JP3769057B2 - マイクロカプセルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はマイクロカプセルの製造方法に関し、さらに詳細には、酵母菌体内にカプセル化すべき物質を内包してなるマイクロカプセルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロカプセルは、液体、固体、気体を内包し、そのまわりを薄い皮膜で均一に覆った1μm〜数百μmまでの大きさの微粒子であり、現在、無色及び有色染料、医薬品、農薬、香料、飼料素材及び食品素材等を内包させたマイクロカプセルが工業的に製品化されている。
マイクロカプセルは、ある特性をもった物質の外側に薄膜を形成させることでその特性も同時に封じ込めてしまうことが可能で、必要時に内包された物質を取り出すことができるものである。
マイクロカプセルの製造方法としては、コアセルベーション法、界面重合法、in situ 法等が有力な方法として知られている。
【0003】
一方、これらとは全くその製法を異にする、微生物を利用したマイクロカプセルがこれまでに幾つか提唱されている。微生物マイクロカプセルは、微生物の細胞壁を膜材として利用するため、内包すべき物質を既に出来上がっている膜材に包括させることにより得られる。製造方法としては、具体的には次のものが挙げられる。
【0004】
米国特許第4001480号明細書においては、真菌類を低窒素高炭素の培地組成で培養し、その脂質含有量を40〜60wt%まで高め、その脂質に可溶性の物質をカプセル化する方法が紹介されている。本方法によれば、カプセル化はカプセル化すべき物質が真菌類と接触することにより細胞内に取り込まれ、細胞内に形成された脂肪球中に不動的に保持される。
【0005】
また、特開昭58−107189号公報は、成長微生物の脂質含量の増量方法として、培地から回収した脂質含量10wt%以上の成長微生物(例えば油脂形成性酵母菌、麦酒酵母菌など)に脂質増量用有機物質(例えば脂肪族アルコール類、エステル類、芳香族炭化水素類、水添芳香族炭化水素類)から選択される液体を包含せしめた後、これら脂質増量用有機物質に可溶な芯物質となるべき液体をカプセル化してなる微生物カプセルを開示している。
【0006】
さらに特開昭61−88871号公報では、脂質含量10wt%未満の真菌類に疎水性物質もしくは親水性物質を内包させ、必要時に圧力を加えることで破壊し中身を取り出すことを特徴とする微生物カプセルを挙げている。
【0007】
一方最近、簡便で優れた方法として、予め菌体内成分を溶出させた酵母の細胞壁をマイクロカプセルの基材として用いる方法が開示されている(特開平4−4033、特開平4−63127、特開平4−117245、特開平5−95791、特開平5−138010、および特開平5−253464)。しかし、これらの方法によっても、酵母の細胞壁内に芯物質である疎水性液体を多量に含有させるためにはカプセル化の目標物質でない乳化剤等の併用が必要となり芯物質以外の成分がカプセル化されることを避けることができなかった(特開平4−4033、特開平4−63127、特開平4−117245、および特開平5−138010)。 また必ずしも乳化剤等のカプセル化補助剤を必要としない方法として、酵母の細胞壁をアルカリ液で処理する方法(特開平4−63127)、またはカプセル化処理時のpHを中性域に調整した後に内包せしめる疎水性液体と酵母の細胞壁を混合し、カプセル化処理する方法(特開平5−253464)が開示されているが、マイクロカプセルにおける脂肪酸の含有量は60%程度に留まっていた。また、脂肪酸と比較して、トリグリセリドは食品添加物としてより利用しやすいが、上記の全ての方法では、外因性のトリグリセリドが3%程度しかカプセル化されないなど食品に応用する場合に非常に大きな問題点があり、改善しなければならない点が多かった。
【0008】
油脂を含む疎水性液体は栄養学的機能を有するものも多く、それらは一般的に動物や植物から得られるが、最近では微生物からも製造されるようになってきた。これら疎水性液体の一部は食品素材および飼料素材として有効に利用されているが、熱、光、酸化剤等により変質し易いものも多く、また液状のものであれば非常に扱いにくいといった欠点を有している。有用な疎水性液体を従来法より、より高含有量でカプセル化できれば、これら欠点を改善でき、更に高度な用途への応用が可能になるものと期待されている。
【0009】
食品および飼料へ応用することを前提として疎水性液体をマイクロカプセル化するにあたっては、次の3点を十分考慮して製造工程を選択すべきである。まず第一に、食品ないしは飼料として摂取されても、その安全性について何ら懸念すべきことのない皮膜材およびカプセル化助剤が使用されること;第二に、油脂成分の多くは熱変成を受け易い特性を有するため、過度に高温、長時間の条件を要するカプセル化工程は避けること;第三に、できればカプセル化助剤を必要とすることなく、芯物質である疎水性液体をできるだけ多量に含有するカプセルが調製できること等である。しかし、現在のところ、上記の3条件を十分に満たすようなマイクロカプセルの製造方法は確立されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、上記の従来技術の欠点を有しないマイクロカプセルの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、前記課題を解決すべく種々検討を試みたところ、酵母を酵素処理することによりその菌体内成分を菌体外に放出させた後、該酵母菌体を酸性水溶液で処理し、次いでこの酵母菌体内にカプセル化すべき物質を内包させることにより、より多量の疎水性物質を含有するマイクロカプセルのみならず、親水性物質を含有するマイクロカプセルをも製造することができることを見い出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、酵母を酵素処理することによりその菌体内成分を菌体外に放出させた後、該酵母菌体を酸性水溶液で処理し、次いでこの酵母菌体内にカプセル化すべき物質を内包させることを特徴とする、マイクロカプセルの製造方法を提供するものである。
