JP3772762B2 - ラピッドプロトタイピング微細穴造形方法 - Google Patents

ラピッドプロトタイピング微細穴造形方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3次元CADモデルデータを用いた光造形や粉末焼結、または粉末融着等のラピッドプロトタイピング微細穴造型方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の3次元CADモデルデータを用いたラピッドプロトタイピングでの造形法を図5により説明する。まず3次元CADで作成した立体データ(図5(A)、ex.x、y、z)をスライスし等高線データに変換(図5(B)ex.z1に対するx1、y1)する。その等高線データに基づいて造形素材を硬化させるビームの軌跡データに座標変換(図5(C))する。その後、等高線データの厚さ分(スライスピッチ)、造形素材、例えば粉末プラスチックを散布し薄膜を形成する(図5(D))。そしてビームを照射によることによって、前記粉末素材を硬化させる(図5(E))。これを順次、等高線データの枚数分(積層分)繰り返し(図5、(D)−(E)−(F))、粉末にあたかも埋まっているような製品Pを取り出すと(図5(G))、3次元CADモデルデータと同様の造形品Pが生成される。
【0003】
図5の右側に示した(a)〜(g)は、図5の(A)〜(G)に対応して、生成される造型品のイメージを示している。この例では、造型品Pを生成する過程を示している。
【0004】
ここで、等高線データをビームの軌跡データに変換する際、等高線データの硬化領域に鋭角のエッジがある場合、照射する円形断面ビームの照射軌跡を硬化領域Hからはみ出さないようにしなければならない。例えば図6(A)に示すように、ビーム照射TRをおこなったとき、硬化領域Hのエッジの先端部までビームが届かず、結果的には図6(B)のように先端部の硬化が欠落してしまう。
【0005】
そこで、従来技術では上記鋭角エッジ部の硬化欠落を防ぐため、硬化領域のエッジの角度が90°未満の場合、エッジ先端部を包み込むような照射ビーム軌跡によりビームの照射をおこなうようにする。例えば、図6(C)に示すように、照射ビーム軌跡TR1により照射する。しかし結果的には、照射ビーム軌跡TR1が、硬化領域Hをはみ出すため、3次元CADデータには存在しない不要な突起物が生成されてしまう(例えば、図6(D))。
【0006】
これは特に微細穴がある場合などに顕著に現れる。このため、特に微細穴がある3次元CADモデルデータを用いて積層造形した場合、穴周辺に対しモデルデータには存在しない突起物が形成され、場合によっては穴が塞がってしまう現象がある。
【0007】
また、先行技術として特開2001−277369号公報がある。この記載はモデルを所望の間隔で輪切りにして複数の断面輪郭線データを作成するスライス処理と、輪郭線の構成においてレーザーのスポット径に応じた寸法だけオフセット処理することが開示されている。また、隣接する線分がなす角度に対応するスポット径を変更することも記載されている。角度が小さいときは、スポット径を小さくすることが実施例に記載されている。
【0008】
また、先行技術として特開平5−4284号公報がある。この記載は、プリント基板用基材の製造方法に関する。従来の垂直なスルーホールに加え、所望の形状、例えば、斜めのスルーホールやL字のスルーホールなどのスルーホールを有するプリント配線板用基材およびその製造方法に関するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術は、硬化領域が鋭角の形状の場合、ビームの大きさによってその先端部(コーナ部)の硬化が出来ずに硬化の欠落部が生じてしまう。したがって、前記従来技術のように、鋭角の程度によってビームの大きさを可変にする方法もある。しかし、一般的には、予め与えられた大きさで照射硬化処理をする。また、ビームが小さすぎると硬化が十分でない場合があり、造形品の品質にも影響を与えることになるから、ある程度の大きさのビームスポットは必要である。
【0010】
