JP3778369B2 - 繊維処理剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、オルガノポリシロキサン鎖を含有する繊維処理剤及びそれを用いる繊維処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
繊維製品は洗濯を繰り返すと形が崩れて風合いが粗硬になるから、これを防ぐために多数の柔軟処理剤や風合改良剤が提案されている。これらのうち、オルガノポリシロキサン鎖を含む繊維処理剤は性能面で特に優れており、特開昭58−126378号公報には、ビニル基含有オルガノポリシロキサンとSi−H基含有オルガノポリシロキサンとビニルモノマーとの共重合物から成る繊維処理剤が開示されている。しかし、この繊維処理剤では充分満足できる柔軟な風合いが得られないため、柔軟性と反撥性の両者を備えた繊維処理剤の開発が進められ、特開平1−168971号公報、特開平1−168972号公報及び特開平4−89813号公報には、ラジカル反応性基を持つ高分子量オルガノポリシロキサンにアクリル系モノマーとビニル系モノマーをグラフト共重合させたエマルジョンからなる繊維処理剤が提案されている。
これらの繊維処理剤は、繊維に柔軟性と反撥性の両者を与えるが、該処理剤は高分子量オルガノポリシロキサン構造を架橋構造又は主鎖中に含み、水、アルコール又は界面活性剤溶液への充分な溶解性を示さないために、この処理剤を用いて繊維を処理する場合、洗濯や水洗い等で処理剤を除去できなかったり処理剤に汚れが付着して蓄積したりするような問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、以下の通りである。
(1)柔軟性でかつ反撥性又は保形性に富み、しかも滑沢性に優れた処理物を与える繊維処理剤を提供すること。
(2)オルガノポリシロキサン鎖からなる第1側鎖と、水及び/又はアルコール可溶性或いは疎水性のポリマー鎖からなる第2側鎖を有するビニルポリマーからなる繊維処理剤を提供すること。
(3)前記処理剤を溶解状又は分散状で含む処理液を用いる繊維の処理方法を提供すること。
本発明の他の課題は、以下の説明において明らかに理解されるであろう。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ケイ素原子数5〜1,000のオルガノポリシロキサン鎖からなる第1側鎖と、重合度が5〜500の水及び/又はアルコール可溶性のポリマー鎖からなる第2側鎖を有し、重量平均分子量が5,000〜5,000,000のビニルポリマーであって、かつ全体として水及び/又はアルコール可溶性を示す繊維処理剤が提供される。
また、本発明によれば、前記繊維処理剤を溶解状又は分散状で含む処理液に繊維を接触させることを特徴とする繊維の処理方法が提供される。
【0005】
本発明の繊維処理剤は、オルガノポリシロキサン鎖からなる側鎖を有するビニルポリマーからなる。この側鎖を構成するオルガノポリシロキサン鎖において、そのケイ素原子数は5〜1,000、好ましくは5〜800、さらに好ましくは10〜700である。オルガノポリシロキサン鎖のケイ素原子数が前記範囲より少なくなると、得られる繊維処理剤は、柔軟性、反撥性、滑沢性、保形性等の点で不満足のものとなり、一方、前記範囲より多くなると、得られる繊維処理剤は、水及び/又はアルコールへの溶解性や界面活性剤溶液可溶性等の点で不満足のものとなる。
本発明の繊維処理剤であるオルガノポリシロキサン鎖を有するビニルポリマー(以下、単にビニルポリマーとも言う)において、その好ましいオルガノポリシロキサン鎖は、下記一般式(1)で表わすことができる。
【0006】
【化1】
式中、Aはビニルポリマーの主鎖中の炭素原子に対する結合基を示し、例えば、−CO−O−、、−NH−、−CO−NH−、−CO−、−O−CO−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−(CR1R2)a−(R1、R2:低級アルキル基、a:1〜6の数)、−O−、−S−等を挙げることができる。
Bは連結基であり、2価脂肪族基であることができる。2価脂肪族基には、アルキレン基、主鎖中に酸素原子、窒素原子、イオウ原子等のヘテロ原子を有するアルキレン基、主鎖中にフェニレン基等のアリーレン基を含むアルキレン基、主鎖中にカルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を含むアルキレン基等が挙げられる。また、脂肪族基の末端原子は、炭素の他、酸素、窒素、イオウ原子等のヘテロ原子であることができる。さらに、これらの脂肪族基は、その置換基として、ヒドロキシ基やアルコキシ基、アルキル基等を有することができる。
【0007】
R1〜R5は脂肪族基又は芳香族基を示す。脂肪族基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等の低級アルキル基や、メトキシ基、エトキシ基等の低級アルコキシ基等を好ましいものとして挙げることができる。芳香族基としてはフェニル基、トリル基等のアリール基の他、ベンジル基等のアルアルキル基、フェノキシ基等のアリールオキシ基等を挙げることができる。これらのアリール基やアルアルキル基、アリールオキシ基は、その芳香族環にヒドロキシ基やアルコキシ基、アミノ基等の置換基を有していてもよい。
また、式中のp及びmは0又は1を示し、nは重合度を示し、5〜1,000、好ましくは5〜800、より好ましくは10〜700の整数である。
【0008】
連結基Bの具体例としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
