JP3777423B2 - 印刷物及びその識別法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偽造、変造防止を必要とする印刷物を形成する印刷インキにDNAを混合し、該DNAのパターンを比較することにより真偽判別する印刷物及びその識別法に関する。本発明において、印刷物とは、一般に銀行券、株券、債権等の有価証券類、貴重印刷物、パスポート又は身分証明書等を総称して言う。
【0002】
【従来の技術】
一般に、諸証券類の偽造或いは改ざんを防止し、識別するためには、1つの証券の中に多くの色を用いたり、更にはレインボー印刷などの特殊な印刷方式による連続的に変化する画線などを用いている。
【0003】
しかし、近年の電子複写法やコンピュータ等の急速な進歩に伴い、色による判別法はカラーコピーやコンピュータの画像処理ソフトによって、極めて類似した色再現が可能であり、目視のみでは偽造あるいは改ざんを識別するのは非常に困難になってきている。
【0004】
また、肉眼では見えないが、紫外線や赤外線によって判別できる印刷を行う方法、また磁気などによって検知可能な材料、例えば鉄やコバルトなどの化合物を利用し、これらの物質でインキを構成し、印刷するなどの方法がとられている。しかし、紫外線下で発光する蛍光物質や磁性を持つ酸化鉄などの材料は、容易に入手可能であり、実際にこれらを用いた偽造事件も起こっている。
【0005】
また、インキの中にDNAを入れ、その塩基配列情報により真偽判別を行う方法があるが、このDNAの塩基配列情報を真偽判別要素とする方法では、DNAを含む試料からDNAを抽出し、PCR装置等を用いてDNAを増幅後、塩基配列を決定する(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
PCR装置等を用いてDNAを増幅するためには、目的のDNAの両端の短い配列が少なくとも大まかには分かっている必要があるが、近年の科学技術の進歩は目覚しく、任意に合成したプライマーを用いても塩基配列情報を得ることが可能となっている。そのため、DNAをインキに加え、そのDNAの塩基配列によって真偽を判断しているという情報があれば、偽造犯は、印刷物全面からDNAを抽出し、そのDNAの塩基配列を解読し、そのDNAを増幅して再びインキに加え印刷物を作製すれば、容易に偽造が可能となる、という問題が起きてくる。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第5,360,628号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したような機能性材料に頼った偽造防止技術では、その材料の入手が可能であれば偽造を阻止することができず、また、従来のDNAの塩基配列情報を真偽判別要素とする方法では、DNAの塩基配列情報が解読されれば、偽造を阻止することができない、という従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、機能性材料に頼ることなく、また、DNAの塩基配列情報が看破されたとしても、同一の複製物を作製することができない印刷物及びその識別法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の印刷物は、基材上に施される図柄の一部に、識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキと、識別情報を付与しない少なくとも1種類の前記DNAとは異なるDNAを含むインキとを用いて、文字、記号、番号及び模様を印刷又は塗被し、前記文字、記号、番号及び模様は、前記インキ同士が隣接して、重ならないで又は一部重なって印刷又は塗被されたことを特徴とする印刷物である。
【0010】
また、前記識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキと、前記識別情報を付与しない少なくとも1種類の前記DNAとは異なるDNAを含むインキとが同色であることを特徴とする印刷物である。
【0011】
また、前記DNAに付与される識別情報は、個別情報、製造情報の秘匿情報であることを特徴とする印刷物である。
【0012】
また、前記識別情報は、DNAの塩基鎖長、電気泳動パターン又は塩基配列データに付与されることを特徴とする印刷物である。
【0013】
本発明の印刷物を識別する識別法であって、識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキと、前記識別情報を付与しない少なくとも1種類の前記DNAとは異なるDNAを含むインキとで印刷又は塗被した文字、記号、番号及び模様の重なっていない前記識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキで印刷した部分の一部分からDNAを抽出し、前記抽出したDNAを増幅し、識別して得られるデータと、あらかじめデータベースに登録されたDNAのデータとを比較することにより、前記印刷物の真偽判別を可能とすることを特徴とする印刷物の識別法である。
