JP3775909B2 - 有機薄膜製造方法、及び有機蒸着装置 - Google Patents
有機薄膜製造方法、及び有機蒸着装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3775909B2 JP3775909B2 JP32234697A JP32234697A JP3775909B2 JP 3775909 B2 JP3775909 B2 JP 3775909B2 JP 32234697 A JP32234697 A JP 32234697A JP 32234697 A JP32234697 A JP 32234697A JP 3775909 B2 JP3775909 B2 JP 3775909B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- organic
- vapor deposition
- chamber
- temperature
- thin film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機薄膜を形成する技術分野にかかり、特に、有機薄膜を連続的に形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機化合物は、無機物と比較して、多様な反応系・特性が利用できるることや、無機物よりも低エネルギーで表面処理ができることから、近年では、有機化合物を用いた機能性有機薄膜が着目されている。
【0003】
機能性有機薄膜を利用するものには、有機EL素子、圧電センサ、焦電センサ、電気絶縁膜等があるが、それらのうち、有機EL素子は、ディスプレイパネルとして利用できることから近年特に注目されている。そして最近では、有機ELディスプレイパネルを量産するために、多数の大面積基板に連続的に有機薄膜を形成できる技術が求められている。
【0004】
一般的な有機EL素子は、図5に示すように、予め透明導電膜cが形成されたガラス基体b上に、蒸着法によって有機化合物蒸気を付着させ、第1層目の有機薄膜dと第2層目の有機薄膜eとを形成した後、カソード電極膜fを形成して構成しており、透明導電膜cをアノード電極とし、カソード電極膜fとの間に電圧を印加すると、第1層目と第2層目の有機薄膜d、eの界面が発光し、EL光gが、透明導電膜cとガラス基体bとを透過し、EL素子aの外部に放射される。
【0005】
ガラス基体b上に形成する透明導電膜cには、一般にはIn2O3にSnを添加したITO(Indium-Tin-Oxide)薄膜が用いられており、他方、有機薄膜d、e上に形成するカソード電極膜としては、MgAg膜、MgIn膜、LiAl膜等が用いられている。
【0006】
また、第1層目の有機薄膜dを形成する有機化合物蒸気を放出させるためには、下記化学式、
【0007】
【化1】
【0008】
で表されるジアミンが有機蒸着材料として用いられており、第2層目の有機薄膜eを形成する有機化合物蒸気を放出させるためには、下記化学式、
【0009】
【化2】
【0010】
で表されるAlq3[Tris(8-hydroxyquinoline) aluminium, sublimed]が有機蒸着材料として用いられており、高真空雰囲気下で加熱することにより、多量の有機化合物蒸気を放出させている。
【0011】
しかしながら、上述のような有機蒸着材料は蒸気圧が高く、金属蒸着材料の場合は、蒸気放出温度が600℃〜2000℃程度と高温であるのに対し、高真空雰囲気下では、0℃(場合によっては零下)〜400℃の温度範囲にあるのが普通であり、400℃以下の低温での温度制御は困難である。
【0012】
また、有機蒸着材料のうちには、20℃〜400℃の温度範囲で分解してしまうものも多く、有機化合物蒸気が放出される蒸発下限温度と分解反応が生じる分解開始温度とが近接している。従って、蒸着時には、有機化合物蒸気を、安定に多量に放出させるために、有機蒸着材料の温度を精密に制御し、分解しない温度範囲でできるだけ高温の成膜温度を維持する必要がある。
【0013】
ところが、特に、有機蒸着材料のうちの粉体のものは、真空中では熱伝導が悪いため昇温に時間を要し、また、一旦温度が上昇した有機蒸着材料は冷却を行うにも時間を要してしまう。
【0014】
図4のグラフは、有機蒸着材料を昇温させ、有機化合物蒸気を放出させる場合の温度曲線L1と、その温度曲線L1に対応した単位時間当たりの有機化合物蒸気の放出量曲線L2である。
【0015】
