JP3775033B2 - 移動体用ディファレンシャルgps装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、基準局において作成されたGPS信号の誤差補正データを送信局を介して受信し、GPS信号により測位された現在位置を該誤差補正データを用いて補正する移動体用ディファレンシャルGPS装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のGPS(グローバルポジショニングシステム)では、GPS衛星から送信されるGPS信号に予め誤差が含まれているため半径100m程度の誤差がある位置情報しか得られなかった。
【0003】
そこで、近年ではGPSにより測位された位置情報を高精度化するディファレンシャルGPS技術が提案されている。
【0004】
このディファレンシャルGPS技術は、GPS衛星から送信されるGPS信号を基準局で受信し、この基準局において測位誤差の誤差補正データを作成し、誤差補正データをFM送信局を介してカーナビゲーション装置等を搭載する車両にFM多重放送により配信するものである。そして、カーナビゲーション装置では、FM送信局から受信した誤差補正データにより現在位置をリアルタイムで補正して表示することで位置情報を高精度化することができる。
【0005】
実開平6−16888号公報や特開平8−320365号公報には、一般的なディファレンシャルGPSであって、GPS信号の測位誤差を誤差補正データにより補正する点が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、GPSセンサ或いはFM受信機が故障した場合に故障状態をユーザに警告する必要がある。また、GPSセンサのみ故障した場合には誤差補正データを有効に用いることができないのでFM受信機の機能が無駄になる。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされ、その目的は、GPSセンサ或いはFM受信機の故障を早期に、かつ確実に検出して、今後実用化される自動ブレーキ制御システムや障害物報知システムにも十分に適用できる移動体用ディファレンシャルGPS装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決し、目的を達成するため、本発明の移動体用ディファレンシャルGPS装置は以下の構成を備える。即ち、
GPS衛星から送信されるGPS信号を受信するGPS受信手段と、基準局において作成されたGPS信号の誤差補正データを送信局を介して受信する誤差補正データ受信手段とを有し、該GPS信号及び誤差補正データを用いて現在位置を演算する移動体用ディファレンシャルGPS装置において、前記GPS受信手段が前記GPS衛星からGPS信号を受信不能な状態であるにもかかわらず、前記誤差補正データ受信手段が前記送信局から誤差補正データを受信可能な場合、前記GPS受信手段が故障していると判定する判定手段を備え、前記判定手段により前記GPS受信手段が故障していると判定された場合、センサにより検出した移動体の方位び地図情報を用いて現在位置情報を算出する。
【0009】
また、好ましくは、前記移動体がトンネル内にいることを検出するトンネル検出手段と、該トンネル検出手段により前記移動体がトンネル内にいる場合には前記判定手段による判定を禁止する。
【0010】
また、本発明の移動体用ディファレンシャルGPS装置は以下の構成を備える。即ち、
GPS衛星から送信されるGPS信号を受信するGPS受信手段と、基準局において作成されたGPS信号の誤差補正データを送信局を介して受信する誤差補正データ受信手段とを有し、該GPS信号及び誤差補正データを用いて現在位置を演算する移動体用ディファレンシャルGPS装置において、前記GPS受信手段が前記GPS衛星からGPS信号を受信可能な状態であるにもかかわらず、前記誤差補正データ受信手段が前記送信局から誤差補正データを受信不能な場合、前記誤差補正データ受信手段が故障していると判定する判定手段を備え、前記判定手段により前記誤差補正データ受信手段が故障していると判定された場合、他の移動体から誤差補正データを入手する。
【0011】
また、好ましくは、前記誤差補正データの電界強度を検出する強度検出手段と、該強度検出手段により前記電界強度が所定値以下の状態が所定時間以上続いた場合には前記判定手段による判定を禁止する第1の禁止手段を更に備える。
【0012】
また、好ましくは、前記移動体の現在位置と送信局との間の離間距離を検出する距離検出手段と、該距離検出手段により前記離間距離が所定値以上の場合には前記判定手段による判定を禁止する第2の禁止手段を更に備える。
【0013】
また、好ましくは、前記送信局の位置を記憶する記憶手段を更に備える。
【0014】
また、好ましくは、前記現在位置は自動ブレーキ制御に用いられる。
【0015】
また、好ましくは、前記現在位置は自動走行制御に用いられる。
【0016】
また、好ましくは、前記現在位置は危険報知制御に用いられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
[ハードウエア構成]
先ず、本発明に係わる実施形態のディファレンシャルGPS装置のハードウエア構成について説明する。
【0018】
図1は、本発明に係わる実施形態としてのディファレンシャルGPS装置の回路ブロック図である。図2は、本実施形態のディファレンシャルGPS装置のシステム全体を説明する図である。
【0019】
先ず、図2に示すように、本実施形態の前提となっているディファレンシャルGPSとは、地球上に打ち上げられた多数のGPS衛星30a〜30dから送信されるGPS信号を既知の基準局31で受信し、この基準局31においてGPS信号に含まれる測位誤差を補正するための誤差補正データを作成し、この誤差誤差補正データをFM送信局32を介してカーナビゲーション装置や携帯ナビゲーション装置等を搭載する移動体33、34にFM多重信号にて配信するシステムである。基準局31では、GPS信号から演算された位置情報と基準局31の正確な位置情報とを比較して誤差補正データを作成する。この誤差補正データには、補正対象となるGPS信号を送信しているGPS衛星の識別番号、擬似距離の誤差補正値、擬似距離誤差の変化率、発信時刻情報等が含まれる。
【0020】
