JP3774373B2 - 分子線源セル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は分子線結晶成長装置などに用いられる分子線源セルに関する。より詳しくは、本発明はメンテナンスが簡便であり、信頼性の高い分子線源セルに関する。
【0002】
【従来の技術】
分子線結晶成長装置はHEMTや半導体レーザなどの化合物半導体デバイスを作製するためには欠かせない装置であり、超高真空にしたチャンバー中で分子線源材料を蒸発または昇華させて生じた分子線を加熱した基板上に照射することによって基板上に薄膜結晶を形成する。この装置には、分子線源材料を加熱して分子線を発生させるための分子線源セルが複数個取り付けられている。
近年、分子線成長装置の能力の向上、機能の拡充など精力的に研究、開発が進められており、特に、分子線源セルの改良に重点が置かれている。
【0003】
従来の分子線源セルの構成を図3および図4に示す。従来の分子線源セル100は、分子線源材料を収納するためのルツボ101と、ルツボを加熱するための1または複数のヒーター102と、ヒーター102の外周に設置され、ヒーター102からの熱を反射させるためのリフレクター103と、リフレクター103の外側に設置された水冷ジャケット104と、ルツボ101の温度を測定するための熱電対105とを含む。
水冷ジャケット104は、リフレクター103から外部への熱拡散を防止し、セル100からの脱ガスを抑制する。さらに、この水冷ジャケット104はセルの外枠として機能する。従来の分子線源セルにおいて、水冷ジャケットの筐体は、一般に、直径の異なる2つの円筒からなる2重構造となっており、その中空部に、例えば、円筒になるようにらせん状に曲げた細長いパイプを挿入し、そのパイプに冷却水を流してセルを冷却する。ここでは、水冷ジャケットの筐体のみ図示している。
ルツボ101はその開口部外周にフランジ101aを有し、水冷ジャケット104の筐体の上部内壁に棚状に突設された凸部104aに上記フランジ101aを接触させて、ルツボ101をセルに保持できるようになっている。ルツボは放出ガスの少ないTaやPBN(Pyrolytic Boron Nitride)などの材料からなる。
ルツボを加熱するためのヒーター102は、コイル状でもリボン状でもよいが、ここではリボン状のヒーターを図示している。また、ヒーターはTaやMoなどの材料からなる。
熱電対105は、ルツボをセル本体に装着したときにルツボ底部の温度を測定できるように配置されている。
【0004】
ルツボ101のセル本体への装着について説明する。図4に示すように、セル本体中央部にルツボ101を挿入し、セル本体外枠となる水冷ジャケット104の上部内壁に突設された凸部104aにルツボ101のフランジ101aを接触させる。次に、該水冷ジャケットの凸部104aの上方に開けられた複数の貫通孔104bにピン106を通し、複数のピン106によってルツボのフランジ101aを凸部104aに押さえ付けることによってルツボ101を固定する。
【0005】
最後に、ルツボ101の中に分子線源材料108を充填し、図示しないチャンバー中、超高真空下でヒーター102に電力を加えて加熱してルツボ101内の材料を蒸発または昇華させて分子線を発生させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のセルのルツボの固定方法は簡便でスペースを取らず、また、チャンバー上方からの落下物があってもルツボのフランジで蓋をしているのでセル内部には落ちないという利点がある。
しかし、材料充填時に、ルツボからの材料や装置内で浮遊している材料が水冷ジャケットの筐体とルツボのフランジが接触する部分に付着してルツボが外れないことや、外すために水冷ジャケットの筐体についた材料をこすらなければならないため、メンテナンスに時間がかかるのみならず筐体にダメージを与えたり、材料の入れすぎやセルの過熱により材料がルツボから溢れた時にセル内部に材料が流れ込み、ヒーターと反応してヒーターを断線させたり熱電対を短絡させたりしてセルの信頼性を低下させる問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の目的は信頼性およびメンテナンス性の高い分子線源セルを提供することにある。