【0012】
特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明のマイクロカプセルの製造方法においては、酵素処理のみのものと比べて、酸処理することで、酵母細胞壁表面の電荷(負に帯電している)が減少し、電気的な反発が軽減され、カプセル化すべき物質をより取り込ませ易くなると考えられている。
【0013】
本発明によるマイクロカプセルの製造方法は、基本的に次の工程からなるものである。
▲1▼酵母を酵素処理することにより、菌体内成分を菌体外に放出させる工程
▲2▼菌体内成分を放出させた酵母を酸性水溶液で処理する工程
▲3▼カプセル化工程
この他必要に応じ、酵母の洗浄、脱水、pH・温度・圧力の調整、乾燥工程等を組み入れることも可能である。以下、本発明を上記の工程に則して詳細に説明する。
【0014】
酵母とは、出芽もしくは分裂により増殖する微生物の総称であり、本発明においてはいかなる酵母を用いてもよい。麦酒酵母菌、パン酵母菌、トルラ酵母菌等を使用することができ、具体的には、例えば、サッカロマイセス属のサッカロマイセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・ルーキシ(Saccharomyces rouxii)、サッカロマイセス・カールスバーゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、および、キャンディダ属のキャンディダ・ウティリス(Candida utilis)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・リポリティカ(Candida lipolytica)、キャンディダ・フレーベリ(Candida flaveri)等が使用することができる。これらは、単独であるいは組み合わせ て使用することができる。酵母の形状は種類によって種々の形があるが、なるべく球形に近い形態のものが好ましい。また、粒径は1〜20μmの範囲が好ましい。本発明で使用されるこれらの酵母菌は、生のままでも、乾燥した状態でもよく、さらに増殖力のない死滅した菌であってもよい。
【0015】
本発明で用いられるこれらの酵母には、水もしくは極性溶剤に可溶性の酵素およびタンパク質、アミノ酸成分、糖質分、核酸成分等の菌体内成分が存在しており、これらの成分は酵母菌体内へのカプセル化すべき物質の内包を阻害しうる。従って、カプセル化すべき物質をより大量に酵母菌体内に内包させるためには、予め酵素処理法により、これらの菌体内成分を菌体外に放出させた後の酵母菌残渣を用いることが必要である。この酵素処理法としては、任意の公知の方法を用いることができ、その例としては、Babayan, T.L. and Bezrukov, M.G., 1Acta Biotechnol.0,5, 129-136 (1985)に記載の自己消化酵素を活用するのが最も経済的である。それ以外にも、プロテアーゼによる処理、あるいは、ヌクレアーゼ、β−グルカナーゼ、エステラーゼおよびリパーゼからなる群より選択される少なくとも一種の酵素をプロテアーゼと組合せた処理を行ってもよい。プロテアーゼの例としては、アルカラーゼ、ニュートラーゼ(ノボ社)、プロテアーゼA、M、N等、パパイン、ニューラーゼF(アマノ社)などを挙げることができる。具体的には、自己消化酵素を有する酵母菌体の水分散液あるいは上記のような酵素を添加した酵母菌体の水分散液を30〜60℃で、1〜48時間、好ましくは、40〜50℃で15〜24時間インキュベーションすることにより酵母菌体を酵素処理することができる。酵素で処理した酵母菌体の水分散液を遠心分離等により、上清と酵母菌残渣に分離し、この酵母菌残渣を用いて以下の処理を行うとよい。
【0016】
酵素処理を速やかに行う目的で、酵母の酵素処理の前に、高圧ホモジナイザー等により前処理を行ってもよい。具体的には、高圧ホモジナイザーを用いて100〜600kg/cm2の圧力下で予備分散させ、次いで800〜2000kg/cm2の圧力下で分散することにより、前処理を行うことができる。
【0017】
次いで、酵素処理した酵母菌体を酸性水溶液で処理する。この処理により、酵母菌表面の負の電荷が低減し、酵母菌体へのカプセル化すべき物質の浸透性が増加する。具体的には、酵素処理後の酵母菌残渣を酸性水溶液に懸濁し、所望により、適当な酸濃度に調整した後、この懸濁液に所定時間、加熱および撹拌を施すとよい。本発明の方法に用いられる酸性水溶液としては、塩酸、燐酸、硫酸、乳酸、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸等からなる群から選ばれた少なくとも1つの酸の水溶液を用いることができるが、特に限定はされない。酸性水溶液のpHは2.0以下が適当であり、0〜1が好ましく、0〜0.5がより好ましい。また、酵母菌残渣は、酸性水溶液に固形分濃度1〜10%、好ましくは2〜5%となるように懸濁させるとよい。この懸濁液の加熱温度および時間は系のpHやイオン強度に依存して設定されることが好ましいが、例えば、pHが0〜0.5の酸性水溶液により処理される場合には、50℃以上100℃以下、好ましくは85℃以上100℃以下の温度で、5分以上1時間以下、好ましくは10分以上30分以下加熱するとよい。この際、pHが0〜0.5の酸性水溶液により1時間以上という長時間の加熱処理を行ったりpHが0以下という過度な酸性水溶液での処理を行えば、酵母の細胞壁の強度がそれに応じて低下し、酸処理した酵母の収率の低下を招く場合がある。上記のような酸性水溶液による処理に際しては、必要に応じて各種有機溶剤、分散剤、防腐剤を添加することも可能である。有機溶剤としては、メタノール、エタノール等の各種アルコール、アセトン、ヘキサン等を、分散剤としては、ショ糖エステル、グリセリンエステル等を、防腐剤としては、安息香酸、ソルビン酸、サリチル酸等を単独で、または併用して使用することができる。
【0018】
上記のように酸性水溶液で処理した酵母菌体の懸濁液を遠心分離等により、上清と酵母菌残渣に分離し、この酵母菌残渣を用いて以下の処理を行うとよい。