【0014】
また、本発明の印刷物を識別する識別法であって、識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキと、前記識別情報を付与しない少なくとも1種類の前記DNAとは異なるDNAを含むインキとで印刷又は塗被した文字、記号、番号及び模様の重なっていない前記識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキで印刷した部分の一部分からDNAを抽出し、PCR装置を用いて前記DNAの増幅をし、電気泳動を行い、得られた泳動パターンを解析することで、前記DNAを識別し、前記識別したDNAを、あらかじめ登録しておいた前記DNAの泳動パターンと比較することにより、前記印刷物の真偽判別を可能とすることを特徴とする印刷物の識別法である。
【0015】
また、前記識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキと、前記識別情報を付与しない少なくとも1種類の前記Dのとは異なるDNAを含むインキとが同色であることを特徴とする印刷物の識別法である。
【0016】
また、前記DNAに付与される識別情報は、個別情報、製造情報の秘匿情報であることを特徴とする印刷物の識別法である。
【0017】
また、前記識別情報は、DNAの塩基鎖長、電気泳動パターン又は塩基配列データに付与されることを特徴とする印刷物の識別法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態に基づき本発明を説明する。本発明における印刷物の材質としては、紙、プラスチック等、特に限定しないが、一般的に諸証券類等に使用される材質に適用される。また、印刷方法としては、凹版印刷、凸版印刷、オフセット印刷又はスクリーン印刷等の一般に公知の印刷方法を用いればよい。
【0019】
データとして使用されるDNAは、ヒト、動物、植物、微生物などの各生物種、生体内の血液、細胞、毛髪、爪などの組織、細胞内小器官由来物質などから抽出する。抽出方法は特に限定されず、従来より公知の方法をいずれも好適に使用することができる。これらの抽出をおこなったDNAを適当な制限酵素を単独で、もしくは組み合わせることで適当な大きさに断片化し用いる。
【0020】
また、DNAは、あらかじめ定められた暗号化の規則にしたがって合成したものを使用することもできる。
【0021】
いずれの場合においても、識別データとして使用するDNAの採取の由来物質、用いた制限酵素の種類、DNA塩基配列、DNA鎖長又は電気泳動パターンを用いて、個別情報、製造情報などの秘匿情報を付与する。
【0022】
上記の方法で抽出あるいは合成して秘匿情報を付与したDNAをインキに配合してインキを作製し、一般に公知の印刷方法を用いて印刷を行う。さらに、上記に記載した秘匿情報を付与したDNAとは異なる種類のDNAを含むインキを同様に作製し、印刷を行い印刷物を作製する。この場合、前述した秘匿情報を付与したDNAを配合したインキと、その秘匿情報を付与したDNAとは異なる種類のDNAを配合したインキとが、一部は重なってもよいが全部が重ならないように、隣接した箇所(必ずしも隣り合わなくともいい)に印刷するようにする。
【0023】
次に印刷物の真偽判定を行う手順について説明する。
まず、前述した秘匿情報を付与したDNAを含んだインキで印刷した印刷部分を切り取る。この切り取った印刷部分を用いて、イオン性または非イオン性の界面活性剤とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム水塩を混合した緩衝液を用いてDNAの抽出を行う。この場合イオン性または非イオン性の界面活性剤とトリス塩酸緩衝液とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム水塩を混合した緩衝液を用いてもよい。その後必要に応じて、フェノール抽出、あるいはフェノールクロロホルム抽出を行ってDNAの精製をした後、エタノール沈殿あるいはブタノール沈殿を行い、DNAの濃縮を行う。
精製・濃縮の過程を一例として示したが、上記の方法に特に限定されず、従来よりの公知の方法で行うことができる。
【0024】
上記の手順により精製・濃縮したDNAの増幅を、PCR反応を用いて行う。PCR(Polymerase Chain Reaction)はDNAポリメラーゼを用いて、一定の温度サイクルを繰り返し、目的とするDNAを指数関数的に増幅する方法である。まず、高温でDNAを変性させ、次に温度を下げ、所定のプライマーを会合させ、DNAポリメラーゼにより相補的なDNA断片を合成させる。この場合、使用するプライマーの塩基配列がPCR反応を用いて増幅を行おうとするDNAの塩基配列と相補的であることが必要である。また、このPCRを用いた増幅反応において、例えば蛍光ヌクレオチドを用いてPCR産物を蛍光標識することも可能である。
【0025】
