JP3771712B2 - ガスシールド溶接のプリフロー制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガスシールド溶接のプリフロー制御装置に関し、溶接開始時にプリフロー時間を簡単かつ任意に調整することができるように工夫したものであり、しかも、プリフロー無しの溶接も簡単に選択することができるように工夫したものである。
【0002】
【従来の技術】
ガスシールド溶接では、溶接部をガス雰囲気によりシールドしこのガス雰囲気中にてアークを発生させて溶接を行っている。このガスシールド溶接の溶接開始部では、溶接部に欠陥が入らないように、プリフロー制御をしている。このプリフロー制御とは、アーク発生に先行してガスを出して溶接部のシールドを行い、その後にアークを発生させる制御である。
【0003】
ここで、従来のプリフロー制御装置の概要を、ブロック図である図8、及び制御タイミングチャートである図9を参照して説明する。まず溶接開始スイッチ1を投入すると、プリフロー制御部2はガス信号SGを溶接制御部3に送る。溶接制御部3はガス信号SGが入力されるとガスを出す制御をする。このようにして、溶接開始スイッチ1を投入すると、直ちにガスが出る。
【0004】
また、プリフロー制御部2は、タイマーを内蔵しており、溶接開始スイッチ1が投入されてから、前記タイマーに予め設定されているタイマー設定時間が経過すると、溶接開始信号SWを溶接制御部3に送る。溶接制御部3は、溶接開始信号SWが入力されるとアークを発生させる制御をする。このため、溶接開始スイッチ1が投入されてから、タイマー設定時間が経過すると、アークが発生する。
【0005】
かくして、ガスが先行して出てから後にアークが発生するプリフロー制御が行われている。なお、プリフロー時間(ガス出力からアーク発生までの時間)は、タイマー設定時間により決定される。したがって、プリフロー時間を変更するには、プリフロー制御部2に内蔵してあるタイマーを調整して、タイマー設定時間を変更しなければならない。換言すると、従来では、プリフロー時間は半固定であった。
【0006】
なお、溶接制御部3では、プリフロー制御は行わない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術では、次のような課題があった。
【0008】
(1)溶接部位形状または溶接環境等によってプリフロー時間を変えたい場合には、タイマーの調整が必要になる。このため半自動で溶接する場合には、常に部位形状及び環境が変わるため、最適なプリフロー制御を得るにはタイマー調整を頻繁に行わなければならず、煩雑である。
【0009】
(2)溶接操作を行ってから(即ち溶接開始スイッチ1を投入してから)、アークが出る時点までのタイミングが機械的に決まってしまうので、作業者にとっては不意をつかれたようなかたちでアークが発生するため、溶接開始のタイミングを勘で計らなければならず、熟練を要していた。
【0010】
本発明は、上記従来技術に鑑み、溶接作業の際にプリフロー時間を簡単かつ任意に調整することができ、しかも、プリフロー無しの溶接も簡単に選択することができるガスシールド溶接のプリフロー制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の構成は、溶接開始スイッチと、
ガス信号が入力されるとガスを出す制御をし、溶接開始信号が入力されると溶接電圧を印加する制御をすると共にワイヤー送りをする制御をし、溶接電圧を印加した状態でワイヤーが母材に接触してアーク電流が流れるとアーク電流検出信号を出力する溶接制御部と、
前記溶接開始スイッチが投入されると、溶接開始信号及びガス信号を前記溶接制御部に向けて出力し、前記溶接開始スイッチが投入された後に前記溶接制御部から出力された電流検出信号が入力されることなく前記溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号は継続して出力するが溶接開始信号の出力を停止し、前記溶接開始スイッチが投入されておりしかも前記溶接制御部から出力された前記電流検出信号が入力されているときに溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号及び溶接開始信号の出力を停止するように制御するプリフロー制御部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また本発明の構成は、溶接開始スイッチと、
ガス信号が入力されるとガスを出す制御をし、溶接開始信号が入力されると溶接電圧を印加する制御をすると共にワイヤー送りをする制御をし、溶接電圧を印加した状態でワイヤーが母材に接触してアーク電流が流れるとアーク電流検出信号を出力する溶接制御部と、
前記溶接開始スイッチが投入されると、溶接開始信号及びガス信号を前記溶接制御部に向けて出力し、前記溶接開始スイッチが投入された後に前記溶接制御部から出力された電流検出信号が入力されることなく前記溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号は継続して出力するが溶接開始信号の出力を停止し、前記溶接開始スイッチが投入されておりしかも前記溶接制御部から出力された前記電流検出信号が入力されているときに溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号及び溶接開始信号の出力を停止するように制御するプリフロー制御部と、
前記溶接開始スイッチが最初に投入されてその後に開放された時点から、予め設定した時間経過するまでに前記溶接開始スイッチが再投入されない場合に、前記溶接制御部によるガスを出す制御を停止させる解除部と、を有することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置を示すブロック図である。同図に示す本実施の形態において、溶接開始スイッチ11は操作者により投入(ON)・開放(OFF)される。
プリフロー制御部12は、溶接開始スイッチ11のON・OFF状態と、溶接制御部13から出力されるアーク電流検出信号SAの入力・非入力とに応じて、溶接開始信号SW及びガス信号SGの出力制御をする(詳細は後述する)。
【0014】
