方法、及び情報の処理システムに関し、特に医療用に用いられる医療検査素子、例えばDNAチップやLab on a Chip、マイクロアレイ、マイクロTASなどと呼ばれるものを使用して検査・診断などを行う医療システムにおける医療検査素子を媒体とする情報の処理方法、及び情報の処理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の医療検査・診断等において、DNAチップやLab on a Chip、マイクロアレイ、マイクロTASなどと呼ばれる医療検査素子を使用して検査・診断などを行う医療システムの開発が活発となってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記医療検査素子が一般的に用いられるようになると、その医療検査素子から得られる情報やその医療検査素子の管理が問題になる。例えば、医療検査素子のライフサイクルは薬品などよりも短いことが知られており、より細かな管理が必要である。
また、医療検査素子は種類によって使用方法が異なり、誤った使用方法では異なる結果が出てしまい、誤診の問題が生じる。医療にかかわる検査結果での誤診は極めて重要な問題である。
【0004】
また、使用したチップから得られた結果は郵送などの手続きによって通知することが考えられるが、複数の機関でその結果を使用するには、その機関の数に応じた手続きが必要になり、煩雑である。また、個人情報を知りえる医療検査素子において、その情報が漏洩することなく処理されることはきわめて重要な問題である。
【0005】
つぎに、医療検査素子にかかわる機関や個人ユーザと、それらの間で問題となる事項について、以下のような点を列挙することができる。
(1)医療検査素子ベンダー(医療検査素子の作成と出荷を行う)
・医療検査素子のライフタイムを管理することが必要なこと。医療検査素子の流通・販売先を管理することが必要なこと。
(2)ディストリビュータ(医療検査素子の流通・販売を行う)
・ 医療検査素子の出荷日を確認することが必要なこと。
(3)医療機関や薬局(医療検査素子の提供・販売を行う)
・医療検査素子をライフタイム内に使用することが必要なこと。
・医療検査素子の内容を確認することが必要なこと。
・医療検査素子の使用法を知ること・個人ユーザに伝えることが必要なこと。
・医療検査素子の検査結果を知ることが必要なこと。
(4)個人ユーザ(患者・利用者)
・医療検査素子の使用法を知ることが必要なこと。
・医療検査素子の検査結果を知ることが必要なこと。
(5)検査機関(医療検査素子の処理を行い検査結果を提供する)
・医療検査素子の使用履歴を知ることが必要なこと。
・医療検査素子の検査結果を(簡便に)通知することが必要なこと。
(6)医療検査素子ベンダー(医療検査素子のリサイクルを行う)
・医療検査素子の使用履歴を知ることが必要なこと。
・医療検査素子の回収を(簡便に)通知することが必要なこと。
【0006】
以上から明らかなように、医療検査素子にかかわる機関や個人ユーザと、それらの間では、医療検査素子から得られる情報やその医療検査素子の管理について、共通の問題やそれぞれ固有の事項が問題となるが、これまでにおいては、この医療検査素子から得られる情報を、医療検査素子にかかわる機関や個人ユーザ間で共有し、有効利用する手法等が何ら開発されていなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決し、医療検査素子に関する情報を、医療検査素子にかかわる機関や個人ユーザ間で共有し、有効利用することが可能となる医療検査素子を媒体とする情報の処理方法、及び情報の処理システムを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の(1)〜(19)のように構成した医療検査素子を媒体とする情報の処理方法、及び情報の処理システムを提供するものである。
(1)医療検査素子を媒体とする情報の処理方法であって、固有の認識記号が割り振られ、医療検査・診断などに使用する医療検査素子と、
前記医療検査素子の前記認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する個別付加情報を通信手段を介して遠隔上から書き込み可能な記憶手段と、を用い、
前記医療検査素子の前記認識記号を特定するとともに、前記医療検査素子の使用方法にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップと、
流通,販売などの流通にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップと、
検査にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップと、
前記認識記号に基づき前記複数の個別付加情報の1つ以上を読み出すステップと、を有し、
前記医療検査素子にかかわる複数の個別付加情報を、前記認識記号に基づいて少なくとも前記医療検査素子の供給元、前記供給元から提供された前記医療検査素子を販売する販売者、前記医療検査素子を用いて検査する検査機関、医者または患者を含む複数のユーザ間で共有して利用することを特徴とする医療検査素子を媒体とする情報の処理方法。
