JP3774628B2 - 第一胃迂回使用補助物の製造方法 - Google Patents

第一胃迂回使用補助物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、1999年5月5日に出願された米国仮特許出願出願番号第60/132,656号の優先権の利益を主張する。本願の開示は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の背景
本発明は、反芻動物のエネルギー源として有用な第一胃迂回飼料補助物の製造プロセスに関する。そのプロセスでは、脂肪酸グリセリド又は脂肪酸グリセリドと有利脂肪酸の混合物が、その各々のカルシウム塩に変換される。本発明は精肉業や飲食店等の食品産業から出た大量のグリセリド又は遊離脂肪酸を含む動植物の油脂やその副産物を、脂肪酸カルシウム塩の生成に使用する方法にも関する。
【0003】
トウモロコシやアルファルファのような従来の畜牛用飼料は、畜牛、特に栄養所要量が増える時である大量の乳の生産期間中の泌乳期の乳牛や分娩前最後の3ヶ月にある牛にとって十分なエネルギーを供給できていないことがしばしばある。また、トウモロコシを高い比率で含有する飼料は、そのような畜牛によって生産される牛乳の乳脂肪含量を低下させる傾向もある。脂肪は優れたエネルギー源であり、畜牛飼料中の脂肪の割合が増加すると、泌乳期の乳牛は、自身の体脂肪の貯蔵分を消耗したり、生産される牛乳中の乳脂肪の割合を下げたりすることなく、牛乳を大量に生産することが知られている。
【0004】
しかし、畜牛の飼料中の脂肪の割合が総固形飼料の約2%を超えると、飼料が畜牛の第一胃の中の微生物に有害な影響を与えることが知られている。第一胃又は瘤胃(りゅうい)は、反芻動物の4つの胃の部屋のうちの最大のものであり、摂取した食物を消化により分解する部位である。しかしながら動物による吸収は、消化管、主に第四胃(皺胃(しゅうい))及び腸、に沿ってさらに起こる。第一胃は反芻動物にセルロースを有効に消化かつ利用する能力を与えるが、その能力は食物脂肪の消化及び利用には相対的に役立たない。
【0005】
その上、脂肪は第一胃内で繊維を消化する微生物の成長速度を明らかに遅らせ、又は殺すことさえあるため、セルロースの消化能力を低下させる。この第一胃への有害な影響は、特に不飽和脂肪の場合に当てはまる。セルロースを消化する微生物の成長速度を遅らせたり該微生物を殺したりすることに加えて、トリグリセリド及び脂肪酸は、第一胃内の繊維物質又はセルロース物質を物理的に被覆し、細菌による該物質の発酵を阻害する。これは食物の全体的な消化能力に不都合な影響を及ぼすため、牛乳や牛乳中の脂肪の生産量を減小させることもある。
【0006】
米国特許第4,642,317号は、反芻動物の消化サイクルに有害な影響を及ぼさずに脂肪酸含量を増大させる手段として、不溶性脂肪酸の塩を反芻動物用の飼料に入れることについて説明している。脂肪酸カルシウム塩等の飼料添加物は、第一胃の迂回生成物として機能し、続いて反芻動物の第四胃と小腸で代謝される。
【0007】
生成物が容易に輸送され、飼料食物中に使用できるよう、自由に流動する顆粒粉末である脂肪酸カルシウム塩生成物を生産することが望ましい。脂肪酸カルシウム塩のこのような物理的形状は、残りの成分と単に混ぜるだけで飼料食物に添加することを可能にする。
【0008】
顆粒物質が自由に流動するために必要とされる重要な性質は、不粘着性かつ非凝集性であると共に、塵や埃の含有量が低いことである。そうでない場合、生成物は塊りを作って凝集し周囲の環境に塵や埃を生じさせることとなる。生成物が受ける、不均質な飼料食物を生じさせることとなる粒子の分離は、最小限にするべきである。また、生成物は、酸化による悪臭から安定であるべきである。
【0009】
自由に流動する生成物を得るための方法の1つに、低グリセリド含量の脂肪酸供給原料の使用がある。これは米国特許第5,382,678号に開示されており、これは、グリセリド含量を減らすための脂肪及びグリースの中間的な費用のかかる処理を必要とする。
【0010】
