JP3772527B2 - 位置監視システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基地局と移動機から構成される位置監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やPHS(パーソナル・ハンディホン・システム)や自動車電話などに代表される移動体通信システムが広く普及している。
例えばPHSでは、通常、基地局(セル・ステーション、略してCSともいう)が報知しているデータにその基地局を識別するための識別符号(CS_IDともいう)が付されている。この識別符号は、内部のあるビット数に一斉呼び出しエリア番号を含んでいる。尚、一斉呼び出しエリアとは、各基地局が有する電波伝播範囲(基地局エリアともいう)を複数集合させたエリアのことをいう。
【0003】
移動機(パーソナル・ステーション、略してPSともいう)は、電源スイッチがオンされると、受信信号レベルの最も高い基地局が報知しているデータを受信して、基地局に対して移動機情報をネットワーク内のデータベースに登録するために位置登録と呼ばれる処理を実行する。移動機は待ち受ける基地局が決定すると、その基地局から報知されるデータを一定時間毎(例えば公衆システムでは1.2秒毎)に受信し、着信を待つ。また、移動機は、受信信号レベルの最も高い基地局が変わると、その基地局が報知しているデータを受信し、そのデータに含まれる識別符号の一斉呼び出しエリア番号と前回の一斉呼び出しエリア番号とを比較し、両者が不一致のときに位置登録を実行する。つまり、基地局が変わっても一斉呼び出しエリアが変わらなければ位置登録を実行しない。
【0004】
一方、システム管理ブロックは、外部からあるいは管理しているネットワークから自分の管理下の移動機へ着信があった場合、移動機からの位置登録によって作成されたデータベースを検索し、その移動機がどの一斉呼び出しエリアにいるかを把握し、その一斉呼び出しエリアに属するすべての基地局に対して、着信信号を送信させる。すると、移動機は、この着信信号に反応し、着信動作(リンガー鳴動)へ移行する。
【0005】
ところで、例えば、特開平8−223637号公報には、このようなPHSを利用した位置監視システムが開示されている(図11参照)。この位置監視システム100において、移動機101は、各基地局エリア単位に位置登録を行う機能を持っており、隣接する基地局102a、102b、…に移動するごとにPHS交換機102、信号中継ポイント103を介してシステム管理ブロック104の共通データベース105に位置登録がなされるように構成されている。尚、隣接する基地局エリアにおける電波伝播範囲が重複する場合には、電波の強弱により強い電波の方の基地局エリア内に存在しているものとして位置登録される。また、この基地局エリア単位の位置登録は一斉呼び出しエリア単位の位置登録とは別に行う。そして、サービス事業者のワークステーション106は、例えば異常移動監視の依頼を受けている場合には、その移動機について共通データベースを検索し、前回位置登録された基地局と今回位置登録された基地局とを比較し、一致していなければ異常移動が発生したとして警報を発信する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の位置監視システム100では、移動機101に対して各基地局エリア単位に位置登録を行う機能を備え付ける必要があるばかりか、移動機101からの各基地局エリア単位の位置登録に対応できるように各基地局102a、102b、…をセットアップする必要があり、更に、サービス事業者のワークステーション106を共通データベース105に接続する必要があるため、現状のPHSのシステムを大幅に変更する必要があり、容易に実用化できないという問題があった。
【0007】
また、上述の位置監視システム100では、共通データベース105に登録された基地局が前回と今回とで一致しない場合は、異常移動が発生したとして警報を発信するが、隣接する基地局エリアにおける電波伝播範囲が重複する場合には、移動していなくても電波の状態が微妙に変化して基地局が入れ替わることがあるため、誤報のおそれがあった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、第1の目的は、現状のシステムを大幅に変更することなく実用化できる位置監視システムを提供することにあり、第2の目的は、移動機が移動していないにもかかわらず移動したと誤認するおそれの少ない位置監視システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、基地局を識別するための識別符号を無線で発信する複数の基地局と、前記複数の基地局が発信した識別符号を無線で受信可能な移動機とを備えた位置監視システムであって、
前記移動機は、あるタイミングにおいて受信した識別符号を受信信号レベルの高い順に配列し、初回又は前回のタイミングにおける配列と今回のタイミングにおける配列と比較したとき少なくとも一部が入れ替わっていたならば、予め定められた特定局へ発信することを特徴とする。
【0010】
