JP3776407B2 - エポキシ樹脂組成物およびそれから得られるシート、プリプレグ状材料、金属箔付シート、積層板、電気絶縁用材料、レジスト材料 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物およびそれから得られるシート、プリプレグ状材料、金属箔付シート、積層板、電気絶縁用材料、レジスト材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低い誘電正接、高い耐熱性、および難燃性を有する硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物、およびそれから得られるシート、プリプレグ状材料、金属箔付シート、積層板、電気絶縁用材料、レジスト材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報通信量の増加にともない高周波数帯域での情報通信が盛んに行われるようになり、より優れた電気特性、なかでも高周波数帯域での伝送損失を低減させるため、低い誘電正接を有する電気絶縁用材料が求められている。従来、電気絶縁用材料としては、電気特性、機械特性、接着性などに優れたエポキシ樹脂が用いられていたが、従来のエポキシ樹脂は、硬化剤としてアミン化合物、フェノール化合物などの活性水素を有する化合物が使用されており、これら硬化剤によりエポキシ樹脂を硬化させた場合には、エポキシ基とこれら活性水素との反応によって極性の高いヒドロキシ基が生じるため誘電正接を低くすることが困難であった。
【0003】
エポキシ樹脂を硬化させた際に極性の高いヒドロキシ基を生じさせない方法として、カルボン酸と芳香族ヒドロキシ化合物とからなるエステル化合物の有するエステル結合が、エポキシ基に対して高い反応活性を持つことを利用し、多官能性の該エステル化合物をエポキシ樹脂の硬化剤として使用する試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。該エステル化合物を硬化剤としてエポキシ樹脂を硬化させた場合には、極性の高いヒドロキシ基を生じることがないため、得られる硬化物は低い誘電正接を示す。このようなエステル化合物として、フタル酸やトリメリット酸とフェノール類とのエステル化合物、安息香酸類とビスフェノールAやビスフェノールSとのエステル化合物、あるいは、安息香酸類とフェノール樹脂とのエステル化合物などが知られている。
【0004】
しかし、これらエステル化合物は、活性の高いエステル結合が分子または分子鎖の末端にしか存在しないため、得られるエポキシ樹脂硬化物の架橋密度が高くならず、また、硬化物内部で水素結合が形成されることもないので、鉛フリーの半田加工に耐え得る高いガラス転移温度を有するエポキシ樹脂硬化物が得られなかった。
【0005】
エポキシ基に対して高い反応活性を持つエステル化合物のなかで、高いガラス転移温度を有するエポキシ樹脂硬化物を与えるエステル化合物としては、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジヒドロキシ化合物とから得られる多官能性ポリエステル(例えば、特許文献2参照)、あるいは、両末端にヒドロキシ基を有する多官能性ポリエステルのヒドロキシ基をモノカルボン酸でエステル化したポリエステル(例えば、特許文献3参照)などが知られており、このような多官能性ポリエステルを硬化剤として使用してエポキシ樹脂を硬化させた場合には、分子鎖を形成する全てのエステル結合が硬化反応に関与できるので、エポキシ樹脂硬化物の架橋密度が高くなり、ガラス転移温度を高くすることができる。
【0006】
しかし、上記ポリエステルは結晶化しやすく、溶媒への溶解性に劣るため、これを硬化剤として使用したエポキシ樹脂組成物を調整する際に、溶媒の種類が特定のものに制限されるという問題点があった。
また、エポキシ樹脂硬化物を電気絶縁用材料用途に使用する場合には、漏電や短絡によって容易に燃焼しないように難燃性が求められているが、上記したポリエステルは難燃性に劣るという問題点があった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−53327号公報
【特許文献2】
特開平5−51517号公報
【特許文献3】
特開平10−101775号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ガラス転移温度が高く、誘電正接が低く、難燃性が高いエポキシ樹脂硬化物を与え、かつ硬化剤として有機溶剤への溶解性に優れたポリエステルを含有するエポキシ樹脂組成物、およびそれから得られるシート、プリプレグ状材料、金属箔付シート、積層板、電気絶縁用材料、レジスト材料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂の硬化剤として、分子鎖末端にアリールカルボニルオキシ基を有する、芳香族多価カルボン酸と嵩高い基を有する芳香族多価ヒドロキシ化合物とからなるポリエステルを使用する。該ポリエステルの分子鎖を形成する全てのエステル結合が架橋点となり得るため、これをエポキシ樹脂硬化剤として使用した場合、硬化物は高い架橋密度を有し、また、硬化時に極性の高いヒドロキシ基を形成することがないため、得られるエポキシ樹脂硬化物は、高いガラス転移温度と低い誘電正接とを兼備する。さらに、該ポリエステルは、芳香族多価ヒドロキシ化合物として、芳香環や脂環式構造などの嵩高い構造を分子内に複数有するので、ポリエステルの分子鎖の結晶化が抑えられ、各種有機溶剤への溶解性に優れる。硬化促進剤(C)を有することにより、ポリエステル(A)とエポキシ樹脂(B)との反応が促進され、誘電正接やガラス転移温度に及ぼす効果を高めることができる。さらに、難燃剤(D)を有することにより、電気絶縁用材料用途に必要な難燃性を付与することができる。
【0010】
すなわち本発明は、分子鎖末端にアリールカルボニルオキシ基を有する、芳香族多価カルボン酸残基と芳香族多価ヒドロキシ化合物残基とからなるポリエステル(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化促進剤(C)、難燃剤(D)、および有機溶剤(E)を必須成分とするものであって、前記芳香族多価ヒドロキシ化合物残基が、下記式(1)〜(4)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、前記芳香族多価カルボン酸残基が、下記式(5)〜(7)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物を提供することによって上記課題を解決した。
【0011】
【化8】
Figure 0003776407
Figure 0003776407
(式(1)中、kは0または1である。)
【0012】
【化9】
Figure 0003776407
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(式(2)中、Yは酸素原子、メチレン基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたメチレン基、フェニル基で置換されたメチレン基、ナフチル基で置換されたメチレン基、ビフェニル基で置換されたメチレン基、9−フルオレニル基で置換されたメチレン基、または該フェニル基、該ナフチル基、あるいは該ビフェニル基に更に炭素数1〜4のアルキル基が核置換したメチレン基を表す。nおよびmは、各々1〜3の整数を表す。)
【0013】
【化10】
Figure 0003776407
Figure 0003776407
