従来の放電装置では、放電時に発生する高速電子や活性種の影響で放電電極の先端が僅かずつ損耗し、形状が経時的に変化する。そして、先の細い針状の放電電極の先端が損耗すると、先端の径が若干太くなり、対向電極との間隔も広くなる。このため、放電の特性が変化してストリーマ放電が安定しなくなる。また、放電電極と対向電極の間隔の増大に対応して印加電圧を高くすると、スパークが発生するなどの不具合も起こりやすくなる。
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、放電電極の先端から対向電極に向かってストリーマ放電を行う放電装置において、放電電極の先端が損耗してもストリーマ放電の安定性が低下しないようにすることである。
本発明は、線状ないし棒状の放電電極(41)を対向電極(42)に対して実質的に平行に配置して、放電電極(41)の先端が損耗しても放電電極(41)の先端と対向電極(42)との間隔が変わらないようにしたものである。
具体的に、第1の発明は、放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)と、両電極(41,42)に放電電圧を印加する電源手段(45)とを備え、線状ないし棒状の放電電極(41)の先端から対向電極(42)に向かってストリーマ放電が発生するように構成された放電装置を前提としている。そして、この放電装置は、上記放電電極(41)が対向電極(42)と実質的に平行に配置される一方、上記放電電極(41)を挟んで対向電極(42)と相対する位置には、上記放電電極(41)と同じ極性の電極対峙部材(43)が配置され、該電極対峙部材(43)には対向電極(42)と対峙する電極対峙面(43a)が形成されていることを特徴としている。なお、ここで、放電電極(41)の形状を表している「線状ないし棒状」は、断面積が実質的に一定で細長い形状のことを言う。また、「面状」の放電電極は、平面状であっても曲面状であってもよい。
この第1の発明では、対向電極(42)と実質的に平行に配置された放電電極(41)の先端から対向電極(42)に向かってストリーマ放電が発生する。この場合、放電時に発生する高速電子や活性種のために放電電極(41)の先端が損耗しても、放電電極(41)が対向電極(42)と実質的に平行に配置されているため、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔は一定に保持される。また、放電電極(41)は線状ないし棒状であり、損耗しても先端形状は変化しない。したがって、放電電極(41)が損耗した場合であっても放電の特性が保たれるので、ストリーマ放電が安定して発生する。
また、放電電極(41)を挟んで対向電極(42)と相対する位置に放電電極(41)と同じ極性で且つ電極対峙面(43a)を有する電極対峙部材(43)を設けたことにより、ストリーマ放電がより安定する。具体的には、放電電極(41)の先端に電界が集中しすぎると、ストリーマ放電でなくグロー放電などの弱い放電になりやすいのに対し、電極対峙部材(43)を設け、該電極対峙部材(43)が放電電極(41)と同電位または近い電位になるようにすると、この電極対峙部材(43)の電極対峙面(43a)の作用で放電電極(41)の先端における電界の集中を和らげることができるため、ストリーマ放電が安定して発生する。
第2の発明は、放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)と、両電極(41,42)に放電電圧を印加する電源手段(45)とを備え、線状ないし棒状の放電電極(41)の先端から対向電極(42)に向かってストリーマ放電が発生するように構成された放電装置を対象としている。そして、この放電装置は、上記放電電極(41)が対向電極(42)と実質的に平行に配置される一方、上記放電電極(41)を挟んで対向電極(42)と相対する位置には電極対峙部材(43)が配置され、該電極対峙部材(43)には対向電極(42)と対峙する電極対峙面(43a)が形成されている。更に、上記電極対峙面(43a)が放電電極(41)及び対向電極(42)と実質的に平行に配置され、上記放電電極(41)は、対向電極(42)と電極対峙面(43a)との中間位置または該中間位置から電極対峙面(43a)寄りの位置に配置されていることを特徴としている。なお、上記「中間位置」は、対向電極(42)と電極対峙面(43a)の距離をほぼ二分する位置のことである。
この第2の発明では、放電電極(41)の先端が徐々に損耗した場合に、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔だけでなく、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔も変化しない。したがって、放電電極(41)の先端において電界の集中を和らげる作用が安定するので、ストリーマ放電がより安定化する。
ここで、放電電極(41)が上記中間位置よりも対向電極(42)寄りの位置に配置されていると、電極対峙面(43a)が放電電極(41)の先端において電界の集中を和らげる作用が起こりにくくなるため、ストリーマ放電でなくグロー放電などの放電が起こりやすくなるが、上記第2の発明では放電電極(41)が上記中間位置またはそれよりも電極対峙面(43a)寄りの位置に配置されているので、放電電極(41)の先端において電界の集中を和らげる作用が安定し、ストリーマ放電が安定して発生する。
第3の発明は、放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)と、両電極(41,42)に放電電圧を印加する電源手段(45)とを備え、線状ないし棒状の放電電極(41)の先端から対向電極(42)に向かってストリーマ放電が発生するように構成された放電装置を対象としている。そして、この放電装置は、上記放電電極(41)が対向電極(42)と実質的に平行に配置される一方、上記放電電極(41)を挟んで対向電極(42)と相対する位置には電極対峙部材(43)が配置され、該電極対峙部材(43)には対向電極(42)と対峙する電極対峙面(43a)が形成され、上記電極対峙部材(43)が絶縁材料により形成されていることを特徴としている。
この第3の発明では、放電を行う際には、電極対峙部材(43)上での誘電分極により、絶縁材料である電極対峙部材(43)に電荷が溜まって行き、この電極対峙部材(43)が徐々に放電電極(41)の電位に近づいて行く。このため、電極対峙部材(43)は、やはり放電電極(41)の先端における電界の集中を和らげるように作用する。したがって、上記とほぼ同様にストリーマ放電が安定して発生する。
第4の発明は、放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)と、両電極(41,42)に放電電圧を印加する電源手段(45)とを備え、線状ないし棒状の放電電極(41)の先端から対向電極(42)に向かってストリーマ放電が発生するように構成された放電装置を対象としている。そして、この放電装置は、上記放電電極(41)が対向電極(42)と実質的に平行に配置される一方、上記放電電極(41)を挟んで対向電極(42)と相対する位置には電極対峙部材(43)が配置され、該電極対峙部材(43)には対向電極(42)と対峙する電極対峙面(43a)が形成されている。更に、上記放電電極(41)を電極対峙部材(43)に固定する固定部材(44)を備え、上記放電電極(41)の先端が固定部材(44)から突出していることを特徴としている。