そして、本実施形態のディファレンシャルGPS装置は、カーナビゲーション装置等として移動体に搭載されたり、携帯ナビゲーション装置として人に携帯される。ディファレンシャルGPS装置は、FM送信局32から受信した誤差補正データを用いてGPS信号の現在位置情報をリアルタイムで補正して、高精度化した現在位置情報をディスプレイ等に表示する。GPSによる現在位置の測位は、地球上に打ち上げられた多数のGPS衛星のうち、3つのGPS衛星からのGPS信号により移動体の現在位置の緯度、経度、高さからなる3次元位置を決定し、付加的にもう1つのGPS衛星から時計誤差を求めるため、計4つのGPS衛星が用いられる。
【0021】
図2に示すように、ディファレンシャルGPS装置は、装置全体を統括制御する集中制御ユニット1を備える。この集中制御ユニット1は、演算処理部2、制御部3、RAM4、ROM5、タイマ6とを備え、後述するように、GPS信号や誤差補正データを受信して現在位置情報を測位或いは補正したり、他の移動体との間で無線通信を実行する。また、集中制御ユニット1には、GPS信号を受信するGPS受信機8、FM送信局から送信される誤差補正データを受信するFM多重受信機9、FM選局部10、無線通信機11、ジャイロ及び車速センサ12が接続されている。
【0022】
演算処理部2は、GPS受信機8から入力されるGPS信号から現在位置情報を演算すると共に、FM多重受信機9から入力される誤差補正データを用いて現在位置情報を補正する。また、演算処理部2は、GPS信号及び誤差補正データから現在位置と基準局との離間距離や現在位置とFM送信局との離間距離やGPS衛星の方向等を演算する。この補正された現在位置情報は、制御部3によりディスプレイ13に表示される。また、FM多重受信機9は、制御部3の制御のもとでFM選局部10において所望のFM送信局に自動的にチューニングされる。
【0023】
RAM4には演算処理部2にて演算された現在位置情報等や後述する各種制御手順を実行するための制御プログラム等が一時的に格納される。ROM5には、上記制御プログラムや基準局及びFM送信局の位置情報等が予め格納されている。タイマ6は、後述する制御プログラム実行時に待機時間等を計測する。
【0024】
制御部3は、各種制御プログラムにおいて算出される離間距離やGPS衛星の方向等を閾値と比較したり、GPS受信機等の故障を判定する。
【0025】
また、制御部3は、ブザー及びワーニングランプ14を点灯/点滅制御したり、現在位置情報を自動ブレーキ制御装置15に出力する。更に、集中制御ユニット1には、フロッピーディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、ミニディスク(MD)、光磁気ディスク(MO)、デジタルビデオディスク(DVD)等の外部記憶装置7がデータの読み出し可能に接続される。外部記憶装置7には地図情報等が格納されている。
【0026】
無線通信機11は、複数の移動体間で後述する送信フレームの送受信が可能となるように設けられている。
【0027】
ジャイロ及び車速センサ12は、トンネル内等のGPS信号が届きにくい場所で現在位置を検出するために設けられている。
[誤差領域の表示処理]
次に、図1と図3を参照して、本実施形態のディファレンシャルGPS装置による現在位置情報の演算処理と誤差領域の表示処理について説明する。
【0028】
現在位置情報の誤差は、例えば、誤差補正データにより補正したとしても、GPS衛星と基準局の間の距離とGPS衛星と移動体の間の距離が異なる程増大する、即ち、基準局と移動体との離間距離が離れる程その誤差は増大することになる。そこで、この誤差領域の表示処理では、現在位置情報の誤差を誤差領域としてディスプレイ上に正確に表示して、ユーザに現在位置を容易に把握できるようにした処理を行う。
【0029】
図3は、本実施形態のディファレンシャルGPS装置による現在位置情報の演算処理と誤差領域の表示処理を示すフローチャートである。
【0030】
図1及び図3に示すように、処理が開始されると、ステップS2では、演算処理部2は、GPS受信機8を介してGPS信号を取り込み、このGPS信号をRAM4に記憶させる。ステップS4では、演算処理部2はGPS信号から現在位置情報を演算してRAM4に格納する。ステップS6では、演算処理部2は、基準局と現在位置との離間距離を演算してRAM4に格納し、ROM5に登録された基準局が複数ある場合には、基準局毎に離間距離を演算してRAM4に格納する。この離間距離の演算は、予めFM送信局に対応した基準局の位置情報をROM5に登録しておいて、この基準局の位置情報と現在位置情報から算出する。ステップS8では、制御部3は、ステップS6で算出された離間距離が最小となる基準局を選択する。ステップS10では、制御部3は、ステップS8で選択された基準局に対応する(複数の)FM送信局に(夫々)チューニングして、その中から電界強度が最も高いFM送信局を選択して、FM選局部10で自動的にチューニングする。ステップS12では、演算処理部2は、FM多重受信機9を介してステップS10でチューニングされたFM送信局から誤差補正データを取り込みRAM4に記憶させる。ステップS14では、ステップS4にて演算された現在位置情報を誤差補正データにより補正して、その補正された現在位置情報と誤差補正データとをRAM4に格納する。ステップS16では、制御部3は、ステップS14にて補正された現在位置情報をディスプレイ13に表示する。続く、ステップS18では、ステップS8で選択された基準局との離間距離に応じて誤差領域を表示する。その後、ステップS2にリターンして、サイクルタイム(例えば、15〜20秒)毎に上記処理を繰り返し実行する。
【0031】
図4に誤差領域の表示例を示す。図4に示すように、ディスプレイ上に表示される誤差領域は、現在位置を中心とする円を点滅等して表示され、移動体の移動に伴って基準局との離間距離が大きくなるほど誤差領域を拡大して表示する。また、図5に示すように、離間距離が大きくなるにつれて誤差領域半径の変化速度を大きく、例えば二次関数F(x)に応じた加速度で表示半径を拡大していく。
【0032】
以上の誤差領域の表示処理によれば、基準局と移動体の離間距離に応じた現在位置の測位誤差を正確に表示して、ユーザにて現在位置を容易に把握できるようになる。
[FM送信局の選択処理]
次に、図1と図6を参照して、本実施形態のディファレンシャルGPS装置によるFM送信局の選択処理について説明する。
【0033】