また前記の先行技術のようにプリント配線板用基材の場合には、斜めあるいはL字のスルーホールなどを対象にした技術であり、平行な微細孔を有する造形品を対象にしたものではない。前記いずれの先行技術においても、平面あるいは傾斜面に均等に微細穴を設ける造形品についての配慮はなされていない。
【0011】
本発明の目的は、平面あるいは傾斜面にかかわらず、平行な微細穴を設ける光造形品において、目詰まりがなく良質のメッシュ造形品を得るラピッドプロトタイピング微細穴造形方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題は以下の手段によって解決することができる。
三次元CADモデルにより造形品を複数の積層部分に分割し、分割した積層部分の造形素材を順次硬化し、積層部分を積み重ねることによって微細穴を有する造形品生成において、造形品に対して設けられる直線状微細穴の軸が平行な複数の微細穴とし、前記微細穴を有する造形品の前記三次元CADモデルデータを前記積層面に平行な等高線データに変換し、前記変換された等高線データに基づいて微細穴を有する造型品を生成することに特徴がある。
【0013】
また、前記微細穴の断面積は1mm以下でメッシュ状に配置されていること。また、前記微細穴は平面あるいは曲面に均等間隔に設けられた複数の微細穴であることに特徴がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。本発明は、三次元CADで作成する立体データ(例えば、図5(A),(a))が、微細穴を有する造形品を対象にする場合である。図1(A)に示すように、三次元CAD上で、全ての微細穴を直線的に、かつ平行にあけた造形品を生成する場合について説明する。
【0016】
図1(A)は穴h1〜h4を有する造形品を生成するために、三次元CADデータから、スライス方向の等高線データに変換する例を示している。その際、積層面に対し微細穴の軸が平行になるように図1(B)に示すように、図1(A)の三次元CADデータを、90度回転させたデータに変換して造形を行う。これ以降は従来技術で示したようにステップ(C)〜(F)の処理をおこない、ステップ(G)で造形品Pを取り出す。ここで90度回転させることは、図1(A)の例の場合であって、微細穴の軸と積層面の関係から、実際にはいろんな角度の場合がある。
【0017】
図1は、ある任意の断面について示しているが、図1(A)の矢印Sから見た平面図は図2(A)のようになる。このように、通常は等間隔にメッシュ状に微細穴が設けられることが多い。微細穴の断面積は1mm以下である(前記のような問題は、微細穴の断面積が1mm以下の場合に発生し易い)。したがって、ここでは、穴の間隔も1mm以下のメッシュ状に穴を有する造形品を、対象にして説明する。微細穴は円形、正方形など任意の形状の場合があるが、ここでは正方形の場合についての例示である。図1の(B)に示したように穴の軸を積層面に平行に配置変換されたデータに基づいて(例えば図5(C)に示したように)、その等高線データにより造形素材を硬化させるビームの軌跡データに座標変換する。
【0018】
それは、例えば図1(A)において、三次元CADデータがX,Y,Z,のデータとして作成され、X軸方向がスライス方向で、Z軸が積層方向であれば、これを図1(B)のようにZ’方向をスライス方向とするデータX’,Y’,Z’のデータに変換し、造形を行うことが本発明の造形方法である(この場合積層方向はX’方向である)。
【0019】
その後、等高線データの厚さ分の(通常0.15mm)造形粉末素材を図5(D)、(d)のように薄膜散布し、図5の(E),(e)のようにビーム照射による素材硬化を行う。これを等高線データの枚数分繰り返し(図5(D)〜(F))、あたかも埋まった製品を取り出すことになる(図5(G))。その結果、微細孔に不要な突起物のない、3次元CADモデルと同様の造形品が生成される。
【0020】
このようにステップ(C)以降は従来技術と同じであるが、ステップ(A)、(B)において、図1に示したように、微細穴は全て直線状の穴であること、その直線状の穴は、輪切りにする積層面と平行になるスライス等高線データに変換してビームによる硬化処理を行うことに特徴がある。