図4のグラフに従って有機薄膜を形成する場合を説明すると、先ず、有機蒸着材料を、真空室内に設けられた有機蒸着源の容器内に配置し、その真空室内を高真空雰囲気にした後、時刻t1において、有機蒸着源に内蔵された抵抗加熱ヒータへの通電を開始し、有機蒸着材料を昇温させ始める。
【0016】
有機化合物の温度が上昇し、時刻t2で所定の待機温度T0に達すると、一旦昇温を停止させ、その温度を維持させる。この待機温度T0は、有機化合物蒸気が放出される蒸発下限温度T1に達しておらず、有機蒸着材料がその待機温度T0で維持される間、真空室内には有機化合物蒸気は放出されない。従って、この間は真空室内の雰囲気を搬送室内の雰囲気に接続することが可能であり、高真空雰囲気にされた搬送室内に配置された成膜対象の基板を、同様に、高真空雰囲気にされた真空室内に搬入することができる。
【0017】
真空室内に基板を搬入した後、時刻t3において、有機蒸着材料の昇温を再開する。有機蒸着材料の温度上昇により、時刻t4で、この有機蒸着材料の蒸発下限温度T1に達すると、有機化合物蒸気が放出されはじめる。
【0018】
有機蒸着材料を更に昇温させ、時刻t5で所定の成膜温度T2に達すると、その成膜温度T2で安定させ、基板表面への有機薄膜形成を開始する。
【0019】
時刻t6で基板表面に所定膜厚の有機薄膜が形成されたものとすると、その時刻t6で有機薄膜形成作業を終了し、有機蒸着材料の冷却を開始する。有機蒸着材料の温度が、蒸発下限温度T1以下に冷却され、時刻t7で待機温度T0になると、冷却を停止し、待機温度T0を維持させる。
【0020】
有機蒸着材料が待機温度T0の間、有機化合物蒸気は放出されないので、真空室内の雰囲気を搬送室内の雰囲気に接続し、有機薄膜が形成された基板と搬送室内に配置された未成膜の基板とを交換する。
【0021】
基板交換が完了した後、時刻t8において、有機蒸着材料の昇温を再開し、成膜温度T2まで温度上昇すると、未成膜の基板表面への有機薄膜形成が行われる。
【0022】
このように、基板交換を行う際の有機化合物蒸気の放出停止と放出再開とは、有機蒸着材料の温度を降温、昇温させて行っており、金属蒸着材料の場合は、エレクトロンビーム照射と照射停止により、直ちに金属蒸気の放出が開始され、また放出が停止されるのと異なり、有機蒸着材料では、時刻t3〜t5の間の昇温時間と時刻t6〜t7の間の冷却時間とは、それぞれ30分〜50分を要している。
【0023】
従って、基板表面の有機薄膜が成長する時間よりも、むしろ基板交換に必要な時間の方が長く、多数の基板に対して連続的に有機薄膜を形成する場合に大きな問題となっている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、有機薄膜の量産に適した技術を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、蒸着室内を真空排気し、高真空雰囲気下で蒸着源内に配置された有機化合物材料を加熱し、前記有機化合物材料の蒸気を放出させて第一の基板表面に有機化合物薄膜を形成する工程と、前記蒸着室内に不活性ガスを導入し、前記蒸着室内を昇圧して前記低真空雰囲気にし、前記高真空雰囲気では前記蒸気が放出される温度を維持しながら前記蒸気の放出を停止させる工程と、搬送室内に不活性ガスを導入し、前記搬送室内を昇圧して低真空雰囲気にする工程と、前記搬送室と前記蒸着室の間のゲートバルブを開け、それぞれ前記低真空雰囲気にされた前記搬送室と前記蒸着室とを接続し、前記搬送室内に配置された第二の基板と前記第一の基板とを交換する工程と、前記搬送室と前記蒸着室の間のゲートバルブを閉じ、前記蒸着室内の圧力を低下させ、前記高真空雰囲気にして前記蒸気の放出を再開させる工程とを有する有機薄膜製造方法である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の有機薄膜製造方法であって、前記基板の交換を行う工程では、前記蒸着室と前記搬送室の圧力を、6.65×10-2Pa以上6.65Pa以下にすることを特徴とする有機薄膜製造方法である。
【0026】
一般に、有機蒸着材料は真空雰囲気中で加熱されると昇華して有機化合物蒸気を放出するが、有機化合物蒸気が放出される蒸発下限温度は、液体の沸点と同様に、有機蒸着材料が配置された雰囲気の圧力に依存しており、蒸発下限温度は、高真空雰囲気では低温であり、低真空雰囲気では高真空雰囲気の蒸発下限温度よりも高温になっている。
【0027】