現在位置情報の誤差は、電界強度の高いFM送信局を自動的にチューニングしたとしても、上述の場合と同じように基準局と移動体との距離が離れる程増大する。また、誤差補正データがFM送信局から移動体に到達するまでの情報遅延量が大きい場合にもリアルタイムに現在位置情報を補正することができないため、測位誤差の増大を招く。そこで、このFM送信局の選択処理では、電界強度の他に情報遅延量を考慮してFM送信局を選択することで現在位置情報の精度を高めている。
【0034】
尚、FM送信局では、基準局から送信される誤差補正データをFM多重信号化するため、この演算に要する時間だけ情報の発信が遅延するのである。
【0035】
図6は、本実施形態のディファレンシャルGPS装置によるFM送信局の選択処理を示すフローチャートである。
【0036】
図1及び図6に示すように、図3に示すステップS2からS8までの処理は同じであり、その処理を実行した後、ステップS20では、制御部3は、ステップS8で選択された基準局に対応した複数のFM送信局に順次チューニングしていく。尚、集中制御ユニット1のROM5には、基準局に対応したFM送信局の総数が予め格納されている。ステップS22では、制御部3は、ステップS20でチューニングされたFM送信局について電界強度が所定値以上か否かを判定する。ステップS24での判定がYESならば、ステップS24に進み、判定がNOならばステップS20にリターンして次のFM送信局にチューニングする。
【0037】
ステップS24では、演算処理部2は、ステップS20でチューニングされたFM送信局から受信した誤差補正データを取り込み、RAM4に格納する。ステップS26では、制御部3は、全てのFM送信局についてステップS20からS24までの処理を完了させ、電界強度が所定値以上のFM送信局の誤差補正データの取り込みが全て終了したか否かを判定する。ステップS26での判定がYESならばステップS28に進み、ステップS26での判定がNOならばステップS20にリターンして次のFM送信局にチューニングする。
【0038】
ステップS28では、RAM4に格納された全ての誤差補正データに含まれる発信時刻情報と、移動体が受信した時点での受信時刻情報から各FM送信局の情報遅延量を算出する。尚、集中制御ユニット1のROM5に、各FM送信局毎の情報遅延量を予め格納しておいてもよい。ステップS30では、情報遅延量が最小のFM送信局を選択して、FM選局部10により自動的にチューニングされる。その後、図3に示すステップS14に進み、それ以降の処理を実行する。尚、ステップS30では、情報遅延量と電界強度のバランスがとれたFM送信局を選択してもよい。
【0039】
以上のFM送信局の選択処理によれば、情報遅延量が最小のFM送信局を選択して現在位置情報を補正するので、位置精度が向上する。
[位置情報の修正処理]
次に、図1と図7Aを参照して、本実施形態のディファレンシャルGPS装置による位置情報の修正処理について説明する。
【0040】
現在位置情報の誤差は、誤差補正データにより補正したとしても、誤差補正データの送信時点においてFM送信局で発生する情報遅延により誤差が発生する場合がある。そこで、この位置情報の修正処理では、FM送信局の情報遅延により発生する誤差補正データによる測位誤差を低減し、測位精度を向上するようにした。
【0041】
図7Aは、本実施形態のディファレンシャルGPS装置による位置情報の修正処理を示すフローチャートである。
【0042】
図1及び図7Aに示すように、図3に示すステップS2、S4までの処理は同じであり、その処理を実行した後、ステップS32では、制御部3は、現在位置から所定範囲までのFM送信局を全て抽出する。ステップS34では、制御部3は、ステップS32で抽出されたFM送信局から夫々誤差補正データを取り込み、RAM4に格納する。ステップS36では、制御部3は、ステップS32で抽出されたFM送信局に対応する情報遅延量がROM5に格納されているか否かを判定する。ステップS36での判定がYESならば、ステップS40に進み、判定がNOならばステップS38に進む。
【0043】
ステップS38では、誤差補正データに含まれる発信時刻情報から該当するFM送信局の情報遅延量を算出する。
【0044】
ステップS40では、制御部3は、ステップS32で抽出された全てのFM送信局についてステップS34〜S38までの処理が完了したか否かを判定する。ステップS40での判定がYESならば、ステップS42に進み、判定がNOならばステップS34にリターンして次のFM送信局をチューニングしてステップS34〜S38までの処理を実行する。
【0045】
ステップS42では、情報遅延量が最小のFM送信局を選択し、FM選局部10にて自動的にチューニングする。
【0046】
ステップS44では、ステップS42にて選択されたFM送信局から受信した誤差補正データを用いて、この受信した誤差補正データよりも情報遅延量に対応する時間前に受信され、RAM4に記憶されたGPS信号から演算される過去の位置情報を補正する。ステップS46では、ステップS44で補正された過去の位置情報に基づいて現在位置をマップマッチング(或いは自律航法による位置の算出)により算出する。ステップS48では、補正された位置情報に基づいて外部記憶装置7に格納された地図情報を最新の情報に書き換える。
【0047】
以上の位置情報の修正処理によれば、現在の誤差補正データを用いて情報遅延量に対応する時間前の位置情報を補正し、この補正された位置情報は直接的に現在位置の表示には用いずに、マップマッチングや地図情報の書き換えに用いるので、FM送信局における情報遅延により発生する誤差を低減し、測位精度を向上できる。
<変形例>
次に、図1と図7Bを参照して、本実施形態の変形例のディファレンシャルGPS装置による位置情報の修正処理について説明する。
【0048】
図7Bは、本実施形態の変形例のディファレンシャルGPS装置による位置情報の修正処理を示すフローチャートである。
【0049】
図7Bにおいて、本変形例では、上記ステップS44のように、既に演算されてRAM4に記憶された過去の位置情報を誤差補正データで補正するのではなく、ステップS45において、演算処理部12は、ステップS42にて選択されたFM送信局から受信した誤差補正データと、この受信した誤差補正データよりも情報遅延量に対応する時間前に受信され、RAM4に記憶されたGPS信号とを用いて過去の位置情報を補正を含めて演算する。その他の処理は、図7Aと同様なので説明を省略する。
【0050】
この変形例によっても、FM送信局における情報遅延により発生する誤差を低減し、測位精度を向上できる。
[GPS衛星の選択処理]
次に、図1と図8Aを参照して、本実施形態のディファレンシャルGPS装置によるGPS衛星の選択処理について説明する。