ここで、あるタイミングとは、特に限定されないが、例えば周辺の基地局をサーチするタイミングでもよいし、一定時間が経過する毎のタイミングでもよい。また、配列とは、受信した識別符号が2つ以上の場合には受信信号レベルの高い順にソートされた配列をいい、受信した識別符号が1つの場合にはその識別符号及び受信信号レベルをいい、識別符号が1つも受信できない場合にはカラの配列をいう。また、配列が異なっているとは、例えば順序が入れ替わっている場合や、配列を構成する識別符号の一部又は全部が入れ替わっている場合などをいう。更に、特定局とは、例えば通信事業者、警察、警備保障会社などが設置した固定局又は無線局をいう。
【0011】
請求項1記載の位置監視システムにおいては、移動機は例えば盗難されるおそれがあるカバンや自動車などの可動物体に予め設置され、この移動機は自分が移動したか否かを自ら判断し、移動したと判断した場合には予め定められた特定局に発信する。この位置監視システムによれば、移動機からの発信を受けた特定局はその移動機の設置された可動物体が盗難されたおそれが高いと判断でき、それに対して迅速に対処できる。また、この位置監視システムは、従来のシステム(例えばPHS)のうち移動機を変更するのみでよく、基地局側は特に変更する必要はないため、現状のシステムを大幅に変更する必要がなく、容易に実用化できる。
【0012】
尚、移動機が初回の配列と今回の配列とを比較して特定局へ発信するかどうかを決めるようにすれば、移動機が元の位置から別の位置に移動されその別の位置で暫く止まっている場合、両配列が相違しているため特定局へ発信するが、今回特定局への発信が失敗したとしても、次回再び両配列が相違していると判断されるため特定局へ確実に発信できる。つまり、特定局への発信のフェイルセーフが実現される。一方、移動機が前回の配列と今回の配列とを比較して特定局へ発信するかどうかを決めるようにすれば、移動機が元の位置から別の位置に移動され再び元の位置に戻った場合、前回と今回とでは配列が相違しているため特定局へ発信する。つまり、移動機が時々刻々と移動する場合でもその移動を確実に捉えることができる。
【0013】
本発明の位置監視システムにおける移動機は、請求項2に記載したように、
あるタイミングにおいて受信した識別符号を受信信号レベルの高い順に配列する符号配列手段と、
前記符号配列手段によって配列された識別符号につき、初回又は前回のタイミングにおいて受信したときの配列と今回のタイミングにおいて受信したときの配列を比較する配列比較手段と、
配列比較手段による比較の結果、両配列の上位M個(Mは2以上の整数)が入れ替わっていた場合、前記移動機の移動があったと判断する移動判断手段と、
前記移動判断手段によって前記移動機が移動したと判断された場合、予め定められた特定局へ発信する自動発信手段と
を備えていてもよい。
【0014】
請求項2では、移動機は、初回又は前回のタイミングにおいて受信したときの配列と今回のタイミングにおいて受信したときの配列を比較し、上位M個が入れ替わっていたならば、移動機の移動があったと判断して、特定局へ発信する。ここで、配列のうち上位M個(Mは2以上の整数)としたのは、仮に最上位だけが入れ替わったことによって移動を判断するとすれば、例えば初回又は前回のタイミングにおいて移動機が2つの基地局からほぼ同じ受信信号レベルで受信していた場合、今回のタイミングにおいて移動していないにもかかわらず電波状態等の変化によって最上位が入れ替わってしまう可能性があるからである。また、移動したことの誤認をより有効に防止するには、Mは3以上の整数であることが好ましく、4以上の整数であることが特に好ましい。尚、M個未満の識別符号しか受信できない場合には受信できた数にすればよい。この請求項2記載の位置監視システムによれば、請求項1と同様の効果が得られるほか、移動機が移動していないにもかかわらず移動したと誤認して特定局へ誤報するおそれを解消できる。
【0015】
本発明の位置監視システムにおける移動機は、請求項3に記載したように、
初回又は前回のタイミングにおいて、所定の通話基準を満たす受信信号レベルの識別符号が1つも受信されなかった場合であって、今回のタイミングにおいて、前記通話基準よりも高レベルの安定基準を満たす受信信号レベルの識別符号が少なくとも1つ受信された場合、前記移動機の移動があったと判断する移動判断手段と、
前記移動判断手段によって前記移動機の移動があったと判断された場合、予め定められた特定局へ発信する自動発信手段と
を備えていてもよい。
【0016】
請求項3では、移動機は、初回又は前回のタイミングにおいて通話基準を満たす受信信号レベルの識別符号が1つも受信されなかった場合であって、今回のタイミングにおいて安定基準を満たす受信信号レベルの識別符号が少なくとも1つ受信された場合、移動機の移動があったと判断して、予め定められた特定局へ自動発信する。一方、初回又は前回のタイミングにおいて通話基準を満たす受信信号レベルの識別符号が1つも受信されなかった場合(特に通話基準を僅かに下回ったような場合)、今回のタイミングにおいて、移動機が移動していないにもかかわらず電波状態等が変化することによって通話基準を満たすものの安定基準を満たさない受信信号レベルの識別符号が受信される可能性があるため、このような場合には移動機の移動があったとは判断せず、特定局への発信を行わない。この請求項3記載の位置監視システムによれば、請求項2と同様の効果が得られる。
【0017】
本発明の位置監視システムにおける移動機は、請求項4に記載したように、
あるタイミングにおいて受信した識別符号を受信信号レベルの高い順に配列する符号配列手段と、
前記符号配列手段によって配列された識別符号につき、初回又は前回のタイミングにおいて受信したときの配列と今回のタイミングにおいて受信したときの配列を比較する配列比較手段と、
