JP3777717B2 - ステータの穴開け方法,及びステータ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソレノイドに用いられるステータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、流体通路を開放/閉鎖するための電磁弁は、コイルを巻装したステータ(固定鉄心)と、上記コイルを励磁することで生じるステータの電磁吸引力によって移動する可動部材(アーマチュアやプランジャ)と、からなる電磁式のソレノイドを備えており、上記可動部材の移動に伴い、流体通路に配設された弁体が開弁位置或いは閉弁位置に動作するようになっている。
【0003】
そして、ソレノイドを構成するステータとしては、湾曲形状をなす複数の磁性体の板材を渦巻き状に積層してなるスパイラル型のステータが考えられている。即ち、この構成を採用することにより、厚さが均一で飽和磁束の大きい電磁鋼板(例えばケイ素鋼板)を密に重ね合わせて、電磁吸引力が高い円筒状のステータを簡単に得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記スパイラル型のステータでは、その軸方向にドリルなどの回転切削工具を用いて円形の穴を開けておき、その穴からコイルの端末部を外部に突出させて、その突出した端末部からコイルへ電流を供給する。
【0005】
しかしながら、このスパイラル型ステータでは、上記穴を開ける際に、渦巻き状に積層された板材が、回転切削工具の回転力によってずれてしまいうという問題がある。そして、板材がずれてしまったステータでは、寸法及び形状が変化してしまう上に、期待される高い電磁吸引力を確実に発生することができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、湾曲形状をなす複数の磁性体の板材を渦巻き状に積層してなるステータの軸方向に、回転切削工具によって穴を開ける際に、板材がずれてしまうことを確実に防止できる穴開け方向、及び、所定の性能を確実に発揮できるステータを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】
本発明のステータの穴開け方法は、湾曲形状をなす複数の磁性体の板材を渦巻き状に積層してなるステータに対し、その軸方向に回転切削工具によって円形の穴を開けるためのものであり、特に、回転切削工具によって開ける穴の半径を、その穴が開けられる位置における板材の曲率半径よりも小さく設定している。
【0008】
具体的には、請求項2に記載の如く、回転切削工具として、その回転中心から外周部までの最大距離が、ステータに穴を開ける位置での板材の曲率半径よりも小さい回転切削工具を用いるのである。
このような本発明の穴開け方法によれば、回転切削工具によって開けられる穴の半径が、その穴の開けられる位置での板材の曲率半径よりも小さいため(換言すれば、穴の曲率が、その穴の開けられる位置での板材の曲率よりも大きいため)、回転切削工具の回転に伴い板材の接線方向に加わる力が小さくなって、板材がずれてしまうことを確実に防止することができる。
【0009】
つまり、渦巻き状に積層された板材は、その接線方向に力が加わるとずれ易くなるが、本発明の穴開け方法によれば、回転切削工具の回転によって板材の接線方向に加わる力が小さくなるため、ステータの軸方向に穴を開ける際に、板材がずれてしまうことを確実に防止できるのである。
【0010】
次に、本発明のステータは、湾曲形状をなす複数の磁性体の板材を渦巻き状に積層してなり、その軸方向に回転切削工具によって円形の穴が設けられているが、その穴の半径は、当該穴が設けられた位置における板材の曲率半径よりも小さく設定されている。
【0011】
このステータによれば、回転切削工具によって穴を開ける際に、前述した如く、回転切削工具の回転に伴い板材の接線方向に加わる力が小さくなって、板材がずれてしまうことがなくなり、この結果、高い寸法精度を維持できると共に、期待された電磁吸引力を確実に発生することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施形態の電磁弁について図面を用いて説明する。尚、本実施形態の電磁弁は常閉弁(ノーマルクローズ弁)として機能するものであり、コイルが消磁されている通常時には、流体通路を閉鎖する位置に弁体が保持され、コイルが励磁されると、弁体が移動して流体通路が開放されるようになっている。但し、本発明は、下記の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0013】