【0051】
図9に示すように、例えば、現在位置33に対する基準局31の方向とGPS衛星30dの方向とが互いに逆方向で非常に低い位置にあったり、同一方向で非常に低い位置となる位置関係の場合には、GPS衛星と基準局の間の距離とGPS衛星と移動体との距離の差が非常に大きいために測位誤差が増大するという不都合がある。
【0052】
また、基準局とGPS衛星の位置関係によっては、移動体が受信したGPS信号に対応するGPS衛星と誤差補正データの作成時に対応するGPS衛星とが一致しないことがあり測位精度が悪化する場合もある。そこで、このGPS衛星の選択処理では、現在位置に対する基準局の方向とGPS衛星の方向との位置関係から測位誤差が増大する状況での測位を規制して、測位精度を向上できるようにしている。
【0053】
図8Aは、本実施形態のディファレンシャルGPS装置によるGPS衛星の選択処理を示すフローチャートである。
【0054】
図1及び図8Aに示すように、図3に示すステップS2、S4までの処理は同じであり、その処理を実行した後、ステップS50では、演算処理部2は、現在位置から見えるGPS衛星について、現在位置を中心として水平方向に対する方向(緯度、経度、高さ等)を算出する。ステップS52では、演算処理部2は、現在位置を中心として基準局の方向を算出する。ステップS54では、演算処理部2は、現在位置から基準局への方向ベクトル(或いは現在位置と基準局とを結ぶ直線)と、現在位置からGPS衛星への方向ベクトル(或いは現在位置とGPS衛星とを結ぶ直線)との成す角度θ(図9に示す角度θを参照、以下挟角という)を算出する。ステップS56では、制御部3は、現在位置から見て基準局とGPS衛星とが同一方向ならばGPS衛星の挟角θが所定角度θ1(例えば、θ=30°)以下であるか、或いは現在位置から見て基準局とGPS衛星とが反対方向ならば所定角度θ2(例えば、θ=150°)以上であるか否かを判定する。ステップS56での判定がYESならば、ステップS58に進み、判定がNOならばステップS60に進む。
【0055】
ステップS58では、GPS衛星の挟角θが所定角度θ1以下、或いは所定角度θ2以上であるGPS衛星からのGPS信号の取り込みを規制する。
【0056】
ステップS60では、現在位置から見える全てのGPS衛星についてステップS56、S58の処理を実行したか否かを判定する。ステップS60での判定がYESならばステップS62に進み、判定がNOならばステップS56にリターンして、他のGPS衛星についてステップS56、S58の処理を実行する。
【0057】
ステップS62では、ステップS58で規制されたGPS衛星を除いた残りのGPS衛星についてGDOP(Geometrical Dilution of Precision)値G1を演算する。ステップS64では、現在位置から見える全てのGPS衛星についてGDOP値G2を演算する。
【0058】
ステップS66では、GDOP値G1に補正係数k(例えば、k=0.1)を乗算した値(G1×k)がGDOP値G2以下となるか否かを判定する。ステップS66での判定がYESならばステップS68進み、ステップS66での判定がNOならばステップS68に進む。
【0059】
ステップS68では、GDOP値G1となるGPS衛星の組合せを用いて現在位置情報を演算する。一方、ステップS70では、GDOP値G2となるGPS衛星の組合せを用いて現在位置情報を演算する。
【0060】
尚、ステップS66でGDOP値G1に補正係数kを乗算するのは、GDOP値G2の方が母集団が多く良い結果が出る可能性が高いため、いずれかのGDOP値を同程度に補正して比較した方が良いからである。
【0061】
また、挟角θが直角の場合を基準角として、挟角θがこの基準角に対して所定角度範囲(例えば、70°≦θ≦120°)にある場合にはGPS衛星の規制を解除するようにしてもよい。
【0062】
以上のGPS衛星の選択処理によれば、現在位置に対する基準局の方向とGPS衛星の方向との位置関係において、測位誤差が増大する状況にあるGPS衛星での測位を規制することで、測位精度を向上できる。
【0063】
また、規制以外のGPS衛星でのGDOP値G1と全てのGPS衛星でのGDOP値G2とを比較して、GDOP値の良い方を現在位置の測位に用いるのでより高精度の位置測位を実現できる。
<変形例>
次に、図1と図8Bを参照して、本実施形態の変形例のディファレンシャルGPS装置によるGPS衛星の選択処理について説明する。
【0064】
図8Bは、本実施形態の変形例のディファレンシャルGPS装置によるGPS衛星の選択処理を示すフローチャートである。
【0065】
図8Bにおいて、本変形例では、上記ステップS54、S56のように、GPS衛星の挟角θを演算して、この挟角θが所定角度θ1以下、或いは所定角度θ2以上であるGPS衛星からのGPS信号の取り込みを規制するのではなく、ステップS55において、演算処理部2は、現在位置33からGPS衛星から地面に対して真下に下ろした垂線の交点への方向ベクトル(或いは現在位置と垂線の交点とを結ぶ直線)と、現在位置33からGPS衛星への方向ベクトル(或いは現在位置とGPS衛星とを結ぶ直線)との成す角度α(図9に示す角度αを参照、以下仰角という)を算出する。ここで、仰角αは90°以下である。ステップS57では、制御部3は、GPS衛星の仰角αが所定角度θ3(例えば、θ=70°)以上であるか否かを判定する。ステップS57での判定がYESならば、ステップS58に進み、判定がNOならばステップS60に進む。その他の処理は、図8Aと同様なので説明を省略する。
【0066】
この変形例によっても、測位誤差が増大する状況にあるGPS衛星での測位を規制することで、測位精度を向上でき、演算処理部での演算処理負荷を低減できる。
[故障判定処理]
次に、図1と図10乃至図12を参照して、本実施形態のディファレンシャルGPS装置によるGPS受信機或いはFM多重受信機の故障判定処理について説明する。
【0067】
例えば、GPS受信機或いはFM多重受信機が故障した場合を想定すると、その故障状態をユーザに警告する必要があり、また、GPS受信機のみ故障した場合には誤差補正データを現在位置情報の補正に用いることができなくなってしまう。そこで、この故障判定処理では、GPS受信機或いはFM多重受信機の故障を早期にかつ確実に検出すると共に、補正された現在位置情報を自動ブレーキ制御システム等に適用している。
【0068】
図10乃至図12は、本実施形態のディファレンシャルGPS装置による故障判定処理を示すフローチャートである。
