JP3772968B2 - 上げ下げ窓の内倒しラッチ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上げ下げ窓の室内側障子において、上框の両側に夫々取り付けられ、窓枠に対する係合を係脱自在とすることにより、下框を回動中心として室内側障子を室内側に傾倒可能とした内倒しラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、障子を上下方向に開閉操作する上げ下げ窓が知られている。この種の上げ下げ窓では、図10に示されるように、室内側障子60の上框60aの両側に夫々、窓枠に対して係脱可能とした内倒しラッチ装置61,61が設けられている。この内倒しラッチ装置61は、平常時は窓枠に係合し室内側障子60の上下動をガイドし、ガラス清掃時等には窓枠に対する係合を解除することにより下框を回動中心として室内側障子を室内側に傾倒可能とするもので、前記内倒しラッチ61の構造としては多くの場合、図11に示されるように、窓枠側に付勢保持されたラッチ片62を有し、このラッチ片62の摘み部62aを摘んで付勢力に抗して没入側に引き込むことにより窓枠に対する係合を解除する構造となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内倒しラッチ61の操作ミスや清掃時に誤って摘み部62aに手が引っ掛かり窓枠に対する係合が解除されたり、子供等が誤って内倒しラッチ装置61の窓枠に対する係合を解除してしまうと、障子60が不意に内倒しされてしまい、非常に危険であるなどの問題があった。
【0004】
そこで本発明の主たる課題は、簡単な構造によりサブロック機能を与え、障子が不意に内倒しされてしまう事態を回避するとともに、係合解除操作も手を持ち替えることなく1操作で行えるようにした上げ下げ窓の内倒しラッチを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、上げ下げ障子の上框に取り付けられるケースと、このケース内に収容され、窓枠に対する係合部分がケース外部に突出するとともに、ケース内に内設された付勢手段によって突出側に付勢保持されたラッチと、前記ケースに一体的に取り付けられ、窓内方側へのスライド操作によって前記付勢力に抗して前記ラッチを窓内方側に移動させ窓枠に対する係合を解除する摘み部と、この摘み部内部に、摘み部の窓内方側面に一部を露出した状態で没入側に揺動可能に内装され、サブロック機能を与えるトリガー部材とからなる上げ下げ窓の内倒しラッチ装置であって、
平常時は、前記トリガー部材から延在する部分がケースの一部に係合することにより前記摘み部の窓内方側への移動を阻止し、前記トリガー部材の露出部分を押操作すると前記トリガー部材から延在する部分の係合が解除され、摘み部の窓内方側への移動を許容するようにしたことを特徴とする上げ下げ窓の内倒しラッチ装置が提供される。
【0006】
請求項2に係る本発明として、上げ下げ障子の上框に取り付けられるケースと、このケース内に収容され、窓枠に対する係合部分がケース外部に突出するとともに、ケース内に内設された付勢手段によって突出側に付勢保持されたラッチと、前記ケースに一体的に取り付けられ、窓内方側へのスライド操作によって前記付勢力に抗して前記ラッチを窓内方側に移動させ窓枠に対する係合を解除する摘み部と、この摘み部内部に、摘み部の窓内方側面に一部を露出した状態で没入側に揺動可能に内装され、サブロック機能を与えるトリガー部材とからなる上げ下げ窓の内倒しラッチ装置であって、
前記ケースの上面板であって前記摘み部との合わせ面部分に、矩形状の開口を形成するとともに、この矩形状開口の窓内方側端縁より部材長手方向に沿ってスリット状溝を形成し、前記トリガー部材から延在する逆T字状サブロック片の水平フランジを前記矩形状開口の窓内方側端縁に係合させることにより平常時は、前記摘み部の窓内方側への移動を阻止し、前記トリガー部材の露出部分を押操作すると前記逆T字状サブロック片が下方向に移動され、前記水平フランジと矩形状開口の窓内方側端縁との係合が解除されるとともに、逆T字状サブロック片のウエブが前記スリット状溝内に挿入可能な状態となり、摘み部の窓内方側への移動を許容するようにしたことを特徴とする上げ下げ窓の内倒しラッチ装置が提供される。
【0007】
請求項3に係る本発明として、前記トリガー部材から延在するバネ板部分がトリガー部材の押操作に伴う揺動によって変形し、元状態へ復元する付勢力を発揮するようにしてある請求項1,2いずれかに記載の上げ下げ窓の内倒しラッチ装置が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明に係る内倒しラッチ装置1の平面図であり、図2はその側面図、図3は図2のIII−III線矢視図である。