次にこのPCR産物の識別を、電気泳動を行うことにより識別する。電気泳動とは、タンパク質・アミノ酸などの荷電を有する物質を適当なpH、緩衝液及び支持体を選んで電場をかけると、それらの物質の持つ荷電の差に基づいて固有の移動鎖で陰極または陽極へ向かって移動する現象である。支持体としてはポリアクリルアミドゲルもしくはアガロースゲルを用いることができる。緩衝液に電場をかけると負の電荷をもつDNA断片は陽極に向かってゲルの中を移動するが、DNAサイズの大きいほど遅く移動するため、鎖長の長い断片と短い断片とが区分されてバンドのパターンが形成される。電気泳動の終了後に、例えばエチジウムプロミド染色液を用いて染色し、紫外線下でゲルを観察するなどの従来よりの公知の方法で結果を確認する。
【0026】
図1は、DNA断片を電気泳動したときに得られるパターンの模式図であり、例えば(a)が秘匿情報を付与したDNAより得たパターンであるとすると、それ以外のパターンは(b)ないし(c)に示されるような異なったパターンになる。
この場合、DNA分子量マーカーを標準物質として同時に電気泳動を行うことで、塩基鎖長を読み取り、もしくは電気泳動パターンそのものをデータとすることが可能となる。したがって、電気泳動パターンの情報は、真偽判別に有効であり、塩基配列を決定しなくても迅速な真偽判別が行うことが可能となる。
さらに必要ならば、塩基配列を決定し、DNAに付与された秘匿情報を解読する。
【0027】
あらかじめ、DNAに検出チップを埋め込む場合は、例えば放射性リンを用いてDNAをラベル化し、放射線フィルムに感光させる方法、蛍光色素でラベル化する方法、ナフタレンジイミドのフェロセン誘導体を用いる電気化学的方法などが挙げられる。これらの方法は極めて検出感度が高く、また、電気泳動を行わなくても真偽判別を行えるという利点がある。
【0028】
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、この実施例によって何ら限定されるものではない。また、DNAを含むインキを用いて情報を印刷する方法は、前述したように一般に公知のいずれの印刷方法を用いてもよい。
【0029】
(実施例1)本発明の印刷物は、上記した特性を利用して、異なるDNAを含む少なくとも2種類のそれぞれのインキを用いて図柄を印刷又は塗被することにより得られる。本実施例では、表1に組成を示す、異なるDNAを含む2種類のインキを用いた。
【0030】
【表1】
Figure 0003777423
【0031】
図2は、基材としての紙(1)の上に、表1に示す組成のインキAを用いて模様(2)を、さらにインキBを用いて模様(3)を、それぞれ凹版印刷で印刷した印刷物を示す。インキAのDNA−Aには塩基鎖長400のDNAが含まれており、インキBのDNA−Bには塩基鎖長247のDNAが含まれている。本実施例においては、模様(2)に用いたインキAに含まれるDNA−Aの方を、特定のDNAとする。
【0032】
前記印刷物の模様(2)の一部分(4)を切り取り、非イオン性の界面活性剤とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム水塩(EDTA)を使用して抽出を行った。この抽出物をDNA−Aに対応する所定のプライマーを用いてPCRによる増幅反応を行い、DNAの増幅を行った。得られたPCR産物、分子量マーカー、及びDNA−Aに対して電気泳動を行い、エチジウムプロミド染色液を用いて染色し、紫外線下でゲルを観察し、電気泳動パターン(図3)を得た。
【0033】
図3のレーンa及びレーンdは分子量マーカー、レーンbは前記印刷物から切り取った模様(2)の一部分(4)からの抽出物のPCR産物、レーンcはDNA−Aを電気泳動したときに得られるパターンである。
この図から、印刷物の模様(2)の一部分(4)からの抽出物のPCR産物の電気泳動パターンはDNA−Aの電気泳動パターンと同一であることがわかる。さらに、レーンa及びレーンdの分子量マーカーを参照に用いると、前記印刷物から切り取った模様(2)の一部分(4)からの抽出物のPCR産物のDNA鎖が、インキAのDNA−Aと同じ400であることが分かる。
【0034】
次に、図2の印刷物の模様(2)及び模様(3)を含んだ部分(5)を切り取り、上記と同様に抽出を行い、この抽出物を適当なプライマーを用いてPCRによる増幅反応を行い、DNAの増幅を行った。得られたPCR産物を用いて、表2に示す組成のインキCを作製し、このインキCを用いて、図4に示すような、前記図2と同じ模様(6)を凹版印刷で印刷し、印刷物を得た。この印刷物の模様(6)は、インキAとインキBが混合されたインキCで印刷しているので、DNA−AとDNA−Bの両方が含まれていることになる。
【表2】
Figure 0003777423
【0035】
図2と図4に示す印刷物を肉眼で観察すると、当然のことながら、模様の色は同等で区別がつかない。また、インキの配合割合が同じであるため、IRや蛍光X線分析法などの他の分析法を用いても両者を区別することができない。
【0036】
この印刷物が図2の印刷物と同様のものであるか否かを確認するために、前記図2と同じ個所である、インキCを用いて作製した図4の印刷物の模様(6)の一部分(7)を切り取り、上記と同様に抽出を行い、この抽出物を適当なプライマーを用いてPCRによる増幅反応を行い、DNAの増幅を行った。得られたPCR産物、分子量マーカー、DNA−A及びDNA−Bに対して電気泳動を行い、エチジウムブロミド染色液を用いて染色し、紫外線下でゲルを観察し、電気泳動パターン(図5)を得た。