【化2】
(1) -(CH2)x-
(2) -(CH2)x-O-(CH2)y-
(3) -NH-(CH2)x-
(4) -(CH2)x-NR-(CH2)y-(NH)b-(CH2)s-
(5) -(CH2)s-(NR)b-(CH2)v-C6H4-(CH2)w-
(6) -(CH2)x-NR-CO-NR-C6H4-(CH2)z-
(7) -CH2-CH(OH)-(CH2)x-NR-L
(8) -CH2-CH(OH)-O-L
(9) -NR-CH2-CH(OH)-L
(10) -(CH2)x-(CHR6)b-O-CH2-CH(OH)-L
(11) -(CH2)x-OCO-(CH2)y-COO-CH2-CH(OH)-L
(12) -(CH2-CHR7-O)x-(CH2-CHR8-O)s-CH2-CH(OH)-L
(1)〜(12)の式中、bは0又は1;s、v、w、x及びyは0〜12;zは0〜8の整数を表す。また、R、R6、R7及びR8は水素又は炭素数1〜12のアルキル基、Lは式(1)〜(6)の中から選ばれる2価連結基を表す。
【0009】
ビニルポリマー中のオルガノポリシロキサン含有率は0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.1〜40重量%である。ビニルポリマー中のオルガノポリシロキサン含有率が0.01重量%より低くなると、そのビニルポリマーによる繊維処理効果は不満足のものとなり、一方、90重量%を超えても、そのビニルポリマーの繊維処理効果は格別向上しない。
本発明で繊維処理剤に使用するオルガノポリシロキサン側鎖を有するビニルポリマーの重量平均分子量は、5,000〜500万、好ましくは5,000〜300万、より好ましくは5,000〜200万である。
【0010】
ビニルポリマーの主鎖は、水及び/又はアルコール可溶性ビニルモノマーや、疎水性ビニルモノマー或いはその両者で構成することができる。そして、水及び/又はアルコール可溶性ビニルモノマーを主成分として主鎖を構成すれば、全体として水及び/又はアルコール可溶性のビニルポリマーを得ることができるし、疎水性ビニルポリマーを主成分として主鎖を構成すれば、全体として水分散性のビニルポリマーを得ることができる。なお、これらのビニルモノマーとしては後記する各種のものがあるが、水及び/又はアルコール可溶性の好ましいビニルモノマーはアクリル酸やメタクリル酸等であり、疎水性のそれは酢酸ビニルや(メタ)アクリル酸のC1〜C18一価脂肪族アルコールエステル等である。
このようなビニルポリマーからなる繊維処理剤は、その溶液中又は分散液中から繊維表面に析出(沈着)して薄い被膜を形成する性能に優れ、さらに、その被膜の表面にオルガノポリシロキサン鎖が相分離する特性を有している。従って、本発明の繊維処理剤で処理した繊維は、柔軟性でかつ反撥性又は保形性に富み、しかも滑沢性に優れた繊維処理物を与える。
【0011】
本発明の繊維処理剤用ビニルポリマーは、前記オルガノポリシロキサンからなる第1側鎖と共に、水及び/又はアルコール可溶性のポリマーからなる第2の側鎖を有する。該ビニルポリマーは、その第2側鎖がオルガノポリシロキサン鎖の相分離を促進させる作用を持つために、オルガノポリシロキサン含有率が低くても高い繊維処理効果を示す。第2側鎖は、疎水性モノマーから誘導されたものでもよいが、好ましくは水及び/又はアルコール可溶性モノマーから誘導されたものである。第2側鎖を構成するポリマーの重合度は、5〜500、好ましくは10〜500、より好ましくは20〜500である。また、第2側鎖を構成するポリマーの含有率は全ビニルポリマー中、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.1〜40重量%である。第2側鎖含有率が前記範囲より少ないと、第2側鎖によるオルガノポリシロキサン鎖の相分離を促進させる等の効果が得られなくなる。一方、前記範囲より多くなると繊維処理効果が低下する等の問題が生じるので好ましくない。
【0012】
本発明で繊維処理剤に用いる第1側鎖と第2側鎖を有するビニルポリマーにおいて、その好ましい第2側鎖は下記一般式(2)で表わすことができる。
−A−(B)p−(F)m−(G)q−J (2)
式中、A及びBは前記一般式(1)に関して示したものと同じ意味を有する。pは0又は1の数である。また、Fは、−S−、−O−又は下記(3)式で表わされる2価連結基である。mは0又は1の数である。
【化3】
式中、Gは1種以上のモノマーである。qは重合度を示し、5〜500、好ましくは10〜500、より好ましくは20〜500の整数である。
モノマーGの具体例としては以下のものが例示されるが、以下に示す(メタ)アクリルはアクリルとメタクリルの両者が含まれていることを意味している。
【0013】
(1)(メタ)アクリル酸系モノマー
(メタ)アクリル酸又はそのアルカリ中和物;(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート;ヒドロキシ(メタ)アクリレート;N−t−ブチルアクリルアミド;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリレートアルコール類;(メタ)アクリル酸ベンジル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル;直鎖又は分岐のあるC1〜C18アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第3級アミン含有(メタ)アクリレート類;重合度2〜23のポリエチレングリコールから成るメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類;重合度1〜23のポリエチレングリコールから成るフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第3級アミン含有(メタ)アクリレート類と、ジメチル硫酸やモノクロル酢酸等の両性化剤との反応による両性(メタ)アクリレート;ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第3級アミン含有(メタ)アクリレート類と、メチルクロライドやベンジルクロライド等の4級化剤との反応によるカチオン性(メタ)アクリレート類;その他。