(2)医療検査素子を媒体とする情報の処理方法であって、固有の認識記号が割り振られ、医療検査・診断などに使用する医療検査素子と、
前記医療検査素子の前記認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する個別付加情報を通信手段を介して遠隔上から書き込み可能な記憶手段と、を用い、
前記医療検査素子の前記認識記号を特定するとともに、前記医療検査素子の使用方法にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップと、
流通,販売などの流通にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップと、
検査にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップと、
前記認識記号に基づき前記複数の個別付加情報の1つ以上を読み出すステップと、を有し、
前記医療検査素子にかかわる複数の個別付加情報を、前記認識記号に基づいて少なくとも前記医療検査素子の供給元、前記供給元から提供された前記医療検査素子を販売する販売者、前記医療検査素子を用いて検査する被検査者、医者または患者を含む複数のユーザ間で共有して利用することを特徴とする医療検査素子を媒体とする情報の処理方法。
(3)検査後の廃棄にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップを更に有することを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の医療検査素子を媒体とする情報の処理方法。
(4)前記通信手段が、インターネットであることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の情報の処理方法。
(5)前記医療検査素子の使用方法にかかわる個別付加情報は、前記素子のライフタイムを含む情報であることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の情報の処理方法。
(6)前記医療検査素子が、QCMを用いた反応により検査を行う素子であることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の情報の処理方法。
(7)前記医療検査素子は、DNAチップであることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の情報の処理方法。
(8)前記医療検査素子は、基板上に流路を設け、化学的または物理的反応を素子上で処理することができるLOCであることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の情報の処理方法。
(9)前記医療検査素子は、プロテインチップであることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の情報の処理方法。
(10)前記医療検査素子は、DNAマイクロアレイであることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の情報の処理方法。
(11)医療検査素子を媒体とする情報の処理システムであって、固有の認識記号が割り振られ、医療検査・診断などに使用する医療検査素子と、
前記医療検査素子の前記認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する個別付加情報を通信手段を介して遠隔上から書き込み可能な記憶手段と、
前記医療検査素子の前記認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する個別付加情報を通信手段を介して前記記憶手段に遠隔上から書き込むための複数の入力手段と、を有し、
前記複数の入力手段は、少なくとも前記医療検査素子の供給元、前記供給元から提供された前記医療検査素子を販売する販売者、前記医療検査素子を用いて検査する検査機関、医者または患者に設けられていることを特徴とする医療検査素子を媒体とする情報の処理システム。
(12)医療検査素子を媒体とする情報の処理システムであって、固有の認識記号が割り振られ、医療検査・診断などに使用する医療検査素子と、
前記医療検査素子の前記認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する個別付加情報を通信手段を介して遠隔上から書き込み可能な記憶手段と、
前記医療検査素子の前記認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する個別付加情報を通信手段を介して前記記憶手段に遠隔上から書き込むための複数の入力手段と、を有し、
前記複数の入力手段は、少なくとも前記医療検査素子の供給元、前記供給元から提供された前記医療検査素子を販売する販売者、前記医療検査素子を用いて検査する被検査者、医者または患者に設けられていることを特徴とする医療検査素子を媒体とする情報の処理システム。
(13)前記通信手段が、インターネットであることを特徴とする上記(11)または上記(12)に記載の情報の処理システム。