前記配列比較手段による比較の結果、初回又は前回のタイミングにおける配列につき、最も高い受信信号レベルの識別符号として所定の通話基準を満たすが前記通話基準より高レベルの安定基準を満たさない受信信号レベルの識別符号が受信された場合であって、今回のタイミングにおける配列につき、配列の上位M個が入れ替わり、且つ、受信した識別符号の少なくとも1つが前記安定基準を満たす受信信号レベルで受信された場合、前記移動機の移動があったと判断する移動判断手段と、
前記移動判断手段によって前記移動機の移動があったと判断された場合、予め定められた特定局へ発信する自動発信手段と
を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項4では、移動機は、初回又は前回のタイミングにおける配列につき、最も高い受信信号レベルが通話基準を満たすが安定基準を満たさない場合であって、今回のタイミングにおける配列につき、配列の上位M個が入れ替わり且つ最も高い受信信号レベルが安定基準を満たす場合、移動機の移動があったと判断して、予め定められた特定局へ自動発信する。一方、初回又は前回のタイミングにおける配列につき、最も高い受信信号レベルが通話基準を満たすが安定基準を満たさない場合(特に通話基準を僅かに上回ったような場合)、今回のタイミングにおける配列につき、移動していないにもかかわらず電波状態等が変化することによって配列の上位M個が入れ替わってしまう可能性がある。また、初回又は前回のタイミングにおける配列につき、最も高い受信信号レベルが通話基準を満たすが安定基準を満たさない場合(特に安定基準を僅かに下回ったような場合)、今回のタイミングにおける配列につき、移動していないにもかかわらず最も高い受信信号レベルが安定基準を満たしてしまう場合がある。このため、これらの場合には移動機の移動があったと判断せず特定局への発信を行わないようにし、今回のタイミングにおける配列につき、両方の条件つまり配列の上位M個が入れ替わり且つ最も高い受信信号レベルが安定基準を満たすという条件を満足した場合のみ、移動機の移動があったと判断して特定局へ発信することにしたのである。この請求項4記載の位置監視システムによれば、請求項2と同様の効果が得られる。尚、請求項4の構成を請求項3の構成と組み合わせてもよい。
【0019】
本発明の位置監視システムにおける移動機は、請求項5に記載したように、
あるタイミングにおいて受信した識別符号を受信信号レベルの高い順に配列する符号配列手段と、
前記符号配列手段によって配列された識別符号につき、初回又は前回のタイミングにおいて受信したときの配列と今回のタイミングにおいて受信したときの配列を比較する配列比較手段と、
前記配列比較手段による比較の結果、初回又は前回のタイミングにおける配列につき、所定の通話基準より高レベルの安定基準を満たす受信信号レベルの識別符号が少なくとも1つ受信された場合であって、今回のタイミングにおける配列につき、配列の上位M個が入れ替わるか、又は、前記通話基準を満たす受信信号レベルの識別符号が1つも受信されなかった場合、前記移動機の移動があったと判断する移動判断手段と、
前記移動判断手段によって前記移動機の移動があったと判断された場合、予め定められた特定局へ発信する自動発信手段と
を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項5では、移動機は、初回又は前回のタイミングにおける配列につき、安定基準を満たす受信信号レベルが少なくとも1つある場合であって、今回のタイミングにおける配列につき、配列の上位M個が入れ替わったか、又は、通話基準を満たす受信信号レベルが1つもない場合、移動機の移動があったと判断して、予め定められた特定局へ自動発信する。つまり、初回又は前回のタイミングにおいて安定基準を満たす受信信号レベルが少なくとも1つある場合、今回のタイミングにおいて、移動していないにもかかわらず電波状態等の変化によって、配列の上位M個が入れ替わったり通話基準を満たす受信信号レベルが1つもなくなったりする可能性はほとんどないため、今回のタイミングにおいて、配列の上位M個が入れ替わるか、又は、通話基準を満たす受信信号レベルが1つもなくなったとき、移動機の移動があったと判断して特定局へ発信することにしたのである。この請求項5記載の位置監視システムによれば、請求項2と同様の効果が得られる。尚、請求項5の構成を請求項3及び/又は4の構成と組み合わせてもよい。
【0021】
本発明の位置監視システムにおいては、請求項6に記載したように、符号配列手段は、識別符号の受信動作を数回繰り返したのち、受信した識別符号を受信信号レベルの平均値の高い順に配列してもよい。この場合、電波状態等が変化することによる受信信号レベルの変動を有効に防止できる。
【0022】
また、請求項7に記載したように、自動発信手段は、特定局へ発信する際、今回のタイミングにおける配列の上位m個(mは1以上の整数)の識別符号とその受信信号レベルを前記特定局へ発信するようにしてもよい。この場合、特定局は、自動発信手段から受信した識別符号に該当する基地局とその受信信号レベルから、予め定められた基地局と受信信号レベルとの関係に照らして、移動機の位置を絞り込むことが可能になる。ここで、移動機の位置を有効に絞り込むには、mは2以上の整数であることが好ましく、特に3以上の整数(例えば4)であることが好ましい。尚、m個未満の識別符号しか受信できない場合にはmは受信できた数にすればよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