この第4の発明では、ストリーマ放電は、固定部材(44)から突出した放電電極(41)の先端から対向電極(42)に向かって発生する。そして、この発明では、放電電極(41)を固定部材(44)で電極対峙部材(43)に固定するようにしているので、対向電極(42)及び電極対峙部材(43)に対する放電電極(41)の位置が安定し、ストリーマ放電が安定する。
第5の発明は、放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)と、両電極(41,42)に放電電圧を印加する電源手段(45)とを備え、線状ないし棒状の放電電極(41)の先端から対向電極(42)に向かってストリーマ放電が発生するように構成された放電装置を対象としている。そして、この放電装置は、上記放電電極(41)が対向電極(42)と実質的に平行に配置される一方、上記放電電極(41)を挟んで対向電極(42)と相対する位置には電極対峙部材(43)が配置され、該電極対峙部材(43)には対向電極(42)と対峙する電極対峙面(43a)が形成されている。更に、上記放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bが、0.96≦B/A≦1.52で表される関係式(1)を満たしていることを特徴としている。
ここで、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bが変化した場合に、ストリーマ放電がグロー放電やスパークに変化する様子について説明する。図9は、横軸に放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aを取り、縦軸に放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bを取って、放電傾向を表したグラフである。この図において、ハッチングで示したストリーマ放電領域に対して、Aの値が大きくなるかBの値が小さくなるとグロー放電領域となり、Aの値が小さくなるかBの値が大きくなるとスパーク領域となる。つまり、B/Aの値が中間値であればストリーマ放電領域となるのに対して、この値が小さいほどグロー放電領域になりやすく、大きいほどスパーク領域になりやすいことが分かる。
一方、電極には製造誤差が存在する。そこで、ある一定の製造誤差を考えた場合、図9の(a)や(b)の状態ではスパークやグロー放電が発生するので、電極の寸法は、製造誤差があっても必ずストリーマ放電になる(c)の状態とする必要がある。この誤差の値は、設計値に対して±0.3mm程度(誤差の幅が0.6mm程度)が好ましく、これよりも小さいと製造が困難になり、大きいと放電電圧を高くする必要が生じてしまう。
次に、AとBの値には、ストリーマ放電が安定する組み合わせや、不安定になる組み合わせがある。これを表したのが図10及び図14の表である。図10の表では、放電電極の径寸法がφ0.14mmである場合にAの値を3.8mmから5.0mmまで0.2mm間隔で変化させ、Bの値を4.2mmから5.4mmまで0.2mm間隔で変化させた場合に、すべての組み合わせについて放電の安定性を記号で表している。ここで用いている記号は、ストリーマ放電が安定して発生する度合いを示す指標である。具体的には、ストリーマ放電が発生しない組み合わせを×で示し、印加電圧が変動してもストリーマ放電が発生する組み合わせを△、○、◎で示している。特に、△は印加電圧の変動幅が狭い(変動幅が0.4kVより小さい)場合にのみストリーマ放電が起きる組み合わせを示し、○はその変動幅が中程度の(変動幅が0.4kV以上で0.9kVより小さい)組み合わせを示し、◎はその変動幅が広い(変動幅が1.0kVより大きい)場合でもストリーマ放電が起きる組み合わせを示している。
この表において、Aの値が4.0mm〜4.6mmで、かつBの値が4.8mm〜5.4mmであれば、AとBの値の誤差がそれぞれ±0.3mmに収まり、しかもすべての組み合わせでストリーマ放電の安定性が○もしくは◎となっていることが分かる。したがって、放電電極の径寸法がφ0.14mmである場合は、B/Aの値がこれらの組み合わせの値の範囲内であれば、つまり1.04≦B/A≦1.35であれば、安定したストリーマ放電が可能となる。
一方、図14の表では、放電電極の径寸法がφ0.2mmである場合にAの値を4.2mmから5.0mmまで0.2mm間隔で変化させ、Bの値を4.8mmから6.4mmまで0.2mm間隔で変化させた場合に、すべての組み合わせについて放電の安定性を記号で表している。この表において、ストリーマ放電の放電結果は、すべての組み合わせにおいて○または◎であった。したがって、この範囲であればどの組み合わせを選んでもよく、B/Aの値は、0.96≦B/A≦1.52となる。AとBの値は、この表から、それぞれの値の誤差が±0.3mmに収まる範囲内で選択すればよく、例えば、Aの値が4.4mm〜5.0mmとなり、かつBの値が5.8mm〜6.4mmとなる範囲を選択すれば、B/Aの値は、1.16≦B/A≦1.45となる。
以上のことから、B/Aの値の最適な範囲は、放電電極の径寸法によって若干異なるものの、ほぼ同じ傾向を有し、0.96≦B/A≦1.52の範囲内で、AとBの値の誤差がそれぞれ±0.3mmに収まるようにすれば、製造が容易で、しかも概ね良好な結果が得られることがわかる。
第6の発明は、放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)と、両電極(41,42)に放電電圧を印加する電源手段(45)とを備え、線状ないし棒状の放電電極(41)の先端から対向電極(42)に向かってストリーマ放電が発生するように構成された放電装置を対象としている。そして、この放電装置は、上記放電電極(41)が対向電極(42)と実質的に平行に配置される一方、上記放電電極(41)を挟んで対向電極(42)と相対する位置には電極対峙部材(43)が配置され、該電極対峙部材(43)には対向電極(42)と対峙する電極対峙面(43a)が形成されている。更に、上記電極対峙部材(43)が放電電極(41)の軸直角方向に所定の幅寸法Dを有する部材により構成され、上記放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、電極対峙部材(43)の幅寸法Dが、A≦Dで表される関係式(2)を満たしていることを特徴している。
ここで、上記関係式(2)と逆に上記間隔寸法Aが幅寸法Dよりも大きくなると、放電電極(41)の先端において電界の集中を和らげる作用が小さくなり、グロー放電が起こりやすくなるのに対して、この第6の発明では、放電がグロー放電になりにくく、安定したストリーマ放電が可能となる。
第7の発明は、放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)と、両電極(41,42)に放電電圧を印加する電源手段(45)とを備え、線状ないし棒状の放電電極(41)の先端から対向電極(42)に向かってストリーマ放電が発生するように構成された放電装置を対象としている。そして、この放電装置は、上記放電電極(41)が対向電極(42)と実質的に平行に配置される一方、上記放電電極(41)を挟んで対向電極(42)と相対する位置には電極対峙部材(43)が配置され、該電極対峙部材(43)には対向電極(42)と対峙する電極対峙面(43a)が形成されている。更に、上記放電電極(41)における対向電極(42)の面方向の幅寸法または径寸法Eと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bが、B/E≧20で表される関係式(3)を満たしていることを特徴としている。