上記のような酵素処理および酸性水溶液による処理を施して得られる酵母菌体の細胞壁は、グルカン、マンナン、キチン層から構成される物理的、化学的に比較的丈夫な皮膜であり、これはマイクロカプセルとして具備すべき内包物質の保護機能を損なうこと無く、より多量のカプセル化すべき物質を内包することができる。
上記のようにして処理した酵母菌体内にカプセル化すべき物質を内包させることにより、マイクロカプセルを製造する。
【0019】
カプセル化すべき物質は、疎水性、親水性あるいは両親媒性のいかなる性質を有するものであってもよいが、本発明の方法は、疎水性物質、特に、疎水性液体をカプセル化するのに効果的である。
疎水性液体とは、実質的に水不溶性の液体であるもの、加熱により水不溶性の液体となるもの、更に脂肪酸エステルやステロイド等の脂溶性の物質を適当な液体(例えば、以下に記載する物質のうち液体であるもの)に溶解せしめた疎水性液体を含むものである。具体的には、単純脂質として高級脂肪酸と高級アルコールからなるパルミチン酸メチルエステル等のモノエステル型の鎖式単純ワックスおよびコレステロールエステル、シトステロールエステル、エルゴステロールエステル等のステロールエステルや脂溶性ビタミンA、D、E等のエステルに代表される含環式単純ワックスおよびシアノ脂質を含む単純ワックス類、ジオール脂質、ジエステル等の複合ワックス類、モノオレイン、モノステアリン等のモノグリセリドおよびジグリセリドまたトリオレイン、大豆油、コーン油、米糠油、サフラワー油、綿実油、オリーブ油、ヒマシ油、タラ油、イカ油、イワシ油、豚脂、牛脂、羊脂、馬油、その他、微生物油脂類に代表されるトリグリセリド、キミルアルコール、バチルアルコール等のモノアルキルやジアルキル、モノアルキルモノアシル、モノアルキルジアシル、トリアルキルタイプ等のアルキルグリセロールエーテル脂質類およびモノアルケニル、ジアルケニル、モノアルケニルモノアシル、モノアルケニルジアシル、トリアルケニルタイプ等のアルケニルグリセリルエーテル脂質類およびセラミド類があげられる。また誘導脂質として飽和型と不飽和型で直鎖、モノ枝鎖およびポリ枝鎖の長鎖炭化水素とこれら長鎖炭化水素が酸化されたオクタコサノールなどに代表される長鎖アルコール類、ジヒドロスフィンゴシン、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、デヒドロフィトスフィンゴシン等の長鎖アミノアルコール類、シトロネラール、ファルネサールや昆虫フェロモンに多い長鎖アルデヒド類、フィロキノン、ユビキノン等の直鎖ケトン類、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸に代表される各種脂肪酸および、ヒドロキシ酸、ケト酸、ジカルボン酸等の長鎖酸類とその塩類、ヘミテルペンやリモネン、メントール、シトラール、イオノン等のモノテルペン、ビサボレン、ファルネソール、ネロリドール、シペロン、ヒノキ酸
【0020】
等のセスキテルペン、カンホレン、フィトール、ヒノキオール、スギオール、アビエチン酸、クロロフィル、レチノール、トコフェロール、フィロキノン等のジテルペンおよびトリテルペン、テトラテルペンやメナキノン、ユビキノン等のポリテルペン等のテルペノイド類、コレステロール、シトステロール、エルゴステロール、胆汁酸、性ホルモン、副腎脂質ホルモン、心臓毒ゲニン、ステロイドサポゲニン、ソラニジン等のステロイド類、フィトエン、リコピン、カロチン、キサントフィル、シトラウリン、カプサンチン等のカロチノイド類があげられる。また更に、複合脂質として大豆レシチン等のホスファチジルコリンやホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン等のグリセロリン脂質、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン等のグリセロホスホノ脂質、プラズマローゲン等のエーテルグリセロリン脂質、セラミドリン酸、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、セラミドシリアチン等のスフィンゴホスホノ脂質等のリン脂質類、その他グリセロ糖脂質やスフィンゴ糖脂質などの糖脂質類、サポニン、ソラニン等のステロイド配糖体、脂肪酸糖、リポ多糖等の糖脂質類、リン糖脂質類、硫脂質類、アミノ酸脂質類などがあげられる。
【0021】
また更に、フェニトロチオンやピラクロファス等の脂溶性液体が挙げられる。グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびポリソルベート類等に代表される乳化剤等を芯物質として挙げることもできる。
親水性物質とは、水分子とのあいだに結合をつくりやすい官能基、すなわち水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ケトン基、スルフォ基などを分子構造の一部に有する比較的低分子の物質であり、実質的に水に有意な量可溶し得るものである。
具体的にはまずアミノ酸類を挙げることができる。プロリン、スレオニン、リジンなどのアミノ酸の他それらの金属塩、エステル、ペプチドが含まれる。
次いで糖類を挙げることができる。グルコース、ガラクトース、フラクトースなどの単糖類、マルトース、シュクロースなどの二糖類、ラフィノースなどの少糖類の他、アミノ糖、糖アルコールなどが含まれる。
次いで水溶性ビタミン類が挙げられる。チアミン、リボフラビンなどのビタミンB群、アスコルビン酸、葉酸、コリンなどがある。
この他、核酸関連物質が挙げられる。5’−GMP,5’−IMPなどのモノヌクレオチドの他、塩基、ヌクレオシド、オリゴヌクレチドがある。
【0022】