【0014】
【化11】
Figure 0003776407
Figure 0003776407
【0015】
【化12】
Figure 0003776407
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【0016】
【化13】
Figure 0003776407
Figure 0003776407
【0017】
【化14】
Figure 0003776407
Figure 0003776407
(式中A、B、D、E、Gは置換基であり、各々炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。a、e、gは各々0〜4の整数を示し、b、dは各々0〜3の整数を表す。Xは単結合、−S−、−O−、−CO−、−CH−、−C(CH−、または−SO−を表す。)
【0018】
さらに本発明は、上記エポキシ樹脂組成物を金属箔あるいはフィルムに塗工し、半硬化させて得られることを特徴とするシート、上記エポキシ樹脂組成物を含浸基材に含浸させたことを特徴とするプリプレグ状材料、上記プリプレグ状材料を1枚以上重ねて、その上下に金属箔を重ねて硬化させたことを特徴とする金属箔付シート、上記シートの間に含浸基材を挟んで硬化させたことを特徴とする積層板、上記エポキシ樹脂組成物から得られることを特徴とする電気絶縁用材料やレジスト材料を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、分子鎖末端にアリールカルボニルオキシ基を有する、芳香族多価カルボン酸残基と芳香族多価ヒドロキシ化合物残基とからなるポリエステル(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化促進剤(C)、難燃剤(D)、および有機溶剤(E)を必須成分として含有する。
【0020】
本発明においては、エポキシ樹脂の硬化剤として、分子鎖末端にアリールカルボニルオキシ基を有する、芳香族多価カルボン酸残基と芳香族多価ヒドロキシ化合物残基とからなるポリエステルであって、該芳香族多価ヒドロキシ化合物残基が、上記式(1)〜(4)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、前記芳香族多価カルボン酸残基が、上記式(5)〜(7)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であるポリエステル(以下、該ポリエステルを単に「ポリエステル(A)」と略記する。)を使用する。
【0021】
該ポリエステル(A)の有するエステル結合は、エポキシ基に対して高い反応活性を有するため、エポキシ樹脂の硬化剤として好適に用いることができ、ポリエステル(A)を硬化剤として使用した場合には極性の高いヒドロキシ基を生じることがなく、得られるエポキシ樹脂硬化物は低い誘電正接を示す。また、ポリエステル(A)の分子鎖を形成する全てのエステル結合が架橋点となり得るため、これをエポキシ樹脂硬化剤として使用した場合、硬化物は架橋密度が高くなり、高いガラス転移温度を有する。
【0022】
さらに、上記した式(1)〜(4)で表される基はいずれも嵩高い芳香環や脂環式構造を分子内に複数有するため、ポリエステル(A)は分子鎖の結晶化が抑えられ、有機溶剤中への溶解性に優れることから、該ポリエステル(A)を含有するエポキシ樹脂組成物を溶媒に溶解させる際や、ワニスを調整する際に溶媒種の選択幅が広く、使用する量も少量でよい。なかでも、式(1)で表される芳香族多価ヒドロキシ化合物から得られるポリエステル(A)を硬化剤とするエポキシ樹脂硬化物は、構造中に疎水性の脂環式構造を有するため、吸水が少なく、高湿度環境下においても安定な誘電正接を示す。
また、芳香族多価カルボン酸残基が上記一般式(5)〜(7)で表されるものである場合、得られるポリエステル(A)は各種溶媒に対して優れた溶解性を示し、また、該ポリエステル(A)を硬化剤として使用したエポキシ樹脂硬化物は、高いガラス転移温度、低い誘電正接を示す。
【0023】
本発明に使用するポリエステル(A)は、例えば、芳香族多価カルボン酸と芳香族多価ヒドロキシ化合物とを重縮合させ、両末端にヒドロキシ基を有するポリエステルを合成しておき、該ヒドロキシ基を芳香族モノカルボン酸でエステル化して得られる。該ポリエステル(A)は、上記脱水エステル化反応以外にエステル交換反応やショッテン・バウマン反応によって製造することもできる。例えば、エステル交換反応では、芳香族多価ヒドロキシ化合物を無水酢酸によりアセチル化した後、芳香族多価カルボン酸、および芳香族モノカルボン酸とをアシドリシスさせることによりポリエステル(A)が得られる。これらいずれの製法を使用した場合でも、芳香族モノカルボン酸の反応性が高いため、芳香族モノカルボン酸の添加量によってポリエステルの重合度を容易に制御できる。
【0024】
ショッテン・バウマン反応を利用する場合、該反応を界面で行わせる界面重縮合法と、均一溶液中で行わせる溶液重縮合法とがある。界面重縮合法では、芳香族多価カルボン酸の酸ハロゲン化物、および芳香族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物を含む有機溶液相と、芳香族多価ヒドロキシ化合物を含む水相とを接触させ、酸捕捉剤の共存下で界面重縮合させることによりポリエステル(A)が得られる。また、溶液重縮合法では、芳香族多価カルボン酸の酸ハロゲン化物、および芳香族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物を含む溶液と、芳香族多価ヒドロキシ化合物を含む溶液とを、酸捕捉剤の存在下で混合し、脱ハロゲン化水素反応させることによってポリエステル(A)が得られる。
【0025】
前述したように、ポリエステル(A)は、芳香族多価カルボン酸、芳香族多価ヒドロキシ化合物、および芳香族モノカルボン酸の脱水エステル化反応によっても得られるが、一般に芳香族ヒドロキシ化合物の反応性は低いので、前記エステル交換反応、あるいはショッテン・バウマン反応を利用するのが好ましい。
【0026】
以下、ショッテン・バウマン反応を利用する製造方法を例として、本発明に使用するポリエステル(A)について具体的に説明する。ポリエステル(A)の製造に使用する芳香族多価ヒドロキシ化合物としては、上記式(1)〜(4)で表される基を与える化合物であり、具体的には下記式(8)〜(11)で表される芳香族多価ヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0027】
【化15】
Figure 0003776407
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(式(8)中、kは0または1である。)
【0028】
【化16】
Figure 0003776407
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(式(9)中、Yは酸素原子、メチレン基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたメチレン基、フェニル基で置換されたメチレン基、ナフチル基で置換されたメチレン基、ビフェニル基で置換されたメチレン基、9−フルオレニル基で置換されたメチレン基、または該フェニル基、該ナフチル基、あるいは該ビフェニル基に更に炭素数1〜4のアルキル基が核置換したメチレン基を表す。nおよびmは、1〜3の整数を表す。)
【0029】
【化17】
Figure 0003776407
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【0030】