溶接制御部13は、プリフロー制御部12から出力される溶接開始信号SWが入力されると、溶接電圧を印加する制御を行うと同時にワイヤー送りをする制御を行う。また、プリフロー制御部12から出力されるガス信号SGが入力されると、ガスを出す制御をする。更に、溶接電圧を印加した状態でワイヤーを母材に接触させるとアークが発生するが、溶接制御部13は、このようにしてアークが発生してアーク電流が流れたことを検出して、アーク電流検出信号SAをプリフロー制御部12に向けて出力する。
【0015】
次に、本実施の形態の全体動作を、プリフロー制御部12の機能動作と併せて説明する。
【0016】
まず、図1及び制御タイミングチャートである図2を参照して、プリフロー使用時の動作を説明する。溶接開始スイッチ11を最初にONすると、プリフロー制御部12は、溶接制御部13に向けて溶接開始信号SWとガス信号SGを出力する。
【0017】
溶接制御部13は、プリフロー制御部12から出力された溶接開始信号SWが入力されるため、溶接電圧を印加する制御を行うと同時にワイヤー送りをする制御を行う。また、プリフロー制御部12から出力されたガス信号SGが入力されるため、ガスを出す制御をする。このため、溶接開始スイッチ11を最初にONすると、直ちにガスが出ると共に、溶接電圧が印加され且つワイヤー送りがされる。
【0018】
上記のようにして、ガスが出ると共に、溶接電圧が印加され且つワイヤー送りがされる状態において、ワイヤーを母材に接触させないでおくと、アークは発生せず(溶接は行われず)、このためアーク電流検出信号SAは出力されない。
【0019】
アーク電流検出信号SAがプリフロー制御部12に入力されない状態において、ONされていた溶接開始スイッチ11が最初にOFFされると、プリフロー制御部12は、ガス信号SGは継続して出力するが、溶接開始信号SWは出力しなくなる。この結果、溶接制御部13は、ガスを出す制御は継続して行うが、溶接電圧の印加及びワイヤー送りを一旦停止する。このため、アークが発生せずガスのみが出るプリフロー制御が行われる。プリフロー時間は、溶接開始スイッチ11が最初にONされた時点から、溶接開始スイッチ11が最初にOFFされた時点までの時間により決定される。したがって、プリフロー時間は、操作者により任意に調整することができる。
【0020】
次に、ワイヤーを母材にタッチさせた状態で、溶接開始スイッチ11を再投入(再ON)すると、プリフロー制御部12は、溶接制御部13に向けて溶接開始信号SWを再び出力すると共に、ガス信号SGを継続して出力する。
【0021】
溶接制御部13は、プリフロー制御部12から出力された溶接開始信号SWが入力されるため、溶接電圧を印加する制御を行うと同時にワイヤー送りをする制御を行う。また、プリフロー制御部12から出力されたガス信号SGが継続して入力されているため、ガスを出す制御を継続する。このため、溶接開始スイッチ11を再ONすると、ガスが継続して出ると共に、溶接電圧が印加され且つワイヤー送りがされ、通常の溶接が進行する。このとき、ワイヤーを母材にタッチさせた状態となっているため、アークが発生してアーク電流検出信号SAがプリフロー制御部12に入力される。
【0022】
アーク電流検出信号SAがプリフロー制御部12に入力されている状態において、再ONされていた溶接開始スイッチ11が再開放(再OFF)されると、プリフロー制御部12は、ガス信号SG及び溶接開始スイッチSWを出力しなくなる。この結果、溶接制御部13は、ガスを出す制御ならびに、溶接電圧の印加及びワイヤー送りを停止する。かくして、通常の溶接動作が終了する。
【0023】
次に、図1及び制御タイミングチャートである図3を参照して、プリフロー不使用時の動作を説明する。溶接開始スイッチ11を最初にONすると、プリフロー制御部12は、溶接制御部13に向けて溶接開始信号SWとガス信号SGを出力する。
【0024】
溶接制御部13は、プリフロー制御部12から出力された溶接開始信号SWが入力されるため、溶接電圧を印加する制御を行うと同時にワイヤー送りをする制御を行う。また、プリフロー制御部12から出力されたガス信号SGが入力されるため、ガスを出す制御をする。このため、溶接開始スイッチ11を最初にONすると、直ちにガスが出ると共に、溶接電圧が印加され且つワイヤー送りがされ、通常の溶接が可能な状態となる。
【0025】
この後に、ワイヤーを母材に接触させると、アークが発生し、溶接制御部13にて検出されたアーク電電流検出信号SAが、プリフロー制御部12に入力される。
【0026】
このように、溶接開始スイッチ11を最初にONした後の状態において、ワイヤーを母材に接触させてアーク電流検出信号SAがプリフロー制御部12に入力されると、プリフロー制御部12は、プリフローをキャンセルする。つまり、溶接開始スイッチ11を最初にONした後の状態において、アーク電流検出信号SAがプリフロー制御部12に入力された場合には、ONされていた溶接開始スイッチ11が最初にOFFされると、プリフロー制御部12は、溶接開始信号SW及びガス信号SGの出力を同時に停止する。このため、溶接が停止する。
【0027】
換言すると、溶接開始スイッチ11を最初にONしてからワイヤーを母材に接触させると、プリフロー制御を行うことなく通常の溶接が進行し、その後に最初にOFFすると、通常の溶接が終了する。
【0028】
ここで、プリフロー制御部12の動作をまとめておくと、次のようになる。
(1)溶接開始スイッチ11がONされると、溶接開始信号SW及びガス信号SGを出力する(例えば、図2における最初のONや、再ONや、図3における最初のONのときの動作)。
(2)溶接開始スイッチ11がONされた後、電流検出信号SAが入力されることなく、溶接開始スイッチ11がOFFされると、ガス信号SGは継続して出力するが、溶接開始信号SWの出力を停止する(例えば図2における最初のOFFの動作)。
(3)溶接開始スイッチがONされており、しかも、電流検出スイッチSWが入力されているときに、溶接開始スイッチ11がOFFされると、ガス信号SG及び溶接開始信号SWの出力を停止する(図2における再OFFや図3における最初のOFFの動作)。
【0029】