従って、有機蒸着材料を真空室内に配置し、昇温させる場合、高真空雰囲気では比較的低温で有機化合物蒸気が放出されるのに対し、真空室内に不活性ガスを導入し低真空雰囲気にする場合、蒸発下限温度が有機蒸着材料の温度よりも高くなるまで圧力上昇させると、有機蒸着材料の温度を一定にしたまま、有機化合物蒸気の放出を停止させることができる。
【0028】
真空室内への基板の搬出入は、有機化合物蒸気の放出が停止された状態で行う必要があるが、真空室内を低真空雰囲気にするだけで、基板搬出入を行うことができることになる。
【0029】
また、真空室内を低真空雰囲気にして基板搬出入を行う際、有機蒸着材料の温度が、少なくとも高真空雰囲気での蒸発下限温度よりも低くならないようにしておくと、基板交換後、真空室内を高真空雰囲気に戻すだけで、有機化合物蒸気を直ちに放出させることが可能である。この場合、基板交換の際の有機蒸着材料の温度は、成膜温度付近の温度に維持しておくと、有機化合物蒸気の放出速度が直ちに安定する。
【0030】
真空室を低真空雰囲気にして有機化合物蒸気の放出を停止させる場合、低真空雰囲気の圧力が低いと有機化合物蒸気が放出される危険性があり、高すぎると真空排気に要する時間が長くなるので、不活性ガスは、6.65×10-2Pa(5×10-4Torr)以上であって、6.65Pa(5×10-2Torr)以下の圧力に導入することが望ましい。
【0031】
他方、有機化合物蒸気を放出させる際の高真空雰囲気の圧力は、高品質の有機薄膜を得るためには低い程望ましい。典型的には、6.65×10-5Pa(5×10-7Torr)程度の圧力で蒸着が行われる。
【0032】
なお、有機蒸着材料から有機化合物蒸気を放出させる場合には、突沸や分解が生じない範囲で高温に加熱すると、蒸気放出速度が大きくなり、成膜時間を短縮することができる。従って、成膜温度は蒸発下限温度よりも高温になる。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1の符号10は、本発明の一例の有機蒸着装置であり、搬送室18を中心として、5個の真空室11〜15と、1個の搬出入室19が配置されている。
【0034】
搬送室18と、真空室11〜15及び搬出入室9とは、ゲートバルブ51〜56によってそれぞれ接続されており、それらのゲートバルブ51〜56を閉じると、各真空室11〜15及び搬出入室9の内部雰囲気を、搬送室18の内部雰囲気から遮断できるように構成されている。
【0035】
この有機蒸着装置10を使用する場合、予め、ゲートバルブ51〜56を閉じ、各真空室11〜15と搬送室5の内部を、一旦5×10-7Torr以下の高真空雰囲気にする。その後、少なくとも搬送室5と搬出入室19との間のゲートバルブ56を閉じた状態で、搬出入室19の内部を大気雰囲気に開放し、成膜対象物である基板を複数枚装着する。装着後、搬出入室19内部を大気雰囲気から遮断し、高真空雰囲気まで真空排気する。
【0036】
ここで、各真空室11〜15のうち、一つの真空室11を用いて成膜対象物表面に有機薄膜を形成する場合を説明する。
【0037】
図2は真空室11の概略構成図であり、真空室11内の天井側には基板ホルダ21が設けられ、底壁側には2個の有機蒸着源221、222が設けられている。
【0038】
各有機蒸着源221、222内には、それぞれ有機蒸着材料が配置されており(ここでは、同じ有機化合物で構成されているものとする。)、各有機蒸着源221、222に内蔵されたヒータに通電すると、有機蒸着材料をそれぞれ独立に加熱できるように構成されている。
【0039】
有機薄膜形成前に、先ず、有機蒸着材料の脱ガスを行うため、真空室11と搬送室18の間のゲートバルブ51を閉じ、真空室11に接続された真空排気系31を動作させ、真空室11内を高真空雰囲気にした後、各有機蒸着原221、222内の有機蒸着材料を加熱し、昇温させる。
【0040】
図3のグラフには、有機薄膜を形成する際の、有機蒸着材料の温度変化曲線M1、真空室11内の圧力変化曲線M2、有機蒸着材料から放出される有機化合物蒸気の単位時間当たりの放出量曲線M3が示されており、この図3のグラフに従って、有機薄膜形成作業が行われるものとする。
【0041】
真空室11内では、有機蒸着源221、222の近傍と、基板ホルダ21近傍には、蒸着源側シャッター261、262と主シャッター25がそれぞれ配置されており、各シャッター261、262、25を閉じた状態で、図3のグラフの時刻s1において、各有機蒸着源221、222に内蔵されたヒータに通電され、有機蒸着材料の昇温が開始される。
【0042】