【化18】
Figure 0003776407
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【0031】
上記式(8)〜(11)で表される芳香族多価ヒドロキシ化合物のなかでも、式(8)で表される芳香族多価ヒドロキシ化合物を使用して得られるポリエステル(A)を硬化剤とするエポキシ樹脂硬化物は、構造中に疎水性の脂環式構造を有するため、吸水が少なく、高湿度環境下においても安定な誘電特性を示す。
【0032】
ただし、式(8)で表される芳香族多価ヒドロキシ化合物のうちkの平均値が0.2を越えるものは、溶媒に溶解してポリエステルを合成する際にゲル化するおそれがあるため、式(8)で表される芳香族多価ヒドロキシ化合物を使用する場合には、kの平均値が0〜0.2の範囲にあるものを使用するか、あるいは、式(9)〜(11)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と混合して使用することが好ましい。式(9)〜(11)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と共に使用する場合には、式(8)で表される芳香族多価ヒドロキシ化合物の使用量をkの値に応じて適宜調整する必要があり、例えば、kが1の場合には、ポリエステル(A)を合成する際の式(8)で表される芳香族多価ヒドロキシ化合物の使用量は、使用する芳香族多価ヒドロキシ化合物全量に対して20mol%以下とすることが好ましい。
【0033】
ショッテン・バウマン反応を利用してポリエステル(A)を製造する場合においては、芳香族多価カルボン酸および芳香族モノカルボン酸(以下、芳香族多価カルボン酸と芳香族モノカルボン酸とを総称して、単に「芳香族カルボン酸」と略記することがある。)は酸ハロゲン化物の形で使用する。ここで使用する酸ハロゲン化物のハロゲンとしては、塩素、または臭素を使用するのが一般的である。
酸ハロゲン化物の形で使用する芳香族多価カルボン酸としては、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、あるいは、下記一般式(12)〜(14)で表される芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0034】
【化19】
Figure 0003776407
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【0035】
【化20】
Figure 0003776407
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【0036】
【化21】
Figure 0003776407
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【0037】
(一般式(12)〜(14)中A、B、D、E、Gは置換基を表し、各々炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。a、e、gは各々0〜4の整数を表し、b、dは各々0〜3の整数を示す。A〜Gで表される置換基は、それぞれ、すべて同一であっても異なっていてもよい。Xは単結合、−S−、−O−、−CO−、−CH−、−C(CH−、または−SO−を表す。)
【0038】
上記一般式(12)〜(14)で表される芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−、2,3−、あるいは2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。なかでも、イソフタル酸とテレフタル酸の混合物を使用して得られるポリエステル(A)は、特に各種溶媒への溶解性に優れる。
【0039】
芳香族モノカルボン酸としては、例えば下記一般式(15)〜(17)で表される芳香族モノカルボン酸が挙げられる。
【0040】
【化22】
Figure 0003776407
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【0041】
【化23】
Figure 0003776407
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【0042】
【化24】
Figure 0003776407
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【0043】
(一般式(15)〜(17)中、P、Q、R、T、Uは置換基を表し、各々炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、またはハロゲン原子を表す。p、rは0〜5の整数、q、tは0〜4の整数、uは0〜3の整数を示す。P〜Uで表される置換基は、それぞれ、すべて同一であっても異なっていてもよい。Zは単結合、−O−、−CO−、−CH−、−C(CH−、または−SO−を表す。)
【0044】
一般式(15)〜(17)で表される芳香族モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、ビフェニルカルボン酸などが挙げられる。
【0045】
ポリエステル(A)を界面重縮合法により製造する場合の有機溶液相に用いる溶媒としては、芳香族カルボン酸の酸ハロゲン化物を溶解し、酸ハロゲン化物に不活性で、かつ水と非相溶の溶媒であればよく、例えば、トルエン、ジクロロメタンなどが挙げられる。水相には芳香族多価ヒドロキシ化合物と酸捕捉剤であるアルカリを溶解する。
【0046】
溶液重合法により製造する場合に用いる溶媒としては、芳香族多価カルボン酸の酸ハロゲン化物、芳香族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物、および芳香族多価ヒドロキシ化合物を溶解し、かつ、酸ハロゲン化物に不活性な溶媒であればよく、トルエン、ジクロロメタンなどが使用できる。また、重縮合反応に使用する酸捕捉剤としては、ピリジンやトリエチルアミンなどを使用することができる。
【0047】
得られたポリエステル(A)は、洗浄や再沈殿などの操作によって精製し、不純物含有量を低減することが好ましい。ポリエステル(A)中にモノマー、ハロゲンイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、あるいは塩類などの不純物が残存すると、誘電正接を増大させる要因となる。
【0048】
ポリエステル(A)のポリスチレン換算の数平均分子量は550〜7000の範囲にあることが好ましい。数平均分子量が550未満であると、エポキシ樹脂硬化物の架橋密度が十分に高くならないため、ガラス転移温度に及ぼす効果が不十分となり、7000を越えると、溶媒へ溶解した際にゲル化する場合がある。
【0049】
さらに、本発明では、必須成分ではないが、エポキシ樹脂の硬化剤として、芳香族多価カルボン酸のすべてのカルボキシ基が芳香族モノヒドロキシ化合物でエステル化された芳香族エステル(以下、該芳香族エステルを単に「芳香族エステル(G)」と略記する。)を併用することができる。
芳香族エステル(G)は、芳香族多価カルボン酸と芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステルであり、上記ポリエステル(A)と同様の製造方法により得ることができる。
【0050】