まず図1は、本実施形態の電磁弁1の全体構成を示す断面図である。尚、以下の説明にて上下方向を意味する用語は、図1における方向に基づくものである。図1に示すように、電磁弁1は、油圧ポンプのポンプハウジング2に形成された電磁弁取付凹部3に取り付けられており、同じくポンプハウジング2に形成された流体通路4内を流通する流体(作動油)の流量を調節する。そして、電磁弁1において、外部からの電気信号を入力する信号入力部、及び前記電気信号の入力に伴い流体通路4を開閉するための弁部は、バルブハウジング5により包囲されている。
【0014】
バルブハウジング5はほぼ円筒状をなしており、その外周面には雄ネジ部5aが形成されている。一方、前記ポンプハウジング2には雌ネジ部2aが形成されており、この雌ネジ部2aにバルブハウジング5の雄ネジ部5aが螺入されることにより、バルブハウジング5がポンプハウジング2に固定されている。そして、ポンプハウジング2の内壁(電磁弁取付凹部3の内壁)とバルブハウジング5の外壁との間には、Oリング6が配設されており、このOリング6により両ハウジング2,5の間隙が液密にシールされている。
【0015】
また、バルブハウジング5の図1における最下部には、バルブケーシング7が組み付けられており、そのバルブケーシング7下部は、ポンプハウジング2に形成された電磁弁取付凹部3の最深部に嵌挿されている。
そして、バルブケーシング7には、弁体としてのニードル弁8が摺動可能に配設されており、ニードル弁8の先端(図1の下端)にはシート面8aが形成されている。また、ニードル弁8の上端には、可動部材としての円板状のアーマチュア9が連結されている。
【0016】
更に、バルブケーシング7には、前記流体通路4に連通する連通路10a,10bが形成されている。そして、連通路10aの奥には環状の流体室11が形成されており、流体室11の下方には前記ニードル弁8のシート面8aに当接するテーパ形状の弁座12が形成されている。
【0017】
一方、バルブケーシング7の上方には、スペーサ13を介して、前記アーマチュア9と共に電磁式のソレノイドを構成するステータ14が配置されている。
ここで、ステータ14は、その下面図である図2、及び、図2のX−X線断面図である図3に示すように、磁性体からなる複数の板材15を渦巻き状に積層することで円筒状に形成されている。
【0018】
具体的には、まず、ステータ14を形成する板材15は、図4に示すように、全体が湾曲形状に形成され、その一部には凹部15aが形成されている。尚、本実施形態では、板材15として、板厚が均一のケイ素鋼板を使用しており、そのケイ素鋼板のプレス抜打により、図4の形状の板材15が形成されている。また、板材15のプレス抜打後には、湾曲形状の内側となる面に対してショットピーニングが実施され、所定の圧縮残留応力(例えば、600N/mm2 )が付与されている。即ち、板材15には、図4のA方向から微小な鋼球が吹き付けられて、その吹き付け面(板材15の内側面)に圧縮残留応力が付与される。
【0019】
そして、ステータ14は、図4の板材15を、治具等により当該ステータ14の中心軸線に対し渦巻き状に配置して、その外周を円状にレーザ等により溶接することで、全体が円筒状に形成されている。また、これにより、図2及び図3に示されている如く、ステータ14の下面側に、板材15の凹部15aに対応した環状のコイル挿入溝16が形成されると共に、ステータ14の中央位置に、貫通孔17が形成される。
【0020】
そして更に、ステータ14には、図2及び図3に示されている如く、その上面側から軸方向に前記コイル挿入溝16へ貫通するように、2つの円形穴としての透孔18が、回転切削工具としてのドリルDによって180゜対称となる位置に夫々穿設されている。尚、ドリルDは、丸棒状であって、その先端に円錐状の歯を持つか、或いは、その外周面に螺旋状の歯を持つ周知のものである。
【0021】
次に、図1に示す如く、ステータ14のコイル挿入溝16には、コイル19が配設されており、該コイル19の両端には、夫々、リード線20を介して端末部としてのコイル端子21が接続されている。そして、各コイル端子21は、前記ステータ14の2つの透孔18を夫々通って、ステータ14の上面よりも上方へ突出している。
