JP3778093B2 - 基板処理装置の処理状態検出機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示パネル、半導体ウエハ、光ディスク等の薄板基板の表面にコーティングや蒸着、スパッタリングその他の成膜手段で形成した薄膜を形成した後、この薄膜の厚みを変化させる処理を行う基板処理装置において、その処理状態を検出する機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、TFT型の液晶表示パネルを構成する液晶セルは、TFT基板とカラーフィルタとから構成されるものであり、TFT基板表面に回路パターンを形成するために、ガラス基板の表面に金属薄膜を形成し、その上にフォトレジスト膜を積層した上で、露光及び現像を行い、次いでエッチングという工程を複数回繰り返し行われる。ここで、エッチング工程は、エッチング液と接触させることにより金属薄膜を除去する工程であり、エッチング液を基板に噴射するか、またはエッチング液槽内に基板を浸漬させる方式等が採用される。
【0003】
いずれの方式を採用するにしろ、エッチングは適正な時点で終了しなければならない。十分エッチングが行なわれないときには、正確なパターンを形成することができず、また過剰にエッチングを行うと、フォトレジスト膜の内側までエッチングされる結果、やはり正確なパターンが形成されない。エッチングは、その進行に伴って、基板表面から金属薄膜の厚みが減少し、やがては基板表面が露出することになる。従って、この基板表面が露出した時点を検出する必要がある。なお、この時点で処理を終了する場合もあるが、この時からさらに所定の時間だけエッチングを継続することにより、適正な金属薄膜のパターンが得られるようにすることもある。従って、前述した基板表面が露出した時点をエッチング等の処理の終点として、この処理の終点検出を行うことによって、エッチング等といった基板の表面処理を正確に行うことができる。
【0004】
基板処理における終点検出を行う方式としては、例えば特開平5−322515号公報に開示されているものが従来から知られている。この従来技術による終点検出方式は、基板の薄膜形成面を上向けて水平状態に保持して処理液と接触させ、この間に赤外光等からなり、膜厚を検出するための光を照射する光源とコリメータレンズとを含む投光手段によって平行光束からなる照明光を照射して、結像レンズを介してこの基板からの反射光を受光手段により受光させ、この受光手段の受光量の変化に基づいて終点検出を行うようにしている。
【0005】
投光手段からの照明光は基板の表面に対して直交する方向に向けて照射し、基板からの反射光はハーフミラーによって、照明光路から分離して受光手段に受光させる。照明光はその一部が薄膜表面で反射し、またこの薄膜表面を透過した光はさらに基板表面で反射することから、これら薄膜表面からの反射光と基板表面からの反射光との間で光の干渉作用が生じるが、この干渉光は薄膜の膜厚の変化に応じてその光の強さが変動することになる。従って、この膜厚が変化し続ける限り受光手段の受光レベルが変動する。そして、基板表面から薄膜が除去されると、前述した反射光の干渉作用がなくなるので、受光手段による受光量は変動しなくなり、信号レベルが一定化する。即ち、受光手段の受光量が一定になるというのは、基板表面から薄膜が除去されたことであり、この時点を処理の終点として検出している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、受光手段による検出光は薄膜表面からの反射光と、基板表面からの反射光との干渉光であるから、処理の終点を正確に検出するには、基板への入射光及び反射光の光路は水平状態に保持されている基板の薄膜形成面に対して垂直な方向としなければならない。従って、光源及びコリメータレンズを含む入射側の光路と、受光手段及びハーフミラーの光軸を正確に一致させ、かつ基板を常に正確に水平状態に保つようにしなければならない。このために、光学系等の組み立てが面倒になるだけでなく、振動等の影響で基板が傾くと、正確な終点検出ができない場合がある。
【0007】