【0009】
内倒しラッチ装置1は、上げ下げ障子の上框に取り付けられるケース3と、このケース3内に収容され、窓枠に対する係合部分がケース外部に突出するとともに、内設されたスプリング5等の付勢手段により窓枠方向に向けて付勢的に保持されたラッチ4と、前記ケース3の上面側に一体的に設けられ、左右方向へのスライド操作によって前記ラッチ4の窓枠に対する係合を解除する摘み部6と、この摘み部6の窓内方側面に一部を露出した状態で内装され、サブロック機能を与えるトリガー部材7とからなる装置である。
【0010】
以下、具体的に詳述すると、
前記ケース3は、詳細には図6に示されるように、上面板3aと、この上面板3aの裏面側に一体的に設けられた断面U字状部材3bにより、左右方向に貫通するラッチ収容中空部3cが形成された部材で、前記上面板3aであって摘み部6との合わせ面部分には矩形状の開口3dが形成されているとともに、この矩形状開口3dの反窓枠方向(以下、窓内方側という。)に連続してスリット状溝3eが形成されている。また、窓枠側には窓枠へのラッチ係止状態を目視確認できるように、後述のラッチ4に形成されたインジケータ部4bが出没される没入部3fを形成するための隆起部3gが形成され、前記断面U字状部材3bの下面の窓枠近傍側にはケース3を障子に固定するためにビス孔が形成された取付け用垂下片3hが形成されている。さらに、前記ラッチ収容中空部3cの窓内方側位置には、スプリング5の一方側端を係合させる突部3jが設けられるとともに、後述のラッチ4の抜止めを図る等ために柱壁部3iが形成されている。なお、この柱壁部3iはラッチ収容中空部3cの略中央に縦方向に沿って設けられ両側は閉鎖されていない。
【0011】
前記ラッチ4は、詳細には図7に示されるように、相対的に窓枠側に位置するラッチ本体4Aと、前記摘み部6と連結され一体的にスライド動作させるための摘み連結部4Bと、抜止め部4Cとから構成される部材である。
【0012】
前記ラッチ本体4Aは、先端部分に平面視で略三角形状の窓枠係合部4aを有し、上面側には前記ケース3の没入部3fへの出没状態から窓枠への係止状態を確認するためにインジケータ部4bが形成されている。なお、前記窓枠係止部4aが略三角形状をしているのは、障子を内倒しした状態から元の状態に戻した際、自動的に窓枠2への係合を成すためである。
【0013】
前記摘み連結部4Bは、両側に配設された側壁4c、4cによって構成され、内部は上下方向に貫通する略矩形状の通孔となっている。前記側壁4c、4cの内面側には係止爪4e、4eが左右対で設けられ、後述のように、摘み部6を窓内方側に移動した際、摘み部6の垂下片6eが衝突し、摘み部6の移動によってラッチ4が共に移動するようになっている。
【0014】
前記抜止め部4Cは、水平方向に延在する左右対の足片4f、4fからなり、これらの足片4f、4fの先端には内方側に向けて係止爪4h、4hが形成されている。また、足片4f、4fの付け根部壁面にはスプリング5の他方端側に嵌合される突部4iが設けられている。
【0015】
次に、前記摘み部6は、詳細には図8に示されるように、摘み本体6Aと、この摘み本体6Aの下面側に設けられた前記ラッチ4に対する係止部6Bとから構成されている。
【0016】
前記摘み本体6Aは、窓内方側端面が開口とされる中空体からなり、中空体内部の深部側には左右対のトリガー係止壁部6a、6aが設けられているとともに、開口側端面近傍の側壁にはトリガー揺動軸孔6b、6bが形成されている。また、底面の開口側端面から所定長さまでの区間が底部開口6cとされ、この底部開口端縁の中央位置からスリット状溝6dが形成されている。
【0017】
前記トリガー係止部6Bは、左右一対で設けられた垂下片6e、6eからなるもので、垂下片6e、6eの先端には外側に向けた係止爪6f、6fが形成されている。
【0018】
最後に前記トリガー部材7は、詳細には図9に示されるように、トリガー本体7Aと、このトリガー本体7Aの底板から水平方向に延在するバネ板部7Bと、前記トリガー本体部7Aの下面側に一体的に設けられ、ウエブ7fと水平フランジ7gからなる正面視で略逆T字状を成すサブロック片7Cとからなる部材である。前記トリガー本体7Aは、上壁7a、端面側側壁7b、底壁7c、両側壁7d、7dから構成された他方側端面が開口とされる中空ブロック状部材で、前記両側壁7d、7dの外面には揺動軸部7e、7eが突設されている。