【0021】
図1(A)で、矢印方向Sから見た場合を図2(A)に示す。図1(A)の穴、h1〜h4は図1(A)に対応した微細穴を示している。図1(A)は一断面の場合の説明図であるが、面で見ると図2(A)のようにメッシュ状に穴があけられる場合を示している。この穴の断面積は前記のように1mm以下である。また穴の間隔も1mm以下である。その穴は図2(B)に示したように平面、曲面に係わらず等間隔にあけることが要求される。本発明によれば、その場合にも対応できる。
【0022】
また、穴径がこの例の場合のように1mm以下の場合には、穴の目詰まりという現象が生じる。これを防ぐためには、例えば図3に示したように1mm以下の穴をもつ造形品の等高線データを作成するとき、90°未満の鋭角エッジの硬化領域を生成させないことが不可欠である。円形の穴の場合は、半径0.6mm程度の穴をあける場合に問題になる。特に積層間燒結のような場合には、例えば、積層間剥離などの問題がある。
【0023】
ここで、穴周辺に突起物が生成される原因、すなわち穴周辺に90°未満の鋭角エッジが形成される過程を説明する。微細孔を有する3次元CADデータを等高線データに変換する際、微細孔が傾斜していた場合、図3(A)に示すように、スライス面は穴形状を分断することになる。そのスライス面から形成された等高線データの硬化領域には、穴の周辺に90°未満の鋭角エッジが図3(B)のように必ず存在することになる。この硬化領域に基づいて照射ビームの軌跡を計算すると、図3(C)のように、硬化領域外に照射ビーム軌跡が生じ、図3(D)のように、結果的には穴の周りに不要な突起物が形成され、穴を塞いでしまう要因となっている。
【0024】
これに対して本発明の場合は、図3(A)〜(D)に対応して、図3(E)〜(H)に示した。図3(E)は微細穴に対して平行にスライス面を有していることの説明図、(F)は前記(E)のようにスライスしたときのエッジ部の説明図を、(G)は照射ビームの軌跡を示す図である。(H)はこのようにビームを照射したしたときの状態を示している。鋭角のエッジ部が形成されないため、角部におおいても、ビ−ム軌跡は(G)のようになって、(H)に示したようにビ−ムを照射しても、微細穴を塞いでしまうことがない。これは重要なことである。
【0025】
前記図3(A)〜(D)に示した現象を防ぐためには、3次元CADデータを、生成しようとしている微細孔造形品をスライスし、等高線データを作成する際、微細孔に対して斜めに切断することを避け、不要な突起物を生じさせるような鋭角エッジの硬化領域を生じさせないようにすることである。そのためには、微細穴に対して直角に切断、または、水平に切断の2通り考えられるが、前者のように切断する手法は、曲面に穴があいている場合はどうしても鋭角ができてしまう欠点がある。したがって、後者が最もよい方法と考えられる。このことから、3次元CADで微細孔をモデリングする際、穴を全て直線状にあけ、複数の穴の軸同士を全て平行に配置する必要がある。さらに3次元CADモデルデータを等高線データに変換する際、積層面に対し3次元モデルの穴の軸方向を積層面に対して平行に配置するデータに変換することが重要となる。
【0026】
すなわち、微細孔が密集する場合は、三次元CAD上で穴を直線的にあけ、さらに微細孔の軸同士を全て平行に空ける(図1(A))。そして、三次元CADデータをスライスし等高線データに変換(図1(B))する際、積層面に対し微細孔の軸が平行になるように三次元CADデータを回転変換し、ビームによる硬化処理が出きるように配置する(図1(B))。
【0027】
また、前記の実施例では、ビーム軌跡が鋭角にならない場合について説明したが、硬化材料あるいは造形品の表面形状によっては、鋭角ができてしまう場合がある。しかし、本発明によれば不用突起物の形成は従来技術に比較して軽減される。さらに微細穴の断面積が1mm以下に限定されるわけではなく、図4(B)に示したように不要な突起物による穴塞ぎが生じるような場合であれば、本発明を適用することによって効果をあげることができる。すなわち、穴塞ぎのない微細穴を形成することができる。