すなわち、本発明は、上部内壁に棚状の凸部が設けられた外枠と、開口部外周にフランジを有するルツボとを含み、該ルツボのフランジを該外枠の凸部に密接させるようにして該ルツボを保持したとき該ルツボのフランジ面よりも該外枠の上端が突出している分子線源セルにおいて、さらに該ルツボのフランジ周辺部および該外枠の開口部を覆う保護手段を有することを特徴とする分子線源セルを提供する。
より詳しくは、本発明の分子線源セルによれば、ルツボのフランジ周辺部およびセル外枠の開口部の内壁が保護手段により覆われているために、ルツボ内部から溢れた分子線源材料等がセル内部に流れ込んでヒーターや熱電対を劣化させることなく、その結果、セルの信頼性を向上させることができる。
また、本発明の分子線源セルによれば、ルツボのフランジ周辺部、セル外枠の開口部の内壁および上端部が保護手段により覆われているために、ルツボやセルへ付着した分子線源材料を簡単に除去できるため、セルのメンテナンス性を向上させることができる。その結果、付着物との反応によるセル寿命の低下を抑えることができる。
【0008】
さらに、本発明の分子線源セルにおいて、その外枠が水冷ジャケットにより構成され、該保護手段が水冷ジャケットの筐体と接していることにより温度がルツボに比べて低くなる。従って、該保護手段からの脱ガスも少なく、また、ルツボ内部から溢れ出た分子線源材料も該保護手段上で固化するので、セル内部に侵入することもない。
温度の低い保護手段により覆われるルツボのフランジ周辺領域は、該フランジの幅をLとしたとき、該ルツボのフランジ外辺から距離0.9Lまでの領域である。すなわち、温度の低い保護手段は、ルツボの開口部から離れているので、ルツボに充填されている分子線源材料の温度に影響を与えることが少なくなり、安定した分子線源量を得ることができる。
【0009】
さらに、該保護手段の材料として、セルやルツボの材料と熱膨張係数が等しいもの、特にTa、W、Al、PBN(Pyrolytic Boron Nitride)、Mo、グラフィト、ベリリアを用いることを特徴としている。
すなわち、本発明によれば、該保護手段の材料の熱膨張係数をセルやルツボの熱膨張係数と合わせたため、該保護手段がセルやルツボに熱変化による応力を加えることがなく、その結果、セルの信頼性を損なうことがない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の分子線源セルを図面を参照して説明する。
図1Aは本発明の分子線源セルの上部の斜視図であり、図1Bはその断面図である。本発明の分子線源セル10は、開口部外周にフランジを有するルツボ11と、分子線源材料を加熱するための1または複数のヒーター12と、ヒーター12からの熱を反射して、効率的に分子線源材料を加熱するためのリフレクター13と、セル本体の外枠として機能する水冷ジャケット14とを含む。上記の構成は図3および4で説明したものと同等なので説明を省く。本発明の分子線源セルには、さらに、ルツボのフランジ部11aと水冷ジャケット14の開口部とを覆う保護手段が装着されている。
本発明の保護手段を用いれば、分子線源材料の固化により、ルツボがセル本体の外枠に付着して外れなくなることを防ぐことができる。この意味から、以下、本発明による保護手段を「防着板」という。
【0011】
本発明の分子線源セルは、ルツボのフランジ部11aの周辺領域と水冷ジャケット14上部の内壁に突設された凸部14a上方の内壁とを覆うように防着板を装着することを特徴とする。
本発明の第1の実施形態の防着板17は、底部と該底部の外周に立設された側壁部とからなり、該底部の中心部にはルツボ11の開口部よりも大きな開口部が設けられている。この防着板は、セルにルツボが装着された状態でセル本体の開口部に嵌合できる形状であればよいが、一般に、分子線源セルの開口部の形状は円形であるので、防着板17は円板状の底部と該底部の外周に立設された円筒状の側壁部とからなる。また、ルツボの開口部も通常円形であるので、防着板17底部の中心領域に設けられた開口部も円形であり、好ましくは、該底部の外周と同心円状に設けられる。防着板17底部に設けられた開口部の直径をDaとし、フランジ外周の直径をDbおよびルツボ11の開口部の直径をDbとしたとき、Da≧(Db−Dc)/10+Dc=0.1Db+0.9Dcとなるようにする。すなわち、防着板が分子源材料の温度よりも低くても、ルツボの開口部から離れているために分子線源材料に悪影響を及ぼすことがない。