(14)前記医療検査素子の使用方法にかかわる個別付加情報は、前記素子のライフタイムを含む情報であることを特徴とする上記(11)または上記(12)に記載の情報の処理システム。
(15)前記医療検査素子が、QCMを用いた反応により検査を行う素子であることを特徴とする上記(11)または上記(12)に記載の情報の処理システム。
(16)前記医療検査素子は、DNAチップであることを特徴とする上記(11)または上記(12)に記載の情報の処理システム。
(17)前記医療検査素子は、基板上に流路を設け、化学的または物理的反応を素子上で処理することができるLOCであることを特徴とする上記(11)または上記(12)に記載の情報の処理システム。
(18)前記医療検査素子は、プロテインチップであることを特徴とする上記(11)または上記(12)に記載の情報の処理システム。
(19)前記医療検査素子は、DNAマイクロアレイであることを特徴とする上記(11)または上記(12)に記載の情報の処理システム。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記情報の処理方法、及び情報の処理システムを適用し、例えば、固有の認識記号が割り振られ、医療検査・診断などに使用するDNAチップなどの医療検査素子と、この医療検査素子に割り振られた認識記号に対応させて、前記医療検査素子に関する使用方法を含む個別付加情報を通信手段を介して遠隔上から書き込み・読み出し可能としたサーバ等の記憶手段と、この医療検査素子の認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する使用方法を含む個別付加情報をインターネット等の通信手段を介して前記記憶手段に遠隔上から書き込み・読み出すための複数の入出力手段(例えば医療検査素子の供給元,販売者,検査機関に備えられたパソコン等)を用いるようにすることで、前記の記憶手段に上記認識記号に対応させて書き込まれた医療検査素子の使用方法を含む個別付加情報を、前記認識記号に基づいてこれら複数のユーザ間で共有して利用することが可能となる。
これにより、例えば、医療検査素子ベンダーにおいては、医療検査素子のライフタイムを管理することが可能となる。また、医療検査素子を流通,販売先等においてその使用状態をリアルタイムで管理することが可能になる。医療機関や薬局は、医療検査素子のライフタイム内に処理することが可能になり、また医療検査素子の内容や使用法を簡便に知り、ユーザに伝えることが可能になる。
さらには、個人ユーザは医療検査素子の使用方法を簡便に知ることが出来る。また、検査機関は医療検査素子の使用されてきた履歴を知ることで、より精度の高い検査・検出を行うことができ、医療検査素子の検査結果を簡便に通知することが可能になる。そして、医療機関や個人ユーザは、この検査機関での検査結果を迅速に正確に知ることが可能になる。
【0010】
また、上記情報の処理方法、及び情報の処理システムを適用し、認識記号に基づく個別情報を複数のユーザ間で共有して利用することができるようにすることで、医療検査素子に関する個別情報をユーザ相互間で効果的に利用することが可能となる。例えば、医療検査素子ベンダーは、リサイクルする際にその医療検査素子がいかように使われてきたかを知ることが出来る。ここで、医療検査素子を医療検査素子ベンダーに配送することなく、医療廃棄物処理業者等にその処理を委託し、使用した医療検査素子をリサイクルすることなく破棄することも考えられる。その際は、検査機関や検査機関より廃棄を委託された業者等が、医療検査素子に付与されたIDを手掛かりとして、その破棄情報を登録するようにしてもよい。
このようにして回収され破棄された医療検査素子の情報を、例えばネット上のサーバにアップロードすることで、医療機関や個人ユーザに対して、個人ユーザの個人情報が知り得る医療検査素子が確実に処理されたことを通知せしめることが可能となる。
【0011】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1における医療検査素子ベンダーから出荷された医療検査素子が複数のユーザ間で共有して利用される一つの形態を示す図である。
また、図2は、図1に示す本実施例における医療検査素子の利用形態におけるフローチャートを示す図である。ここで、医療検査素子という用語は、DNAチップ、Lab on a Chip、マイクロアレイ、マイクロTASなどの医療診断などに使用されるものを総称して使用している。
【0012】
つぎに、これらの図1及び図2のフローチャート、さらには図6のシステム説明図を用いて本発明の実施例1について説明する。
最初に図6に基づきシステムを説明する。
医療検査素子10を作成する医療検査素子ベンダー11は、システム構築の役割を持ちシステムでの記憶手段としてのサーバ12を管理するとともに、サーバ12に接続された医療検査素子情報入力装置(例えば、パソコン)を有している。
医療検査素子10の販売を行うディストリビュータ16は、サーバ12とLANを介してインターネットにより情報の入力が出来るようになっているとともに、医療検査素子情報入力装置(例えば、パソコン)16aを有している。
病院などの医療機関13はサーバ12とLANを介してインターネットにより情報の入出力が出来るようになっているとともに、医療検査素子情報入力装置13a及び医療検査情報表示装置13b(例えば、パソコン)を有している。