図1は本実施形態の位置監視システムの概略構成図であり、図2は移動機の内部構成を表すブロック図である。本実施形態の位置監視システム1は、PHSに適用した一例であり、図1に示すように、移動機10と複数の基地局20a、20b、…30a、30b、…とから構成されている。
【0024】
移動機10は、図2に示すように、他の電話機から送信されてきたメッセージや移動機10の操作案内・動作状況等を表示するためのLCDなどの表示部11と、電源スイッチ12aやダイヤルキー12bや各種機能の設定を行うセレクトキー12cなど複数のキースイッチからなるキースイッチ群12と、通話時に相手の音声を出力するためのスピーカ13と、通話時に自分の音声を入力するためのマイク14と、アンテナ15aを介して所定の変調方式によって音声を送受信する送受信部15と、キースイッチ群12やマイク14や送受信部15などからの信号を入力し表示部11やスピーカ13や送受信部15などへ信号を出力するコントローラ16と、各部へ電力を供給するバッテリ17などを備えている。尚、コントローラ16は周知のCPU16a、ROM16b、RAM16cなどを備えており、CPU16aはROM16bに記憶された各種制御プログラムをRAM16cにデータを一時記憶しながら実行する。
【0025】
基地局20a、20b、…は、PHSにおいて周知のものをそのまま用いている。即ち、基地局20a、20b、…は、それぞれ所定の電波伝播範囲(通話基準を満たす範囲)としての基地局エリアE20a、E20b、…(例えば半径数10m〜数100mのエリア)を有しており、それぞれが固有の周波数で基地局を識別するための識別符号を含むデータを無線により報知するものであり、また、それぞれの基地局エリアE20a、E20b、…が隣接(重複する部分もある)するように例えば街の中あるいは施設の中の各所に設置され、それぞれが伝送路を介して交換機21に接続されている。このように同じ交換機21に接続された複数の基地局20a、20b、…の基地局エリアE20a、E20b、…は、従来のPHSと同様、一つの一斉呼び出しエリアE20を構成している。また、別の交換機31に接続された複数の基地局30a、30b、…の基地局エリアE30a、E30b、…は別の一斉呼び出しエリアE30を構成する。尚、各交換機21、31は、従来のPHSと同様、信号中継ポイント2に接続され、この信号中継ポイント2はシステム管理ブロック3の共通データベース4に接続されている。また、この信号中継ポイント2には一般加入回線であるPSTNを介して特定局5(例えば通信事業者、警察、警備保障会社などが設置した固定局又は無線局)が接続されている。
【0026】
次に、PHSにおける通常の位置登録動作について説明する。図1に示すように、移動機10が基地局エリアE20a内に存在するときに電源スイッチ12aがオンされると、移動機10は基地局20aから発せられる固有の周波数の電波を受けてそれに対応した位置登録を実施する。すると、システム管理ブロック3の共通データベース4に移動機情報が登録される。その後、移動機10は、常時最も受信信号レベルの高い基地局から報知される識別符号を含むデータをモニタするが、その受信信号レベルが所定の通話基準値(例えば21dB)以下になるか受信不能になったとき、周辺の基地局のサーチを行う。例えば、移動機10が基地局エリアE20aから隣の基地局エリアE20bに移動して、基地局20aから報知されるデータの受信信号レベルが所定値以下になったとする。すると、移動機10は、周辺の基地局をサーチし、基地局20bから発せられる固有の周波数の電波を受けて、識別符号に含まれる一斉呼び出しエリア番号を読み出し、前回位置登録したときの一斉呼び出しエリア番号(一斉呼び出しエリアE20、E30、…に付された固有の番号)と比較する。一斉呼び出しエリア番号が前回と変わっていなければ位置登録は実施せず、前回と変わっているときのみ位置登録を実施する。この例では、基地局エリアE20a、E20bは同じ一斉呼び出しエリアE20に属するため、一斉呼び出し番号は変わっておらず、位置登録は実施されない。その後移動機10が基地局エリア30b内に移動すると、基地局エリア30bは一斉呼び出しエリアE30に属するため、今度は一斉呼び出しエリア番号が前回と変わっているので、位置登録が実施される。これにより、システム管理ブロック3の共通データベース4に移動機10に関して新たな移動機情報が登録される。
【0027】
次に、PHSにおける通常の着信待ち受け状態について説明する。移動機10は、待ち受ける基地局(最も受信信号レベルの高い基地局)を決定すると、その基地局から報知されるデータを一定時間毎に受信し(例えば公衆システムでは1.2秒毎)、着信を待ち受ける。システム管理ブロック3は、外部からあるいは管理しているネットワークから自分の管理下にある移動機10へ着信があった場合、その移動機10からの位置登録によって作成された共通データベース4内の移動機情報を検索し、その移動機10がどの一斉呼び出しエリアにいるかを把握し、その一斉呼び出しエリアに属するすべての基地局から移動機10に対して着信信号を送信させる。例えば、図1に示すように、移動機10の待ち受ける基地局が基地局20aであるとき、システム管理ブロック3は移動機10への着信があった場合、共通データベース4内の移動機10の移動機情報を検索して一斉呼び出しエリアE20内にいることを把握し、この一斉呼び出しエリアE20に属するすべての基地局20a、20b、…に対して着信信号を送信させる。すると移動機10はこの着信信号に反応し、着信動作即ちリンガー鳴動へ移行する。