これらのカプセル化すべき物質を単独であるいは組み合わせて、前記の処理を施した酵母菌体と混合し、カプセル化を行う。具体的には、カプセル化すべき物質を前記の処理を施した酵母菌残渣の水分散液に添加して、所望により、該分散液のpHを調整した後、一定時間、一定温度にて撹拌することにより行うことができる。カプセル化すべき物質と酵母菌体(固形分)の比率は、2:1〜1:4が適当であり、1:1〜1:2が好ましい。分散液中の酵母菌体の固形分濃度は、1〜10%が適当であり、2〜5%が好ましい。所望により、前記分散液のpHは、5〜9、好ましくは6.5〜7.5になるように、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重ソウ等のpH調整剤を用いて調整してもよい。カプセル化工程における撹拌温度は特に限定はされないが、好ましくは40〜80℃である。また、撹拌時間は、カプセル化すべき物質の内包されるべき量、カプセル化工程の温度などに応じて適宜設定すれば良い。撹拌は、ホモジナイザーを用いて、1000〜10000rpm、好ましくは2000〜4000rpm の速度で行うとよい。更に、必ずしも必要ではないが、カプセル化すべき物質の分散性向上を補助するために、界面活性剤や親水性の有機溶剤を添加しても良い。更に必要に応じ、硬膜剤、防腐剤、酸化防止剤などの各種劣化防止剤その他を添加してカプセル化を行うこともできる。本工程は酵母菌の培養とは全く異なるものであり、溶存酸素の供給、糖源、窒素源などの栄養源の添加は全く不要である。
【0023】
上記のようにして作製された、カプセル化すべき物質を内包する酵母菌体を回収し、洗浄する。上記酵母菌体は、遠心分離、吸引濾過等の方法により回収することができる。
その他、必要に応じ、洗浄および熱風乾燥、凍結乾燥等の処理を行い乾燥してもよい。
このようにして得られたマイクロカプセルは食品、飼料などの素材に使用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。なお本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中に示された酵母菌重量は、全て乾燥状態での重量である。また、%で表示してある酵母菌体中のカプセル化率は、全て重量比%である。
【0025】
〔実施例1〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
麦酒酵母菌(サッカロマイセス・セレビッシェ)20gを含む水分散液200gを振盪培養機中で温度50℃の条件下で17時間振盪し、菌体内の成分を自己消化法にて菌体外に溶出させた。遠心分離操作により、溶出液と酵母菌残渣を分離した後、酵素処理酵母菌残渣(以下、「酵素処理残渣」という。)として固形分約20%のペーストが得られた。
【0026】
〈酸性水溶液による酵素処理残査の処理〉
上記の酵素処理残渣を固形分として5%となるように塩酸溶液で懸濁し、最終塩酸濃度を0.05、0.1、0.5、1.0、および2.0Nになるようにそれぞれ調整した。この懸濁液を沸騰水浴中にて85℃以上で10分間加熱し、その後遠心分離した後、洗浄して酵素処理酵母菌の塩酸処理残渣(以下、「塩酸処理残渣」という。)を得た。塩酸処理残渣は水分が90〜85%、即ち固形分が10〜15%となった。
【0027】
〈カプセル化工程〉
上記のようにして得られたそれぞれの塩酸処理残渣を固形分で5%、またオレイン酸またはトリオレインを7.5%の濃度となるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。この懸濁液を温度70℃の条件下においてホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その重量を測定し、カプセル化率(〔カプセル化酵母菌体中の脂質重量/カプセル化酵母菌体の乾燥重量〕×100(%))を算出した。その結果を表1および表2に示す。例えば、1Nの塩酸処理残渣でオレイン酸をカプセル化した場合、カプセル化酵母の回収率は使用した塩酸処理残渣の固形分とオレイン酸の総和の62.6%であり、カプセル化したオレイン酸の最終回収率は75.5%であった。
【0028】
上記方法で調製したカプセルをpH2、4、7、9に塩酸または水酸化ナトリウムで調整した溶液に懸濁し、24時間放置後、カプセル中に残存する脂質量を測定した。また、120℃で20分間加熱した後、同様に残存脂質量を測定したが、いずれも、脂質成分の流出は認められなかった。このことから、これらのカプセルはpH変化、温度変化に非常に安定であることがわかる。
【0029】
〔比較試験 1−1〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例1の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その重量を測定し、カプセル化率を算出したところ、オレイン酸のカプセル化率は36.0%であり(表1の未処理群)、トリオレインのカプセル化率は4.6%であった(表2の未処理群)。また、実施例1においては、このカプセル化率に到達するまでに要するカプセル化時間は1時間以内であり、塩酸処理残渣が自己消化残渣に比べ、極めて速やかにカプセル化可能なことが示唆された。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
〔比較試験 1−2〕
酵素処理による菌体内成分の溶出処理を行なわず、酸性水溶液による処理を1Nの塩酸溶液を用いて行った他は、実施例1の操作を繰り返して、オレイン酸またはトリオレインを酵母菌体内にカプセル化した。この際、オレイン酸のカプセル化率は55.3%であり、またトリオレインのカプセル化率は7.7%であった。このことは、酵素処理を行わない場合、カプセル化率が有意に低下し、特にトリオレインに関してはほとんどカプセル化されないことを示していた。
【0033】
〔比較試験 1−3〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理において、塩酸溶液での処理を0.01Nの水酸化ナトリウム溶液(pH=12.0,特開平4ー63127による至適条件)での処理に置き換えた他は、実施例1の操作を繰り返してオレイン酸またはトリオレインを酵母菌体内にカプセル化した。この際、オレイン酸のカプセル化率は46.5%であり、またトリオレインのカプセル化率は4.5%であった。このことは、アルカリによる酵母菌残渣の処理より酸による処理の方が、カプセル化において有効であることを示していた。