実際に医療検査素子10の検査を行う検査センター14はサーバ12とLANを介してインターネットにより情報の入出力が出来るようになっているとともに、医療検査素子情報入力装置14a及び医療検査情報表示装置14b(例えば、パソコン)を有している。さらに、検査センター14は医療検査素子10を検査する為の医療検査素子結果読取装置14c及び医療検査素子検査装置14dを有している。
患者(個人ユーザ)15は サーバ12とLANを介してインターネットにより情報の入力が出来るようになっているとともに、医療検査情報表示装置15b(例えば、パソコン)を有している。
つぎに、システムフローについて説明する。
医療検査素子ベンダー11は医療検査素子10を作成し(ステップS201)、この医療検査素子10にIDを付与する(ステップS202)。ここで、医療検査素子10としては、例えば図5に示すようなDNAチップを用いた医療素子を作成し、図5(a)のようにIDとなる記号のみを付与しても良いし、あるいは図5(b)のようにバーコードを付加するようにしても良い。
医療検査素子ベンダー11は医療検査素子10に付与したIDをサーバ12に登録する(ステップS203)。その際にこの医療検査素子特有の使用方法や使用期限(ライフタイム)など、医療検査素子10を使用するにあたって必要な情報を加えた初期情報を登録する(ステップS203)。DNAチップなどでは新規開発によって、実際に患者が検査する使用方法はかわるものであり、ここでの使用方法の登録は、後の検査には極めて重要な情報となる。
これらの登録を終えた後、医療検査素子ベンダー11は医療検査素子10を出荷する(ステップS204)。
【0013】
医療検査素子10の流通・販売を行うディストリビュータ16は、上記出荷された医療検査素子10を、販売のために保管する。(このとき、医療検査素子ベンダー11がディストリビュータ16としての機能を果たしても良い)。
ディストリビュータ16は付与されたIDをキー項目として、流通過程の情報(温度管理や常温被爆時間、運送業者や日付など)をサーバ12に登録する(ステップS205)。
ディストリビュータは医療検査素子10を販売し(ステップS206)、販売先や販売日などの情報をIDをキー項目としてサーバ12に登録する(ステップS207)。
【0014】
病院や医院などの医療機関13は、販売された医療検査素子10を使用する(ステップS208)。その際にIDをキー項目として検索し、医療検査素子ベンダー11があらかじめ登録した医療検査素子10に関する情報である医療検査素子10の使用方法や使用期限など、医療検査素子10を利用するにあたっての参照情報を閲覧する(ステップS209)。これにより取り扱いミスを極力少なくすることができる。
医療機関13はIDをキー項目として、その使用状態や使用者(患者)氏名などをサーバ12に登録する(ステップS210)。
使用者(患者)15には医療検査素子10のIDを告知しておく(ステップS211)。
【0015】
医療検査素子10は、それを使用した医療機関13等が独自に所定の処理を行うか、あるいは検査センター(例えば医療検査の受託検査を請け負っている専門の評価機関)14などに医療検査素子10を配送する(ステップS212)。配送を受けた検査センター(検査機関)14は、配送にかかる状態や条件(運送状態や温度管理状態や、かかった時間や日数,入荷日など)をIDをキー項目としてサーバ12に登録する(ステップS213)。
検査センター14は医療検査素子10を検査し(ステップS214)、その検査情報をサーバに登録する(ステップS215(a))。 検査センター14は用済となった医療検査素子10を破棄する(ステップS216)。その際に破棄した状況や破棄方法、日時などをサーバ12に登録する(ステップS217)。
【0016】
あるいは、このように検査センター14が破棄処分をせずに、リサイクル処理のために医療検査素子10を医療検査素子ベンダー11に配送する。医療検査素子ベンダー11は医療検査素子をリサイクル使用するかどうかを判断する。すなわち、医療検査素子には寿命(使用回数,作成日からの経過日数)があるとともに、流通過程,医療機関,検査センターなどでの管理情報(温度管理や配送状態)も考慮して、リサイクルするか廃棄するかを判断することになる。この判断のために、IDをキー項目としてサーバ12から履歴情報を読み出す。そして、リサイクルする際には、適切に医療検査素子10を再利用可能に処理し、患者の個人情報(遺伝子情報)などが適切に処理されたことをサーバ12に登録する。無論、リサイクルする際には、新たなIDを付与することになる。ただし,その前のIDとのつながりもサーバ12に登録し、再度のリサイクル判断が、製造後の全ての履歴をおってできるようにする。
なお、検査センター14により登録された医療検査素子10による検査結果は、IDをキー項目として医療機関(医者など)13が閲覧することができる(ステップS215(b))。
また、患者15も告知されたIDをキー項目として、検査センター14により登録された医療検査素子10による検査結果を閲覧することができる(ステップS215(c))。患者15はサーバ12へのアクセスに関しては制限がかけられる。すなわち、自分の検査に用いられた医療検査素子10のIDに対してのみ検査結果が閲覧できるようにアクセス制限がかけられるとともに、自分の検査結果であるとしても、本人への情報伝達に不向きな情報(例えば、病気以外の情報)も閲覧できないようにする。