ここで、上記関係式(3)と逆にB/Eが20よりも小さいと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔に対して放電電極(41)の幅ないし径が大きくなるため、放電電極(41)の先端の損耗形状やそのばらつきにより放電特性が変化しやすく、ストリーマ放電が不安定になったり、複数の放電電極(41)がある場合に各放電電極において放電が不均一になったりするが、B/E≧20であれば放電電極(41)と対向電極(42)との間隔に対して放電電極(41)の幅ないし径が十分に小さいために、電極先端の損耗形状やそのばらつきが放電に与える影響が小さくなり、安定したストリーマ放電が可能となる。また、B/E≧30にすれば、ストリーマ放電の放電音が小さくなる。
第8の発明は、第1、第3〜第7の発明の何れか1の放電装置において、電極対峙面(43a)が放電電極(41)及び対向電極(42)と実質的に平行に配置されていることを特徴としている。
この第8の発明では、放電電極(41)の先端が徐々に損耗した場合に、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔だけでなく、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔も変化しない。したがって、放電電極(41)の先端において電界の集中を和らげる作用が安定するので、ストリーマ放電がより安定化する。
第9の発明は、第1、第2及び第4〜第7の発明の何れか1の放電装置において、電極対峙部材(43)と放電電極(41)とが異なる材質で構成されていることを特徴としている。
この第9の発明では、例えば電極対峙部材(43)を放電電極(41)に導通させておけば、該電極対峙部材(43)を放電電極(41)と同電位または近い電位にすることができる。したがって、放電電極(41)における電界の集中を和らげる作用が発生するので、上記とほぼ同様に同様にストリーマ放電を安定させることができる。
第10の発明は、第1〜第3及び第5〜第7の発明の何れか1の放電装置において、放電電極(41)を電極対峙部材(43)に固定する固定部材(44)を備え、放電電極(41)の先端が固定部材(44)から突出していることを特徴としている。
この第10の発明では、ストリーマ放電は、固定部材(44)から突出した放電電極(41)の先端から対向電極(42)に向かって発生する。そして、この発明では、放電電極(41)を固定部材(44)で電極対峙部材(43)に固定するようにしているので、対向電極(42)及び電極対峙部材(43)に対する放電電極(41)の位置が安定し、ストリーマ放電が安定する。
第11の発明は、第1〜第4の何れか1の放電装置において、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bが、0.96≦B/A≦1.52で表される関係式(1)を満たしていることを特徴としている。
この第11の発明では、第5の発明と同様に安定したストリーマ放電が可能となる。
第12の発明は、第1〜第4の発明の何れか1の放電装置において、電極対峙部材(43)が放電電極(41)の軸直角方向に所定の幅寸法Dを有する部材により構成され、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、電極対峙部材(43)の幅寸法Dが、A≦Dで表される関係式(2)を満たしていることを特徴としている。
この第12の発明では、第6の発明と同様に安定したストリーマ放電が可能となる。
第13の発明は、第1〜第4の発明の何れか1の放電装置において、放電電極(41)における対向電極(42)の面方向の幅寸法または径寸法Eと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bが、B/E≧20で表される関係式(3)を満たしていることを特徴としている。
この第13の発明では、第7の発明と同様に安定したストリーマ放電が可能となる。
第14の発明は、第1〜第7の発明の何れか1の放電装置において、電源手段(45)が直流電源により構成されていることを特徴としている。
この第14の発明では、放電電極(41)に直流の高電圧を印加して、対向電極(42)との間に所定の電位差を生じさせることで、放電電極(41)の先端から対向電極(42)に向かってストリーマ放電が発生する。
第15の発明は、第1〜第7の発明の何れか1の放電装置において、放電電極(41)がタングステン材料により形成されていることを特徴としている。
この第15の発明のようにタングステン材料を電極として使用した場合には、タングステン材料の硬度が高いため、放電電極(41)の反りや変形が少なく製造が容易となり、融点、熱伝導率が高いため、放電による放電電極(41)の消耗が少なく耐久性が向上する。また、タングステンは放電に伴って放電電極(41)の先端が僅かずつ損耗していくときに先端が粗になる特性を有しており、このことがストリーマ放電の安定性に寄与する。
第16の発明は、被処理空気の流れる空気通路(25)と、該空気通路(25)に配置されるとともにストリーマ放電を行う放電装置(40)とを備えた空気浄化装置(10)を前提としている。そして、この空気浄化装置(10)は、上記放電装置(40)が第1〜第7の発明の何れか1の放電装置(40)により構成されていることを特徴としている。
この第16の発明では、放電装置(40)によるストリーマ放電で発生するプラズマ中の反応性の高い物質(電子、イオン、オゾン、ラジカルなどの活性種)を利用し、被処理空気中の有害物質や臭気物質が分解除去される。また、必要に応じて触媒を用いて、上記の反応性の高い物質を触媒の存在下で被処理空気中の有害物質や臭気物質と反応させることによって、これらの物質を分解除去するようにしてもよい。
上記本発明によれば、線状ないし棒状の放電電極(41)を面状の対向電極(42)と実質的に平行に配置し、放電電極(41)の先端が損耗しても放電電極(41)と対向電極(42)との間隔を一定に保持するとともに放電電極(41)の先端形状が変化しないようにしているので、放電の特性を保つことが可能となり、ストリーマ放電を安定させることができる。したがって、放電電極(41)の形状の経時変化によりスパークが発生するような不具合を防止できる。
また、放電電極(41)を挟んで対向電極(42)と相対する位置に電極対峙面(43a)を有する電極対峙部材(43)を設けたことにより、放電電極(41)の先端における電界の集中を和らげることが可能となるので、ストリーマ放電をより安定させることが可能となる。
上記第2及び第8の発明によれば、電極対峙面(43a)を放電電極(41)及び対向電極(42)と実質的に平行に配置したことにより、放電電極(41)の先端が経時的に損耗した場合に、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔だけでなく、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔も変化しないようにしているので、ストリーマ放電をさらに安定させることが可能となる。
上記第2の発明によれば、放電電極(41)を、対向電極(42)と電極対峙面(43a)との中間位置または該中間位置から電極対峙面(43a)寄りの位置に配置したことで、放電電極(41)の先端における電界の集中を和らげる作用が確実に生じるようにしているので、ストリーマ放電が安定して発生する。
上記第3の発明によれば、放電を行う際には、絶縁材料により形成された電極対峙部材(43)に電荷が溜まって行き、該電極対峙部材(43)が徐々に放電電極(41)の電位に近づいて行く。このため、電極対峙部材(43)の電極対峙面(43a)が上記と同様に放電電極(41)における電界の集中を和らげるように作用するので、ストリーマ放電が安定して発生する。