基板への処理の効率化という点からは、基板の薄膜形成面と処理液との間に相対的な流れを形成するのが望ましい。このためには、処理を行っている間に基板を水平方向に往復動させるのが一般的であり、この間に基板が振動して、その薄膜形成面が傾くことがある。基板に傾きが発生すると、薄膜からの反射光と、薄膜の厚みを隔てた位置にある基板からの反射光との光路に微小ではあるが差が生じて、正確な干渉波が得られないだけでなく、受光手段への結像位置が変化する。従って、受光手段における受光面をある程度大きくする必要があり、そうすると基板から反射する干渉光以外のノイズ光の受光量が多くなり、S/N比が低下するという問題点もある。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、照明側と受光側との間の光軸調整が容易であり、しかも基板が多少傾いていても、薄膜の膜厚が所定の状態となったことを正確に検出できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成するため、本発明は、基板処理装置によって、表面に薄膜を形成した基板からなる被処理物を処理して、この薄膜の膜厚が予め設定した条件を満たすまで変化したことを検出するために、前記基板処理装置で処理を行っている前記被処理物の薄膜形成面に対して所定の角度をもって膜厚検出光を照射する光源と、この光源からの出射光を透過させる投光用光学系とを含む投光手段と、前記薄膜形成面からの反射光を受光して、その膜厚の減少を受光量の変化として検出する受光手段とからなり、前記投光用光学系は負のパワーを有するコリメータレンズを用いることによって、前記光源からの出射光を概略平行光束で、かつ多少発散する傾向にあり、光軸中心位置とほぼ同じ光量が得られる所定の範囲の反射光が得られる光となるように制御するものであり、前記受光手段の受光面は前記薄膜形成面からの反射光束中の限定された一部の光を受光するものであることをその特徴とするものである。
【0010】
基板処理装置は、被処理物を構成する基板の表面に形成した薄膜の厚みを変化させるものである。この処理は所定の薬液を用いた液処理で行われる。例えば、エッチング液等の処理液を被処理物に接触させることによって、基板の表面に形成した薄膜が化学的に研磨される。被処理物を処理液と接触させる方式として、ディッピング方式、噴射方式等がある。ディッピング方式で処理を行う場合、被処理物は処理液槽内で水平状態に保つことができ、また処理液槽内で垂直状態に保持するようにしても良い。さらに、水平状態に対して所定の角度傾斜する姿勢に保持することもできる。この傾斜状態での処理は、ディッピング方式だけではなく、噴射方式にも適用できる。
【0011】
基板における光の反射率と、この基板に形成された薄膜の反射率との間に差がある場合、基板処理装置で被処理物を処理することにより薄膜の膜厚が減少すると、投光手段から基板の薄膜形成面に所定の角度をもって入射した膜厚検出光の反射率が変化する。例えば、基板がガラス等の透明部材からなり、その表面に金属薄膜が形成されている場合、金属薄膜の膜厚が厚いと光の反射率が高いが、膜厚の減少に応じて反射光量が減少する。そこで、薄膜を形成した基板からなる被処理物に膜厚検出光を照射して、反射光量が減少するのを検出することにより、基板表面に積層された薄膜の膜厚の変化を測定することができる。このために、投光手段からは被処理物表面に対して斜めに膜厚検出光を入射させて、その反射光路に受光手段を配置し、この受光手段による受光量を測定する。従って、投光手段を構成する光源からの出射光は必ずしも可干渉性のある光である必要はない。また、受光手段は光電変換素子、例えばフォトディテクタ等で構成することができる。
【0012】
受光手段で検出するのは被処理物からの光の反射率の変化であるから、処理の進行中において、受光条件が一定であるとすれば、必ずしも反射光の全てを受光させる必要はない。そこで、反射光束のうちの一部の光を受光させるようにした。これによって、受光手段は反射光路に臨ませる必要はあるものの、投光手段側との間の光軸調整を必ずしも厳格に行わなくても良くなる。ただし、基板処理中に受光手段による受光条件が変化すると、正確な測定が行われない。被処理物が静止状態にあり、かつ処理液も静止しておれば、反射光路に格別の変化が生じることがなく、このために膜厚検出の精度は極めて高いものとなる。基板処理装置では、基板を処理液槽に浸漬するにしろ、また処理液噴射手段により処理液を基板に噴射するにしろ、検出光路は処理液を通ることから、処理液に流れがあると光の揺らぎが発生する。また、被処理物の処理の効率化を図るために、処理液と接触させている間に被処理物を往復動させる場合がある。このように、被処理物を動かすと、振動による被処理物の表面に傾きが発生する。これらの結果、実際に測定している間に、反射光路の光軸がずれたり、傾いたりするのを防止することはできない。
【0013】