有機蒸着材料を昇温させる際には真空排気系31を動作させておき、真空室11内を真空排気し、5×10-7Torr以下の圧力の高真空雰囲気を維持しておく。
【0043】
有機蒸着材料の温度上昇により、時刻s2において有機蒸着材料が、5×10-7Torr以下の高真空雰囲気での蒸発下限温度T1に達すると、その時刻s2で、各有機蒸着源221、222から有機化合物蒸気が放出され始める。
【0044】
有機蒸着材料を更に昇温させ、時刻s3で有機薄膜の形成に適した成膜温度T3(300℃程度)に達したものとすると、時刻s3以後は、有機蒸着材料の昇温を停止し、精密な温度制御によってその成膜温度T2を維持させる。この成膜温度T2では有機蒸着材料は分解せず、また、成膜温度T2を維持することから、有機化合物蒸気が一定量放出され、それに伴って、有機蒸着材料内部に吸蔵されていたガス成分が一緒に放出され、脱ガスが行われる。放出されたガス成分は、真空排気によって除去される。
【0045】
有機蒸着材料が昇温している間、蒸着源側シャッター26 1 、26 2 は閉じているので、有機蒸着源221、222から放出された有機化合物蒸気は蒸着源側シャッター26 1 、26 2 の裏面に付着し、真空槽11内部には付着しない。
【0046】
脱ガスが充分行われた後、時刻s4において、真空室11に接続されたガス導入系28を用い、真空室11内にアルゴンガスから成る不活性ガスを導入し、真空排気系31の排気速度を調節し、真空室11内を5×10-3Torr(0.665Pa)の低真空雰囲気にした。
【0047】
有機蒸着材料の温度制御により、低真空雰囲気下でも、有機蒸着材料は成膜温度T2を維持させるが、低真空雰囲気下での有機蒸着材料の蒸発下限温度は、上述の成膜温度T2よりも高温になるため、有機化合物蒸気の放出は停止する。
【0048】
搬出入室19内と搬送室5内は予め高真空雰囲気にされており、不活性ガス導入を行う時刻s4よりも前に、搬出入室19と搬送室5との間のゲートバルブ56を開け、搬送室5内に配置された基板搬送ロボット18によって、搬出入室19内の基板を一枚取り出し、搬送室5内に収容しておく。
【0049】
更に、その状態で、搬出入室19と搬送室5の間のゲートバルブ56を閉じ、搬送室5に接続されたガス導入系29を用い、搬送室5内に不活性ガス(アルゴンガス)を導入し、時刻s4の時点で、搬送室5内を真空室11内と同程度の低真空状態にしておく。
【0050】
時刻s4後、真空室11内の有機化合物蒸気の放出が停止されたら、真空室11と搬送室5との間のゲートバルブ51を開け、真空室11の内部雰囲気と搬送室5の内部雰囲気とを接続し、基板搬送ロボット18によって、搬送室5内の基板を真空室11内に搬入する。
【0051】
真空室11内に搬入された基板を基板ホルダ21に保持させると、その基板は、図2の符号20で示した状態になる。基板搬送ロボット18のアームを搬送室5内に戻した後、真空室11と搬送室5との間のゲートバルブ51を閉じ、真空室11内への不活性ガスの導入を停止し、真空排気系31の排気速度を元に戻し、時刻s5において、真空室11内を高真空雰囲気にする。
【0052】
基板20の真空室11内への搬入の際、有機蒸着材料の温度は成膜温度T2に維持されているので、真空室11内が元の高真空雰囲気に戻ると、各有機蒸着源221、222内からの有機化合物蒸気の放出が再開される。
【0053】
有機化合物蒸気の放出により、蒸着源側シャッター261、262を開け、有機化合物蒸気を真空室11内に放出させ、次いで、主シャッター25を開け、基板20表面への有機薄膜形成を開始する。
【0054】
真空室11内の蒸着源側シャッター261、262の上方には、膜厚モニター271、272が配置されており、その膜厚モニター271、272によって有機化合物蒸気の単位時間当たりの放出量を測定し、有機化合物蒸気の放出速度が一定になるように、有機蒸着源221、222への通電量を制御し、有機薄膜の形成速度を一定に維持する。
【0055】
このような有機薄膜の形成を行い、時刻s6で所定膜厚の有機薄膜が形成されたものとすると、その時刻s6において、各シャッタ261、262、25を閉じ、有機蒸着材料の温度を成膜温度T2に維持しながら不活性ガスを導入し、真空室11内を上述の低真空雰囲気にし、有機化合物蒸気の放出を停止させる。
【0056】
このとき、各ゲートバルブ51〜56は閉じた状態で、搬送室5内に不活性ガスを導入し、内部を真空室11内と同じ圧力の低真空雰囲気にしておき、真空室11内の有機化合物蒸気の放出が停止された後、搬送室5と真空室11との間のゲートバルブ51を開け、有機薄膜が形成された基板20を真空室11内から搬送室5内に搬出する。