【0014】
(2)その他のモノマー
マレイン酸又はそのアルカリ中和物;無水マレイン酸及びその半エステル類又はそのアルカリ中和物;クロトン酸又はそのアルカリ中和物;イタコン酸又はそのアルカリ中和物;ジアリルジメチルアンモニウムクロリド;アリルアルコールやビニルアルコール等の脂肪族不飽和低級アルコール類;ビニルエーテル類;マレイミド;ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等のビニル基を持つヘテロ環化合物類;ビニルカプロラクタム;スチレン;α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、スチレンスルホネート、2−メトキシスチレン等のスチレン誘導体類;酢酸ビニル等のビニルエステル又はその一部加水分解物;エチレン、ブタジエン、シクロヘキサジエン等の不飽和炭化水素類;エチレンオキシド;その他。
これらのうち特に好ましいモノマーとしては、(メタ)アクリル酸又はそのC1〜C18一価脂肪族アルコールエステル、酢酸ビニル、エチレンオキシド、ビニルアルコール、ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0015】
前記一般式(2)の中のJは重合反応停止末端基を示している。この末端基は、連鎖移動剤、重合開始剤、モノマー、溶媒等から誘導されたものであり、末端基の具体的構造を連鎖移動剤との関係で示すと以下の通りである。
(1)連鎖移動剤として下記一般式(4)で表わされるものを用いる場合
HS−R−COOH (4)
R:炭素数1〜4のアルキレン基
一般式(4)で表わされる連鎖移動剤使用時のJは下記一般式(5)で表わされる。
−S−R−COOH (5)
(2)連鎖移動剤として下記一般式(6)で表わされるものを用いる場合
HS−R−OH (6)
R:炭素数1〜4のアルキレン基
一般式(6)で表わされる連鎖移動剤使用時のJは下記一般式(7)で表わされる。
−S−R−OH (7)
【0016】
(3)連鎖移動剤として下記一般式(8)で表わされるものを用いる場合
HS−R−NH3Cl (8)
R:炭素数1〜4のアルキレン基
一般式(8)で表わされる連鎖移動剤使用時のJは下記一般式(9)で表わされる。
−S−R−NH3Cl (9)
(4)連鎖移動剤として下記一般式(10)で表わされるものを用いる場合
R−CO−SH (10)
R:炭素数1〜4のアルキレン基
一般式(10)で表わされる連鎖移動剤使用時のJは下記一般式(11)で表わされる。
−S−CO−R (11)
(5)連鎖移動剤として下記一般式(12)で表わされるものを用いる場合
R−SH (12)
R:炭素数1〜18のアルキル基
一般式(12)で表わされる連鎖移動剤使用時のJは下記一般式(13)で表わされる。
【0017】
−S−R (13)
(6)連鎖移動剤として下記一般式(14)で表わされるものを用いる場合
【化4】
一般式(14)で表わされる連鎖移動剤使用時のJは下記一般式(15)で表わされる。なお、一般式(15)の記号は前記と同じものを意味している。
【化5】
【0018】
オルガノポリシロキサン鎖を有するビニルポリマーは、オルガノポリシロキサン鎖を有するビニルモノマーと、他のビニルモノマーからなる重合原料をラジカル重合させることにより得ることができる。オルガノポリシロキサン鎖からなる第1側鎖と共に、他のポリマーからなる第2側鎖を有するビニルポリマーは、オルガノポリシロキサン鎖を有するビニルモノマーと、他のポリマー鎖を有するビニルモノマーと、必要に応じて添加される通常の低分子量ビニルモノマーからなる重合原料を、ラジカル重合させることによって得ることができる。これらのラジカル重合法においては、原料モノマーからなる重合原料をラジカル重合開始剤の存在下で重合反応させることで実施されるが、この場合のラジカル重合法としては、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、マイクロサスペンジョン重合等が挙げられる。
【0019】
重合反応は、溶媒又は分散媒中で窒素等の不活性ガス雰囲気下に行われる。反応温度は30〜100℃、好ましくは50〜90℃であり、反応時間は1〜10時間である。ラジカル重合開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2−アゾビス(N,N−ジメチレン−イソ−ブチロアミジン)液酸塩等のアゾ化合物;ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド等の有機過酸化物;過酸化水素;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらのうちアゾ化合物が特に好ましい。ラジカル重合開始剤の添加量はモノマー全量の0.001〜2.0モル%、好ましくは0.01〜1.0モル%である。