黄色脂肪、白色脂肪、ラード、及びタロー、若しくは他の動植物油脂などの高グリセリド含量の物質から、自由に流動する顆粒状の脂肪酸カルシウム塩を直接生産できれば、好ましいであろう。そのような物質は食品産業や飲食業の比較的安価な副産物である。上述の米国特許第5,382,678号は、脂肪酸混合物を塩基性カルシウム化合物と水溶性懸濁液中で反応させることによる、不粘着性の自由に流動する顆粒の形をした低グリセリド含量脂肪酸カルシウム塩の生産方法を開示している。ところが、グリセリド含量を減らした脂肪酸蒸留物を開始物質として使用しなければならない。
脂肪酸カルシウム塩第一胃迂回飼料補助物を、比較的安価な脂肪及び脂肪副産物から、自由に流動する顆粒の形で生産するプロセスに対する要求が、依然として存在する。
【0011】
発明の概要
上記要求は本発明によって満たされる。第一胃迂回飼料補助物として使用される自由に流動する顆粒状脂肪酸カルシウム塩が、高グリセリド含量の脂肪及びグリースを酸化カルシウム及び最小量の水と反応させることにより得られる。従って、本発明の1態様によれば、(a)約45重量%よりも大きいC10〜C22脂肪酸含量を脂肪酸グリセリドの形で有するC10〜C22脂肪酸混合物と、(b)混合材料の総重量の約10〜30%の酸化カルシウムとから成る反応成分の混合材料を形成する工程と、酸化カルシウムの量に対する相対重量で約10%〜約100%の量の水を混合材料に添加する工程と、該混合材料を、前記脂肪酸グリセリドがケン化して脂肪酸カルシウム塩が生成する温度まで加熱する工程から成る、脂肪酸カルシウム塩生成物の生産方法が提供される。
【0012】
本発明のプロセスにより、100%までのグリセリド含量を有する脂肪及びグリース副産物から、自由に流動する脂肪酸カルシウム塩顆粒が得られる。脂肪及びグリースは脂肪酸単離の中間加工処理工程を行わずにカルシウム塩に直接変換される。そこから生じたグリセロールを分離する必要もない。脂肪酸カルシウム塩の第一胃迂回飼料補助物の経済上の存在可能性を低めるエネルギー集約的なプロセスを使用する必要はなくなる。このプロセスはまた、脂肪酸供給原料の選択に大きな融通性を提供するが、これはさらなる経済上の利点を示す。
【0013】
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、生じたグリセロールは酸化カルシウムと水の反応により生じた水酸化カルシウムと結合し、カルシウムモノグリセロールエステル、カルシウムジグリセロールエステル、トリカルシウムオクタグリセロールエステル、カルシウムヘキサグリセロールエステル、並びにCa(OH)2・2C383・H2Oを始めとする水和ジグリセロール塩又は[Ca(C3833](OH)2を始めとする他の水酸化物複合体を形成する。生じたグリセロールは、混合材料を脱水した時に存在する水酸化カルシウムと結合し、脂肪酸カルシウム塩生成物を自由に流動する顆粒へ固化・粉砕するのに干渉しないグリセロールの形となる。従って、本発明の別の態様によれば、本発明の方法により製造された脂肪酸カルシウム塩が提供される。
【0014】
本発明のカルシウム塩の脂肪酸分布は、グリセリド供給原料の脂肪酸分布に相当する。これは有利には栄養的に有用な脂肪酸分布を得るために利用される。本発明の脂肪酸カルシウム塩生成物を与えた反芻動物では、体の健康状態、乳の生産、及び生殖機能が改善する。ゆえに本発明は、反芻動物に本発明の脂肪酸カルシウム塩生成物を動物飼料の乾燥物質体積の少なくとも1%に等しい量で与えることにより、脂肪酸を該反芻動物に供給するプロセスも提供する。また、本発明は、少なくとも1つの植物性材料と乾燥固形分に基づいて少なくとも1重量%の本発明の脂肪酸カルシウム塩生成物とを含む反芻動物飼料も包含する。
【0015】
本発明の上述及び他の目的、特徴、及び利点は、好ましい実施形態に関する以下の説明より明らかとなるだろう。
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、動物及び植物性の脂肪、油、グリース、グリースの副産物、及び他のグリセリド物質を、自由に流動する粉末状又は顆粒状の脂肪酸カルシウム塩第一胃迂回飼料補助物に変換するプロセスを提供する。本明細書で使用する場合、「グリセリド」という用語は、C10〜C22脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、並びにそれらの任意の混合物を包含する。それらのグリセリド形式は、脂肪酸カルシウム塩飼料補助物の従来の製造プロセスからの大きな離脱を表す。