光路に揺らぎが生じたり、基板が振動したりすると、受光条件が変化してしまうことになる。そこで、受光手段による受光条件が実質的に変化するのを防止するために、投光用光学系を、そのままでは大きく発散する光源からの照射光を概略平行光束乃至平行光束に近い制御された広がりをもって発散させる特性を持たせ、かつ被処理物からの反射光を受光手段に受光させるに当って、光束を収束させたり、結像させたりはせず、被処理物に反射した後における発散傾向にある反射光の一部分のみを受光手段で受光させるように構成した。
【0014】
光源からの膜厚検出光を受光手段の配設位置において、概略均等な光量となる範囲はできるだけ大きくする方が望ましい。投光手段側から受光手段に至るまでの光路において、平行光束から若干発散させるのはこのためである。従って、投光用光学系としては、コリメータレンズを用いるか、若しくはコリメータレンズに僅かに負のパワーを持たせる。コリメータレンズを用いても、被処理物から反射した光は多少発散する傾向となる。このように、平行光束から多少発散する傾向にある光とすることによって、受光手段側では、光軸中心位置からある範囲はほぼ同じ光量が得られる範囲が存在することになる。そして、投光用光学系から受光手段までの光路長を調整することによって、概略均等な光量となる範囲を増大させることができる。即ち、被処理物の処理中における被処理物の傾き等の影響で、被処理物からの反射光を受光手段で受光させる際に、受光側におけるダイナミックレンジ等を勘案して、即ち光路断面の光量分布が信号処理の過程等で吸収できる範囲内となるような位置に配置すれば良い。また、投光用光学系は、中心部の曲率が周辺部の曲率より小さくなった非球面レンズで構成することもでき、これによってさらに光量の均等化が図られ、かつ均等な範囲も広くなる。
【0015】
要するに、光路の揺らぎや基板の傾きによる影響を実質的に受けない範囲を存在させ、この範囲をできるだけ広くする。そして、受光手段がこの範囲内に配置されている限りは、前述した要因による光軸の変化があっても、実質的に受光条件が変化しないことになる。そこで、受光手段の受光面の面積を、反射光の光路断面で実質的に同じ光量分布を有する範囲との関係に基づいて設定する。この意味では、受光手段の受光面はできるだけ小さい方が望ましい。ただし、受光手段の受光面積を小さくすれば、当然、受光量が少なくなる。このためには、光源からの出射光量を大きくする。そこで、光源からパルス状の光を照射する構成とすれば、光源を格別大型化しなくても必要な光量を得ることができる。
【0016】
被処理物の基板に積層させた薄膜の膜厚が予め設定した条件を満たした時は所望に設定できるが、例えば薄膜が除去された時とすることができる。この場合には、受光手段は受光量の変化を検出し、実質的にこの受光量の変化がなくなったときに、その処理を終了するように制御する。ただし、膜厚条件としては、これに限定されるものではなく、ある設定された厚みにまで薄膜の膜厚が研磨された時等とすることもできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1に基板処理装置の概略構成を示す。図中において、1は例えばエッチング液等の処理液を所定レベルにまで貯留している処理液槽であって、この処理液槽1内には複数の搬送ローラ2が設けられており、被処理物3はこれら搬送ローラ2上に水平状態にして保持されている。被処理物3は、例えば図2(a)に示したように、表面に金属薄膜4を積層させた透明ガラスからなる基板5で構成され、さらに金属薄膜4の上にはフォトレジスト膜6が部分的に覆われている。処理液槽1内においては、被処理物3は、その金属薄膜4の形成面を上向きにして浸漬させて、フォトレジスト膜6に覆われていない露出した金属薄膜4を化学的に研磨して除去する処理が行なわれる。ここで、搬送ローラ2は、被処理物3の表面処理を行っている間は、この被処理物3を図1に矢印で示したように、所定のストローク分だけ往復移動させるようにしている。これによって、被処理物3の表面と処理液との間に相対的な流れが形成されて、効率的に表面研磨が行なわれる。
【0018】
被処理物3の処理は、図2(b)に示したように、フォトレジスト膜6で覆われている部分を除いて、基板5の表面から金属薄膜4を化学的に研磨して除去するものであり、金属薄膜4の除去は完全に行なわれなければならず、しかもフォトレジスト膜6の下部の金属薄膜4は完全な状態で残っていなければならない。このために、被処理物3における基板5の金属薄膜4の膜厚を測定して、この膜厚が所定の条件を満たした時に、具体的には基板5から金属薄膜4が除去されてその表面が露出した状態となった時に、処理の終点として、被処理物3を処理液槽1から取り出さなければならない。なお、基板5の表面が露出した時に直ちに処理液槽1から取り出すのではなく、金属薄膜4のパターンがシャープな形状とするために、さらに一定の時間処理液槽1内に浸漬させる場合もある。