上記第4及び第10の発明によれば、放電電極(41)を電極対峙部材(43)に固定する固定部材(44)を設け、放電電極(41)の先端が固定部材(44)から突出するようにしているので、放電電極(41)と対向電極(42)及び電極対峙部材(43)との位置関係が安定し、ストリーマ放電が安定する。
上記第5及び第11の発明によれば、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bが、0.96≦B/A≦1.52で表される関係式(1)を満たすようにしているので、グロー放電やスパークが起こりにくく、安定したストリーマ放電が可能となる。
上記第6及び第12の発明によれば、電極対峙部材(43)が放電電極(41)の軸直角方向に所定の幅寸法Dを有する部材により構成され、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと電極対峙部材(43)の幅寸法Dが、A≦Dで表される関係式(2)を満たすようにしているので、放電がグロー放電になりにくく、安定したストリーマ放電が可能となる。
上記第7及び第13の発明によれば、放電電極(41)における対向電極(42)の面方向の幅寸法または径寸法Eと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bが、B/E≧20で表される関係式(3)を満たすようにしているので、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔に対して放電電極(41)の幅ないし径が十分に小さくなり、電極先端の損耗形状やそのばらつきが放電に与える影響が小さくなる。したがって、安定したストリーマ放電が可能となる。特に、B/E≧30にすれば、ストリーマ放電の放電音を小さくすることができる。
上記第9の発明によれば、放電電極(41)と異なる材質で形成した電極対峙部材(43)を用い、この電極対峙部材(43)を放電電極(41)における電界の集中を和らげるような電位にすることで、ストリーマ放電を安定させることができる。また、この構成では必ずしも電極対峙部材(43)に放電電極(41)と同種の金属を用いなくてもよいため、樹脂材料などを用いることでコストを低減することもできる。
上記第14の発明によれば、電源手段(45)を直流電源により構成しているため、パルス電源などを用いる場合と比較して放電装置を安価に製造することが可能となる。
上記第15の発明によれば、放電電極(41)をタングステンにより形成しているため、放電電極(41)を容易に製造できるとともに、その耐久性が向上し、かつ、ストリーマ放電が安定して行われる効果が得られる。
また、第16の発明によれば、ストリーマ放電を行う放電装置を備えた空気浄化装置において、ストリーマ放電の安定性を高められ、ひいては空気浄化性能を安定させることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
まず、実施形態1について、図1から図3を参照して説明する。
図1は、この実施形態に係る空気浄化装置(10)の分解斜視図である。この空気浄化装置(10)は、一般家庭や小規模店舗などで用いられる民生用の空気浄化装置である。
この空気浄化装置(10)は、一端が開放された箱形のケーシング本体(21)と、その開放端面に装着される前面プレート(22)とからなるケーシング(20)を備えている。ケーシング(20)の前面プレート(22)側の両側面には空気吸込口(23)が形成されている。また、ケーシング本体(21)には、天板の背板寄りに空気吹出口(24)が形成されている。
ケーシング(20)内には、空気吸込口(23)から空気吹出口(24)まで被処理空気である室内空気が流れる空気通路(25)が形成されている。この空気通路(25)には、空気流れの上流側から順に、空気浄化を行う各種の機能部品(30)と、該空気通路(25)に室内空気を流通させるための遠心送風機(26)とが配置されている。
上記機能部品(30)には、前面プレート(22)側から順に、プレフィルタ(31)、イオン化部(32)、静電フィルタ(集塵フィルタ)(33)、そして触媒フィルタ(34)が含まれている。イオン化部(32)には、低温プラズマを発生させるための放電装置(40)が一体的に組み込まれている。
プレフィルタ(31)は、空気中に含まれる比較的大きな塵埃を捕集するフィルタである。
イオン化部(32)は、プレフィルタ(31)を通過した比較的小さな塵埃を帯電させ、この塵埃を、イオン化部(32)の下流側に配置されている静電フィルタ(33)により捕集するためのものである。このイオン化部(32)は、複数のイオン化線(35)と、複数の対向電極(36)とから構成されている。複数のイオン化線(35)は、イオン化部(32)の上端から下端まで等間隔で張架されていて、それぞれが静電フィルタ(33)に平行な一枚の仮想面上に位置している。対向電極(36)は、断面「コ」字形で上下方向にのびる長尺部材で、各イオン化線(35)の間に該イオン化線(35)と平行に配置されている。対向電極(36)は、「コ」字形の開口側を空気流れの下流側に向けるように配置されている。そして、各対向電極(36)は、1枚のメッシュ板(37)にそれぞれの開口端部が接合されている。
放電装置(40)は、放電電極(41)と、イオン化部(32)の対向電極(36)と共用されている対向電極(42)とを有し、放電電極(41)が対向電極(42)の内部に配置されている。具体的に、対向電極(42)の内部には、図1の要部拡大斜視図である図2に示すように、上下方向に延在する電極保持部材(電極対峙部材)(43)が設けられ、放電電極(41)は固定部材(44)を介して電極保持部材(43)に保持されている。放電電極(41)は線状ないし棒状の電極であり、固定部材(44)から突出した部分が対向電極(42)の前面部分(42a)と実質的に平行になるように配置されている。
以上の構成において、電極保持部材(43)は、放電電極(41)を挟んで対向電極(42)の前面部分(42a)と相対する位置に設けられている。また、電極保持部材(43)及び固定部材(44)は金属材料により形成され、放電電極(41)と電極保持部材(43)とが固定部材(44)を通じて導通している。電極保持部材(43)は放電電極(41)及び対向電極(42)と実質的に平行な電極対峙面(43a)を有している。そして、放電電極(41)は、対向電極(42)の前面部分(42a)と電極保持部材(43)の電極対峙面(43a)との中間位置よりも、電極対峙面(43a)寄りの位置に設けられている。
上記放電装置(40)には、放電電極(41)と対向電極(42)に放電電圧を印加する高圧の直流電源(電源手段)(45)が設けられている。この高圧電源(45)は、イオン化部(32)の電源を兼ねてもよい。
ここで、放電装置(40)における各部の具体構成について図3を参照して説明する。まず、図3において、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bは、0.96≦B/A≦1.52(より詳細には、1.04≦B/A≦1.35)で表される関係式(1)を満たしている。具体的な数値としては、A(mm)が4.0≦A≦4.6(4.3±0.3)であり、B(mm)が4.8≦B≦5.4(5.1±0.3)である。また、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、電極保持部材(43)における放電電極(41)の軸直角方向の幅寸法Dは、A≦Dで表される関係式(2)を満たしている。さらに、放電電極(41)における対向電極(42)の面方向の幅寸法または径寸法Eと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bは、B/E≧20で表される関係式(3)を満たしている。放電電極には、径寸法Eがφ0.14mmで、放電電極(41)が固定部材(44)から突出した長さ寸法Cが8mmのタングステン線が用いられている。このタングステン線は、純度が99%以上のタングステン材料により構成されている。