上述したように本実施の形態では、プリフロー時間は、ワイヤーを母材に接触させない状態に保持しつつ、溶接開始スイッチ11を再投入するタイミングにより調整することができる。このため作業者は、溶接作業時において、簡単にプリフロー時間を任意に調整することができる。従来ではプリフロー時間を変えたい場合にはタイマーの調整が必要であり、プリフロー時間の変更を溶接作業時に行うことは困難であり、しかも、変更設定を行うのが面倒であったが、本実施の形態では、溶接開始スイッチ11の投入という極めて自然で簡便な操作により、プリフロー時間の変更ができるという長所がある。
【0030】
しかも、本実施の形態では、アークが発生するタイミングは、溶接開始スイッチ11を再投入するタイミングと一致しているため、作業者はアーク発生のタイミングを自分の意志どうりに合わせることができる。したがって、熟練を要することなく、アーク発生タイミングを認識して良好な溶接を行うことができる。
【0031】
更に、溶接開始スイッチ11をONした後に、ワイヤーを母材に接触させることにより、プリフローを解除して通常の溶接に簡単に移行することができる。
【0032】
〔実施例〕
次に、本発明の最適な実施例を図4を参照しつつ説明する。この実施例は、リレーシーケンスにより構成したものである。
【0033】
図4に示すように、この実施例にかかるガスシールド溶接のプリフロー制御装置は、操作スイッチ部21と、プリフロー制御部22と、溶接制御部23と、解除部24とで構成されている。
【0034】
上記各機能部21〜24は、溶接開始スイッチ11と、溶接制御シーケンス部30と、各種リレー(後述する)とで構成されている。
【0035】
第1のリレーは、リレーコイルRY1と接点ry1−1,ry1−2,ry1−3とで形成されている。
第2のリレーは、リレーコイルRY2と接点ry2−1,ry2−2とで形成されている。
第3のリレーは、リレーコイルRY3と接点ry3−1とで形成されている。
タイマは、タイマコイルTと接点tとで形成されている。
また、アーク電流が流れたことを溶接制御シーケンス部30が検出すると、アーク電流検出信号SAが出力され、電流検出接点C1が作動(開放)するようになっている。
【0036】
次に、本実施例の具体的な操作動作を、プリフロー操作時のタイムチャートを示す図5と、プリフローキャンセル時のタイムチャートを示す図6と、アークを出さなかったときのタイムチャートを示す図7を参照して説明する。
【0037】
本実施例において、操作スイッチ部21の溶接開始スイッチ11を投入すると、タイマコイルRY1が励磁されて、接点ry1−1,ry1−3が投入されると共に接点ry1−2が開放する(図5,図6,図7参照)。
【0038】
接点ry1−1が投入されると、リレーコイルRY2が励磁されて接点ry2−1,ry2−2が投入される。接点ry2−2の投入がガス信号の出力に相当し、これにより、溶接制御シーケンス部30はガスを出す制御を開始しプリフローが行われる。また、接点ry2−1の投入によりリレーコイルRY2の自己保持が行われる(図5,図6,図7参照)。
【0039】
接点ry1−3の投入が溶接開始信号の出力に相当し、これにより、溶接制御シーケンス部30は、溶接電圧を印加する制御を行うと同時にワイヤー送りをする制御を行う。ただし、溶接ワイヤーを母材に接触する前に溶接開始スイッチ11を切ればアークは出ない。(図5,図6,図7参照)。
【0040】
ここで、溶接ワイヤーを母材に接触させ、アークを発生させることにより電流検出接点C1が開放すると、プリフロー制御が解除され、溶接開始スイッチ11がOFFになるまで溶接を継続し、通常の溶接操作と同じ要領でアークを出すことができる(図6参照)。
【0041】
投入されていた溶接開始スイッチ11を開放すると、リレーコイルRY1が消磁して接点ry1−2が投入されて、リレーコイルRY3が励磁される。リレーコイルRY3の励磁により接点ry3−1が投入される。接点ry3−1の投入によりタイマコイルTが励磁されてタイマ動作が開始される(図5,図7参照)。
【0042】
溶接開始スイッチ11の再投入が行われることなく、タイマのタイマ時間が経過してしまうと、図7に示すように、タイムアップして接点tが開放される。そうすると、リレーコイルRY2が消磁され、リレーry2−1が開放されて自己保持が解除されると共に、接点ry2−2が開放され溶接制御シーケンス部30によりガスの出力が停止される。このように、溶接開始スイッチSW1の開放からタイマ時間経過するまでに、溶接開始スイッチSW1が再投入されないで接点ry2−2が開放された場合には、一旦実行されていたガスの出力が停止される。
【0043】
タイマのタイマ時間が経過する前に、溶接開始スイッチ11が再投入されると、図5に示すように、リレーコイルRY1が励磁して接点ry1−3が投入される。この接点ry1−3の投入が溶接開始信号の出力に相当し、これにより、溶接制御シーケンス部30は溶接電圧を印加する制御を行うと同時にワイヤー送りをする制御を行う。このとき、溶接ワイヤーを母材に接触させるので、アークが発生して溶接が実行される。
【0044】
また溶接制御シーケンス部30により、アーク用の電流を検出すると、電流検出接点C1が開放され、リレーコイルRY2が消磁され第2のリレーの自己保持が解除される。
【0045】
溶接が完了したら、溶接開始スイッチ11を開放する。そうすると、リレーコイルRY1が消磁され、ガスの出力及びアークの発生が停止される。
【0046】
以上の動作により、溶接ワイヤーを母材に接触させることなく溶接開始スイッチ11を最初に投入した時点でガスが出力され、その後に溶接ワイヤーを母材に接触させた状態で溶接開始スイッチ11を再投入した時点からアークが形成される。このため、溶接作業時にプリフロー時間を任意に調整することができると共に、アーク発生のタイミングを作業者の意志に合わせたものとすることができ、作業効率が向上する。
【0047】
また、溶接開始スイッチ11を最初に投入してからその後に開放した時点から、溶接開始スイッチ11を再投入することなくタイマ時間が経過してしまうと、一旦出力されていたガスも停止する。このため安全性も向上した。
【0048】
更に、溶接開始スイッチ11をONした後に、ワイヤーを母材に接触させることにより、プリフローを解除して通常の溶接に簡単に移行することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上具体的に説明したように、本発明では、溶接開始スイッチと、