【0022】
一方、ステータ14の貫通孔17には、ほぼ円柱状のピン22が圧入固定されており、そのピン22の段部22aと前記アーマチュア9の頂部との間に、前記ニードル弁8を下方向に付勢する圧縮コイルばね23が配設されている。
また、ステータ14の上面には、前記コイル端子21を貫通させるための孔24aを有するプレート24が載置されており、更に、このプレート24の上方には、外部からコイル19へ電気信号を入力するためのターミナルアッセンブリ25が配設されている。そして、ターミナルアッセンブリ25とステータ14の中央に配設された前記ピン22とには、インサートピン26が圧入されており、このインサートピン26により両部材14,25の位置決めがなされている。また、ターミナルアッセンブリ25とその周囲を包囲するバルブハウジング5との間には、両部材25,5間を液密にシールするためのOリング27が配設されている。
【0023】
ターミナルアッセンブリ25は、一対の信号入力プラグ28を有しており、その上端には接続用ネジ部28aが形成され、下端には接続用端子28bが形成されている。そして、接続用端子28bと前記コイル端子21とが、サブハーネス29を介して電気的に接続されている。
【0024】
尚、接続用端子28bの周囲にはOリング30が配置され、その下方にはプレート31が配設されている。そして、プレート24,31間には、前記サブハーネス29を固定するための樹脂材32が充填されている。
また、サブハーネス29は、図5に示すように、可撓性のリード線29aと、該リード線29aの両端に取り付けられた爪部29b,29cとから構成されており、爪部29b,29cと前記コイル端子21及び接続用端子28bとが、フュージング或いは半田付けにより接合される。
【0025】
このような電磁弁1においては、信号入力プラグ28の接続用ネジ部28aに、図示しない外部端子が接続される。そして、前記外部端子から電気信号を入力すると、その電気信号が接続用端子28b,サブハーネス29,及びコイル端子21を経由してコイル19に伝達され、これによりコイル19が励磁される。
【0026】
すると、ステータ14に電磁吸引力が発生して、アーマチュア9がステータ14に吸引され、これに伴いニードル弁8が上昇して開弁位置に移動する。そして、ニードル弁8のシート面8aと弁座12との間に流体が流れ込み、連通路10a,10b,及び流体通路4に流体が流通する。
【0027】
これに対して、コイル19を励磁しない場合には、圧縮コイルばね23の付勢力により、ニードル弁8が下降して閉弁位置(図1に示す位置)に保持される。ここで特に、本実施形態の電磁弁1においては、磁性体からなる複数の板材15を渦巻き状に積層してなるステータ14の軸方向に、コイル端子21をステータ14の外部へ突出させるための円形の透孔18を、ドリルDによって開けるようにしているが、図6(A)に示すように、透孔18の半径rを、その透孔18が開けられる位置における板材15の曲率半径Rよりも小さく設定している。換言すれば、透孔18の曲率(=1/r)を、その透孔18の開けられる位置での板材15の曲率(=1/R)よりも大きく設定している。
【0028】
即ち、ドリルDの回転中心から外周部までの最大距離L(図3参照)が、透孔18の半径rとほぼ等しくなるため、ドリルDとして、上記最大距離Lがステータ14に透孔18を開ける位置での板材15の曲率半径Rよりも小さいものを用いているのである。
【0029】
このため、ステータ14の軸方向に透孔18を開ける際に、ドリルDの回転により板材15の接線方向に加わる力が小さくなって、板材15がずれてしまうことを確実に防止することができる。
つまり、図6(B)に例示するように、透孔18’の半径r’と、その透孔18’が開けられる位置における板材15の曲率半径R’とがほぼ等しい場合には、ドリルDの回転により板材15の接線方向に加わる力F’が大きくなって、板材15がずれ易くなってしまうが、本実施形態のようにすれば、図6(A)に示すように、ドリルDの回転によって板材15の接線方向に加わる力Fが小さくなり、ステータ14の軸方向に透孔18を開ける際に、板材15がずれてしまうことを確実に防止できるのである。
【0030】