【0020】
重合原料を溶液重合法により重合させる場合、溶媒には極性有機溶媒を使用するのが好ましく、該溶媒は水との混合物の形で用いても良い。極性有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる。
重合原料を乳化重合法で重合させる場合、その重合原料は保護コロイド及び乳化剤の存在下で重合させる。保護コロイドとしては、酢酸ビニルの単重合体又は共重合体を完全又は部分的にケン化した重合体、加工デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン等が例示され、これら保護コロイドの1種又は2種以上混合物を使用すれば良い。また、これら保護コロイドの添加量は、反応器内容物全重量の0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。
【0021】
乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;ラウリル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンドデシル硫酸ソーダ、ノニルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン性界面活性剤;モノアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニアムクロライド、トリアルキルベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。乳化剤の添加量は反応器内容物全重量の0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0022】
オルガノポリシロキサン鎖を有するビニルモノマーとしては、従来公知のシリコーン系マクロモノマーを用いることができる。このようなマクロモノマーとしては、下記一般式(16)で表わされるものを挙げることができる。そして、該モノマーと他のビニルモノマーとを共重合させることにより、オルガノポリシロキサン鎖を側鎖として有するビニルポリマーが得られる。
【化6】
式中、DはH、−(CH2)r−CH3(r=0〜17)、−CO-O-(CH2)r−CH3(r=0〜17)、フェニル基又はシアノ基を示す。A、B、R1〜R5、p、m及びnは前記一般式(1)の同一記号のものと同じものを意味している。
【0023】
ポリマー鎖を有するビニルモノマーとしては、従来公知の非シリコーン系マクロモノマーを用いることができる。このようなマクロモノマーとしては、下記一般式(17)で表わされるものを挙げることができる。
【化7】
式中、Dは前記一般式(16)のDと同じものであり、A、B、F、G、p、m、q及びJは前記一般式(2)の同一記号のものと同じものを意味している。
前記一般式(17)で示したマクロモノマーは、これをシリコーン系マクロモノマー及び必要に応じて添加される通常の低分子量ビニルモノマーと反応させることにより、オルガノポリシロキサン鎖からなる第1側鎖とポリマー鎖からなる第2側鎖を有するビニルポリマーを与える。
前記したマクロモノマー及びその製造技術については、「マクロモノマーの化学と工業」(山下雄也編、アイピーシ出版部)に詳述されており、また、各種のものを市販品〔東亜合成(株)〕として入手可能である。
【0024】
オルガノポリシロキサン鎖を有するビニルモノマー(X)と低分子量ビニルモノマー(Y)とからなるビニルポリマーにおいて、ビニルモノマー(X)の含有率は0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.1〜40重量%である。
このようなビニルポリマーは、そのビニルモノマー(Y)の種類とその含有率を適宜選定することにより、その性状を水及び/又はアルコール可溶性或いは水分散性のものとすることができる。
水及び/又はアルコール可溶性のビニルポリマーを得る場合、ビニルモノマー(Y)としては水及び/又はアルコール可溶性のビニルモノマーが使用される。そして、水及び/又はアルコール可溶性のビニルポリマーを得るためには、該ビニルモノマーの含有率を十分に高い値とするのが良く、その含有率は通常10重量%以上、好ましくは30〜99.99重量%、より好ましくは60〜99.9重量%である。このようなビニルモノマーとしては以下のものが例示される。
【0025】
(メタ)アクリル酸又はそのアルカリ中和物、P(エチレングリコールの重合モル数)=2〜23のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、P=2〜23のエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、P=1〜23のフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルレート又はその四級塩、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアクリルアミド、マレイン酸又はそのアルカリ中和物或いはその半エステル類、無水マレイン酸、クロトン酸又はそのアルカリ中和物、イタコン酸又はそのアルカリ中和物、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリレートアルコール類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、マレイミド、ビニルピリジンやビニルイミダゾール等の極性ビニルヘテロ環化合物類、スチレンスルホネート、アリルアルコール、ビニルカプロラクタム等。