芳香族エステル(G)の製造に使用する芳香族多価カルボン酸としては、例えば、上記ポリエステル(A)の合成に使用した芳香族多価カルボン酸と同様のカルボン酸を使用することができる。なかでも、イソフタル酸、あるいはテレフタル酸を使用した芳香族エステル(G)は、エポキシ樹脂組成物の溶媒への溶解性が良好である。
【0051】
芳香族モノヒドロキシ化合物としては、上記ポリエステル(A)の合成に使用する芳香族モノヒドロキシ化合物を使用することができる。なかでも、α−ナフトール、β−ナフトールを使用した芳香族エステル(G)は、得られるエポキシ樹脂硬化物の誘電正接を、より低くすることができるため好ましい。
【0052】
ポリエステル(A)と芳香族エステル(G)とを併用する場合、エポキシ樹脂組成物中に含まれる、ポリエステル(A)と芳香族エステル(G)の比率は、ポリエステル(A):芳香族エステル(G)が85:15〜55:45の範囲の質量比であると、特に優れたガラス転移温度と誘電正接とを兼備できる。
【0053】
本発明に使用するエポキシ樹脂(B)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限されず、例えば、クレゾールノボラック、フェノールノボラック、α―ナフトールノボラック、β―ナフトールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビフェニルノボラック、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビスフェノールフルオレン、ジヒドロキシナフタレンなどの多価フェノールのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエニルジフェノールとエピクロルヒドリンとから得られるジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、トリフェニル型エポキシ樹脂、テトラフェニル型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール、水添ビスフェノールAなどのアルコール系のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロ無水フタル酸やダイマー酸などを原料としたグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンなどのアミンを原料としたグリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ベンゾピラン型エポキシ樹脂、およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0054】
なかでも、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニル型エポキシ樹脂、テトラフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、および臭素化エポキシ樹脂を使用すると、耐熱性に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物が得られる。
【0055】
本発明に使用する硬化促進剤(C)としては、公知慣用のエポキシ樹脂硬化促進剤を用いることができる。例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどの有機ホスフィン化合物、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトなどの有機ホスファイト化合物、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのホスホニウム塩、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(以下、DBUと略記する。)などのアミン化合物およびDBUとテレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸との塩、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドなどの第4級アンモニウム塩、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、クロロフェニル尿素、3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロルフェニル)−1,1−ジメチル尿素などの尿素化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ、カリウムフェノキシドやカリウムアセテートなどのクラウンエーテルの塩などが挙げられ、これらは単独あるいは複数で用いることができる。これらの中でもイミダゾール化合物が好ましく用いられる。
【0056】
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂(B)とポリエステル(A)との配合量は、エポキシ樹脂(B)中のエポキシ基1molに対して、ポリエステル(A)中のアリールカルボニルオキシ基が0.15〜5molとなる配合量が好ましく、0.5〜2.5モルとなる配合量であればさらに好ましい。ポリエステル(A)の配合量が該範囲外であると、ポリエステル(A)によるエポキシ樹脂(B)の硬化反応が十分に進行せず、誘電正接やガラス転移温度に及ぼす効果が不十分になる。
【0057】
硬化促進剤(C)の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲であることが好ましい。硬化促進剤(C)の配合量が0.01質量部未満であると硬化反応速度が遅くなり、5質量部より多いとエポキシ樹脂(B)の自己重合が生じてポリエステル(A)によるエポキシ樹脂(B)の硬化反応が阻害されることがある。
【0058】
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、必須成分として難燃剤(D)を使用する。難燃剤(D)としては、臭素化芳香族系、縮合リン酸エステル系、金属水酸化物系、アンチモン系、リン系などの公知慣用の難燃剤を用いることができる。特に、臭素化芳香族系難燃剤は、構造中に臭素原子を有するため、エポキシ樹脂硬化物が熱分解した際に臭化水素が生じ、臭化水素の酸素遮断効果と、燃焼時の高活性なフリーラジカルを捕捉して燃焼エネルギーを低下させる効果とにより、エポキシ樹脂組成物に優れた難燃性を付与できる。しかも、該エポキシ樹脂組成物の硬化物の伝送損失を悪化させにくいので好ましい。この観点から特に好適な難燃剤は、エタン−1,2−ビス(ベンタブロモフェニル)である。
【0059】
ここで難燃性とは、炎や発熱体を近づけて試験片に点火し、再び消火するまでの燃焼に関する特性、すなわち燃えにくさのことを意味する。本発明における優れた難燃性とは、米国UL規格のうち、機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験に関するUL−94の、垂直燃焼試験による有焔時間を難燃性の基準とし、該規格のなかの電子材料に関係の深い94V−0の規格(有焔時間が10秒未満)を満たすことをいう。
【0060】
本発明のエポキシ樹脂組成物に使用する有機溶剤(E)は、用いるエポキシ樹脂の種類によって異なるが、エポキシ樹脂(B)、ポリエステル(A)および硬化促進剤(C)を均質に溶解できるものであればよい。例としては、N−メチルピロリドン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アニソールなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのモノエーテルグリコール系溶媒などが挙げられ、これらは単独あるいは混合して用いることができる。