【0016】
本発明のプロセスは、バッチ又は連続プロセスのいずれとして使用してもよい。本発明の一般的な方法では、脂肪酸グリセリド又は脂肪酸グリセリドと遊離脂肪酸の混合物が、生産容器に加えられる。生産容器は、容器の中身に熱を与えると共に、容器の中身から熱を取り出すように適合されていなければならない。生産容器は容器の中身の均質な混合材料を形成するのに十分な剪断力で容器の中身を混ぜるようにも適合されてなければならない。本発明に関する使用に適した反応容器の例は、非常に高粘度の物質用に適した、間接加熱式又は直接加熱式の、複数の振動及び剪断要素を備えた、連続又はバッチ反応器である。典型的な例はケン化がまである。
【0017】
本発明のプロセスにより提供される経済的利点は、脂肪酸(脂肪酸グリセリドの形)含量のうちの約45重量%よりも多い脂肪酸供給原料が使用された時に得られる。通常の脂肪酸供給原料の脂肪酸含量中の範囲は、C10からC22までの間の脂肪酸及び脂肪酸グリセリドである。本発明は低グリセリド含量の脂肪酸供給原料及びグリセリド遊離脂肪酸供給原料についても機能する。しかしながら、本発明の方法は、脂肪酸の約15重量%から約100重量%がグリセリドの形である脂肪酸供給原料について使用される。
【0018】
好ましい供給原料としては、黄色脂肪、白色脂肪、ラード、タロー、並びに反芻動物にとって栄養的に有用であることが分かっている脂肪酸分布を有する任意の他のグリセリドを含めた、動植物由来の任意の副産物油が含まれる。栄養的に有用な脂肪酸分布を有するグリセリドは、当業者に容易に認識される。ダイズ油、キャノーラ油、ヒマワリ油、オリーブ油、コーン油、及びその等価な油、並びにそれらの副産物等の植物油や魚油等の油及びその副産物等の油が使用される。
【0019】
そのような脂肪酸供給原料は通常、約10重量%から100重量%の脂肪酸含量を脂肪酸グリセリドの形で、約0重量%〜約90重量%を遊離脂肪酸として、5%未満を水分、不溶性成分、及び不ケン化成分として含む。遊離脂肪酸含量は、脂肪酸蒸留物を、供給原料に添加することにより増大する。
【0020】
酸化カルシウムは組成物全体の約10重量%〜約30重量%の範囲で脂肪酸供給原料に添加される。組成物全体の約12重量%から約18重量%の酸化カルシウム濃度が好ましい。
【0021】
次に水を加えて酸化カルシウムをその水酸化物の形に水和し、大量の発熱を生じさせる。混合材料にさらなる熱を加え、温度を約90℃から約250℃まで上昇させる。酸化カルシウムの濃度が低く、遊離脂肪酸の濃度が低いほど、高い温度が使用される。本発明によれば、水酸化カルシウムを酸化カルシウム及び化学量論的に等しい当量の水の代わりに使用してもよい。
【0022】
酸化カルシウムの濃度が高い場合には低い反応温度を使用し、酸化カルシウムの温度が低い場合には高い温度を使用し得る。従って、15〜20重量%の酸化カルシウム濃度を約45〜約75重量%のグリセリド含量を有する脂肪酸供給原料に関して使用するが、15〜30重量%の酸化カルシウムを含む混合材料は、約90〜120℃の間の温度で反応させる。
【0023】
約120〜250℃の間の反応温度の場合、約10重量%〜約15重量%の間の酸化カルシウム濃度が使用される。約180〜220℃の間の反応温度が好ましい。酸化カルシウム濃度が10%では、220〜250℃に近い温度を使用するか、グリセリド含量が約45〜約75重量%の脂肪酸供給原料を使用すべきである。酸化カルシウムと水の適切な量並びに使用する最適温度は、過度の実験を行わなくとも当業者は容易に決定することが可能である。
【0024】
反応は、大気圧か、所望温度を維持するため高圧にて行われ得る。酸化カルシウムに対して約10重量%から約100重量%の水を混合材料に添加する。約15〜約40重量%の量が好ましい。
反応に必要な時間の量は、一般的に約10〜60分間の間であり、より一般的には約15〜約45分間の間である。反応は混合材料のキャラメル様の塊への変形により、容易に同定される。さらに加熱・振動させた後、塊がタフィー様の物質に変形される。この物質は、反応容器から移され、自由に流動する粒子へと加工処理することが可能である。