【0069】
図1及び図10に示すように、処理が開始されると、ステップS80では、制御部3は、所定時間に亘ってGPS信号を受信可能か否かを判定する。ステップS80での判定がYESならば、ステップS82に進み、判定がNOならば、後述する図11に示すステップS94に進む。
【0070】
ステップS82では、演算処理部2は、GPS受信機8を介してGPS信号を取り込み、この取り込んだGPS信号をRAM4に記憶する。ステップS84では、演算処理部2はGPS信号から現在位置情報を演算して、RAM4に格納する。ステップS86では、制御部3は、所定時間に亘って誤差補正データを受信可能か否かを判定する。ステップS86での判定がYESならば、ステップS88に進み、判定がNOならば、後述する図12に示すステップS104に進む。
【0071】
ステップS90では、誤差補正データを用いて現在位置情報を補正する。ステップS92では、補正された現在位置情報に基づいて自動ブレーキ制御を実行する。この自動ブレーキ制御については後述する。
【0072】
図11に示すステップS94では、GPS信号が受信できないため、マップマッチング或いは自律航法により現在位置情報を算出して、RAM4に格納する。ステップS96では、ステップS94で算出された現在位置をディスプレイ13に表示すると共に、現在表示中の現在位置は精度が悪いことを示す表示を行う(例えば、図4に示す表示例)。ステップS98では、制御部3は、所定時間に亘って誤差補正データを受信可能か否かを判定する。ステップS98での判定がYESならば、ステップS100に進み、判定がNOならば、図10のステップS80にリターンして再度処理を実行する。
【0073】
ステップS100では、制御部3は、移動体がトンネル内にいるのか否かを判定する。ステップS100での判定がYESならば、一時的に受信ができない状態にあると判定してステップS80にリターンして再度処理を実行し、判定がNOならば、GPS受信機8が故障したと判定して、ステップS102に進んで、ブザー或いはワーニングランプ14でGPS受信機の故障をユーザに報知する。
【0074】
図12に示すステップS104では、制御部3は、現在位置の電界強度が所定時間に亘って所定値以下であるか否かを判定する。ステップS104での判定がYESならば、ステップS112に進み、判定がNOならばステップS106に進む。
【0075】
ステップS106では、演算処理部2は、FM送信局と現在位置との離間距離を演算する。この離間距離の演算は、予めFM送信局の位置情報をROM5に記憶させ、このFM送信局の位置情報と現在位置情報から算出される。ステップS108では、制御部3は、ステップS106で算出された離間距離が所定値以上か否かを判定する。ステップS108での判定がYESならばステップS112に進み、判定がNOならばステップS110に進む。
【0076】
ステップS110では、制御部3は、FM多重受信機9が故障したと判定して、ブザー或いはワーニングランプ14でGPS受信機の故障をユーザに報知して、ステップS112に進む。ステップS112では、制御部3は、移動体が電界強度の低い場所にいるために誤差補正データが受信できず、FM多重受信機9の故障ではないと判定して、GPS信号のみにより現在位置情報を演算する。
<自動ブレーキ制御>
次に、図10のステップS92に示す自動ブレーキ制御について説明する。
【0077】
図13は、自動ブレーキ制御手順を示すフローチャートである。
【0078】
この自動ブレーキ制御は、移動体が車両の場合、車両に搭載されたレーダユニット15aにより自車の前方を走行する車両を検知し、前車と自車との相対速度や車間距離から、前車への接触の可能性を判断して危険回避動作を行うものである。
【0079】
以下に具体的な処理を説明する。
【0080】
図13に示すように、処理が開始されると、ステップS200では、図10のステップS90で補正された現在位置情報P1から自車位置を演算すると共に、自車と前車の車間距離L1、自車の車速V0、自車と前車の相対速度V1を読み込む。ステップS202では、自動制動開始閾値L0、警報発生閾値L2、自動制動解除閾値L3を算出する。ステップS204では、相対速度V0がゼロ以上か否か、即ち自車が前車に近づいているのか遠ざかっているのかを判定する。ステップS204での判定がYESならば、ステップS206に進み、判定がNOならばステップS220に進む。
【0081】
ステップS206では、車間距離L1が警報発生閾値L2より小さいか否かを判定する。ステップS206での判定がYESならば、ステップS208に進み、判定がNOならばステップS200にリターンする。
【0082】
ステップS208では、相対速度V1が所定値より大きいか否か、即ち自車が前車に急激に接近しているか否かを判定する。ステップS208での判定がYESならば、ステップS210に進み、判定がNOならばステップS216に進む。
【0083】
ステップS210では、ステップS206において既に警報発生領域に入っていると判定されているので、ブザーを鳴らすか或いはワーニングランプを点灯させて報知する。ステップS212では、車間距離L1が自動制動開始閾値L0より小さいか否かを判定する。ステップS212での判定がYESならば、ステップS214に進み、判定がNOならばステップS200にリターンする。
【0084】
ステップS214では、自動制動開始領域であるため自動制動を実行する。
【0085】
一方、ステップS216では、自車の加速度Vaが所定値より大きいか否かを判定する。ステップS216での判定がYESならば、ドライバーが追い越しのために意識的に加速して前車に接近していると考えられるため、ステップS218に進んで、ブザー或いはワーニングランプにより警報を発するのみとし、自動制動をかけないようにする。また、ステップS216での判定がNOならば、ステップS210に進む。
【0086】
次に、ステップS204での判定がNOならばステップS220に進んで、車間距離L1が自動制動解除閾値L3より小さいか否かを判定する。ステップS220での判定がNOならばステップS222に進み、制動を解除する。
【0087】
以上の故障判定処理によれば、GPS信号或いは誤差補正データの電界強度やや移動体のいる場所等を考慮した上で、GPS受信機やFM多重受信機の故障を早期にかつ確実に検出することができる。
【0088】
また、GPS受信機やFM多重受信機の故障を早期にかつ確実に検出できるので、現在位置精度を要求される自動ブレーキ制御等にも十分に適用できる。