【0019】
基板5の表面状態の検出、つまり金属薄膜4の膜厚測定は光学的に行なわれるものであり、このために処理状態検出機構としては、投光手段10と受光手段11とから大略構成される。投光手段10は光源12と投光用光学系としての投光レンズ13とを含むものである。光源12は、処理液による影響をできるだけ受けない、即ち処理液中で吸収乃至散乱したり、処理液表面で反射したりするのを極力抑制できる波長域の光を出力するものであり、かつ出射光束の広がり角が小さい光源とする。このためには、例えば赤外光を出射する発光ダイオードが好適である。光源12から出射される光は投光用光学系としての投光レンズ13により拡散する光源光を制御するようにして被処理物3に照射される。ここで、光源12としての発光ダイオードはパルス照明を行うものであり、その駆動周期は例えば数kHz〜十数kHz程度とするのが望ましい。
【0020】
光源12から投光レンズ13を介して被処理物3に照射される膜厚検出光の入射側の光軸は、水平状態に保持されている被処理物3の上面に対して所定角度傾けている。ここで、被処理物3への入射角は、金属薄膜4からの反射光量と基板5からの反射光量との差ができるだけ大きくなるように、本実施の形態では金属薄膜4からの反射光量が大きく、基板5からの反射光量が小さくなる角度に設定する。そして、投光レンズ13は光源12から発散する光をほぼ平行光束となるように制御する。ここで、投光レンズ13としてはコリメータレンズを用いることができ、またコリメータレンズに僅かに負のパワーを有するものとする。
【0021】
以上のことから、投光手段10側から被処理物3に照射されて、この被処理物3から反射した膜厚検出光は平行光束に近い発散光となり、この被処理物3からの反射光は発散傾向のまま受光手段11に入射される。受光手段11は、例えばフォトディテクタ等で構成され、受光量に応じた電圧(または電流)レベルの検出信号が出力されることになる。ここで、受光手段11の受光面11aは被処理物3の表面に対して投光手段10からの入射光の反射光路に臨むように、所定の角度傾くように配置されている。ただし、受光面11aは被処理物3からの反射光の光路断面に対して、一部分の光のみを受光させるようにしている。そして、このように発散傾向にある被処理物3からの反射光を効率的に受光面11aに集光させるために、この受光面11aには受光レンズ14が接合されている。
【0022】
受光手段11の受光面11aの面積を被処理物3からの反射光の光路断面に対して制限しているのは、処理液槽1内で被処理物3を処理している間に生じる被処理物3の振動や、処理液が流動することにより発生する光路の揺らぎ等の影響で受光条件が変化するのを抑制するためである。即ち、被処理物3は処理液槽1内で搬送ローラ2によって、図1に示したように、所定のストロークだけ往復動させるが、往復動時には被処理物3は振動する結果、この被処理物3に傾きが生じることになる。被処理物3が傾くと、反射光の受光手段11における受光面11aへの入射位置が変化する。
【0023】
今、図3に示したように、被処理物3の往復動時における最大振れ角をθ1とすると、受光手段11における受光面11aへの光路が角度θ2だけ振れるように変化する。ここで、図4において、受光面11aの配設位置(図1のPの位置)における光路断面をSで表したときに、この光路断面における光源12に起因する光量分布はDとなる。投光レンズ13により概略平行光束とすることによって、被処理物3の表面からの反射光は発散傾向にある概略平行光束となる。被処理物3から受光手段11までの距離をある程度長くすれば、光軸中心Cを中心としてほぼ均一な光量分布を有する範囲が広くなる。ただし、受光手段11を被処理物3から遠ざけると、それだけ被処理物3から反射する光の受光量が減少し、S/N比が低下する。
【0024】
一方、被処理物3の振れに起因して、受光手段11による受光量が多少変化するにしても、この受光側にはダイナミックレンジがあるから、後述する信号処理回路による処理によって吸収できる誤差範囲がある。そこで、この許容誤差範囲が光軸中心位置での受光量を100とした時に、そのほぼ80%程度であるとしたときに、光軸中心を含む図4の範囲E内に受光手段11が位置しておれば、受光条件は実質的に変わらないことになる。
【0025】