【0025】
本発明のプロセスには、選択的成分として生物活性物質を含有し得る。「生物活性物質」という用語は、飼料組成物中の、経口投与可能な、微生物及び消化液により第一胃内で不活性化を受けやすい任意の物質を意味する。生物活性物質は1つの成分又は複数の成分の混合物として広範な栄養物質及び医薬から選択可能であり、そのような栄養物質及び医薬を、活性分子種についての以下のリストに例示する。
【0026】
1.水に可溶性及び不溶性の単糖類、二糖類、及び多糖類を含む糖類及び複合炭化水素。特に好ましい炭化水素としては、サトウキビの糖蜜及びテンサイの副産物が挙げられる。
【0027】
2.アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、チロシンエチルHCl、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グリシン、プロリン、セリン、シスチンエチルHCl及びその等価物を始めとする、単独でも組み合わせてもよいアミノ酸成分;並びにそれらの類似体及び塩。
【0028】
3.チアミンHCl、リボフラビン、ピリドキシンHCl、ナイアシン、イオンシトール、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、ビオチン、葉酸、アスコルビン酸、ビタミンB12、p−アミノ安息香酸、酢酸ビタミンA、ビタミンK、ビタミンD、ビタミンE、及びその等価物を始めとする、単独でも組み合わせてもよいビタミン成分。
【0029】
4.コバルト、銅、マンガン、鉄、亜鉛、スズ、ニッケル、クロム、モリブデン、ヨウ素、塩素、ケイ素、バナジウム、セレン、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びカリウムの化合物を始めとする、単独でも組み合わせてもよい微量元素成分。
【0030】
5.乾燥血液・乾燥肉粉、肉・骨粉、綿実粉、大豆粉、ナタネ粉、ヒマワリ種子粉、キャノーラ粉、ベニバナ粉、脱水アルファルファ、トウモロコシグルテン粉、大豆タンパク質濃縮物、ジャガイモタンパク質、乾燥滅菌哺乳類・鳥類肥料、魚粉、魚・鳥類タンパク質単離物、カニタンパク質濃縮物、加水分解タンパク質羽毛(feather)粉、鳥類副産物粉、液状又は粉末卵、乳清、卵アルブミン、カゼイン、魚可溶化物、細胞クリーム、醸造所の残留物、及びその等価物等の供給源から得られるタンパク質成分。
【0031】
6.塩酸プロマジン、酢酸クロロメドニエート、クロロテトラサイクリン、スルファメタジン、モネンシン、モネンシンナトリウム、ポロキサリン、オキシテトラサイクリン、BOVATEC、及びその等価物を始めとする、単独でも組み合わせてもよい薬物成分。
【0032】
7.ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、第三ブチルヒドロキノン、トコフェロール、没食子プロピル、及びエトキシクインを始めとする抗酸化剤;及び、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸、ヒドロキシブテン酸、及びその等価物を始めとする保存剤。
【0033】
生物活性物質は、C10〜C22脂肪酸成分の重量に基づいて約20重量%までの濃度で存在する。
本発明の脂肪酸カルシウム塩第一胃迂回飼料補助物は、従来の反芻動物用飼料に混合して反芻動物に都合良く与えることができる。飼料は通常、反芻動物が食べられる植物性材料であり、例えばマメ科植物の干し草、牧草、トウモロコシサイレージ、牧草サイレージ、マメ科植物サイレージ、トウモロコシ穀粒、オート麦、大麦、蒸留所の穀粒、醸造所の穀粒、大豆粉、及び綿実粉が挙げられる。好ましくは、そのような混合材料中のカルシウム塩補助物の量は、飼料の乾燥固形体積の約10%は超えず、好ましくは飼料の乾燥固形体積の約3〜5%である。
【0034】