【0028】
また、製品への応用例として、パルプモールドの抄造型を三次元CADで設計製造する場合も前記と同様である。三次元CAD上で直線的な微細穴を有し、さらに微細孔の軸同士を全て平行な場合を対象にする(図1(A))。そして、三次元CADデータをスライスし、等高線データに変換(図1(B))する際、積層面に対し微細孔の軸が平行になるように三次元CADデータを回転変換し配置する(図1(B))ようにする。
【0029】
また他の製品への適用として、通気口メッシュ部品、流路フィルタ、照明用ルーバなどに使用する微細穴を有する造形品を生成する場合にも、本発明を適用することによって品質が良い成形品を得ることができる。
【0030】
本発明の効果の例を図4に示す。本発明により造形品を生成することによって、密集した微細穴であっても不要な突起物を生成させることなく、3次元CADデータに対し忠実に造形できる。図4(A)はそれを示している。hi、j、は微細穴を示している。この場合の特徴として、製品の表面が平面であってもまた曲面であっても、微細孔の造形が可能なことにある。全く同一のデータでも、三次元CADデータをスライスし等高線データに変換する際、積層面に対し微細孔を平行に配置したデータに変換することによって、微細孔周辺に不要な突起物が生成されることなく、また穴が塞がることもない。
【0031】
図4(B)は従来の方法で生成した場合で、ha〜hkが造形された微細穴であるが、所望の断面積よりも小さな微細穴になっていることを示している。場所によっては穴部が粉末造形素材によって全く塞がれてしまっているものがある。図4(B)のha〜hkはかろうじて穴部を保っているが、本来の微細穴よりも断面積が小さい微細穴である。これは、目標とする微細穴ではない。
【0032】
本発明によれば、ラピッドプロトタイピング微細穴造形を行う際、三次元CADデータをスライス面に対して微細穴の軸が平行なデータに変換して造形をおこなうことによって、目標とする断面積をもつ微細穴を有する造形品を容易に得ることができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、ラピッドプロトタイピングにより、複数の微細孔を塞ぐことがない生成加工を実現し、微細穴を有する所望のメッシュ造形品を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による、三次元CADによる積層造形のデータ変換を説明する図である。
【図2】造形品面における微細穴メッシュの説明図である。
【図3】微細孔とスライス面が平行でない場合と、平行である場合の、ビームによる硬化ステップの対照説明図である。
【図4】微細孔を生成した場合の本発明の効果を説明する図である。
【図5】ラピッドプロトタイピングによる造形方法の説明図である。
【図6】従来例における不用突起物の生成過程を説明するための図である。
【符号の説明】
1;微細孔 h1〜h4;微細穴 3;造形粉末素材 H; 硬化領域 TR,TR1;照射ビーム軌跡。

Claims (3)

  1. 三次元CADモデルにより造形品を複数の積層部分に分割し、分割した積層部分の造形素材を順次硬化し、積層部分を積み重ねることによって微細穴を有する造形品生成方法において、造形品に対して設けられる直線状微細穴の軸が積層面に対し平行な複数の微細穴とし、前記微細穴を有する造形品の前記三次元CADモデルデータを前記積層面に平行な等高線データに変換し、前記変換された等高線データに基づいて微細穴を有する造型品を生成することを特徴とするラピッドプロトタイピング微細穴造形方法。
  2. 請求項1において、前記造形品は微細穴の断面積は1mm以下でメッシュ状に配置された微細穴を有する造形品であることを特徴とするラピッドプロトタイピング微細穴造形方法。
  3. 請求項2において、前記微細穴は平面あるいは曲面に均等間隔に設けられた複数の微細穴であることを特徴とするラピッドプロトタイピング微細穴造形方法。
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