そこで、投光レンズ13と被処理物3との間隔及び被処理物3と受光手段11との間隔、さらに受光手段11の受光面11aの面積を適宜設定することによって、受光面11aへの光路の光軸が最大振れ角θ2だけ傾いても、この反射光路内で受光手段11の受光面11aが必ず範囲E内に位置するように設定する。これによって、被処理物3の振動等に起因する反射光路の光軸の傾きやずれの影響をほぼ排除することができる。その結果、受光手段11による受光条件が処理中に変化するのを防止することができる。また、投光側と受光側とを構成する各部材間の光軸合わせをそれほど厳格に行わなくても良い。さらに、投光レンズ13を非球面レンズとなし、その光軸中心から所定の範囲の曲率半径を、周辺部における曲率半径より大きくすれば、光軸中心部分の光束が多少広がる傾向となり、また周辺部の光束は多少収束する傾向となるので、受光手段11の配設位置での光量分布が均一な範囲がより大きくなる。
【0026】
本実施の形態において、基板処理装置及びその処理状態検出機構は以上のように構成されるものであって、次に処理液槽1内において、被処理物3の金属薄膜4を研磨してその膜厚を変化させる処理を行うに当って、この処理の終点検出を行う方法について説明する。従って、本実施の形態では、被処理物3において、金属薄膜4が剥離されて基板5の表面が露出した状態を処理の終点とする。
【0027】
既に説明したように、基板処理装置は、被処理物3を処理液槽1内に設けた搬送ローラ2上に載置して、処理液内に所定の時間浸漬させることによって、基板5の表面に積層されている金属薄膜4を化学的に研磨する処理が行なわれる。また、この処理が行なわれている間は、搬送ローラ2を駆動することによって、被処理物3を所定ストローク往復動させる。ここで、被処理物3の金属薄膜4に対して基板5は透明なガラスであり、金属薄膜4は基板5より高い光の反射率を有するものから構成される。そして、金属薄膜4の膜厚が薄くなるに応じて光が透過することになる。投光手段10から金属薄膜4に光を照射して、その反射光を受光手段11により受光させているので、金属薄膜4の膜厚が薄くなるのに応じて反射光量が減少することになり、反射光量が一定になると金属薄膜4が除去されたことになる。
【0028】
従って、受光手段11による受光量が減少し始めた後において、受光量のレベル変化がなくなった時点が処理の終点であると判定するが、この終点検出を行うための回路のブロック構成を図5に示す。図中において、20は信号発生器であり、信号発生器20はパルス照明を行う光源12の点滅制御を行うためのものであり、この信号発生器20により設定された基準周波数で光源12が点滅制御される。また、受光手段11にはA/D変換器21が接続されており、受光手段11からの受光量信号がデジタル信号に変換されるようになっている。このA/D変換器21には光源12を制御する信号発生器20による基準周波数が取り込まれる。そして、この基準周波数を予め設定した間引きを行うように、所定の時間間隔毎に受光信号が受光手段11からA/D変換器21に取り込まれてデジタル変換される。さらに、22はフィルタであり、A/D変換器21からのデジタル信号を演算により平均化処理して、ノイズ成分が除去され、かつ信号波形がスムースなものとなるように処理される。ここで、受光手段11による受光信号には、通常異なる複数の周波数成分のノイズが存在する。従って、これら複数の周波数領域のノイズ成分をそれぞれ除去するために、フィルタ22は複数段で信号のフィルタリングを行うものを用いる。そして、フィルタ22の出力側には微分回路23が接続されており、この微分回路23によって、受光信号が微分されて、信号レベル変化が抽出される。この微分信号はD/A変換器24によってアナログ信号に変換されて、終点判定回路25に取り込まれて、この終点判定回路25により処理の終点検出が行われる。
【0029】
而して、処理液槽1内に被処理物3を浸漬させて、投光手段10から出射される膜厚検出光を被処理物3で反射させて、受光手段11により受光させる。信号発生器20から出力される基準周波数信号に基づく制御パルス信号がA/D変換器21に入力されて、受光手段11による受光信号(電圧値若しくは電流値)がデジタル信号に変換される。従って、このA/D変換器21から出力されるデジタル信号は、図6(a)に示したものとなる。ここで、A/D変換器21からの出力信号には、様々なノイズ成分が含まれている。このノイズの主なものは、被処理物3が処理液槽1内で処理される間に左右に往復動させることに起因するものである。A/D変換器21の出力信号をフィルタ22による演算で平均化処理することによって、ノイズ成分等が取り除かれると共に信号波形が滑らかなものとなるように補正される。従って、フィルタ22からの出力信号の波形は図6(b)に示したようになる。
