JP3776955B2 - 光触媒反応装置用カートリッジおよび光触媒反応装置 - Google Patents

光触媒反応装置用カートリッジおよび光触媒反応装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの光、例えば紫外線照射ランプからの紫外線を光触媒に照射して、光触媒に処理流体を接触させることで、光触媒の作用により流体中の有機物や有機塩素化合物や悪臭原因物質等の有害物質を分解する装置(以下、光触媒反応装置という)に使用される光触媒担持織布または不織布を組み込んだ支持部材からなる光触媒反応装置用カートリッジおよびこのカートリッジを用いてなる光触媒反応装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光触媒を利用した液体中の有機物や有機塩素化合物等の分解は、光触媒である酸化チタンの粉末を処理液中に分散させて行っていた。しかし、酸化チタンの粉末は、粒子が細かく処理液からの分離が技術的に難しかった。そのため、光触媒を板状や粒子状等の担体に担持させて使用することが考えられている。また、気体中の悪臭等を分解処理する装置の場合、クロス、基板、反応槽内壁面等に光触媒を担持させ装置内に配置している。
【0003】
例えば、特公平4−17098号公報に記載されているように、10μ〜5mmの粒子径をもつ粒子、1μ〜5mmの直径をもつ繊維、または1〜10μの厚みと5mmの最大幅を有するフレークの表面に光触媒を被覆したものを装置内に組み込んで使用している。また、特開昭64−90035号公報に記載されているように、多重渦巻スリーブ状に巻いた網状の多孔性基質の表面に光触媒を担持したものを装置内に組み込んで使用している。また特開平3−157125号公報に記載されているように、網状構造体の板状クロスなどの立体的多孔体に光触媒を担持させたものを装置内に配置して、これに紫外線を当てて脱臭装置に使用しているものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の光触媒装置の場合、光触媒を担持させたもの自体を反応容器内に直接配置するようにしているため、光触媒の交換が不便である。そして、光触媒担持織布または不織布の一部が破損した場合または光触媒機能を失った場合であっても、使用している光触媒を担持させたものの全体を交換する必要があった。また、光触媒を担持させたものの処理能力に応じて反応経路を長く取る必要がある場合は、光触媒を担持させたものを新たに設計し直す必要があった。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、装置内に於ける光触媒の分解効率が向上され、取扱いが容易となる光触媒反応装置用カートリッジおよびこのカートリッジを用いてなる光触媒反応装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、光触媒を担持した織布または不織布を組み込むための支持部材について、鋭意研究を重ねた結果、支持部材を中空円筒形とし、これを積層しその支持部材間に前記織布または不織布を挟み込むことで、光触媒の取扱いを容易にすることができることを見い出した。
本発明の光触媒反応装置用カートリッジは、かかる知見に基づきなされたもので、流体中の有害物質を分解する光触媒を担持した織布または不織布と、これを支持するための中空円筒形支持部材とからなり、前記支持部材はその上下に支持部材同士の連結部を備えており、前記光触媒担持織布または不織布は前記支持部材間に挟み込まれることを特徴とする。
【0006】
この場合、前記支持部材がその上方部分の外周面および下方部分の内周面にそれぞれ切られた雄ネジおよび雌ネジを有し、ネジ作用で支持部材同士が螺合され、連結されるようになっている
または、前記支持部材がその上面部分に爪部を有しまたその下方部分の内周面に爪部を嵌合せしめるための凹部を有し、支持部材同士が爪部と凹部との嵌合で連結されるようになっている
または、前記支持部材がその上方部分および下方部分のそれぞれの外周側にフランジ部を有し、支持部材同士がフランジ部を止め具で固定することにより連結されるようになっている
また、本発明の光触媒反応装置は、前記カートリッジを積層し、連結してなる一体型ユニットと、反応槽とを有し、前記一体型ユニットが、前記反応槽内に、処理流体の流れ方向と光触媒担持織布または不織布の面が交差するように配置されており、前記反応槽の周辺または内部に光源が配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の光触媒反応装置用カートリッジによれば、円筒形支持部材同士の間に光触媒担持織布または不織布を挟み込み、これを固定するようになっている。これは接着剤を用いて固定してもよいが、支持部材自体に連結部を設けているため、接着剤は特に必要としない。前記支持部材と前記織布または不織布とを一対として、これを幾層にも積層して任意の長さに調整可能な多段の光触媒の層を持つ一体型のユニットとする。
また、本発明の光触媒反応装置用カートリッジによれば、前記したように、光触媒担持織布または不織布とこれを支持する支持部材とが一体化されているので、光触媒は前記カートリッジごと交換できるようになっており、また、前記織布または不織布は支持部材間に挟み込まれているだけなので、該織布等の任意の枚数または全体を交換できるようになっている。