【0057】
その後、真空室11と搬送室5との間のゲートバルブ51を閉じ、搬送室5内への不活性ガス導入を停止して内部を比較的高真空雰囲気にし、搬出入室19との間のゲートバルブ56を開け、有機薄膜が形成された基板を搬出入室19内に搬送する。
【0058】
そして、搬出入室19内に配置された未成膜の基板を取り出し、搬送室5内に収容した後、搬出入室19との間のゲートバルブを閉じ、搬送室5内に不活性ガスを導入し、搬送室5内が真空室11内と同じ圧力の低真空雰囲気になったところで、真空室11との間のゲートバルブ51を開け、未成膜の基板を真空室11内に搬入し、基板ホルダ21に保持させる。
【0059】
次いで、ゲートバルブ51を閉じ、時刻s7において、真空室11内への不活性ガス導入を停止し、高真空雰囲気に戻すと、有機蒸着源221、222内から有機化合物蒸気が放出され始め、真空室11内に搬入された基板表面への有機薄膜形成が開始される。
【0060】
このように、不活性ガスの導入と真空排気によって真空槽11内を低真空雰囲気にし、また、高真空雰囲気に戻すことで、有機蒸着材料の温度を略一定に維持したながら、有機化合物蒸気の放出停止と放出再開を制御しており、従って、基板交換の際に、有機蒸着源を昇温させたり、冷却させたりするための時間が不要なものとなっている。
【0061】
そして、有機蒸着材料の温度は、低真空雰囲気でも成膜温度T2に維持されており、低真空雰囲気と高真空雰囲気との切り換えに要する時間は短いので、有機化合物蒸気の放出停止と放出再開を直ちに切り替えることができ、基板交換に伴うロスタイムが非常に短かいものとなっている。
【0062】
また、有機蒸着源を昇温させたり冷却させたりする場合、昇温中や冷却中に有機化合物蒸気が無駄に放出されるが、本発明によれば、そのような無駄な有機化合物蒸気の放出が無いので、有機蒸着材料の効率的な使用が可能となっている。
【0063】
以上説明したような方法により、基板表面に有機薄膜を形成した後、未成膜の基板を交換すると、有機薄膜を連続的に形成することができるが、真空室11内の有機蒸着源221、222を冷却する場合は、例えば、図3の時刻s8において、有機蒸着材料の加熱を停止すると共に、真空室11内に不活性ガスを導入すると、有機化合物蒸気の放出を停止させた状態で冷却できるので、有機蒸着材料を無駄にしないで済む。
【0064】
また、有機蒸着材料が粉体で構成されている場合、冷却の際に不活性ガスを導入すると、不活性ガスが粉体間に充満し、粉体間の熱伝導率が高くなるので、冷却に要する時間が短時間になる。
【0065】
なお、以上用いた不活性ガスは、アルゴンガス等の希ガスに限定されるものではなく、窒素ガスや水素ガス等の、高温に加熱された有機蒸着材料と反応しない各種のガスが含まれる。
【0066】
また、上記実施例は、2個の有機蒸着源221、222内に同じ有機化合物から成る有機蒸着材料を配置したが、本発明はそれに限定されるものではない。例えば、有機薄膜の母材として用いられる有機蒸着材料と、発色剤等のドーパントとして用いられる有機蒸着材料を、2個の有機蒸着源221、222内に別々に配置し、それらの有機化合物蒸気を一緒に放出させてもよい。
【0067】
また、上記実施例は、搬出入室19内の真空雰囲気を維持すると共に、他の真空室12〜15との間の基板搬送を可能にするため、真空室11と接続するときだけ搬送室5内に不活性ガスを導入したが、搬出入室19と搬送室5の内部雰囲気は低真空状態にしておいてもよい。
【0068】
更にまた、上記実施例では、真空槽11内に不活性ガスを導入し、低真空雰囲気にしたとき、有機蒸着材料の温度を成膜温度T2に維持したが、本発明は、必ずしもその成膜温度T2に維持する場合に限定されるものではない。低真空雰囲気下での有機蒸着材料の温度については、少なくとも、高真空雰囲気下での蒸発下限温度T1以上であればよく、特に、成膜温度T2付近の温度が望ましいが、成膜温度T2以上に加熱する場合や、成膜温度T2よりも低温にする場合も含まれる。
【0069】
【発明の効果】
有機薄膜を連続成膜する場合に、工程時間を短縮することができる。
有機化合物蒸気の放出を短時間で停止でき、また、短時間で所定の放出速度に戻すことができるので、無駄な有機化合物蒸気の放出が無く、有機蒸着材料を効率よく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に用いることができる蒸着装置の一例