【0026】
水及び/又はアルコール可溶性のビニルポリマーは、前記モノマーの1種又は2種以上を組み合わせて使用することによって得られるが、この場合の特に好ましいビニルモノマーは、(メタ)アクリル酸、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの四級塩、クロトン酸、イタコン酸、ビニルアルコール等である。
水分散性のビニルポリマーを得る場合、ビニルモノマー(Y)としては、疎水性ビニルモノマーが用いられる。このようなビニルモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、スチレン、酢酸ビニル、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ブタジエン、シクロヘキサジエン、エチレン、ビニルトルエン等が例示される。そして、これらの1種又は2種以上を組合せて使用すれば良いが、特に酢酸ビニルやアクリル酸エステルの使用が好ましい。また、上記の水及び/又はアルコール可溶性ビニルモノマーと該疎水性ビニルモノマーを併用することもできる。
これらの疎水性ビニルモノマーの含有率は、1〜99.99重量%、好ましくは10〜99.9重量%、より好ましくは40〜99.9重量%である。
【0027】
オルガノポリシロキサン鎖を有するビニルモノマー(X)と、ポリマー鎖を有するビニルモノマー(Z)と、必要に応じて添加される低分子量ビニルモノマー(Y)からなるビニルポリマーにおいて、ビニルモノマー(X)の含有率は0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.1〜40重量%である。ビニルモノマー(Z)の含有率は0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.1〜40重量%である。ビニルモノマー(Y)の含有率は0〜99.99重量%、好ましくは30〜99.9重量%、より好ましくは60〜99.9重量%である。このようなビニルポリマーは、そのビニルモノマー(Z)及びビニルモノマー(Y)の種類と、それらの含有率を適宜選定することにより、その性状を水及び/又はアルコール可溶性或いは水分散性のものとすることができる。
【0028】
水及び/又はアルコール可溶性のビニルポリマーを得る場合、ビニルモノマー(Z)としては、水及び/又はアルコール可溶性ビニルモノマーが用いられる。このようなビニルモノマーとしては、前記一般式(17)で表わされるマクロモノマーにおいて、そのポリマー鎖(G)qが水及び/又はアルコール可溶性のモノマーから誘導されたホモポリマー又はコポリマーからなるものを示すことができる。低分子量ビニルモノマー(Y)の種類は特に制約されないが、水及び/又はアルコール可溶性のビニルモノマーを使用するの好ましい。
水及び/又はアルコール可溶性のビニルポリマーを得るためには、ビニルモノマー(z)の含有率を十分高くするのが好ましく、その含有率は通常0.01重量%以上、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.1〜40重量%とするのが良い。ビニルモノマー(Y)の含有率は、0〜99.99重量%、好ましくは10〜99.9重量%、より好ましくは30〜99.9重量%である。
【0029】
前記オルガノポリシロキサン鎖を有するビニルポリマーは、前記ラジカル重合法による他、ラジカル重合法と官能基反応法との組合せによって製造することができる。この方法では、先ず、水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等の反応性基を有するビニルモノマー、又はこれと他のビニルモノマーとの混合物をラジカル重合させ、次いで得られたビニルポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)に対し、反応性基Yを片末端に有するオルガノポリシロキサンを反応させる。これによってオルガノポリシロキサン鎖を有するポリマーが得られる。オルガノポリシロキサンの片末端に位置する反応性基Yは、ポリマーに導入された反応性基Xと反応結合し得る基である。例えば、反応性基Xが水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基等の活性水素原子を持つ反応性基である場合には、反応性基Yとしてはエポキシ基、ハロゲン原子、イソシアネート基等が選ばれる。一方、反応性基Xがエポキシ基、ハロゲン原子、イソシアネート基等の場合には、反応性基Yとしては水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基等の活性水素原子を持つ反応性基が選ばれる。
【0030】
ポリマー中に導入されるオルガノポリシロキサン鎖の数は、ポリマー中の反応性基Xの数と、これに反応させる反応性基Yを有するオルガノポリシロキサンのモル数でコントロールすることができる。反応性基Yを有するオルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(18)で表わされるものを用いることができる。
【化8】
式中、Yは水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、ハロゲン原子等の反応性基を示す。B、R1〜R5、p、m及びnは前記一般式(1)の同一記号のものと同じものを意味している。
【0031】