【0037】
図5のレーンe及びレーンiは分子量マーカー、レーンfはインキCを用いて作製した印刷物の模様(6)の一部分(7)からの抽出物のPCR産物、レーンgはDNA−A、レーンhはDNA−Bの電気泳動したときに得られるパターンである。この図から、インキCを用いて作製した印刷物の模様(6)の一部分(7)からの抽出物のPCR産物の電気泳動パターンは、DNA−Aの電気泳動パターンと同一でないことがわかる。これは、インキCを用いて作製した印刷物の模様(6)の一部分(7)からの抽出物のPCR産物のDNA鎖は、インキAのDNA−Aの400とインキBのDNA−Bの247が含まれているからである。
【0038】
以上詳述したように、異なる種類のDNAを含むインキA及びインキBを用いて作製した印刷物のインキA及びインキBの任意の位置からDNAを抽出し、PCRにより増幅し、得られたDNAパターンと、前記印刷物のインキA及びインキBを含んだ全面からDNAを抽出し、PCRにより増幅し、得られたDNAを用いたインキCから作製した印刷物の任意の位置から抽出したDNAパターンとを区別することができる。これは、ある特定のDNAが含まれる場所がわからなければ、DNAの増幅操作の段階で別のDNAが混ざることとなり、同じDNAパターンを再現することは不可能であるということである。
【0039】
次に、塩基配列のデータに個別情報、製造情報などの秘匿情報を付与する方法の一実施例を説明する。以下に実施例にもとづき説明するが、この実施例によって何ら限定されるものではない。
【0040】
(実施例2)図6は、塩基鎖長400のDNAに付与する、個別情報、製造情報の秘匿情報の割り付け方の一例を示したものである。個別情報としては、個人識別、個人情報を用いる。P1、P2、P3及びP4がプライマー配列、Nが製造情報、Sが個人識別、Iが個人情報部分を示す。
例えば、”0”を塩基配列のATT、”1”をATC、”2”をATA、”3”をATG、というように、あらかじめ塩基3個の配列と数値もしくは記号との対応表を作製しておき、Nで示される製造情報、Sで示される個人識別、Iで示される個人情報に塩基配列を組み込んで秘匿情報を付与する。例えば、製造情報が132・・であれば、その部分の塩基配列はATCATGATA・・・となる。
【0041】
もし、Nで示される製造情報のみを取得したい場合には、プライマーP2とP3とを用いて製造情報を示すNの部分のみをPCR増幅を行えばよく、その結果、短時間で効率よく製造情報のみを識別することが可能となり、迅速な真偽判定を行うことができる。
【0042】
以上詳述した実施例において、試料からDNAを抽出し、PCRによる増幅を行い、電気泳動をおこなって、得られた泳動パターンを解析することで、特定するDNAを識別する例を示したが、DNAを識別できる方法であれば、これに限定されない。
【0043】
放射性リンを用いてDNAをラベル化し、放射線フィルムに感光させる方法、蛍光色素でラベル化する方法、ナフタレンジイミドのフェロセン誘導体を用いる電気化学的方法を用いて特定のDNAを検出する方法などを用いて、あらかじめDNAに検出チップを埋め込む方法を用いてもかまわない。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、従来のDNAを真偽判別要素とする方法が、DNAの塩基配列情報の解読を必要とし、多大な労力と時間を要するのに対し、比較的簡便であり、かつ効果的な方法をもって、偽造を行おうとする意図そのものを阻止することが可能な印刷物及びその識別法の提供をするものであり、それぞれ異なるDNAを含む少なくとも2種類のインキで図柄の特定の場所に印刷を施しているので、ある特定のDNAが含まれる特定の場所がわからなければ、DNAの増幅操作の段階で別のDNAが混ざることとなり、同じDNAパターンを再現することは不可能である。
【0045】
また、異なるDNAを少なくとも2種類以上組み合わせて真偽判別及び識別を可能とするため、図柄の組み合わせや配置、配合色の組み合わせ等の制約を受けず、多様なインキ配合の組み合わせが可能となり、偽造を阻止することが可能となる。
【0046】
さらに、DNAの塩基配列、DNA鎖長、電気泳動パターンなどにより、個別情報、製造情報などの秘匿情報を付与することにより、真偽判別が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】DNA断片を電気泳動したときに得られるパターンの模式図である。
【図2】本発明の実施例を示す図であり、異なるDNAを含む2種類のインキで情報を印刷した図を示す。
【図3】本発明の実施例で得られた印刷物のDNAの電気泳動パターンの図を示す。
【図4】本発明の実施例を示す図であり、偽造したDNAを含むインキで情報を印刷した図を示す。
【図5】本発明の実施例で得られた偽造したDNAを含む印刷物のDNAの電気泳動パターンを示す。
【図6】本発明の実施例で用いたDNA塩基鎖長に付与する秘匿情報の割り付け方を示す。
【符号の説明】
1 基材(紙)
2 秘匿情報を付与したDNAインキ−Aを用いて印刷した模様
3 秘匿情報を付与しないDNAインキ−Bを用いて印刷した模様
4 秘匿情報を付与したDNAインキ−Aの抽出部分
5 印刷物の抽出部分
6 印刷物から抽出したDNAを用いて作製したインキ−Cを用いて印刷した模様
7 印刷物から抽出したDNAを用いて印刷した模様の抽出部分
P1、P2、P3、P4 プライマー
N、S、I 秘匿情報

Claims (9)

  1. 基材上に施される図柄の一部に、識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキと、識別情報を付与しない少なくとも1種類の前記DNAとは異なるDNAを含むインキとを用いて、文字、記号、番号及び模様を印刷又は塗被し、前記文字、記号、番号及び模様は、前記インキ同士が隣接して、重ならないで又は一部重なって印刷又は塗被されたことを特徴とする印刷物。
  2. 前記識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキと、前記識別情報を付与しない少なくとも1種類の前記DNAとは異なるDNAを含むインキとが同色であることを特徴とする請求項1に記載の印刷物
  3. 前記DNAに付与される識別情報は、個別情報、製造情報の秘匿情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷物。
  4. 前記識別情報は、DNAの塩基鎖長、電気泳動パターン又は塩基配列データに付与されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の印刷物。
  5. 基材上に施される図柄の一部に、識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキと、識別情報を付与しない少なくとも1種類の前記DNAとは異なるDNAを含むインキとを用いて、文字、記号、番号及び模様を印刷又は塗被し、前記文字、記号、番号及び模様は、前記インキ同士が隣接して、重ならないで又は一部重なって印刷又は塗被された印刷物の前記識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを識別する識別法であって、前記識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキと、前記識別情報を付与しない少なくとも1種類の前記DNAとは異なるDNAを含むインキとで印刷又は塗被した文字、記号、番号及び模様の重なっていない前記識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキで印刷した部分の一部分からDNAを抽出し、前記抽出したDNAを増幅し、識別して得られるデータと、あらかじめデータベースに登録されたDNAのデータとを比較することにより、前記印刷物の真偽判別を可能とすることを特徴とする印刷物の識別法。
  6. 基材上に施される図柄の一部に、識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキと、識別情報を付与しない少なくとも1種類の前記DNAとは異なるDNAを含むインキとを用いて、文字、記号、番号及び模様を印刷及び塗被し、前記文字、記号、番号及び模様は、前記インキ同士が隣接して、重ならないで又は一部重なって印刷又は塗被された印刷物の前記識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを識別する識別法であって、前記識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキと、前記識別情報を付与しない少なくとも1種類の前記DNAとは異なるDNAを含むインキとで印刷又は塗被した文字、記号、番号及び模様の重なっていない前記識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキで印刷した部分の一部分からDNAを抽出し、PCR装置を用いて前記DNAの増幅をし、電気泳動を行い、得られた泳動パターンを解析することで、前記DNAを識別し、前記識別したDNAを、あらかじめ登録しておいた前記DNAの泳動パターンと比較することにより、前記印刷物の真偽判別を可能とすることを特徴とする印刷物の識別法。
  7. 前記識別情報を付与した少なくとも1種類のDNAを含むインキと、前記識別情報を付与しない少なくとも1種類の前記Dのとは異なるDNAを含むインキとが同色であることを特徴とする請求項5又は6に記載の印刷物の識別法。
  8. 前記DNAに付与される識別情報は、個別情報、製造情報の秘匿情報であることを特徴とする請求項5、6又は7に記載の印刷物の識別法。
  9. 前記識別情報は、DNAの塩基鎖長、電気泳動パターン又は塩基配列データに付与されることを特徴とする請求項5、6、7又は8に記載の印刷物の識別法。
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