この防着板は、焼結または焼成により簡単に一体成型することができる。
【0012】
次に、本発明の分子線源セルにおけるルツボの固定方法を説明する。図1Bに示すごとく、先ず、ルツボ11をセル本体に挿入し、該ルツボのフランジ11aの周辺部を該水冷ジャケットの上部に突設された凸部14aに密着させる。次いで、防着板17をその底部がフランジ11aに密着するように装着する。
このように、フランジ11aを凸部14aに密接させ、さらに防着板17を装着したときに防着板17の底部よりも上方となる水冷ジャケット筐体には、直径1mm程度の貫通孔14bが設けられている。図1においては該貫通孔は等間隔に3箇所に設けられているが、該貫通孔は複数であれば3箇所に限定されない。また、同様に防着板17にも水冷ジャケットに設けられた貫通孔14bと適合する位置に直径1mm程度の貫通孔17aが設けられている。
ルツボ11および防着板17を装着した状態で、各貫通孔14bおよびそれら各々に適合する貫通孔17aを同時に貫通するように止めピン16を通して、ルツボ11および防着板17を固定する。
すなわち、ルツボ11のフランジ11aの周辺部を該水冷ジャケットの凸部14aと防着板17とではさみ、さらに、止めピン16で防着板17を押さえ込むことにより、ルツボ11をセル本体に固定する。
【0013】
本発明の第1の実施形態の分子線源セルによれば、ルツボのフランジ周辺領域および水冷ジャケット開口部の内壁を防着板で覆うことにより、水冷ジャケット開口部の防着板で覆われた部分には分子線源材料等が付着することがないので、メンテナンス時にルツボの交換が容易に行え、メンテナンス性を向上することができる。
【0014】
防着板17は温度の低い水冷ジャケット14と接しているのでルツボ11に比べて温度が低くなっている。そのために、もし、ルツボ内部から分子線源材料が溢れてきても、分子線源材料は温度の低い防着板17を越えてセルの方向に進まないのでセル内部への分子線源材料の侵入を防ぎ、セルの信頼性を向上することができる。
【0015】
また、防着板17の開口部内周はルツボ11の開口部からは離れている。そのために、ルツボの温度に影響をほとんど及ぼさず、安定した分子線量を得ることができる。さらに、防着板の温度が低いため、脱ガスも少なくデバイスに与える影響は見られない。
【0016】
さらに、水冷ジャケット14の上部のルツボのフランジと接する部分の材質の熱膨張係数と同程度の熱膨張係数を有する材質で防着板を形成すれば、温度変化によって膨張板がセルに与える応力を減らすことができ、セルの信頼性を向上することができる。例えば、水冷ジャケットの材質がTa、WまたはMoであれば、防着板もTa、WまたはMoで形成すればよい。
また、ルツボの材質に合わせて、防着板の材質を決めることもできる。例えば、ルツボがPBNで形成されていれば、防着板もPBNで形成すればよいし、ルツボがAl、グラファイトまたはベリリアで形成されていれば、防着板もAl、グラファイトまたはベリリアで形成すればよい。
防着板の材質は、セルの材質の熱膨張係数またはルツボの材質の熱膨張係数のいずれかと同程度の熱膨張係数を有すればよいが、両者の熱膨張係数の間の熱膨張係数を有するものがより好ましい。
【0017】
また、本発明の第2の実施形態の分子線源セルにおいて、水冷ジャケットの開口部の上端も防着板で覆うことにより、さらに効果を向上させた。
図2に本発明の第2の実施形態の分子線源セル上部の斜視図(A)およびその断面図(B)を示す。ここで第1の実施形態の分子線源セルと異なるのは防着板27の形状である。それ以外は同じなので、特に記載しない。
本発明の第2の実施形態の分子線源セルにおける防着板27は、第1の実施形態の分子線源セルにおける防着板17の上端外周部にさらにフランジが形成されたことを特徴とする。すなわち、防着板27は、中心領域に開口部が設けられた底部と、該底部に立設された側壁部と、該側壁部の該底部に接していない端部の外周にフランジが設けられている。フランジを有する以外は、防着板17と同様である。