【0089】
尚、本実施形態により補正或いは演算される現在位置情報は、自動ブレーキ制御以外に車両走行中の危険回避のための自動走行制御や前方障害物が近づいたときに危険報知するための危険報知制御にも用いることができる。
[移動体間の無線通信処理]
次に、図1と図14乃至図20を参照して、本実施形態のディファレンシャルGPS装置を搭載する複数の移動体間での無線通信処理について説明する。
【0090】
この複数の移動体間の無線通信処理は、図9に示すように、移動体33(自移動体と呼ぶ)のGPS受信機やFM多重受信機が故障した場合に、GPS信号や誤差補正データが受信できなくなるため、他の移動体34(他移動体と呼ぶ)からGPS信号や誤差補正データを無線通信により入手するものである。
【0091】
<送信側の処理>
図14乃至図16は、本実施形態のディファレンシャルGPS装置を搭載する移動体の送信側としての無線通信処理を示すフローチャートである。
【0092】
先ず、図14に示すように、処理が開始されると、ステップS120では、制御部3は、所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間は、GPS信号を受信する受信サイクル時間であり、例えば、15〜20秒に設定される。ステップS120での判定がYESならば、ステップS126に進んで、後述する図15及び図16に示す送信処理を実行する。
【0093】
ステップS120での判定がNOならばステップS122に進み、移動体の進行路が交差点やカーブ等で変化する手前であるか否かを判定する。ステップS122での判定がYESならば、ステップS126に進んで、後述する送信処理を実行する。
【0094】
ステップS122での判定がNOならばステップS124に進み、他移動体から送信フレームの送信要求を受信したか否かを判定する。ステップS124での判定がYESならば、ステップS126に進んで送信処理を実行する。
【0095】
ステップS124での判定がNOならばステップS120にリターンして同様の処理を繰り返し実行する。
【0096】
次に、図14のステップS126の送信処理の詳細について説明する。
【0097】
図15に示すように、先ず、ステップS130でGPS衛星からGPS信号を取り込み、この取り込んだGPS信号をRAM4に記憶する。ステップS132ではGPS信号を用いて現在位置情報を演算して、RAM4に記憶する。
【0098】
ステップS134では、制御部3は、現在位置をディスプレイ13に表示する。ステップS136では、図17に示す構成の通信フレームを作成する。ステップS138では、ステップS136で生成された通信フレームを他移動体に送信する。その後は前述の図10に示すステップS80からの処理を実行する。
【0099】
また、前述の図10に示すステップS80で判定がNOならば、図16に示すステップS140に進み、GPS信号が受信できないため、マップマッチング或いは自律航法により現在位置情報を算出する。ステップS142では、制御部3は、所定時間に亘って誤差補正データを受信可能か否かを判定する。ステップS142での判定がYESならば、ステップS144に進み誤差補正データを取り込みRAM4に記憶させ、ステップS146で現在位置情報を誤差補正データを用いて補正した後、前述のステップS130にリターンする。
【0100】
一方、ステップS142での判定がNOならば、ステップS146に進んで、GPS信号のみにより現在位置情報を演算し、その後前述のステップS130にリターンする。
【0101】
<通信フレームの構成>
次に、自移動体と複数の他移動体との移動体間通信に用いられる通信フレームについて説明する。
【0102】
図17は、本実施形態の移動体間通信の通信フレームのデータフォーマットを示す概略図であり、この通信フレームが移動体間で送受信されることにより移動体間通信が実現される。
【0103】
図17に示すように、通信フレームは、以下の各領域により構成される。即ち、
▲1▼開始ビット:通信フレームの開始位置を示すデータが書き込まれる領域である。
【0104】
▲2▼時刻ビット:通信フレームのフレーム送信時刻を示すデータが書き込まれる領域である。
【0105】
▲3▼IDビット:送信元の移動体を示す識別データが書き込まれる領域である。
【0106】
▲4▼位置情報ビット:送信元の移動体の現在位置情報を示すデータが書き込まれる領域である。
【0107】
▲5▼車速ビット:送信元の移動体の車速を示すデータが書き込まれる領域である。
【0108】
▲6▼進行方向ビット:送信元の移動体の進行方向を示すデータが書き込まれる領域である。
【0109】
▲7▼誤差データ有無ビット:位置情報ビットに書き込まれた現在位置情報が誤差補正データを用いて補正されたものか否かを示すデータが書き込まれる領域である。
【0110】
▲8▼誤差データビット:送信元にて誤差補正データが受信可能な場合に、送信元にて受信した誤差補正データが書き込まれる領域である。
【0111】
▲9▼終了ビット:通信フレームの終了位置を示すデータが書き込まれる領域である。
【0112】
前述のステップS136で作成される通信フレームは、ステップS142での判定がYESの場合には、位置情報ビットに誤差補正データにより補正された現在位置情報が書き込まれ、誤差データ有無ビットに誤差補正データ有りのデータが書き込まれ、誤差データビットにその誤差補正データが書き込まれる。
【0113】
また、ステップS142での判定がNOの場合には、位置情報ビットに誤差補正データにより補正されていない現在位置情報が書き込まれ、誤差データ有無ビットに誤差補正データ無しのデータが書き込まれ、過去に受信した誤差補正データがあれば、誤差データビットにその誤差補正データが書き込まれ、無ければ何も書き込まれない。
【0114】
尚、上記送信処理において、ステップS142でNOである場合には、自移動体がGPS信号が受信不可でかつ誤差補正データが受信不可の状態となっている。GPS信号が受信不可の場合とは、少なくとも3つのGPS衛星のうち2つ以下のGPS衛星からしかGPS信号を受信できない場合も含む。従って、誤差データ有無ビットに誤差補正データ無しの情報が書き込まれたならば、それは、GPS信号が受信不可或いは受信可能なGPS衛星が2つ以下の場合、若しくは誤差補正データが受信不可の場合を表すことになる。
【0115】
<受信側の処理>
図18乃至図20は、本実施形態のディファレンシャルGPS装置を搭載する移動体の受信側としての無線通信処理を示すフローチャートである。