【0017】
以上に説明した本実施例において、医療検査素子ベンダー11、ディストリビュータ16、検査センター14などが、上記した医療検査素子10に付与したIDや使用方法、ライフタイム、流通過程の情報、検査情報等の医療検査素子10に関する情報を、ネット上のサーバ12に登録するには、例えば図6に示すようなインターネットを用いたLAN方式によるネットワークにより、サーバ12の記憶手段に書き込むようにしたシステム等を用いる。これにより、医療検査素子10のIDをキー項目として、医療検査素子10に関する個別付加情報をこれらのネットワークを介して、これらの医療検査素子ベンダー11、ディストリビュータ16、検査センター14などのそれぞれに設けられている入力手段を介して、遠隔上からサーバに書き込むようにすることができる。
【0018】
このようにして、ネット上のサーバ12に登録された医療検査素子10のIDをキー項目として、医療検査素子の製造者及び複数のユーザー(医療検査素子ベンダー11のコンピュータ、ユーザである医療機関や医師13のコンピュータ、または個人15のコンピュータ、検査機関14のコンピュータ)がネット上のサーバ12に対してそのステータスを登録し、チップIDを元にしてその医療検査素子10で知見される全ての情報を一元管理することができる。医療検査素子ベンダー11がこのシステムを構築するのであれば、各クライアントのステータスに基づく閲覧情報のアクセス制限も行い、且つ必要な情報の抜けのチェックや、書き込み(登録)履歴情報(日付,誰がなど)も管理することになる。
【0019】
このサイクルの中で、1つの医療検査素子10のIDが複数のサイトで使用され、またそのIDをキーとして複数のユーザが医療検査素子10の情報を登録し閲覧し利用する事が可能となる。これにより、医療検査素子ベンダー11は、出荷した医療検査素子10の使用期限や使用状態を管理することができ、適切な使用を啓蒙することができ、また適切な使用がなされているかを知ることが可能になる。医療検査素子販売者(ディストリビュータ16)は医療検査素子ベンダー11からの出荷状況を逐次把握することが出来る。各ユーザは使用される医療検査素子10の状態や内容を知ることが可能になる。
【0020】
また、検査センター14によって登録された内容をネット上で閲覧することが出来る。このようにユーザは、直接医療機関等に出向くことなく、また郵送等で送付されてくる通知を待つことなく、簡便に検査結果を入手することが可能になる。検査センター14は医療検査素子10が手元にくるまでにどのような期間どのように使用されたか、適切な使用方法や、使用可能期限を知ることができ、このファンクションを加味することでより確実な検査が可能になる。回収した医療検査素子ベンダー11が回収しリサイクル処理を行ったことを登録することで、各ユーザは個人情報が入った医療検査素子10が確実に処理されたことを知ることが出来る。
【0021】
[実施例2]
図3は、本発明の実施例2における医療検査素子ベンダー21から出荷された医療検査素子20が複数のユーザ間で共有して利用される他の形態を示す図である。
また、図4は、図2に示した本実施例おける医療検査素子20の利用形態におけるフローチャートを示す図である。本実施例においても医療検査素子20は、実施例1と同様のものを用いることができる。
【0022】
つぎに、これらの図3及び図4のフローチャート、さらには図7のシステム説明図を用いて本発明の実施例2について説明する。なお、実施例1と同様な部分は説明を省略する。
最初に図7に基づきシステムを説明する。
医療検査素子20を作成する医療検査素子ベンダー21は、システム構築の役割を持ちシステムでの記憶手段としてのサーバ22を管理するとともに、サーバ22に接続された医療検査素子情報入力装置(例えば、パソコン)を有している。
医療検査素子20の販売の為の搬送を行うディストリビュータ26は、サーバ22とLANを介してインターネットにより情報の入力が出来るようになっているとともに、医療検査素子情報入力装置(例えば、パソコン)26aを有している。
病院などの医療機関23はサーバ22とLANを介してインターネットにより情報の入出力が出来るようになっているとともに、医療検査素子情報入力装置23a及び医療検査情報表示装置23b(例えば、パソコン)を有している。
実際に医療検査素子20の検査を行う検査センター24はサーバ22とLANを介してインターネットにより情報の入出力が出来るようになっているとともに、医療検査素子情報入力装置24a及び医療検査情報表示装置24b(例えば、パソコン)を有している。さらに、検査センター24は医療検査素子20を検査する為の医療検査素子結果読取装置24c及び医療検査素子検査装置24dを有している。
患者(個人ユーザ)25は サーバ12とLANを介してインターネットにより情報の入出力が出来るようになっているとともに、医療検査素子情報入力装置25a及び医療検査情報表示装置15b(例えば、パソコン)を有している。
つぎに、システムフローについて説明する。
医療検査素子ベンダー21は医療検査素子20を作成し(ステップS401)、医療検査素子20にIDを付与する(ステップS402)。