【0061】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ポリエステル(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化促進剤(C)、難燃剤(D)、有機溶剤(E)、さらに必要に応じて添加される可とう性付与材などの所望の種類および量の添加剤を均一に混合することにより調製することができる。
【0062】
可とう性付与材としては、スチレン系エラストマー、およびポリブタジエン系ポリマーの少なくとも一つを添加することができる。
スチレン系エラストマーとしては、スチレンと、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(エチレン/ブチレン)、ポリ(エチレン/プロピレン)、ポリ(ビニル/イソプロピレン)、およびポリエチレンから選択される1種または2種以上とのジブロック共重合体またはトリブロック共重合体が挙げられる。
また、ポリブタジエン系ポリマーとしては、1,2―ポリブタジエンまたは1,4−ポリブタジエンの二重結合の一部をエポキシ化した重合体を用いることができる。
【0063】
エポキシ樹脂組成物を金属箔やフィルムなどに塗工し、半硬化させてシートを製造する場合(製造方法の詳細は後述する)、エポキシ樹脂組成物の可とう性が不足すると、クラックの発生、ハンドリング性の低下、切断の際の樹脂落ち(粉落ち)等の問題が生じることがある。そこで、エポキシ樹脂組成物に上記の可とう性付与材を添加しておくと、該エポキシ樹脂組成物をBステージ状態まで半硬化させたときに、該半硬化物が優れた可とう性を示し、上述の問題を防止できる。
なお、可とう性付与材は必須のものではなく、半硬化物に可とう性が要求されない用途では、特に添加する必要はない。このような用途としては、例えば、エポキシ樹脂組成物をガラスクロスなどの含浸基材に含浸させてプリプレグ状材料を製造するなどの用途が挙げられる。
【0064】
可とう性付与材は、エポキシ樹脂100質量部に対して、5〜30質量部添加することが好ましい。可とう性付与材の量が前記以下だと、エポキシ樹脂組成物の改質効果がほとんどなく、脆い物性が改良されない。また、前記以上だとエポキシ樹脂組成物の本来の物性が発揮できなくなり、溶剤中での配合の際に固形分濃度が上げられず、溶液粘度が上がり、吸水率が増加する等の問題が生じるおそれがある。
【0065】
このようにして得られたエポキシ樹脂組成物は、公知慣用の熱硬化法により硬化させ、成型することができる。例としては、上記混合液を任意の型に注入し、加熱して硬化させる方法、あるいは、上記混合液によりワニスを調整し、該ワニスを金属箔やフィルムなどの支持体に塗布して乾燥する方法、あるいはガラス布基材などの含浸基材に含浸させ、加熱乾燥により溶媒を除去し、樹脂を予備硬化させた後、再度加熱しながら加圧成型する方法などが挙げられる。
【0066】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、金属箔、あるいはフィルムに塗工して半硬化させてシートとすることができる。
エポキシ樹脂組成物を塗工する金属箔としては、銅箔、金箔、銀箔、アルミ箔、ニッケル―クロム箔、ニッケル箔等が例示される。
フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルやポリイミドなどが例示される。
【0067】
また、含浸基材に含浸させてプリプレグ状材料とすることもできる。
ここで含浸基材とは、上記ワニス等の液状組成物を含浸させるための多孔質の基材であり、例えば、Eガラスのガラスクロス、Dガラスのガラスクロス、NEガラスのガラスクロス、Hガラスのガラスクロス、Tガラスのガラスクロス、アラミドの多孔質膜、ポリアミドの多孔質膜、及びポリ4弗化エチレンの多孔質膜が挙げられる。
【0068】
本発明のエポキシ樹脂組成物を金属箔付積層基板の製造に利用する方法としては、種々の方法があるが、ここではそのうちの幾つかの例を説明する。
片面に支持体が付いた半硬化シートを製造する方法としては、例えば、図1(a)に示すように、支持体2の上にエポキシ樹脂組成物1を一定の厚みにて塗工し、乾燥によりエポキシ樹脂組成物1を半硬化させる方法がある。これにより、図1(b)に示すように、支持体2上に半硬化樹脂層3aが形成された半硬化シート3を製造することができる。
なお、図1(a)に示す横型塗工機10は、エポキシ樹脂組成物1の塗工厚さを一定に制御するドクターブレード11と、エポキシ樹脂組成物1を半硬化させる乾燥炉12と、半硬化シート3を巻き取る巻取りロール13を備えた公知の装置である。
また、支持体2としては、金属箔やフィルムを用いることができる。
【0069】
図1(c)に示すように、このようにして得られる半硬化シート3を2枚、半硬化樹脂層3a同士を対向させて加圧成型することにより、一体化された硬化樹脂層4aを有する硬化物シート4を製造することができる。
また、図1(d)に示すように、半硬化シート3を2枚、半硬化樹脂層3aの側で向き合わせ、その間に含浸基材5を配置して積層プレスすることにより、図1(e)に示すように、内部に含浸基材5が入っており、両面に支持体2が配置され、支持体2と含浸基材5との間に硬化樹脂層4aが形成された積層板6を製造することができる。このような積層板6では、半硬化樹脂は含浸基材5に含浸されながら硬化するので、含浸基材5との密着性がよく、層間剥がれの起こりにくい積層板6を得ることができる。
【0070】
また、エポキシ樹脂組成物を含浸基材に含浸させてプリプレグ状材料を製造することができる。図2(a)はプリプレグ状材料を製造するための含浸塗工装置20の一例を示す概略構成図である。この含浸塗工装置20においては、含浸基材5は、繰出しロール21から繰り出され、送りロール22,23,24を経て、巻取りロール25により巻き取られるようになっている。送りロール23は、エポキシ樹脂組成物1を貯えた塗工槽26内に配置されており、送りロール24は、乾燥炉28内に配置されている。また、塗工槽26と乾燥炉28との間には、含浸基材5に含浸されたエポキシ樹脂組成物1の膜厚を一定に制御する膜厚制御ローラ27が設けられている。塗工槽26は、スラリー撹拌羽根(図示略)を備えており、エポキシ樹脂組成物1を攪拌することにより、その流動性を維持した状態で貯えることができるようになっている。
このような含浸塗工装置20を用いることにより、含浸基材5にエポキシ樹脂組成物1を一定の膜厚にて含浸させ、さらにエポキシ樹脂組成物1を乾燥させることにより、図2(b)に示すようなプリプレグ状材料7を製造し、順次巻取りロールに巻き取ることができる。
【0071】
また、図2(c)に示すように、上記プリプレグ状材料7の両面の半硬化樹脂層7aにそれぞれ金属箔8を重ね合わせ、積層プレスすることにより、図2(d)に示すように、内部に含浸基材5が入っており、両面に金属箔8が配置され、金属箔8と含浸基材5との間に硬化樹脂層9aが形成された金属箔付シート9を製造することができる。
プリプレグ状材料7は、1枚、もしくは複数枚重ね合わせて積層させ、樹脂を硬化させることにより、含浸基材5入りの硬化物シートを製造することができる。同様に、図2(d)ではプリプレグ状材料7を一枚用いた金属箔付シート9を図示しているが、本発明は特にこれに限定されるものではない。例えば、プリプレグ状材料7を複数枚重ね合わせ、さらにその上下両面にそれぞれ金属箔を重ねて積層プレスして樹脂を硬化させることによっても、金属箔付シートを製造することができる。