ラジカル重合法と官能基反応法との組合せでオルガノポリシロキサン鎖を有するポリマーを得る場合、そのラジカル重合原料に前記一般式(17)で表わされる非シリコーン系のマクロモノマーを混合すると、オルガノポリシロキサン鎖とポリマー鎖の両方を有するポリマーが得られる。この場合、そのポリマー鎖の数はラジカル重合原料に加えるそのマクロモノマーの量でコントロールできる。
本発明の繊維処理剤(ビニルポリマー)は、これを水、アルコール、アルコール/水混合物等の媒体中に溶解させた溶液の形態で用いることができる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコールが用いられる。溶液中の繊維処理剤濃度は、0.1〜40重量%、好ましくは0.1〜20重量%である。
【0032】
本発明の繊維処理剤は、これを水又はアルコール/水混合物中に分散させた分散液(水性エマルジョン)の形態で用いることができる。この場合、分散液中には界面活性剤や保護コロイドを添加することができる。分散液中の繊維処理剤濃度は0.01〜40重量%、好ましくは0.01〜10重量%である。
本発明の繊維処理剤は、前記溶液や分散液に、ジメチルエーテルやCO2、液化石油ガス等の噴射剤を配合したエアゾール組成物として用いることができる。
本発明の繊維処理剤で繊維を処理するには、本発明の繊維処理剤を前記した形態において繊維と接触させればよい。この場合の接触処理法としては、浸漬法、塗布法、スプレー法、洗濯機内処理法等が用いられる。繊維としては、ポリエステルやポリアミド等の各種の合成繊維及び羊毛、木綿、絹等の各種の天然繊維が挙げられる。また、繊維は、糸、織物、不織布、シート状繊維製品、衣服、その他の製品等各種の形態であることができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の繊維処理剤を含む処理液に繊維を接触させると、処理液中に含まれていた処理剤がその繊維表面に析出し、薄い高分子被膜が形成される。本発明の繊維処理剤の場合、そのオルガノポリシロキサン鎖が処理液中からの繊維表面上への析出性に優れていることから、低濃度の処理液からでも繊維表面への薄い高分子被膜の形成が可能である。さらに、本発明によるオルガノポリシロキサン鎖とポリマー鎖の両方を有する繊維処理剤は、処理液中から繊維表面上へのオルガノポリシロキサン鎖の析出が促進され、繊維表面に対する高分子被膜の形成がより円滑なものとなる。
本発明の繊維処理剤で処理された繊維は、柔軟性と反撥性又は保形性に優れると共に、優れた滑沢性(すべり性)を有するものであり、優れた風合い及び感触を示すものである。
本発明の繊維処理剤は、繊維に対して前記した柔軟性、反撥性、滑沢性、保形性等を与えるために適用される他、縫製工程中において糸の滑り性を向上させるための繊維処理剤等として適用される。
本発明の繊維処理剤は、ビニルポリマーからなるものであることから、その製造は容易である。
【0034】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例で限定されるものではない。なお、以下に示す部及び%は重量基準である。
【0035】
参考例1
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素導入管及び撹拌機を備えた四つ口フラスコにイソプロパノール(IPA)95部を入れ、フラスコを加熱・昇温させながら窒素ガスを1時間導入して、フラスコ内の空気を充分に窒素で置換した。滴下ロートはA、Bの2個備えられており、Aには2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5部とIPA30部より成る混合液を、Bには重量平均分子量約10,000のシリコーン系マクロモノマー(A)50部とメタクリル酸50部の混合液を入れた。フラスコ内のIPA温度を80℃に保ち、良く撹拌されているIPA中に滴下ロートA及びBの内容物を一定速度で滴下し、3時間で滴下が終了してからも更に3時間同一条件で反応を継続した。この液を室温に冷却して重合反応を終えてからテフロン被覆の皿に注ぎ、これを真空乾燥してオルガノポリシロキサン側鎖を持つビニルポリマーを得た。
【0036】
このビニルポリマーは、重量平均分子量が約13万で水及びアルコール(エタノール、イソパノール)に可溶であった。また、ビニルポリマー中のオルガノポリシロキサン含有率は35%であった。
なお、シリコーン系マクロモノマーAの構造式は下記(19)式の通りである。
【化9】
(式中、n=133)
【0037】
実施例1
ポリマー製造用の原料に、重量平均分子量約40,000のシリコーン系マクロモノマー(B)15部、重量平均分子量約6,000のポリアクリル酸ブチルマクロモノマー15部及びメタクリル酸80部の混合液を使用した以外は、実施例1と全く同様にしてビニルポリマーを合成した。
このようにして得られたビニルポリマーは、重量平均分子量が約45万で水及びアルコールに可溶であった。また、そのオルガノポリシロキサン含有率は11%であり、そのポリアクリル酸ブチル含有率は10重量%であった。
原料に使用したシリコーン系マクロモノマー(B)及びポリアクリル酸ブチルマクロモノマーの構造式は以下の通りである。
〔シリコーン系マクロモノマー(B)の構造式〕
前記式(19)において、n=532のもの
〔ポリアクリル酸ブチルマクロモノマーの構造式〕
【化10】
(式中、m=45)
【0038】
実施例2