医療検査素子ベンダー21は医療検査素子20に付与したIDをサーバ22に登録する(ステップS403)。その際に使用方法やライフタイムなど、医療検査素子20を使用するにあたって必要な情報も加えて登録する(ステップS403)。これらの登録を終えたのち、医療検査素子ベンダー21は医療検査素子20を出荷する(ステップS404)。
【0023】
ディストリビュータ26は、上記出荷された医療検査素子20を、搬送のために保管する。
(このとき、医療検査素子ベンダー21がディストリビュータとしての機能を果たしても良い)
ディストリビュータ26は、付与されたIDをキー項目として、流通過程の情報(温度管理や常温被爆時間、運送業者や日付など)をサーバ22に登録する(ステップS405)。
ディストリビュータ26は医療検査素子20を病院や医院などの医療機関23に搬送する(ステップ406)。
【0024】
販売元となる病院や医院などの医療機関23は、患者(個人ユーザ)25へ直接販売する(ステップ407)。そして、販売日,販売先(患者氏名など)などの情報をIDをキー項目としてサーバ22に登録する(ステップS408)。
上記販売元の病院や医院23などから販売された医療検査素子20を患者(個人ユーザ)25自身が使用する(ステップS409)。その使用に先立って、IDをキー項目として検索し、医療検査素子20の使用方法や使用期限など、医療検査素子20を利用するにあたっての参照情報を閲覧する(ステップS410)。
患者(個人ユーザ)25は使用にあたっては、IDをキー項目として、その使用状態や使用日などの情報を登録する(ステップS411)。
患者(個人ユーザ)25は使用した医療検査素子20のIDを医療機関(病院・医院の医師)23に告知しておく(ステップS412)。告知の手段は具体的には、IDをキー項目として、サーバ22に告知を記録すれば、その情報が医療機関23に通知されるようにシステムを組むだけである。
【0025】
患者(個人ユーザ)25は検査センター(検査機関)24に医療検査素子20を配送する(ステップS413)。検査センター24は患者(個人ユーザ)25からの配送にかかる状態や条件(運送状態や温度管理状態やかかった時間や日数など)をIDをキー項目としてサーバ22に登録する。
検査センター24は、医療検査素子20を検査し(ステップS415)、その結果をサーバ22に登録する(ステップS416(a))。
検査センター24は、用済となった医療検査素子20を破棄する(ステップS417)。その際に破棄した状況や破棄方法、日時などをサーバに登録する(ステップS418)。
【0026】
あるいは、このように検査センター24が破棄処分をせずに、リサイクル処理のために医療検査素子20を医療検査素子ベンダー21に配送する(ステップS418)。医療検査素子ベンダー21は医療検査素子20をリサイクル使用するが、その際にリサイクル可能に医療検査素子20を処理し、患者の個人情報(遺伝子情報)などの個人情報が適切に処理されたことをサーバ22に登録する。リサイクルに関する処理は、実施例1と同様である。
なお、この検査センター24により登録された医療検査素子20による検査結果は、IDをキー項目として医療機関(医者など)23が閲覧することができる(ステップS416(c))。
また、患者25も告知されたIDをキー項目として、検査センター24により登録された医療検査素子20による検査結果を閲覧することができる(ステップS416(b))。
患者25はその他に、医療検査素子20が適切に処理されたことなども閲覧することとができる。
【0027】
以上に説明した本実施例において、医療検査素子ベンダー21、ディストリビュータ26、患者(個人ユーザ)25などが、上記した医療検査素子20に付与したIDや使用方法、ライフタイム、販売情報、患者自身による使用状態等の情報を、ネット上のサーバ22に登録するには、例えば図7に示すようなインターネットを用いたLAN方式によるネットワークにより、サーバ22の記憶手段に書き込むようにしたシステムを用いる。これにより、医療検査素子20のIDをキー項目として、医療検査素子20に関する個別付加情報をこれらのネットワークを介して、これらの医療検査素子ベンダー21、ディストリビュータ26、患者(個人ユーザ)25などのそれぞれに設けられている入力手段を介して、遠隔上からサーバに書き込むようにすることができる。
【0028】
このようにして、ネット上のサーバ22に登録された医療検査素子20のIDをキー項目として、医療検査素子ベンダー21、ディストリビュータ26、患者(個人ユーザ)25、検査センター24が情報を共有する。このサイクルの中で1つのIDが複数のサイトで使用され、またそのIDをキーとして複数のユーザが医療検査素子20の情報を登録し閲覧し利用する。これにより医療検査素子ベンダー21は出荷した医療検査素子20の使用期限や使用状態を管理することが出来る。販売者は医療検査素子ベンダー21からの出荷状況を逐次把握することが出来る。患者(個人ユーザ)25は使用される医療検査素子20の状態や内容を知ることが可能になる。また、検査センター24によって登録された内容をネット上で閲覧することが出来る。さらに患者(個人ユーザ)25は、医療機関23の医師などと情報を共有することが可能になるため、簡便に検査を行うことが出来る。
【0029】