【0072】
これ以外にも、本発明のエポキシ樹脂組成物は、耐熱性が高く、電気絶縁性に優れることから、半導体封止剤などの電気絶縁用材料として利用することができる。さらに、塗工性や熱硬化性に優れることから、ソルダーレジスト、メッキレジスト、エッチングレジストなどのレジスト材料に用いることができる。また、さらに(メタ)アクリル樹脂のような活性エネルギー線硬化性樹脂などの光硬化成分を添加すれば、光硬化性のレジスト材料を得ることができる。
【0073】
【実施例】
以下に実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
<合成例1>
反応容器に水1000ml、および水酸化ナトリウム20gを入れ、窒素気流中で、表1の合成例1の欄に示した量の芳香族モノヒドロキシ化合物と芳香族多価ヒドロキシ化合物とを投入し、ファードラー翼により毎分300回転で1時間攪拌した。次いで、30℃に保った反応容器に、塩化メチレン1000ml中に表1の合成例1の欄に示した量の芳香族多価カルボン酸の酸ハロゲン化物を溶解した溶液を15秒かけて滴下し、4時間攪拌を続けた。得られた混合液を静置分液して水相を除去し、残った塩化メチレン相を0.5%濃度の水酸化ナトリウム水溶液による洗浄、および水相の除去を3回繰り返し、さらに、脱イオン水による洗浄と水相の除去を3回繰り返した。洗浄後の塩化メチレン相を400mlまで濃縮した後、ヘプタン1000mlを15秒かけて滴下し、析出物をメタノールにより洗浄し、ろ過、乾燥してポリエステル(A1)を得た。
【0074】
<合成例2>
合成例1における、表1の合成例1の欄に示した量の芳香族多価ヒドロキシ化合物の代わりに、表1の合成例2の欄に示した量の芳香族モノカルボキシル化合物を使用した以外は合成例1と同様にして、ポリエステル(A2)を得た。
【0075】
<合成例3>
反応容器にテトラヒドロフラン400mlを入れ、窒素気流中で、トリエチルアミン11gとレゾルシノール5.1gとを溶解させ、氷冷しながらイソフタル酸クロリド5.1gをテトラヒドロフラン100mlに溶解した溶液を30分かけて滴下した。4時間撹拌した後、p−アセトキシ安息香酸クロリド19.9gをテトラヒドロフラン100mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、溶液を5%濃度の炭酸ナトリウム水溶液中に注ぎ、析出物を吸引濾過、水およびメタノールで洗浄し、減圧乾燥して、下記式(18)で表される、ポリエステル(H1)(数平均分子量2900)を得た。
【0076】
【化25】
Figure 0003776407
Figure 0003776407
【0077】
<合成例4>
反応容器に水1000ml、および水酸化ナトリウム20gを入れ、窒素気流中で、ビスフェノールA45.7g、およびテトラブチルアンモニウムブロミド1.2gを溶解させた。30℃に保った反応容器に、イソフタル酸クロリド32.5g、およびテレフタル酸クロリド8.1gを溶解させた塩化メチレン溶液1000mlを30秒で滴下した。1時間撹拌した後、静置して分液し、水相を取り除いた。残った塩化メチレン相を0.5%濃度の水酸化ナトリウム水溶液による洗浄、水相の除去を3回繰り返し、さらに、脱イオン水による洗浄と水相の除去を3回繰り返した。洗浄後の塩化メチレン相を400mlまで濃縮した後、ヘプタン1000mlを15秒かけて滴下した後、析出物をメタノールにより洗浄し、ろ過、乾燥して、下記式(19)で表される、ポリエステル(H2)(数平均分子量8600)を得た。
【0078】
【化26】
Figure 0003776407
Figure 0003776407
【0079】
【表1】
Figure 0003776407
【0080】
表1に示す芳香族多価ヒドロキシ化合物は、各々下記を表す。
DCPDDP:日本石油株式会社製ジシクロペンタジエニルジフェノール「DPP―6085」(式(1)においてkの平均値が0.16である芳香族ジヒドロキシ化合物。ヒドロキシ基当量165g/eq)
DHDN:東京化成工業株式会社製ジヒドロキシジナフタレン(式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物。ヒドロキシ基当量143g/eq)
【0081】
<実施例1〜4>
合成例1〜2で得られたポリエステルA1〜A2を硬化剤として、これら硬化剤とエポキシ樹脂、硬化促進剤、有機溶剤、難燃剤および必要に応じてスチレン系エラストマー又はエポキシ化ポリブタジエンを表2に示す組成で25℃で混合し、ワニスを調製した。調製したワニスをアルミニウムシャーレ上に塗布し120℃で溶媒除去した後、170℃のホットプレートで半硬化(Bステージ化)させた。次いで、アルミニウムシャーレ上から半硬化塗膜を剥がし取り粉末化し、該粉末を170℃、3MPaの条件で1時間加圧プレス、次いで、190℃、133Paの条件で真空乾燥器中10時間熱硬化させ、エポキシ樹脂硬化物を得た。
【0082】
<比較例1〜5>
合成例3〜4で得られたポリエステルH1〜H2、アジピン酸ジ(ニトロフェニル)エステル、およびメチルテトラヒドロ無水フタル酸を硬化剤として用い、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤および、必要に応じて難燃剤を表3に示す組成で混合し、ワニスを調製した。調製したワニスをアルミニウムシャーレ上に塗布し120℃で溶媒除去した後、170℃のホットプレートで半硬化(Bステージ化)させた。次いで、アルミニウムシャーレ上から半硬化塗膜を剥がし取り粉末化し、該粉末を170℃、3MPaの条件で1時間加圧プレス、次いで、190℃、133Paの条件で真空乾燥器中10時間熱硬化させ、エポキシ樹脂硬化物を得た。
【0083】
【表2】
Figure 0003776407
【0084】
【表3】
Figure 0003776407
【0085】
表2と表3中に示すエポキシ樹脂、硬化促進剤、難燃剤、スチレン系エラストマー、ポリブタジエン系ポリマーは各々下記を表す。また、表2と表3中のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤、難燃剤、スチレン系エラストマー、及びポリブタジエン系ポリマーの欄の数値は質量(g)を表す。
【0086】
EPICLON HP−7200H:大日本インキ化学工業株式会社製ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量280g/eq)。
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン。
【0087】
SAYTEX8010:アルベマールコーポレーション製のエタン-1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)
KRATON G1701:クレイトンポリマー製のスチレンーエチレンープロピレンのジブロック共重合体。
BF−1000: 旭電化工業株式会社製の部分エポキシ化した1,2−ポリブタジエン(オキシラン酸素=8%)。
【0088】
実施例1〜4および比較例1〜5で得られたエポキシ樹脂硬化物を用いて、下記の方法により、実施例1〜4および比較例1〜5の半硬化シート(A)、半硬化シート(B)、プリプレグ状シート(C)、硬化物シート(Da)、両面銅箔付硬化物シート(Db)、ガラスクロス入硬化物シート(E)、両面銅箔付ガラスクロス入硬化物シート(Fa)、両面銅箔付ガラスクロス入硬化物シート(Fb)を製造した。
【0089】
[半硬化シート(A)、半硬化シート(B)]