そして、このような本実施形態のステータ14によれば、ドリルDによって透孔18を開ける際に、板材15がずれてしまうことがなくなり、高い寸法精度を維持できると共に、期待された電磁吸引力を確実に発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の電磁弁の全体構成を示す断面図である。
【図2】 ステータの下面図である。
【図3】 図2のX−X線断面図である。
【図4】 ステータを形成する板材の形状を示す斜視図である。
【図5】 サブハーネスの構成を示す斜視図である。
【図6】 ステータへの透孔の開け方を説明する説明図である。
【符号の説明】
1…電磁弁 2…ポンプハウジング 4…流体通路
5…バルブハウジング 7…バルブケーシング 8…ニードル弁
9…アーマチュア 14…ステータ 15…板材
16…コイル挿入溝 17…貫通孔 18…透孔(円形の穴)
D…ドリル(回転切削工具) 19…コイル 21…コイル端子
23…圧縮コイルばね
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソレノイドに用いられるステータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、流体通路を開放/閉鎖するための電磁弁は、コイルを巻装したステータ(固定鉄心)と、上記コイルを励磁することで生じるステータの電磁吸引力によって移動する可動部材(アーマチュアやプランジャ)と、からなる電磁式のソレノイドを備えており、上記可動部材の移動に伴い、流体通路に配設された弁体が開弁位置或いは閉弁位置に動作するようになっている。
【0003】
そして、ソレノイドを構成するステータとしては、湾曲形状をなす複数の磁性体の板材を渦巻き状に積層してなるスパイラル型のステータが考えられている。即ち、この構成を採用することにより、厚さが均一で飽和磁束の大きい電磁鋼板(例えばケイ素鋼板)を密に重ね合わせて、電磁吸引力が高い円筒状のステータを簡単に得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記スパイラル型のステータでは、その軸方向にドリルなどの回転切削工具を用いて円形の穴を開けておき、その穴からコイルの端末部を外部に突出させて、その突出した端末部からコイルへ電流を供給する。
【0005】
しかしながら、このスパイラル型ステータでは、上記穴を開ける際に、渦巻き状に積層された板材が、回転切削工具の回転力によってずれてしまいうという問題がある。そして、板材がずれてしまったステータでは、寸法及び形状が変化してしまう上に、期待される高い電磁吸引力を確実に発生することができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、湾曲形状をなす複数の磁性体の板材を渦巻き状に積層してなるステータの軸方向に、回転切削工具によって穴を開ける際に、板材がずれてしまうことを確実に防止できる穴開け方向、及び、所定の性能を確実に発揮できるステータを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】
本発明のステータの穴開け方法は、湾曲形状をなす複数の磁性体の板材を渦巻き状に積層してなるステータに対し、その軸方向に回転切削工具によって円形の穴を開けるためのものであり、特に、回転切削工具によって開ける穴の半径を、その穴が開けられる位置における板材の曲率半径よりも小さく設定している。
【0008】
具体的には、請求項2に記載の如く、回転切削工具として、その回転中心から外周部までの最大距離が、ステータに穴を開ける位置での板材の曲率半径よりも小さい回転切削工具を用いるのである。
このような本発明の穴開け方法によれば、回転切削工具によって開けられる穴の半径が、その穴の開けられる位置での板材の曲率半径よりも小さいため(換言すれば、穴の曲率が、その穴の開けられる位置での板材の曲率よりも大きいため)、回転切削工具の回転に伴い板材の接線方向に加わる力が小さくなって、板材がずれてしまうことを確実に防止することができる。
【0009】
つまり、渦巻き状に積層された板材は、その接線方向に力が加わるとずれ易くなるが、本発明の穴開け方法によれば、回転切削工具の回転によって板材の接線方向に加わる力が小さくなるため、ステータの軸方向に穴を開ける際に、板材がずれてしまうことを確実に防止できるのである。
【0010】