また、情報は医療機関23の医師と即時に共有されるために、異常時にはすみやかな手当てが期待できる。検査センター24は医療検査素子20が手元にくるまでにどのような期間どのように使用されたかを知ることができ、このファンクションを加味することでより確実な検査が可能になる。回収した医療検査素子ベンダー21が回収しリサイクル処理を行ったことを登録することで、患者(個人ユーザ)25は個人情報が入った医療検査素子20が確実に処理されたことを知ることが出来る。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、医療検査素子に関する情報を、医療検査素子にかかわる機関や個人ユーザ間で共有し、有効利用することが可能となる医療検査素子を媒体とする情報の処理方法及び処理システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における医療検査素子ベンダーから出荷された医療検査素子が複数のユーザ間で共有して利用される一つの形態を示す図である。
【図2】図1に示す実施例1における医療検査素子の利用形態におけるフローチャートを示す図である。
【図3】本発明の実施例2における医療検査素子ベンダーから出荷された医療検査素子が複数のユーザ間で共有して利用される他の形態を示す図である。
【図4】図3に示す実施例2における医療検査素子の利用形態におけるフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の実施例におけるDNAチップを用いた医療素子を示す図である。
【図6】本発明の実施例1におけるインターネットを用いたネットワークにより、サーバの記憶手段に書き込み及び読み出しできるようにしたシステムを説明するための図である。
【図7】本発明の実施例2におけるインターネットを用いたラン方式によるネットワークにより、サーバーの記憶手段に書き込み及び読み出しできるようにしたシステムを説明するための図である。
【符号の説明】
10:医療検査素子
11:医療検査素子ベンダー
12:サーバ
13:医療機関・薬局
14:検査センター(検査機関)
15:患者(個人ユーザ)
20:医療検査素子
21:医療検査素子ベンダー
22:サーバ
23:医療機関・薬局
24:検査センター(検査機関)
25:患者(個人ユーザ)

Claims (19)

  1. 医療検査素子を媒体とする情報の処理方法であって、固有の認識記号が割り振られ、医療検査・診断などに使用する医療検査素子と、
    前記医療検査素子の前記認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する個別付加情報を通信手段を介して遠隔上から書き込み可能な記憶手段と、を用い、
    前記医療検査素子の前記認識記号を特定するとともに、前記医療検査素子の使用方法にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップと、
    流通,販売などの流通にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップと、
    検査にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップと、
    前記認識記号に基づき前記複数の個別付加情報の1つ以上を読み出すステップと、を有し、
    前記医療検査素子にかかわる複数の個別付加情報を、前記認識記号に基づいて少なくとも前記医療検査素子の供給元、前記供給元から提供された前記医療検査素子を販売する販売者、前記医療検査素子を用いて検査する検査機関、医者または患者を含む複数のユーザ間で共有して利用することを特徴とする医療検査素子を媒体とする情報の処理方法。
  2. 医療検査素子を媒体とする情報の処理方法であって、固有の認識記号が割り振られ、医療検査・診断などに使用する医療検査素子と、
    前記医療検査素子の前記認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する個別付加情報を通信手段を介して遠隔上から書き込み可能な記憶手段と、を用い、
    前記医療検査素子の前記認識記号を特定するとともに、前記医療検査素子の使用方法にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップと、
    流通,販売などの流通にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップと、
    検査にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップと、
    前記認識記号に基づき前記複数の個別付加情報の1つ以上を読み出すステップと、を有し、
    前記医療検査素子にかかわる複数の個別付加情報を、前記認識記号に基づいて少なくとも前記医療検査素子の供給元、前記供給元から提供された前記医療検査素子を販売する販売者、前記医療検査素子を用いて検査する被検査者、医者または患者を含む複数のユーザ間で共有して利用することを特徴とする医療検査素子を媒体とする情報の処理方法。