合成例1〜2で得られたポリエステルA1〜A2を硬化剤として、これら硬化剤とエポキシ樹脂、硬化促進剤、有機溶剤、難燃剤および必要に応じてスチレン系エラストマー又はエポキシ化ポリブタジエンを表2に示す組成で25℃で混合し、ワニスを調製した。このワニスを図1(a)に示すような横型塗工機(ヒラノテクシード社製)により、ドクターブレードにてギャップを制御し、塗工を行った。
支持体にはポリエチレンテレフタレートシート(厚み50μm)もしくは、18μm電解銅箔(日鉱マテリアルズ JTC箔)を使用し、ギャップは100〜150μmで速度0.3m/min,乾燥は120℃/5分の熱風乾燥にて行い、ロールtoロールにて巻取った。これを100×100mmのサイズに裁断し、絶縁層厚み50μmの片面PET支持体付半硬化シートA(実施例1〜4)および片面銅箔付半硬化シートB(実施例1〜4)を得た。比較例1〜5についても同様の手順により、片面にPET支持体が付いた半硬化シートAおよび片面に銅箔が付いた半硬化シートBを作製した。
【0090】
[プリプレグ状材料(C)]
合成例1〜2で得られたポリエステルA1〜A2を硬化剤として、これら硬化剤とエポキシ樹脂、硬化促進剤、有機溶剤、難燃剤および必要に応じてスチレン系エラストマー又はエポキシ化ポリブタジエンを表2に示す組成で25℃で混合し、ワニスを調製した。このワニスを、図2(a)で示すような含浸塗工装置(市金エンジニアング社製)を用い、ガラスクロス(1080タイプ、Eガラス、旭シュエーベル社製)に含浸塗工を行った。塗工速度は0.3m/minでギャップは300μm,乾燥条件は80℃/5分+120℃/5分で行い、ロールtoロールで巻き取った。さらに100×100mmに裁断し、厚み100μmの実施例1〜4に係るプリプレグ状シートCを得た。
比較例1〜5についても表3に記載した組成のエポキシ樹脂組成物からなるワニスを用いてプリプレグ状シートCを製造した。
【0091】
[硬化物シート(Da)]
上記実施例1〜4,比較例1〜5に係る半硬化シートAを100℃に加熱したホットプレート上にて貼り付け、支持体除去を16回繰り返し、厚み0.8mmの厚い半硬化シートを得、さらに高温真空プレス(KVHC型、北川精機株式会社製)を用い、4℃/分→130℃/60分キープ→4℃/分→190℃/3時間、圧力1MPaの条件にて高温真空プレスを行った。得られた硬化物シート(Da)の厚みは0.7mmである。
【0092】
[両面金属箔付硬化物シート(Db)]
上記実施例1〜4,比較例1〜5に係る銅箔付きの半硬化シート(B)を、絶縁層(樹脂層)を合わせて重ね合わせ、高温真空プレス(KVHC型、北川精機株式会社製)を用い、4℃/分→130℃/60分キープ→4℃/分→190℃/3時間、圧力2MPaの条件にて高温真空プレスを行った。得られた両面金属箔付硬化物シート(D)の厚みは0.1mmであった。
【0093】
[ガラスクロス入硬化物シート(E)]
実施例1〜4,比較例1〜5に係るプリプレグ状シート(C)を8枚重ねあわせ、高温真空プレス(KVHC型、北川精機株式会社製)を用い、4℃/分→130℃/60分キープ→4℃/分→190℃/3時間、圧力1MPaの条件にて高温真空プレスを行った。得られたガラスクロス入硬化物シート(E)の厚みは0.7mmであった。
【0094】
[両面銅箔付ガラスクロス入硬化物シート(Fa)]
実施例1〜4,比較例1〜5に係るプリプレグ状シート(C)の上下両面に、18μ厚の電解銅箔(日鉱マテリアルズ社製、JTC箔)を重ね合わせ、高温真空プレス(KVHC型、北川精機株式会社製)を用い、4℃/分→130℃/60分キープ→4℃/分→190℃/3時間、圧力2MPaの条件にて高温真空プレスを行った。得られた両面銅箔付ガラスクロス入硬化物シート(Fa)の厚みは0.1mmであった。
【0095】
[両面銅箔付ガラスクロス入硬化物シート(Fb)]
実施例1〜4,比較例1〜5に係る銅箔付きの半硬化シート(B)の間にガラスクロス(1080タイプ、Eガラス、旭シュエーベル社製)をはさみ、高温真空プレス(KVHC型、北川精機株式会社製)を用い、4℃/分→130℃/60分キープ→4℃/分→190℃/3時間、圧力2MPaの条件にて高温真空プレスを行った。得られた両面銅箔付ガラスクロス入硬化物シート(Fb)の厚みは0.1mmであった。
【0096】
以上の方法により製造した半硬化シート、プリプレグ状シート、硬化物シート、ガラスクロス入硬化物シート、両面金属箔付硬化物シート、両面銅箔付ガラスクロス入硬化物シートの評価を以下の方法により行った。その結果を表4および表5に示す。
【0097】
(流動性の測定)
半硬化シート(A),(B)およびプリプレグ状シート(C)について、それぞれ100mm角に裁断し、高温真空プレスにて4℃/分→130℃/60分キープ、圧力2MPaの条件にてプレスを行い、下記計算式により算出した。判定基準は流出率が3%以上を○とし、それ以下を×とした。
流出率(%)=(プレス後シート面積−プレス前シート面積)×100/プレス前シート面積
【0098】
(可とう性試験)
半硬化シート(A),(B)について、それぞれ100mm角に裁断し、絶縁層が外側になるように直径2mmのステンレス棒に25℃で巻き付け、樹脂のひび割れと剥がれが共にないものを○、そうでないものを×とした。
【0099】
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
硬化物シート(Da)およびガラスクロス入硬化物シート(E)について、セイコー電子工業株式会社製粘弾性スペクトロメータ「DMS200」により、1Hzにおけるtanδのピーク値の温度をガラス転移温度として測定した。
【0100】
(誘電特性の測定)
硬化物シート(Da)およびガラスクロス入硬化物シート(E)について、TDKオリジナル測定方法である摂動法により、絶乾後23℃、湿度50%の室内に24時間保管した後のエポキシ樹脂硬化物の2GHzでの誘電率およびQ値(誘電正接の逆数)を測定した。
【0101】
(半田耐熱性試験)
硬化物シート(Da)およびガラスクロス入硬化物シート(E)について、JIS−C−6481に準拠した方法により、300℃の半田浴に120秒間浸漬したエポキシ樹脂硬化物の状態を目視により評価した。目視により、膨れ、割れなどがないものを○、膨れ、割れなどが発生したものを×とした。
【0102】
(難燃性試験)
硬化物シート(Da)およびガラスクロス入硬化物シート(E)について、UL―94の規格に準拠した垂直燃焼試験により、合格するものを○、不合格なものを×とした。
【0103】
(体積抵抗率)
両面金属箔付硬化物シート(Db)および両面銅箔付ガラスクロス入硬化物シート(Fa),(Fb)について、JIS C 6481に基づき、常態(20℃/65%RH/96時間放置後)の体積抵抗率を測定した。
【0104】
(銅箔引き剥がし試験)
両面金属箔付硬化物シート(Db)および両面銅箔付ガラスクロス入硬化物シート(Fa),(Fb)について、JIS C 6481に基づき、幅10mmの箔を50mm/分の速さで垂直に引き剥がしたときの強度を測定した。
【0105】
【表4】
Figure 0003776407
【0106】
【表5】
Figure 0003776407
【0107】
表4,表5に示す結果から明らかなように、本発明のエポキシ樹脂硬化物を用いて製造された実施例1〜4の各種シートは、低い誘電正接、高い耐熱性、高い体積抵抗率(絶縁性)を示すと共に、難燃性に優れる。さらに、可とう性付与材としてスチレン系またはポリブタジエン系のエラストマーを添加したエポキシ樹脂硬化物を用いて製造された実施例2〜4の各種シートは、半硬化状態(Bステージ)における可とう性が良好であり、ハンドリング性や耐クラック性などが改善されたものとなる。