次に、本発明のステータは、湾曲形状をなす複数の磁性体の板材を渦巻き状に積層してなり、その軸方向に回転切削工具によって円形の穴が設けられているが、その穴の半径は、当該穴が設けられた位置における板材の曲率半径よりも小さく設定されている。
【0011】
このステータによれば、回転切削工具によって穴を開ける際に、前述した如く、回転切削工具の回転に伴い板材の接線方向に加わる力が小さくなって、板材がずれてしまうことがなくなり、この結果、高い寸法精度を維持できると共に、期待された電磁吸引力を確実に発生することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施形態の電磁弁について図面を用いて説明する。尚、本実施形態の電磁弁は常閉弁(ノーマルクローズ弁)として機能するものであり、コイルが消磁されている通常時には、流体通路を閉鎖する位置に弁体が保持され、コイルが励磁されると、弁体が移動して流体通路が開放されるようになっている。但し、本発明は、下記の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0013】
まず図1は、本実施形態の電磁弁1の全体構成を示す断面図である。尚、以下の説明にて上下方向を意味する用語は、図1における方向に基づくものである。図1に示すように、電磁弁1は、油圧ポンプのポンプハウジング2に形成された電磁弁取付凹部3に取り付けられており、同じくポンプハウジング2に形成された流体通路4内を流通する流体(作動油)の流量を調節する。そして、電磁弁1において、外部からの電気信号を入力する信号入力部、及び前記電気信号の入力に伴い流体通路4を開閉するための弁部は、バルブハウジング5により包囲されている。
【0014】
バルブハウジング5はほぼ円筒状をなしており、その外周面には雄ネジ部5aが形成されている。一方、前記ポンプハウジング2には雌ネジ部2aが形成されており、この雌ネジ部2aにバルブハウジング5の雄ネジ部5aが螺入されることにより、バルブハウジング5がポンプハウジング2に固定されている。そして、ポンプハウジング2の内壁(電磁弁取付凹部3の内壁)とバルブハウジング5の外壁との間には、Oリング6が配設されており、このOリング6により両ハウジング2,5の間隙が液密にシールされている。
【0015】
また、バルブハウジング5の図1における最下部には、バルブケーシング7が組み付けられており、そのバルブケーシング7下部は、ポンプハウジング2に形成された電磁弁取付凹部3の最深部に嵌挿されている。
そして、バルブケーシング7には、弁体としてのニードル弁8が摺動可能に配設されており、ニードル弁8の先端(図1の下端)にはシート面8aが形成されている。また、ニードル弁8の上端には、可動部材としての円板状のアーマチュア9が連結されている。
【0016】
更に、バルブケーシング7には、前記流体通路4に連通する連通路10a,10bが形成されている。そして、連通路10aの奥には環状の流体室11が形成されており、流体室11の下方には前記ニードル弁8のシート面8aに当接するテーパ形状の弁座12が形成されている。
【0017】
一方、バルブケーシング7の上方には、スペーサ13を介して、前記アーマチュア9と共に電磁式のソレノイドを構成するステータ14が配置されている。
ここで、ステータ14は、その下面図である図2、及び、図2のX−X線断面図である図3に示すように、磁性体からなる複数の板材15を渦巻き状に積層することで円筒状に形成されている。
【0018】
具体的には、まず、ステータ14を形成する板材15は、図4に示すように、全体が湾曲形状に形成され、その一部には凹部15aが形成されている。尚、本実施形態では、板材15として、板厚が均一のケイ素鋼板を使用しており、そのケイ素鋼板のプレス抜打により、図4の形状の板材15が形成されている。また、板材15のプレス抜打後には、湾曲形状の内側となる面に対してショットピーニングが実施され、所定の圧縮残留応力(例えば、600N/mm2 )が付与されている。即ち、板材15には、図4のA方向から微小な鋼球が吹き付けられて、その吹き付け面(板材15の内側面)に圧縮残留応力が付与される。
【0019】
そして、ステータ14は、図4の板材15を、治具等により当該ステータ14の中心軸線に対し渦巻き状に配置して、その外周を円状にレーザ等により溶接することで、全体が円筒状に形成されている。また、これにより、図2及び図3に示されている如く、ステータ14の下面側に、板材15の凹部15aに対応した環状のコイル挿入溝16が形成されると共に、ステータ14の中央位置に、貫通孔17が形成される。