防着板27はフランジを有するため、セル開口部に装着したとき、ルツボのフランジ周辺領域および水冷ジャケット開口部の内壁のみならず該水冷ジャケットの開口部の上端も覆うことができる。
【0018】
本発明の第2の実施形態の分子線源セルによれば、ルツボのフランジ周辺領域および水冷ジャケット開口部の内壁のみならず、水冷ジャケット開口部の上端も防着板で覆うことにより、メンテナンス時に防着板を取りかえることにより、付着物を100%除去することができる。
さらに、メンテナンス時に水冷ジャケットの上部に付着した付着物をこすり落とす必要がないため、付着物がセル内部に落下することもなく、セルのメンテナンス性およびセルの信頼性を同時に向上させることができる。
【0019】
本発明の防着板は、外枠が水冷ジャケットにより構成されている分子線源セルに用いることが好ましいが、外枠が水冷ジャケットにより構成されていない分子線源セルに適用することもできる。
従って、以下の実施例は、本発明を例示するものであって、本発明を限定するものではない。
【0020】
【実施例】
実施例1
この実施例において、図1に示す第1の実施形態の分子線源セルを用いた。ここでは、ルツボ11はPBNで形成し、水冷ジャケット14上部のルツボ11と接する部分はTaで形成した。また、防着板17を水冷ジャケット上部の材料と同じTaで形成した。
【0021】
この実施例においては、ルツボのフランジ11aの周辺領域および水冷ジャケット14上部の内壁が防着板17により覆われているので、ルツボと水冷ジャケットとが接触する部分に分子源材料等が直接付着することがないので、メンテナンス時にルツボの交換が容易に行え、メンテナンス時間が40%削減でき、セルの信頼性も20%向上した。ここで、セルの信頼性とは、ヒータの断線や熱電対の短絡などによりセルが故障するまでの寿命を意味する。
【0022】
また、防着板17は水冷ジャケット14と接しているため、ルツボ11の本体部分よりも温度が低くいため、ルツボ11内部から溶融した分子線源材料18が溢れてきても防着板17に達すると固化し、それ以上水冷ジャケットの開口部の方向に進まないのでセル内部への分子線源材料8の侵入を防ぐことができた。その結果、ルツボ11内から溢れた分子線源材料がセル内部に入ることなく、セル内部で材料とヒーターの反応によるヒーターの劣化やヒーターや熱電対の短絡などのセル信頼性を損ねる原因を除去することができ、セルの信頼性が30%向上した。
【0023】
また、防着板17は、ルツボ11の温度よりも低いが、防着板17底部の中心領域に設けられた開口部の内周はルツボ11の開口部から充分に離れているので、ルツボ11内に充填された分子源材料の温度に影響をほとんど及ぼさず、安定した分子線量が得られた。
【0024】
また、防着板の温度が低いため、防着板からの脱ガスも少なくデバイスに与える影響は見られない。
【0025】
また、この実施例において、ルツボのフランジ部11aと接する水冷ジャケット14の部分と防着板17とは共にTaで形成されているので、両者の熱膨張係数が等しく、これによって、温度変化により防着板が水冷ジャケット開口部に与える応力を減らすことができ、セルの信頼性を30%向上した。
【0026】
実施例2
この実施例においては、本発明による第2の実施形態の分子線源セルを用いた。実施例2では、防着板17の代りに防着板27を用いた以外は、実施例1と同じである。
すなわち、防着板27は、実施例1で記載した防着板17の側壁部の上端、すなわち底部が接している側と反対側の端の外周部にフランジが形成されていることを特徴とする。この形状により、防着板27は、ルツボのフランジ21aの周辺領域および水冷ジャケット24上部の内壁のみならず、水冷ジャケット24開口部の上端も覆うことができる。
【0027】
このため、水冷ジャケット24上方に分子線源材料やフレークなどが付着することを防ぎメンテナンス時に本発明の防着板を取り替えることによって100%付着物を除去することができた。
それから、この防着板はルツボのフランジ周辺部、水冷ジャケット24上部内壁およびその上端を覆うことで水冷ジャケットの筐体上部についた付着物の除去が容易に行え、筐体と付着物との反応によるセルの寿命の低下が押さえられ、セルの信頼性が50%向上した。