  3. 検査後の廃棄にかかわる個別付加情報を、前記認識記号に対応させて前記記憶手段に書き込むステップを更に有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の医療検査素子を媒体とする情報の処理方法。
  4. 前記通信手段が、インターネットであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報の処理方法。
  5. 前記医療検査素子の使用方法にかかわる個別付加情報は、前記素子のライフタイムを含む情報であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報の処理方法。
  6. 前記医療検査素子が、QCMを用いた反応により検査を行う素子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報の処理方法。
  7. 前記医療検査素子は、DNAチップであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報の処理方法。
  8. 前記医療検査素子は、基板上に流路を設け、化学的または物理的反応を素子上で処理することができるLOCであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報の処理方法。
  9. 前記医療検査素子は、プロテインチップであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報の処理方法。
  10. 前記医療検査素子は、DNAマイクロアレイであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報の処理方法。
  11. 医療検査素子を媒体とする情報の処理システムであって、固有の認識記号が割り振られ、医療検査・診断などに使用する医療検査素子と、
    前記医療検査素子の前記認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する個別付加情報を通信手段を介して遠隔上から書き込み可能な記憶手段と、
    前記医療検査素子の前記認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する個別付加情報を通信手段を介して前記記憶手段に遠隔上から書き込むための複数の入力手段と、を有し、
    前記複数の入力手段は、少なくとも前記医療検査素子の供給元、前記供給元から提供された前記医療検査素子を販売する販売者、前記医療検査素子を用いて検査する検査機関、医者または患者に設けられていることを特徴とする医療検査素子を媒体とする情報の処理システム。
  12. 医療検査素子を媒体とする情報の処理システムであって、固有の認識記号が割り振られ、医療検査・診断などに使用する医療検査素子と、
    前記医療検査素子の前記認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する個別付加情報を通信手段を介して遠隔上から書き込み可能な記憶手段と、
    前記医療検査素子の前記認識記号に基づいて、前記医療検査素子に関する個別付加情報を通信手段を介して前記記憶手段に遠隔上から書き込むための複数の入力手段と、を有し、
    前記複数の入力手段は、少なくとも前記医療検査素子の供給元、前記供給元から提供された前記医療検査素子を販売する販売者、前記医療検査素子を用いて検査する被検査者、医者または患者に設けられていることを特徴とする医療検査素子を媒体とする情報の処理システム。
  13. 前記通信手段が、インターネットであることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の情報の処理システム。
  14. 前記医療検査素子の使用方法にかかわる個別付加情報は、前記素子のライフタイムを含む情報であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の情報の処理システム。
  15. 前記医療検査素子が、QCMを用いた反応により検査を行う素子であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の情報の処理システム。
  16. 前記医療検査素子は、DNAチップであることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の情報の処理システム。
  17. 前記医療検査素子は、基板上に流路を設け、化学的または物理的反応を素子上で処理することができるLOCであることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の情報の処理システム。
  18. 前記医療検査素子は、プロテインチップであることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の情報の処理システム。
  19. 前記医療検査素子は、DNAマイクロアレイであることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の情報の処理システム。
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