【0034】
〔実施例2〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈酸性水溶液による酵素処理残査の処理〉
実施例1と同様の方法で行ったが、最終塩酸濃度を1Nとした。
【0035】
〈カプセル化工程〉
上記によって得られたそれぞれの塩酸処理残渣を固形分で5%、また大豆油を7.5%の濃度となるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。この懸濁液を温度70℃の条件下において、ホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その重量を測定し、カプセル化率を算出した。この結果、大豆油のカプセル化率は22.0%であった。
【0036】
〔比較試験2〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例2の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体においては、大豆油のカプセル化率が有意に低下しており、4.4%となった。このことは酵素処理の後、酸性水溶液で酵母菌体を処理する本発明の方法が、トリオレインだけでなくトリグリセリド一般に応用できることを示すものである。
【0037】
〔実施例3〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1での自己消化による菌体内成分の溶出処理に先立ち、高圧ホモジナイザーを用い、500kg/cm2の圧力下で麦酒酵母菌を10%の固形分濃度で水に予備分散した後、1000kg/cm2の圧力下でさらに分散した。その後、振盪培養機中で温度50℃の条件下で8時間振盪し、自己消化により菌体内の水溶性成分を菌体外に溶出させ、遠心分離操作により溶出液と酵母菌残渣を分離して、酵素処理残渣を得た。
【0038】
〈酸性水溶液による酵素処理残査の処理〉
実施例1と同様の方法で行ったが、最終塩酸濃度を1Nとした。
【0039】
〈カプセル化工程〉
実施例1と同様の操作で、オレイン酸またはトリオレインをカプセル化した。この際、オレイン酸のカプセル化率は74.6%、またトリオレインのカプセル化率は18.6%であった。また、これらのカプセルはpH変化、温度変化に非常に安定であり、水中に懸濁して24時間放置しても、脂質成分の流出は認められなかった。
【0040】
〔比較試験3〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例3の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その重量を測定し、カプセル化率を算出したところ、オレイン酸のカプセル化率は42.7%であり、トリオレインのカプセル化率は4.6%であった。
【0041】
〔実施例4〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1と同様の方法で行った。
【0042】
〈酸性水溶液による酵素処理残査の処理〉
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理で、塩酸を硫酸に置き換え、最終硫酸濃度を0.5および1.0Nとした以外は実施例1の操作を繰り返した。この際、硫酸処理残渣は固形分が、それぞれ、14%および12%となった。
【0043】
〈カプセル化工程〉
上記のようにして得られたそれぞれの硫酸処理残渣を固形分で5%、またトリオレインを7.5%の濃度となるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。この懸濁液を温度70℃の条件下において、ホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その重量を測定して、カプセル化率を算出した。その結果を表3に示す。また、これらのカプセルはpH変化、温度変化に非常に安定であり、水中に懸濁して24時間放置しても、脂質成分の流出は認められなかった。
【0044】
〔比較試験 4−1〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例4の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その重量を測定し、カプセル化率を算出したところ、トリオレインのカプセル化率は4.6%であった(表3の未処理群)。
【0045】
【表3】
【0046】
〔比較試験 4−2〕
酵素処理による菌体内成分の溶出処理を行なわず、酸性水溶液による処理を1Nの硫酸溶液を用いて行った他は、実施例4の操作を繰り返して、トリオレインを酵母菌体内にカプセル化した。この際、トリオレインのカプセル化率は4.2%であった。このことから、酵素処理を行わない場合、トリオレインはほとんどカプセル化されないことが明らかとなった。
【0047】
〔実施例5〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈酸性水溶液による酵素処理残査の処理〉
実施例1と同様の方法で行った。
【0048】
〈カプセル化工程〉
上記のようにして得られたそれぞれの塩酸処理残渣を固形分で5%、またパルミチン酸メチルエステルを7.5%の濃度となるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。この懸濁液を温度70℃の条件下において、ホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その重量を測定し、カプセル化率を算出したところ、パルミチン酸メチルエステルのカプセル化率は54.7%であった。また、これらのカプセルはpH変化、温度変化に非常に安定であり、水中に懸濁して24時間放置しても、脂質成分の流出は認められなかった。
【0049】