【0030】
この図6(b)の信号波形から明らかなように、処理の初期段階では信号の変化は殆ど認められず、処理開始から時間T1経過すると、信号レベルが急速に低下するようになる。処理開始からこの時間T1経過した時から反応が開始され、金属薄膜4の膜厚が減少していく。そして、時間T2が経過すると、信号レベルがほぼ一定になる。この信号レベルが一定になると、金属薄膜4が基板5から除去されたことになる。このフィルタ22からの出力信号を微分回路23に取り込んでこの信号波形を微分することによって、図6(c)に示した信号が得られる。この図から明らかなように、金属薄膜4の膜厚が減少している過程、つまり時間T1から時間T2までの間は微分による変化量が存在するが、時間T2になると変化は認められなくなる。従って、この微分回路23からの出力信号において、一度変化が生じた後、信号レベルが一定化した時が処理の終点となる。
【0031】
そこで、この微分回路23からの出力信号をD/A変換器24でアナログ信号に変換して、この信号を終点判定回路25に取り込んで、この信号波形を解析することによって、具体的には信号レベルが変化した後に一定化した時に処理が終了したと判定する。
【0032】
なお、終点判定は、必ずしもアナログ信号に変換した後に行う必要はなく、デジタル信号の状態で終点判定を行うこともできる。また、フィルタ22の出力信号をそのままD/A変換器によりアナログ信号に変換し、このアナログ信号を微分する等の処理を行うこともできる。要するに、受光手段11からの受光信号をデジタル変換して、フィルタにより演算処理を行って、ノイズ成分を除去しかつ平均化処理することによって、金属薄膜4の膜厚変化に基づく反射光量の変化のみを抽出し、この信号を微分することによって、処理の終点を検出することができる。
【0033】
前述した第1の実施の形態では、被処理物3の処理を行うに当って、処理液槽1を用いたが、被処理物3の処理は、これ以外にも、図7に示した装置により行うこともできる。この図から明らかなように、被処理物3は処理チャンバ30内において、適宜の揺動手段により水平状態を保ちながら同図に矢印イで示した方向に往復移動させるようにしている。また、この処理チャンバ30の上部位置には処理液の噴射手段31が設けられており、この噴射手段31には左右に処理液噴射部32,32が設けられており、かつ噴射手段31は処理液を噴射する際に、矢印ロで示したように所定角度分だけ回動するようになっている。
【0034】
以上のように構成することによっても、被処理物3における基板5の表面に形成した金属薄膜4を処理液の噴射により化学的に研磨して、フォトレジスト膜6で覆われた部分以外が取り除かれる処理を行うことができる。そして、この場合も、前述した第1の実施の形態で説明したと同様、被処理物3に向けて膜厚検出光を照射するために、光源12と投光レンズ13とからなる投光手段10と、この膜厚検出光の被処理物3からの反射光を受光する受光手段11とが設けられている。また、受光手段11の受光面11aには受光レンズ14が接合するように設けられる。そして、受光手段11からの受光信号を図5に示した回路構成を有する処理の終点検出機構に取り込んで、第1の実施の形態と実質的に同様の処理を行うことによって、被処理物3から金属薄膜4が除去されたことの検出を行うことができる。
【0035】
ここで、投光手段10から被処理物3で反射して受光手段11に至る光路には、噴射手段31を構成する処理液噴射部32から噴射される処理液滴が通過することから、フィルタ22への入力信号は、図8に示したように、極めて大きな変動が生じる。つまり、信号の変動要因としては、第1の実施の形態において説明した被処理物3の動きによる傾きに加えて、光が処理液噴射部32から噴射される処理液滴を通過するか、通過しないかという点と、噴射手段31の回動に基づく処理液滴の動き等が信号の変動要因となる。
【0036】
受光手段11による受光信号はA/D変換器21によりデジタル信号に変換された上で、フィルタ22によって、高周波成分を含むノイズ成分を除去するように演算処理が行われるので、フィルタ22の出力信号は図6(b)と実質的に同様の信号波形を有するものに補正することができる。従って、この信号を微分回路23で微分することによって、処理の終点を正確に検出できるようになる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、照明側と受光側との間の光軸調整が容易であり、しかも基板が多少傾いていても、薄膜の膜厚が所定の状態となったことを正確に検出できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す基板処理装置の概略構成図である。