触媒フィルタ(34)は、静電フィルタ(33)の下流側に配置されている。この触媒フィルタ(34)は、例えばハニカム構造の基材の表面に触媒を担持したものである。この触媒には、マンガン系触媒や貴金属系触媒など、放電によって生成される低温プラズマ中の反応性の高い物質をさらに活性化し、空気中の有害成分や臭気成分の分解を促進するものが用いられる。
−運転動作−
次に、空気浄化装置(10)の運転動作について説明する。
空気浄化装置(10)の運転中は、遠心送風機(26)が起動し、被処理空気である室内空気がケーシング(20)内の空気通路(25)を流通する。また、この状態において、イオン化部(32)及び放電装置(40)に直流電源(45)から電圧が印加される。
室内空気がケーシング(20)内に導入されると、まずプレフィルタ(31)において比較的大きな塵埃が除去される。室内空気は、さらにイオン化部(32)を通過するときに該室内空気中の比較的小さな塵埃が帯電した状態となって下流側へ流れ、この塵埃は静電フィルタ(33)に捕集される。以上により、空気中の塵埃は、大きなものから小さなものまでプレフィルタ(31)と静電フィルタ(33)で概ね除去される。
イオン化部(32)に一体的に組み込まれた放電装置(40)では、ストリーマ放電により低温プラズマが発生している。低温プラズマは、放電時に発生するイオン風が対向電極(42)で反射して空気通路(25)の下流側に向かうため、このイオン風に乗ってメッシュ板(37)を通過し、被処理空気とともに下流側へ流れていく。低温プラズマには反応性の高い物質(電子、イオン、オゾン、ラジカルなどの活性種)が含まれており、これらの反応性の高い物質は、触媒フィルタ(34)のところに達すると、さらに活性化して空気中の有害物質や臭気物質を分解除去する。そして、以上のようにして塵埃が除去されるとともに有害物質や臭気物質も除去された清浄な室内空気は、空気吹出口(24)から室内へ吹き出される。
ここで、ストリーマ放電は、放電電極(41)の先端から対向電極(42)に向かって発生しており、経時的には、放電時に発生する高速電子や活性種のために放電電極(41)の先端が徐々に損耗する。しかし、この実施形態では、放電電極(41)が対向電極(42)の前面部分(42a)と実質的に平行に配置されているため、放電電極(41)の先端が損耗しても、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔は一定に保持される。また、放電電極(41)は線状ないし棒状であり、損耗しても先端形状は変化しない。したがって、放電電極(41)が損耗した場合であっても放電の特性が保たれるので、ストリーマ放電は安定した状態で発生する。
また、放電電極(41)を挟んで対向電極(42)と相対する位置に電極対峙面(43a)を有する電極保持部材(43)を設けたことにより、ストリーマ放電の安定性が高められる。具体的には、放電電極(41)の先端に電界が集中しすぎると、ストリーマ放電でなくグロー放電などの弱い放電になりやすいのに対し、上記電極対峙面(43a)を放電電極(41)から所定距離の位置に設け、電極保持部材(43)に放電電極(41)と同電位の高電圧を印加することにより、放電電極(41)の先端において電界の集中を和らげることが可能となり、ストリーマ放電が安定する。なお、電極保持部材(43)は必ずしも放電電極(41)と同電位である必要はなく、放電電極(41)の先端における電界の集中を和らげるような電位であればよい。
さらに、電極対峙面(43a)が放電電極(41)及び対向電極(42)と実質的に平行に配置されているため、放電電極(41)の先端が経時的に損耗した場合に、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔だけでなく、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔も変化しない。したがって、ストリーマ放電の安定性がさらに高められる。
また、放電電極(41)が電極対峙面(43a)よりも対向電極(42)に近接する位置に配置されているとストリーマ放電でなくグロー放電などの弱い放電が起こりやすくなるが、放電電極(41)が対向電極(42)よりも電極対峙面(43a)に近接する位置に配置されているので、ストリーマ放電が安定して発生する。
また、放電電極(41)を固定部材(44)で電極保持部材(43)に固定するようにしたことにより、放電電極(41)と対向電極(42)及び電極保持部材(43)との位置関係が安定するので、このことによってもストリーマ放電が安定する。
次に、図3における各部の具体構成による作用を説明する。
上述したように、この放電装置は、上記の3つの関係式を満たしている。つまり、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bについての、0.96≦B/A≦1.52(より詳細には、1.04≦B/A≦1.35)で表される関係式(1)、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、電極保持部材(43)における放電電極(41)の軸直角方向の幅寸法Dについての、A≦Dで表される関係式(2)、そして放電電極(41)における対向電極(42)の面方向の幅寸法または径寸法Eと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bについての、B/E≧20で表される関係式(3)を満たしている。
上記関係式(1)に関しては、図9及び図10を用いて既に説明したとおり、B/Aの値が1.04よりも小さいとグロー放電になりやすく、1.35よりも大きいとスパーク傾向が強くなって、放電の安定的持続と複数箇所での同時放電が困難になるのに対して、1.04≦B/A≦1.35であればグロー放電やスパークが起こりにくく、安定したストリーマ放電が可能となる。
上記関係式(2)に関し、上記間隔寸法Aが上記幅寸法Dよりも大きくなると、電極対峙面(43a)が放電電極(41)の先端における電界の集中を和らげる作用が弱まるのに対して、A≦Dで表される関係式(2)を満たすようにしておけば、放電電極(41)の先端における電界の集中を弱める作用が確実に得られるので、安定したストリーマ放電が可能となる。
また、上記関係式(3)に関し、B/Eが20よりも小さいと放電電極(41)と対向電極(42)との間隔に対して放電電極(41)の幅または径が大きくなるため、放電電極(41)の先端の損耗やそのばらつきにより放電特性が変化しやすく、ストリーマ放電が不安定になったり、複数の放電電極(41)において放電が不均一になったりするが、B/E≧20であれば放電電極(41)と対向電極(42)との間隔に対して放電電極(41)の幅または径が十分に小さくなるため、放電電極(41)の先端の損耗やそのばらつきが放電に与える影響が小さくなり、安定したストリーマ放電が可能となる。また、B/E≧30にすれば、ストリーマ放電の放電音も小さくなる。
−実施形態1の効果−
以上説明したように、この実施形態1では、線状ないし棒状の放電電極(41)を面状の対向電極(42)と実質的に平行に配置し、放電電極(41)の先端が損耗しても放電電極(41)と対向電極(42)との間隔を一定に保持するとともに放電電極(41)の先端形状が変化しないようにしているので、放電の特性を保つことが可能となり、ストリーマ放電を安定させることができる。したがって、放電電極(41)の形状の経時変化によりスパークが発生したり、ストリーマ放電が起こらずにグロー放電が起こったりするような不具合を防止できる。