〔比較試験5〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例5の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その重量を測定し、カプセル化率を算出したところ、パルミチン酸メチルエステルのカプセル化率は25.4%であった。
【0050】
〔実施例6〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈酸性水溶液による酵素処理残査の処理〉
実施例1と同様の方法で行った。
【0051】
〈カプセル化工程〉
上記によって得られた塩酸処理残渣を固形分で5%、またオレイン酸モノグリセリドを7.5%の濃度となるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。この懸濁液を温度70℃の条件下において、ホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その重量を測定し、カプセル化率を算出したところ、オレイン酸モノグリセリドのカプセル化率は34.0%であった。また、これらのカプセルはpH変化、温度変化に非常に安定であり、水中に懸濁して24時間放置しても、脂質成分の流出は認められなかった。
【0052】
〔比較試験6〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例6の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体にふくまれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その重量を測定し、カプセル化率を算出したところ、オレイン酸モノグリセリドのカプセル化率11.9%であった。
【0053】
〔実施例7〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈酸性水溶液による酵素処理残査の処理〉
実施例1と同様の方法で行った。
【0054】
〈カプセル化工程〉
上記によって得られた塩酸処理残渣を固形分で5%、また大豆レシチン(ホスファチジルコリン)を7.5%の濃度となるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。 この懸濁液を温度70℃の条件下において、ホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その重量を測定して、カプセル化率を算出したところ、大豆レシチンのカプセル化率は31.3%であった。また、これらのカプセルはpH変化、温度変化に非常に安定であり、水中に懸濁して24時間放置しても、脂質成分の流出は認められなかった。
【0055】
〔比較試験7〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例7の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その重量を測定し、カプセル化率を算出したところ、大豆レシチンのカプセル化率は6.41%であった。
【0056】
〔実施例8〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈酸性水溶液による酵素処理残査の処理〉
実施例1と同様の方法で行った。
【0057】
〈カプセル化工程〉
上記によって得られた塩酸処理残渣を固形分で5%、またレチニルパルミテート30%溶液(コーンオイル中)を7.5%の濃度となるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。この懸濁液を温度70℃の条件下において、ホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、そのレチニルパルミテート含量をHPLCにより測定したところ、レチニルパルミテートのカプセル化率は6.70%であった。また、これらのカプセルはpH変化、温度変化に非常に安定であり、水中に懸濁して24時間放置しても、脂質成分の流出は認められなかった。
【0058】
〔比較試験8〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例8の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、その含量を測定し、カプセル化率を算出したところ、レチニルパルミテートのカプセル化率は3.11%であった。
【0059】
〔実施例9〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈酸性水溶液による酵素処理残渣の処理〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈カプセル化工程〉
上記によって得られた塩酸処理残渣を固形分で3%、またレシチンを31%セファリンを32%含むリン脂質混合物(理研ビタミン社製“レシオンPK”)を5%の濃度となるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。この懸濁液を温度70℃の条件下において、ホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、そのなかのレシチン及びセファリン含量をHPLCにより測定したところ、合計で16.9%であった。またこれらのカプセルは、pH2の条件下において若干の内包化物の漏出が認められた他は、pH変化、温度変化に非常に安定であり、水中に懸濁して24時間放置しても、脂質成分の流出は認められなかった。
【0060】
〔比較試験9〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例9の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる脂質成分をクロロホルムで抽出し、そのなかのレシチン及びセファリン含量を測定したところ、合計で1.02%であった。
【0061】