ガス信号が入力されるとガスを出す制御をし、溶接開始信号が入力されると溶接電圧を印加する制御をすると共にワイヤー送りをする制御をし、溶接電圧を印加した状態でワイヤーが母材に接触してアーク電流が流れるとアーク電流検出信号を出力する溶接制御部と、
前記溶接開始スイッチが投入されると、溶接開始信号及びガス信号を前記溶接制御部に向けて出力し、前記溶接開始スイッチが投入された後に前記溶接制御部から出力された電流検出信号が入力されることなく前記溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号は継続して出力するが溶接開始信号の出力を停止し、前記溶接開始スイッチが投入されておりしかも前記溶接制御部から出力された前記電流検出信号が入力されているときに溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号及び溶接開始信号の出力を停止するように制御するプリフロー制御部と、を有する構成とした。
【0050】
また本発明では溶接開始スイッチと、
ガス信号が入力されるとガスを出す制御をし、溶接開始信号が入力されると溶接電圧を印加する制御をすると共にワイヤー送りをする制御をし、溶接電圧を印加した状態でワイヤーが母材に接触してアーク電流が流れるとアーク電流検出信号を出力する溶接制御部と、
前記溶接開始スイッチが投入されると、溶接開始信号及びガス信号を前記溶接制御部に向けて出力し、前記溶接開始スイッチが投入された後に前記溶接制御部から出力された電流検出信号が入力されることなく前記溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号は継続して出力するが溶接開始信号の出力を停止し、前記溶接開始スイッチが投入されておりしかも前記溶接制御部から出力された前記電流検出信号が入力されているときに溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号及び溶接開始信号の出力を停止するように制御するプリフロー制御部と、
前記溶接開始スイッチが最初に投入されてその後に開放された時点から、予め設定した時間経過するまでに前記溶接開始スイッチが再投入されない場合に、前記溶接制御部によるガスを出す制御を停止させる解除部と、を有する構成とした。
【0051】
このため、本発明では、溶接開始スイッチの操作によりプリフロー時間を任意に調整できるため、溶接部位及び溶接環境に応じたプリフロー時間調整を俊敏に行うことができる。また、溶接開始スイッチを再投入した時点でアークが発生するため、アーク発生のタイミングを作業者の意志に合わせたものとすることができ、アーク発生のタイミングを勘に頼ることがなくなり、熟練者でなくても作業効率が向上する。
【0052】
また、溶接開始スイッチを最初に投入してからその後に開放した時点から設定時間経過しても溶接開始スイッチが再投入されない場合には、一旦出力されていたガスが、解除部の制御により停止されるため、安全性も向上する。
【0053】
プリフローを行わないときは、溶接開始スイッチの最初の投入の後にワイヤーを母材に接触させるとアークが発生して、プリフロー制御をキャンセルすることができる。したがって、操作モードの変更なくプリフロー制御なしの通常の溶接ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置の、プリフロー使用時における制御状態を示すタイミングチャート。
【図3】本発明の実施の形態に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置の、プリフロー不使用時における制御状態を示すタイミングチャート。
【図4】本発明の実施例に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置を示すブロック図。
【図5】本発明の実施例に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置の、プリフロー使用時における制御状態を示すタイミングチャート。
【図6】本発明の実施例に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置の、プリフロー不使用時における制御状態を示すタイミングチャート。
【図7】本発明の実施例に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置の、アーク非形成時における制御状態を示すタイミングチャート。
【図8】従来のプリフロー制御装置を示すブロック図。
【図9】従来のプリフロー制御装置の制御状態を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
11 溶接開始スイッチ
12 プリフロー制御部
13 溶接制御部
21 操作スイッチ部
22 プリフロー制御部
23 溶接制御部
24 解除部
30 溶接制御シーケンス部
SW 溶接開始信号
SG ガス信号
SA アーク電流検出信号
【発明の属する技術分野】
本発明はガスシールド溶接のプリフロー制御装置に関し、溶接開始時にプリフロー時間を簡単かつ任意に調整することができるように工夫したものであり、しかも、プリフロー無しの溶接も簡単に選択することができるように工夫したものである。
【0002】
【従来の技術】
ガスシールド溶接では、溶接部をガス雰囲気によりシールドしこのガス雰囲気中にてアークを発生させて溶接を行っている。このガスシールド溶接の溶接開始部では、溶接部に欠陥が入らないように、プリフロー制御をしている。このプリフロー制御とは、アーク発生に先行してガスを出して溶接部のシールドを行い、その後にアークを発生させる制御である。
【0003】
ここで、従来のプリフロー制御装置の概要を、ブロック図である図8、及び制御タイミングチャートである図9を参照して説明する。まず溶接開始スイッチ1を投入すると、プリフロー制御部2はガス信号SGを溶接制御部3に送る。溶接制御部3はガス信号SGが入力されるとガスを出す制御をする。このようにして、溶接開始スイッチ1を投入すると、直ちにガスが出る。
【0004】