【0116】
先ず、図18に示すように、処理が開始されると、ステップS150では、制御部3は、所定時間に亘ってGPS信号が受信可能か否かを判定する。ステップS150での判定がYESならば、ステップS152に進み、判定がNOならば、後述する図19に示すステップS164に進む。
【0117】
ステップS152では、演算処理部2は、GPS受信機8を介してGPS信号を取り込み、この取り込んだGPS信号をRAM4に記憶させる。ステップS154では、演算処理部2はGPS信号から現在位置情報を演算してRAM4に格納する。ステップS156では、制御部3は、所定時間に亘って誤差補正データを受信可能か否かを判定する。ステップS156での判定がYESならば、ステップS158に進み、判定がNOならば、後述する図19に示すステップS166に進む。
【0118】
ステップS158では、FM送信局から誤差補正データを取り込み、RAM4に記憶させる。ステップS160では、ステップS158で受信した誤差補正データを用いて現在位置情報を補正する。ステップS162では、補正された現在位置情報に基づいて自動ブレーキ制御を実行する。この自動ブレーキ制御は前述の図13と同様の処理であるので説明を省略する。
【0119】
次に、図19に示すように、図18のステップS150での判定がNOならば、GPS信号から現在位置情報を演算できないので、ステップS164に進んで、マップマッチング或いは自律航法により現在位置情報を算出する。ステップS166では、他移動体から誤差補正データを得るために他移動体に通信フレームの送信要求を発する。ステップS168では、他移動体から通信フレームを受信したか否かを判定する。ステップS168での判定がYESならばステップS170に進んで図20に示す受信処理を実行する。ステップS168での判定がNOならばステップS150にリターンして再度同じ処理を繰り返し実行する。
【0120】
次に、図20を参照して、ステップS170での受信処理の詳細について説明する。
【0121】
図20に示すように、ステップS180では、他移動体から受信した通信フレームに誤差補正データが書き込まれているか否かを判定する。ステップS180での判定がYESならばステップS182に進み、判定がNOならばステップS184に進む。
【0122】
ステップS182では、少なくとも他移動体から得た誤差補正データを用いて現在位置情報を補正できるので、現在位置情報の測位誤差が小さいことをディスプレイに表示する。また、ステップS184では、誤差補正データを用いて現在位置情報を補正できないので、現在位置情報の測位誤差が大きいことをディスプレイに表示する。
【0123】
ステップS186では、通信フレームに書き込まれた誤差補正データを用いて現在位置情報を補正する。その後に、図18のステップS162に進んでステップS186で補正された現在位置情報に基づいて自動ブレーキ制御を実行し、この自動ブレーキ制御では、現在位置情報の精度が低いため通常より早めにワーニングを実行し、かつ通常より早くブレーキをかける。
【0124】
以上の移動体間の無線通信処理によれば、ディファレンシャルGPSにおいて、複数の移動体間で互いの現在位置情報等を無線で通信できるシステムを構築でき、GPS受信機やFM受信機が故障した場合に、他移動体から無線通信を介して誤差補正データ等を得ることができ、大幅なコストアップを招くことなくディファレンシャルGPSのフェイルセーフ機能を向上でき、現在位置精度を要求される自動ブレーキ制御等にも十分に適用できる。
【0125】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0126】
例えば、本実施形態で説明した各処理では、ステップS2で取り込んだGPS信号により現在位置情報を演算し、この現在位置情報を誤差補正データを用いて補正するようにしたが、例えば、GPS信号を取り込んで記憶しておき、図7BのステップS45のように、誤差補正データを受信した時点で現在又は過去のGPS信号を読出して、この誤差補正データとGPS信号とを用いて現在位置の演算と補正とを同時に演算することもできる。
【0127】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、GPS衛星からGPS信号を受信不能な状態であるにもかかわらず、送信局から誤差補正データを受信可能な場合、GPS受信手段が故障していると判定することにより、GPSセンサの故障を確実かつ早期に検出することができる。
【0128】
また、好ましくは、移動体がトンネル内にいることを検出し、移動体がトンネル内にいる場合には故障判定を禁止することにより、トンネル内で誤差補正データを受信できる状態で、GPSセンサが故障していると誤判定するのを防止できる。
【0129】
また、本発明によれば、GPS衛星からGPS信号を受信可能な状態であるにもかかわらず、送信局から誤差補正データを受信不能な場合、誤差補正データ受信手段が故障していると判定することにより、ディファレンシャルGPS受信機の故障を確実かつ早期に検出することができる。
【0130】
また、好ましくは、誤差補正データの電界強度を検出し、電界強度が所定値以下の状態が所定時間以上続いた場合には故障判定を禁止することにより、誤差補正データの受信状態が悪い状態での誤判定を防止できる。
【0131】
また、好ましくは、移動体の現在位置と送信局との間の離間距離を検出し、離間距離が所定値以上の場合には故障判定を禁止することにより、単に送信局から離れた位置いてノイズ等の影響で誤差補正データが受信できない状態における誤判定を防止できる。
【0132】
また、好ましくは、送信局の位置を記憶する記憶手段を更に備えることにより、通信データの増加を防止できる。
【0133】
また、好ましくは、現在位置は自動ブレーキ制御、自動走行制御或いは危険報知制御に用いられることにより、位置精度を要求される制御にも十分に用いることができる。
【0134】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる実施形態としてのディファレンシャルGPS装置の回路ブロック図である。
【図2】本実施形態のディファレンシャルGPS装置のシステム全体を説明する図である。
【図3】本実施形態のディファレンシャルGPS装置による現在位置情報の演算処理と誤差領域の表示処理を示すフローチャートである。
【図4】誤差領域の表示例を示す図である。