また、放電電極(41)を挟んで対向電極(42)と相対する位置に電極保持部材(43)を設けたことにより、放電電極(41)の先端における電界の集中を和らげることが可能となるので、ストリーマ放電をより安定させることが可能となる。
さらに、電極対峙面(43a)を放電電極(41)及び対向電極(42)と実質的に平行に配置したことにより、放電電極(41)の先端が徐々に損耗した場合に、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔だけでなく放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔も変化しないようにしていること、放電電極(41)を対向電極(42)よりも電極対峙面(43a)に近接する位置に配置してグロー放電が起こりにくくしていること、放電電極(41)を電極保持部材(43)に固定する固定部材(44)を設けて放電電極(41)と対向電極(42)及び電極保持部材(43)との位置関係を安定させていること、そして上記関係式(1)〜(3)を満たしていることによっても、安定したストリーマ放電が可能となる。
また、この実施形態では電源手段(45)を直流電源により構成しているため、パルス電源などを用いる場合と比較して放電装置(40)を安価に製造することが可能となる。
また、放電電極(41)にタングステン材料を用いており、このタングステン材料の硬度が高いため、放電電極(41)の反りや変形が少なく製造が容易となり、融点、熱伝導率が高いため、放電による放電電極(41)の消耗が少なく耐久性が向上する。さらに、タングステン材料は、放電に伴って放電電極(41)の先端が僅かずつ損耗していくときに先端が粗になる特性を有しており、このことによってストリーマ放電の安定性も向上する。
−実施形態1の変形例−
この実施形態1では、電極保持部材(43)及び固定部材(44)を放電電極(41)と同種の金属により形成してもよいし、電極保持部材(43)及び固定部材(44)を放電電極(41)とは異種の金属により形成してもよい。いずれの場合でも放電電極(43)と電極保持部材(43)とが固定部材(44)を通じて導通するため、放電時に放電電極(41)の先端における電界の集中を和らげることが可能である。
また、電極保持部材(43)を絶縁材料とし、固定部材(44)を導電材料としてもよい。この場合、放電を行う際には電極保持部材(43)に誘電分極により電荷が溜まって行き、該電極保持部材(43)が徐々に放電電極の電位に近づいて行く。このため、電極保持部材(43)の電極対峙面(43a)は同様に放電電極(41)の先端における電界の集中を和らげるように作用する。したがって、この場合でもストリーマ放電が安定して発生する。
《発明の実施形態2》
実施形態2は、図4及び図5に示すように、放電装置(40)の構成を実施形態1と変更した例である。この実施形態2では、放電装置(40)の構成についてのみ説明する。
この放電装置(40)では、電極保持部材(43)と固定部材(44)をステンレス鋼板の板金部材(51)で一体的に形成している。この板金部材(51)は、第1フランジ(52a)とウェブ(52b)と第2フランジ(52c)とからなる本体部(52)と、第2フランジ(52c)から折り曲げて形成した電極対峙面(43a)及び電極固定板(固定部材)(44)とを備えている。電極固定板(44)の先端には折り返し部(44a)が設けられ、該折り返し部(44a)をかしめることにより線状ないし棒状の放電電極(41)が保持されている。
板金部材(51)には厚さが0.1mm〜0.2mm程度のステンレス鋼板が用いられ、放電電極には径寸法が0.14mmのタングステン線が用いられてる。
ただし、放電電極(41)は、必ずしも別部材を電極固定板(44)に固定したものである必要はない。つまり、例えば板金部材(51)の本体部(52)、電極対峙面(43a)及び電極固定板(44)、放電電極(41)を板金加工で一体に成形してもよい。
電極対峙面(43a)は、電極固定板(44)の両側に形成されている。そして、図5に示す1つの電極固定板(44)と2つの電極対峙面(43a)とを一組とすると、複数組の電極固定板(44)及び電極対峙面(43a)がひとつの板金部材(51)に所定間隔で形成されている(図示せず)。
この構成においても、線状ないし棒状の放電電極(41)が対向電極(42)の前面部分(42a)と平行に配置され、さらに電極対峙面(43a)が放電電極(41)及び上記前面部分(42a)と平行に配置されている。したがって放電に伴って放電電極(41)の先端部分が損耗したとしても、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔が変わらずに一定に保持されるとともに、放電電極(41)の先端形状が実質的に変化しないので、安定したストリーマ放電を行うことができる。
また、放電電極(41)を対向電極(42)よりも電極対峙面(43a)に近接する位置に配置することや、放電電極(41)を電極対峙面(44)との位置関係が変わらないように電極固定板(44)で保持していることにより、ストリーマ放電が安定することは、実施形態1と同様である。
さらに、この実施形態2においても、実施形態1において説明した関係式(1)〜(3)を満たすようにすることで、より安定したストリーマ放電が可能となる。
−実施形態2の変形例−
(変形例1)
図6は、実施形態2の第1の変形例を示している。この例では、電極保持部材(43)として長尺の樹脂成形部材(61)を用いている。この樹脂成形部材(61)は、角筒状で電極対峙面(43a)にスリット(61a)が形成されたものである。固定部材(44)は、ステンレス鋼板の板金部材(62)により構成されている。板金部材(62)は、樹脂成形部材(61)の内部を長手方向に延在する帯状の本体部(62a)と、この本体部(62a)から切り起こされて樹脂成形部材(61)の内面に圧接する保持片(62b)と、本体部(62a)から延出して放電電極(41)を保持する固定片(62c)とを有している。
この構成において、電極保持部材(43)を樹脂成形部材(61)にしているが、上述したように電極保持部材(43)は絶縁性であってもストリーマ放電を安定させる作用を奏する。したがって、この変形例でも実施形態1,2と同様の効果を得ることができる。
(変形例2)
図7は、実施形態2の第2の変形例を示している。この例では、電極保持部材として、図4及び図5に示したのとほぼ同じ形状の板金部材(71)を用いている。この板金部材(71)では、電極固定板(44)の先端に折り返し部(44a)が設けられておらず、放電電極(41)は電極固定板(44)に溶接により固定されている。その他の部分の構造は、図4及び図5のものと同じである。なお、図4及び図5の例と同様に、ステンレス鋼板には例えば厚さが0.1mm〜0.2mmのものが用いられ、放電電極(41)には直径が0.14mm程度のタングステン線が用いられている。
上記板金部材(71)は、固定用碍子(72)を用いて対向電極(42)に固定されている。固定用碍子(72)は、図示していないが対向電極(42)の長手方向の両端部に設けられている。このように固定用碍子(72)を用いて板金部材(71)を対向電極(42)に固定することは、図4及び図5の例でも同様である。
(変形例3)
図8は、実施形態2の第3の変形例を示している。この例では、電極保持部材として、導電樹脂製の成形部材(81)を用いている。この成形部材(81)は、大略「H」型の本体部(81a)と、この本体部(81a)から延出した電極固定板(44)とを有し、電極固定板(44)にタングステン線の放電電極(41)が超音波溶着により固定されている。また、成型部材(81)は、図7の例と同様、固定用碍子(82)を用いて対向電極(42)に固定されている。