【図2】その蒸着装置の真空室を説明するための概略構成図
【図3】本発明の有機薄膜製造方法を説明するためのグラフ
【図4】従来技術の有機薄膜製造方法を説明するためのグラフ
【図5】有機EL素子の断面図
【符号の説明】
5……搬送室 10……有機蒸着装置 11……真空室 20……成膜対象物
Claims (2)
- 蒸着室内を真空排気し、高真空雰囲気下で蒸着源内に配置された有機化合物材料を加熱し、前記有機化合物材料の蒸気を放出させて第一の基板表面に有機化合物薄膜を形成する工程と、
前記蒸着室内に不活性ガスを導入し、前記蒸着室内を昇圧して前記低真空雰囲気にし、前記高真空雰囲気では前記蒸気が放出される温度を維持しながら前記蒸気の放出を停止させる工程と、
搬送室内に不活性ガスを導入し、前記搬送室内を昇圧して低真空雰囲気にする工程と、
前記搬送室と前記蒸着室の間のゲートバルブを開け、それぞれ前記低真空雰囲気にされた前記搬送室と前記蒸着室とを接続し、前記搬送室内に配置された第二の基板と前記第一の基板とを交換する工程と、
前記搬送室と前記蒸着室の間のゲートバルブを閉じ、前記蒸着室内の圧力を低下させ、前記高真空雰囲気にして前記蒸気の放出を再開させる工程とを有する有機薄膜製造方法。 - 前記基板の交換を行う工程では、前記蒸着室と前記搬送室の圧力を、6.65×10-2Pa以上6.65Pa以下にすることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32234697A JP3775909B2 (ja) | 1997-11-07 | 1997-11-07 | 有機薄膜製造方法、及び有機蒸着装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32234697A JP3775909B2 (ja) | 1997-11-07 | 1997-11-07 | 有機薄膜製造方法、及び有機蒸着装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11140625A JPH11140625A (ja) | 1999-05-25 |
JP3775909B2 true JP3775909B2 (ja) | 2006-05-17 |
Family
ID=18142625
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32234697A Expired - Lifetime JP3775909B2 (ja) | 1997-11-07 | 1997-11-07 | 有機薄膜製造方法、及び有機蒸着装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3775909B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20050281948A1 (en) * | 2004-06-17 | 2005-12-22 | Eastman Kodak Company | Vaporizing temperature sensitive materials |
-
1997
- 1997-11-07 JP JP32234697A patent/JP3775909B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11140625A (ja) | 1999-05-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI324184B (en) | Method of fabricating light-emitting device and apparatus for manufacturing light-emitting device | |
US7820231B2 (en) | Manufacturing apparatus | |
US8524313B2 (en) | Method for manufacturing a device | |
KR101363147B1 (ko) | 증착 방법 및 증착 장치 | |
US6275649B1 (en) | Evaporation apparatus | |
KR101191569B1 (ko) | 성막 장치 | |
EP0962260A1 (en) | Evaporation apparatus, organic material evaporation source, and method of manufacturing thin organic film | |