〔実施例10〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈酸性水溶液による酵素処理残渣の処理〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈カプセル化工程〉
上記によって得られた塩酸処理残渣を固形分で5%、また9種のアミノ酸即ちアラニン、バリン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、グリシン、アルギニン、リジンをそれぞれ1%の濃度になるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。この懸濁液を温度30℃の条件下において、ホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれるアミノ酸を50%エタノール溶液で抽出し、アミノ酸分析計により測定したところ、9種のアミノ酸のカプセル化率は合計で4.86%であった。
【0062】
〔比較試験10−1〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例10の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれるアミノ酸を50%エタノール溶液で抽出し、アミノ酸分析計により測定したところ、9種のアミノ酸のカプセル化率は合計で0.83%であった。
〔比較試験10−2〕
酵素処理による菌体内成分の溶出処理および酸性水溶液による処理のいずれも行わず、カプセル化工程のみ実施例10に準じて行いカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれるアミノ酸を50%エタノール溶液で抽出し、アミノ酸分析計により測定したところ、9種のアミノ酸のカプセル化率は合計で1.43%であった。
【0063】
〔実施例11〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈酸性水溶液による酵素処理残渣の処理〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈カプセル化工程〉
上記によって得られた塩酸処理残渣を固形分で5%、またプロリンを5%の濃度になるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。この懸濁液を温度30℃の条件下において、ホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれるプロリンを50%エタノール溶液で抽出し、アミノ酸分析計により測定したところ、プロリンのカプセル化率は2.80%であった(図1の酸処理酵母群、洗浄0回)。また、このカプセルを多量の水に再懸濁したのち遠心分離により回収するという方法で洗浄したところ、4回の洗浄を繰り返したのちも有意な量のプロリンが酵母菌体内に保持されていることが判明した(図1の酸処理酵母群、洗浄4回)。
【0064】
〔比較試験11〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例11の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれるプロリンを50%エタノール溶液で抽出しアミノ酸分析計により測定したところ、カプセル化率は1.29%であった(図1の自己消化酵母群、洗浄0回)。また、このカプセルを実施例11と同様の方法で洗浄したところ、2回の洗浄を終えた時点で酵母菌体内にはもはやプロリンは殆ど保持されていなかった(図1の自己消化酵母群、洗浄2回)。
【0065】
〔実施例12〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈酸性水溶液による酵素処理残渣の処理〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈カプセル化工程〉
上記によって得られた塩酸処理残渣を固形分で5%、またスレオニンを5%の濃度になるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。この懸濁液を温度30℃の条件下において、ホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれるスレオニンを50%エタノール溶液で抽出し、アミノ酸分析計により測定したところ、スレオニンのカプセル化率は0.50%であった(図2の酸処理酵母群、洗浄0回)。このカプセルを多量の水に再懸濁したのち遠心分離により回収するという方法で2回洗浄したところ、酵母菌体内に保持されているスレオニン含量は、わずか23%低下するに留まった(図2の酸処理酵母群、洗浄2回)。
【0066】
〔比較試験12〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例12の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれるスレオニンを50%エタノール溶液で抽出し、アミノ酸分析計により測定したところ、カプセル化率は0.53%であり(図2の自己消化酵母群、洗浄0回)、実施例12とほぼ同等のレベルであった。しかしながら、このカプセルを実施例12と同様の方法で2回洗浄したところ、酵母菌体内に保持されているスレオニン含量は大幅に低下した(図2の自己消化酵母群、洗浄2回)。
【0067】
〔実施例13〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈酸性水溶液による酵素処理残渣の処理〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈カプセル化工程〉
上記によって得られた塩酸処理残渣を固形分で5%、またアスコルビン酸を5%の濃度になるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。この懸濁液を温度30℃の条件下において、ホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれるアスコルビン酸をメタリン酸で抽出し、F−キット(ベーリンガー・マンハイム社製)により測定したところ、アスコルビン酸のカプセル化率は1.17%であった(図3のアスコルビン酸、酸処理酵母群)。