【0020】
そして更に、ステータ14には、図2及び図3に示されている如く、その上面側から軸方向に前記コイル挿入溝16へ貫通するように、2つの円形穴としての透孔18が、回転切削工具としてのドリルDによって180゜対称となる位置に夫々穿設されている。尚、ドリルDは、丸棒状であって、その先端に円錐状の歯を持つか、或いは、その外周面に螺旋状の歯を持つ周知のものである。
【0021】
次に、図1に示す如く、ステータ14のコイル挿入溝16には、コイル19が配設されており、該コイル19の両端には、夫々、リード線20を介して端末部としてのコイル端子21が接続されている。そして、各コイル端子21は、前記ステータ14の2つの透孔18を夫々通って、ステータ14の上面よりも上方へ突出している。
【0022】
一方、ステータ14の貫通孔17には、ほぼ円柱状のピン22が圧入固定されており、そのピン22の段部22aと前記アーマチュア9の頂部との間に、前記ニードル弁8を下方向に付勢する圧縮コイルばね23が配設されている。
また、ステータ14の上面には、前記コイル端子21を貫通させるための孔24aを有するプレート24が載置されており、更に、このプレート24の上方には、外部からコイル19へ電気信号を入力するためのターミナルアッセンブリ25が配設されている。そして、ターミナルアッセンブリ25とステータ14の中央に配設された前記ピン22とには、インサートピン26が圧入されており、このインサートピン26により両部材14,25の位置決めがなされている。また、ターミナルアッセンブリ25とその周囲を包囲するバルブハウジング5との間には、両部材25,5間を液密にシールするためのOリング27が配設されている。
【0023】
ターミナルアッセンブリ25は、一対の信号入力プラグ28を有しており、その上端には接続用ネジ部28aが形成され、下端には接続用端子28bが形成されている。そして、接続用端子28bと前記コイル端子21とが、サブハーネス29を介して電気的に接続されている。
【0024】
尚、接続用端子28bの周囲にはOリング30が配置され、その下方にはプレート31が配設されている。そして、プレート24,31間には、前記サブハーネス29を固定するための樹脂材32が充填されている。
また、サブハーネス29は、図5に示すように、可撓性のリード線29aと、該リード線29aの両端に取り付けられた爪部29b,29cとから構成されており、爪部29b,29cと前記コイル端子21及び接続用端子28bとが、フュージング或いは半田付けにより接合される。
【0025】
このような電磁弁1においては、信号入力プラグ28の接続用ネジ部28aに、図示しない外部端子が接続される。そして、前記外部端子から電気信号を入力すると、その電気信号が接続用端子28b,サブハーネス29,及びコイル端子21を経由してコイル19に伝達され、これによりコイル19が励磁される。
【0026】
すると、ステータ14に電磁吸引力が発生して、アーマチュア9がステータ14に吸引され、これに伴いニードル弁8が上昇して開弁位置に移動する。そして、ニードル弁8のシート面8aと弁座12との間に流体が流れ込み、連通路10a,10b,及び流体通路4に流体が流通する。
【0027】
これに対して、コイル19を励磁しない場合には、圧縮コイルばね23の付勢力により、ニードル弁8が下降して閉弁位置(図1に示す位置)に保持される。ここで特に、本実施形態の電磁弁1においては、磁性体からなる複数の板材15を渦巻き状に積層してなるステータ14の軸方向に、コイル端子21をステータ14の外部へ突出させるための円形の透孔18を、ドリルDによって開けるようにしているが、図6(A)に示すように、透孔18の半径rを、その透孔18が開けられる位置における板材15の曲率半径Rよりも小さく設定している。換言すれば、透孔18の曲率(=1/r)を、その透孔18の開けられる位置での板材15の曲率(=1/R)よりも大きく設定している。
【0028】
即ち、ドリルDの回転中心から外周部までの最大距離L(図3参照)が、透孔18の半径rとほぼ等しくなるため、ドリルDとして、上記最大距離Lがステータ14に透孔18を開ける位置での板材15の曲率半径Rよりも小さいものを用いているのである。
【0029】
このため、ステータ14の軸方向に透孔18を開ける際に、ドリルDの回転により板材15の接線方向に加わる力が小さくなって、板材15がずれてしまうことを確実に防止することができる。