反芻動物用の飼料に添加されるカルシウム塩の量に特に下限はないが、実際には飼料の乾燥固形体積の約1%を下回るカルシウム量は少なすぎて反芻動物への有意なエネルギー量を提供できない。米国特許第3,959,493号に開示されているように、メチオニン等の特定の飼料補助物に対する不活性な保護材としてのみ畜牛に少量の脂肪酸混合物を与えることが知られている。しかし、このような様式で畜牛に与える脂肪酸の量は、本発明の飼料補助物について想定されているよりもずっと少ない。
【0035】
本発明のカルシウム塩は、畜牛、特にストレス期間中又は大量の乳の生産期間中、トウモロコシやアルファルファのような従来の畜牛用飼料では十分なエネルギーが提供できない特に泌乳期の乳牛にとっての理想的な栄養補助物である。本発明の飼料補助物は、畜牛におけるエネルギー利用を改善する、高濃度の長鎖脂肪酸のカルシウム塩及び不飽和脂肪酸のカルシウム塩を含む。従って、本発明の第一胃迂回飼料補助物は、畜牛資料用の栄養添加物として使用するのに非常に適している。
【0036】
以下に述べる以下の非限定的実施例は、本発明の特定の態様を示す。部及びパーセントはすべて、特に注記しない限り重量であり、温度はすべて、摂氏(℃)である。
【0037】
実施例
実施例1
Figure 0003774628
黄色脂肪を70℃まで加熱し、CaOを加えて念入りに混合した。黄色脂肪は約5〜約15%の遊離脂肪酸濃度を有していた。水を混合物に加え、密封した圧力容器中でCaOを水和した。水和が完了すると、混合しつつ温度を150℃まで上昇させた。10分後、混合物を100℃を下回るまで冷却し、圧力容器を開き、混合物から放出された水を乾燥させた。混合物の水分が約5〜8%を下回ったら、混合物を容器から取り出し、カルシウム塩の軟化点を下回るまで冷却させた。次に混合物を薄層状に広げ、細かく粒状化した。得られた粉末は約70〜72%の総脂肪含量、6〜8%のグリセロール、及び20〜24%のカルシウムを有していた。生成物は、長鎖脂肪酸のカルシウム塩である市販の第一胃保護脂肪と類似している。
【0038】
実施例2
Figure 0003774628
約5〜15%の遊離脂肪酸含量を有する白色脂肪とCaOを実施例1と同様に混合した。次に水を加え、反応を触媒した。CaOを加水分解し、遊離脂肪酸の全量をカルシウム塩の形に変換した。最終生成物の物理的性質は、実施例1の生成物と同様であった。
【0039】
実施例3
Figure 0003774628
黄色脂肪を65℃まで加熱し、90℃まで上昇させながらCaOを加えて念入りに混合した。次に水を少量加え、温度を120〜150℃に上昇させながら物質を撹拌した。約20分後、生成したタフィー様の塊を容器から取り出して、延ばし、冷却し、82.3%の粗脂肪と0.6%の水分を含む自由に流動する乾燥粒子に粉砕した。
【0040】
実施例4
Figure 0003774628
各成分を実施例3と同様に反応させた。30分後、小さな顆粒に粉砕された自由に流動する乾燥物質を得た。
【0041】
実施例5
Figure 0003774628
油を65℃まで加熱した。温度を90℃まで上昇させながら、CaOを加え、油と念入りに混合した。水を加え、その後温度を120℃まで上昇させた。混合物をケン化反応が起こる点である200℃に温度が上昇するまでゆっくりと撹拌してから、温度を180℃まで下降させた。物質を反応容器から取り出し、小さな顆粒に粉砕された自由に流動する乾燥したカルシウム石鹸へと加工処理した。
【0042】
実施例6
Figure 0003774628
水CaOと油の混合物の温度が110℃を超えた後で水を加えた以外は、実施例3に従う手順を繰り返した。物質を230℃でケン化し、そこで温度を約185℃まで下降させ、それと同時に生成したタフィー様の物質を取り出し、自由に流動するカルシウム石鹸顆粒へと加工処理した。
【0043】
実施例7
Figure 0003774628
油を65℃まで加熱し、その後CaOを加え、油と念入りに混合した。水を約80℃にて加えた。物質を沸騰させながら混合物を撹拌した。その時、温度は110℃から150℃まで上昇させた。次に、混合物がゆっくり沸騰し始め温度が約220℃に上昇するまで、撹拌を間欠的に行った。物質は薄い煙を発したが、約1分間のうちに黄色いタフィー様の物質を生成した。この物質を容器から取り出し、小さな顆粒に粉砕された自由に流動する乾燥カルシウム石鹸へと加工処理した。プロセス全体で約20分間かかった。