【0028】
次に、本発明の特徴の一つである、移動機10の盗難報知処理について、図3及び図4のフローチャートに基づいて説明する。図3の割込処理は、ユーザーが移動機10のキースイッチ群12のセレクトキー12cにより盗難報知機能を設定したときに開始される処理である。なお、ユーザーは例えば盗難されるおそれのあるカバンや自動車などの可動物体に位置監視用として移動機10を設置する際に、セレクトキー12cにより盗難報知機能を設定する。盗難報知機能が設定されると、移動機10のコントローラ16のCPU16aは、まず、ステップ(以下Sという)101において、周辺の基地局を複数回サーチし、サーチした各基地局につき複数回の平均の受信信号レベルを比較し、その受信信号レベルの高いものから順番に各基地局の識別符号を受信信号レベルと共に並べて下記表1の形式で第1テーブルを作成し、コントローラ16の内部メモリ(例えばRAM16c)に保持する。続くS102において、盗難報知機能が設定されたことを示すために盗難報知フラグをオンにセットし、この処理を終える。尚、盗難報知フラグは、セレクトキー12cにより盗難報知機能が解除されるとリセットされる。
【0029】
【表1】
【0030】
図4のベース処理は、移動機10の電源スイッチ12aがオンされると開始される処理である。電源スイッチ12aがオンされると、移動機10のコントローラ16のCPU16aは、まず、S201において、周辺の基地局のサーチが必要か否かを判断する。ここで、周辺の基地局のサーチが必要な場合とは、(i)移動機10の電源スイッチ12aがオンされたとき、(ii)移動機10が圏内にある場合において、最も受信信号レベルの高い基地局からの受信信号レベルをモニタし、そのレベルが通話基準値以下になるか受信エラーになったとき、(iii)移動機10が圏外にある場合において、一定時間ごとのタイミングになったとき、などである。尚、移動機10が圏内にある場合とは、周辺の基地局をサーチしたときにいずれかの受信信号レベルが通話基準値を越えている場合をいい、移動機10が圏外にある場合とは、周辺の基地局をサーチしたときに受信信号レベルが通話基準値を越えるものが存在しない場合をいう。
【0031】
S201でサーチが不要と判断されれば(S201でNO)、S210に進み、既述した通常の着信待ち受け状態となり、その後S201に戻る。一方、S201でサーチが必要と判断されれば(S201でYES)、続くS202で周辺の基地局を複数回サーチし、サーチした各基地局につき複数回の平均の受信信号レベルを比較し、その受信信号レベルの高いものから順番に各基地局の識別符号を受信信号レベルと共に並べて表1と同様の形式の第2テーブルを作成し、コントローラ16の内部メモリ(例えばRAM16c等)に保持する。続くS203において、盗難報知機能が設定されているか否かを盗難報知フラグにより判断する。
【0032】
S203において盗難報知機能が設定されていなければ(S203でNO)、S209に進み、通常の待ち受け基地局切り替え動作、即ちS202で作成した第2テーブルの中で受信信号レベルが最も高い基地局を待ち受け基地局に決定する動作を行うと共に圏内又は圏外であることを表示部11に表示し、次いでS210に進み、通常の着信待ち受け状態となり、その後S201に戻る。一方、S203において、盗難報知機能が設定されていれば(S203でYES)、S204に進み、第1テーブルと第2テーブルを比較し、S205で移動機10が移動したか否かを判断する。
【0033】
S204の比較結果、下記表2のケース1〜3のいずれにも該当しなければ、S205で移動機10の移動がなかったと判断され(S205でNO)、S209、S210に進み、その後S201に戻る。一方、S204の比較結果、下記表2のケース1〜3のいずれかに該当すれば、S205で移動機10の移動があったと判断され(S205でYES)、S206〜S210の処理を行い、その後S201に戻る。
【0034】
【表2】
【0035】
ここで、表2のケース1〜3につき、詳細に説明する。
ケース1は、図5に示すように、第1テーブル(つまり前回のタイミングにおける配列)につき圏外の場合つまり通話基準値を満たす受信信号レベルの識別符号が1つも受信されなかった場合であって、第2テーブル(つまり今回のタイミングにおける配列)につき最も高い受信信号レベルが安定基準値(通話基準値より高レベル(例えば35dBμV)に設定されている)を越えている場合に限って移動機10が移動したと判断する。これは、第1テーブルで圏外の場合として例えば最も高い受信信号レベルが通話基準値を僅かに下回る場合を考えると、移動機10が実際に移動していなくても電波状態等の変化によって受信信号レベルが変動してその受信信号レベルが通話基準値を越えて圏内に変化することがあるため、第2テーブルで圏内になった場合であっても最も高い受信信号レベルが安定基準値以下では移動機10の移動があったとは判断せず、第2テーブルにおいて圏内になった場合で最も高い受信信号レベルが安定基準値を越えている場合に限って移動機10の移動があったと判断することにしたのである。
【0036】