【0108】
【発明の効果】
本発明においては、分子鎖末端にアリールカルボニルオキシ基を有する、芳香族多価カルボン酸と芳香族多価ヒドロキシ化合物とからなるポリエステル(A)をエポキシ樹脂の硬化剤として使用することにより、硬化時に極性の高いヒドロキシ基が生成せず、誘電正接の低いエポキシ樹脂硬化物が得られる。また、該ポリエステル(A)の分子鎖を形成する全てのエステル結合が架橋点となり得るため、硬化物の架橋密度が高くなり、ガラス転移温度が高く、耐熱性に優れた硬化物が得られる。さらに、ポリエステル(A)は、分子鎖中に芳香環や脂環式構造などの嵩高い構造を分子内に複数有するため、分子鎖の結晶化が抑えられ、溶媒への溶解性に優れ、該ポリエステル(A)を含有するエポキシ樹脂組成物を溶媒に溶解させる際や、ワニスを調整する際には、使用する溶媒量が少量でよい。
さらに、硬化促進剤を添加することにより、エポキシ樹脂硬化物の硬化速度を促進して生産性を向上することができる。難燃剤を添加することにより、電気絶縁用材料用途に要求される難燃性を付与することができる。有機溶剤を添加することにより、電気絶縁用材料の製造に必要な塗工性、含浸性を付与することができる。
【0109】
前記難燃剤として、臭素化芳香族系難燃剤を用いたエポキシ樹脂硬化物は、誘電正接や誘電率等の電気特性に対して悪影響を与えにくく、電気絶縁用材料などの用途に好適である。
可とう性付与材として、スチレン系エラストマー、およびポリブタジエン系ポリマーの少なくとも一つを添加したエポキシ樹脂硬化物は、半硬化状態でのハンドリング性に優れ、クラックや切断の際の樹脂落ち(粉落ち)等を抑制することができる。
【0110】
本発明のシート、プリプレグ状材料、金属箔付シート、積層板、電気絶縁用材料、レジスト材料は、上記エポキシ樹脂硬化物を用いて製造されるものであるので、低い誘電正接、高い耐熱性、および難燃性を備え、特に高湿度の環境下でも誘電正接が増大しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)エポキシ樹脂組成物を支持体に塗工するための横型塗工機の一例を示す概略構成図である。(b)本発明の半硬化シートの一例を示す断面図である。(c)本発明の硬化シートの一例を示す断面図である。(d)半硬化シートと含浸基材とを重ね合わせる様子を示す図である。(e)本発明の積層板の一例を示す断面図である。
【図2】 (a)エポキシ樹脂組成物を含浸基材に含浸させるための含浸塗工装置の一例を示す概略構成図である。(b)本発明のプリプレグ状材料の一例を示す断面図である。(c)プリプレグ状材料の両面に金属箔を重ね合わせる様子を示す図である。(d)本発明の金属箔付シートの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 エポキシ樹脂組成物
2 支持体(金属箔あるいはフィルム)
3 半硬化シート(シート)
4 硬化シート(シート)
5 含浸基材
6 積層板
7 プリプレグ状材料
8 金属箔
9 金属箔付シート
10 横型塗工機
20 含浸塗工装置

Claims (13)

  1. 分子鎖末端にアリールカルボニルオキシ基を有する、芳香族多価カルボン酸残基と芳香族多価ヒドロキシ化合物残基とからなるポリエステル(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化促進剤(C)、難燃剤(D)、および有機溶剤(E)を必須成分とするものであって、前記芳香族多価ヒドロキシ化合物残基が、下記式(1)〜(4)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、前記芳香族多価カルボン酸残基が、下記式(5)〜(7)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0003776407
    Figure 0003776407
    (式(1)中、kは0または1である。)
    Figure 0003776407
    Figure 0003776407
    (式(2)中、Yは酸素原子、メチレン基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたメチレン基、フェニル基で置換されたメチレン基、ナフチル基で置換されたメチレン基、ビフェニル基で置換されたメチレン基、9−フルオレニル基で置換されたメチレン基、または該フェニル基、該ナフチル基、あるいは該ビフェニル基に更に炭素数1〜4のアルキル基が核置換したメチレン基を表す。nおよびmは、各々1〜3の整数を表す。)
    Figure 0003776407
    Figure 0003776407
    Figure 0003776407
    Figure 0003776407
    Figure 0003776407
    Figure 0003776407
    Figure 0003776407
    Figure 0003776407
    Figure 0003776407
    Figure 0003776407
    (式中A、B、D、E、Gは置換基であり、各々炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。a、e、gは各々0〜4の整数を示し、b、dは各々0〜3の整数を表す。Xは単結合、−S−、−O−、−CO−、−CH−、−C(CH−、または−SO−を表す。)
  2. 前記難燃剤が臭素化芳香族系難燃剤である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記難燃剤が、エタン−1,2−ビス(ベンタブロモフェニル)である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. スチレン系エラストマー、およびポリブタジエン系ポリマーの少なくとも一つを含有する請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物を金属箔、あるいはフィルムに塗工し、半硬化させて得られることを特徴とするシート。
  6. 請求項5に記載のシートを貼りあわせるか、あるいは複数枚重ねて硬化させたシート。
  7. 請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物を含浸基材に含浸させたことを特徴とするプリプレグ状材料。
  8. 前記含浸基材が、Eガラスのガラスクロス、Dガラスのガラスクロス、NEガラスのガラスクロス、Hガラスのガラスクロス、Tガラスのガラスクロス、アラミドの多孔質膜、ポリアミドの多孔質膜、及びポリ4弗化エチレンの多孔質膜からなる群から選ばれる含浸基材である請求項7に記載のプリプレグ状材料。
  9. 請求項7または8に記載のプリプレグ状材料を1枚以上重ねて硬化させたシート。
  10. 請求項7または8に記載のプリプレグ状材料を1枚以上重ねて、その上下に金属箔を重ねて硬化させたことを特徴とする金属箔付シート。
  11. 請求項5に記載のシートの間に含浸基材を挟んで硬化させたことを特徴とする積層板。
  12. 請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物から得られることを特徴とする電気絶縁用材料。
  13. 請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物から得られることを特徴とするレジスト材料。
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