【0044】
実施例8
Figure 0003774628
成分を実施例5と同様に反応させた。以下の6つの実施例についても成分を同様に反応させた。
実施例9
Figure 0003774628
実施例10
Figure 0003774628
実施例11
Figure 0003774628
実施例12
Figure 0003774628
実施例13
Figure 0003774628
【0045】
このように、本発明は、自由に流動する顆粒状物質の形をした脂肪酸カルシウム塩第一胃迂回飼料補助物が、市販されている動物及び植物性油脂や食品産業及び飲食業の脂肪副産物から1つの分解反応で製造できるプロセスを提供している。上述の実施例及び好ましい実施形態の説明は、本発明を限定するのではなく例証的なものと捉えるべきであり、本発明は特許請求の範囲により定義される。容易に理解されることであるが、上述した多くの特徴の変更及び組み合わせが、特許請求の範囲により定義された本発明の精神及び範囲から逸脱せずに使用することができる。そのような変更は本発明の精神及び範囲を逸脱しているものとみなすべきではなく、そのような改変はすべて特許請求の範囲の範囲内に包含されるものとする。

Claims (14)

  1. 脂肪酸カルシウム塩生成物を製造する方法であって、
    (a)45重量%よりも大きいC10〜C22脂肪酸含量を脂肪酸グリセリドの形で有するC10〜C22脂肪酸混合物と、(b)混合材料の総重量の1〜30%の酸化カルシウムとから成る反応成分の混合材料を形成する工程と、
    前記酸化カルシウムの重量に対して10重量%〜100重量%の水を、混合材料に添加する工程と、
    前記脂肪酸グリセリドがケン化して脂肪酸カルシウム塩を生成するように前記混合材料を150〜250℃の間の温度にて加熱する工程と、から成る方法。
  2. 前記混合材料を冷却して、固体の自由に流動する顆粒状の脂肪酸カルシウム塩生成物を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記C10〜C22脂肪酸混合物が、8〜100重量%のグリセリド含量を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記C10〜C22脂肪酸混合物が、黄色脂肪、白色脂肪、ラード、及びタロー、植物油及び魚油から成る群より選択された脂肪酸供給原料である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記混合材料は1〜30重量%の酸化カルシウムを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記混合材料は1〜15重量%の前記酸化カルシウムを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記温度は180〜220℃の間である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記混合材料は、生物活性物質をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記生物活性物質はアミノ酸である、請求項8に記載の方法。
  10. 反芻動物に脂肪酸飼料補助物を供給するプロセスであって、前記動物の飼料の乾燥物質体積の少なくとも1%に等しい量で請求項1に記載の方法により製造された脂肪酸カルシウム塩生成物を含む第一胃迂回飼料補助物を前記動物に与える工程から成るプロセス。
  11. 前記動物が畜牛である、請求項10に記載のプロセス。
  12. 前記動物が授乳中の乳牛である、請求項11に記載のプロセス。
  13. 前記第一胃迂回飼料補助物が前記飼料の乾燥物質体積の10%を超えない量で前記飼料に添加される、請求項10に記載のプロセス。
  14. 前記第一胃迂回飼料補助物が、前記飼料の乾燥固形体積の3〜5%の量で前記飼料に添加される、請求項13に記載のプロセス。
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