【図5】誤差領域の表示範囲を変化させる際に用いる関数を示す図である。
【図6】本実施形態のディファレンシャルGPS装置によるFM送信局の選択処理を示すフローチャートである。
【図7A】本実施形態のディファレンシャルGPS装置による位置情報の修正処理を示すフローチャートである。
【図7B】本実施形態の変形例のディファレンシャルGPS装置による位置情報の修正処理を示すフローチャートである。
【図8A】本実施形態のディファレンシャルGPS装置によるGPS衛星の選択処理を示すフローチャートである。
【図8B】本実施形態の変形例のディファレンシャルGPS装置によるGPS衛星の選択処理を示すフローチャートである。
【図9】図8A、8Bに示すGPS衛星の選択処理を説明する図である。
【図10】本実施形態のディファレンシャルGPS装置による故障判定処理を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態のディファレンシャルGPS装置による故障判定処理を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態のディファレンシャルGPS装置による故障判定処理を示すフローチャートである。
【図13】本実施形態の自動ブレーキ制御手順を示すフローチャートである。
【図14】本実施形態のディファレンシャルGPS装置を搭載する移動体の送信側としての無線通信処理を示すフローチャートである。
【図15】本実施形態のディファレンシャルGPS装置を搭載する移動体の送信側としての無線通信処理を示すフローチャートである。
【図16】本実施形態のディファレンシャルGPS装置を搭載する移動体の送信側としての無線通信処理を示すフローチャートである。
【図17】本実施形態の移動体間通信の通信フレームのデータフォーマットを示す概略図である。
【図18】本実施形態のディファレンシャルGPS装置を搭載する移動体の受信側としての無線通信処理を示すフローチャートである。
【図19】本実施形態のディファレンシャルGPS装置を搭載する移動体の受信側としての無線通信処理を示すフローチャートである。
【図20】本実施形態のディファレンシャルGPS装置を搭載する移動体の受信側としての無線通信処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…集中制御ユニット
2…演算処理部
3…制御部
4…RAM
5…ROM
6…タイマ
7…外部記憶装置
8…GPS受信機
9…FM多重受信機
10…FM選局部
11…無線通信機
12…ジャイロ、車速センサ
13…ディスプレイ
14…ブザー、ワーニングランプ
15…自動ブレーキ装置
15a…レーダユニット
30a〜30d…GPS衛星
31…基準局
32…FM送信局
33、34…移動体
Claims (9)
- GPS衛星から送信されるGPS信号を受信するGPS受信手段と、基準局において作成されたGPS信号の誤差補正データを送信局を介して受信する誤差補正データ受信手段とを有し、該GPS信号及び誤差補正データを用いて現在位置を演算する移動体用ディファレンシャルGPS装置において、
前記GPS受信手段が前記GPS衛星からGPS信号を受信不能な状態であるにもかかわらず、前記誤差補正データ受信手段が前記送信局から誤差補正データを受信可能な場合、前記GPS受信手段が故障していると判定する判定手段を備え、
前記判定手段により前記GPS受信手段が故障していると判定された場合、センサにより検出した移動体の方位及び地図情報を用いて現在位置情報を算出することを特徴とする移動体用ディファレンシャルGPS装置。 - 前記移動体がトンネル内にいることを検出するトンネル検出手段と、該トンネル検出手段により前記移動体がトンネル内にいる場合には前記判定手段による判定を禁止することを特徴とする請求項1に記載の移動体用ディファレンシャルGPS装置。
- GPS衛星から送信されるGPS信号を受信するGPS受信手段と、基準局において作成されたGPS信号の誤差補正データを送信局を介して受信する誤差補正データ受信手段とを有し、該GPS信号及び誤差補正データを用いて現在位置を演算する移動体用ディファレンシャルGPS装置において、
前記GPS受信手段が前記GPS衛星からGPS信号を受信可能な状態であるにもかかわらず、前記誤差補正データ受信手段が前記送信局から誤差補正データを受信不能な場合、前記誤差補正データ受信手段が故障していると判定する判定手段を備え、
前記判定手段により前記誤差補正データ受信手段が故障していると判定された場合、他の移動体から誤差補正データを入手することを特徴とする移動体用ディファレンシャルGPS装置。 - 前記誤差補正データの電界強度を検出する強度検出手段と、該強度検出手段により前記電界強度が所定値以下の状態が所定時間以上続いた場合には前記判定手段による判定を禁止する第1の禁止手段を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の移動体用ディファレンシャルGPS装置。
- 前記移動体の現在位置と送信局との間の離間距離を検出する距離検出手段と、該距離検出手段により前記離間距離が所定値以上の場合には前記判定手段による判定を禁止する第2の禁止手段を更に備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の移動体用ディファレンシャルGPS装置。
- 前記送信局の位置を記憶する記憶手段を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の移動体用ディファレンシャルGPS装置。
- 前記現在位置は自動ブレーキ制御に用いられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の移動体用ディファレンシャルGPS装置。
- 前記現在位置は自動走行制御に用いられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の移動体用ディファレンシャルGPS装置。
- 前記現在位置は危険報知制御に用いられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の移動体用ディファレンシャルGPS装置。
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JP6881001B2 (ja) | 自動走行制御装置 |
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