つまり、図6(B)に例示するように、透孔18’の半径r’と、その透孔18’が開けられる位置における板材15の曲率半径R’とがほぼ等しい場合には、ドリルDの回転により板材15の接線方向に加わる力F’が大きくなって、板材15がずれ易くなってしまうが、本実施形態のようにすれば、図6(A)に示すように、ドリルDの回転によって板材15の接線方向に加わる力Fが小さくなり、ステータ14の軸方向に透孔18を開ける際に、板材15がずれてしまうことを確実に防止できるのである。
【0030】
そして、このような本実施形態のステータ14によれば、ドリルDによって透孔18を開ける際に、板材15がずれてしまうことがなくなり、高い寸法精度を維持できると共に、期待された電磁吸引力を確実に発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の電磁弁の全体構成を示す断面図である。
【図2】 ステータの下面図である。
【図3】 図2のX−X線断面図である。
【図4】 ステータを形成する板材の形状を示す斜視図である。
【図5】 サブハーネスの構成を示す斜視図である。
【図6】 ステータへの透孔の開け方を説明する説明図である。
【符号の説明】
1…電磁弁 2…ポンプハウジング 4…流体通路
5…バルブハウジング 7…バルブケーシング 8…ニードル弁
9…アーマチュア 14…ステータ 15…板材
16…コイル挿入溝 17…貫通孔 18…透孔(円形の穴)
D…ドリル(回転切削工具) 19…コイル 21…コイル端子
23…圧縮コイルばね
Claims (3)
- 湾曲形状をなす複数の磁性体の板材を渦巻き状に積層してなるステータに対し、その軸方向に回転切削工具によって円形の穴を開けるための穴開け方法であって、
前記回転切削工具によって開ける穴の半径を、当該穴が開けられる位置における前記板材の曲率半径よりも小さく設定したこと、
を特徴とするステータの穴開け方法。 - 湾曲形状をなす複数の磁性体の板材を渦巻き状に積層してなるステータに対し、その軸方向に回転切削工具によって円形の穴を開けるための穴開け方法であって、
前記回転切削工具として、その回転中心から外周部までの最大距離が、前記穴を開ける位置における前記板材の曲率半径よりも小さい回転切削工具を用いたこと、
を特徴とするステータの穴開け方法。 - 湾曲形状をなす複数の磁性体の板材を渦巻き状に積層してなり、その軸方向に回転切削工具により円形の穴が設けられたステータであって、
前記穴の半径は、当該穴が設けられた位置における前記板材の曲率半径よりも小さく設定されていること、
を特徴とするステータ。
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---|---|---|---|
JP12891097A JP3777717B2 (ja) | 1997-05-19 | 1997-05-19 | ステータの穴開け方法,及びステータ |
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JP12891097A JP3777717B2 (ja) | 1997-05-19 | 1997-05-19 | ステータの穴開け方法,及びステータ |
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JPH10318410A JPH10318410A (ja) | 1998-12-04 |
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JP5098205B2 (ja) * | 2006-04-07 | 2012-12-12 | 新日鐵住金株式会社 | 電磁鋼板打抜き部の疲労強度および磁気特性向上方法 |
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- 1997-05-19 JP JP12891097A patent/JP3777717B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10318410A (ja) | 1998-12-04 |
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