【0028】
さらにメンテナンス時に水冷ジャケット24の上方をこすることやこすった材料などがセル内部に落下することを防ぐことができ、セルのメンテナンス時間の50%削減とセルの信頼性が30%向上した。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、ルツボのフランジおよびセルの開口部を覆う防着板を装着したことにより、分子線源材料がルツボやセル開口部のまわりに付着してもルツボの脱着が容易に行えるので、メンテナンス時間を削減することができる。
また、本発明によれば、防着板の装着により、分子線源材料がセル内部へ侵入してヒーターや熱電対を損傷させることを防止することができるので、セルの信頼性を向上することができる。
さらに、本発明において、防着板の材料としてセルまたはルツボと熱膨張係数が等しいものを用いれば、セルの昇温降温によりセルやルツボに係る応力が少なくすることができる、その結果として、セルの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の分子線源セル上部の斜視図(A)およびその断面図(B)である。
【図2】 本発明の第2実施形態の分子線源セル上部の斜視図(A)およびその断面図(B)である。
【図3】 従来の分子線源セルの断面図である。
【図4】 従来の分子線源セル上部の断面図である。
【符号の説明】
10 分子線源セル
11 ルツボ
12 ヒーター
13 リフレクター
14 水冷ジャケット
14a 水冷ジャケット内壁に突設された凸部
14b 貫通孔
16 止めピン
17 防着板
17a 貫通孔
18 分子線源材料
20 分子線源セル
27 防着板
100 分子線源セル
101 ルツボ
102 ヒーター
103 リフレクター
104 水冷ジャケット
104a 水冷ジャケット内壁に突設された凸部
104b 貫通孔
105 熱電対
106 止めピン
108 分子線源材料

Claims (7)

  1. 上部内壁に棚状の凸部が設けられた外枠と、開口部外周にフランジを有し、分子線源材料を収容し、溶融するためのルツボとを含み、該ルツボのフランジを該外枠の凸部に密接させるようにして該ルツボを保持したとき、該ルツボのフランジ面よりも該外枠の上端が突出している分子線源セルにおいて、さらに該ルツボのフランジ周辺部および該外枠の開口部を覆う保護手段を有し、
    ここに、該保護手段は、少なくとも、該ルツボのフランジ周辺部を覆う底部と、該底部の外周に立設され、該外枠の開口部を覆う側壁部とを含み、該ルツボのフランジ周辺部および該外枠の開口部を覆うように分子線源セルに装着したとき、該ルツボ内部から溢れた溶融分子線源材料の分子線源セル内部への流入を防止し、かつ、溶融分子線源材料の固化による該ルツボと該外枠との付着を防止することを特徴とする分子線源セル。
  2. 該外枠が水冷ジャケットとして機能することを特徴とする請求項1記載の分子線源セル。
  3. 該保護手段が該ルツボのフランジ周辺領域および該外枠の開口部内壁を覆う形状であることを特徴とする請求項1または2記載の分子線源セル。
  4. 該保護手段が該ルツボのフランジ周辺領域、該外枠の開口部内壁および該外枠の開口部上端を覆う形状であることを特徴とする請求項1または2記載の分子線源セル。
  5. 該保護手段により覆われる該ルツボのフランジ周辺領域は、該フランジの幅をLとしたとき、該ルツボのフランジ外辺から距離0.9Lまでの領域であることを特徴とする請求項3または4記載の分子線源セル。
  6. 該保護手段が該ルツボの材料の熱膨張係数と等しい材料により形成されていることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1記載の分子線源セル。
  7. 該保護手段の材料がTa、W、Al、PBN(Pyrolytic Boron Nitride)、Mo、グラファイトおよびベリリアよりなる群から選択される請求項6記載の分子線源セル。
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