また、プリフロー制御部2は、タイマーを内蔵しており、溶接開始スイッチ1が投入されてから、前記タイマーに予め設定されているタイマー設定時間が経過すると、溶接開始信号SWを溶接制御部3に送る。溶接制御部3は、溶接開始信号SWが入力されるとアークを発生させる制御をする。このため、溶接開始スイッチ1が投入されてから、タイマー設定時間が経過すると、アークが発生する。
【0005】
かくして、ガスが先行して出てから後にアークが発生するプリフロー制御が行われている。なお、プリフロー時間(ガス出力からアーク発生までの時間)は、タイマー設定時間により決定される。したがって、プリフロー時間を変更するには、プリフロー制御部2に内蔵してあるタイマーを調整して、タイマー設定時間を変更しなければならない。換言すると、従来では、プリフロー時間は半固定であった。
【0006】
なお、溶接制御部3では、プリフロー制御は行わない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術では、次のような課題があった。
【0008】
(1)溶接部位形状または溶接環境等によってプリフロー時間を変えたい場合には、タイマーの調整が必要になる。このため半自動で溶接する場合には、常に部位形状及び環境が変わるため、最適なプリフロー制御を得るにはタイマー調整を頻繁に行わなければならず、煩雑である。
【0009】
(2)溶接操作を行ってから(即ち溶接開始スイッチ1を投入してから)、アークが出る時点までのタイミングが機械的に決まってしまうので、作業者にとっては不意をつかれたようなかたちでアークが発生するため、溶接開始のタイミングを勘で計らなければならず、熟練を要していた。
【0010】
本発明は、上記従来技術に鑑み、溶接作業の際にプリフロー時間を簡単かつ任意に調整することができ、しかも、プリフロー無しの溶接も簡単に選択することができるガスシールド溶接のプリフロー制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の構成は、溶接開始スイッチと、
ガス信号が入力されるとガスを出す制御をし、溶接開始信号が入力されると溶接電圧を印加する制御をすると共にワイヤー送りをする制御をし、溶接電圧を印加した状態でワイヤーが母材に接触してアーク電流が流れるとアーク電流検出信号を出力する溶接制御部と、
前記溶接開始スイッチが投入されると、溶接開始信号及びガス信号を前記溶接制御部に向けて出力し、前記溶接開始スイッチが投入された後に前記溶接制御部から出力された電流検出信号が入力されることなく前記溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号は継続して出力するが溶接開始信号の出力を停止し、前記溶接開始スイッチが投入されておりしかも前記溶接制御部から出力された前記電流検出信号が入力されているときに溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号及び溶接開始信号の出力を停止するように制御するプリフロー制御部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また本発明の構成は、溶接開始スイッチと、
ガス信号が入力されるとガスを出す制御をし、溶接開始信号が入力されると溶接電圧を印加する制御をすると共にワイヤー送りをする制御をし、溶接電圧を印加した状態でワイヤーが母材に接触してアーク電流が流れるとアーク電流検出信号を出力する溶接制御部と、
前記溶接開始スイッチが投入されると、溶接開始信号及びガス信号を前記溶接制御部に向けて出力し、前記溶接開始スイッチが投入された後に前記溶接制御部から出力された電流検出信号が入力されることなく前記溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号は継続して出力するが溶接開始信号の出力を停止し、前記溶接開始スイッチが投入されておりしかも前記溶接制御部から出力された前記電流検出信号が入力されているときに溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号及び溶接開始信号の出力を停止するように制御するプリフロー制御部と、
前記溶接開始スイッチが最初に投入されてその後に開放された時点から、予め設定した時間経過するまでに前記溶接開始スイッチが再投入されない場合に、前記溶接制御部によるガスを出す制御を停止させる解除部と、を有することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置を示すブロック図である。同図に示す本実施の形態において、溶接開始スイッチ11は操作者により投入(ON)・開放(OFF)される。
プリフロー制御部12は、溶接開始スイッチ11のON・OFF状態と、溶接制御部13から出力されるアーク電流検出信号SAの入力・非入力とに応じて、溶接開始信号SW及びガス信号SGの出力制御をする(詳細は後述する)。
【0014】
溶接制御部13は、プリフロー制御部12から出力される溶接開始信号SWが入力されると、溶接電圧を印加する制御を行うと同時にワイヤー送りをする制御を行う。また、プリフロー制御部12から出力されるガス信号SGが入力されると、ガスを出す制御をする。更に、溶接電圧を印加した状態でワイヤーを母材に接触させるとアークが発生するが、溶接制御部13は、このようにしてアークが発生してアーク電流が流れたことを検出して、アーク電流検出信号SAをプリフロー制御部12に向けて出力する。
【0015】
次に、本実施の形態の全体動作を、プリフロー制御部12の機能動作と併せて説明する。
【0016】
まず、図1及び制御タイミングチャートである図2を参照して、プリフロー使用時の動作を説明する。溶接開始スイッチ11を最初にONすると、プリフロー制御部12は、溶接制御部13に向けて溶接開始信号SWとガス信号SGを出力する。
【0017】
溶接制御部13は、プリフロー制御部12から出力された溶接開始信号SWが入力されるため、溶接電圧を印加する制御を行うと同時にワイヤー送りをする制御を行う。また、プリフロー制御部12から出力されたガス信号SGが入力されるため、ガスを出す制御をする。このため、溶接開始スイッチ11を最初にONすると、直ちにガスが出ると共に、溶接電圧が印加され且つワイヤー送りがされる。