【図2】被処理物の処理工程を示す説明図である。
【図3】被処理物の処理中における傾きの発生状態を示す作動説明図である。
【図4】受光手段による受光位置での光束の光量分布を示す説明図である。
【図5】終点検出を行うための回路のブロック図である。
【図6】図5のブロック図における各部の信号波形を示す線図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す基板処理装置の概略構成図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるフィルタへの入力信号の波形を示す線図である。
【符号の説明】
1 処理液槽 2 搬送ローラ
3 被処理物 4 金属薄膜
5 基板 6 フォトレジスト膜
10 投光手段 11 受光手段
11a 受光面 13 投光レンズ
14 受光レンズ 20 信号発生器
21 A/D変換器 22 フィルタ
23 微分回路 24 D/A変換器
25 終点判定回路
30 処理チャンバ 31 噴射手段
32 処理液噴射部

Claims (7)

  1. 基板処理装置によって、表面に薄膜を形成した基板からなる被処理物を処理して、この薄膜の膜厚が予め設定した条件を満たすまで変化したことを検出するために、
    前記基板処理装置で処理を行っている前記被処理物の薄膜形成面に対して所定の角度をもって膜厚検出光を照射する光源と、この光源からの出射光を透過させる投光用光学系とを含む投光手段と、
    前記薄膜形成面からの反射光を受光して、その膜厚の減少を受光量の変化として検出する受光手段とからなり、
    前記投光用光学系は負のパワーを有するコリメータレンズを用いることによって、前記光源からの出射光を概略平行光束で、かつ多少発散する傾向となり、光軸中心位置とほぼ同じ光量が得られる所定の範囲の反射光が得られるように制御するものであり、
    前記受光手段の受光面は前記薄膜形成面からの反射光束中の限定された一部の光を受光するものである
    ことを特徴とする基板処理装置の処理状態検出機構。
  2. 前記基板処理装置は、前記被処理物を水平状態に保持する保持手段と、このようにして水平状態に保持された被処理物を処理液に浸漬させる処理液槽若しくは前記被処理物に処理液を噴射する処理液噴射手段と、前記保持手段は前記被処理物を処理中に水平方向に往復動させるものであり、前記受光手段の受光面の面積は、この被処理物の動作時に生じる振動により反射光の光軸の最大振れ幅内で前記受光手段の受光量の差が所定の範囲内となるように設定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置の処理状態検出機構。
  3. 前記光源は一定のパルスで光を照射するものであることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置の処理状態検出機構。
  4. 前記投光用光学系は、前記光源からの膜厚検出光を前記受光手段の配設位置において、概略均等な光量となる範囲を増大させるものであることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置の処理状態検出機構。
  5. 前記受光手段は、前記被処理物からの反射光の光路断面における光量分布のうち、この被処理物の処理中における変動により生じる受光量の変動幅が信号処理回路による処理によって吸収可能な許容誤差範囲内となる位置に配置する構成としたことを特徴とする請求項4記載の基板処理装置の処理状態検出機構。
  6. 前記投光用光学系は、中心部の曲率が周辺部の曲率より小さくなった非球面レンズで構成したことを特徴とする請求項4記載の基板処理装置の処理状態検出機構。
  7. 前記基板処理装置は、前記被処理物の表面から部分的に前記薄膜を剥離するものであり、前記膜厚についての設定条件はこの薄膜が除去された時に満たされるものであって、前記受光手段は受光量の変化を検出し、実質的にこの受光量の変化がなくなったときに、その処理を終了するように制御する構成としたことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置の処理状態検出機構。
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