参考例1で使用したものと同じシリコーン系マクロモノマー(A)15部と、実施例1で使用したものと同じポリアクリル酸ブチルマクロモノマー2部と、アクリルアミド80部から成る混合液をポリマー製造原料とし、溶媒にIPA120部とアセトン150部の混合液を使用した以外は、参考例1と全く同様にしてビニルポリマーを合成した。ここに得られたビニルポリマーは重量平均分子量約31万、オルガノポリシロキサン含有率は8%、ポリアクリル酸ブチル含有率は1%であった。このビニルポリマーは、水及びアルコールに可溶であった。
【0039】
実施例3
シリコーン系マクロモノマー(C)(分子量約30,000)48部、ポリアクリル酸エチルマクロモノマー(分子量約8,000)2部、メタクリル酸ジメチルアミノエチル50重量部を用い、溶媒として酢酸エチルを用いた以外は参考例1と同様にして実験を行った。
ここに得られたビニルポリマーの重量平均分子量は約35万であり、そのオルガノポリシロキサン含有率は31%、そのポリアクリル酸エチル含有率は1%であった。また、このビニルポリマーは水及びアルコールに可溶であった。
原料に使用したシリコーン系マクロモノマー(C)及びポリアクリル酸エチルマクロモノマーの構造式は以下の通りである。
〔シリコーン系マクロモノマー(C)の構造式〕
前記式(19)において、n=400のもの
〔ポリアクリル酸エチルマクロモノマーの構造式〕
【化11】
【0040】
実施例4
シリコーン系マクロモノマー(D)(分子量約1,000)30部、ポリアクリル酸メチルマクロモノマー(分子量約6,000)20部、アクリル酸50部を用い、溶媒にトルエンを使った以外は参考例1と同様にして実験を行った。
このようにして得られたビニルポリマーの重量平均分子量は約68,000、そのオルガノポリシロキサン含有率は24%、そのポリアクリル酸メチル含有率は16%であった。また、このものは水及びアルコールに可溶であった。
原料に使用したシリコーン系マクロモノマー(D)及びポリアクリル酸メチルマクロモノマーの構造式は以下の通りである。
〔シリコーン系マクロモノマー(D)の構造式〕
前記式(19)において、n=11のもの
〔ポリアクリル酸メチルマクロモノマーの構造式〕
【化12】
【0041】
実施例5
シリコーン系マクロモノマー(E)(分子量約65,000)70部、ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(分子量約6,000)10部、メタクリル酸20部を用い、溶媒としてトルエンを用いた以外は参考例1と同様にして実験を行った。このようにして得られたビニルポリマーの重量平均分子量は約72万、そのオルガノポリシロキサン含有率は50%、そのポリメタクリル酸メチルマクロモノマー含有率は7%であった。また、このものは水やアルコールに僅かに溶解して白濁した。
原料に使用したシリコーン系マクロモノマー(E)及びポリメタクリル酸メチルマクロモノマーの構造式は以下の通りである。
〔シリコーン系マクロモノマー(E)の構造式〕
前記式(19)において、n=489のもの
〔ポリメタクリル酸メチルマクロモノマーの構造式〕
【化13】
【0042】
実施例6
シリコーン系マクロモノマー(F)(分子量370)10部、ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(分子量730)50部、ビニルピロリドン40部を用い、溶媒にトルエンを使った以外は参考例1と同様にして実験を行った。このようにして得られたビニルポリマーの重量平均分子量は約12,000、そのオルガノポリシロキサン含有率は8%、そのポリメタクリル酸メチルマクロモノマー含有率は35%であった。また、このものは水又はアルコールに溶解した。
原料に使用したシリコーン系マクロモノマー(F)及びポリメタクリル酸メチルマクロモノマーの構造式は以下の通りである。
〔シリコーン系マクロモノマー(F)の構造式〕
前記式(19)において、n=5のもの
〔ポリメタクリル酸メチルマクロモノマーの構造式〕
前記式(23)において、m=5のもの
【0043】
実施例7
表1に示す成分組成のモノマー混合物を用いた以外は参考例1と同様にして実験を行った。ここに得られたビニルポリマーは、いずれも水及びエタノールに溶解した。
なお、表1に示す各モノマーは以下に示す式で表わされる。
(i)シリコーン系マクロモノマー
【化14】
【0044】
(ii)ビニルモノマー
【化15】
【0045】
(iii)アルコール可溶性マクロモノマー
【化16】
【0046】
【表1】
【0047】
参考例2
メタクリル酸ブチル30部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル20部、アクリル酸50部の混合液を滴下ロートBから滴下する原料とし、溶媒(IPA)使用量を200部とした以外は実施例1と全く同様にしてビニルポリマーを製造した。このビニルポリマーに、水酸化ナトリウム7部と水10部の混合液を加えて均一溶解させ、この溶液に下記式(24)で示される分子量約10,000のシリコーン系化合物(G)6部を加え、反応温度を50℃として7時間撹拌下に反応させた。反応生成物を実施例1に示した方法と同様に処理すると、オルガノポリシロキサン有する側鎖を持つビニルポリマーが得られた。このビニルポリマーの重量平均分子量は約12,000、オルガノポリシロキサン含有率は2%であった。なお、前記シリコーン系化合物(G)の構造式は下記の通りである。
【化17】
【0048】
参考例3
参考例1で使用したものと同じ反応器に精製水233部を入れ、これにカオチン化デンプン8部を溶解してから、参考例1と同じ方法でフラスコ内の空気を窒素と置換した。一方、2,2−アゾビス(N,N−ジメチレンイソブチロジアミジン)塩酸塩1.1部と、重量平均分子量約20,000のシリコーン系マクロモノマー〔前記式(19)におけるn=266のもの〕26部を酢酸ビニル148部に溶解して均一液とした。重合度23のポリエチレングリコール−オレイルエーテル1部を乳化剤とし、前記の均一液をホモミキサーによって精製水70部中に分散・乳化させて水性乳化分散液を調製した。