【0018】
上記のようにして、ガスが出ると共に、溶接電圧が印加され且つワイヤー送りがされる状態において、ワイヤーを母材に接触させないでおくと、アークは発生せず(溶接は行われず)、このためアーク電流検出信号SAは出力されない。
【0019】
アーク電流検出信号SAがプリフロー制御部12に入力されない状態において、ONされていた溶接開始スイッチ11が最初にOFFされると、プリフロー制御部12は、ガス信号SGは継続して出力するが、溶接開始信号SWは出力しなくなる。この結果、溶接制御部13は、ガスを出す制御は継続して行うが、溶接電圧の印加及びワイヤー送りを一旦停止する。このため、アークが発生せずガスのみが出るプリフロー制御が行われる。プリフロー時間は、溶接開始スイッチ11が最初にONされた時点から、溶接開始スイッチ11が最初にOFFされた時点までの時間により決定される。したがって、プリフロー時間は、操作者により任意に調整することができる。
【0020】
次に、ワイヤーを母材にタッチさせた状態で、溶接開始スイッチ11を再投入(再ON)すると、プリフロー制御部12は、溶接制御部13に向けて溶接開始信号SWを再び出力すると共に、ガス信号SGを継続して出力する。
【0021】
溶接制御部13は、プリフロー制御部12から出力された溶接開始信号SWが入力されるため、溶接電圧を印加する制御を行うと同時にワイヤー送りをする制御を行う。また、プリフロー制御部12から出力されたガス信号SGが継続して入力されているため、ガスを出す制御を継続する。このため、溶接開始スイッチ11を再ONすると、ガスが継続して出ると共に、溶接電圧が印加され且つワイヤー送りがされ、通常の溶接が進行する。このとき、ワイヤーを母材にタッチさせた状態となっているため、アークが発生してアーク電流検出信号SAがプリフロー制御部12に入力される。
【0022】
アーク電流検出信号SAがプリフロー制御部12に入力されている状態において、再ONされていた溶接開始スイッチ11が再開放(再OFF)されると、プリフロー制御部12は、ガス信号SG及び溶接開始スイッチSWを出力しなくなる。この結果、溶接制御部13は、ガスを出す制御ならびに、溶接電圧の印加及びワイヤー送りを停止する。かくして、通常の溶接動作が終了する。
【0023】
次に、図1及び制御タイミングチャートである図3を参照して、プリフロー不使用時の動作を説明する。溶接開始スイッチ11を最初にONすると、プリフロー制御部12は、溶接制御部13に向けて溶接開始信号SWとガス信号SGを出力する。
【0024】
溶接制御部13は、プリフロー制御部12から出力された溶接開始信号SWが入力されるため、溶接電圧を印加する制御を行うと同時にワイヤー送りをする制御を行う。また、プリフロー制御部12から出力されたガス信号SGが入力されるため、ガスを出す制御をする。このため、溶接開始スイッチ11を最初にONすると、直ちにガスが出ると共に、溶接電圧が印加され且つワイヤー送りがされ、通常の溶接が可能な状態となる。
【0025】
この後に、ワイヤーを母材に接触させると、アークが発生し、溶接制御部13にて検出されたアーク電電流検出信号SAが、プリフロー制御部12に入力される。
【0026】
このように、溶接開始スイッチ11を最初にONした後の状態において、ワイヤーを母材に接触させてアーク電流検出信号SAがプリフロー制御部12に入力されると、プリフロー制御部12は、プリフローをキャンセルする。つまり、溶接開始スイッチ11を最初にONした後の状態において、アーク電流検出信号SAがプリフロー制御部12に入力された場合には、ONされていた溶接開始スイッチ11が最初にOFFされると、プリフロー制御部12は、溶接開始信号SW及びガス信号SGの出力を同時に停止する。このため、溶接が停止する。
【0027】
換言すると、溶接開始スイッチ11を最初にONしてからワイヤーを母材に接触させると、プリフロー制御を行うことなく通常の溶接が進行し、その後に最初にOFFすると、通常の溶接が終了する。
【0028】
ここで、プリフロー制御部12の動作をまとめておくと、次のようになる。
(1)溶接開始スイッチ11がONされると、溶接開始信号SW及びガス信号SGを出力する(例えば、図2における最初のONや、再ONや、図3における最初のONのときの動作)。
(2)溶接開始スイッチ11がONされた後、電流検出信号SAが入力されることなく、溶接開始スイッチ11がOFFされると、ガス信号SGは継続して出力するが、溶接開始信号SWの出力を停止する(例えば図2における最初のOFFの動作)。
(3)溶接開始スイッチがONされており、しかも、電流検出スイッチSWが入力されているときに、溶接開始スイッチ11がOFFされると、ガス信号SG及び溶接開始信号SWの出力を停止する(図2における再OFFや図3における最初のOFFの動作)。
【0029】
上述したように本実施の形態では、プリフロー時間は、ワイヤーを母材に接触させない状態に保持しつつ、溶接開始スイッチ11を再投入するタイミングにより調整することができる。このため作業者は、溶接作業時において、簡単にプリフロー時間を任意に調整することができる。従来ではプリフロー時間を変えたい場合にはタイマーの調整が必要であり、プリフロー時間の変更を溶接作業時に行うことは困難であり、しかも、変更設定を行うのが面倒であったが、本実施の形態では、溶接開始スイッチ11の投入という極めて自然で簡便な操作により、プリフロー時間の変更ができるという長所がある。
【0030】
しかも、本実施の形態では、アークが発生するタイミングは、溶接開始スイッチ11を再投入するタイミングと一致しているため、作業者はアーク発生のタイミングを自分の意志どうりに合わせることができる。したがって、熟練を要することなく、アーク発生タイミングを認識して良好な溶接を行うことができる。
【0031】
更に、溶接開始スイッチ11をONした後に、ワイヤーを母材に接触させることにより、プリフローを解除して通常の溶接に簡単に移行することができる。
【0032】
〔実施例〕
次に、本発明の最適な実施例を図4を参照しつつ説明する。この実施例は、リレーシーケンスにより構成したものである。
【0033】
図4に示すように、この実施例にかかるガスシールド溶接のプリフロー制御装置は、操作スイッチ部21と、プリフロー制御部22と、溶接制御部23と、解除部24とで構成されている。