ケース2は、図6に示すように、第1テーブルにつき最も高い受信信号レベルが通話基準値を越えるが安定基準値以下の場合であって、第2テーブルにつき配列の上位M個が入れ替わり且つ最も高い受信信号レベルが安定基準値を越える場合、移動機10の移動があったと判断する。これは、第1テーブルにおいて例えば最も高い受信信号レベルが通話基準を僅かに上回ったような場合、第2テーブルにおいて移動機10が移動していないにもかかわらず電波状態等が変化することによって配列の上位M個が完全に入れ替わってしまう可能性がある。具体的にM=2として図7を例にとって説明すると、第1テーブル作成時には上位2個が基地局40a、40bであったのに対して、第2テーブル作成時には上位2個が基地局40c、40dになることがある。また、第1テーブルにおいて例えば安定基準を僅かに下回ったような場合、第2テーブルにおいて移動機10が移動していないにもかかわらず最も高い受信信号レベルが安定基準を満たしてしまう場合がある。このため、これらの場合には移動機10の移動があったと判断せず、第2テーブルにつき両方の条件つまり配列の上位M個が完全に入れ替わり且つ最も高い受信信号レベルが安定基準を満たすという条件を満足した場合のみ、移動機10の移動があったと判断することにしたのである。
【0037】
ケース3は、図8に示すように、第1テーブルにつき最も高い受信信号レベルが安定基準を越える場合であって、第2テーブルにつき、配列の上位M個が完全に入れ替わったか、又は、通話基準を満たす受信信号レベルが1つもない場合、移動機10の移動があったと判断する。これは、第1テーブルにつき最も高い受信信号レベルが安定基準を越える場合には、第2テーブルにつき移動していないにもかかわらず電波状態等の変化によって配列の上位M個が入れ替わったり通話基準を満たす受信信号レベルが1つもなくなったりする可能性はほとんどない。このため、第2テーブルにつき、配列の上位M個が完全に入れ替わるか、又は、通話基準を満たす受信信号レベルが1つもなくなったとき、移動機10が移動したと判断することにしたのである。
【0038】
尚、Mの値は、移動機10の移動がないにもかかわらず電波状態の変化等により移動したと誤認するおそれを有効に解消することを考慮すれば、3以上の整数(例えば4)に設定するのが好ましい。
さて、図4のフローチャートに戻り、S205で移動機10が移動したと判断れると(S205でYES)、S206において、予めコントローラ16のROM16bに記憶された特定局5に発信し、その特定局5に接続された後に第2テーブルの情報を発信する。具体的には、第2テーブルにつき上位m個(mは1以上の整数、例えばmは4)の識別符号とその受信信号レベルをコード化してアナログPB信号あるいはディジタル信号として特定局5へ発信する。
【0039】
すると、特定局5は、受信した情報に基づき、移動機10の現在位置を割り出す。具体的には、特定局5は、受信した情報つまり第2テーブルについて上位m個の識別符号とその受信信号レベルから、予め記憶手段などに用意された基地局のマップと照合することにより、現在位置の絞り込みを行う。例えば、受信信号レベルの高い識別符号が基地局20a、20b、20c、20dを表し、その受信信号レベルが37dBμV、21dBμV、22dBμV、15dBμVだったとすると、基地局20aを中心とする受信信号レベル37dBμVの円と、基地局20bを中心とする受信信号レベル21dBμVの円と、基地局20cを中心とする受信信号レベル22dBμVの円と、基地局20dを中心とする受信信号レベル15dBμVの円の交点の近傍が移動機10の現在位置ということになる。したがって、この移動機10が例えば自動車のダッシュボードに入れてあれば、特定局5は移動機10からの発信を受けてその自動車が盗難されたことを認識すると共に、その盗難車両の現在位置を割り出すことができる。
【0040】
移動機10のコントローラ16のCPU16aは、S206に続き、S207では第1テーブルを第2テーブルの内容に更新し、S209、S210に進み、その後S201に戻る。S207で第1テーブルを更新することにより、仮に移動機10が移動した後、最終的に元の位置に戻ってきた場合にであっても、移動機10は特定局5に発信し続けることになる。
【0041】
以上の本実施形態の位置監視システム1によれば以下の効果が得られる。
▲1▼基地局20a、20b、…、30a、30b、…や交換機21、31、…や信号中継ポイント2やシステム管理ブロック3などは、従来のPHSのものをそのまま利用でき、移動機10を変更するだけで盗難報知機能が実現化できる。即ち、現状のシステムを大幅に変更することなく実用化できる。
【0042】
▲2▼上記表2のケース1〜3に該当する場合のみ移動機10が移動したと判断して特定局5に発信するため、移動機10が移動していないにもかかわらず移動したと誤認して特定局5に誤報するおそれが少ない。
▲3▼特定局5は移動機10から第2テーブルの情報を取得して移動機10の現在位置を絞り込むため、この移動機10が備え付けられたカバンや車両などの可動体を容易に見つけだすことができる。
【0043】
尚、第1実施形態における移動機10のコントローラ16のCPU16aが本発明の符号配列手段、配列比較手段、移動判断手段、自動発信手段に相当し、コントローラ16のS101、S201の処理が符号配列手段の処理に相当し、S204の処理が配列比較手段の処理に相当し、S205の処理が移動判断手段の処理に相当し、S206の処理が自動発信手段の処理に相当する。
【0044】