この変形例でも、上記実施形態1,2と同様の効果を得ることができる。
《発明の実施形態3》
次に、本発明の実施形態3について図面に基づいて詳細に説明する。
図11は、実施形態3に係る空気浄化装置(10)の分解斜視図であり、図12は、空気浄化装置(10)の内部を上方から視た図である。この空気浄化装置(10)は、実施形態1の空気浄化装置と同様、一般家庭や小規模店舗などで用いられる民生用の空気浄化装置である。
空気浄化装置(10)は、一端が開放された箱形のケーシング本体(21)と、該ケーシング本体(21)の開放端面に装着される前面プレート(22)とからなるケーシング(20)を備えている。ケーシング本体(21)の両側面及び上面と、前面プレート(22)の前面中央部には、被処理ガスである室内空気が導入される空気吸込口(23)が形成されている。また、ケーシング本体(21)の天板の背面側寄りには、室内空気が流出する空気吹出口(24)が形成されている。
ケーシング本体(21)内には、空気吸込口(23)から空気吹出口(24)までに亘って室内空気が流れる空気通路(25)が形成されている。この空気通路(25)には、室内空気の流れの上流側(図12において下側)から順に、空気浄化を行う各種の機能部品(30)と、該空気通路(25)に室内空気を流通させるための遠心送風機(26)とが配置されている。
上記機能部品(30)は、前面プレート(22)側より順に、プレフィルタ(31)、イオン化部(32)、放電装置(40)、静電フィルタ(33)、及び触媒フィルタ(34)が配置されて構成されている。また、空気浄化装置(10)のケーシング本体(21)の後部下側寄りには、放電装置(40)の電源手段(45)が設けられている。
プレフィルタ(31)は、室内空気中に含まれる比較的大きな塵埃を捕集するフィルタである。また、イオン化部(32)は、プレフィルタ(31)を通過した比較的小さな塵埃を帯電させ、この塵埃をイオン化部(32)の下流側に配置されている静電フィルタ(集塵フィルタ)(33)により捕集するためのものである。このイオン化部(32)は、複数のイオン化線(35)と、各イオン化線(35)に対応する対向電極(36)とで構成されている。
上記複数のイオン化線(35)は、波型形状ないし複数の「コ」の字が連なった水平断面形状を有する波形部材(38)の前側に配置されている。なお、本実施形態においては、2つの波形部材(38)が左右に配列されている。また、波形部材(38)の前側には、複数の前側開口部(38a)が形成されており、各イオン化線(35)は、各前側開口部(38a)内において波形部材(38)の上端から下端までに亘って張架されている。一方、上記イオン化線(35)に対応する対向電極(36)は、波形部材(38)の前側開口部(38a)を形成する壁面に設けられている。なお、この波形部材(38)の後側寄りの面には、静電フィルタ(33)と平行に配置されるメッシュ板(37)が連結されている。
放電装置(40)は、複数の放電電極(41)と、各放電電極(41)に対向する面状の対向電極(42)とを備えている。
上記放電電極(41)は、線状ないし棒状に形成されており、上記波形部材(38)の後側に配置されている。この放電電極(41)は、放電装置(40)の拡大斜視図である図13(A)に示すように、波形部材(38)の後側開口部(38b)内に配置されるとともに上下方向に延在する電極保持部材(43)に支持されている。この電極保持部材(43)は、水平断面が「コ」の字型に形成されており、所定の部位には前方に向かって屈曲形成された複数の支持板(固定部材)(44)が形成されている。そして、線状ないし棒状の放電電極(41)は、該放電電極(41)を挟み込むようにしてかしめられた支持板(44)の先端部によって支持されている(図13(B)、放電装置の水平断面図参照)。以上のようにして、放電電極(41)の両端部は、支持板(44)から上下方向に突出した状態となっている。なお、本実施形態において、放電電極(41)はタングステンを材料として構成されている。
一方、対向電極(42)は、このようにして放電電極(41)が配置される波形部材(38)の後側開口部(38b)内の第1面(後面)(38c)に形成されている。そして、この第1面(38c)が放電電極(41)に対向する電極面として機能している。このようにして、支持板(44)から突出する放電電極(41)が、対向電極(42)の電極面と略平行に配置されている。なお、対向電極(42)の上端部及び下端部には、それぞれ対向電極(42)と上記電極保持部材(43)とに介設されるスペーサー(46)が設けられている。このスペーサー(46)は、本実施形態において絶縁性の碍子で構成されている。そして、放電電極(41)の先端部から対向電極(42)までの間の距離(B)が上記スペーサー(46)によって一定間隔に保持されている。
ここで、放電装置(40)における各部の具体構成について説明する(図3参照)。まず、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bは、0.96≦B/A≦1.52(より詳細には、1.16≦B/A≦1.45)で表される関係式(1)を満たしている。具体的な数値としては、A(mm)が4.4≦A≦5.0(4.7±0.3)であり、B(mm)が5.8≦B≦6.4(6.1±0.3)である。また、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、電極保持部材(43)における放電電極(41)の軸直角方向の幅寸法Dは、A≦D(D=13mm)で表される関係式(2)を満たしている。さらに、放電電極(41)における対向電極(42)の面方向の幅寸法または径寸法Eと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bは、B/E≧20で表される関係式(3)を満たしている。放電電極には、径寸法Eがφ0.2mmで、放電電極(41)が固定部材(44)から突出した長さ寸法Cが3.5+0.5mmのタングステン線が用いられている。
上述した静電フィルタ(33)は、上記放電装置(40)の下流側に配置されている。静電フィルタ(33)は、上流側の面において、上述したイオン化部(32)によって帯電された比較的小さな塵埃を捕集する一方、下流側の面には光触媒(光半導体)が担持されている。この光触媒は、放電装置(40)の放電によって生成される低温プラズマ中の反応性の高い物質(電子、イオン、オゾン、ラジカルなどの活性種)を更に活性化し、室内空気中の有害物質や臭気物質の分解を促進する。なお、この光触媒は、例えば二酸化チタンや酸化亜鉛、あるいはタングステン酸化物や硫化カドミウムなどが用いられる。また、静電フィルタ(33)は、水平断面が波形状に屈曲して形成された、いわゆるプリーツフィルタで構成されている。
上記触媒フィルタ(34)は、静電フィルタ(33)の下流側に配置されている。この触媒フィルタ(34)は、ハニカム構造の基材の表面にプラズマ触媒を担持したものである。このプラズマ触媒は、上記光触媒と同様に、放電装置(40)の放電によって生成される低温プラズマ中の反応性の高い物質(電子、イオン、オゾン、ラジカルなどの活性種)を更に活性化し、室内空気中の被処理成分である有害物質や臭気物質の分解を促進する。このプラズマ触媒には、マンガン系触媒や貴金属系触媒、更にこれらの触媒に活性炭などの吸着剤を添加したものが用いられる。
−運転動作−
空気浄化装置(10)の運転中は、遠心送風機(26)が起動し、被処理ガスである室内空気がケーシング本体(21)内の空気通路(25)を流通する。また、この状態において、イオン化部(32)及び放電装置(40)へは、電源手段(45)から高電圧が印加される。