【0034】
上記各機能部21〜24は、溶接開始スイッチ11と、溶接制御シーケンス部30と、各種リレー(後述する)とで構成されている。
【0035】
第1のリレーは、リレーコイルRY1と接点ry1−1,ry1−2,ry1−3とで形成されている。
第2のリレーは、リレーコイルRY2と接点ry2−1,ry2−2とで形成されている。
第3のリレーは、リレーコイルRY3と接点ry3−1とで形成されている。
タイマは、タイマコイルTと接点tとで形成されている。
また、アーク電流が流れたことを溶接制御シーケンス部30が検出すると、アーク電流検出信号SAが出力され、電流検出接点C1が作動(開放)するようになっている。
【0036】
次に、本実施例の具体的な操作動作を、プリフロー操作時のタイムチャートを示す図5と、プリフローキャンセル時のタイムチャートを示す図6と、アークを出さなかったときのタイムチャートを示す図7を参照して説明する。
【0037】
本実施例において、操作スイッチ部21の溶接開始スイッチ11を投入すると、タイマコイルRY1が励磁されて、接点ry1−1,ry1−3が投入されると共に接点ry1−2が開放する(図5,図6,図7参照)。
【0038】
接点ry1−1が投入されると、リレーコイルRY2が励磁されて接点ry2−1,ry2−2が投入される。接点ry2−2の投入がガス信号の出力に相当し、これにより、溶接制御シーケンス部30はガスを出す制御を開始しプリフローが行われる。また、接点ry2−1の投入によりリレーコイルRY2の自己保持が行われる(図5,図6,図7参照)。
【0039】
接点ry1−3の投入が溶接開始信号の出力に相当し、これにより、溶接制御シーケンス部30は、溶接電圧を印加する制御を行うと同時にワイヤー送りをする制御を行う。ただし、溶接ワイヤーを母材に接触する前に溶接開始スイッチ11を切ればアークは出ない。(図5,図6,図7参照)。
【0040】
ここで、溶接ワイヤーを母材に接触させ、アークを発生させることにより電流検出接点C1が開放すると、プリフロー制御が解除され、溶接開始スイッチ11がOFFになるまで溶接を継続し、通常の溶接操作と同じ要領でアークを出すことができる(図6参照)。
【0041】
投入されていた溶接開始スイッチ11を開放すると、リレーコイルRY1が消磁して接点ry1−2が投入されて、リレーコイルRY3が励磁される。リレーコイルRY3の励磁により接点ry3−1が投入される。接点ry3−1の投入によりタイマコイルTが励磁されてタイマ動作が開始される(図5,図7参照)。
【0042】
溶接開始スイッチ11の再投入が行われることなく、タイマのタイマ時間が経過してしまうと、図7に示すように、タイムアップして接点tが開放される。そうすると、リレーコイルRY2が消磁され、リレーry2−1が開放されて自己保持が解除されると共に、接点ry2−2が開放され溶接制御シーケンス部30によりガスの出力が停止される。このように、溶接開始スイッチSW1の開放からタイマ時間経過するまでに、溶接開始スイッチSW1が再投入されないで接点ry2−2が開放された場合には、一旦実行されていたガスの出力が停止される。
【0043】
タイマのタイマ時間が経過する前に、溶接開始スイッチ11が再投入されると、図5に示すように、リレーコイルRY1が励磁して接点ry1−3が投入される。この接点ry1−3の投入が溶接開始信号の出力に相当し、これにより、溶接制御シーケンス部30は溶接電圧を印加する制御を行うと同時にワイヤー送りをする制御を行う。このとき、溶接ワイヤーを母材に接触させるので、アークが発生して溶接が実行される。
【0044】
また溶接制御シーケンス部30により、アーク用の電流を検出すると、電流検出接点C1が開放され、リレーコイルRY2が消磁され第2のリレーの自己保持が解除される。
【0045】
溶接が完了したら、溶接開始スイッチ11を開放する。そうすると、リレーコイルRY1が消磁され、ガスの出力及びアークの発生が停止される。
【0046】
以上の動作により、溶接ワイヤーを母材に接触させることなく溶接開始スイッチ11を最初に投入した時点でガスが出力され、その後に溶接ワイヤーを母材に接触させた状態で溶接開始スイッチ11を再投入した時点からアークが形成される。このため、溶接作業時にプリフロー時間を任意に調整することができると共に、アーク発生のタイミングを作業者の意志に合わせたものとすることができ、作業効率が向上する。
【0047】
また、溶接開始スイッチ11を最初に投入してからその後に開放した時点から、溶接開始スイッチ11を再投入することなくタイマ時間が経過してしまうと、一旦出力されていたガスも停止する。このため安全性も向上した。
【0048】
更に、溶接開始スイッチ11をONした後に、ワイヤーを母材に接触させることにより、プリフローを解除して通常の溶接に簡単に移行することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上具体的に説明したように、本発明では、溶接開始スイッチと、
ガス信号が入力されるとガスを出す制御をし、溶接開始信号が入力されると溶接電圧を印加する制御をすると共にワイヤー送りをする制御をし、溶接電圧を印加した状態でワイヤーが母材に接触してアーク電流が流れるとアーク電流検出信号を出力する溶接制御部と、
前記溶接開始スイッチが投入されると、溶接開始信号及びガス信号を前記溶接制御部に向けて出力し、前記溶接開始スイッチが投入された後に前記溶接制御部から出力された電流検出信号が入力されることなく前記溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号は継続して出力するが溶接開始信号の出力を停止し、前記溶接開始スイッチが投入されておりしかも前記溶接制御部から出力された前記電流検出信号が入力されているときに溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号及び溶接開始信号の出力を停止するように制御するプリフロー制御部と、を有する構成とした。
【0050】
また本発明では溶接開始スイッチと、