JP2008115416A (ja) | 真空蒸着源および真空蒸着装置 | |
JP5798452B2 (ja) | 蒸発源 | |
WO2005107392A2 (en) | System for vaporizing materials onto substrate surface | |
US6473564B1 (en) | Method of manufacturing thin organic film | |
JP3863988B2 (ja) | 蒸着装置 | |
JP4494126B2 (ja) | 成膜装置および製造装置 | |
JP3775909B2 (ja) | 有機薄膜製造方法、及び有機蒸着装置 | |
JP2002348658A (ja) | 蒸着源並びにそれを用いた薄膜形成方法及び形成装置 | |
JP3719797B2 (ja) | 有機薄膜表面への導電性薄膜形成方法 | |
JP3817054B2 (ja) | 蒸着源用るつぼ、及び蒸着装置 | |
JP2003313655A (ja) | 製造装置 | |
JPH09209127A (ja) | 真空蒸着装置およびその真空蒸着装置を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 | |
JPH10158820A (ja) | 蒸着装置、有機蒸発源、有機薄膜製造方法 | |
EP1445036B1 (en) | Method of vapour depositing an organic film | |
KR20200105942A (ko) | Rf 스퍼터링 장치를 이용한 oled용 유기 박막층 형성 방법 및 상기 rf 스퍼터링 장치, 그리고 상기 rf 스퍼터링 장치에서 사용되는 타겟을 성형하는 장치 | |
JP2002115048A (ja) | 減圧成膜装置およびその操作運転方法 | |
JP2007046098A (ja) | 真空蒸着装置 | |
JP4172206B2 (ja) | 有機膜形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050707 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050712 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20050908 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050908 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20051101 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20051220 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051220 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20060112 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060221 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060221 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090303 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120303 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120303 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130303 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130303 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140303 Year of fee payment: 8 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |