JP3769631B2 - 非水系二次電池用ガス漏れ検出装置及び非水系二次電池用ガス漏れ検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系二次電池の製造工程における電解液のガス成分の漏れを検出する検出装置及び検出方法に係り、特に電解液のガス成分の漏れを繰り返し正確に検出できるとともに非水系二次電池の製造作業の安全に貢献することができる非水系二次電池用ガス漏れ検出装置及び非水系二次電池用ガス漏れ検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話、携帯用ノートパソコン、ビデオムービー等の小型の携帯用電子機器がめざましく普及しており、このような機器には小型で高容量化が図れるリチウムイオン二次電池等の非水系二次電池が多く用いられている。
【0003】
この非水系二次電池の製造組立て工程にあっては、電池外装容器とキャップ部材のかしめ部分にはPTC素子や安全弁等の多くの部材が介在することからかしめ不良、部品不良、溶接不良等により電池内部の電解液が漏れる虞れがあり、その検査にあっては人間が自身の鼻で電解液のガス成分を嗅ぎ分けることが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、人間が電解液のガス成分を嗅ぎ分けるガス漏れ検査法は、自動化ができず非効率なことに加え、この非水系二次電池の電解液の多くが、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等の可燃性で火災や爆発の危険性を有する有機溶液であるとともに人体には有害な物質であることから、好ましいものではなかった。
【0005】
そこで、本発明にあっては、人間の嗅覚に頼らずに確実に非水系二次電池の電解液の漏れを検出することができ、非水系二次電池における製造の高能率化及び高品質化に貢献することができるガス漏れ検出装置及びその検出方法を実現することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成すべく、本発明の非水系二次電池用ガス漏れ検出装置は、非水系二次電池に用いられる電解液のガス成分を検知するガスセンサー、該ガスセンサーの検出部に測定域の気体を取り込むべく該気体の流路に配設された吸引部材、前記検出部近傍に配設され該検出部に付着した付着物を焼却すべく一定時間間隔で加熱されるヒーター部材からなる付着物除去部材とからなることを特徴とする。
【0007】
または、非水系二次電池に用いられる電解液のガス成分を検知するガスセンサー、該ガスセンサーの検出部に測定域の気体を取り込むべく該気体の流路に配設された吸引部材、前記検出部近傍に配設され該検出部に付着した付着物を一定時間間隔で吹き飛ばすエア噴出部材からなる付着物除去部材とからなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の非水系二次電池用ガス漏れ検出方法は、非水系二次電池に用いられる電解液のガス成分を検知するガスセンサー、該ガスセンサーの検出部に測定域の気体を取り込むべく該気体の流路に配設された吸引部材、前記検出部近傍に配設され該検出部に付着した付着物を焼却すべく一定時間間隔で加熱されるヒーター部材からなる付着物除去部材とからなる非水系二次電池用ガス漏れ検出装置を、作業機械及び作業者を含めた一定の空間を仕切って形成された非水系二次電池の製造作業域に配置するとともに、前記吸引部材が吸引する前記製造作業域内の空気は製造作業域外に排出されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の非水系二次電池用ガス漏れ検出方法は、非水系二次電池に用いられる電解液のガス成分を検知するガスセンサー、該ガスセンサーの検出部に測定域の気体を取り込むべく該気体の流路に配設された吸引部材、前記検出部近傍に配設され該検出部に付着した付着物を一定時間間隔で吹き飛ばすエア噴出部材からなる付着物除去部材とからなる非水系二次電池用ガス漏れ検出装置を、作業機械及び作業者を含めた一定の空間を仕切って形成された非水系二次電池の製造作業域に配置するとともに、前記吸引部材が吸引する前記製造作業域内の空気は製造作業域外に排出されることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の非水系二次電池用ガス漏れ検出装置1の第1の実施例を示し、2は先端に検出部3を設けてなるガスセンサー、4はガスセンサー2全体を収納しガスセンサー2の検出部3に対向する先端に吸引口5を、後端に排出口6を形成した筒体、7はガスセンサー2の後端に配設され筒体4の吸引口5から空気を取り入れて排出口6から排出するためのファンからなる吸引部材、8はガスセンサー2の検出部3に対向する吸引口5の内側に配設される環状のヒーター部材、9はガスセンサー2、吸引部材7、ヒーター部材8を制御する制御装置である。
【0011】
ガスセンサー2の検出部3は、セラミックス等の半導体素子から構成され、その表面に検出すべき特定の物質、本実施例の場合には非水系二次電池の電解液に用いられるエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等が付着して電気抵抗が変化することで感知するものである。
【0012】
吸引部材7は、測定域の空気をガスセンサー2の検出部3に吹き付けるべく検出部3に対向する吸引口5から空気を取り込み、そしてその空気を排出口6から排出する。本実施例にあっては、ガスセンサー2後端の筒体4内の空気流路にファンを配設したが、これに限定されるものではなく、例えば外部に配置した減圧ポンプからの吸引ホースを筒体4内に導入してもよいものである。この場合には、筒体4の排出口6はなくてもよい。
【0013】
ヒーター部材8は、ガスセンサー2の検出部3に対し相対向する吸引口5の内側に近接して配設され、400℃程度に加熱することにより検出部3表面に付着した検出物質やその他の付着物を焼却除去するものである。そして、その動作を制御する制御装置としては、ガスセンサー2が非水系二次電池の電解液のガス成分を感知して警報を発して一定の時間を経ると自動的にヒーター部材8を加熱するとともに、特定物質の感知がなくとも一定時間間隔でヒーター部材8を加熱して検出部3表面に付着する余分な付着物を焼却除去することにより、検出部3表面を常にクリヤな状態に保って正確に感知できるようにしている。尚、ヒーター部材8の取付け位置は、上述した位置に限定されるものではなく、ガスセンサー2の検出部3を加熱することができる位置であればよく、例えば検出部3を囲むようにその周囲に配設したり、通風可能な状態で検出部3上部を覆う形態でもよい。
【0014】
図2は、本発明の非水系二次電池用ガス漏れ検出装置1の第2の実施例を示し、この検出装置にあっては前述した第1の実施例におけるヒーター部材8の代わりに、1若しくはそれ以上のエア噴出部材10をガスセンサー2の検出部3に相対向する吸引口5の内側に配設している。このエア噴出部材10は、図示しない外部のコンプレッサー等から送出される圧搾空気を適宜なチューブ11を介してガスセンサー2の検出部3に吹き付け、これによりガスセンサー2の検出部3表面に付着した付着物を吹き飛ばして除去するものである。
【0015】
そして、このエア噴出部材10の動作としては、前述したヒーター部材8同様に、ガスセンサー2が非水系二次電池の電解液のガス成分を感知して警報を発して一定の時間を経ると制御装置9は自動的にエア噴出部材10が圧搾空気を噴出させるとともに、特定物質の感知がなくとも一定時間間隔でエア噴出部材10が圧搾空気を噴出して検出部3表面に付着する余分な付着物を除去して常にクリヤな状態に保つものである。また、このエア噴出部材10の取付け位置や方法についても、検出部3表面に付着する付着物を除去し得るのであればどのような配設の仕方としても構わないが、噴出する圧搾空気については各種フィルタを通過させたクリーンエアでなければならない。
【0016】
上述した構成からなる本発明の非水系二次電池用ガス漏れ検出装置1を、作業機械及び作業者を含めた一定の空間を仕切って形成された非水系二次電池の製造作業域、例えば検査室等に配置し、吸引部材7により製造作業域内の空気が常にガスセンサー2の検出部3に当たるように取り込む。また、非水系二次電池用ガス漏れ検出装置1に取り込んだ製造作業域内の空気を作業域内に戻さずに製造作業域外に排出することで、ガスセンサー2の検出部3は常に新しい空気を検査することとなって検出精度が向上する。そして、非水系二次電池用ガス漏れ検出装置1が警報を発した場合には、この製造作業域内に非水系二次電池の電解液のガス成分が存在することが報知される。
【0017】
ただし、この場合製造作業域内に複数個の非水系二次電池が存在している場合には、ガス漏れしている非水系二次電池を特定することはできないが、すくなくとも人体に有害な物質である非水系二次電池の電解液のガス成分が作業者の周囲に存在することについて注意を促すことが可能となる。これにより作業者は、通常は能率的でスピードアップされたガス漏れ検査手段を用い、ガス漏れ検出装置1が警報を発した際に、個別の非水系二次電池についてより綿密かつ精度良く電解液の漏れを検査するという、2段階の検査により効率的に検査することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明の非水系二次電池用ガス漏れ検出装置を、非水系二次電池に用いられる電解液のガス成分を検知するガスセンサー、該ガスセンサーの検出部に測定域の気体を取り込むべく該気体の流路に配設された吸引部材、前記検出部近傍に配設され該検出部に付着した付着物を除去する付着物除去部材とから構成することで、人間の嗅覚に頼ることなく確実に非水系二次電池の電解液のガス成分の漏れを繰り返し正確に検出でき、非水系二次電池の製造の高能率化及び高品質化に貢献することができるとともに、非水系二次電池の製造作業の安全に大いに貢献するものである。
【0019】
また、付着物除去部材を、ガスセンサーの検出部近傍に配設され検出部に付着した付着物を焼却すべく一定時間間隔で加熱されるヒーター部材とした場合には、ガスセンサーの検出部に付着する付着物を確実に除去することができ、非水系二次電池の電解液のガス成分の漏れの検出精度が向上する。
また、付着物除去部材を、ガスセンサーの検出部近傍に配設され検出部に付着した付着物を一定時間間隔で吹き飛ばすエア噴出部材とした場合には、ガスセンサーの検出部に付着する付着物を確実に除去することができ、非水系二次電池の電解液のガス成分の漏れの検出精度が向上する。
【0020】
更に、前記各構成からなる非水系二次電池用ガス漏れ検出装置を、作業機械及び作業者を含めた一定の空間を仕切って形成された非水系二次電池の製造作業域に配置するとともに、前記吸引部材が吸引する前記製造作業域内の空気は製造作業域外に排出されることで、製造作業域内に非水系二次電池の電解液のガス成分が存在することが確実に報知され、非水系二次電池の製造の高品質化に貢献することができるとともに、非水系二次電池の製造作業の安全に貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の非水系二次電池用ガス漏れ検出装置の第1の実施例を示す説明図である。
【図2】 本発明の非水系二次電池用ガス漏れ検出装置の第2の実施例を示す要部説明図である。
【符号の説明】
1 非水系二次電池用ガス漏れ検出装置
2 ガスセンサー
3 検出部
4 筒体
5 吸引口
6 排出口
7 吸引部材
8 ヒーター部材
9 制御装置
10 エア噴出部材
Claims (4)
- 非水系二次電池に用いられる電解液のガス成分を検知するガスセンサー、該ガスセンサーの検出部に測定域の気体を取り込むべく該気体の流路に配設された吸引部材、前記検出部近傍に配設され該検出部に付着した付着物を焼却すべく一定時間間隔で加熱されるヒーター部材からなる付着物除去部材とからなることを特徴とする非水系二次電池用ガス漏れ検出装置。
- 非水系二次電池に用いられる電解液のガス成分を検知するガスセンサー、該ガスセンサーの検出部に測定域の気体を取り込むべく該気体の流路に配設された吸引部材、前記検出部近傍に配設され該検出部に付着した付着物を一定時間間隔で吹き飛ばすエア噴出部材からなる付着物除去部材とからなることを特徴とする非水系二次電池用ガス漏れ検出装置。
- 非水系二次電池に用いられる電解液のガス成分を検知するガスセンサー、該ガスセンサーの検出部に測定域の気体を取り込むべく該気体の流路に配設された吸引部材、前記検出部近傍に配設され該検出部に付着した付着物を焼却すべく一定時間間隔で加熱されるヒーター部材からなる付着物除去部材とからなる非水系二次電池用ガス漏れ検出装置を、作業機械及び作業者を含めた一定の空間を仕切って形成された非水系二次電池の製造作業域に配置するとともに、前記吸引部材が吸引する前記製造作業域内の空気は製造作業域外に排出されることを特徴とする非水系二次電池用ガス漏れ検出方法。
- 非水系二次電池に用いられる電解液のガス成分を検知するガスセンサー、該ガスセンサーの検出部に測定域の気体を取り込むべく該気体の流路に配設された吸引部材、前記検出部近傍に配設され該検出部に付着した付着物を一定時間間隔で吹き飛ばすエア噴出部材からなる付着物除去部材とからなる非水系二次電池用ガス漏れ検出装置を、作業機械及び作業者を含めた一定の空間を仕切って形成された非水系二次電池の製造作業域に配置するとともに、前記吸引部材が吸引する前記製造作業域内の空気は製造作業域外に排出されることを特徴とする非水系二次電池用ガス漏れ検出方法。
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