【0019】
前記バネ板部7Bは、前記底壁7cから延在される板状部材で、本トリガー部材7が摘み部6に内装された状態で、前記トリガー本体7Aが前記揺動軸7eを回動中心として揺動した際、元状態へ復元する付勢力を与える。また、前記逆T字状サブロック片7Cは、ケース3の矩形状開口3dの縁部に対する係脱によって前記摘み部6の窓内方側への移動を阻止または許容し、サブロック機能を果たすようになっている。
【0020】
前述した各部材3〜7の組立は、先ずケース3のラッチ収容中空部3c内に窓枠側開口からスプリング5と共にラッチ4を挿入する。ラッチ4は、足片4f、4fがラッチ収容中空部3c内の柱壁部3iを通り抜ける状態まで挿入する。前記スプリング5は、図4に示されるように、ラッチ収容中空部3c内の柱壁部3iの突部3jとラッチ4の突部4iとの間に介在されるようにする。
【0021】
この組立て状態で前記ラッチ4は、前記スプリング5によって窓枠側方向に付勢され、スライド可能区間内で窓枠側へ最も移動した状態、すなわちラッチ本体4Aの窓枠係合部4aがケース外部に突出した状態で保持されることになる。なお、窓枠側への移動限界規制はラッチ4に設けられた掛止爪4e、4eが摘み部6の垂下片6eに衝突することにより成され、窓内方側への移動限界規制は、ラット4の側壁4c、4cに挟まれた矩形状の通孔端面が前記摘み部6の垂下片6eに衝突することにより成されるようになっている。
【0022】
次に、摘み部6内にトリガー部材7を内装し、摘み部分の組立を行った後、前記ケース3部分に対して摘み部分を組み込むようにする。前記摘み部6とトリガー部材7との組立は、図4に示されるように、前記摘み部6の開口端面からトリガー部材7のバネ板部7Bを挿入し、前記バネ板部7Bの先端を摘み部6のトリガー係止壁部6a、6aの上部に係止させるとともに、トリガー部材7の逆T字状サブロック片7Cを摘み部6のスリット状溝6dを通して外部に突出させた状態とし、トリガー部材7の揺動軸部7e、7eを摘み部6のトリガー揺動軸孔6b、6bに夫々嵌合させるようにする。この組み立て状態で、摘み部6の窓内方側端面は前記トリガー部材7のトリガー本体7Aによって封鎖されるとともに、トリガー本体7Aが摘み部6の開口端面から若干突出した状態となる。
【0023】
前記トリガー部材7が組み込まれた摘み部6は、下面側のトリガー係止部6Bをケース3の矩形状開口3dから挿入し、垂下片6e、6eをラッチ4の側壁4c、4cに対して係止させるようにして取付ける。この取付け状態では図3に示されるように、前記垂下片6e、6eの係止爪6f、6fが前記側壁4c,4cの下端に係止し、抜け出ないように保持されるようになっているとともに、摘み部6を窓内方側に移動させた際には、前記垂下片6e、6eが側壁4c、4cに設けられた係止爪4e、4eに衝突することにより摘み部6の移動に伴ってラッチ4を窓内方側に移動するようになっている。なお、前記垂下片6eが衝突する係止爪4eを前記垂下片6eの窓内方側にのみ設けることにより、障子を内倒しした状態から元の状態に戻した際、ラッチ4のみが没入動作し、前記摘み部6は不動のままとなるように構成されている。
【0024】
また、前記摘み部6の設置状態では、トリガー部材7の逆T字状サブロック片7Cの水平フランジ7gがケース3の矩形状開口3dの窓内方側端縁に係合する状態となり、摘み部6の窓内方側への移動が阻止されるようになっている。
【0025】
この状態から障子を内倒しするためにラッチ4と窓枠2との係合を解除するには、図5に示されるように、摘み部6の窓枠側端面Aと、トリガー本体7Aが露出している窓内方側端面Bとを摘み、トリガー本体7Aを前記揺動軸部7e、7eを回動中心として没入側に揺動動作させる。すると、摘み部6の底面から外部に突出している逆T字状サブロック片7Cがさらに下方側に移動し、逆T字状サブロック片7Cの水平フランジ7gと矩形状開口3dの窓内方側端縁との係合が解除されるようになるとともに(同図符号(1)動作)、逆T字状サブロック片7Cのウエブ7fがスリット状溝3e内に挿入可能な状態となるため、摘み部6が窓内方側に移動できるようになる(同図符号(2)動作)。
【0026】
したがって、摘み部6の窓枠側端面とトリガー本体7Aとを摘んだ状態のまま摘み部6を窓内方側に移動させることによりラッチ4と窓枠2との係合が解除され、障子を内倒しできるようになる。なお、摘み部6から手を離すと、前記トリガー本体7Aはバネ板部7Bによる付勢力によって元の状態に復元される。
【0027】
【発明の効果】
以上詳説のとおり本発明によれば、摘み部に対しトリガー部材を追加するだけの簡単な構造変更によりサブロック機能を与えることができるようになり、障子が不意に内倒しされてしまう事態を回避できるようになる。
【0028】
また、係合解除操作は、摘み部の窓枠側端面と、トリガー本体が露出した窓内方側端面とを摘んだ状態のまま、摘み部を窓内方側に移動させることによって行うことができるなど、手を持ち替えることなく1操作で行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る内倒しラッチ装置1の平面図である。
【図2】 その側面図である。
【図3】 図2のIII−III線矢視図である。
【図4】 内倒しラッチ装置1の縦断面図である。
【図5】 窓枠との係合解除動作を説明するためのラッチ装置1の縦断面図である。
【図6】 ケース3を示す、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は縦断面図である。
【図7】 ラッチ4を示す、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は縦断面図である。
【図8】 摘み部6を示す、(A)は側面図、(B)は底面図、(C)は縦断面図、(D)は左正面図である。
【図9】 トリガー部材7を示す、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は底面図、(D)は左正面図である。
【図10】 上げ下げ窓の正面図である。
【図11】 ラッチ装置61の腰部拡大平面図である。
【符号の説明】
1…内倒しラッチ装置、2…窓枠、3…ケース、3a…上面板、3c…ラッチ収容中空部、3d…矩形状開口、3e…スリット状溝、4…ラッチ、4a…窓枠係合部、5…スプリング、6…摘み部、7…トリガー部材、7A…トリガー本体、7B…バネ板部、7C…逆T字状サブロック片、7f…ウエブ、7g…水平フランジ
Claims (3)
- 上げ下げ障子の上框に取り付けられるケースと、このケース内に収容され、窓枠に対する係合部分がケース外部に突出するとともに、ケース内に内設された付勢手段によって突出側に付勢保持されたラッチと、前記ケースに一体的に取り付けられ、窓内方側へのスライド操作によって前記付勢力に抗して前記ラッチを窓内方側に移動させ窓枠に対する係合を解除する摘み部と、この摘み部内部に、摘み部の窓内方側面に一部を露出した状態で没入側に揺動可能に内装され、サブロック機能を与えるトリガー部材とからなる上げ下げ窓の内倒しラッチ装置であって、
平常時は、前記トリガー部材から延在する部分がケースの一部に係合することにより前記摘み部の窓内方側への移動を阻止し、前記トリガー部材の露出部分を押操作すると前記トリガー部材から延在する部分の係合が解除され、摘み部の窓内方側への移動を許容するようにしたことを特徴とする上げ下げ窓の内倒しラッチ装置。 - 上げ下げ障子の上框に取り付けられるケースと、このケース内に収容され、窓枠に対する係合部分がケース外部に突出するとともに、ケース内に内設された付勢手段によって突出側に付勢保持されたラッチと、前記ケースに一体的に取り付けられ、窓内方側へのスライド操作によって前記付勢力に抗して前記ラッチを窓内方側に移動させ窓枠に対する係合を解除する摘み部と、この摘み部内部に、摘み部の窓内方側面に一部を露出した状態で没入側に揺動可能に内装され、サブロック機能を与えるトリガー部材とからなる上げ下げ窓の内倒しラッチ装置であって、
前記ケースの上面板であって前記摘み部との合わせ面部分に、矩形状の開口を形成するとともに、この矩形状開口の窓内方側端縁より部材長手方向に沿ってスリット状溝を形成し、前記トリガー部材から延在する逆T字状サブロック片の水平フランジを前記矩形状開口の窓内方側端縁に係合させることにより平常時は、前記摘み部の窓内方側への移動を阻止し、前記トリガー部材の露出部分を押操作すると前記逆T字状サブロック片が下方向に移動され、前記水平フランジと矩形状開口の窓内方側端縁との係合が解除されるとともに、逆T字状サブロック片のウエブが前記スリット状溝内に挿入可能な状態となり、摘み部の窓内方側への移動を許容するようにしたことを特徴とする上げ下げ窓の内倒しラッチ装置。 - 前記トリガー部材から延在するバネ板部分がトリガー部材の押操作に伴う揺動によって変形し、元状態へ復元する付勢力を発揮するようにしてある請求項1,2いずれかに記載の上げ下げ窓の内倒しラッチ装置。
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