【0068】
〔比較試験13〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例13の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれるアスコルビン酸をメタリン酸で抽出し、F−キット(ベーリンガー・マンハイム社製)により測定したところ、カプセル化率は0.43%であった(図3のアスコルビン酸、自己消化酵母群)。
【0069】
〔実施例14〕
〈酵素処理による菌体内成分の溶出処理工程〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈酸性水溶液による酵素処理残渣の処理〉
実施例1と同様の方法で行った。
〈カプセル化工程〉
上記によって得られた塩酸処理残渣を固形分で5%、また5’グアニル酸モノフォスフェート(以下5'-GMP)を5%の濃度になるように蒸留水で懸濁し、pHを7.0に水酸化ナトリウムで調整した。この懸濁液を温度30℃の条件下において、ホモジナイザーで16時間撹拌した。遠心分離することによりカプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる5'-GMPを80%エタノールで抽出し、HPLCにより測定したところ、5'-GMPのカプセル化率は1.13%であった(図3の5'-GMP、酸処理酵母群)。
【0070】
〔比較試験14〕
酸性水溶液による酵素処理残渣の処理を行わなかった他は、実施例14の操作を繰り返して、カプセル化酵母菌体を得た。得られたカプセル化酵母菌体に含まれる5'-GMPを80%エタノールで抽出し、HPLCにより測定したところ、ほとんどカプセル化されていないことがわかった(図3の5'-GMP、自己消化酵母群)。
【0071】
【発明の効果】
本発明の方法により、高い比率(カプセル化率)でより多量の疎水性液体を酵母菌体中へ短時間で内包させることが可能になった。本発明の方法により製造された疎水性液体成分の酵母カプセルは保持力および安定性も良好で、実用上充分使用に足るものである。
驚くべきことに、本発明の方法により、従来困難とされていたトリグリセリド、脂肪酸エステル類、および脂溶性ビタミン類のカプセル化を容易に実現できた。
さらに、本発明の方法により、従来のカプセル化法と比較して、より高い比率でより多量の親水性物質を酵母菌体中へ内包させることが可能になった。本発明の方法により製造された親水性成分の酵母カプセルは保持力および安定性も良好である。
以上のごとく、本発明の方法は、微生物を用いたマイクロカプセル化法として、品質的にも工業的にも優れた手段である。
【0072】
【図面の簡単な説明】
【図1】洗浄0、2および4回後の、プロリンカプセル化酵母のカプセル化率を示す。
【図2】洗浄0および2回後の、スレオニンカプセル化酵母のカプセル化率を示す。
【図3】アスコルビン酸カプセル化酵母および5’−GMPカプセル化酵母のカプセル化率を示す。
Claims (16)
- 酵母を酵素処理することによりその菌体内成分を菌体外に放出させた後、該酵母菌体を酸性水溶液で処理し、次いでこの酵母菌体内にカプセル化すべき物質を内包させることを特徴とする、マイクロカプセルの製造方法。
- カプセル化すべき物質が疎水性物質である、請求項1記載の方法。
- 疎水性物質が液体である、請求項2記載の方法。
- 疎水性液体が脂質である、請求項3記載の方法。
- 脂質が、長鎖炭化水素、長鎖アルコール、長鎖アミノアルコール、長鎖アルデヒド、長鎖ケトン、長鎖酸およびその塩、テルペノイド、ステロイドならびにカロテノイドからなる群より選択される少なくとも一種の誘導脂質である請求項4記載の方法。
- 脂質が、ワックス、グリセリド、エーテルグリセリドおよびセラミドからなる群より選択される少なくとも一種の単純脂質である請求項4記載の方法。
- 脂質が、リン脂質、糖脂質、リン糖脂質、硫脂質およびアミノ酸脂質からなる群より選択される少なくとも一種の複合脂質である請求項4記載の方法。
- カプセル化すべき物質が親水性物質である、請求項1記載の方法。
- 親水性物質が、アミノ酸、水溶性ビタミン、ヌクレオチドおよび糖からなる群より選択される少なくとも一種の物質である請求項8記載の方法。
- 酵素がプロテアーゼである請求項1記載の方法。
- 酵素が、ヌクレアーゼ、β−グルカナーゼ、エステラーゼおよびリパーゼからなる群より選択される少なくとも一種の酵素とプロテアーゼとの組合せである請求項1記載の方法。
- 酵素が酵母の持つ自己消化酵素である請求項1記載の方法。
- 酸性水溶液が2.0以下のpHを有するものである請求項1記載の方法。
- 酸性水溶液が0〜0.5のpHを有するものである請求項13記載の方法。
- 酸性水溶液が塩酸、燐酸、硫酸、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、および乳酸からなる群から選ばれた少なくとも1つの酸の水溶液である請求項1記載の方法。
- 酵母が、サッカロマイセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・ルーキシ(Saccharomyces rouxii)、サッカロマイセス・カールスバーゲンシス(Saccharomyces carlsbergensisi)、キャンディダ・ウティリス(Candida utilis)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・リポリティカ(Candida lipolytica)、およびキャンディダ・フレーベリ(Candida flaveri)から成る群より選択される少なくとも一種の微生物である請求項1記載の方法。
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