[第2実施形態]
第2実施形態の位置監視システムは、第1実施形態と同様であるが、移動機10のコントローラ16のCPU16aが実行する盗難報知処理が第1実施形態と異なる。このため、以下には第2実施形態の盗難報知処理につき、図9及び図10のフローチャートに基づいて説明する。
図9の割込処理は、ユーザーが移動機10のキースイッチ群12のセレクトキー12cにより盗難報知機能を設定したときに開始される処理である。盗難報知機能が設定されると、移動機10のコントローラ16のCPU16aは、まず、ステップ(以下Sという)301において、周辺の基地局を複数回サーチし、サーチした各基地局につき複数回の平均の受信信号レベルを比較し、その受信信号レベルの高いものから順番に各基地局の識別符号を受信信号レベルと共に並べて上記表1の形式で第1テーブルを作成し、コントローラ16の内部メモリに保持する。続くS302において、コントローラ16の内部のインターバルタイマーに所定時間(例えば数分〜数10分)をセットしスタートさせ、この処理を終える。S302により、インターバルタイマーはセットされた所定時間を減じていく。
【0045】
図10の割込処理は、インターバルタイマーがゼロになる毎に発生する、つまり所定時間毎に発生する処理である。この処理が開始されると、移動機10のコントローラ16のCPU16aは、まず、S401において、既述のS202と同様、周辺の基地局を複数回サーチし、サーチした各基地局につき複数回の平均の受信信号レベルを比較し、その受信信号レベルの高いものから順番に各基地局の識別符号を受信信号レベルと共に並べて第2テーブルを作成し、RAM等の内部メモリに保持する。続くS402において、既述のS204と同様にして第1テーブルと第2テーブルを比較し、S403において、既述のS205と同様にして移動機10が移動したか否かを判断する。ここで、S403で移動機10が移動していないと判断されると(S403でNO)、S406に進み、インターバルタイマーに所定時間をセットしスタートさせ、この処理を終える。一方、S403で移動機が移動したと判断されると(S403でYES)、S404で既述のS206と同様にして特定局5に発信し、その特定局5に接続された後に第2テーブルの情報を発信する。すると、特定局5は、受信した情報に基づき、移動機10の現在位置を割り出す。 続くS405では、第1テーブルを第2テーブルの内容に更新し、その後S406に進み、インターバルタイマーに所定時間をセットしスタートさせ、この処理を終える。この第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0046】
ところで、第1実施形態では通常の待ち受け基地局切替動作に関連して盗難報知処理を行ったが、第2実施形態では通常の待ち受け基地局切替動作とは独立して盗難報知処理を行った例である。
尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0047】
例えば、上記第2実施形態ではS405において第1テーブルを第2テーブルの内容に更新したが、このS405を省略し、第1テーブルは絶えずS301で作成したものつまり初回のタイミングにおいて作成したものとしてよい。一般にPHSでは移動機10から特定局5に発信した場合に基地局がビジー状態等のときには回線に接続されない。上記第2実施形態では、S403で移動機10の移動があったと判断された後、S404で特定局5へ発信したものの、回線に接続されなかった場合には特定局5への通報は行われない。にもかかわらず、S405で第1テーブルが更新されると、次回のS403において移動機10が更に移動するまでは移動機10は移動していないと判断され、特定局5への発信がなされない。この点に鑑み、S405において第1テーブルを更新するのを省略することにより、このような事態を解消できる。
【0048】
また、上記第1実施形態ではS207において第1テーブルを第2テーブルの内容に更新したが、このS207において第1テーブルは更新せず、その代わりにインターバルタイマーを所定時間(例えば数分〜数10分)にセットしてスタートさせてもよい。そして、インターバルタイマーがゼロになる毎に、つまり所定時間経過する毎に、S401〜S406(但しS405の処理は行わない)を実行するようにしてもよい。この場合も、特定局5への発信が失敗した場合に、上記と同様の効果が得られる。
【0049】
また、S206又はS404で特定局5へ発信したときに回線が接続できなかった場合には一定時間(例えば60秒)待機したあと自動的にリダイヤルするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の位置監視システムの概略構成図である。
【図2】 第1実施形態の移動機の内部構成を表すブロック図である。
【図3】 第1実施形態の割込処理を表すフローチャートである。
【図4】 第1実施形態のベース処理を表すフローチャートである。
【図5】 表2のケース1の説明図である。
【図6】 表2のケース2の説明図である。
【図7】 移動機が移動していなくても配列の上位M個が入れ替わる場合の説明図である。
【図8】 表2のケース3の説明図である。
【図9】 第2実施形態の割込処理を表すフローチャートである。
【図10】 第2実施形態の割込処理を表すフローチャートである。
【図11】 従来の位置監視システムの概略ブロック図である。
【符号の説明】