【0049】
前記のカチオン化デンプンが溶解している水溶液を撹拌下に80℃に保ち、これに前記の水性乳化分散液を4時間かけて滴下ロートから滴下し、滴下終了後も80℃で2時間撹拌を継続して重合させた。2時間経過後、液温を室温にして重合反応を終結させたところ、オルガノポリシロキサン側鎖を持つビニルポリマーが分散されている水性分散液が得られた。
本参考例では、重合反応中のフラスコ内壁に微量の凝集物が付着していたが、調製後の水性分散液でポリマーが凝集するような挙動は見られず、生成ポリマーのほぼ全量が該分散液中に安定に分散されていた。ここに分散されているビニルポリマーの重量平均分子量は約105万、オルガノポリシロキサン含有率は12%であり、分散液中の該ポリマーの含有率は35.7%であった。
【0050】
実施例8
ポリマー製造原料として、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.8部と実施例7で使用したものと同じシリコーン系マクロモノマー26部を、酢酸ビニル87部とメタクリル酸ブチル50部と実施例1で用いたポリアクリル酸ブチルマクロモノマー6部とメタクリル酸5部より成る混合液に溶解させた均一液を使用した。該均一液に、乳化剤としてノニルフェノール1モルにエチレンオキサイド51モルを付加させた非イオン界面活性剤1部を加え、ホモミキサーによって70部の精製水と均一混合して水性乳化分散液を調製した。また、保護コロイドにはカチオン化デンプンの代わりにカチオン化セルロースを使用した。以上のほかは参考例3と全く同じ方法で水性分散液を調製したところ、重合反応時の反応器内容物の挙動や生成した水性分散液の状態は参考例3のそれと同じであった。また、ここに分散されているビニルポリマーの重量平均分子量は約180万、オルガノポリシロキサン含有率は11%、ポリアクリル酸ブチルマクロモノマー含有率は4%、分散液中の該ポリマーの含有率は37%であった。
【0051】
比較例1
市販酢酸ビニルエマルジョン〔カネボウ製:商品名ヨドゾール、ポリ酢酸ビニル含有率40%〕を精製水で2%に希釈して比較例1の繊維処理剤を調製した。
比較例2
市販ヒドロキシプロピルデンプン〔日澱化学製:商品名バイオスターチ〕の2%水溶液を比較例2の繊維処理剤とした。
比較例3
SH−200の40%水分散液を比較例3の繊維処理剤とした。なお、SH−200はトーレ・シリコーン製ジメチルポリシロキサンである。
【0052】
実施例9
溶媒60ミリリットル当り2gの繊維処理剤を含む各種原液を噴射剤と共にエアゾール缶に充填してエアゾール製品を作製した。この場合、原液/噴射剤比は60/40(容量比)とした。このエアゾール製品は、原液と噴射剤の体積の和100ミリリットル当り2gの繊維処理剤(ポリマー)を含むものであった。このようにして作製したエアゾール製品の内容を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
次に、下記の各種試験布(20cm×20cm)に前記エアゾール製品を4秒間均一噴霧してから温度25℃、相対湿度50%の恒温恒湿室に6時間入れて乾燥した。この方法で処理しされた試験布を官能評価した結果を表3に示す。
(試験布)
試験布A:アクリル
試験布B:テトロン/綿混紡
試験布C:ナイロン
試験布D:綿ブロード(#60)
前記試験布のうち試験布A〜Cは、ドライクリーニングテスター(テスター産業社製)を用い、布1kgをパークロルエチレン10ミリリットルで30分間前処理してから使用した。試験布Dは、家庭用洗濯機を使って粉末洗剤(ハイトップ:ライオン社製)25gで布1kgを洗浄し、これを試験布とした。各試験布は、風乾後、20cm×20cmに裁断して用いた。
【0055】
処理された試験布に対する前記の官能評価は、剛軟性、アイロン滑り、風合いの2項目について以下の基準で行った。
(剛軟性)
1点:スプレー糊処理並みの硬さ
2点:ソフト糊処理並みの硬さ
3点:やや硬い感じがする
4点:未処理布と同じ
5点:シリコーンオイル処理並みの柔らかさ
6点:カチオン柔軟剤処理並みの柔らかさ
(アイロン滑り)
◎:非常になめらか
○:なめらか
△:若干なめらか
×:未処理布と同じ
(風合い)
◎:柔軟性で反撥性に富む
○:やや柔軟性で反撥性がある
△:柔軟性か反撥性の一方に劣る
×:未処理と同じ
【0056】
【表3】
【0057】
実施例10
家庭用洗濯機に20リットルの水道水を入れ、これに繊維処理剤6gを添加し、よく分散させた後、500gの試験布を投入し、3分間撹拌し、次いで脱水機で30秒間脱水した後、室温で乾燥し、官能評価した。その結果を表4に示す。
なお、水道水に添加した処理剤の添加量6gは、ポリマー換算量である。
【表4】
Claims (2)
- ケイ素原子数5〜1,000のオルガノポリシロキサン鎖からなる第1側鎖と、重合度が5〜500の水及び/又はアルコール可溶性のポリマー鎖からなる第2側鎖を有し、重量平均分子量が5,000〜5,000,000のビニルポリマーであって、かつ全体として水及び/又はアルコール可溶性を示す繊維処理剤。
- 請求項1のいずれかの繊維処理剤を溶解状又は分散状で含む処理液に繊維を接触させることを特徴とする繊維の処理方法。
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