ガス信号が入力されるとガスを出す制御をし、溶接開始信号が入力されると溶接電圧を印加する制御をすると共にワイヤー送りをする制御をし、溶接電圧を印加した状態でワイヤーが母材に接触してアーク電流が流れるとアーク電流検出信号を出力する溶接制御部と、
前記溶接開始スイッチが投入されると、溶接開始信号及びガス信号を前記溶接制御部に向けて出力し、前記溶接開始スイッチが投入された後に前記溶接制御部から出力された電流検出信号が入力されることなく前記溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号は継続して出力するが溶接開始信号の出力を停止し、前記溶接開始スイッチが投入されておりしかも前記溶接制御部から出力された前記電流検出信号が入力されているときに溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号及び溶接開始信号の出力を停止するように制御するプリフロー制御部と、
前記溶接開始スイッチが最初に投入されてその後に開放された時点から、予め設定した時間経過するまでに前記溶接開始スイッチが再投入されない場合に、前記溶接制御部によるガスを出す制御を停止させる解除部と、を有する構成とした。
【0051】
このため、本発明では、溶接開始スイッチの操作によりプリフロー時間を任意に調整できるため、溶接部位及び溶接環境に応じたプリフロー時間調整を俊敏に行うことができる。また、溶接開始スイッチを再投入した時点でアークが発生するため、アーク発生のタイミングを作業者の意志に合わせたものとすることができ、アーク発生のタイミングを勘に頼ることがなくなり、熟練者でなくても作業効率が向上する。
【0052】
また、溶接開始スイッチを最初に投入してからその後に開放した時点から設定時間経過しても溶接開始スイッチが再投入されない場合には、一旦出力されていたガスが、解除部の制御により停止されるため、安全性も向上する。
【0053】
プリフローを行わないときは、溶接開始スイッチの最初の投入の後にワイヤーを母材に接触させるとアークが発生して、プリフロー制御をキャンセルすることができる。したがって、操作モードの変更なくプリフロー制御なしの通常の溶接ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置の、プリフロー使用時における制御状態を示すタイミングチャート。
【図3】本発明の実施の形態に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置の、プリフロー不使用時における制御状態を示すタイミングチャート。
【図4】本発明の実施例に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置を示すブロック図。
【図5】本発明の実施例に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置の、プリフロー使用時における制御状態を示すタイミングチャート。
【図6】本発明の実施例に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置の、プリフロー不使用時における制御状態を示すタイミングチャート。
【図7】本発明の実施例に係るガスシールド溶接のプリフロー制御装置の、アーク非形成時における制御状態を示すタイミングチャート。
【図8】従来のプリフロー制御装置を示すブロック図。
【図9】従来のプリフロー制御装置の制御状態を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
11 溶接開始スイッチ
12 プリフロー制御部
13 溶接制御部
21 操作スイッチ部
22 プリフロー制御部
23 溶接制御部
24 解除部
30 溶接制御シーケンス部
SW 溶接開始信号
SG ガス信号
SA アーク電流検出信号
Claims (2)
- 溶接開始スイッチと、
ガス信号が入力されるとガスを出す制御をし、溶接開始信号が入力されると溶接電圧を印加する制御をすると共にワイヤー送りをする制御をし、溶接電圧を印加した状態でワイヤーが母材に接触してアーク電流が流れるとアーク電流検出信号を出力する溶接制御部と、
前記溶接開始スイッチが投入されると、溶接開始信号及びガス信号を前記溶接制御部に向けて出力し、前記溶接開始スイッチが投入された後に前記溶接制御部から出力された電流検出信号が入力されることなく前記溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号は継続して出力するが溶接開始信号の出力を停止し、前記溶接開始スイッチが投入されておりしかも前記溶接制御部から出力された前記電流検出信号が入力されているときに溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号及び溶接開始信号の出力を停止するように制御するプリフロー制御部と、
を有することを特徴とするガスシールド溶接のプリフロー制御装置。 - 溶接開始スイッチと、
ガス信号が入力されるとガスを出す制御をし、溶接開始信号が入力されると溶接電圧を印加する制御をすると共にワイヤー送りをする制御をし、溶接電圧を印加した状態でワイヤーが母材に接触してアーク電流が流れるとアーク電流検出信号を出力する溶接制御部と、
前記溶接開始スイッチが投入されると、溶接開始信号及びガス信号を前記溶接制御部に向けて出力し、前記溶接開始スイッチが投入された後に前記溶接制御部から出力された電流検出信号が入力されることなく前記溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号は継続して出力するが溶接開始信号の出力を停止し、前記溶接開始スイッチが投入されておりしかも前記溶接制御部から出力された前記電流検出信号が入力されているときに溶接開始スイッチが開放されると、ガス信号及び溶接開始信号の出力を停止するように制御するプリフロー制御部と、
前記溶接開始スイッチが最初に投入されてその後に開放された時点から、予め設定した時間経過するまでに前記溶接開始スイッチが再投入されない場合に、前記溶接制御部によるガスを出す制御を停止させる解除部と、
を有することを特徴とするガスシールド溶接のプリフロー制御装置。
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