1・・・位置監視システム、2・・・信号中継ポイント、3・・・システム管理ブロック、4・・・共通データベース、5・・・特定局、10・・・移動機、11・・・表示部、12・・・キースイッチ群、12a・・・電源スイッチ、12c・・・セレクトキー、16・・・コントローラ、16a・・・CPU、16b・・・ROM、16c・・・RAM、20a〜20d、30a〜30d・・・基地局、21、31・・・交換機、E20a〜E20d、E30a〜E30d・・・基地局エリア、E20、E30・・・一斉呼び出しエリア。
Claims (7)
- 基地局を識別するための識別符号を無線で発信する複数の基地局と、
前記複数の基地局が発信した識別符号を無線で受信可能な移動機と
を備え、
前記移動機は、あるタイミングにおいて受信した識別符号を受信信号レベルの高い順に配列し、初回又は前回のタイミングにおける配列と今回のタイミングにおける配列と比較したとき少なくとも一部が入れ替わっていたならば、予め定められた特定局へ発信することを特徴とする位置監視システム。 - 基地局を識別するための識別符号を無線で発信する複数の基地局と、
前記複数の基地局が発信した識別符号を無線で受信可能な移動機と
を備え、
前記移動機は、
あるタイミングにおいて受信した識別符号を受信信号レベルの高い順に配列する符号配列手段と、
前記符号配列手段によって配列された識別符号につき、初回又は前回のタイミングにおいて受信したときの配列と今回のタイミングにおいて受信したときの配列を比較する配列比較手段と、
配列比較手段による比較の結果、両配列の上位M個(Mは2以上の整数)が入れ替わっていた場合、前記移動機の移動があったと判断する移動判断手段と、
前記移動判断手段によって前記移動機が移動したと判断された場合、予め定められた特定局へ発信する自動発信手段と
を備えたことを特徴とする位置監視システム。 - 基地局を識別するための識別符号を無線で発信する複数の基地局と、
前記複数の基地局が発信した識別符号を無線で受信可能な移動機と
を備え、
前記移動機は、
初回又は前回のタイミングにおいて所定の通話基準を満たす受信信号レベルの識別符号が1つも受信されなかった場合であって、今回のタイミングにおいて前記通話基準よりも高レベルの安定基準を満たす受信信号レベルの識別符号が少なくとも1つ受信された場合、前記移動機の移動があったと判断する移動判断手段と、
前記移動判断手段によって前記移動機の移動があったと判断された場合、予め定められた特定局へ発信する自動発信手段と
を備えたことを特徴とする位置監視システム。 - 基地局を識別するための識別符号を無線で発信する複数の基地局と、
前記複数の基地局が発信した識別符号を無線で受信可能な移動機と
を備え、
前記移動機は、
あるタイミングにおいて受信した識別符号を受信信号レベルの高い順に配列する符号配列手段と、
前記符号配列手段によって配列された識別符号につき、初回又は前回のタイミングにおいて受信したときの配列と今回のタイミングにおいて受信したときの配列を比較する配列比較手段と、
前記配列比較手段による比較の結果、初回又は前回のタイミングにおける配列につき、最も高い受信信号レベルの識別符号として所定の通話基準を満たすが前記通話基準より高レベルの安定基準を満たさない受信信号レベルの識別符号が受信された場合であって、今回のタイミングにおける配列につき、配列の上位M個が入れ替わり、且つ、受信した識別符号の少なくとも1つが前記安定基準を満たす受信信号レベルで受信された場合、前記移動機の移動があったと判断する移動判断手段と、
前記移動判断手段によって前記移動機の移動があったと判断された場合、予め定められた特定局へ発信する自動発信手段と
を備えたことを特徴とする位置監視システム。 - 基地局を識別するための識別符号を無線で発信する複数の基地局と、
前記複数の基地局が発信した識別符号を無線で受信可能な移動機と
を備え、
前記移動機は、
あるタイミングにおいて受信した識別符号を受信信号レベルの高い順に配列する符号配列手段と、
前記符号配列手段によって配列された識別符号につき、初回又は前回のタイミングにおいて受信したときの配列と今回のタイミングにおいて受信したときの配列を比較する配列比較手段と、
前記配列比較手段による比較の結果、初回又は前回のタイミングにおける配列につき、所定の通話基準より高レベルの安定基準を満たす受信信号レベルの識別符号が少なくとも1つ受信された場合であって、今回のタイミングにおける配列につき、配列の上位M個が入れ替わるか、又は、前記通話基準を満たす受信信号レベルの識別符号が1つも受信されなかった場合、前記移動機の移動があったと判断する移動判断手段と、
前記移動判断手段によって前記移動機の移動があったと判断された場合、予め定められた特定局へ発信する自動発信手段と
を備えたことを特徴とする位置監視システム。 - 前記符号配列手段は、識別符号の受信動作を数回繰り返したのち、受信した識別符号を受信信号レベルの平均値の高い順に配列することを特徴とする請求項2、4又は5記載の位置監視システム。
- 前記自動発信手段は、前記特定局へ発信する際、今回のタイミングにおける配列の上位m個(mは1以上の整数)の識別符号とその受信信号レベルを前記特定局へ発信することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の位置監視システム。
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