室内空気がケーシング本体(21)内に導入されると、まずプレフィルタ(31)において比較的大きな塵埃が除去される。プレフィルタ(31)を通過した室内空気は、イオン化部(32)へと流れる。イオン化部(32)では、イオン化線(35)と対向電極(36)との間での放電により室内空気中の比較的小さな塵埃が帯電する。この帯電した塵埃を含む室内空気は、静電フィルタ(33)へ流入する。そして、静電フィルタ(33)において、これらの帯電した塵埃が捕集される。
一方、放電装置(40)では、放電電極(41)と対向電極(42)との間でのストリーマ放電により低温プラズマが発生している。このため、放電装置(40)により発生した低温プラズマが、室内空気とともに下流側に流れる。
この低温プラズマには、反応性の高い物質(活性種)が含まれている。そして、この反応性の高い物質は、室内空気と接触して室内空気中の有害物質や臭気物質を分解する。また、上記活性種が、静電フィルタ(33)に達すると、静電フィルタ(33)に担持された光触媒によって更に活性化し、室内空気中の有害物質や臭気成分が更に分解される。さらに、この活性種が触媒フィルタ(34)に達すると、これらの物質は一層活性化し、室内空気中の有害物質や臭気物質が一層分解される。
以上のようにして塵埃が除去されるとともに有害物質や臭気物質も除去された清浄な室内空気は、遠心送風機(26)へと取り込まれ、空気吹出口(24)から室内へ吹き出される。
次に、各部の具体構成による作用を説明する(図3参照)。
上述したように、この放電装置は、上記の3つの関係式を満たしている。つまり、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bについての、0.96≦B/A≦1.52(より詳細には1.16≦B/A≦1.45)で表される関係式(1)、放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔寸法Aと、電極保持部材(43)における放電電極(41)の軸直角方向の幅寸法Dについての、A≦Dで表される関係式(2)、そして放電電極(41)における対向電極(42)の面方向の幅寸法または径寸法Eと、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔寸法Bについての、B/E≧20で表される関係式(3)を満たしている。
上記関係式(1)に関しては、図9及び図14を用いて既に説明したとおり、B/Aの値が0.96よりも小さいとグロー放電になりやすく、1.52よりも大きいとスパーク傾向が強くなって、放電の安定的持続と複数箇所での同時放電が困難になるのに対して、
0.96≦B/A≦1.52、特に1.16≦B/A≦1.45であればグロー放電やスパークが起こりにくく、安定したストリーマ放電が可能となる。
上記関係式(2)に関し、上記間隔寸法Aが上記幅寸法Dよりも大きくなると、電極対峙面(43a)が放電電極(41)の先端における電界の集中を和らげる作用が弱まるのに対して、A≦Dで表される関係式(2)を満たすようにしておけば、放電電極(41)の先端における電界の集中を弱める作用が確実に得られるので、安定したストリーマ放電が可能となる。
また、上記関係式(3)に関し、B/Eが20よりも小さいと放電電極(41)と対向電極(42)との間隔に対して放電電極(41)の幅または径が大きくなるため、放電電極(41)の先端の損耗やそのばらつきにより放電特性が変化しやすく、ストリーマ放電が不安定になったり、複数の放電電極(41)において放電が不均一になったりするが、B/E≧20であれば放電電極(41)と対向電極(42)との間隔に対して放電電極(41)の幅または径が十分に小さくなるため、放電電極(41)の先端の損耗やそのばらつきが放電に与える影響が小さくなり、安定したストリーマ放電が可能となる。また、B/E≧30にすれば、ストリーマ放電の放電音が小さくなることが実験の結果から分かっている。
−実施形態3の効果−
以上説明したように、この実施形態3においても、線状ないし棒状の放電電極(41)を面状の対向電極(42)と実質的に平行に配置し、放電電極(41)の先端が損耗しても放電電極(41)と対向電極(42)との間隔を一定に保持するとともに放電電極(41)の先端形状が変化しないようにしているので、放電の特性を保つことが可能となり、ストリーマ放電を安定させることができる。したがって、放電電極(41)の形状の経時変化によりスパークが発生したり、ストリーマ放電が起こらずにグロー放電が起こったりするような不具合を防止できる。
また、放電電極(41)を挟んで対向電極(42)と相対する位置に電極保持部材(43)を設けたことにより、放電電極(41)の先端における電界の集中を和らげることが可能となるので、ストリーマ放電をより安定させることが可能となる。
さらに、電極対峙面(43a)を放電電極(41)及び対向電極(42)と実質的に平行に配置したことにより、放電電極(41)の先端が徐々に損耗した場合に、放電電極(41)と対向電極(42)との間隔だけでなく放電電極(41)と電極対峙面(43a)との間隔も変化しないようにしていること、放電電極(41)を対向電極(42)よりも電極対峙面(43a)に近接する位置に配置してグロー放電が起こりにくくしていること、放電電極(41)を電極保持部材(43)に固定する固定部材(44)を設けて放電電極(41)と対向電極(42)及び電極保持部材(43)との位置関係を安定させていること、そして上記関係式(1)〜(3)を満たしていることによっても、安定したストリーマ放電が可能となる。
また、この実施形態では電源手段(45)を直流電源により構成しているため、パルス電源などを用いる場合と比較して放電装置(40)を安価に製造することが可能となる。
また、放電電極(41)にタングステン材料を用いており、このタングステン材料の硬度が高いため、放電電極(41)の反りや変形が少なく製造が容易となり、融点、熱伝導率が高いため、放電による放電電極(41)の消耗が少なく耐久性が向上する。さらに、タングステン材料は、放電に伴って放電電極(41)の先端が僅かずつ損耗していくときに先端が粗になる特性を有しており、このことによってストリーマ放電の安定性も向上する。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
例えば、上記実施形態1において、対向電極(42)の前面部分(42a)に複数個の通風孔を形成してもよい。こうすると、ケーシング(10)内に導入された室内空気が下流側へ流れるときに対向電極(42)内のストリーマ放電箇所も通るため、ストリーマ放電によって発生した低温プラズマの活性種などが対向電極(42)内で滞留せず、触媒フィルタ(34)まで確実に流れていく。したがって、空気浄化装置の処理性能を高いレベルで安定させることができる。
また、上記各実施形態では本発明の放電装置を空気浄化装置に適用した例について説明したが、本発明の放電装置はその適用対象を空気浄化装置に限定するものではなく、ストリーマ放電を行う機械装置類であれば、その他の装置であっても適用可能である。ただし、本発明の放電装置を空気浄化装置に適用した場合には、ストリーマ放電の特性を極めて有効に利用することができる。
また、上記実施形態では、放電装置(40)の下流側に、例えばマンガン系触媒や貴金属系触媒などのプラズマ触媒が基材に担持された触媒フィルタ(34)を設けている。しかしながら、放電装置(40)の下流側には、この触媒フィルタ(34)の代わりに、例えば活性炭やゼオライトなどの吸着剤が基材に担持された吸着処理部材を設けるようにしてもよい。