【0008】
また、支持部材に組み込まれる織布または不織布としては、ガラス繊維、セラミック繊維等の無機質の長繊維を織成した織布あるいはガラス繊維、セラミック繊維等の無機質の長繊維及び/又は短繊維を抄紙するかストランドマットとした不織布を基材とし、光触媒の担持された織布または不織布等が用いられ、処理流体に応じて、機能の異なる複数の光触媒、吸着材を担持した織布もしくは不織布を任意に選択して組み込むこともできる。さらに、フィルタを任意に組み込んで塵埃、固形物を除去することもできる。
【0009】
また、前記支持部材同士の連結部としては、光触媒担持織布または不織布が固定されかつ支持部材同士が固定されうるような構造として、前記したように、ネジ方式、爪方式、フランジ方式が採用され、織布等の固定、支持部材同士の固定がなされる。すなわち、ネジ方式では、中空円筒形支持部材の上方部分の外周面および下方部分の内周面にそれぞれ雄ネジおよび雌ネジが切ってあり、支持部材同士がこの雄ネジと雌ネジとを螺合することによって連結せしめられるようになっており、光触媒担持織布または不織布は支持部材の間に挟み込まれる。また、爪方式では、支持部材の上面部分に爪部が設けられかつ下方部分の内周面に前記爪部と嵌合せしめるための凹部が設けられ、支持部材同士がこの爪部と凹部とを嵌合することによって連結せしめられるようになっており、光触媒担持織布または不織布は支持部材の間に挟み込まれる。また、フランジ方式では、支持部材の上方部分および下方部分のそれぞれの外周側にフランジ部が設けられ、支持部材同士がフランジ部を止め具で固定することにより連結せしめられるようになっており、光触媒担持織布または不織布は支持部材の間に挟み込まれる。
【0010】
また、本発明で使用する前記光触媒としては、例えば、TiO2,ZnO,Fe23,CdS等を挙げることができるが、処理流体中の有害物質を分解できるものであれば特に制限はない。
また、本発明のカートリッジを構成する支持部材としては、10〜30mmの高さを有する中空円筒形が望ましく、この円筒の上面または下面またはその両方に前記織布または不織布の挟みしろを有しているようにする
【0011】
また、前記円筒形の支持部材としては、例えば、ステンレスやフッ素樹脂等から作製されたものが挙げられるが、機械的に安定であり、処理流体中に溶出する成分が含まれていないものであれば、光の照射方式に合わせて、例えば、光源を処理流体中に配設するかまたは該装置の外方に配設するかによって材質を選択すればよく、その種類は特に限定されるものではない。
本発明による処理流体には、空調用の清浄空気、排ガス等の気体や、飲水、排水等の液体が挙げられ、下記のような気体および液体が含まれる。例えば、気体としては、メチルカプタン、アンモニア、硫化水素、アミン、アルデヒド等の悪臭物質やホルムアルデヒド等を含む気体等が挙げられ、液体としては、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロホルム、ダイオキシン等のハロゲン化合物やシアン、農薬成分を含む液体、Hg、Cd等の重金属イオンを微量含む液体等が挙げられる。
【0012】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基づき説明する。図1乃至3は、光触媒担持織布または不織布を組み込むための支持部材の例を示し、図4は、支持部材同士の一つの連結の仕方を説明するための図であり、図5は、光触媒反応装置を示す図である。
(実施例1)
図1(A)および(B)に示すように、支持部材1は、中空円筒形をしており、光触媒担持織布または不織布を挟み込むための挟みしろ2を上面に有している。円筒形支持部材1の上方部分の外周面および下方部分の内周面には、それぞれ雄ネジ3と雌ネジ4が切ってあり、支持部材1,1同士の連結部になっている。前記織布または不織布を支持部材1の挟みしろ2上に配置して1つのカートリッジを得た後、ネジ3および4の作用で支持部材1を任意の数だけ螺合、連結して、所望の長さの一体型のユニットを得る。
【0013】
(実施例2)
本実施例では、図2(A)および(B)に示すように、支持部材1は、中空円筒形をしており、光触媒担持織布または不織布を挟み込むための挟みしろ2を上面に有している。また、円筒形支持部材1の上面の一部には爪部5が設けられており、この爪部5を嵌め合わせるための凹部6が円筒形の下方部分の内周面に設けられている。この爪部5と凹部6とは支持部材1,1同士の連結部になっている。前記織布または不織布を支持部材1の挟みしろ2上に配置して1つのカートリッジを得た後、爪部5および凹部6を嵌合することによって支持部材1を任意の数だけ連結して、所望の長さの一体型のユニットを得る。
【0014】
(実施例3)
本実施例では、図3(A)および(B)に示すように、支持部材1は、中空円筒形をしており、光触媒担持織布または不織布を挟み込むための挟みしろ2を上面に有している。円筒形支持部材1の上方部分および下方部分のそれぞれの外周側にはそれぞれフランジ部7が設けられている。このフランジ部7は支持部材1,1同士の連結部になっている。前記織布または不織布を支持部材1の挟みしろ2上に配置して1つのカートリッジ得た後、支持部材1を任意の数だけ連結して、所望の長さの一体型のユニットを得る。この際の連結は、図4(A)および(B)に示すように、止め具8でフランジ部7,7同士を固定することにより行う。
【0015】
次に、図5に示すように、上記実施例1の支持部材1を用いてTiO2 を担持した目開きのガラスクロス9を挟み込んで一体型ユニット10とし、反応槽11内に、処理流体の流れ方向とTiO2 光触媒を担持した目開きのガラスクロス9の主面とが交差するような形態で配置し、透明なアクリル樹脂製の反応槽11の周辺に20Wの殺菌灯12を2本配設した。この反応槽11内に図略のポンプを使用して、テトラクロロエチレンを約100ppm含んだ水溶液を循環させて、該殺菌灯12から紫外線を照射した。24時間後、処理液中のテトラクロロエチレン濃度を測定したところ、分解が確認できた。
【0016】
【発明の効果】
以上に記述した通り、本発明の光触媒担持織布または不織布を組み込んだ光触媒反応装置用カートリッジによれば、処理流体中で光触媒が動かないように簡便に固定することができ、また、この分解装置用カートリッジの一部又は全体が交換可能であるため、光触媒反応装置のメンテナンスが容易になる。なお、光触媒担持織布または不織布を組み込んだ支持部材自体においては、該織布等を支持部材から簡便に脱着できるため、光触媒担持織布または不織布を取り換えて何度も使用することが可能である。また、前記構成の支持部材を使用することで、挟み込んだ織布または不織布を光触媒反応装置の反応槽内を仕切るような形で、すなわち、処理流体の流れ方向と配置された織布または不織布の主面とが交差するような形で配置することができ、処理流体と前記織布または不織布とが効率よく接触するようになるため、前記織布または不織布の機能を有効に利用することができる。また、機能の異なる複数の触媒や吸着材を担持した織布もしくは不織布またはフィルタを任意に選択して組み込むことができるため、多様な処理流体に対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)本発明において光触媒担持織布または不織布を組み込むための支持部材の上面図(連結部:ネジ方式)
(B)図1(A)の半裁断面図
【図2】(A)本発明において光触媒担持織布または不織布を組み込むための支持部材の上面図(連結部:爪方式)
(B)図2(A)の半裁断面図
【図3】(A)本発明において光触媒担持織布または不織布を組み込むための支持部材の上面図(連結部:フランジ方式)
(B)図3(A)の半裁断面図
【図4】(A)図3のフランジ方式における支持部材同士の連結の仕方を説明するための断面図
(B)図4(A)に示す止め具の斜視図
【図5】本発明の光触媒反応装置を示す断面図
【符号の説明】
1 支持部材
2 光触媒担持織布または不織布の挟みしろ
3 支持部材連結部(雄ネジ)
4 支持部材連結部(雌ネジ)
5 支持部材連結部(爪部)
6 支持部材連結部(凹部)
7 支持部材連結部(フランジ部)
8 止め具
9 ガラスクロス
10 一体型ユニット
11 反応槽
12 殺菌灯

Claims (4)

  1. 流体中の有害物質を分解する光触媒を担持した織布または不織布と、これを支持するための中空円筒形支持部材とからなり、前記支持部材はその上下に支持部材同士の連結部として上方部分の外周面および下方部分の内周面にそれぞれ切られた雄ネジおよび雌ネジを有するとともに、上面および/または下面に前記光触媒担持織布または不織布を挟み込むための挟みしろを有し、ネジ作用で支持部材同士が螺合されて連結され、前記光触媒担持織布または不織布は前記支持部材間に挟み込まれることを特徴とする光触媒反応装置用カートリッジ。
  2. 流体中の有害物質を分解する光触媒を担持した織布または不織布と、これを支持するための中空円筒形支持部材とからなり、前記支持部材はその上下に支持部材同士の連結部として上面部分に爪部を有しまたその下方部分の内周面に爪部を嵌合せしめるための凹部を有するとともに、上面および/または下面に前記光触媒担持織布または不織布を挟み込むための挟みしろを有し、支持部材同士が爪部と凹部との嵌合で連結され、前記光触媒担持織布または不織布は前記支持部材間に挟み込まれることを特徴とする光触媒反応装置用カートリッジ。
  3. 流体中の有害物質を分解する光触媒を担持した織布または不織布と、これを支持するための中空円筒形支持部材とからなり、前記支持部材はその上下に支持部材同士の連結部として上方部分および下方部分のそれぞれの外周側にフランジ部を有するとともに、上面および/または下面に前記光触媒担持織布または不織布を挟み込むための挟みしろを有し、支持部材同士がフランジ部を止め具で固定することにより連結され、前記光触媒担持織布または不織布は前記支持部材間に挟み込まれることを特徴とする光触媒反応装置用カートリッジ。
  4. 前記請求項1乃至のいずれかに記載のカートリッジを積層し、連結してなる一体型ユニットと、反応槽とを有し、前記一体型ユニットが、前記反応槽内に、処理流体の流れ方向と光触媒担持織布または不織布の面が交差するように配置されており、前記反応槽の周辺または内部に光源が配設されていることを特徴とする光触媒反応装置。
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